◆日常語り編◆


第2回・へっぽこ整備士のたしなみ



MY工具がたったこれだけってどうよ?

さて。整備士ならば誰もが必ずそろえる工具ですが、元整備士の私が現在所持している工具は上の写真のものプラスその辺に転がってるドライバーセット(一般家庭にさりげなくあるようなヤツ)と、お粗末そのもの。

私の勤めていた某自動車ディーラーでは、入社時に新品の工具を支給してくれました。・・・まあ、どの工場でもそうなんじゃないかとは思いますが。しかしそれは、仕事上どうしても必要なので、「貸し出す」という形で渡されるので、当然退社時には返却しなければなりません。

ところが、仕事をするうちに、なぜか工具が減っていくのです。「なぜ?」答えは簡単、近くで作業をしている人が、手近にあった工具を使い、そのままどこかへ置き忘れてしまったりするから。支給された工具はみんな同じなので、どこへ行ったかはまったくわかりません。もちろん、自分のものであると名前を書いたりするんですが、オイルで汚れてすぐ見えなくなってしまう。工具に目立つキズをつける、という方法もありますが、それでもやはりなくなるもんはなくなるんですね。お客様の車の中に置き去りにしたまま納車してしまうこともよくあることのようです。

「会社の支給品だし?」みたいな考えがあるのでしょう、自腹を切って買った高い工具はめったになくならなかったようでした。
かくして私は、なくなったまま出てこない工具を買ってはおぎない、買ってはおぎない・・・をくりかえしていたのです。あとは自分が「これ使ったら作業が楽になるな〜」と思うものを買ったりもしました。そして退社の際、はじめに渡された工具を返却して、足りない(なくなった)ものは弁償することになりました、つまり実際は、写真の工具よりももっとたくさん持っていたんです。・・・同じ工具を何度も買ったりもしたぐらいです。

少し機械いじりの好きな方なら、写真の工具ごときではロクなことが出来ないとわかるでしょう。まあ、普段私も自分の車はエンジンとブレーキの調整くらいしかやらないのでこれで充分なのですが・・・、あまりにも中途半端なそろい方なので、「もっとキチンとそろえたい〜!!」とときどき思います。

整備士時代、同僚や先輩に人気のあった工具は「スナップオン」というものでした。これ以外は買わない、とみんなが口をそろえて言うその工具は、永久保証がついていて、破損などした場合、無料で新品ととりかえてくれる、というすごいものでした。私も例にもれず、その機能的に作られたデザインや強度に「欲しい!」と何度も思いましたが、そこはやはり、金額の方が・・・。結局私は、ホームセンターで使いやすそうなものを選んで買っていました。

ひとつ問題が生じたのはその頃です。

「スナップオン」にはブランド品のごとく、バッタモンが存在していたのです。その名も、「スタックオン」。もちろんパチモンなので、お値段の方は格安、本家スナップオンと一けたちがうものも。しかし、そんなまがい物でもスナップオンのパクリだけあってデザイン的に使いやすそうなものばかり。強度はなくとも安けりゃ買い直すのもそう抵抗はない。

・・・しかし! スタックオンは整備士にとって「それを使うぐらいなら素手でやった方がマシ」というほど持っていたら恥ずかしいものでもあったのです。私もそれを買ったら先輩たちにバカにされるとわかっていたので、それだけは買うまい、と思っていました。
そんなある日、ホームセンターに工具を探しに来ていた私は、とてもイイカンジの工具を見つけました。ちょうど写真の真ん中のあたりにある銀色のもの5本です。用途に応じてつなぎかえて使うのですが、その連結部が丸っこくできていて、狭いところでも柔軟に扱うことが出来るのです。メーカーはきいたことのないものですが、そんなものはへっぽこ整備士の私にはどうでもいいことでした。
こうして翌日、買ったばかりの工具を手に私はウキウキと作業をすすめていました。そこへ通りかかった先輩が私が見慣れぬ工具を持っているのを目にして声をかけてきました。それを手に取ってまじまじと見ていた先輩は、「これスナップオンもどきじゃん!」と言うのです。メーカーこそスタックオンでなかったにしろ、それから私は延々と「スナップオンもどき」と言われ続けるハメになってしまいました。

今はもう整備士をやめているので、ホームセンターの工具コーナーでスタックオン一式を売っているのを見るたび「今なら買っても誰もばかにしてこないし・・・」とついつい買いたい衝動にかられる私なのでした。

・・・フルセット工具箱付きで1万以内でなんてなかなかないのですよ・・・。


第1回・ホーキンスと私。


これはトレッキングシューズ。靴底がカタイのでこれでDDR(マニアック)やると地獄です。

皆さんはふだんどんな靴をはいていますか?

自分の足に合うものをはくのが一番なのでしょうが、その靴が気に入っているから、という理由ではいたりもしますよね。
私が特に気に入ってはいているのは、ズバリ!「ホーキンス」です。どこがいいのか、と問われれば、私は「はきごこちがいいから!」と答えます。

私は現在ホーキンスを3足(トレッキング・シューズ、サンダル、トラベラーシューズ)持っていますが、「トラベラー」が中でも一番のお気に入りです。これは以前私が弁当配達の仕事をしていた時に買ったものなのですが、とにかく、足が疲れない!!のです。それまではいていた靴は、毎日の配達で走り回っていたため靴底がすりへってひどいありさまだし、1日走れば足もクタクタでもうダメ〜ってカンジだったのですが、ホーキンスは違った! 同じように1日走っても足が全然疲れない。「これだァ〜ッ!」って思いました。もうホーキンスなしじゃ生きていけないわ!ってくらいに(オーバー)。

ところが、しあわせは長くは続かない。そう、悲劇は突然やってきたのです。

私は1999年の12月から、昼の仕事の他に、週に2回、夜間に立ち食いそば屋でアルバイトをはじめました。そんなある日、ちょうど店が満員御礼状態でキリキリ舞いをしていた時に(お昼時以外は常に1人で店番なのです)慌てていた私は、ラーメンのスープをこぼしてしまったのです。・・・そう、それはホーキンス様に直撃してしまったのです(泣)。翌日、私は庭で半泣きになりながらホーキンス様を洗っていました。しかし、あの、苦しい日々をともに過ごしたホーキンスの輝きがもどることはありませんでした。あのときのラーメンスープはこってりと煮詰まっていて、油が・・・油がホーキンスに染み込んでしまったのです。「さよなら、ホーキンス」・・・私は心の中で別れを告げました。しかし、どうしても捨てることは出来なかった・・・。いまでもその靴はとってあります。

あれから半年以上が過ぎ去りました。私は今、ホーキンスとは違う靴をはいています。・・・新しく買った靴は、半日歩けばもう足の裏が痛くて疲れてしまいます。やはり、あの靴こそが私の愛すべき靴だったのだな、と痛感しています。しかし、ホーキンスは薄給の私から見たら高級品で、とても手が出せません。でも、いつかきっとあの思い出の靴を・・・ホーキンスのトラベラーシューズを買おうと思っています。

ちなみに、トレッキング・シューズは普段ははいてません(まあ登山靴だし)。サンダルも、夏だけ。
→後日談・・・
買っちゃいました、ホーキンス。トラベラーです。トラベラー2000にしようかとも思いましたが「そんなミレニアム企画にゃだまされね〜ぜ!!」と考えやめました(でもちょっと惜しかったかな・・・)。ワールドウォーカーは爪先のデザインが個人的に×なので却下。



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