Della's Website 小さな恋のものがたり

小さな恋のものがたり

日本テレビ系 1972年7月8日～1972年9月30日
毎週土曜日　19:30～20:00 放映　森永製菓提供

プロデュース：岡本俊次／加賀義二
原作：みつはしちかこ
脚本：松木ひろし／市川森一／重森孝子
監督：井上芳夫／野崎貞夫／後藤秀司
音楽：玉木宏樹
製作：国際放映／ユニオン映画

DVD　BFTD-0368

CAST

小川チイコ（チッチ） …	岡崎友紀
村上ツトム（サリー） …	沖雅也

小川修一郎（パパ） …	下條正巳
小川花子（ママ） …	文野文子
大川友子（トンコ） …	笠井としみ
山下一郎 …	赤塚真人
大井里子 …	奈美悦子
大井健一 …	林ゆたか

小松ルミ …	隅田和世
西ミドリ …	田代美恵子
夏目哲子 …	松谷紀代子
村上ユリ …	荒牧啓子
岸本純 …	里見潤
とみ …	菅井きん

…	石田太郎
…	高林由紀子
…	宮野涼子
…	加瀬麗子
…	小野恵子
…	野村けい子
…	上野祐子
…	梶正昭
…	山尾範彦
…	立石幸
…	藤村泰介　（以上２回以上出演）

詩の朗読 …	沢井孝子

第１回　いつかだれかと
監　督：井上芳夫脚　本：松木ひろしゲスト：目黒幸子／福岡正剛／村山妙子／新倉文男
視聴率不振で打ち切られた前番組『だから大好き』については，原作コミックを読んだことがなかったので，何の先入観もなくドラマの世界に入っていくことができたため，全く違和感なくその世界観を楽しむことができたのですが，この『小さな恋のものがたり』については，中学生のころちょっと原作を読んだことがあったので，あのほわ～っとした雰囲気がドラマで再現できるのか危惧しておりました．果たして，この第１回を観た限りにおいては，あの頃隆盛を極めていた学園ドラマの乗りで，主人公チイコを演じている岡崎友紀さんも原作のチッチとは全く違うキャラなので，危惧していたことが的中した感じで，はっきり言って期待外れの作品でした．ところで，前番組に続いて岡崎さんのお父さん役の下条正巳さんは，前作では第１回のみの登場でしたが，今回はほとんど毎回出演しています．バイ・プレイヤーが気になるでらちゃんは，この第１回では石田太郎さん，福岡正剛さんのお姿を見つけることができました．

第２回　はじめてのデート
監　督：井上芳夫脚　本：市川森一ゲスト：桑波田いずみ／DJ 土居まさる
前作ではゲストで１回出演していた赤塚真人さんは，沖さんの親友・山下君役でレギュラー出演．この回ではとんでもないことをやらかしていますが，これってはっきり言って犯罪では？

第３回　恋はどこから？
監　督：井上芳夫脚　本：市川森一ゲスト：平川美津子／小海とよ子
担任の先生役で高林由紀子さん登場．この方，『バーディ大作戦』，『太陽にほえろ！』，『俺たちは天使だ！』で印象に残る役柄を演じていたので，今回すぐに『み～つけたっ！』って感じでした．『太陽』でジーパン刑事（松田優作さん）のお母さん役だった菅井きんさんは，実はスコッチ刑事の下宿のおばさんだったという意外な事実．ところで，この回のチイコの行動は完全なストーカー，現代だったらタイホされています．

第４回　チッチとサリー
監　督：井上芳夫脚　本：松木ひろしゲスト：小栗一也
憧れの村上君を追ってついに那須高原にまで来てしまったチイコ．ここまでのストーリーの展開と主人公のキャラクターがあまりにも騒々しいので，正直なところこの作品に失望しかけていたのですが，この回でやっと原作の持つメルヘンチックな世界に近づいたようで一安心しました．

第５回　赤いピエロのお月さま
監　督：井上芳夫脚　本：市川森一ゲスト：
しかしながら，このドラマでのチッチは，原作よりもかなりラディカルな性格のような気がします．今回はストーカー行為に親友のトンコを巻き込んだ挙句，サリーについていきたいという不純な動機で演劇部入部テストを受け，そして裏磐梯の合宿へ．妄想癖があって，周りの迷惑を考えず思いのままに行動するチッチもかなり分裂的ですが，それに付き合っている周囲の人間もかなりヘンです．『赤い月』って『狂気』を連想させるワードですが，そういう意味のタイトルなのかしら？

第６回　風のうた花のうた
監　督：野崎貞夫脚　本：重森孝子ゲスト：江戸家子猫／永尾英彦
サリーがお見合い？　周囲の無責任な噂に惑わされ，妄想が頂点に達するチッチ．方やそれを取り巻くトンコと山下君はいい雰囲気に．前番組『だから大好き！』に続いて江戸屋子猫さんがゲスト出演していますが，何で出てきたのかよくわからん役柄です．単なる顔見せでしょうか？

第７回　あなたのふるさとへ
監　督：野崎貞夫脚　本：重森孝子ゲスト：福田トヨ／織賀邦江／中村俊一
その挙句に，サリーの実家にまで押しかけてしまい，ご両親とご対面するチッチ．２人を家に泊めるわけにいかないからとホテルに送り出した後で，公開するサリーのご両親もかなりヘンです．結局サリーの妹のユリ（荒牧啓子さん）がチッチと一緒の部屋に泊まるのですが，本人の台詞にもうかがわれるとおり，この人このドラマの出演人物の中では唯一の常識人みたいです．

第８回　恋の夏休み
監　督：野崎貞夫脚　本：市川森一ゲスト：
優しく物分かりの良いチッチの両親も実はサリーの両親以上におかしな人たちでした．今回はチッチの家をサリーが訪れることになるのですが，やはりスラップスティックでシュールな展開が繰り広げられます．少しメルヘンチックにセミのお墓を作って，狂気の夏休みが終わるのでした．

第９回　涙のとなりのほほえみ
監　督：野崎貞夫脚　本：市川森一ゲスト：中川加奈／水谷豊／斉藤光正／稲村亮治／三浦誠／宮田弘子
ゲストの中川加奈さんと水谷豊さんが，見事にステレオタイプの不良を演じていますが，沖さんと水谷さんの共演って珍しく，多分初めて観ました．他にもあるのかしら？

第10回　すれちがった心
監　督：野崎貞夫脚　本：市川森一ゲスト：
前番組『だから大好き！』では１回ゲスト出演していた里見潤さんが，赤塚真人さんに続いてこの回からレギュラー出演し，わりと重要な役柄を演じています．記憶にない俳優さんだったので調べてみたのですが，あまり知られていない方みたいで，見つかりませんでした．この頃からチッチとサリーとの間に秋風が吹き始め，物語が佳境に入っていくのですが，前半で観られたチッチの積極的な行動も影を潜め，実は打たれ弱い性格である感じを岡崎さんが見事に演じていました．

第11回　たそがれに別れを
監　督：後藤秀司脚　本：重森孝子ゲスト：大和田伸也
教育実習生のミナミ（南？）先生役の大和田伸也さんがゲスト，担任のアズマ（東？）先生役の高林由紀子さん再登場．ここで描かれている先生と生徒の交流とか，現在だと問題視されそう．

第12回　秋風の忘れた涙
監　督：後藤秀司脚　本：市川森一ゲスト：
クラスメートの美人で演劇部の西ミドリがサリー獲得を狙っていよいよ戦闘モードに入り，物語は佳境へ．チッチのライバルを憎々しげに演じている田代美恵子さんという女優さん，ちょっと気になったので調べてみたのですが，やはりあまり知られていない女優さんみたいでした．ところで『さぼてんとマシュマロ』，『だから大好き！』，そしてこの『小さな恋のものがたり』とシリーズが進むにつれて，沖さんの演じるキャラクターがおとなしくなっていくような印象を受けたのですが，その分とくにこのシリーズでは，沖さんの表情による演技が素晴らしかったと思います．

第13回　遠い思い出の恋人たち
監　督：井上芳夫脚　本：市川森一ゲスト：九段吾郎／田川恒夫／野村昭子
いよいよ大団円？　ミドリの母親役で野村昭子さんが，前番組『だから大好き！』に続いて強力なゲスト出演．で気づいたのですが，この２シリーズでレギュラーの下条正巳さんとゲストの野村さん．『太陽にほえろ！』ではゴリさんこと石塚誠刑事（竜雷太さん）の父親と母親を演じてました．シリーズ後半に入ってから，チッチの性格がおとなしくなり，以前のようなスラップスチックな展開も久しく観られなかったのですが，この回後半の学園祭ファイヤーストームのシーンはこれまでになくシュールでした．で，結局２人のわだかまりは解けたものの，チッチは四国へ行ってしまうので結局離れ離れになってしまうわけで，ハッピーエンドとはほど遠い，なんともすっきりしない結末でした．実はこの DVD を観終わった後しばらくして原作が初連載から42年の歳月を経て終了したらしいのですが，やはりこれ以上に後味のよろしくない終わり方だったらしく，それをある意味このドラマのラストは予見していたのかも？