Columbo
刑事コロンボ


放映:
 USA NBC 1968・1971〜1978年
 JPN NHK 1972 〜1979年

製作総指揮:
 フィリップ・ザルツマン

出演:
 ピーター・フォーク(小池 朝雄)

 

DVD BOX


TV Movie

殺人処方箋 PRESCRIPTION : MURDER 

USA : 1968年2月20日
JPN : 1972年8月27日
原作・脚本 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督・製作 : リチャード・アーヴィング
音楽 : デイヴ・グルーシン
ゲスト : ジーン・バリー(若山 弦蔵)/キャスリーン・ジャスティス(高島 雅羅)/ニナ・フォック(谷 育子)/ウィリアム・ウィンダム(寺島 幹夫)
 記念すべき第1作ですが,シリーズ化される以前の単発作なので,オープニングが他の作品とは異なっています.この作品を初めて観たのは,NHK で最初のシリーズ放映をしていた途中で,時折再放送を取り混ぜながら毎週放映していたのですが,その再放送だったと思います.ですから,犯人役のジーン・バリーさんの吹き替えは砂川哲郎さんだったと思います.またこのエピソードは.それまで観ていたシリーズとは雰囲気が違っていてちょっと違和感感じました.さてストーリーですが,完全犯罪を目指すのなら絶対に単独犯でなければならない,これに尽きると思います.まず,犯行現場に現れた共犯者のジョーン(キャスリン・ジャスティスさん)の服装が目立ちすぎていて,この共犯者が犯人のウィークポイントであることを暗にほのめかしています.ですが,ここでのコロンボの捜査ですが,共犯者を恫喝したり,容疑者をペテンにかけたり,はっきり言ってかなりアンフェア.ミステリーとしては,あまり評価できない作品にしあがってしまってます.素朴な疑問,「腎臓の形をしたテーブル」って? あちらではよく使われる表現なのかしら?


Pilot Version

死者の身代金 RANSOM FOR A DEAD MAN
USA : 1971年3月1日
JPN : 1973年4月22日
脚本・製作 : ディーン・ハーグローブ
原案 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督・製作総指揮 : リチャード・アーヴィング
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ
ゲスト : リー・グラント(山東 昭子)/ハーラン・ウォード(水島 晋)/パトリシア・マティック(上田 みゆき)/ハロルド・グールド(北村 弘一)
 シリーズ化のためのパイロット版として製作.オープニング・クレジットがシリーズ化されてからの作品とは微妙に違っています.犯人を演じたリー・グラントさんは,この作品でエミー賞にノミネートされていますが,このパイロット版に女性の犯人を設定したことによってエピソードの幅を広げ,シリーズ化されるドラマの可能性を広げる役割を担っています.また,エピソードの内容は,前作同様コロンボのペテンに犯人がひっかかってしまうわけですが,今回は犯人側ではなくコロンボが共犯者を使うという前作とは逆のパターンで,やっぱり意識してこういう内容にしたのだと思われます.あと,今回の音楽はビリー・ゴールデンバーグさんに替わっていますが,これがすごくいいです.ラストでコロンボが注文する『グレープ・ジュース』は本当は『ルートビア』なのですが,この頃においては日本ではあまり知られていない飲み物だったため替えられたんでしょうね.


1st Series

構想の死角 MURDER BY THE BOOK
USA : 1971年9月15日
JPN : 1972年11月26日
脚本・ストーリー監修 : スティーヴン・ポチコ
監督 : スティーヴン・スピルバーグ
製作 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ
ゲスト : ジャック・キャシディ(田口 計)/マーティン・ミルナー(堀 勝之祐)/ローズマリー・フォーサイス(野口 ふみえ)/バーバラ・コルビー(林 洋子)
 で,シリーズ第1作.オープニング・クレジットもこの作品から,"Peter Falk as COLUMBO" から始まるパターンになります.監督はあのスティーヴン・スピルバーグ.やはりテレビ映画だった『激突!』で評価を得る直前の作品でした.まず冒頭のシーン,作品を執筆する被害者のタイプライター,全部大文字でタイプする作家ってあちらでは結構存在するのか? 素朴な疑問を感じました.ラスト,犯人に対してコロンボ曰く,「第1の犯行は素晴らしかった.しかし,第2の犯行はお粗末だった」.ちょっと待って,第1の犯行もかなりずさんな計画のもとに行われていたような気がします.最初被害者を車に待たせてオフィス内を荒らすシーンで,もし被害者が部屋に戻ってきたらどう申し開きするつもりだったのか?と気になりました.実はこれがやはり伏線になっていて,別荘に向う途中立ち寄ったドラッグストアで再度車に待たせていた被害者を店の女主人に見られてしまい,第2の犯行をせざるを得ない状況に陥ってしまうわけですが,実はこの第1の犯行も犯人が自分で考えたものだったという,考え方によっては二重のオチとなっていたような気がします.エピソード内に出てくる,犯人と被害者の共著がなんと第1作のタイトルと同じ『殺人処方箋』.

指輪の爪あと DEATH LENDS A HAND
USA : 1971年10月6日
JPN : 1973年1月21日
脚本・製作 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督 : バーナード・L・コワルスキー
ストーリー監修 : スティーヴン・ポチコ
音楽 : ギル・メレ
ゲスト : ロバート・カルプ(梅野 泰靖)/パトリシア・クローリー(池田 昌子)/レイ・ミランド(横森 久)/ブレット・ハルゼイ(阪 脩)
 この回,なんといっても犯行後の犯人の眼鏡に殺人の後始末をする犯人自身の姿を映しこむ演出が印象に残っていました.また,コロンボが白バイ警官に免許証を提示するシーン,容疑者の手相を見ると称して指輪を確認するシーン等,伏線がちりばめられたレヴィンソン&リンクによる無駄のない脚本作りが素晴らしかったと思います.また,名優レイ・ミランドさんが被害者の夫役で犯人とコロンボを繋ぐ重要な役割を演じています.今回も,コロンボの捜査法は暴走気味で,犯人をペテンにかけるやり方は事件解決のためとはいえあまり褒められたものではないと思いますが,実はこの主人公の隠された陰湿さがシリーズの魅力となっていることも確かなのです.

ホリスター将軍のコレクション DEAD WEIGHT
USA : 1971年10月27日
JPN : 1972年9月24日
脚本 : ジョン・T・デュガン
監督 : ジャック・スマイト
製作 : エヴァレット・チェンバース
製作総指揮 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
ストーリー監修 : スティーヴン・ポチコ
音楽 : ギル・メレ
ゲスト : エディ・アルバート(久松 保夫)/スザンヌ・プレシェット(鈴木 弘子)/ジョン・カー(中曽根 雅夫)/ケイト・レイド(高橋 和枝)
 前回に続いて計画殺人ではなく,しかも今回は目撃者までいるという設定で,犯人がいかにその悪条件をクリアしていくのかが最大の見どころとなっているエピソード.退役軍人である犯人が目撃者を懐柔するためレディ・キラーを演じそれが半ば成功してしまうという,考えてみるととんでもなく現実離れしたストーリーですが,全く可笑しさ不自然さを感じさせないのは,犯人ホリスター将軍役のエディ・アルバートさんの演技力の妙だと思います.この方,『ローマの休日』の新聞記者役で有名な名優さんですが,でらちゃんにとってはTVシリーズ『華麗な探偵ピート&マック』のマックのおじさんの方が印象に残っています.エピソードそのものは,目撃者ヘレン(スザンヌ・プレシェットさん)を間に挟んでの将軍とコロンボの心理戦に重きが置かれているので,謎解きミステリーとしては地味な作りの回となってしまっています.ラストのヘレンの台詞「私が掴む男ってカスばっかり」,将軍がちょっと気の毒になりました.

二枚のドガの絵 SUITABLE FOR FRAMING
USA : 1971年11月17日
JPN : 1972年10月22日
脚本 : ジャクソン・ギリス
監督 : ハイア・ヴァ―バック
製作 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
ストーリー監修 : スティーヴン・ポチコ
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ
ゲスト : ロス・マーティン(西沢 利明)/ロザンナ・ハフマン(杉山 佳寿子)/キム・ハンター(関 弘子)/ドン・アメチ(八奈見 乗児)/ジョアン・ショーリー(麻生 美代子)/ヴィク・タイバック(西尾 徳)
 シリーズをここまで観てきて思ったことですが,完全犯罪を目指すならばやってはいけないことが二つあります.第1は共犯者を使うこと(『殺人処方箋』).第2は第2の殺人を犯すこと(『構想の死角』).そして今回のエピソードは犯人がその禁じ手を2つとも行ってしまっているので,どのようにそれらをクリアするかが最大の見どころでした.そしてわかったのが第3の禁じ手.他人に罪をな擦りつけようとしても失敗します.エピソードそのものは,ドラマの始まりから殺人までの時間がシリーズ最短である他,共犯者のトレイシー(ロザンナ・ハフマンさん)が拳銃を撃って警備員を呼び寄せておきながら裏口から走って逃げだしたり,犯人が被害者の前妻エドナの家で警察が駆け付ける直前に証拠物件のドガの絵をクローゼットに隠したり,コロンボ自身も犯人の運んできた絵に無理やり手を触れて指紋をつけたり,胃が痛くなるようなギリギリの瞬間にストーリーのポイントが作られる展開で,すごくスリリングなエピソードだったと思います.エドナ役のキム・ハンターさんは『猿の惑星』シリーズの猿の女性科学者.犯人役のロス・マーティンさんは見た目は若いのですが,実はピーター・フォークさんよりも年上で,師匠に当たる方だったみたいです.声を西沢利明さんが演じてますが,これは後にロバート・ボーンさんがシリーズで犯人役を演じることがこの時点では多分まだわかっていなかったため,起用されたのではないかと思われます.

もう一つの鍵 LADY IN WAITING
USA : 1971年12月15日
JPN : 1972年12月17日
脚本・ストーリー監修 : スティーブン・ポチコ
原案 : バーニー・スレイター
監督 : ノーマン・ロイド
製作 : エヴァレット・チェンバース
製作総指揮 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ
ゲスト : スーザン・クラーク(小沢 紗季子)/リチャード・アンダーソン(小林 恭治)/レスリー・ニールセン(柴田 昌弘)/ジェシー・ロイス・ランディス(鈴木 光枝)
 被害者である犯人の兄に『バイオニック・ジェミー』のゴールドマン局長を演じていたリチャード・アンダーソンさん,事件のカギを握る犯人の恋人ピーター役にレスリー・ニールセンさんと,ゲスト陣が豪華なエピソード.ただし,ストーリーそのものはちょっと???が残る作品です.この犯人,多分これまでの犯人の中で一番おバカさんです.事件の前後で華麗なる変身を遂げますが,これ,完全犯罪を目指す場合は一番やっちゃいけないことだし,警察官を見下しながらもその存在におびえ,ヒステリックになって一番大切にしなくてはならない味方となるべき人物に愛想をつかされてしまう等,完全犯罪をもくろむにしてはあまりにも考えなさすぎ.そのおバカさんで傲慢な犯人をスーザン・クラークさんが見事に演じてますが,逆にコロンボ自身はラストにおいて自らの推論の証明をピーターに頼らざるを得ない等,ちょっと説得力と力強さに欠けるキャラとなってしまっているのが残念なエピソードでした.

死の方程式 SHORT FUSE
USA : 1972年1月9日
JPN : 1973年3月18日
脚本 : ジャクソン・ギリス
監督 : エドワード・M・エイブロムス
製作 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
ストーリー監修 : スティーブン・ポチコ
音楽 : ギル・メレ
ゲスト : ロディ・マクドウォール(野沢 那智)/ジェームズ・グレゴリー(大木 民夫)/アイダ・ルビノ(麻生 美代子)/アン・フランシス(翠 準子)/ローレンス・クック(飯塚 昭三)/ウィリアム・ウィンダム(村瀬 正彦)
 実はこのロディ・マクドウォールさん,とてもお気に入りの俳優さんなのですが,この時期この作品と前後して,『ポセイドン・アドベンチャー』,『ヘルハウス』,ノー・クレジットですが『ダーティメリー・クレイジーラリー』等の作品に出演していました.バイ・プレイヤーとしての領分をわきまえた演技に徹した俳優さんとしては他の追随を許さない方だったと思います.そして,それらの作品以上に強烈な印象を残したのが実はこの作品の犯人役でした.また,エピソード自体も,爆殺という特異性,コロンボのトリック,そしてクライマックスのスリリングな余韻等,強烈な印象を残す作品だったと思います.というわけで,追加発注による急作りのシナリオに難があり,一般的にはあまり評価の高くない作品のようですが, 個人的にはシリーズ初期の作品の中では最も好きなエピソードです.また,野沢那智さんの軽妙(軽薄?)な演技も特筆すべきだと思います.

パイルD-3の壁 BLUEPRINT FOR MURDER
USA : 1972年2月9日
JPN : 1973年2月25日
脚本・ストーリー監修 : スティーブン・ポチコ
原案 : ウィリアム・ケリー
監督 : ピーター・フォーク
製作 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
音楽 : ギル・メレ
ゲスト : パトリック・オニール(川辺 久造)/フォーレスト・タッカー(勝田 久)/ジャニス・ペイジ(中西 妙子)/パメラ・オースティン(山崎 左度子)
 第1シーズン最終作にしてピーター・フォーク監督作ですが,実は第1シーズン中に1本監督する約束を撤回されたフォーク氏が,追加発注された『死の方程式』に出演することを条件に許可されたといういわくつきの作品だったらしいです.エピソード自体は殺人の場面が描かれていないため,途中まではいわゆる『死体なき殺人』であり,こういう場合に殺人課の刑事がここまで捜査を進めることができるのか?という素朴な疑問が残りますが,そのまま死体の発見がクライマックスとなる展開はかなり強烈な印象を残しました.しかしながら,物語の途中で血染めの帽子が発見されたり,死体を運ぶ際に犯人の車が高速道路上でパンクしたりといった場面は,確かに物語をスリリングなものにする効果はあったと思いますが,余計な部分でもあったようにも思えました.あともうひとつ,タイトルは原題の方が良かったと思うのですが….


2nd Series

黒のエチュード ETUDE IN BLACK
USA : 1972年9月17日
JPN : 1973年9月30日
脚本 : スティーブン・ポチコ
原案 : リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督 : ニコラス・コラサント
製作 : ディーン・ハーグローヴ
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ジョン・カサヴェテス(阪 脩)/アンジャネット・カマー(有馬 瑞香)/ブライス・ダナー(寺田 路恵)/マーナ・ロイ(麻生 美代子)/ジェームズ・オルソン(野島 昭生)/ドーン・フレイム(冨永 みーな)/ジェームズ・マクイーチン(笹岡 繁蔵)/マイケル・フォックス(今西 正男)
 第2シリーズ1作目.犯人役のジョン・カサヴェテスさんは,どちらかというと映画監督が本業でTVシリーズのゲスト出演は異例のことだったらしいですが,ピーター・フォークさんの親友だったためこのシリーズに出演したらしいです.エピソード自体は,ミステリーとしては二線級であるものの,犯人とその妻の葛藤を描いた心理ドラマとしては,かなりの傑作であると思います.ただ気になったのは,あれだけ厳しい理事長が支配するオーケストラで,リハーサルとはいえタバコを吸いながら指揮を執る犯人の姿にはかなりの違和感を感じてしまいました.でも何よりも,初登場のコロンボの”ドッグ”がいいです.

悪の温室 THE GREENHOUSE JUNGLE
USA : 1972年10月15日
JPN : 1973年5月27日
脚本 : ジョナサン・ラティーマ
監督 : ポリス・セイガル
製作 : ディーン・ハーグローヴ
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : オリヴァー・ネルソン
ゲスト : レイ・ミランド(臼田 正明)/ブラッドフォード・ディルマン(山田 康雄)/サンドラ・スミス(坂口 美奈子)/ボブ・ディシー(石丸 博也)/アーレン・マーテル(小山 茉美)/ウィリアム・スミス(屋良 有作)
 第1シーズン『指輪の爪あと』で被害者の夫であり,エピソードのキーパーソンとなる人物を演じたレイ・ミランドさんが,今回は犯人役で再登場.コロンボが初めて殺人の犯行前に登場したり,やはり初めて助手役のウィルソン刑事(ボブ・ディシーさん)がついたりと,これまでのパターンとは変化が見られるエピソード.ですが,物語前半における最も大きな疑問点「なぜ誘拐事件なのに殺人課のコロンボが引き続き捜査を行っているのか?」をウィルソン刑事に提議させておきながら答えを出さない等,開き直りとも思えるシナリオの難点が目立つ作品でもあります.さらに解決編に至っては,コロンボがその描写はありませんがこのエピソードの最大のキーパーソンである被害者の元秘書グロリア(アーレン・マーテルさん)を利用して,被害者の妻を犯人にしたてるよう真犯人に工作させるわけですが,一歩間違えばグロリアが真犯人に殺されてしまったいたわけで,そうなったらコロンボはどのように申し開きするつもりであったのか?などと素朴な疑問を感じてしまいました.

アリバイのダイヤル THE MOST CRUCIAL GAME
USA : 1972年11月5日
JPN : 1973年6月24日
脚本 : ジョン・T・デュガン
監督 : ジェレミー・ケイガン
製作 : ディーン・ハーグローヴ
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ロバート・カルプ(梅野 泰靖)/ディーン・ストックウェル(森 功至)/スーザン・ハワード(武藤 礼子)/ディーン・ジャガー(真木 恭介)/ヴァル・アヴェリー(塩見 竜介)/ジェームズ・グレゴリー(富田 耕生)/ヴァレリー・ハーパー(荒砂 ゆき)
 ゲストのロバート・カルプさんは2度目の犯人役ですが,眼鏡をはずしてヒゲを蓄えただけで,全く違ったキャラクターを見事に演じています.またエピソードもこのシリーズには珍しく,ミステリーの王道ともいえる『アリバイ崩し』ですが,「録音されていないはずの音が録音されているのではなく,録音されていなければならない音が録音されていない」という逆ロジックを使ったシナリオ構成が見事です.イブ役のヴァレリー・ハーパーさんは日本ではあまり知られていませんが,エミー賞受賞4回の他,1975年のヘイスティ・プディング賞ウーマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた女優さんで,ここではやはりお気に入りの女優さん荒砂ゆきさんが吹き替えを担当しています.

ロンドンの傘 DAGGER OF THE MIND
USA : 1972年11月26日
JPN : 1973年7月29日
脚本・ストーリー監修 : ジャクソン・ギリス
監督 : リチャード・クワイン
製作 : ディーン・ハーグローヴ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : リチャード・ペイスハート(高橋 昌也)/オナー・ブラックマン(岸田 今日子)/ジョン・ウィリアムズ(辻村 真人)/ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(松村 彦次郎)/バーナード・フォックス(西田 昭市)/アーサー・マレット(矢田 稔)/ジョン・フレイザー(納谷 六朗)
 シリーズ初の海外ロケですが,ロンドン空港,スコットランド・ヤード,ピッグペン,タワーブリッジ等の名所に加えて,シェイクスピア劇場,ろう人形館,『不思議の国のアリス』,執事,そして傘といった様々な名物がドラマの重要なモチーフとなっている贅沢な創りのエピソードであっただけに,最も重要なモチーフである『ロンドンの傘』をそのまま日本語タイトルにしてしまったのはちょっと残念でした.また,犯人が『マクベス夫妻』を演ずる舞台俳優夫妻というのも凝ったシチュエーションで,脚本の余裕のある遊び心を感じさせられましたが,一転して犯人の一方が発狂してしまうという衝撃的なラストにはかなり陰湿で強烈な印象を与えられました.今回のコロンボ警部は第1シーズンの『指輪の爪あと』同様,悪ガキ時代の特技を悪用したひっかけ捜査で,それを黙認している刑事部長ともども非難されても仕方のないことやってます.

偶像のレクイエム REQUIEM FOR A FALLING STAR
USA : 1973年1月21日
JPN : 1973年8月26日
脚本・ストーリー監修 : ジャクソン・ギリス
監督 : リチャード・クワイン
製作 : ディーン・ハーグローヴ
ゲスト : アン・バクスター(藤波 京子)/メル・ファーラー(小山田 宗徳)/ピッパ・スコット(牧野 和子)/ケヴィン・マッカーシー(家弓 家正)
 このシリーズにおいて,犯人が『第2の殺人』をせざるを得ない状況に陥ったエピソードは,『構想の死角』と『ロンドンの傘』があり,それぞれの作品ではその『第2の殺人』こそが犯人にとって致命的なミスとなってしまっていましたが,今回のストーリーは最初に行われた殺人こそがその『第2の殺人』であったという,めちゃ凝った創りになっています.また,犯人ノーラ・チャンドラーのキャラクターが演じるアン・バクスターさんのそれと見事にシンクロしていることも,この作品を魅力的なものにしていると思います.コロンボが犯人に対して好意的な態度をとった最初の例としても,印象の深いエピソードでした.それにしても盗癖のある『カミさん』とは早く別れた方がいいのでは? 今回は何故か "Music by"のクレジットがありませんでしたが,音楽誰だったのかしら? ちなみにこれが多分最初にしっかり観た『刑事コロンボ』のエピソードだと思います.

溶ける糸 A STITCH IN CRIME
USA : 1973年2月11日
JPN : 1973年10月28日
監督 : ハイ・アヴァ―バック
脚本 : シリル・ヘンドリックス
製作 : ディーン・ハーグローヴ
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ
ゲスト : レナード・ニモイ(天田 俊明)/アン・フランシス(翠 準子)/ウィル・ギア(巌 金四郎)/ニタ・タルボット(佐原 妙子)/ジャレッド・マーティン(津嘉山 正種)
 1974年6月8日にNHK総合TVで放映されたこのエピソードが,初めてTVで観た『刑事コロンボ』のエピソードなのですが,正確に言うとTVを観ていたのは家族で,本人は確か何か他のことやってて聴いていただけでした.但し,その時聴いたドラマのストーリーがすごく面白そうだったので,次週6月15日に放映された『偶像のレクイエム』からは,放映されるエピソードを毎回観るようになりました.ですから,このエピソードに関しては,でらちゃんにとって『コロンボ』初体験のエピソードでありながら,しっかり画面上で観たのはDVDを入手してからということになります.さて内容ですが,都合3回の殺人(うち1回は未遂)が行われるというのはシリーズ最多なのですが,しかも本来の目的である第1の殺人は結果として未遂に終わり,第1の殺人の露見を防ぐために行われた第2の殺人によって警察(コロンボ)が介入し,警察の目をそらすために第3の殺人が行われ,最終的に第1の殺人を未遂に終わらせることによって犯行が露見してしまう,という凝りに凝ったストーリー展開は,シリーズのなかでも1・2を争うスリリングなエピソードでした.また,犯人役に『スター・トレック』のMr. スポック役のレナード・二モイさんを起用,しかも犯人メーフィールド医師がMr. スポックのパロディーとなっているという凝りようには絶句してしまいました.いろんなところで高く評価されているエピソードですが,確かに最高傑作のひとつだと思います.

断たれた音 THE MOST DANGEROUS MATCH
USA : 1973年3月4日
JPN : 1973年11月25日
脚本・ストーリー監修 : ジャクソン・ギリス
原案 : ジャクソン・ギリス/リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
監督 : エドワード・M・エイブラムス
製作 : ディーン・ハーグローヴ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト:ローレンス・ハーヴェイ(小笠原 良知)/ジャック・クリューシェン(松村 彦次郎)/ハイディ・ブリュール(来路 史圃)/ロイド・ボクナー(宮田 光)/マシアス・レイツ(嶋 俊介)/マイケル・フォックス(今西 正男)
 ”ドッグ”2度目の登場にして大活躍? なんで犯行現場に犬を連れてきたのかよくわかりませんが,結果としてそれが事件を解決に導いたのですから,殊勲大です.最初このエピソードを観たときはコロンボが犯人にわざと補聴器をはずさせるトリックに感心しましたが,45年経ってみると,これって相手が障害者であることを利用したトリックなので,決して褒められたことではないのです,あと,容疑者をレストランに食事を理由に誘っておきながら,「2・3分で済みますから」って何が2・3分で食べられるというのか? 今考えると,あまりよくできたエピソードじゃないような気がします.

二つの顔 DOUBLE SHOCK
USA : 1973年3月25日
JPN : 1973年12月23日
脚本 : スティーブン・ポチコ&ピーター・アラン・フィールズ
原案・ストーリー監修 : ジャクソン・ギリス
監督 : ロバート・バトラー
製作 : ディーン・ハーグローヴ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : マーティン・ランド―(滝田 裕介)/ポール・ステュワート(杉田 俊也)/ジャネット・ノーラン(文野 朋子)/ティム・オコーナー(保科 三良)/ジェリー・ニューマー(清水 良英)
 ミステリーでは『禁じ手』ともいわれる『双生児ネタ』に真正面から取り組んだ作品.そのトリックはともかく,第2の殺人が行われた時点において,登場人物の男性がすべて悪人であったことが露見する,非常にフェミニズムに富んだエピソード?です.殺されてしまったリサ(ジュリー・ニューマーさん)も気の毒ですが,何よりも可哀そうなのは被害者・加害者のすべてに献身的でかつコロンボを毛嫌いしていたペック夫人(ジャネット・ノーランさん)で,そのことがコロンボに同情的になりがちな視聴者にとってある意味カタルシスになっているという二重に不憫なキャラクターでした.エピソードそのものに関しては,兄弟が20回以上も電話で連絡を取り合っていたという視聴者に提示されていない情報でコロンボの疑惑が確定的モノになる等,ちょっとアンフェアな部分があるため,正直なところあまり高く評価はできません.


3rd Series

毒のある花 LOVELY BUT LETHAL
USA : 1973年10月7日
JPN : 1974年6月29日
脚本・ストーリ監修 : ジャクソン・ギリス
監督 : ヤノット・シュワルツ
製作 : ダグラス・ベントン
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ヴェラ・マイルズ(伊藤 幸子)/マーティン・シーン(伊武 雅之)/ヴィンセント・プライス(三田 松五郎)/シアン・バーバラ・アレン(芝田 清子)/フレッド・ドレイバー(高桐 真)
 第3シリーズ第1作.犯人役にヴェラ・マイルズさん,被害者役にマーティン・シーンさん,そしてヴィンセント・プライスさんという魅力的なキャストですが,それぞれのキャラクターが中途半端にしか描かれていないので,ちょっと不満が残りました.ストーリーそのものも,ここのところ多くなった『第2の殺人』がストーリー的にはあまり必要ないのではないかという疑問が残り,またコロンボの推理の決め手となった証拠物件に関しても少し解りづらい等,少々残念なエピソードでした.

別れのワイン ANY OLD PORT IN A STORM
USA : 1973年10月7日
JPN : 1974年6月29日
脚本 : スタンリー・ラルフ・ロス
原案 : ラリー・コーエン
監督 : レオ・ペン
製作 : ロバート・F・オニール
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ドナルド・プレザンス(中村 俊一)/ゲイリー・コンウェイ(加茂 嘉久)/ジュリー・ハリス(大塚 道子)/ジョイス・ジルソン(北島 マヤ)
 『偶像のレクイエム』同様,コロンボが犯人に共感を示すエピソードで,また余韻を残すラストシーンで非常に評判の高い作品ですが,ミステリーとして観た場合,それほどの名作とは思えないエピソードです.まず,『指輪の爪あと』や『毒のある花』と同様激情に駆られた犯人による犯行で,前2者と違うのは殴打による即死ではなく,息のある犯人を閉じ込めておくことによって自らのアリバイを作るという犯人のトリックが最大のポイントでありながら,気温の変化によってそれが失敗に終わるというシチュエーションがちょっとお粗末すぎはしないか? ワイン愛好家である犯人がそのような状況を全く予測しなかったというのは,あまりに迂闊な感じがして納得できません.やはりこのシリーズにおいては,知的な犯人による巧妙な計画殺人がさえない刑事のコロンボによって暴かれていくというのが醍醐味であって,激情犯シリーズはどうしても二線級の感じです.

野望の果て CANDIDATE FOR CRIME
USA : 1973年11月4日
JPN : 1974年8月17日
脚本 : アービング・パールバーグ&アルビン・R・フリードマン/ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
原案 : ラリー・コーエン
監督 : ポリス・セイガル
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ジャッキー・クーパー(中谷 一郎)/ケン・スウォフォード(槍田 順吉)/ジョアン・リンヴィル(稲野 和子)/ティシャ・スターリング(津田 京子)/ロバート・カーネス(藤本 譲)/レジス・コーディック(北村 弘一)
 このシリーズに度々見られる,犯人がせっかくの殺人はうまくやっておきながら,自分への疑いをそらすために余計な工作をして,自ら墓穴を掘ってしまうパターンですが,その中でも特にお粗末というか,すごーく危ない橋を渡っていながら,その必然性が全く感じられないケースでした.また,この候補者,どう考えてもアルコホーリクではないかと思われるのですが,キャラクター設定に無理があるような気がします.

意識の下の映像 DOUBLE EXPOSIVE
USA : 1973年12月16日
JPN : 1974年8月10日
脚本 : スティーブン・J・キャネル
監督 : リチャード・クワイン
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ロバート・カルプ(梅野 泰靖)/ロバート・ミドルトン(小瀬 格)/チャック・マッキャン(三宅 康夫)/ルイーズ・ザラム(幸田 弘子)
 ロバート・カルプさん3度目の犯人役ですが,この方,本当に小道具の使い方が上手な俳優さんだと思います.第1シーズンの『指輪の爪あと』では眼鏡をかけた探偵社社長,第2シーズンの『アリバイのダイヤル』ではヒゲを蓄えたフットボール・チームのゼネラル・マネージャー,そしてこの第3シーズンでは素顔でインテリの意識研究所所長と,全く性格の異なるキャラクターを見事に演じ分けています.この時点では犯人役単独最多出演俳優でしたが,残念ながらこれが最後の登場となってしまいました.さて,このエピソード,日本語タイトルだけ見ると単なるサブリミナル効果を使用した犯罪という印象を与えられがちですが,コロンボがそれを逆手にとって,しかも自分の写真を使って犯人を罠にかけるという,ひねりにひねった結末が秀逸だったと思います.

第三の終章 PUBLISH OR PERISH
USA : 1974年1月18日
JPN : 1974年12月14日
脚本 : ピーター・S・フィッシャー
監督 : ロバート・バトラー
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ
ゲスト : ジャック・キャシディ(田口 計)/ミッキー・スピレーン(柴田 秀勝)/ジョン・チャンドラー(橋爪 功)/マリエット・ハートレー(公卿 敬子)/ジャック・オーブション(小林 清志)/アラン・ファッジ(岡部 政明)
 こちらは第1シーズンの『構想の死角』に次いで2度目の犯人役のジャック・キャシディさん.前作が推理作家で,今回が編集者という違いはありますが,小説関連の職業という点では一致している職業なので,でらちゃんずいぶん長い間前作とこの作品を混同して記憶していました.また,今回のこの作品の被害者を演じているのがハードボイルド作家のミッキー・スピレーン氏であったり,爆弾マニアが出てくる話なので,当初の放映予定が当時起きた爆弾事件のために延期になったり,混同していた割にはいろんなことで印象に残っている作品でもありました.今回40数年ぶりに観直してみて,そのプロットの複雑さ,ミステリーとしての素晴らしさに改めて感銘を受けました.まずは,飲酒時のブラックアウトが通常はアリバイを証明できないことを逆に利用する犯人のトリックがなんといっても凄いの一言につきるのですが,物語の解決編ではそれ以上の逆トリックを用いたコロンボがあっさりと犯人を罠にかけるという,シリーズの醍醐味を感じさせるエピソードだったと思います.個人的には前にも書いた通り,音楽や映像作品に日本語独自のタイトルつけるのってあまり好きじゃないんですが,この『第三の終章』に関しては名タイトルだと思ってます.

愛情の計算 MIND OVER MAYHEM
USA : 1974年2月10日
JPN : 1974年8月31日
脚本 : スティーブン・ポチコ&ディーン・ハーグローブ&ローランド・キビー
原案 : ロバート・スペクト
監督 : アルフ・ケリン
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ホセ・フェラー(鈴木 瑞穂)/リュー・エヤーズ(真木 恭介)/ロバート・ウォーカー(原田 大二郎)/ジェシカ・ウォルター(谷口 香)/リー・H・モンゴメリー(手塚 学)/アーサー・バタニデス(渡部 猛)
 シンクタンクを舞台に繰り広げられるこのお話,スティーブン・スペルバーグなんて名前の天才少年が出てきたり,その少年が作ったロボットが映画『禁断の惑星』に出てくるロビィだったり,シナリオの遊びがふんだんに観られるわりと好きなエピソードですが,肝心のストーリーはどうかというと,車でひき殺して強殺に見せかけるなどというあまりにもバレバレの偽装工作を頭のいい犯人が行という設定からして,あまり褒められた出来ではないです.また,犯人を自白に導くコロンボのやり口も,ニセの証人まで用意して犯人の息子にぬれぎぬを着せようとするなどでっちあげもいいとこで,いつにもまして汚い,完全に違法捜査の域に達していて,やはり褒められたものではないのです.それにしても日本語タイトルの『愛情の計算』って,あまりにもひどすぎるのでは?

白鳥の歌 SWAN SONG
USA : 1974年3月3日
JPN : 1974年9月21日
脚本 : デヴィッド・レイフェル
原案 : スタンリー・ラルフ・ロス
監督 : ニコラス・コラサント
製作 : エドワード・K・ドッズ
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ジョニー・キャッシュ(外山 高士)/アイダ・ルビノ(麻生 美代子)/ボニー・ヴァン・ダイク(戸部 光代)/ジョン・デナー(小林 修)/ビル・マッキ二ー(伊武 雅之)/ソレル・ブーク(大山 豊)/ダグ・ダークソン(立壁 和也)
 カントリーの大御所ジョニー・キャッシュが犯人役を演じているというので,すご〜く楽しみにして観た記憶がありますが,期待を裏切られることなく,シリーズ中最高のエピソードでした.まず何よりも,犯行が練りに練った計画殺人,しかも犯人自ら操縦する飛行機を墜落させるという,シリーズ中最も意表をついた殺害方法で,しかも目撃者が絶対に存在しえない殺害方法であるという点でも,すご〜く出来の良いミステリーだったと思います.終盤で初めてコロンボが敗北を認めかけたエピソードは,これがシリーズ初めてのことでしたが,ラストにおける見事などんでん返しが印象的でした.また,犯人が決して激情にかられることもなく,共犯者を使うようなおバカさんなことはせず,冷静に無駄のない犯行を行っていくわけですが,どいういわけかそれにも関わらず視聴者の共感を呼ぶようなキャラクターで,それが『偶像のレクイエム』,『別れのワイン』に続いて,コロンボの犯人に対する共感という形で表現されているエピソードでした,ひとつだけ疑問が残ったのは,普通片脚を骨折した人間が自分で車を運転していたら疑問に感じる人がいるだろうし,それくらいの事この犯人だったら当然考えていそうな気がするのですが?

権力の墓穴 A FRIEND IN DEAD
USA : 1974年5月5日
JPN : 1974年10月5日
脚本 : ピーター・S・フィッシャー
監督 : ベン・ギャザラ
製作 : エドワード・K・ドッズ
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ビリー・ゴールデンバーグ&ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : リチャード・カイリー(北村 和夫)/マイケル・マクガイア(山本 勝)/ローズマリー・マーフィ(白坂 道子)/ヴァル・アヴェリー(金井 大)/ジョン・フィネガン(和田 啓)/エリック・クリスマス(杉田 俊也)
 この第3シーズン,終盤に傑作が続きます.コロンボの上司が犯人のこの話,前作『白鳥の歌』に次ぐお気に入りのエピソードです.正直言って,この犯人のトリックは大したものではないし,それよりも何よりも共犯者の存在や,自ら事件に必要以上に関わりあう等,正直言って欠陥だらけの計画犯罪で,ただその権力によってその捜査を封じ込めるという点でコロンボにとっては非常にやりにくい相手であるだけですが,しかしながら,一方その状況下で犯人を陥れるコロンボ側のトリックは,文書偽造をするなど相変わらずアンフェアなものではありますが,シリーズ中最も大掛かりでかつ効果的なものだったと思います.しかもこちらも本職のドロボウさんを共犯者にするというおまけつき.コロンボに協力するドロボウさんアーティ(バル・アべリィさん)の吹き替えはお気に入りの俳優さん金井大さんですが,コロンボの小池朝雄さんとの掛け合いが絶妙でした.「女を2人も殺すなんざ,俺たちまともな泥棒の面汚しだ!」,「その通り!」.


4th Series

自縛の紐 AN EXERCISE IN FATALITY
USA : 1974年9月15日
JPN : 1975年12月27日
脚本 : ピーター・S・フィッシャー
原案 : ラリー・コーエン
監督 : バーナード・L・コワルスキー
製作 : エドワード・K・ドッズ
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ロバート・コンラッド(日下 武史)/フィリップ・ブランズ(雨森 雅司)/コリン・ウィルコックス(藤野 節子)/グレッチェン・コルベット(三田 和代)/パット・ハリントン(寺島 幹夫)
 このエピソードから第4シーズン.第2シーズンの『溶ける糸』以来久々にコロンボ警部の犯人に対して怒りの感情をぶつける姿が見られますが,それ以前にも,事件関係者のデータを打ち出してもらう際のイライラした様子など,コロンボ氏の意外と気の短い性格が窺うことのできるエピソードです.エピソードそのものは比較的オーソドックスな創りの倒叙ミステリの佳作だと思いますが,とても残念なことに露骨なネタバレの日本語タイトルがそれを台無しにしてしまっています.

逆転の構図 NEGATIVE REACTION
USA : 1974年10月6日
JPN : 1975年12月20日
脚本・ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー
監督 : アルフ・チェリン
製作 : エヴァレット・チェンバース
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : ディック・ヴァン・ダイク(新田 昌玄)/アントワネット・バウアー(阿部 寿美子)/マイケル・ストロング(緑川 稔)/ジョイス・ヴァン・パタン(加藤 道子)/ヴィト・スコッティ(近石 真介)/ジョアンナ・キャメロン(中島 葵)/ドン・ゴードン(野島 昭生)
 極めてオーソドックスな作りだった前作から一転して,複雑な犯行を描いたエピソード.犯人は2件目の殺人を行うのですが,犯行に気づいた第三者を殺した『構想の死角』や,共犯者を始末した『第三の終章』とは異なり,あくまで計画的に自分の犯行をなすりつけるために利用した第三者を殺す,というこれまでにないパターンを打ち出したのが見事なエピソードだったと思います.日本語タイトルの『逆転の構図』も,前作のようなネタバレタイトルではなく,ダブルミーニングを持つ非常によくできたタイトルだったと思います.ラストの犯人を自白に導くコロンボのトリックも.相変わらず姑息ですが,見事に決まったシーンが印象的でした.修道会における浮浪者や自動車運転免許試験官への聞き込みのシーンなど,ギャグも冴えわたっているエピソードでもありました.

祝砲の挽歌 BY DAWN'S EARLY LIGHT
USA : 1974年10月27日
JPN : 1976年1月10日
脚本 : ハワード・バーク
監督 : ハーヴェイ・ハート
製作 : エヴァレット・チェンバース
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : パトリック・マクグーハン(佐野 浅夫)/トム・シルコックス(堀 勝之祐)/マーク・ウィーラー(作間 功)/バール・ドゥベニング(徳丸 完)/マデリーン・ソーントン・シャーウッド(高橋 和枝)/ブルース・カービィ(杉田 俊也)
 旧シリーズ全45話における犯人役ゲストの最多出演者は,第1・2・3シーズンに出演したロバート・カルプさんと,第1・3・5シーズンに出演したジャック・キャシディさんで各3話に出演していますが,ロバート・カルプさんがシリーズから去った後,代わって登場したのがパトリック・マクグーハンさんで,旧シリーズ・新シリーズ合わせて全69話の中では単独トップの4話に出演しております.さて,このエピソードですが,何といってもコロンボが犯人をトリックでひっかけるのではなく,あくまで正攻法の推理で犯人を攻めていくのが特徴的で,かつ見ごたえのあるエピソードだったと思います.

歌声の消えた海 TROUBLED WATERS
USA : 1975年2月9日
JPN : 1976年1月3日
脚本 : ウィリアム・ドリスギル
原案 : ジャクスン・ギリス&ウィリアム・ドリスキル
監督 : ベン・ギャザラ
製作 : エヴァレット・チェンバース
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ロバート・ヴォーン(西沢 利明)/ブピ・ボカー(中村 晃子)/ジェーン・グリア(寺島 伸枝)/ディーン・ストックウェル(上田 忠好)/バーナード・フォックス(西田 昭市)/ロバート・ダグラス(塩見 竜介)/パトリック・マクニ―(柳生 博)/スーザン・ダマンテ(沢田 敏子)
 犯人ダンジガー(ロバート・ヴォーンさん)がいつもの西沢利明さん,船長(パトリック・マクニ―さん)が柳生博さん,被害者ロザンナ(プピ・ボカーさん)が中村晃子さん,容疑者ロイド(ディーン・ストックウェルさん)が上田忠好さん,声優陣に個性派俳優さんが勢ぞろいしています.エピソードの方はバンドの休憩時間を利用した,殺害して病室に戻るタイムリミットギリギリのアリバイ工作,しかも誰かに見つからないのが奇跡的な冒険王的殺害計画,犯行前後の自分の体調を看護師に記録されることを全く意に介さない無頓着さ,コロンボの挑発に乗ってやらなければよい事後工作をして自らの嫌疑を徹底的にした挙句,証拠の指紋が自分のものであることを認めたうえで,絶対言い訳のできない状況に自分を追い込んでしまいながらの最後の悪あがき,この犯人さん,決して頭良くないです.

ビデオテープの証言 PLAYBACK
USA : 1975年3月2日
JPN : 1976年12月11日
脚本 : デビッド・P・ルイス&ブッカー・T・ブラッドショー
監督 : バーナード・L・コワルスキー
製作 : エヴァレット・チェンバース
製作総指揮 : ローランド・キビー&ディーン・ハーグローブ
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : オスカー・ウェルナー(山田 吾一)/マーサ・スコット(佐々木 すみ江)/ジーナ・ローナンズ(二階堂 有希子)/ロバート・ブラウン(佐々木 功)/パトリシア・バリー(曽我 町子)/トリシャ・ノーブル(沢田 敏子)
 ゲストのオスカー・ウェルナーさん,オーストリア出身の名優さんで,これが唯一のTV出演だったらしいですが,残念なことに吹き替えの山田吾一さん,雰囲気が全く損なわれてしまってます.他の声優さんはこの作品も,二階堂有希子さん,佐々木功さん,曽我町子さんと,個性的な方々が揃っているだけに残念でした.エピソードの方は,まだビデオがあまり普及していない時代だったからミステリーとして成り立った作品で,現代ではこんな話,だ〜れも作ろうとしないだろ〜ね.さらに『黒のエチュード』の二番煎じだし….

5時30分の目撃者 A DEADLY STATE OF MIND
USA : 1975年4月27日
JPN : 1976年12月18日
脚本・ストーリー監修 : ピーター・F・フィッシャー
監督 : ハーヴェイ・ハート
製作 : エヴァレット・チェンバース
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : ジョージ・ハミルトン(小林 勝彦)/レスリー・アン・ウォーレン(渋沢 詩子)/スティーヴン・エリオット(大平 透)/カレン・マックホン(北村 昌子)/ブルース・カービィ(杉田 俊也)/ジャック・マニング(宮田 光)/フレッド・ドレイパー(永井 一郎)/ウィリアム・ウィンターソール(増岡 弘)
 盲目の目撃者をモチーフとしたこのエピソード,現在だとやっぱり障害者蔑視の観点から敬遠されるのかしらね? コロンボのトリックもあまり褒められたものではないし,第2の殺人に関しては立証をあきらめちゃってるし,あまり歯切れのよいエピソードではないです.犯人がコロンボに作ったクリーム・ソーダが怪しすぎます.


5th Series

忘れられたスター FORGETTEN LADY
USA : 1975年9月14日
JPN : 1977年1月3日
脚本 : ウィリアム・ドリスキル
監督 : ハーヴェイ・ハート
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽 : ジェフ・アレキサンダー
ゲスト : ジャネット・リー(鳳 八千代)/サム・ジャッフェ(巌 金四郎)/ジョン・ペイン(小林 昭二)/モーリス・エヴァンス(浮田 佐武郎)/リンダ・スコット(火野 捷子)
 犯人である『忘れられたスター』グレースを演じるジャネット・リーさんはこの当時48歳.ちょっと気の毒なような気がします.エピソードの方は,多分これが刑事コロンボ最初の敗北.犯人を指摘しながらも逮捕に至らなかったのは,これが初めてのことだと思います.となると,勝者は当然自らの犯行を忘れてしまったグレースではなく,すべてを知ってあえて自ら身代わり犯人を名乗り出たネッド・ダイアモンド氏(ジョン・ペインさん).小林昭二さんの控えめながら感情のこもった声の演技が見事にはまっていました.あと,一ヵ所気になったのが,被害者が読んでいた本の折り目がなかったことに関するコロンボ氏の見解.自殺直前に折り目をつけずに本を閉じていることに不自然さを指摘していますが,自殺前に本を読み終えてしまった可能性もありますし,あるいは逆に自殺直前に折り目をつけることの方がず〜っと不自然なような気もするのですが?

ハッサン・サラーの反逆 A CASE OF IMMUNITY
USA : 1975年10月12日
JPN : 1976年12月25日
脚本 : ルー・ショウ
原案 : ジェームズ・メンティス
監督 : テッド・ポスト
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : ヘクター・エリゾンド(井上 孝雄)/サル・ミネオ(宗近 晴見)/アンドレ・ローレンス(木原 正二郎)/ケネス・トビー(松下 達雄)/エニーナ・グラトス(三浦 真弓)/バリー・ロビンス(坂部 文昭)
 外交官特権という最も国家警察が苦手とする存在に対し,それを逆手に取って犯人逮捕に導いたコロンボのトリックはシリーズの中でもかなりの優れもの.ま,虎の威をかりているんだけどね.そして,かさに着た外交官特権を過大視しすぎたばかりに,自らの犯行を警察相手に暴露してしまったこの犯人は多分シリーズでも1・2を争うおバカさんです.そして,頼りなさそうに登場し,ラストで警察では太刀打ちできない犯人を毅然と断罪する若き国王(バリー・ロビンスさん)のキャラがいいです.また被害者2のサル・ミネオさんは,翌年本当に殺害されてしまいました.

仮面の男 IDENTITY CRISIS
USA : 1975年11月2日
JPN : 1977年9月24日
脚本 : ウィリアム・ドリスキル
監督 : パトリック・マクグーハン
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : パトリック・マクグーハン(佐野 浅夫)/レスリー・ニールセン(家弓 家正)/デヴィッド・ホワイト(早野 寿郎)/オーティス・ヤング(渡部 猛)/ブルース・カービィ(杉田 俊也)/ヴィト・スコッティ(相模 太郎)
 パトリック・マクグーハンさん二度目の登場.しかも今回は監督やってます.レスリー・ニールセンさんも二度目の登場.しかも今回は被害者役です.とにかくスパイがらみの話って解りづらくてでらちゃん苦手なんですが,この話もこのシリーズの中では超ややこしい部類に入ります.ラストのコロンボのジョーク,ポーカーと麻雀の賭けの比喩も最初はなんだかさっぱりわかりませんでした.ただ,最初にこのエピソードを観たとき,ラジオのニュースで中国のオリンピック不参加のニュースが流れていたのと,コロンボに犯人が麻雀の名称を教えるシーンが妙に耳に残っていたので,テープに残された証拠についてはすぐに理解することができました.でもいくら犯人だからって,ハゲ呼ばわりは失礼だと思います.

闘牛士の栄光 A MATTER OF HONOR
USA : 1976年2月1日
JPN : 1977年10月1日
脚本 : ブラッド・ラドニッツ
原案 : ラリー・コーエン&ブラッド・ラドニッツ
監督 : テッド・ポスト
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : リカルド・モンタルバン(庄司 永建)/ペドロ・アルメンダリス・Jr.(新 克利)/ロバート・カリカート(高塔 正康)/A・マルティネス(立沢 雅人)/エミリオ・フェルナンデス(雨森 雅司)
 今回の凶器はなんと『牛』.そして犯行の証拠は出そろっていたものの,犯人の動機が不明という珍しいケース.日本語タイトルの『闘牛士の栄光』よりも原題の『名誉の問題』の方がエピソードの本質を上手に表現した名タイトルだと思います.犯行の動機が明らかになった後,犯人が黙って去っていくまでの,コロンボと犯人が無言のうちにお互いを理解し合う姿,演出が見事でした.

魔術師の幻想 NOW YOU SEE HIM
USA : 1976年2月29日
JPN : 1977年12月31日
脚本 : マイケル・スローン
監督 : ハーヴェイ・ハート
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : ジャック・キャシディ(田口 計)/ネヘミア・パーソフ(立川 雄三)/ボブ・ディシー(野本 礼三)/ロバート・ロッギア(草薙 幸二郎)
 ジャック・キャシディさん3度目のゲスト出演.この翌年火災事故で亡くなってしまったそうです.今回の役柄はマジシャンで,箱抜け奇術『水中の幻想』を得意とするという設定ですが,これって吹き替えの田口計さんが,1960年代に円谷プロの『怪奇大作戦』第1話『壁ぬけ男』で演じた役柄そのままなので,それ故の配役かと思いましたが,ジャック・キャシディさんが1度目の犯人役を演じた『構想の死角』は1971年の作品であり,このエピソードはまだ影も形もなかったはずなので,全くの偶然ということになります.魔術師の娘の名前が Della で,声はモンスリーの吉田理保子さん.その恋人で歌手のダニーの声はハーロックの井上真樹夫さんということで,当時アニメにはまっていたでらちゃんにとっては,特に親しみを感じているエピソードです.

さらば提督 LAST SALUTE TO THE COMMODORE
USA : 1976年3月2日
JPN : 1977年10月8日
脚本 : ジャクソン・ギリス
監督 : パトリック・マクグーハン
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ピーター・S・フィッシャー&ビル・ドリスキル
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : ロバート・ヴォーン(西沢 利明)/ジョン・デナー(小林 修)/ダイアン・ベイカー(水野 久美)/フレッド・ドレイパー(佐藤 英夫)/ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(松村 彦次郎)/ジョシュア・ブライアント(鈴木 泰明)/スーザン・フォスター(松金 よね子)/ジョセフ・ロマン(加藤 修)/デニス・デュガン(玄田 哲章)/ブルース・カービィ(杉田 俊也)
 これまでは物語の冒頭で殺人が行われ,その後の犯人の動きとコロンボとの接触が描写され,ラストに犯行が明らかになるという倒叙形式によるエピソードでしたが,今回は殺人の描写がなく,犯人と目された容疑者(ロバート・ヴォーンさん)も物語の中盤で殺されてしまい,最後にコロンボが真犯人を指摘するといった,シリーズ初の試みである本格推理モノとなっています.それにしてもコロンボの車のシーンといい,船上に移ってからのシーンといい,コロンボさんが容疑者さんの肩に手を回したり,必要以上に接近したりまとわりつくのが,なんだか異様な雰囲気を醸し出していました.あと容疑者の妻で被害者の娘を演じていたダイアン・ベイカーさんのアルコホーリクぶりと,そのブラックアウトが事件の謎を深くしているという内容の脚本が印象に残りました.


6th Series

ルーサン警部の犯罪 FADE IN TO MURDER
USA : 1976年10月10日
JPN : 1977年12月17日
脚本 : ルー・ショウ&ピーター・S・フィーブルマン
原案 : ヘンリー・ガルソン
監督 : バーナード・L・コワルスキー
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ビル・ドリスキル
音楽 : バーナード・セイガル
ゲスト : ウィリアム・シャトナー(山城 新伍)/ローラ・オルブライト(岩崎 加根子)/アラン・マンソン(稲垣 省三)/バート・レムゼン(宮川 洋一)/ティモシー・ケリー(鈴木 泰明)
 ここから第6シーズンですが,実はこのあたりからTV放映時には観ていなくて,DVD-Box Set を購入してから初めて観たエピソードがほとんどです.さて,このエピソード,ゲストが『スター・トレック』カーク船長役のウィリアム・シャトナー,しかも日本語吹き替えは山城新伍さんというキャスティングで,役柄が『TVシリーズで名警部役を演じるスター俳優』,さらにその犯人が警部役を演じながらコロンボととともに本人の犯人説を論じ合うという,メチャお遊びに満ちた脚本となっています.それ故遊び過ぎの感があり,肝腎のミステリー・テイストが希薄になってしまっているのが残念です.

黄金のバックル OLD FASHIONED MURDER
USA : 1976年10月10日
JPN : 1977年12月17日
脚本 : ピーター・S・フィーブルマン
原案 : ローレンス・ヴァイル
監督 : ロバート・ダグラス
製作 : エヴァレット・チェンバース
ストーリー監修 : ビル・ドリスキル
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ジョイス・ヴァン・パタン(加藤 道子)/ティム・オコーナー(加藤 和夫)/セレステ・ホルム(堀越 節子)/ジニー・バーリン(中島 葵)/ピーター・S・フィーブルマン(樋浦 勉)
 二人の男性を相撃ちに見せかけて殺す女性犯人による殺人という,シリーズ中でも最もサスペンスに満ちたエピソードですが,惜しむらくはミステリーとして観た場合,あまりにも弱い.灯りのスイッチに関する見え見えの伏線といい,腕時計の日付に関するロジックといい,さらには拳銃による殺人に関して必ず問題となる硝煙反応について全く触れられていない点といい,どちらかというと物語の構築よりも雰囲気を味わうべき作品だと思います.

殺しの序曲 THE BYE-BYE SKY HIGH I. Q. MURDER CASE
USA : 1976年11月28日
JPN : 1977年12月24日
脚本 : ロバート・マルコム・ヤング
監督 : サム・ワナメイカー
製作 : リチャード・アラン・シモンズ
音楽 : ボブ・プリンス
ゲスト : セオドア・バイケル(田中 明夫)/ソレル・ブーク(高木 均)/サマンサ・エッガー(横山 道代)/キャロル・ジョーンズ(岡本 茉莉)/トッド・マーティン(立壁 和也)
 第6シーズン最終作にしてシリーズ第40作目のこのエピソードが実は最終回となる予定だったらしいですが,シリーズは継続され結局第7シーズン計45作目まで作られました.冒頭の殺人の場面における犯人と被害者のやり取り,どう考えても超天才ではなくおバカさん同士の会話にしか思えない….クライマックス,コロンボの挑発に乗って自ら犯行のポイントを暴露してしまう犯人,やっぱりおバカさんです.ストーリーそのものよりも.超天才少女キャロライン,犯人のちょっとヘンな妻ヴィヴィアン,秘書ジョージのこれもかなりおかしなガールフレンド,そして怖〜いウエイトレスと個性的な女性キャラがいっぱい出てきたのが楽しいエピソードでした.


7th Series

死者のメッセージ TRY AND CATCH ME
USA : 1977年11月22日
JPN : 1978年4月8日
脚本 : ジーン・トンプソン&ポール・タッカホー
原案 : ジーン・トンプソン
監督 : ジェームズ・ブローリー
製作 : リチャード・アラン・シモンズ
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト:ルース・ゴードン(南 美江)/チャールズ・フランク(松橋 登)/マリエット・ハートレー(桧 よしえ)/G・D・スプラッドリン(内藤 武敏)/ジェローム・ガーディノ(上田 敏也)/マリー・ジャクソン(川越 夏子)
 で,ここから最終第7シーズン.今回の犯人は多分シリーズ最高齢と思われる女性推理作家アビゲイル・ミッチェル(ルース・ゴードンさん).だからというわけではありませんが,綱渡りのような犯行を行った挙句,証拠となる車のキーを咄嗟に灰皿の砂の中に隠し,それを秘書ヴェロニカ(マリエット・ハートレーさん)に見つかってゆすられたり,そのキーを自分が見つけたと証してコロンボに犯行時にはそこになかった事を指摘されたり,とにかく隙だらけの犯行でありながら確定的な証拠が見つけられないまま迎えたクライマックス,犯人の目の前で動かぬ証拠のダイイング・メッセージ,しかも犯人を名指したものをコロンボが発見するという,スリリングなエピソードでした.

美食の報酬 MURDER UNDER GLASS
USA : 1978年1月30日
JPN : 1978年5月27日
脚本 : ロバート・ヴァン・スコイク
監督 : ジョナサン・デミ
製作 : リチャード・アラン・シモンズ
音楽 : ジョナサン・タニック
ゲスト:ルイ・ジュールダン(金内 吉男)/マイケル・V・ガッゾ(藤岡 重慶)/シェラ・デニス(田島 令子)/マコ(原田 一夫)/ラリー・D・マン(雨森 雅司)/アンソニー・デルダ(徳丸 完)/トッド・マーティン(増岡 弘)
 この最終シーズンですが,これまでにない殺害方法が行われていて,前回の金庫における窒息死に続いて,今回は初の毒殺,しかも和食のフグの毒を使うというユニークな方法による殺害.というわけで立証が難しい犯罪なので,その毒殺トリックをメインにストーリーは進行していきます.つまり,アリバイ・クイボノといったミステリーにおける大きな要素よりも,その実行に焦点が当てられており,犯人であることの証明は,その実行方法を証明する以外に方法がないという状態.ラストで往生際の悪い犯人にコロンボ自身が生命を脅かされるというのは,『もう一つの鍵』以来ですが,この点にもこのエピソードの特徴的な点が表れていると思います.

秒読みの殺人 MAKE ME A PERFECT MURDER
USA : 1978年2月28日
JPN : 1979年1月2日
脚本 : ロバート・ブリーズ
監督 : ジェームズ・ブローリー
製作 : リチャード・アラン・シモンズ
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : トリッシュ・ヴァン・デヴァ―(寺田 路恵)/ローレンス・ラッキンビル(森川 公也)/パトリック・オニール(黒沢 良)/レイニー・カザン(大橋 芳枝)/ジェームズ・マクイーチン(加藤 修)/ジェローム・ガーディノ(増岡 弘)
 日本語タイトル通り,犯人のアリバイ・トリックがメインのスリリングなエピソードですが,それにしてもjこのシリーズの犯人たちは,なぜこうもギリギリのアリバイ作りの計画を立てたがるのか? 素朴な疑問を感じます.フィルムを利用したトリックとしては,『意識の下の映像』,『忘れられたスター』に次いで3度目のエピソードなので,ちょっと目新しさに欠けるような気がしてしまいました.また,女性犯人のキャラが『もう一つの鍵』の犯人のキャラに近く,ともに犯人側のドラマがよく描かれていたのが特徴的なエピソードではあるものの,その分ミステリーとしては二線級的な感じになってしまっていたのは残念だったと思います.

攻撃命令 HOW TO DIAL A MURDER
USA : 1978年4月15日
JPN : 1979年1月4日
脚本 : トム・ラザラス
原案 : アンソニー・ローレンス
監督 : ジェームズ・ブローリー
製作 : リチャード・アラン・シモンズ
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : ニコール・ウィリアムソン(平田 昭彦)/ジョエル・ファビアニ(寺島 幹夫)/キム・キャトラル(宗形 智子)/トリシア・オニール(藤 夏子)/フランク・アレッター(宮内 幸平)
 このシリーズに登場してきた数々の殺人者たちの中で,個人的に一番許せないのがこのエピソードの犯人です.罪のない動物たちを殺人の道具に使っては絶対にいけません! トリックそのものはコロンボ警部も『簡単な事件でした』と言っていた通り大したものではなく,ミステリーとしては並以下の出来でしたが,解決編に至って,コロンボが犬たちの処分中止を嘆願したついでに,犬たちを訓練しなおして『攻撃命令』を無効なものにしてしまう,というストーリーの展開は素晴らしいものだったと思います.そんな意味で,最終的にはわりと好きなエピソードです.

策謀の結末 The Conspirators
USA : 1978年5月13日
JPN : 1979年1月3日
脚本 : ハワード・バーク
原案 : パット・ロビソン
監督 : レオ・ペン
製作 : リチャード・アラン・シモンズ
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : クライヴ・レヴィル(納谷 悟朗)/アルバート・ポールセン(灰地 順)/ジャネット・ノーラン(中村 たつ)/バーナード・ベーレンス(仁内 達之)/マイケル・ホートン(西岡 徳美)/L・Q・ジョーンズ(大泉 滉)
 シリーズ最終エピソード.今回は大量の武器の密輸とそれにまつわる殺人の二重のミステリーですが,正直言って殺人の方はそれほどのトリックも使われていないし,解決への手掛かりとなったウィスキーのラベルのメッセージはこじつけ臭いし,犯人の癖に関しては最初から見え見えで,あまり感心しなかったのですが,もう一つの武器をいかにして船に積み込むか,の謎に関してはよく考えられたトリックだったと思います.そして何よりも魅力的な犯人ジョー・デブリンの陽と陰の二面性を見事に演じ切ったクライヴ・レヴィルさんの演技が素晴らしかったです.『死の方程式』のロディ―・マクドウォールさんに続いて二人目の『ヘルハウス』俳優さんですが,実この映画,ホラー映画の中でも特に好きな映画だったので,最初から期待して観てましたの.


新・刑事コロンボ

放映:
 USA ABC 1989 〜2003年
 JPN NTV 1993 〜2001年 / etc

出演
 ピーター・フォーク(石田 太郎)
 

Blu-ray BOX


8th Series

汚れた超能力 COLUMBO GOES TO THE GUILLOTINE

USA : 1989年2月6日
JPN : 1993年5月7日
脚本 : ウィリアム・リード・ウッドフィールド
監督 : レオ・ベン
製作 : スタンリー・カリス
製作総指揮 : リチャード・アラン・シモンズ
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : ジョン・カカヴァス
ゲスト : アンソニー・アンドリュース(野沢 那智)/アンソニー・ザーブ(阪 脩)/カレン・オースティン(藤田 淑子)/アラン・ファッジ(樋浦 勉)/ジェームズ・グリーン(仲木 隆司)/マイケル・バコール(坂本 千夏)
 旧シリーズから10年の歳月を経て製作・放映された新シリーズ第1話.旧シリーズ最終話『策謀の結末』で製作を担当していたリチャード・アラン・シモンズさんが製作総指揮に,主演のピーター・フォークさんも共同製作総指揮との兼任となっており,また『策謀の結末』の監督でピーター・フォークさんの親友らしいレオ・ベンさんがこの新シリーズ第1話の監督に起用されています.犯人役アンソニー・アンドリュースさんの声を野沢那智さんが担当していますが,旧シリーズ『死の方程式』のロディ―・マクドウォールさん以来2度目の犯人役で,今回も饒舌というか喋り過ぎの,ユリ・ゲラーがモデルらしい犯人像を上手に演じています.つまりは余分なお喋りで自ら犯人であることを露呈し,イカサマ超能力者でありながら簡単にコロンボの罠に引っかかってしまい自滅してしまうおバカさんな犯人なので,エピソード自体の出来はよろしくないのですが,この日本語版が面白く見ごたえのある作品に仕上がっているのは野沢さんの功績大だと思います.

狂ったシナリオ MURDER, SMOKE AND SHADOWS

USA : 1989年2月27日
JPN : 1993年6月4日
脚本・製作総指揮 : リチャード・アラン・シモンズ
監督 : ジェームス・フローリー
製作 : スタンリー・カリス
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト:フィッシャー・スティーヴンス(池田 秀一)/ジェフ・ペリー(星野 充昭)/モリー・ヘイガン(佐々木 優子)/ナン・マーティン(此島 愛子)/スティーヴン・ヒル(池田 勝)/アル・パリエーゼ(亀井 三郎)
 製作総指揮のリチャード・アラン・シモンズさんが自ら脚本を担当した,実質的な新シリーズ第1作らしいです.多分ここまでのシリーズ最年少の犯人役で,スティーヴン・スピルバーグ監督がモデルと思われる映画監督を演じるフィッシャー・スティーヴンスさんの演技が印象的で,ストーリーも前半はすごーくよくできているのですが,後半はかなり説明不足のため「なんで?」って思われるような部分が多く,ラストのひっかけもちょっとアンフェアすぎるような感じがして残念でした.

幻の娼婦 SEX AND THE MARRIED DETECTIVE

USA : 1989年4月3日
JPN : 1993年7月2日
脚本 : ジェラルド・リー・ルドウィッツ
監督 : ジェームス・フローリー
製作 : スタンリー・カリス
製作総指揮 : リチャード・アラン・シモンズ
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : リンゼイ・クローズ(鈴木 弘子)/スティーヴン・マクト(堀 之紀)/ケン・ラーナー(田原 アルノ)/ピーター・ジュラシック(神山 卓三)/マージ・レッドモンド(麻生 美代子)/ジュリア・モンゴメリー(井上 喜久子)/ステュワート・J・スリー(星野 充昭)
 旧シリーズではほとんど見られなかった,物欲ではなく痴情による殺人.それだけに他のエピソード以上に犯人を主体に描かれており,つい余分なことをして墓穴を掘ってしまうのはやはりこのシリーズのお約束.強烈な皮肉の効いたラストが見事で,二役の犯人を演ずるリンゼイ・クローズさんの演技も見事だったと思います.但し,前作同様後半の解決編における説明不足,部下を使ってのおかしな演出等,犯人を追い詰めるまでのコロンボ側の描写がちょっと残念な感じでした.

迷子の兵隊 GRAND DECEPTIONS

USA : 1989年5月1日
JPN : 1993年9月17日
脚本 : シイ・サルコウィッツ
監督 : サム・ワナメイカー
製作 : スタンリー・カリス
製作総指揮 : リチャード・アラン・シモンズ
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : ジョン・カカヴァス
ゲスト : ロバート・フォックスワース(羽佐間 道夫)/アンディ・ロマーノ(麦人)/スティーヴン・エリオット(北村 和夫)/ジャネット・アイルバー(宗形 智子)/リン・クラーク(堀越 真己)/マイケル・マクマナス(沢木 郁也)
 ここまで新シリーズ3作を順に観てきて,ラストにおけるコロンボの芝居がかった演出にちょっと食傷気味だったので,原点回帰ともいえる今回のストーリー展開はかえって新鮮な感じがしました.また殺害方法が初めての刺殺というのも意外でしたが,銃殺が当たり前のように行われるシリーズの中で目新しさを感じました.但しトリックに関してはおかしな部分も多く,またコロンボの行動もかなりアンフェアな感じがして残念でした.犯人が退役軍人ということで,旧シリーズの『ホリスター将軍のコレクション』を思い出しましたが,元軍人さんってプレイボーイが多いのね? また奥さんを寝取られる将軍役のスティーヴン・エリオットさんは,旧シリーズ『5時30分の目撃者』でも同じような目にあった上にこちらのエピソードでは殺されてしまう役柄を演じていて気の毒です.


9th Series

殺意のキャンバス MURDER, A SELF PORTRAIT

USA : 1989年11月25日
JPN : 1994年11月4日
脚本 : ロバート・シャーマン
監督 : ジェームズ・フローリー
製作 : スタンリー・カリス
製作総指揮 : リチャード・アラン・シモンズ
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス
音楽 : パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : パトリック・ポーショー(森山 周一郎)/フィオヌラ・フラナガン(沢田 敏子)/シェラ・デニス(塩田 朋子)/イザベル・ロルカ(土井 美加)/ヴィト・スコッティ(村松 康雄)/ジョージ・コー(石森 達幸)
 珍しく冒頭からコロンボが登場,バセットハウンド大会で愛犬ドッグに噛みつかれますが,それが後に『嫉妬』によるものだと心理学者に判断されるという,天才画家を巡る3人の女性のサブ・ストーリーの伏線となっているあたり,脚本のテクニックを行使しようとしている感はありますが,犯罪の動機となる犯人の過去の犯罪が『夢判断』によって推理されるくだりと共に,ちょっとこじつけっぽくてあまり感心しませんでした.反撥しあっていた2人の残された女性が,簡単に和解して犯人を捨てて出て行ってしまうあたりもちょっと説明不足で,ストーリーの本筋以外にいろいろな要素を詰め込み過ぎて失敗しているような気がします.

だまされたコロンボ COLUMBO CRIES WOLF

USA : 1990年1月20日
JPN : 1994年6月17日
脚本 : ウィリアム・リード・ウッドフィールド
監督 : メリル・デューク
製作 : ペニー・アダムス
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス/ウィリアム・リード・ウッドフィールド
クリエイティヴ・コンサルタント : ビル・ドリスキル
音楽 : デニス・ドレイス
ゲスト : イアン・ブキャナン(中尾 隆聖)/ディードル・ホール(翠 準子)/マーク・マーゴリス(田中 康郎)/レベッカ・スターブ(弘中 くみ子)/アラン・スカーフ(阪 脩)/デヴィッド・ハドルストン(藤本 譲)/ピーター・ザップ(秋元 羊介)/ジョン・フィネガン(中 庸助)/トム・モーゼス(大山 高男)/ジジ・ライス(川浪 葉子)/ブルース・カービィ(石森 達幸)
 宝島社『刑事コロンボ完全捜査ブック』によれば,「新シリーズのベストを争う1作」ということで,旧シリーズの傑作『パイルD-3の壁』や『偶像のレクイエム』との共通性を指摘しており,実はまだ犯罪が起きていない時点でコロンボが捜査に乗り出し,犯人たちに翻弄された挙句敗北を喫するように見られる事件の経過をスリリングに描いたエピソードとして高く評価されるべきだと思います.但し,ラストに関しては似たような作品を観たような記憶があるのですが思い出せません.

完全犯罪の誤算 AGENDA FOR MURDER 

USA : 1990年2月10日
JPN : 1995年3月17日
脚本 : ジェフリー・ブルーム
監督 : パトリック・マクグーハン
製作 : ペニー・アダムス
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス/ウィリアム・リード・ウッドフィールド
クリエイティヴ・コンサルタント : ビル・ドリスキル
音楽 : デヴィッド・マイケル・フランク
ゲスト : パトリック・マクグーハン(久米 明)/ルイス・ゾリック(小松 方正)/デニス・アーント(黒沢 良)/アン・ヘイ二―(沼波 輝枝)/アーサー・ヒル(石森 達幸)/ブルース・カービィ(大山 高男)
 旧シリーズで犯人役と監督を各2回勤めたパトリック・マクグーハンさんが新シリーズ初登場.ですが,吹き替えは佐野浅夫さんから久米明さんに替わっています.マクグーハンさんの饒舌な弁護士役がハマっていて,旧シリーズ『祝砲の挽歌』での陸軍幼年学校長,『仮面の男』での CIA 局員役と全く性格の異なるキャラクターを見事に演じ分けており,見事の一言に尽きると思います.また,監督としても『仮面の男』,『さらば提督』同様,演出に優れた手腕を発揮しています.ストーリーでは,余分なアリバイ工作の失敗による自滅パターンかと思われましたが,実は別に決め手となるアイテムが冒頭でしっかり披露されており,鮮やかな解決編を構築しています.ところででらちゃんこの DVD 観る時にいつもチーズとクラッカー食べていたので,何か嬉しかったです.

かみさんよ,安らかに REST IN PEACE, Mrs. COLUMBO

USA : 1990年3月31日
JPN : 1995年4月14日
脚本・製作総指揮 :ピーター・S・フィッシャー
監督 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作総指揮スーパーバイザー : ロバート・F・オニール
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス/ウィリアム・リード・ウッドフィールド
クリエイティヴ・コンサルタント : ビル・ドリスキル
音楽 : リチャード・マーコウィッツ
ゲスト : ヘレン・シェイヴァ―(弥永 和子)/エドワード・ウィンター(富田 耕生)/トム・イスベル(池田 秀一)/イアン・マクシェーン(柴田 秀勝)/ロスコ・リー・ブラウン(宝亀 克寿)/テレサ・ギャンゼル(さとう あい)/マイケル・オールドレッジ(亀井 三郎)
 まさかのコロンボ夫人の葬儀シーンから回想形式で繰り広げられるエピソードですが,これに騙された人ってまずいないと思うのですが…? 見え見えのトリックの上にミステリーを構築するのはどう考えても無理なことはわかっているので,なんでわざわざこのエピソード作ったのかイミフです.まさに禁断のエピソードでした.犯人役のヘレン・シェイヴァ―さんはどこかで見たことあると思ったら,映画『悪魔の棲む家』や TV シリーズ『Lの世界』ゲストでおなじみの女優さんでした.

華麗なる罠 UNEASY LIES THE CROWN

USA : 1990年4月28日
JPN : 1994年12月2日
脚本 : スティーヴン・ポチコ
監督 : アラン・J・レヴィ
製作 : ペニー・アダムス
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス/ウィリアム・リード・ウッドフィールド
クリエイティヴ・コンサルタント : ビル・ドリスキル
音楽 : ジェームズ・ディ・パスカル
ゲスト : ジェームズ・リード(菅生 隆之)/ポール・バーク(大塚 周夫)/マーク・アーノット(二又 一成)/スティーヴン・ギルボーン(宮内 幸平)/リン・マータ(井上 喜久子)
 いやいやいや,これに関しては犯人と義弟による死体遺棄が明らかになった時点で身柄を拘束して取り調べに入らなくちゃダメでしょ? 珍しくコロンボがコーヒーにクリームを入れてました.

マリブビーチ殺人事件 MURDER IN MALIBU

USA : 1990年5月14日
JPN : 1994年10月14日
脚本 : ジャクスン・ギリス
監督 : ウォルター・グローマン
製作 : ペニー・アダムス
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
製作総指揮スーパーバイザー : ウィリアム・リンク
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ジャクスン・ギリス/ウィリアム・リード・ウッドフィールド
クリエイティヴ・コンサルタント : ビル・ドリスキル
音楽 :パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : アンドリュー・スティーヴンス(大塚 芳忠)/ジャネット・マーゴリン(山田 礼子)/ブレンダ・ヴァッカロ(来宮 良子)/フロイド・レヴィン(永井 一郎)/ピーター・ジョリー(立木 文彦)
 犯人と目された人物が殺害されてしまう,旧シリーズの傑作『さらば提督』のジャクソン・ギリスさん脚本によるセルフ・パロディーのようなエピソードで,今回は犯人が銃弾を撃ち込んだ被害者はすでに死体だった,さて真犯人は…?という,さらにアクロバティックな構造を持ったエピソード.二転三転するストーリーにすっかり騙されてしまい,決め手に関しては少々詰めの甘さを感じさせられてしまうものの,最大限に意外な結末が用意されている極上のミステリーだったと思います.被害者の姉を演じているブレンダ・ヴァッカロさん,久々にお目にかかりましたが特にまなざしにアイドル・スターだった頃の面影が感じられて懐かしかったです.


10th Series

殺人講義 COLUMBO GOES TO COLLEGE

USA : 1990年12月9日
JPN : 1994年5月6日
脚本 : ジェフリー・ブルーム
原案 : ジェフリー・ブルーム&フレドリック・キング・ケラー
監督 : E・W・スワックハマー
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
スーパーバイジング・プロデューサー : アラン・J・レヴィ
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ウィリアム・リード・ウッドフィールド
音楽 : ジェームズ・ディ・パスカル
ゲスト : スティーヴン・キャフリー(大塚 明夫)/ゲイリー・ハーシュバーガー(山寺 宏一)/ジェームズ・ストリウス(神谷 和夫)/ロバート・カルプ(小林 修)/カール・ウィダゴット(鈴木 清信)/エリザベス・スワックハマー(紗ゆり)/キャシー・キャノン(横尾 まり)/ブリジット・ハンレイ(竹口 安芸子)/ジム・アントニオ(小島 敏彦)/ウィリアム・ラッキング(笹岡 繁蔵)/スティーヴン・ギルボーン(石森 達幸)
 犯人が大学生2人とうわけで全シリーズを通じて多分これが最年少だと思われますが,ヒッチコック監督の名作『ロープ』を思い出しました.もっともあちらでは教授が探偵役でこちらでは被害者という違いがありますが.ストーリーそのものは面白いのですが,犯行時のビデオカメラや拳銃の自動発射といった物理的なトリックの描写がちょっとわかりづらかったのが難点だと思います.犯人の一方の父親役で旧シリーズで3回犯人役を演じたロバート・カルプさんが特別出演,相変わらずアクの強いキャラクターを上手に演じています.また,この製作総指揮のジョン・エプスタインさんが亡くなってしまったためラストに追悼クレジットが挿入されておりますが,このシーズン中はそのまま製作総指揮にその名前がクレジットされています.

犯罪警報 CAUTION: MURDER CAN BE HAZARDOUS TO YOUR HEALTH

USA : 1991年2月20日
JPN : 1995年10月20日
脚本 : ソニア・ウルフ&パトリシア・フォード&エイプリル・レイネル
監督 : ダリル・デューク
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
ストーリー監修 : ウィリアム・リード・ウッドフィールド
音楽 : ジョン・カカヴァス
ゲスト : ジョージ・ハミルトン(小林 勝彦)/ピーター・ハスケル(麦人)/ペニー・ジョンソン(高乃 麗)/スティーヴン・ギルボーン(小島 敏彦)
 旧シリーズ『5時30分の目撃者』で犯人役を演じたジョージ・ハミルトンさんが再登場.かなりお歳を召された感じでした,ストーリーはタバコのトリック等稚拙すぎるきらいはありますが,謎解きを主体とした新シリーズでは珍しくオーソドックスな作りの作品で,十分楽しむことができました.

影なき殺人者 COLUMBO AND THE MURDER OF A ROCK STAR

USA : 1991年4月29日
JPN : 1993年9月17日
脚本・ストーリー監修 : ウィリアム・リード・ウッドフィールド
監督 : アラン・J・レヴィ
製作総指揮 : ジョン・エプスタイン
共同製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : スティーヴ・ドーフ
ゲスト : ダブニー・コールマン(小林 清志)/シェリル・パリス(弘中 くみ子)/ジュリアン・ストーン(堀内 賢雄)/シェラ・デニス(塩田 朋子)/サンドラ・カリー(安達 忍)/ジョン・フィネガン(伊井 篤史)/スティーヴン・ギルボーン(糸 博)/タッド・ホリノ(清川 元夢)/リトル・リチャード(立木 文彦)
 宝島社『刑事コロンボ完全捜査ブック』によれば,この作品と前作『犯罪警報』が『残念なエピソードとして評価されていますが,確かにおかしな部分,不必要な部分も多い物の,ストーリー自体はよくできており,個人的には割と楽しく観ることができました.但し,抗酒剤ジスルフィラムの効能に関するくだりについてはかなり描写がおかしくて,経験者としてはとても違和感感じました.犯人役のダブニー・コールマンさんは名作『9時から5時まで』での名演が記憶に残っています.また犯人の助手役のシェラ・デニスさんはピーター・フォークさんの愛妻だった方で,旧シリーズ『ルーサン警部の犯罪』,『美食の報酬』,新シリーズ『殺意のキャンバス』に続く4度目の出演で,旧シリーズではチョイ役だったものの新シリーズに入ってからは回を追うごとに重要な役柄を演じるようになりますが,これ完全に共同製作総指揮ピーター・フォークさんの意向だと思われます.リトル・リチャードさんの特別出演は驚きました.


11th Series

大当たりの死 DEATH HITS THE JACKPOT

USA : 1991年12月15日
JPN : 1995年12月1日
脚本 : ジェフリー・ブルーム
監督 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : スティーブ・ドーフ
ゲスト : リップ・トーン(阪 脩)/ゲイリー・クローガー(池田 秀一)/ジェイミー・ローズ(勝生 真沙子)/ブリット・リンド(弘中 くみ子)/ベッツイ・パルマ―(竹口 安芸子)/ウォーレン・バーリンジャ―(辻 親八)
 これ最高.オチが素晴らしいお気に入りのエピソードです.ピーター・フォークさんが初めて製作総指揮でクレジットされた作品で,あまり高く評価されていませんが個人的には気に入ってます.『13日の金曜日』で殺人鬼ジェイソンの母親を演じたベッツイ・パルマ―さんに久しぶりにお目にかかることができました.

初夜に消えた花嫁 NO TIME TO DIE

USA : 1992年3月15日
JPN : 1997年4月4日
脚本 : ロバート・ヴァン・スコイク
原作 : エド・マクベイン
監督&共同製作総指揮 : アラン・J・レヴィ
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 :パトリック・ウィリアムズ
ゲスト : トーマス・キャラブロ(大塚 芳忠)/ジョアンナ・ゴーイング(佐々木 優子)/ダニエル・マクドナルド(谷口 節)/ダン・バトラー(野島 昭生)/ドナルド・モファット(大木 民夫)/パトリシア・ヒューストン(麻生 美代子)/デヴィッド・バード(清川 元夢)/ダニエル・デイヴィス(沢木 郁也)/ランス・ルゴール(中 庸助)/クリフ・エミッチ(島香 裕)
 『87分署シリーズ』エド・マクベイン原作.これまでのシリーズのコンセプトを捨て去った問題作.これまでとは全く異なる趣向のエピソードですが,ストーリーそのものはスリリングで,ヒロイン・犯人・捜査陣それぞれのキャラも良く描かれていて,十分楽しんで観ることができました.製作総指揮のピーター・フォークさんの意向だったと思われますが,これまでにないラストも衝撃的でした.


12th Series

死者のギャンブル A BIRD IN THE HAND...

USA : 1992年11月22日
JPN : 1997年10月3日
脚本 : ジャクスン・ギリス
監督 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : グレッグ・エヴィガン(大塚 明夫)/スティーヴ・フォレスト(藤本 譲)/タイン・デイリー(弥永 和子)/フランク・マクレー(宝亀 克寿)/ドン・S・デイヴィス(村松 康雄)/レオン・シンガー(清川 元夢)
 数年前にボツになったシナリオを製作総指揮のピーター・フォークさんが復活させたエピソード.犯人と目された人物が殺されてしまう『さらば提督』,殺された人物が実はすでに死んでいた『マリブビーチ殺人事件』と同列の傾向の作品で,今回は最初の犯行が未遂に終わり,手違いによって別の人物を殺してしまった人物が,結局は逆に殺されてしまうという二点三転のミステリーとなっています.しかもこのキャラクターが借金に追われるギャンブラーという設定で,これまでのエリートさん殺人者とは違ってかなりトホホな犯人像でした,ゲストに他TVシリーズの主役を演じた『トラック野郎BJ』のグレッグ・エヴィガンさん,『女刑事キャグニー&レイシー』のタイン・デイリーさん,『特別狙撃隊S.W.A.T.』のスティーヴ・フォレストさんが起用されていますが,でらちゃんが観ていたのは『トラック野郎B.J.』だけでしたの.で,この方『大当たりの死』の方に出てたら面白かったのにね.わかるかな?


13th Series

恋におちたコロンボ IT'S ALL IN THE GAME

USA : 1993年10月31日
JPN : 1999年5月7日
脚本・製作総指揮 : ピーター・フォーク
監督 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作 : クリストファー・セイター
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : フェイ・ダナウェイ(高畑 淳子)/アルマンド・プッチ(大塚 芳忠)/クローディア・クリスチャン(佐々木 優子)/ジョン・フィネガン(辻村 真人)/ビル・メイシー(亀井 三郎)
 ピーター・フォークさん初の脚本.初の女性二人組による犯行で,正統派倒叙物に軌道修正したエピソードでありますが,レズビアンの話かと思って観ていたら実は親子どんぶりの話だったという,どうもこの方が製作総指揮になってから下世話なストーリーが多くなったような気がします.しかも今回のコロンボさん,バレたら免職モノの越権行為で,こ〜ゆ〜ことしちゃダメでしょ?

4時02分の銃声 BUTTERFLY IN SHADES OF GREY

USA : 1994年1月10日
JPN : 1998年10月16日
脚本 : ピーター・S・フィッシャー
監督 : デニス・デュガン
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ウィリアム・シャトナー(矢島 正明)/ジャック・ローファー(堀内 賢雄)/モリー・ヘイガン(佐々木 優子)/リチャード・クライン(清川 元夢)
 『かみさんよ,安らかに』以来久々のピーター・S・フィッシャーさん脚本の本格的倒叙ミステリー.『スター・トレック』カーク船長のウィリアム・シャトナーさんも,旧シリーズ『ルーサン警部の犯罪』以来久々の出演.ここのところ以前のシリーズと異なり,オーソドックスな倒叙物から離れた路線を歩んでいた製作総指揮のピーター・フォークさんが原点に立ち戻ろうとしたという点で評価されるべき作品で,それなりによくできたエピソードだとは思いますが,本筋と全く関りのないサブ・ストーリーの展開や解決編におけるネタバレ描写等,残念ながらシナリオ構成に難が目立ちました.

死を呼ぶジグソー UNDERCOVER

USA : 1994年5月2日
JPN : 1999年11月12日
脚本 : ゲイリー・デイ
原作 : エド・マクベイン
監督・製作 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : アーヴィング・クラッチ(納谷 六朗)/バート・ヤング(大塚 周夫)/ハリソン・ペイジ(池田 勝)/シェラ・デニス(鈴木 弘子)/エドワード・ハイバート(佐々木 梅治)/タイン・デイリー(弥永 和子)/クリスティン・バウアー(日下 由美)/ロバート・ドナー(益富 信孝)/ハンク・ギャレット(石森 達幸)
 殺人事件ではなく誘拐事件を扱った『初夜に消えた花嫁』に続く,エド・マクベイン原作第2弾.今回も本シリーズとは全く異なる傾向の非倒叙回で,ハードボイルド・タッチのエピソードですが,原題の『潜入捜査』に入るコロンボ刑事の姿が描かれるエンターテインメント作品となっています.ゲストに劇中で「ロッキーのマネージャーみたいな奴」と表現されているバート・ヤングさん,ピーター・フォーク夫人で今回は5回目の出演で被害者役のシェラ・デニスさん,そして『死者のギャンブル』で重要な役を演じていたタイン・デイリーさんが今回はスペシャル・ゲスト扱いで魅力的なキャラクターを演じています.この方,『ダーティー・ハリー3』での新人刑事役が有名らしいのですが,このシリーズではどういう訳か,アルコホーリク気味の中年女性役が見事にハマっています.


14th Series

奇妙な助っ人 STRANGE BEDFELLOWS

USA : 1995年5月8日
JPN : 2000年3月31日
脚本 : ローレンス・ヴァイル
監督・製作 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ジョージ・ウェント(樋浦 勉)/ジェフ・イェーガー(井上 倫宏)/ジェイ・アコヴォーン(金尾 哲夫)/ロッド・スタイガー(内田 稔)/ブルース・カービィ(宮田 光)/リンダ・ゲーリンガー(富本 牧子)/ジョン・フィネガン(辻村 真人)
 ロッド・スタイガーさんがマフィアの大物役,タイトルの『奇妙な助っ人』を演じていますが,今回のコロンボ,新旧シリーズを通じて最もアンフェアで,つい犯人に同情してしまうようなエピソード.但し,容疑の決め手となったネズミの種別に関するくだりは,よくできていたと思います.


15th Series

殺意の斬れ味 A TRACE OF MURDER

USA : 1997年5月15日
JPN : 2001年4月13日
脚本 : チャールズ・キップス
監督・製作 : ヴィンセント・マケヴィティ
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : デヴィッド・ラッシュ(船越 英一郎)/シェラ・デニス(藤田 淑子)/バリー・コービン(内海 賢二)/レイ・バーク(小室 正幸)/ジョン・フィネガン(辻村 真人)
 宝島社『刑事コロンボ完全捜査ブック』によれば,『新シリーズ特有の問題点が続出.残念な出来の「25周年記念」作品』ということで散々に低い評価をされていますが,でらちゃんはわりと面白く観ることができました.確かにこの新シリーズ,旧シリーズの『犯人との1対1の対決』という原点と異なる傾向の作品が多く,それが「コロンボらしくない」と評されていますが,それは言い方を替えれば『マンネリからの脱却』を試みていたわけであるし,この作品に関しても,複数人の犯行における犯人たちを互いに疑わせ自滅させるというコロンボの策略が『大いに品格を欠いたもの』と酷評されていますが,それが犯人側からではなくコロンボ側からのスリリングな展開となっており,もう少し好意的に評価されてもいいのではないかと思われます.但し,ラストのコロンボ自身による解説はやはり蛇足以外の何物でもなかったと思います.ピーター・フォーク夫人のシェラ・デニスさんは6度目のゲスト出演で犯人の一人を演じていますが,なかなかハマっていました.


16th Series

復讐を抱いて眠れ ASHES TO ASHES

USA : 1998年10月8日
JPN : 1999年9月23日
脚本 : ジェフリー・八ッチャー
監督・共同製作総指揮 : パトリック・マクグーハン
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : パトリック・マクグーハン(有川 博)/ルー・マクラナハン(此島 愛子)/サリー・ケラーマン(大西 多摩恵)/キャサリン・マクグーハン(駒塚 由衣)/スペンサー・ギャレット(岩崎 ひろし)/リチャード・リーヒル(塾 一久)
 パトリック・マクグーハンさん4度目の犯人役,3度目の監督,初の共同製作総指揮による傑作エピソード.死体を自由に処理することが可能な葬儀屋さんが犯人というのは秀逸なアイデアで,これまでにありそうでなかったのが意外といえば意外かも.ごはんもらえなかった仔犬がかわいそうで,コロンボさんが珍しく怒ってました.


17th Series

奪われた戦慄 MURDER WITH TOO MANY NOTES

USA : 2001年3月12日
JPN : 2001年7月8日
脚本 : ジェフリー・ケーヴァ&パトリック・マクグーハン
原案 : ジェフリー・ケーヴァ
監督・共同製作総指揮 : パトリック・マクグーハン
製作 : クリストファー・セイター
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ディック・デ・ベネディクティス
ゲスト : ビリー・コノリー(佐々木 勝彦)/チャド・ウィレット(森岡 弘一郎)/ヒラリー・ダナー(山田 里奈)/リチャード・リーヒル(塾 一久)/チャールズ・シオッフィ(稲葉 実)
 前回に続いて監督・共同製作総指揮のパトリック・マクグーハンさん,今回は出演にしないで脚本を原案のジェフリー・ケーヴァさんと共同執筆していますが,どうもこれが失敗だったよ〜な.最初に違和感を感じたのは,コロンボが容疑者の飲酒運転を先導するくだりで,これって警察官として絶対にやってはいけないことであるだけではなく,その危険を冒してまでやる意味がわからん.またトリック等よくできた上質なミステリーが展開されている中,ラストでコロンボの追及が甘いにも関わらず簡単に落ちてしまう犯人像等,少々稚拙ともいえる脚本が難点のエピソードでした.


18th Series

殺意のナイトクラブ COLUMBO LIKES THE NIGHTLIFE

USA : 2003年1月30日
JPN : 2004年2月7日
脚本 : マイケル・アレイモ
監督 : ジェフリー・ライナー
製作 : ジョン・ホイットマン
製作総指揮 : ピーター・フォーク
音楽 : ケン・ジョーダン&ジム・レイサム
ゲスト : マシュー・リス(香川 照之)/ジェニファー・スカイ(甲斐田 裕子)/カーマイン・ジョヴィナッツォ(高橋 英則)/ダグラス・ロバーツ(楠見 尚己)/ジョン・フィネガン(丸山 荘史)
 前作から2年弱の歳月を経て製作・放映された最終作.急にお歳を召されたコロンボさん.でもこの最終作,ストーリー,プロット共によくできているかなり良質のミステリーで,新シリーズの中ではかなりの傑作の部類に入るエピソードだと思います.あれ? これでおしまいなんですかぁ?