写真、それは真の沼。
| 温水(40℃) | 750ml |
| コレクトール E - A 剤(1袋約 26g)全量使用 | |
| ├ イソアスコルビン酸ナトリウム(30-50wt%) | ← |
| ├ 亜硫酸ナトリウム(20-40wt%) | ← |
| ├ 二亜硫酸ナトリウム(10-20wt%) | ← |
| ├ テトラポリリン酸ナトリウム(1-5wt%) | ← |
| └ 臭化カリウム(5-10wt%) | ← |
| 亜硫酸ナトリウム(無水) | 83g を追加 |
| コレクトール E - B 剤(1袋約 32g)一部使用 | |
| └ 炭酸カリウム(100wt%) | 0-2g で調整 |
| 水を加えて総量 | 1000ml |
「ハイドロキノン」の替わりに「アスコルビン酸ナトリウム」を使ったフィルム用現像剤「フジドール E」の販売が終了したため、印画紙用の「コレクトール E」をアレンジして「フジドール E」に似た現像液を作ってみました。
用意するのは「コレクトール E」と「無水亜硫酸ナトリウム(無水亜硫酸ソーダ)」だけなので、単品の薬品を買いそろえて調合するよりも簡単です。
「無水亜硫酸ナトリウム」の追加分が 83g と半端なのは 1 箱 500g 入りを 6 等分したからで、正確に 83g である必要はありません。
現像速度は、「コレクトール E」 B 剤の「炭酸カリウム」の量で調整します。
フィルム用現像液に通常使われる「ホウ砂」などよりも強めのアルカリ剤なので少量で効果があり、多いとコントラストが上がります。
まったく加えなくても、現像時間を「フジドール E」より 15 %程度長めにすれば、十分な濃度のネガが得られます。
(現像時間は現像タンクの形状や、攪拌のしかたによっても異なります。)
「コレクトール E」の成分の「wt%」は「重量%」のことで、「富士フイルム - MSDS(現像液/化学薬品)- 製品安全データシート - 黒白印画紙用現像剤」で公表されています。
この MSDS は『原則として 1 %以上含有する成分を記載』なので、記載されてはいませんが微量の「フェニドン」が含まれているようです。
印画紙用現像剤の特長としてカブリ止めの「臭化カリウム」が多いため、シャドウ部の描出はやや苦手かもしれません。
現像停止液には一般的に酢酸(氷酢酸)が使われますが、臭気を嫌うときにはクエン酸で代用できます。
例えば Kodak の SB-7 処方では、水 1000ml にクエン酸 15g(フィルム用)を溶かします(印画紙用は 37g)。

NEOPAN 100 ACROS (EI 100) / Phenix MC 50mm F1.7 / Nikon COOLSCAN II
炭酸カリウム 1g(1000ml あたり) 1:1 希釈 20℃ 12 1/2 分
アレンジした「コレクトール E」でフィルム現像しています。

NEOPAN 100 ACROS (EI 100) / Pentax SMC-M 35mm F2 / Nikon COOLSCAN II
鉄道と工場のコラボレーション。

NEOPAN 100 ACROS (EI 125) / Nikkor 50mm F1.4 / Nikon COOLSCAN II
質感の違いを描き分けています。

NEOPAN 100 ACROS (EI 100) / Planar 50mm F1.4 / Nikon COOLSCAN II
グラデーションは十分です。

NEOPAN 400 PRESTO (EI 800) / Tokina 300mm F5.6 + Teleplus 2X / Nikon COOLSCAN II
1 段ぐらいなら増感もできます。

NEOPAN 100 ACROS (EI 100) / Nikkor 50mm F1.4 / Nikon COOLSCAN II
危険な沼です。
フジドール E [小型タンク現像] 富士フイルム公表値(単位:分)
| フィルム | 希釈条件 | EI | 温度 | 18℃ | 20℃ | 22℃ | 24℃ | 26℃ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ネオパン 100 ACROS (135) |
原液 | 100 | 11 | 9 | 7 1/4 | 6 | 4 3/4 | |
| 原液 | 200 | - | 17 | 14 | 11 | 8 3/4 | ||
| 1:1 | 100 | 15 | 12 1/2 | 10 1/2 | 8 3/4 | 7 1/4 | ||
| ネオパン 400 PREST (135) |
原液 | 400 | 8 1/2 | 7 | 5 3/4 | 4 3/4 | 4 | |
| 原液 | 800 | 11 | 9 | 7 1/4 | 5 3/4 | 4 3/4 | ||
| 1:1 | 400 | 9 3/4 | 8 | 6 1/2 | 5 1/2 | 4 1/2 | ||
フィルムのデータシートは「富士フイルム - 黒白フィルム」から入手できますが、最近の日本語版では「フジドール E」が削除されています。
英語版には載っています。
NEOPAN 100 ACROS [PDF1|PDF2|PDF3] / NEOPAN 400 Professional [PDF1|PDF2] / NEOPAN 1600 Professional [PDF1|PDF2] / NEOPAN SS (135) [PDF]
アスコルビン酸ナトリウム現像剤の成分 各社公表値
| (重量%) | XtolA | XtolB | フジドE | コレA | コレB |
|---|---|---|---|---|---|
| メトール | 0.1-5 | - | - | - | - |
| イソアスコルビン酸ナトリウム | - | 15-20 | 3-7 | 30-50 | - |
| 亜硫酸ナトリウム | 90-95 | 70-75 | 80-100 | 20-40 | - |
| メタ重亜硫酸ナトリウム (二亜硫酸ナトリウム) | - | 1-10 | 0.5-1.5 | 10-20 | - |
| メタホウ酸ナトリウム四水塩(コダルク) | 5.9 | - | - | - | - |
| ジエチレントリアミンNNN'N''N''五酢酸 | 1-15 | - | - | - | - |
| テトラポリリン酸ナトリウム | - | - | - | 1-5 | - |
| 臭化カリウム | - | - | - | 5-10 | - |
| 炭酸カリウム | - | - | - | - | 100 |
| 重量(参考値) | - | - | 108g | 26g | 32g |
XtolA+B Kodak XTOL(A剤+B剤 フィルム用)
フジドE 富士フイルム フジドール E(フィルム用)
コレA+B 富士フイルム コレクトール E(A剤+B剤 印画紙用)
各社の MSDS(製品安全データシート)から引用しました。
[Kodak][富士フイルム]
「フジドール E」と「コレクトール E」にはメトールの替わりにフェニドンが含まれているようですが、メトールの 1/10 程度とされるので 0.2g ぐらいでしょう。
Kodak 現像剤の成分 Kodak 公表値
| (g なしは重量%) | D-76 | KD-76 | D-72 | デクト |
|---|---|---|---|---|
| メトール | 2g | 1-5 | 3g | 1-5 |
| 亜硫酸ナトリウム | 100g | 85-90 | 45g | 30-35 |
| ハイドロキノン | 5g | 4.5 | 12g | 6.0 |
| ホウ砂 | 2g | 2.7 | - | - |
| 炭酸ナトリウム一水塩 (または無水炭酸カリウム) | - | - | 80g (67.5g) | 50-55 |
| 無水ホウ酸 | - | <1 | - | - |
| ヘキサメタリン酸ナトリウム | - | - | - | 1-5 |
| 臭化カリウム | - | - | 2g | 1-5 |
| 水を加えて総量(使用液) | 1000ml | - | 2000ml | - |
KD-76 Kodak D-76 製品版(フィルム用)
デクト Kodak デクトール(印画紙用)
Kodak の MSDS(製品安全データシート)から引用しました。
「デクトール」は D-72 ベースの印画紙用現像剤ですが、かつて D-72 は「万能現像液」として薄めてフィルム現像にも使われていました。
「写真処方便覧」(写真工業出版社 1983年)には、『フィルムの場合 1:1~2, 20℃, 3~6 分。やや硬調に現像するのに適し、D-76 に対し、暗部の描出と粒状が劣る。』と記されています。
やがて、感材や使用目的によって使い分けられるようになり、D-72 は印画紙用の標準現像液になりました。
D-72 は、表の薬品を溶かして総量 1000ml にしたものを原液とし、1:1 希釈で使用液とします。
つまり、D-76 標準使用液と D-72 標準使用液とを比較するときには、薬品の量は半分になります。
メトールは 1.5g で D-76 よりやや少なく、ハイドロキノンは 6g でやや多くなり、総じて同じぐらいの量だといえます。
富士フイルムの「フジドール」は D-76 近似の、「コレクトール」は D-72 近似の処方とされるので、両者の使用液中の現像主剤の量も同じぐらいであったろうと推測されます。
ですから、「コレクトール E」のアルカリ剤(炭酸カリウム)が別包装になっていることを利用して、亜硫酸ナトリウムの量を D-76 に近づければ D-76 に似た現像液ができ上がるのです。
ただし、臭化カリウムの量が一般的なフィルム用現像液よりも多いため、悪影響があるかもしれません。