雑歌


踏み入れば 夢も微塵の焼け跡に まだ 生きよ と言う 青き草の芽

父といて 母といてこそ 子の時間 強く やさしく 麦のごと行く

待ち合わせに遅れた時間 ゆるやかに取り戻せそうなホテルのロビー (静岡センチュリーホテル短歌コンテスト入賞)

厳かな二人の誓いに贈られる ホテルクルーのやさしき笑顔

晴れの日に はしゃぎ走りて転ぶ子を救う ホテルの厚き絨毯

巣立つ子を祝うホテルのレストラン 家族の時代に名残惜しんで (静岡センチュリーホテル短歌コンテスト入賞)

夕景を映すホテルの高き窓 過ぎし日重ね 二人見上げる

人気なきエントランスに 明け染めし朝のホテルの息吹き感じて

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