1st Season |
第1回 死者からの伝言 |
演 出:星 護 |
この第1回エピソードは何故か毎回見逃していて,これまでに1回も観たことがなかったのですが,今回初めて Blu-ray で観ることができました.脚本の三谷幸喜さんが大ファンだったため第1回のメインゲストに起用されたという中森明菜さんですが,期待した以上に演技がお上手でよかったです.シナリオ上,古畑が電話で「幡随院の取り調べ」と言っているので,時系列的に第4話の後であることがわかる仕組みになっています.古畑が指摘した被害者のダイイングメッセージに関する推論は,証拠能力という点で弱いような気がしますが,後に無罪判決が下されました. |
第2回 動く死体 |
演 出:河野 圭太 |
多分これが TV で最初に観たエピソードだったと思いますが,古畑が今泉に名前を訪ねているところから,これが最初の事件という設定だったらしいです.さてシナリオですが,最初に犯人が口を滑らせたことから古畑はその犯行を確信するわけですが,これは観ていてすぐに気づいたため,メインのストーリーに関しては大した出来ではなかったような気がしました.それよりも,犯人の不可解な行動が最後まで気になっていて,それが解決編で明かされた時に,シナリオ作りの妙技を味合わせていただいたような気がしました.トリックよりも犯人の人間性を描いている作品として評価されるべきだと思います. |
第3回 笑える死体 |
演 出:河野 圭太 |
この犯人,実在する精神科医・香山リカさんがモデルと思われ,すご〜くイヤな女に描かれているのですが,クレームはつかなかったのかしらね,そのイヤ〜な女をイヤ〜な女の演技を得意とする古手川さんがすご〜くイヤらしく上手に演じています,なんてこと書いたら怒られるかしら? 古畑の自転車が初登場.また,ミートローフと茶碗蒸しと焼きナスが得意料理というキャラクター設定が描かれていますが,全部容疑者の嫌いな料理であるところがミソ,嫌がらせかい? |
第4回 殺しのファックス |
演 出:星 護 |
古畑と今泉の上司・蟹丸義太夫警部(峰岸 徹さん)初登場.結婚式の出席者が白のスーツを着ることってあまりないと思うのですが,今泉は本当にこんな新郎よりも目立つ格好で出席したのだろうか? シナリオにアラの目立つエピソードでした. |
第5回 汚れた王将 |
演 出:河野 圭太 |
トリックは第1回のダイイングメッセージの逆バージョン? 古畑の台詞に『酢豚弁当』が出てくるのはこの回が初めてでした.犯人が古畑に正しい納豆の食べ方を教授するシーンが印象に残っています.ラストの犯人の台詞,「合理的な説明ができないくらいなら自首した方がマシだ」ですが,この場合自首って認められるのかしら? タイトル,汚れたのは王将ではなく,飛車でした.シリーズの元ネタ『刑事コロンボ』の2代目声優だった石田太郎さんがゲスト出演しています. |
第6回 ピアノ・レッスン |
演 出:松田 秀知 |
わざと『スタンガン』のことを『スタン銃』と言い,「知らない」と言い張る犯人の失言を導き出すテクニックが印象に残る回.決め手となったピアノのエピソードに関しては,オープニングの「他人に嫌われているという自覚のない場合」という台詞がストーリーそのものを暗示していると言えますが,この犯人,ちょっと可哀そうでした.みんなに嫌われるって結構つらいことなのよ. |
第7回 殺人リハーサル |
演 出:星 護 |
古畑2度目の自転車出勤? 蟹丸警部も2度目の登場.今回は今泉とともにメイクまでしてもらって記者会見に臨みますが,古畑の忠告を無視して大恥をかいてしまいました.今回の犯罪は事故に見せかけた殺人で,犯人の不可解な行動がその立証の決め手となってしまうわけですが,第5回の状況と似かよった動機なのがちょっと不満に感じられました.あと,この場合状況証拠でしかないので,果たして犯人の故意を立証するに足るものなのかどうか疑問が残ります.そしてやはり犯人のモデルは名前からは近衛十四郎さん,実際に起こった事件からは勝新太郎さんの息子・雄大さんだと思われます. |
第8回 殺人特急 |
演 出:松田 秀知 |
古畑の『酢豚弁当』へのこだわりが印象的な回ですが,これが実は犯人との接触とその疑惑のきっかけとなっている重要なモチーフだったりするのです.そして,一旦は古畑初の黒星か? と思わせておいて鮮やかな逆転勝利を描いており,その伏線として犯人の後部座席のヤクザ屋さん,今泉の隣席の老婆,誤認逮捕の原因となる目撃者のおばちゃん等のキャラクター設定が上手になされており,シナリオの妙技が冴えているお気に入りの傑作エピソードです.三谷幸喜さんのテレビドラマ・デビュー作『振り返れば奴がいる』と作品世界を共有しており,鹿賀丈史さん扮する外科部長がそのまま今回の犯人役らしいのですが,残念ながら観たことがありませんの. |
第9回 殺人公開放送 |
演 出:星 護 |
行き当たりばったりの過失致死を,これまた行き当たりばったりに自分の霊感証明のために利用しようとして自滅するおバカさんな自称・超能力者の話なので,古畑とは全く勝負にならないのですが,なんでこんなエピソード作ったのかしら? 前回が 1st Season の最高傑作とするならば,今回のは最低作だと思います.犯人役の石黒さんは前回の鹿賀さん同様,『振り返れば奴がいる』に出演されていましたが,キャラは全く異なっているようです.霊能力を取り扱っていることもあってその道の権威?大槻義彦教授とその研究室が『協力』としてクレジットされていますが,ラストにクレジットされている山口崇さん扮する神宮教授は,そのパロディみたいです.あと, TV スタジオで古畑・今泉の後ろの席に座った騒がしいおばちゃん2人,どこかで見た顔だと思っていたら,第7回で犯人のファンを演じていた,松見里杷さんと恩田恵美子さんのお二人でした. |
第10回 矛盾だらけの死体 |
演 出:河野 圭太 |
被害者が担ぎ込まれた病院に偶然痔の手術で入院していた今泉が古畑に大事にされていて,珍しく事件の解決に貢献してほめられていますが,時系列的に第11回の直後の事件ということらしいので,第11回を観るとなんとなく納得がいくのです.未遂に終わった被害者で,実は教唆犯の政治家・鵜野のモデルは,やはり同音異名のあの元総理大臣なのかしらね? 「ともだち少ないでしょ?」,ラストの古畑と犯人のやり取りが印象的なエピソードでした. |
第11回 さよなら,DJ |
演 出:松田 秀知 |
このエピソード,途中まで観ていてすぐにオチがわかってしまいました.また,検視官が「後頭部に一撃」といってますが,2回以上殴っています.犯行後の「痛い?」っていう台詞が印象に残りますが,これ完全に桃井さんのアドリブだそうです.『赤い洗面器の男」の話が初めて登場しますが,結末は聴くことができませんでした.第8話同様,三谷さんのドラマ『ラヂオの時間』っと世界観を共有しており,その登場人物が犯人という設定ですが,こちらも観たことがないので何とも言えません.今回,古畑の今泉酷使が凄まじく過労で病院に運ばれてしまいますが,この事件の直後が第10回という設定になっています.ゲストの本人役で池田貴族さんが声だけ出演しています. |
第12回 最後のあいさつ |
演 出:松田 秀知 |
1st Season 最終エピソード.犯人は古畑警部補の上司・木暮警視という設定ですが,これも『刑事コロンボ』のエピソード『権力の墓穴』を踏襲しています.そちらではアパートですが,今回はホテルの一室が犯行発覚の原因となっている点も酷似しています.但し,こちらのエピソードでは支配人の失火という偶然の出来事が古畑の推理の根拠となっており,それがラストまで視聴者には隠されている点,ちょっとアンフェアな感じがします.支配人役の梶原善さんは第8回の新幹線車掌役に続いて2度目のゲスト出演でした.科学捜査研究所・桑原技官役の伊藤俊人さんが初登場.今泉と古畑の微妙な関係がこの辺から明らかになっていますが,この回初めて『今泉慎太郎』とフルネームでクレジットされていました. |
第13回 SPECIAL 笑うカンガルー |
演 出:松田 秀知 |
初の海外ロケによる2時間スペシャル.古畑・今泉・加害者・被害者以外は全て現地のキャストによるのは経費節約のため? 被害者が一時的な記憶喪失に陥るというのは第10話の踏襲みたいですが,今回はそれが犯人にとってさらに悲劇的な展開をもたらすことになります.ていうかこの最初の殺人未遂がなくて,被害者が蘇生しなければ,この事件は成立しなかったわけだから,おバカさんな犯人(仁内孝則さん)はちょっと気の毒です.そして,事件の発端を作ったもう一人の加害者(水野真紀さん)にたいして古畑がかける温情に対して,何か割り切れないものを感じました.死んだと思われた被害者が実は生きていたという設定や,足を負傷したはずの犯人が切羽詰まってプールを泳いで難を逃れる等,ツッコミどころが満載のエピソードですが,これはシリーズ全体に言えることなので目をつぶりましょう.古畑さん,数学だけじゃなく英語の成績もあまりよくなかったのでは? |