金谷宿

大井川を挟んで
右岸の金谷の宿場は
前方の谷間にある。
遠方の高い山は、
牧の原台といわれ
高い山ではない。

川の様子もだいぶ静かになった
二人、人足の肩にのる。
「お客様、目を隠しちゃ
困るよ。前が見えねえ」

「やあ、ごめんごめん」

水が深いので足がすべる。
「お客様、もう一文
出してくれなきゃ・・・
落ちそうだ」

「おい、一文出すから
ゆすぶらないでくれ・・・」

ゆすりたかりの語源は
ここからと聞く。

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