週末
週末の草取りが始まる
深い根まで引き抜かれることが
ほとんどないことに気づかれぬよう
草は声を立てずに引きちぎられる
雑草と一括りに呼ばれる私たちが
それぞれの名前で呼ばれないことを
不満に思っているだろうと
考えている人間がいるらしいが
それは全くの見当違いで
もともと私たちに名前はなく
名前をつけられることの方が屈辱であり
そんなことにさえ気づかず生きて
体のほとんどを犠牲にしてまで
生き延びようという
私たちのような覚悟さえないから
たとえ終末のカウントダウンが
始まる時代になっても
幸せな(またはつまらない)顔をして
人間は相も変わらず日がな一日
私たちを引き抜いているのだろう
何度、週末がきても
人類の終末がきても
私たちが枯れ切ることはない
今週も抜けない草を大分残して
一日が終わる
来週末は忙しくて
草取りの時間がないかもしれない
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