赤かぶ検事奮戦記


テレビ朝日系 1980年10月3日 〜10月31日
金曜日 21:00〜21:54 全5回

制 作:山内 久司
プロデューサー:/大熊 邦也/奥田 哲雄/松井 洋三
音 楽:渡辺岳夫
監 督:瀬川 昌治
製作協力:京都映画株式会社
制 作:朝日放送/松竹株式会社

 

DVD-BOX  GNBD-7276


CAST

 
柊 茂 フランキー 堺

柊 春子

春川 ますみ

榊田警部補

森田 健作

岡田警部 山本 紀彦
吉沢事務官 久保 にしき
裁判長 江見 俊太郎
赤かぶ売り 松井 加容子
法眼弁護士 … 沖 雅也
 柊 葉子 … 倍賞 千恵子


第1話 父は検事,娘は弁護士

原 作:和久 峻三 『古銭はもの言わぬ証人』
脚 本:北村 篤子
ゲスト:藤木 敬士/田口 計/呉 恵美子/酒井 哲/山田 敏久/奈美 悦子
 この番組の第1シリーズに沖雅也さんが出演しているというので, DVD BOXをオークションで見つけて早速入手しましたが,この第1話には沖さん扮する法眼弁護士はまだ登場せず,『赤かぶ検事』柊検事(フランキー堺さん)と対決するのは娘の葉子弁護士(倍賞千恵子さん)です.また,沖さんが出演するのはこの第1シリーズの第2〜5話だけで,第2シリーズでは勝野洋さんが法眼弁護士を演じています.ちょうどこの時期は沖さんが『太陽にほえろ!』にスコッチ刑事として復帰したのと同時期なので,翌年の第2シリーズの頃は交通事故と体調不良のため『太陽』からも離れており,そのためのキャスティング変更だったと思われますが,実際はどうだったのでしょう?
 さて,この第1話ですが,『赤かぶ検事』の相棒役の榊田警部補に扮する森田健作氏の相変わらず過剰気味の演技が鼻についたのと,ストーリー的にはこの手のドラマでは珍しく悪役ではなかった田口計さん扮する名取医師が現場から持ち帰ってしまった古銭が果たして証拠として通用するのだろうか?という疑問が残りましたが,柊親子の法廷対決はかなり見どころがありました.そういった意味で,サブタイトルを原作と変更したのは正解だったと思います.また,被告役の藤木敬士さんはさすがにこの手の役には見事にハマっていました.

第2話 被告人,名無しの権兵衛

原 作:和久 峻三 『被告人,名無しの権兵衛』 ・ 『疑わしきは罰せよ』
脚 本:保利 吉紀
ゲスト:梅津 栄/島 米八/池田 光路/日高 久/山本 弘/邦 保/妹尾 和夫/扇田 喜久一
 『東大卒のエリートで,六法全書に手足が生えたような』法眼弁護士役の沖雅也さん登場.沖さんの弁護士役って初めて観たのですが,すっかり板についていて,やはりこの人,単なるアクション・スターではない天才俳優さんだったと思います.本当に惜しい人を亡くしたとは思いますが,この人の老けた姿は見たくなかったので,残酷なようですが,あの早逝は正解だったとも思うのです.
 さて,この第2話ですが,やはり被告役の梅津栄さんの怪演が見どころでした.2人の芸達者な名優の陰に隠れて,早くも榊田警部補役の森田健作さんの存在感が希薄になってしまっていて,ちょっと気の毒です.

第3話 小糸坂の白骨

原 作:和久 峻三 『小糸坂の白骨』
脚 本:吉田 剛
ゲスト:天野 新士/杉江 廣太郎/西山 辰夫/海老江 寛/寺下 貞信/山口 朱美/はりた 照久/和久 峻三/赤座 美代子
 この話では初めて『赤かぶ検事』の『好敵手』法眼弁護士役の沖雅也さんと,『相棒』榊田警部補役の森田健作さんのからみがちょっとだけですが観られます.このお二人,競演が結構多いのですが,どうしても演技力の差が目に付いてしまって,森田さんちょっと気の毒です.
 さて,この第3話ですが,原作が良くできているだけに,傑作ぞろいのこのシリーズの中でも,特に面白く観させていただきました.但し,これって違法捜査なのでは? 姉妹役の山口朱美さんと赤座美代子さん,途中まで同一人物が演じているのか?と思ってしまいました.でもよく観るとこのお二人,あまり似ていないのよね? キャスティングの妙を感じます.

第4話 呪いの紙草履

原 作:和久 峻三 『呪いの紙草履』
脚 本:北村 篤子
ゲスト:飛鳥 裕子/長谷川 弘/山村 弘三/松田 明/香野 なつみ/美鷹 健児/小泉 泉/松尾 勝人/長門 勇
 今回は最初から事件の現場に『赤かぶ検事』が居合わせるという珍しい話.最初,紙草履による呪いによる殺人を扱っているので,刑法上の『不能犯』をテーマにした話かと思ったのですが,その捜査と並行して起こる別の事件がサブストーリーではなく,メインストーリーとなっているややこしい話で,結局今回は法廷のシーンはなく物語は決着を見ないまま終わってしまいます.沖さん扮する法眼弁護士はストーリーの最後の方で登場し,『赤かぶ検事』ならびに榊田警部補とのからみが1シーンずつ見られますが,『赤かぶ検事』に対して放つ台詞「人間の心の中の者を法律で規制することは絶対にできません」が,この物語を通じての作者の主張となっています.森田健作さん扮する榊田警部補とのからみでは,法眼弁護士の方が若干年上であるような感じを受けますが,沖さん相変わらず老け役を演じさせられているのね?

第5話 うごめく蝸牛

原 作:和久 峻三 『蝸牛庵の遺産』
脚 本:吉田 剛
ゲスト:日高 徹夫/河野 実/吉本 真由美/北見 唯一/岩井 友見
 シリーズ第1シーズン最終話は,法眼弁護士が被害者の財産管財人となってしまっているため,第1話同様,柊茂検事 VS 柊葉子弁護士の親娘対決となり,なんと法眼弁護士のみならず榊田警部補も葉子を手助けし,最終的に敵である『赤かぶ検事』までが救いの手を差し伸べるという,ヒューマニズム溢れるというより,なんかおめでたい話になってしまっています.これでいいのか? 多分良いのでしょう.というわけで,法眼弁護士に扮する沖さんはところどころに出てきて,各キャラクターとのからみが観られますが,物語が佳境に入ってからは存在感薄くて残念でした.