怪奇大作戦


第1話 壁ぬけ男

監 督:飯島 敏宏
脚 本:上原 正三
ゲスト :田口 計/岩本 多代/木田 三千雄/鮎川 浩/田中 志幸/山野 進/石井 房子/田村 保
ガジェット:特殊繊維・カラースプレーによる「壁抜け」/スペクトル破壊器

 本来はこの話が第1話となる予定じゃなかったそうです.この話自体作品としては犯罪の動機(単なる自己顕示欲)・手段(姿を隠しての窃盗)共に弱いためたいしたことはないのですが,最初に見た印象は強烈でした...多分子供ながら巨大ヒーローものに飽きがきてたんだと思います.今でも円谷プロの全作品中,このシリーズが一番好きです.この話の中では,黒子の扮装のまま犯人を追跡する町田警部(小林昭ニ氏)が笑えます.設定では『マン』のムラマツ38歳,町田警部48歳で,わずか1〜2年の間に10歳も歳を取らされてしまうというのもかわいそうな... 「どこかで見た顔だ」と言いつつ次の瞬間には「ファイル133」とファイル・ナンバーまで思い出している的矢所長(原保美氏)...どーゆー記憶力の持ち主なのか...? 『セブン』の『明日を探せ』で予知能力を持つ占師・安田を演じていた木田三千雄氏が今度は手品師役でゲスト出演しています.しかし圧死というのは痛そうでイヤです.


第2話 人喰い蛾

監 督:円谷 一
脚 本:金城 哲夫
ゲスト :杉田 康/町田 祥子/杉 裕之/森山 周一郎/剣持 伴紀/大沢 幸祐/宗方 勝己/弓 恵子
ガジェット:人間を溶かすチラス菌を持つ毒蛾/発信機

 『怪奇』の中ではわりと有名な作品ですが,残念ながら物語の中核である『蛾』と『死体』があまりにも作り物然としていてちゃっちいのです.作品の性格上,『マン』・『セブン』ではそれほど気にならなかった特撮の不自然さが目立ってしまうのもこのシリーズの不利な点だったと思います.ストーリー的には,何故犯人側がSRIの動きを察知したのか全く説明されていない点が不自然.蛾にじゃれついて溶けてしまう猫がかわいそう(蛇足ながら,このシーンだけ本物の蛾が使われてます).蛾をはらいのけて溶けてしまう犯人一味のボスの行動があまりに馬鹿すぎて不可解.ラスト・シーンの「蝶を捨てる」云々は突然でてくるので何のことかわからなかった人が多かったと思いますが,これは野村(松山省二氏)・さおり(小橋玲子氏)・次郎(中島洋氏)の3人が実験用の蝶をつかまえに行くシーンがカットされてしまったため.新田主任役の森山周一郎氏は『刑事コジャック』テリー・サバラス氏の吹替で有名ですが,『Q』の『ペギラが来た』にも出演していました.


第3話 白い顔

監 督:飯島 敏宏
脚 本:金城 哲夫/上原 正三
ゲスト :森 幹太/市川 瑛子/稲吉 靖/梶 哲也/石田 茂樹/北見 治一/西島 一/小池 泰光
ガジェット:高出力レーザーガン

 この回と第6話だけ,何故かキャスティングのトップが勝呂誉氏でなく岸田森氏になっています.当初の設定では物語のヒーローは勝呂氏扮する三沢京介で,岸田氏はあまりに大根な勝呂氏を補佐する役どころだったはずなのですが,実際のところ『怪奇大作戦』の主人公は岸田氏扮する牧史郎となったのはみなさんご存じの通りです.さて,この話で気になったのは冒頭の最初の被害者(岡田さん)が燃えるシーン...炎の向こう側にうずくまってるようにしか見えない.犯人のあのホータイ...食事のときはどーするのか? レーザー暴発→機械類爆発→建物炎上があまりに早すぎる...火薬庫じゃあるまいし... 第1話に続いてこの話でも「狂っている」というセリフが出てきます.


第4話 恐怖の電話

監 督:実相寺 昭雄
脚 本:佐々木 守
ゲスト :桜井 浩子/金田 喜久夫/武藤 英司/三戸部 スエ/湊 俊一/守田 比呂也/溝井 哲夫/中原 成男
ガジェット:空中放電装置

 実相寺監督作品,個人的に好きな作品のひとつです.『Q』の江戸川由利子・『マン』のフジ隊員・『セブン』の幻の第12話に出演していた桜井浩子氏がヒロイン・滝口令子を演じてますが,今回は目の前で人が燃えたり電話が爆発したりするたびに気絶する役柄で,今までと違うイメージでとてもキレイです.この話の中核となっているのは,捜査方法を巡って対立する牧と三沢の性格描写で,「先輩のやり方はあんまりだ!」と反発する三沢と「超音波だ!」と事件の解明にしか興味のない牧.事件の背景に小笠原諸島の返還なんかがあったりして,時代を感じさせます(この他にも「怪奇」には戦争にまつわるエピソードが多々出てきますが,この時期日本人の意識に戦争が深く傷を残していたことを感じさせられます).また,大和電機の社員が住んでいた部屋として四畳半が出てくるあたりも時代を感じさせてくれます...この頃は社会人でも四畳半一間に住んでる人珍しくなかったんですよね... 難点はこの作品も死体がチャチで本物らしさが感じられないこと.薬屋のシーンでの『アリナミン』ののぼりがあまりにもわざとらしい.あと,この時期すでに岸田氏の頭髪(特に後頭部)がかなり薄くなっていたことが確認できます.しかし電話ってイヤですね.


第5話 死神の子守歌

監 督:実相寺 昭雄
脚 本:佐々木 守
ゲスト :深山 マリ/戸浦 六宏/草野 大悟/中台 祥治/西条 康彦/飯野 節子/高野 フキ子/桜井 純子/木村 マチ子
ガジェット:スペクトルG線発射銃

 「狂っている」・「きХがХ」がセリフの中に出てきます.「10人の娘が旅に出て,『滝にうたれて1人目』・『橋から落ちて2人目』・『崖から転げて3人目』・『熊に喰われて4人目』・『蜂に刺されて5人目』が死んだ」と唄う『死神の子守歌』ですが,6人目以降がどうなったのか気になるところではあります...いやそんなことより,『唄のとおりに殺していく』必然性はまーったくないような気がするのですが... ヒロインの芸名が『高木京子』...芸名とは思えん... 出てくる雑誌名が『週刊芸能ジャーナル』...結構笑えます.第4話以上に大平洋戦争後遺症を感じさせる作品ですが,個人的には実相寺監督のこの2作品やはり好きです.


第6話 吸血地獄

監 督:円谷 一
脚 本:金城 哲夫
ゲスト :中山 克己/ローラ・マン/飯田 テル子/宮川 洋一/斉藤 英雄/里木 佐甫良/緒方 燐作/徳大寺 君枝/越後 憲
ガジェット:事故死の後、吸血鬼としての蘇生

 『セブン』のマナベ参謀・宮川洋一氏が別府警察署の刑事役でゲスト出演,でも九州弁にときどき関西弁が混ざるのは何故か? この頃あたし福岡に住んでいて別府にも行ったばかりだったもんで,作品中の風景や『血の池地獄』・『金竜地獄』嬉しかった記憶があります.作品としてはこの第6話から第8話まで,科学的に説明(こじつけ)できない部分が多くて,あまり感心しません.やはり『怪奇』の醍醐味は牧史郎がしゃべるところのわけのわからんけど説得力のある妙な理屈(?)だったりするのです.


第7話 青い血の女

監 督:鈴木 俊継
脚 本:若槻 文三
ゲスト :浜村 純/山中 紘/館 敬介/夏海 千佳子/鈴木 治夫/磯野 則子/荒瀬 友孝/劇団いろは
ガジェット:殺人人形

 殺人人形をあやつるのは老人ではなく人形だった? この犯人だった人形のことをラストで『あれ』と呼んでますが,「『あれ』は一体何だったんだろう?」という牧のセリフがこの話のすべてだと思います.しかし,今になって見ると『寂しい老人』ではなく『単なる変態オヤジ』としか思えませんが... オルゴールから聞こえる『こんにちは赤ちゃん』...梓さんこんなところで使ってますよお? 三沢の額のХ印の絆創膏がおまぬけ.むかしの知り合いで,「夜な夜な動き回りそうな気がするのでアンティック人形が嫌い」って言ってた女の子がいましたが,こんなイメージかね? 個人的にはこの殺人人形の顔好きです(ちゃんと眉がつりあがっているあたり芸が細かい).


第8話 光る通り魔

監 督:円谷 一
脚 本:上原 正三/市川 森一
ゲスト :田村 奈美/中村 孝雄/寄山 弘/勝部 義雄/伊藤 弘一/田辺 和佳子/西川 敬三郎/友野 多介
ガジェット:燐光人間/亜硫酸ガス

 『Q』・『マン』・『セブン』でもゲスト出演していた田村奈己氏が改名して出演.阿蘇山ロケ...九州づいてますね? 「彼女は無実です」「どうしてそんなことがわかる?」「ぼくのフィアンセだからです」で何も言えなくなってしまう町田警部,容疑者・山本宅を訪ねるときだけ何故かすでにSRI 特製ジャケットを着ている牧と野村,遠藤周作の『沈黙』の中から出てきた東京駅西口ロッカーの鍵...この頃は利用期間無制限だったのでしょうね,有史以前すべての生物が地獄の熱の中から這い上がってきた...妙に説得力のある牧の推論,SRI 特製ビールで簡単に容疑者(?)を葬り去ってしまうラスト,考えようによってはすっごいシュールな作品ではございませんこと?


第9話 散歩する首

監 督:小林 恒三
脚 本:若槻 文三
ゲスト :鶴賀 二郎/都築 克子/笠 達也/本間 文子/中井 啓輔/糸 博/園田 裕久/維田 修二/伊藤 慶子
ガジェット:浮遊する生首/ジギタリス

 冒頭のシーンで登場する『タケダのプラッシー』50円(何と牛乳は25円),エンディングの『アリナミン』のネオン,どうもこのシリーズはこれまでと違って,スポンサーが宣伝に力入れてるようです.あと東京の地名というと何故か『世田谷』が出てくる(この話で3回目).そんな事はどーでもいいのですが... 『Q』の『クモ男爵』・『セブン』の『月世界の戦慄』に出演していた鶴賀二郎氏が狂気の科学者・峰村をうまく演じてます.ラスト,律子の死体が起き上がり自分を殺そうとした星野を指差すということで,峰村の実験は成功するわけですが,ここで? 考えてみると星野は殺意を抱いてはいたけど実行には移してないんだから,別に責められる必要はないのでは...などと考えてしまいましたが?


第10話 死を呼ぶ電波

監 督:長野 卓
脚 本:福田 純
ゲスト :竜崎 一郎/花川 晃/瀬良 明/須藤 のり子/古谷 敏/町田 博子/高松 加奈子/門脇 三郎/清水 良二/関 登美雄/島田 彰
ガジェット:殺人電波発射テレビ

 ケムール人・ウルトラマン・『セブン』のアマギ隊員を演じていた古谷敏氏がゲスト出演してますが,物語の冒頭であっけなく殺されてしまいます.天才科学者による復讐ものですが,ストーリー展開のポイントとなる犯人のマンション及びその一室をつきとめるまでの経緯があまりに大雑把すぎて不明瞭なのが残念...30分番組だからしかたないか? 逮捕されそうになって放電機械の中に身を投げ出す犯人...サイズからして自殺用に用意されていたとしか思えん...準備のいい犯罪者です.ラストシーンに出てくる『復讐日記・小山内健二』と表紙に書かれた大学ノート...ふつうそんなもんにタイトルつけたり名前書いたりする?


第11話 ジャガーの眼は赤い

監 督:小林 恒雄
脚 本:高橋 辰雄
ゲスト :清川 新吾/島田 多恵子/松本 朝夫/稲垣 昭三/高桑 勉/盛永 裕一/南 佑輔/岡部 正/橘 正晃/小鯖 勇/宅島 渓/井上 博一
ガジェット:ホログラフィ立体映像装置

 ストーリーのポイントにウルトラセブンの着ぐるみが出てくる円谷プロのお遊び.誘拐される少年たちの父親役で『マン』の『怪獣無法地帯』・『セブン』の『緑の恐怖』で重要な役割を演じていた松本朝夫氏が出演しています.さて,この話よくわからないのは,結局はフォログラフィー研究の資金を必要とした犯人による営利誘拐の話なんですが,身代金を取るのが目的なら兄弟2人とも誘拐する必要などないのでは...何で危険を犯してまで2人目(弟)を誘拐する必要があったのか? 次に身代金は取れない,兄弟には逃げられるでせっぱつまった犯人が弟の方をつかまえてフォログラフィーで嘘の映像を見せて崖から落として殺そうとするシーン...そんなまだるっこしい殺し方しなきゃいけない理由がわからん...今さらフォログラフィーの実験やってる段階でもないだろうに... 犯人のセリフに「俺を『きХがХ』だと思っている...」というのが出てきますが,これじゃ『きХがХ』でもなんでもなく単なるバカです.


第12話 霧の童話

監 督:飯島 敏宏
脚 本:上原 正三
ゲスト :吉田 義夫/和久井 節緒/高野 浩幸/奥野 匡/林 孝一/永井 譲滋/阿知波 信介/大野 広高/富永 一矢/田所 千鶴子/西 朱美/松木 聖/アニー・ブライン/ブルース・ベーリー/水郷 千景
ガジェット:落武者の亡霊/精神錯乱ガス

 『セブン』の『地震源Хを倒せ』・岩村博士を演じていた吉田義夫氏とソガ隊員の阿知波信介氏がそれぞれ加害者と被害者を演じている『セブン』ファンにとっては嬉しい作品ですが,『怪奇』の中ではそれほど優れた作品ではないのではないかとでらちゃんは思います.土地に固執する老人と外国資本と大平洋戦争をからめた話で,それなりに独特な雰囲気を持った作品ではあるのですが,惜しいことに脚本が弱い.殺されそうになる三沢が,少年・健一の通報で町田警部や牧たちに助けられ事件は終りを告げるのですが,その過程がうまく描ききれていないため,見てる方は何が何だかさっぱりわからん... 事件終了後,事件の舞台だった鬼野村が鉄砲水に襲われ,かえって開発が容易になるというくだりも,作者が何を言いたいのかよくわからん... 脚本次第ではもっと面白い作品になったと思われるだけに残念です.あとこのシリーズの中で町田警部はやたらと人にタバコをねだるのですが,自分が叱りつけた村の駐在にまでねだらないでほしいです.


第13話 氷の死刑台

監 督:安藤 達己
脚 本:若槻 文三
ゲスト :西沢 利明/住吉 正博/増田 順司/真弓田 一夫/邦 創典/阿美本 昌子/清水 尊代子/成合 晃
ガジェット:冷凍人間/サンビーム500

 冒頭のシーンで殺されるオヤジの演技が下手すぎる,「凍り付いた足音をひきはがすような」音って一体何でしょう? 物語の内容をセリフにしただけ.凍り付いた息を吐くようなあんな目立つ人間がどうやって姿を隠し続けられるのか?等,アラの目立つ作品ではありますが,それなりに楽しめる作品ではあります.ラスト,いくら冷凍人間だからってあんなに簡単に逮捕しようともせずに殺しちゃイケナイんじゃないの?とは思いますが,7年間も『氷の死刑台』で殺され続けてきた男の救済だからいいのかしら? どこか勝手な理屈のような気がしますが... 『マン』の『遊星から来た兄弟』でチョイ役で出演していた住吉正博氏が今回はわりと重要な役を演じています.