必殺必中仕事屋稼業


第14話 招かれて勝負

監 督:工藤 栄一
脚 本:猪又 憲吾
ゲスト :亀石 征一郎/新藤 恵美/岡田 英次/頭師 孝雄/沢村 宗之助

 『腸捻転解消』のため,この回から放映局の系列が変ったため,ドラマの前半の部分がキャラクター設定等の再紹介に費やされているような感を受けますが,ストーリーそのものは前回の第13話の解決編といった感じでした.シリーズを通じて仕事屋最大の難敵と思われた岡田英次氏扮する板倉屋の殺しが,あまりにあっさりと何の障害もなく行われてしまったのには,何となく肩透かしを喰らったような感じがしてしまいました.


第15話 大当りで勝負

監 督:大熊 邦也
脚 本:大工原 正泰
ゲスト :山本 亘/榊原 るみ/戸浦 六宏/大橋 壮多

 今回登場する博打は何と『流鏑馬』,この場合もやっぱり『馬券』って言うのね? 半兵衛・政吉のみならずおせいやお春までが騒ぎ出す中,ひとり醒めた目で見ている利助.夢を追い続ける男と,現実を見つめる女.しかしながら,物語は後半に入りかなり悲惨な様相を呈してきます.「今回は仕事じゃないので金はいりません」,「勝っても嬉しくないときってあるんだな」,半兵衛の人間性がよく描かれていた回でした.


第16話 仕上げて勝負

監 督:蔵原 唯繕
脚 本:阿部 徹郎
ゲスト :菅 貫太郎/内田 朝雄/瑳峨 三智子/剣持 伴紀/山岸 映子

 今回は何と言ってもゲスト・瑳峨三智子さんの鬼気迫る怪演に尽きます.この人も早く亡くなったのね.


第17話 悟りて勝負

監 督:大熊 邦也
脚 本:横光 晃
ゲスト :渥美 国泰/関根 世津子/池部 良/酒井 靖乃/志賀 勝

 半兵衛さんというキャラクターを見事に掘り下げ,第10話,第15話に続いて『知らぬ顔の半兵衛』ならぬ『怒りの半兵衛』が見事に描かれた作品.さらに,熱く燃える中年男の半兵衛さんを,若者らしい覚めた眼で見つめる政吉,この頃のドラマって,キャラクター・人物設定が番組の進行と共に徹底的に行われていった感がして,物語に幅を持たせていたような気がしてます.凶暴なならず者役の志賀勝さんは流石の好演です.


第18話 はめ手で勝負

監 督:松野 宏軌
脚 本:松原 佳成
ゲス ト:左 時枝/睦 五郎/城所 英夫/轟 謙二/安達 大作/五味 龍太郎

 自らの出世のために女子供を犠牲にする救われない男を城所英夫氏が好演.何とも後味の悪い話ですが,今も昔もサラリーマン社会に生きる男って,どうしてこう情けないんだろうね? 今回は仕事人の影薄いです.


第19話 生かして勝負

監 督:蔵原 唯繕
脚 本:横光 晃
ゲスト :井上 昭文/池 玲子/浜村 純/水谷 邦久

 今回は女元締おせいさんの人間性を掘り下げて描いた作品.「私を裏切った」,「許せない」かなり激しい性格ですが,どういうわけか視聴者の共感を呼ぶのです.ある意味で本当に哀しい女を池玲子さんが見事に演じ切っており,ラストの殺しのシーンはシリーズ1・2を争う美しさだったと思います.あとやはり本当に哀れな男を見事に演じる浜村純氏は流石でした.


第20話 負けて勝負

監 督:松本 明
脚 本:田上 雄
ゲスト:二宮 さよ子/小坂 一也/津川 雅彦/入江 慎也/大迫 英喜

 今回は前回と対照的におせいさんの意外な一面が描かれていて楽しいです.「悔しいっ!」.博打の借りは博打で,ということで今回は殺しのシーンはありませんが,半兵衛・政吉の『スティング』は見事でした.とくにラストの勝負における政吉と伊三郎のやり取りは爆笑モノ.憎めない悪役を演じた津川雅彦さんも見事でしたが,林隆三さんのとぼけた演技が絶妙でした.


第21話 飛入りで勝負

監 督:松野 宏軌
脚 本:中村 勝行
ゲスト :香山 秀美/御木本 伸介/寺田 農/ゼンジー北京

 二転三転するシナリオに騙されてしまうのが痛快な回です.気になって見てみたら,この中村勝行さんて方が脚本書いてるの,今回だけなのよね…残念.渡りの仕事人・銀次に扮する寺田農さんがかっこいいですが,この人,シリーズ3作目の『助け人走る』でもおんなじようなことやっていなかったかしら? この方,東海大学の教授やっていたのよね.


第22話 脅して勝負

監 督:工藤 栄一
脚 本:横光 晃
ゲスト :稲葉 義男/上野山 功一/入川 保則/中井 啓輔/中村 孝雄/原田 あけみ/成瀬 正孝

 久しぶりの正統編といった感じ.悪役陣のゲストがそれぞれの持ち味を出していて見事ですが,その中でもやはり上野山功一さん,この方『キイハンター』なんかの常連の悪役さんでしたが,今回は『狼同心』と恐れられながら巨悪に利用されてあっさり殺されてしまう気の毒な男を見事に演じていて,存在感示しています.この前サイト見たら,『福島のコーモンちゃま』とかって腹話術やっているらしいです(笑).


第23話 取込まれて勝負

監 督:大熊 邦也
脚 本:大工原 正泰
ゲスト :河原崎 次郎/赤座 美代子/小松 方正/富田 浩太郎

 半兵衛・お春に子どもができた? この騒ぎをめぐっての半兵衛,政吉,おせいらそれぞれの人物描写が丁寧になされており,また,半兵衛とお春,半兵衛と政吉の精神的な繋がりが強調されているのがこの話の重要なポイントだと思います.半兵衛と政吉の殺しのシーンが第1話の再現となっているのもよくできています,そして,やはり赤座美代子さんと小松方正さん,このシリーズをもう一方で支えていたのは悪役の魅力です.


第24話 知られて勝負

監 督:松野 宏軌
脚 本:石川 孝人
ゲスト :川合 伸旺/宮部 昭夫/浜畑 賢吉/市毛 良枝

 隠し目付が登場するちょっとわけのわからない話.ストーリーの展開に頭の悪いでらちゃんはちょっとついていけなくなりました.後にシリーズで『からくり人』を演じる浜畑賢吉さんが冷徹な『隠し目付』を演じてますが,単なるカメオ出演ではなく,悪役の主役を堂々と演じています.あと,驚いたのは宮部昭夫さんと川合伸旺さん,スティーヴ・マックイーンとポール・ニューマンの声優さんの組み合わせ,『タワーリング・インフェルノ』だって思っていたら,このお2人2006年の6月17日と24日に相次いで亡くなっております.


第25話 乱れて勝負

監 督:松本 明
脚 本:素 一路
ゲスト :梅津 栄/浜 伸二/紀 比呂子/柳原 久仁夫

 この第25話と最終話,監督も脚本も違うし,それぞれ独立した作品として見ても十分によくできていると思うのですが,最終回の前編・後編として見た場合,さらに優れた作品として評価されるべき作品で,事実,この2話でこの番組は,『シリーズ最高傑作』の名声を獲得したものと思われます.この『前編』に関しては,政吉とおせい,半兵衛とお春,2組の人間関係に焦点があてられ,それぞれのキャラクター描写が徹底して行われ,ストーリーは佳境に入って行くのでした.


第26話 どたんば勝負

監 督:工藤 栄一
脚 本:村尾 昭
ゲスト :掘 勝之祐/島 米八/大木 実/黛 浩太郎

 7人のレギュラーのうち3人が死んでしまうというのは,シリーズ新記録(?)なんですが,それとは裏腹にテーマは『生きる』.母親であるおせいのために死を選んだ政吉と,後を追って自ら命を断とうとするおせい.それを許さず『ぶざまに生きる』ことこそ仕事屋の宿命と,『生きる』ことにこだわり続ける半兵衛と,「死なないで」とすがりつくお春.本当にこのシリーズ,『人間』がよく描かれていたと思います.ところでこの最終回,シリーズの重要なモチーフだった『博打』のシーンが初めて出てこない回でもありました.