宇宙海賊 キャプテン ハーロック




第1話 宇宙にはためく海賊旗

脚   本:上原 正三
演   出:りん・たろう

 記念すべき第1話.初回放映時の1978年3月,私は丁度高校を卒業した春休みで,大学入学を目前に控えておりました.というわけで,それからアニメ三昧の大学生活を送ることになるのですが,初めてこの第1話を見ての感想としては,それまでのアニメ番組にはなかったスケールの大きさを感じさせる音楽の素晴らしさにつきます.この交響組曲,アニメ史上いや日本 TV 史上に残る傑作だと思います.ストーリー的には,冒頭の部分,アルカディア号をあざむいて降伏旗を出したドリーム号が,あまりにも早く攻撃に転じてしまう必要性が感じられない点に,ややシナリオの不備を感じたのと,積荷に『SAKE』・『OZAKE』・『BRADY』とあったのに,スペルの誤りを見つけたくらいで,ほぼ原作に忠実,かつオリジナル・キャラの設定等も「こんなもんかな?」といった感じで,悪くはなかったと思います.原作にないキャラとして,まゆ・切田長官・学長・首相等,地球側の人物が登場していますが,これはストーリー構築上,やむを得ない処置だったのかもしれません.ちなみに,これらのキャラの声は,メイン・キャラならびにナレーターの声優さんが,二役で演じています.大山トチロー(ハーロックの親友・まゆの父親)の墓碑に,『2948 - 2970』と彫られておりましたが,ハーロックの推定年齢が28歳で,ストーリー上の年代が2978年(放映時の丁度1000年後という設定にも笑えましたが)という事を考慮に入れると,トチローはハーロックより1〜2歳年上だったのだろ〜か?などと考えてしまいましたが,ハーロックの年齢はあくまで推定という設定なので.... ラスト,アルカディア号によるハーロックの救出方法があまりにも荒唐無稽,自動的にはずれてしまうハーロックの手錠....?


第2話 未知からのメッセージ  

脚   本:上原 正三
演   出:蕪木 登喜司

 オカリナによる『まゆのテーマ』(当初,『赤とんぼ』を使いたかったが,著作権上の問題で,『グリーンスリーブス』もどきの曲に変更になったらしいです)をいつの間にか覚えて演奏しているまゆと,遠く離れた宇宙空間でハープで伴奏をつけるミーメ(爆).ハーロックは,ミーメとまゆの事を『君』と呼んでいますが,これってらしくないかも.この『まゆ』というキャラクターに関しては,放映当時賛否両論がありまして,どちらかというと松本零士ファンの間では否定的な意見が多かったのですが,アニメ番組としてのストーリー展開には必要悪だったのかもしれません.原作の『ハーロック』,そのままじゃアニメ番組としてはあまりにも盛り上がりにかけるかも,もっとも原作は,その平坦にも感じられる静けさもまた魅力的だったんだけどね.コスモ・ウィングやボレットに関しては,これは玩具会社の意向を尊重したのでしょうね? この第2回,ハーロックのセリフに少々「らしくない」表現が聴かれますが,シナリオ・ライターが原作のハーロックを適格に把握していなかったのかも.「私はこの地球を命にかけても....」 - ハーロックはやはり『俺』でしょう? 「そりゃ〜違うぜ」 - 首相官邸のシーン,ハーロックのセリフとは思えん.... 「母なる大地の中で」 - ヘンな表現だと思います.最後に,野犬に襲われるまゆの前にハーロック登場 - アニメならではの御都合主義で納得.あと,この回,礼拝堂の床磨きのシーンといい,爆風で吹き飛ばされるシーンといい,まゆちゃんの下着がやたらと描写され,世のロリ・アニおたの共感を呼びましたが,わたしロリコンじゃないもんで....


第3話 紙のように燃える女

脚   本:上原 正三
演   出:福島 和美

 この回のハイライトは,台羽博士暗殺シーン.福島和美氏の演出がすご〜く印象に残ってます.台羽正役の神谷明氏,わたしこの声優さん演技過剰な感じが少々鼻についていたのですが,このキャラに関しては,ハーロック役の井上真樹夫氏とのコントラストという点で,適役だったかも? ところで,マゾーンの肌の色,有紀螢のセリフでは,「地球の大気にふれると何故だか白くなる」のだそ〜ですが,「白くなる」のか,「白くする」のか? ....素朴な疑問だと思うのですが.... 第16話などから判断するに,やっぱり『白くしている』んでしょうね.


第4話 自由の旗の下に!

脚   本:山崎 晴哉
演   出:川田 武範

 ストーリー導入部におけるハーロックと台羽正のからみ,原作でも最も重要なエピソードでしたが,これに関して以前から考えている事があります.松本作品における沖田十三と古代進,メーテルと星野哲郎,そして,ハーロックと台羽正.これらの関係ってどう見ても『師弟』の関係だと思うのですが,その中でも,このハーロックというキャラ,松本先生におけるところの『理想の教師像』だと思うのです.で,推定年齢28歳という設定のハーロックですが,実は40歳でもおかしくないんではないかと,つい余分な事まで考えてしまうのでした.設定と言えば,アルカディア号の40人の乗組員1人1人に名前がついていたというのには,笑ってしまいましたが.... クスコ教授暗殺シーン,台羽博士暗殺シーンほどではありませんが,やはり印象に残るシーンだと言えます.台羽正の逃走シーン,土砂降りの雨の中で舞っている紙屑,凝っているようで実は不自然....


第5話 はるかなる星の涯に....

脚   本:上原 正三
演   出:生頼 昭憲

 あまりにもずさんな切田長官のハーロック暗殺計画,「可愛いお人形ちゃんありがとう」.「私は無益な殺戮は好まない」,ハーロックのというより,五右衛門のセリフみたいです,井上さん.台羽のノイローゼ,ヌレームの自爆,何となくですが,アニメ脚本が原作を離れて一人歩きをしているような印象を与えられた回でした.


第6話 幻のマゾーン

脚   本:上原 正三
演   出:明比 正行

 ハーロックのセリフ「よく寝る男は大物になる」,松本零士的ではあります.ハーロックは,この時代でも手紙を書くのに羽根ペンを使っている,しぶすぎる.略奪の度に,食糧のみを貯蔵し,酒や宝石類は捨ててしまうハーロック,酒はミーメにとっては食糧なのに.... 少し冷たいんじゃないですか?と余計な心配をしてしまうのでした.首相をメッセンジャー・ボーイ代わりに使うハーロック,「まゆ君へ」と書かれたほとんど平仮名だけの手紙がかわいいのですが,このとき使われた郵便ロケットの経費はいくらくらいで,どこから捻出されたモノなのか? 原作では描かれていなかったミーメとの出会い,核戦争で滅亡した星って,バルタン星人やスペル星人と似たシチュエーションでは? さすが上原正三? この回からエンディングのキャストの順に変更があって,有紀螢に代わってミーメが3番目に表示されるようになりました,お気付きになりました?


第7話 海底のピラミッド

脚   本:上原 正三
演   出:松浦 錠平

 切田長官と首相,「ゴルフは嫌いです」,「不幸せな男」,上原氏の脚本が冴えてます.海底ピラミッド探索時のハーロックのセリフ「副長と台羽がはぐれた」,はぐれたのはあんたの方じゃないのか? 一般市民の中に紛れ込んでいるマゾーンの選別を迫るハーロック,この頃になると堂々(?)と首相と面談しております.聖ジョバンナ学園の舎監,唯一美しくないマゾーンかも....?


第8話 女王の宇宙艦隊  

脚   本:上原 正三
演   出:明比 正行

 「まゆを守るため....」,初めて自らの『戦う理由』を明らかにし,学長に一礼し,悠然と立ち去るハーロック,これじゃ単なるロリコン・オヤジみたいで,原作の持つ雰囲気ぶちこわしてて,良くないのです.高官ヒステリアスを,復讐の鬼となって追いかける台羽,ヤッタラン副長の「鬼の台羽」という表現が笑えました.記憶喪失にかかり,トリさんに『赤ずきんちゃん』を話して聞かせ,ヤッタランのヤマト(爆)で遊ぶ台羽,ミーメがやさしくてかわいい♪ 「本来戦う事には地球人が一番向いているんじゃないでしょうか?」,有紀螢のセリフが印象的でした.


第9話 戦慄の植物生命体

脚   本:山崎 晴哉
演   出:大関 雅幸/松浦 錠平

 この回と次回は,ハーロックの声を井上真樹夫さんではなく徳丸完さんが演じています.井上氏の病気のため(声帯ポリープの手術のため?)らしいですが,放映時は何の予告もなくハーロックの声が変わったので,怒りを感じました.徳丸氏の声は,やはり井上氏に比べて少々軽い感じで,かなり井上氏の声を意識した演技をしてはいるのですが,やはりちょっとね.... 『植物生命体』などというと,世代的にジュランやグリーンモンスやスフランやケロニアやワイアール星人なんかを連想してしまうのですが,マゾーンはどちらかと言えばケロニアに一番近い? 火焔土器奪取の際,はじめて役に立つヤッタランのプラモ,原作にはないエピソードですが,いいかも.... 「はーろっくガアブナイ!」,興奮して金色に輝くミーメがかわいい♪ ハーロックと台羽の危機を救うスポット降雪機,これってたしか原作ではとんでもない欠陥品だったはず.


第10話 謎の惑星に迫れ

脚   本:山崎 晴哉
演   出:蕪木 登喜司

 前回に続いて,この回も徳丸完氏がハーロックを演じていますが,放映時,これで完全にキャスティングが替わってしまったものと思い,非常にガッカリしたものでした.それとは別に,何故かハーロックのセリフに印象に残ったものが多かった回でした.「全体を見る目」,言ってるそばから,ラフレシアによるマゾーン総決起命令の取り消しがあったりするなど,これまたアニメ特有の御都合主義? 「マゾーンは美しい」,はいそのとおりです.ローラに0.3秒の遅れをとった台羽,『ウルトラセブン』の第36話『必殺の0.1秒』を思い出しましたが,あの話もこの回も脚本は上原正三氏じゃないし,無関係か? そして何よりもきわめつけだったのが,
「見事な編隊だ」,大爆笑してしまいました.アルカディア号のラム戦,アニメの作り方によっては,もっと迫力的なシーンになったかもしれないのに,残念でした.... でも,・・・・マークみたいなマゾーン艦にラムで突っ込んで行くアルカディア号,何か猥褻....?


第11話 ローラが金色に輝く時

脚   本:山崎 晴哉
演   出:生頼 昭憲

 ハーロックの声が元に戻っている,嬉しかったです,ハーロックにはやはり井上氏の声がぴったりくるのです.また,この回から台羽正がユニフォームを着用しています.この制服についてのエピソードが原作にはあったのですが,アニメでは省略されていました.捕虜として捕えられたローラを前に「自爆スルダケ」と恐ろしい事を平然と言ってのけるミーメ,ローラを預けられた台羽をドクター・ゼロが心配する際の螢の表情,ハーロックのセリフ「マゾーンは人の心を弄ぶ.その恐ろしさを忘れた時,我々は戦わずしてマゾーンに破れる」,等印象的なシーンが多い回でした.この番組,マゾーン側のゲスト・キャラにも,主役級の声優さんを起用しておりますが,ローラの声は小山まみ(現・茉美)さんでした.


第12話 母よ,永遠なれ

脚   本:山崎 晴哉
演   出:明比 正行

 この物語を少年の成長の物語としてとらえるならば,主人公はハーロックではなく台羽正であり,この回あたりが前編の山場となるエピソードだと思います.それにしても.『999』における星野哲郎といい,この台羽正といい,松本作品における少年像は常に母への思慕を引きずっているキャラが多いのですが,もしかしたら松本零士という人, John Lennon 氏と並ぶマザコンかも? 次々と解きあかされるマゾーンの謎,生きていた司令アレルギアス,と物語は佳境に入ってゆきますが,その中で中心となるのはやはり台羽正,「これで三度目だぞ」とあくまで教師に徹するハーロック?


第13話 死の海の魔城

脚   本:上原 正三
演   出:りん・たろう

 「あの大昔の火薬か?」,「ディーゼル? 我が友が見たら涙を喜ぶだろう.あいつはそういったモノが好きだった」,原作にわりと忠実なハーロックのセリフ.切田長官「ハーロックめ,幽霊船まで味方にしおって」(爆).またこの回,ミーメのセリフが多くて非常に嬉しかったのです.ミーメ役の小原乃梨子さん,ハーロックの井上氏と並んでぴったりのキャスティングだと思います.このキャラに関しては原作以上にアニメの印象が強烈で,この番組見てミーメ・ファンになってしまった私は,まねしてアルコールを主食にしようとして肝臓こわしました(爆).ただし,マリンスノーに関する知識を披露する台羽に対するセリフ,「台羽クン,イロイロ知ッテイルノネ」に関しては,ちょっと違うな?って感じ,ミーメに『君づけ』は似合わないような気がしました.あとセリフといえば,台羽の「父さんのカタキだ」,ハーロックの「友よ!」,偉大なるワン・パターンではあります.アマンのエピソードに『浦島太郎』を結び付けてしまっているのには,いささか強引な感じがいたしましたが....?


第14話 スフィンクスの墓標

脚   本:上原 正三
演   出:生頼 昭憲

 この回,切田長官中心ということもあり,原作にはまったくないエピソードで,作品全体から見てちょっと異質な感じのする回でした.この切田長官,まゆと同様,原作には登場しないキャラで,かなり精神分裂入ってますが,ストーリー進行上,必要なキャラではあったと思います.しかし,放映回によって,『キルタ』になったり『キルダ』になったりして,製作スタッフもあまり重視していなかったのか,よく把握していなかったのか....? 印象に残ったセリフとしては,首相の「乱暴はいかんぞ,ハーロック」,何とはなく笑えました.ハーロックを救出しようといきりたつ台羽たちに対して,「砂漠デ埋モレテシマウヨウナ男デハアリマセン」と冷たいミーメ(笑).サソリを素手ではらい刺されてしまうお馬鹿な切田と,いきだおれのハーロックを救ったのは,弱冠7歳のまゆちゃんでした.はじめて語られる切田長官の過去と,スフィンクスに隠されたマゾーンの兵器,ちょっと待て,これを知ってて隠してた切田って,防衛庁長官として不適格なのでは.... 結局,『困ったときの友だのみ』で,無事救出されたハーロックと,精神分裂進んでしまった切田長官.この回,エンディングのキャスティングに,初めて『切田長官…柴田秀勝』とクレジットされてました.