お ぼ ろ 月 夜

1番
   菜の花畠に 入日薄れ
   見わたす山の端 霞ふかし
   春風そよふく 空を見れば
   夕月かかりて におい淡(あわ)し
2番
   里わの火影(ほかげ)も 森の色も
   田中の小路(こみち)を たどる人も
   蛙(かわず)のなくねも かねの音も
   さながら霞(かす)める おぼろ月夜
曲の由来
作詞 高野辰之(1876〜1948)
作曲 岡野貞一(1878〜1941)

大正3年6月「尋常小学唱歌」
 日本中どこにでもある春の平均的な田園風景を思い浮かべるが、実は作詞者高野辰之が生まれ育った奥信濃の状況を生き生きと詠いこんだものである。千曲川のまわりに灯油をとるための菜の花畑が広がっていたという。