約束の夏    
 

風を逃げて 入り江のすみ

白い船は 帆をたたんだ

そこが 確かに約束の場所と

確かめることもなく
 
 

夏は過ぎて 二度と来ない

暑い日々も 嵐さえも

岬をまわり 出てゆく船は

遠い日の 後ろ姿
 
 

   あてのない宝の地図を

   手に入れるチャンスもあった

   二度と戻らぬ港で 次の夏を約束もした
 
 

変わる季節 明日からも

感じながら 生きてゆけるだろうか

歩いてゆけるだろうか

新しい明日を信じて
 
 

   星の群 海図を頼りに

   大波を いつでも避けた

   二度と戻らぬ港の名前だけが

   かすかな記憶
 
 

歩き出して やっと気づく

もう あんなに遠くに行けはしないと

わずかな一歩だけれど

新しい明日を信じて
 
 

新しい明日を信じて
 

           作曲 長 倫生

           「時のない部屋」(長 倫生)収録
 
 

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