少年
二つの道があった
アスファルトは太陽に溶け
砂利道は埃で霞んでいた
少年は一つを選び
遠い道をずっと歩いていった
二つの空があった
アーケードは青を遮るかわりに包み
田圃の上の青はどこまでも突き抜けていた
少年は一つを選び
遠い空に羽ばたこうとさえしていた
見えたものも
聞こえたものも
足を止めずに抱えたままで
もう 振り向かないと
もう 悔やまないと
何度も 何度も つぶやきながら
それでも 少年は まだ
二つの道を覚えている
二つの空がその目に見える
そうだよ
まだ 君は
少年で いい
掲載『文芸やいづ』
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