怪奇大作戦


TBS 系 1968年 9月15日 〜1969年 3月 9日
日曜日 P.M. 7:00 〜 7:30 放映 全26話

監   修:円谷 英二
音楽監督:山本 直純
音   楽:玉木 宏樹
 

LD-BOX SHLY-501


CAST

牧 史郎 …

岸田 森

三沢 京介 …

勝呂 誉

野村 洋 …

松山 省二

小川 さおり …

小橋 玲子

的矢 忠 …

原 保美

町田警部 …

小林 昭二

次郎 …

中島 洋



第1話 壁ぬけ男

監 督:飯島 敏宏
脚 本:上原 正三
ゲスト :田口 計/岩本 多代/木田 三千雄/鮎川 浩/田中 志幸/山野 進/石井 房子/田村 保
ガジェット:特殊繊維・カラースプレーによる「壁抜け」/スペクトル破壊器

 本来はこの話が第1話となる予定じゃなかったそうです.この話自体作品としては犯罪の動機(単なる自己顕示欲)・手段(姿を隠しての窃盗)共に弱いためたいしたことはないのですが,最初に見た印象は強烈でした...多分子供ながら巨大ヒーローものに飽きがきてたんだと思います.今でも円谷プロの全作品中,このシリーズが一番好きです.この話の中では,黒子の扮装のまま犯人を追跡する町田警部(小林昭ニ氏)が笑えます.設定では『マン』のムラマツ38歳,町田警部48歳で,わずか1〜2年の間に10歳も歳を取らされてしまうというのもかわいそうな... 「どこかで見た顔だ」と言いつつ次の瞬間には「ファイル133」とファイル・ナンバーまで思い出している的矢所長(原保美氏)...どーゆー記憶力の持ち主なのか...? 『セブン』の『明日を探せ』で予知能力を持つ占師・安田を演じていた木田三千雄氏が今度は手品師役でゲスト出演しています.しかし圧死というのは痛そうでイヤです.


第2話 人喰い蛾

監 督:円谷 一
脚 本:金城 哲夫
ゲスト :杉田 康/町田 祥子/杉 裕之/森山 周一郎/剣持 伴紀/大沢 幸祐/宗方 勝己/弓 恵子
ガジェット:人間を溶かすチラス菌を持つ毒蛾/発信機

 『怪奇』の中ではわりと有名な作品ですが,残念ながら物語の中核である『蛾』と『死体』があまりにも作り物然としていてちゃっちいのです.作品の性格上,『マン』・『セブン』ではそれほど気にならなかった特撮の不自然さが目立ってしまうのもこのシリーズの不利な点だったと思います.ストーリー的には,何故犯人側がSRIの動きを察知したのか全く説明されていない点が不自然.蛾にじゃれついて溶けてしまう猫がかわいそう(蛇足ながら,このシーンだけ本物の蛾が使われてます).蛾をはらいのけて溶けてしまう犯人一味のボスの行動があまりに馬鹿すぎて不可解.ラスト・シーンの「蝶を捨てる」云々は突然でてくるので何のことかわからなかった人が多かったと思いますが,これは野村(松山省二氏)・さおり(小橋玲子氏)・次郎(中島洋氏)の3人が実験用の蝶をつかまえに行くシーンがカットされてしまったため.新田主任役の森山周一郎氏は『刑事コジャック』テリー・サバラス氏の吹替で有名ですが,『Q』の『ペギラが来た』にも出演していました.


第3話 白い顔

監 督:飯島 敏宏
脚 本:金城 哲夫/上原 正三
ゲスト :森 幹太/市川 瑛子/稲吉 靖/梶 哲也/石田 茂樹/北見 治一/西島 一/小池 泰光
ガジェット:高出力レーザーガン

 この回と第6話だけ,何故かキャスティングのトップが勝呂誉氏でなく岸田森氏になっています.当初の設定では物語のヒーローは勝呂氏扮する三沢京介で,岸田氏はあまりに大根な勝呂氏を補佐する役どころだったはずなのですが,実際のところ『怪奇大作戦』の主人公は岸田氏扮する牧史郎となったのはみなさんご存じの通りです.さて,この話で気になったのは冒頭の最初の被害者(岡田さん)が燃えるシーン...炎の向こう側にうずくまってるようにしか見えない.犯人のあのホータイ...食事のときはどーするのか? レーザー暴発→機械類爆発→建物炎上があまりに早すぎる...火薬庫じゃあるまいし... 第1話に続いてこの話でも「狂っている」というセリフが出てきます.


第4話 恐怖の電話

監 督:実相寺 昭雄
脚 本:佐々木 守
ゲスト :桜井 浩子/金田 喜久夫/武藤 英司/三戸部 スエ/湊 俊一/守田 比呂也/溝井 哲夫/中原 成男
ガジェット:空中放電装置

 実相寺監督作品,個人的に好きな作品のひとつです.『Q』の江戸川由利子・『マン』のフジ隊員・『セブン』の幻の第12話に出演していた桜井浩子氏がヒロイン・滝口令子を演じてますが,今回は目の前で人が燃えたり電話が爆発したりするたびに気絶する役柄で,今までと違うイメージでとてもキレイです.この話の中核となっているのは,捜査方法を巡って対立する牧と三沢の性格描写で,「先輩のやり方はあんまりだ!」と反発する三沢と「超音波だ!」と事件の解明にしか興味のない牧.事件の背景に小笠原諸島の返還なんかがあったりして,時代を感じさせます(この他にも「怪奇」には戦争にまつわるエピソードが多々出てきますが,この時期日本人の意識に戦争が深く傷を残していたことを感じさせられます).また,大和電機の社員が住んでいた部屋として四畳半が出てくるあたりも時代を感じさせてくれます...この頃は社会人でも四畳半一間に住んでる人珍しくなかったんですよね... 難点はこの作品も死体がチャチで本物らしさが感じられないこと.薬屋のシーンでの『アリナミン』ののぼりがあまりにもわざとらしい.あと,この時期すでに岸田氏の頭髪(特に後頭部)がかなり薄くなっていたことが確認できます.しかし電話ってイヤですね.


第5話 死神の子守歌

監 督:実相寺 昭雄
脚 本:佐々木 守
ゲスト :深山 マリ/戸浦 六宏/草野 大悟/中台 祥治/西条 康彦/飯野 節子/高野 フキ子/桜井 純子/木村 マチ子
ガジェット:スペクトルG線発射銃

 「狂っている」・「きХがХ」がセリフの中に出てきます.「10人の娘が旅に出て,『滝にうたれて1人目』・『橋から落ちて2人目』・『崖から転げて3人目』・『熊に喰われて4人目』・『蜂に刺されて5人目』が死んだ」と唄う『死神の子守歌』ですが,6人目以降がどうなったのか気になるところではあります...いやそんなことより,『唄のとおりに殺していく』必然性はまーったくないような気がするのですが... ヒロインの芸名が『高木京子』...芸名とは思えん... 出てくる雑誌名が『週刊芸能ジャーナル』...結構笑えます.第4話以上に大平洋戦争後遺症を感じさせる作品ですが,個人的には実相寺監督のこの2作品やはり好きです.


第6話 吸血地獄

監 督:円谷 一
脚 本:金城 哲夫
ゲスト :中山 克己/ローラ・マン/飯田 テル子/宮川 洋一/斉藤 英雄/里木 佐甫良/緒方 燐作/徳大寺 君枝/越後 憲
ガジェット:事故死の後、吸血鬼としての蘇生

 『セブン』のマナベ参謀・宮川洋一氏が別府警察署の刑事役でゲスト出演,でも九州弁にときどき関西弁が混ざるのは何故か? この頃あたし福岡に住んでいて別府にも行ったばかりだったもんで,作品中の風景や『血の池地獄』・『金竜地獄』嬉しかった記憶があります.作品としてはこの第6話から第8話まで,科学的に説明(こじつけ)できない部分が多くて,あまり感心しません.やはり『怪奇』の醍醐味は牧史郎がしゃべるところのわけのわからんけど説得力のある妙な理屈(?)だったりするのです.


第7話 青い血の女

監 督:鈴木 俊継
脚 本:若槻 文三
ゲスト :浜村 純/山中 紘/館 敬介/夏海 千佳子/鈴木 治夫/磯野 則子/荒瀬 友孝/劇団いろは
ガジェット:殺人人形

 殺人人形をあやつるのは老人ではなく人形だった? この犯人だった人形のことをラストで『あれ』と呼んでますが,「『あれ』は一体何だったんだろう?」という牧のセリフがこの話のすべてだと思います.しかし,今になって見ると『寂しい老人』ではなく『単なる変態オヤジ』としか思えませんが... オルゴールから聞こえる『こんにちは赤ちゃん』...梓さんこんなところで使ってますよお? 三沢の額のХ印の絆創膏がおまぬけ.むかしの知り合いで,「夜な夜な動き回りそうな気がするのでアンティック人形が嫌い」って言ってた女の子がいましたが,こんなイメージかね? 個人的にはこの殺人人形の顔好きです(ちゃんと眉がつりあがっているあたり芸が細かい).


第8話 光る通り魔

監 督:円谷 一
脚 本:上原 正三/市川 森一
ゲスト :田村 奈美/中村 孝雄/寄山 弘/勝部 義雄/伊藤 弘一/田辺 和佳子/西川 敬三郎/友野 多介
ガジェット:燐光人間/亜硫酸ガス

 『Q』・『マン』・『セブン』でもゲスト出演していた田村奈己氏が改名して出演.阿蘇山ロケ...九州づいてますね? 「彼女は無実です」「どうしてそんなことがわかる?」「ぼくのフィアンセだからです」で何も言えなくなってしまう町田警部,容疑者・山本宅を訪ねるときだけ何故かすでにSRI 特製ジャケットを着ている牧と野村,遠藤周作の『沈黙』の中から出てきた東京駅西口ロッカーの鍵...この頃は利用期間無制限だったのでしょうね,有史以前すべての生物が地獄の熱の中から這い上がってきた...妙に説得力のある牧の推論,SRI 特製ビールで簡単に容疑者(?)を葬り去ってしまうラスト,考えようによってはすっごいシュールな作品ではございませんこと?


第9話 散歩する首

監 督:小林 恒三
脚 本:若槻 文三
ゲスト :鶴賀 二郎/都築 克子/笠 達也/本間 文子/中井 啓輔/糸 博/園田 裕久/維田 修二/伊藤 慶子
ガジェット:浮遊する生首/ジギタリス

 冒頭のシーンで登場する『タケダのプラッシー』50円(何と牛乳は25円),エンディングの『アリナミン』のネオン,どうもこのシリーズはこれまでと違って,スポンサーが宣伝に力入れてるようです.あと東京の地名というと何故か『世田谷』が出てくる(この話で3回目).そんな事はどーでもいいのですが... 『Q』の『クモ男爵』・『セブン』の『月世界の戦慄』に出演していた鶴賀二郎氏が狂気の科学者・峰村をうまく演じてます.ラスト,律子の死体が起き上がり自分を殺そうとした星野を指差すということで,峰村の実験は成功するわけですが,ここで? 考えてみると星野は殺意を抱いてはいたけど実行には移してないんだから,別に責められる必要はないのでは...などと考えてしまいましたが?


第10話 死を呼ぶ電波

監 督:長野 卓
脚 本:福田 純
ゲスト :竜崎 一郎/花川 晃/瀬良 明/須藤 のり子/古谷 敏/町田 博子/高松 加奈子/門脇 三郎/清水 良二/関 登美雄/島田 彰
ガジェット:殺人電波発射テレビ

 ケムール人・ウルトラマン・『セブン』のアマギ隊員を演じていた古谷敏氏がゲスト出演してますが,物語の冒頭であっけなく殺されてしまいます.天才科学者による復讐ものですが,ストーリー展開のポイントとなる犯人のマンション及びその一室をつきとめるまでの経緯があまりに大雑把すぎて不明瞭なのが残念...30分番組だからしかたないか? 逮捕されそうになって放電機械の中に身を投げ出す犯人...サイズからして自殺用に用意されていたとしか思えん...準備のいい犯罪者です.ラストシーンに出てくる『復讐日記・小山内健二』と表紙に書かれた大学ノート...ふつうそんなもんにタイトルつけたり名前書いたりする?


第11話 ジャガーの眼は赤い

監 督:小林 恒雄
脚 本:高橋 辰雄
ゲスト :清川 新吾/島田 多恵子/松本 朝夫/稲垣 昭三/高桑 勉/盛永 裕一/南 佑輔/岡部 正/橘 正晃/小鯖 勇/宅島 渓/井上 博一
ガジェット:ホログラフィ立体映像装置

 ストーリーのポイントにウルトラセブンの着ぐるみが出てくる円谷プロのお遊び.誘拐される少年たちの父親役で『マン』の『怪獣無法地帯』・『セブン』の『緑の恐怖』で重要な役割を演じていた松本朝夫氏が出演しています.さて,この話よくわからないのは,結局はフォログラフィー研究の資金を必要とした犯人による営利誘拐の話なんですが,身代金を取るのが目的なら兄弟2人とも誘拐する必要などないのでは...何で危険を犯してまで2人目(弟)を誘拐する必要があったのか? 次に身代金は取れない,兄弟には逃げられるでせっぱつまった犯人が弟の方をつかまえてフォログラフィーで嘘の映像を見せて崖から落として殺そうとするシーン...そんなまだるっこしい殺し方しなきゃいけない理由がわからん...今さらフォログラフィーの実験やってる段階でもないだろうに... 犯人のセリフに「俺を『きХがХ』だと思っている...」というのが出てきますが,これじゃ『きХがХ』でもなんでもなく単なるバカです.


第12話 霧の童話

監 督:飯島 敏宏
脚 本:上原 正三
ゲスト :吉田 義夫/和久井 節緒/高野 浩幸/奥野 匡/林 孝一/永井 譲滋/阿知波 信介/大野 広高/富永 一矢/田所 千鶴子/西 朱美/松木 聖/アニー・ブライン/ブルース・ベーリー/水郷 千景
ガジェット:落武者の亡霊/精神錯乱ガス

 『セブン』の『地震源Хを倒せ』・岩村博士を演じていた吉田義夫氏とソガ隊員の阿知波信介氏がそれぞれ加害者と被害者を演じている『セブン』ファンにとっては嬉しい作品ですが,『怪奇』の中ではそれほど優れた作品ではないのではないかとでらちゃんは思います.土地に固執する老人と外国資本と大平洋戦争をからめた話で,それなりに独特な雰囲気を持った作品ではあるのですが,惜しいことに脚本が弱い.殺されそうになる三沢が,少年・健一の通報で町田警部や牧たちに助けられ事件は終りを告げるのですが,その過程がうまく描ききれていないため,見てる方は何が何だかさっぱりわからん... 事件終了後,事件の舞台だった鬼野村が鉄砲水に襲われ,かえって開発が容易になるというくだりも,作者が何を言いたいのかよくわからん... 脚本次第ではもっと面白い作品になったと思われるだけに残念です.あとこのシリーズの中で町田警部はやたらと人にタバコをねだるのですが,自分が叱りつけた村の駐在にまでねだらないでほしいです.


第13話 氷の死刑台

監 督:安藤 達己
脚 本:若槻 文三
ゲスト :西沢 利明/住吉 正博/増田 順司/真弓田 一夫/邦 創典/阿美本 昌子/清水 尊代子/成合 晃
ガジェット:冷凍人間/サンビーム500

 冒頭のシーンで殺されるオヤジの演技が下手すぎる,「凍り付いた足音をひきはがすような」音って一体何でしょう? 物語の内容をセリフにしただけ.凍り付いた息を吐くようなあんな目立つ人間がどうやって姿を隠し続けられるのか?等,アラの目立つ作品ではありますが,それなりに楽しめる作品ではあります.ラスト,いくら冷凍人間だからってあんなに簡単に逮捕しようともせずに殺しちゃイケナイんじゃないの?とは思いますが,7年間も『氷の死刑台』で殺され続けてきた男の救済だからいいのかしら? どこか勝手な理屈のような気がしますが... 『ウルトラマン』の『遊星から来た兄弟』でチョイ役で出演していた住吉正博氏が今回はわりと重要な役を演じています.


第14話 オヤスミナサイ

監 督:飯島 敏宏
脚 本:藤川 桂介
ゲスト :佐々木 功/北島 マヤ/関田 裕/池田 忠夫
ガジェット:睡眠学習装置

 大好きな作品です.山奥のヒュッテを舞台に話がすすめられていきますが,かなり上質のミステリーを感じさせてくれます.話が進むに従って,『不測の事態に対する犯人の対応があまりにも見事すぎるのではないか』との感じを受けますが,物語のラスト,牧の解説によってその疑問も氷解します.藤川桂介氏の脚本が冴え渡っていると思います.佐々木功氏が犯人と被害者の二役を,北島マヤ氏がかわいそ〜なヒロインをそれぞれうまく演じています.


第15話 24年目の復讐

監 督:鈴木 俊継
脚 本:上原 正三
ゲスト :天本 英世/山本 廉/夏 珠美/美山 ユミ/ジャック・モーリス/山田 彰
ガジェット:水棲人間

 この作品も好きです.基地の街・横須賀を舞台に繰り広げられる『怪奇』の中でも当時の日本の『戦争の傷跡』を最も強く感じさせる作品です.あたしの現在住んでいる御殿場も海はありませんが,以前はアメリカの兵隊さんが大勢歩いていたりして,あんな感じだった記憶があります.この作品でも「狂ってる」というセリフがでてきます.以前の話で戦争の頃牧は5歳だったというエピソードがありましたが,この話では昭和16年12月8日生まれとなっており,矛盾が見られます.


第16話 かまいたち

監 督:長野 卓
脚 本:上原 正三
ゲスト :加藤 修/浅野 進治郎/池田 駿介/若山 真樹/波多野 克典/寺田 柾/星 重則/外波山 文明/松尾 文人/藤城 裕士/中島 恵美子/亀島 笙子/右田洋子
ガジェット:真空切断装置

 現代に通じる『不条理な犯罪』を描いた佳作.ひょっとしたらシリーズ中この犯人が一番コワイかもしれません.何度か出てくる「イタチのような眼をして...」という表現,いくらタイトルが『かまいたち』だからって安易すぎません? 「貴様がおでんを食ってる間に...」何となくマヌケな牧の台詞.的矢所長「まあまあ...せめて犬ころだったのが不幸中の幸いだ...」よくない! 犯人役の加藤修さんは,声優さんとは同名の別人です.


第17話 幻の死神

監 督:仲木 繁夫
脚 本:田辺 虎夫
ゲスト :三田村 元/猪又 光代/上西 弘次/藤沢 陽一/水内 強/中山 美智子/山陽放送サービスプロダクション/エンベル・アルテンバイ(ノンクレジット)
ガジェット:特殊X線照射装置/光源体パーフェクトライト

 円谷プロ恒例の下田ロケ.三沢「白い手や女の亡霊が出ましてね」,「そうか? それは大変だな...」脳天気な牧.さてこの話,密輸団が亡霊伝説を利用して人ばらいをするだけの話なんですが,だとすると最初の方で出てくるバーバラさんの首にかかった宝石泥棒のシーンは何だったのか? ウルトラセブン・上西弘次氏が素顔で出演しています.


第18話 死者がささやく

監 督:仲木 繁夫
脚 本:若槻 正弘
ゲスト :牧 紀子/岩本 弘司/景山 泉/勝部 義夫/松浦 康/緒方 燐作/渡辺 白洋児
ガジェット:ユニ・ポリエステル製の指紋手袋/コンパクト型録音機/小型カメラ

 前回に続いて下田ロケ,動き回るのは的矢所長と三沢,牧とさおりはお留守番,今回は野村の出番はありません(前回は東京から下田までおつかい).この作品,結構ミステリーとしては見られるのですが,ラストのトリックの発覚が偶然すぎていただけません.この下田ロケの2作品,シリーズの中だるみか,あまりいい出来ではないような気がします.


第19話 こうもり男
監 督:安藤 達己
脚 本:上原 正三
ゲスト :三田 登喜子/平原 弘子/伊藤 惣一/竹田 法一/溝上 義之/滝川 浩
ガジェット:リモコン蝙蝠/小型ジェット噴射

 第2話の『蛾』と同じく『こうもり』があまりに作り物じみている...と思ってたら本当に作り物なので良かったのでした.あいかわらず額に絆創膏の三沢...今回はX印じゃないけどやはりマヌケです.町田警部の台詞「いきがりすぎたな!こうもり男!」で爆笑.所長が仮死剤を飲まされたというくだりで,「ジュリエットが飲んだのと同じね?」とのたまうさおり.一度捕らえた的矢所長を帰しておきながら,妻の命日に合わせて再度拉致するヘンな犯人.仕掛けらしい仕掛け・凶器はでてきませんが,けっこうシュールで笑える作品でした.ラスト,簡単に犯人を殺してしまう的矢所長...どうも SRI って簡単に犯人を殺してしまう傾向があるようです.しかも今回は『燐光人間』や『冷凍人間』とは違うふつ〜の人間で,しかも殺人は未遂に終っているのだから,逮捕しようともせずに殺してはまずいのでは...? 家族や自分が襲われたことへの『私怨』と思われても仕方がないような気がしますが...


第20話 殺人回路

監 督:福田 純
脚 本:市川 森一/福田 純
ゲスト :平田 昭彦/宇佐美 淳也/神田 隆/キャシー・ホーラン/杉 裕之
ガジェット:CRTディスプレイ

 コンピュータを扱った犯罪の話にしてはあまりに荒唐無稽な話ですが,『絵から抜け出すダイアナの幽霊』のイメージと共にわりと好きな作品です.SRI の夜食にさりげなく出てくる『タケダのプラッシー』.『マン』の岩本博士・『セブン』のヤナガワ参謀でおなじみの平田昭彦が珍しく悪役を演じていますが,弓をつがえるダイアナの映像に向って「何だ貴様?」で爆笑.


第21話 美女と花粉

監 督:福田 純
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :田島 和子/安藤 敏夫/矢田 稔/桔梗 恵二郎/安藤 敏夫/石井 浩/中村 てるみ/深谷 みさを/向 精七/山本 武/松本 紘一/植田 峻/安西 徳三郎/劇団変身
ガジェット:アルコールと反応する熱帯植物の花粉

 シリーズも終盤に入りこの第21話以降,傑作・佳作が続きます.この話も好きな作品のひとつです.女性の犯罪者ってコワくて好きです(ヘン?).今回流れてくるのは水前寺清子の『365歩のマーチ』どうも番組のイメージに合わんな... さてこの回で印象に残っているのは... 調査をしぶる野村に「とにかくやってみるというのが SRI の精神」と諭す的矢所長...それって非科学的な精神論だと思うけど... 各国大使館のお偉方が常連の会員制クラブに集まるマニキュア男たち...どーゆー会員制クラブなんだろうか? そのひとりが言う台詞「今は男も化粧する時代ですよ.マニキュアくらい常識でしょ?」...それらしい人が言うと説得力あるんだろうけど,言ってる本人はっきり言って醜男(笑).容疑者を尾行中,逆に警官に通報されて逃げ出す野村...逃げる必要ないじゃん? 同じくまっ赤っ赤の目立つ服装で尾行するさおり...気付かれない方がおかしい.犯人は『トルコ風呂経営者のお嬢さん』とのことですが,ここで言うトルコ風呂とはサウナの事で,現在のソープランドのことではないようです.ヒロインの田島和子さんは草野大悟さんの奥様です.


第22話 果てしなき暴走

監 督:鈴木 俊継
脚 本:市川 森一
ゲスト :久万里 由香/久里 みのる/近藤 宏/椎谷 健一/五條 真紀/柳家 せん一/中島 恵美子
ガジェット:車の排気ガスに混入したGガス(精神錯乱ガス)

 「かーッこいい!」と SRI 専用車トータスをかっぱらうバカとしか思えんフーテンのカップル...あの車,かっこいいかしら? あとキーをつけっぱなしで電話しに行く三沢もバカだが,GSの店員は何をしていたのか? そのトータスが女子大生をはね殺してしまうのですが,よく見るとこの女子大生はねられる前から道路にしゃがみこんでしまっています(笑).かけつけた三沢「人の命を何だと思ってやがる! かっこばっかりつけやがって!」...格好つけてるとは思えません... 『安い』という理由だけで1万円の事故車を買っておきながら,他人の車の整備にケチをつけるバカな野村.その車が流す排気ガスが実は凶器なのですが,それだったらもっと多くの車が事故起こしそうな気がするのですが? 怪しい車を追跡調査し,間一髪三沢を脱出させる牧....ちょっと待って,もし脱出後の車が人命を奪ったらどう申し開きするつもりだったのかしら? 子供というよりバカとしか思えん車の持主の少女歌手.バカばっかり出てくる騒々しい話のようですが,ラスト「車に頼まれた」と言葉を残して絶命する犯人...無気味でやりきれない余韻を残す作品です.


第23話 呪いの壷

監 督:実相寺 昭雄
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :花ノ本 寿/浮田 左武郎/北村 英三/松川 純子/北原 将光/西山 辰夫
ガジェット:リュート物質

 実相寺監督作品.京都ロケ.代々贋物作りをやらされてきた家の犯人がつぶやく台詞「これじゃ一生親父の名は出ずじまいや」...ちょっと待て,贋物作りの名前が出ちゃったらかえってまずかろーが? リュート物質の名を聞いて「何だね?その笛みたいな名前の物質は?」と的矢所長...あんた仮にも SRI(科学捜査研究所)の所長だろーが.リュート物質で爆発炎上する寺が,短時間ですが久々にモノすごくて良かったです.この作品にはさおり役の小橋氏は出てきません.


第24話 狂鬼人間

監 督:満田 かずほ
脚 本:山浦 弘靖
ゲスト :姫 ゆり子/笹岡 勝治/和田 良子/大村 千吉/水野 小夜子/依田 英介/入江 正徳/杉田 紘助/林 よし子/山田 圭介/新 裕子/演劇集団・変身
ガジェット:脳波変調機

 問題の第24話.LD BOX が発売後すぐに店頭から回収された(あたし予約注文してあったので手に入れることができました)のも,BS でのシリーズ再放送が中断されたのもこの作品のせいらしいです.なんせ何回台詞の中に『きXがX』が出てきたことか? 他にも『精神異常者』『精神病者』『狂わせ屋』等ヤバそうな言葉がどんどん出て来ます.金をもらって機械で依頼人を一時的に狂わせて殺人を行わせる女(かつて家族を狂人に殺された―狂人の犯罪を容認する社会への復讐が動機)の話ですが,物語りの中で出てくるように「『きXがX』による犯罪が野放しになっているこの国」において,また『きXがX』ではありませんが,クスリやアルコールによる犯罪が年々増えている状況下においても,ひとりでも多くの人に見てもらいたい作品だと思います.そういう意味であたしはこの作品をシリーズのベスト1にあげたいと思うよ.だいたいすぐに差別だの蔑視だのって騒ぎ立てるけど,人間社会って差別と不公平の上になりたっている部分があるのがあたりまえだと思うのですが...これ以上書くと怒られそうだからやめます.「あの人は狂わせ屋です」「わかった,気を狂わせる商売のことだね?」...なんとなくおマヌケな枚の返答.父親の形見の軍用ピストル...そんなもん持ってた人って結構いたのかしらん? 最後にやはり狂人を演らせたら最高の大村千吉氏


第25話 京都買います

監 督:実相寺 昭雄
脚 本:佐々木 守
ゲスト :斉藤 チヤ子/岩田 直二/佐藤 祐爾
ガジェット:カドニウム光線発振器による物質電送

 実相寺監督作品,京都ロケ第2作.甘く切ないストーリーと冬の京都をバックにしたその映像美でシリーズの最高傑作として人気の高い作品ですが,個人的には「何か違うな?」って感じのする作品です.実際にストーリーも良く出来ているし,演像も素晴らしいとは思いますが,シリーズの1話として見た場合,この第25話と最終話,他の作品とかけ離れた感がするのは否めません.つまりはきれいすぎて,拍子抜けがしてしまうのです.少なくとも私が『怪奇大作戦』に求めたのは,こういう作品ではなかったのは事実です.この話における最大の疑問点は,何故実行犯である美弥子が逮捕はおろか連行もされないのか? この回だけエンディングの主題歌のバックにS.E.(街の喧噪)が流れているあたり,実相寺監督の芸の細かさを感じさせられました.


第26話 ゆきおんな

監 督:飯島 敏宏
脚 本:藤川 桂介
ゲスト :小松 方正/松木 路子/阿倍 希郎/上西 弘次/宮 浩之/大木 史朗/山口 雅生/岡崎 夏子/那須ロイヤルダンスチーム
ガジェット:雪女

 ...というわけで,この最後の2作品についてはシリーズと別モノ作品として鑑賞した方が正解だと思います.『怪奇大作戦』なんだから,もっとおどろおどろしく汚い映像を期待してしまうのです(ヘン?).以上の点を抜きにして見るならば,この作品もわりと良くできてるしそれなりに楽しめます.SRI メンバーの変装が結構笑えます.変装した三沢と間違えて赤の他人に蹴りを入れて謝りもしないさおり...非常識な女だ.今回1シーンで聴けるのはいしだあゆみの『ブルーライトヨコハマ』.ウルトラセブン・上西弘次氏が再度登場.『ゆきおんな』は妖怪でも超常現象でもありません.