作者 松永宝蔵氏の横顔

松永宝蔵氏(大正6年生まれ)は静岡県由比町西倉沢の藤屋・望嶽亭のご主人である。
望嶽亭は江戸期の「東海道名所図会」(寛政9年・秋里離島著)に東海道筋で富士の見える茶店として紹介され多くの文人・墨客が宿泊した。
また維新前夜の動乱期に幕吏に追われた山岡鉄舟が残したという仏製ピストルが現存しているお宅でもある。

山岡鉄舟遺品の短銃を持つ松永氏

松永宝蔵氏は、生来絵画の才能があって美術学校に進みたかったが、親族の反対で家業の農業を継いだ。が平成元年、東京三越百貨店の東海道展にピストルを出品した時、描いていた「五十三次絵図」数枚も合わせて出したところ大評判を博したという。

以来書き溜めた五十三次絵図と甲州街道・塩の道を合わせて、「東海道は日本晴」を平成9年に出版した。
弥次喜多さんのユーモラスな旅姿と広重版画風の背景画、それに軽妙洒脱な文章が配され楽しい構成になっている。

瑞応寺本堂の天井画
松永宝蔵氏の作品は、静岡市小坂の瑞応寺本堂の天井画84枚もある。この作品は、禅問答絵図で悟りの過程を表現している力作である。
松永宝蔵氏は、今なお、かくしゃくと絵筆を取りつづけているが、氏の今日あるは、奥様の努力が極めて大きいという人が多いことを報告したい。



「東海道は日本晴」文・絵 松永宝蔵著 定価1800円


連絡先:静岡県庵原郡由比町西倉沢84-1
電話0543-75-3486
<編集後記>
松永宝蔵氏は、平成12年10月15日逝去されました・・・合掌。