レモンのような女


TBS 系
1967年 5月10日 〜1967年6月14日
水曜日 21:30〜22:30 全6回

プロデューサー:岡本 良介/小野沢 寛
音楽:冬木 透
制作:国際放映/TBS

 

DVD-BOX DXDB-0004


第1話 離婚 結婚

脚 本:田波 靖男
監 督:円谷 一
主 演:岸 恵子
ゲスト:津島 恵子/入川 保則/久松 保夫/霧立 はるみ/一ノ木 真弓/成田 光子/岡村 春彦/江家 礼子/高木 均/直井 千鶴子/川俣 典子/名川 貞郎/野辺 證栄/青柳 博/松井 功/カール・デンプス/池部 良
 このシリーズに関しては『独身のスキャット』と同様完全な後追いで,放映当時はその存在さえも知らなかった作品ですが,最近 DVD BOX をオークションで入手して観ることができました.演出を円谷一,実相寺昭雄,飯島敏弘といった円谷作品でおなじみの監督さんたち,音楽も『ウルトラセブン』同様冬木透氏が担当しており,キャストにも円谷作品の常連さんが顔を見せています.
 主演の岸恵子さんという女優さんは,ショーケンとの『約束』,『雨のアムステルダム』,そして『マリーム』の TVCM でしか知りませんでしたが,やはり『約束』の女囚のイメージが強烈で,好きな女優さんでした.
 この第1話で岸恵子さんが演じるのは弁護士で,ストーリーの中では否定的に描かれている黒縁メガネが逆説的なチャームポイントとなっていました.相手役の池部良さんはかつて『永遠の青年』と讃えられた男優さんですが,でらちゃんには『傷だらけの天使』にゲスト出演された時のイメージが強烈だったため,『永遠の冴えない中年男』として親しまれているのです.あとこの回のゲストの一ノ木真弓さんは『独身のスキャット』のホステス役が印象に残っていました.

第2話 私は私―アクチュアルな女―より

脚 本:泉 大八
原 作:泉 大八『アクチュアルな女』より
監 督:実相寺 昭雄
主 演:岸 恵子
ゲスト:戸浦 六宏/田中 明夫/浜村 純/岩本 多代/袋 正/立岡 光/金井 大/中原 成男/阿部 希郎/頼山 弘/井関 一/藤田 進/上村 竜一/田中 文夫/矢ノ目 和男/松木 明弘/中根 英治/浅野 賢治/山口 守之/今 登志子/伊藤 美智子/瀬下 和久/湯浅 千津子/杉山 紀子/緑川 薫/千倉 すみ子/広井 以津子/益田 愛子/劇団いろは/高橋 幸治
 このシリーズ,なぜか第1話だけがカラー作品で,この第2話以降はモノクロ作品となっていますが,予算の関係でしょうか? また,この時代の番組創りではこ〜ゆ〜ことがごく当たり前のこととして行われていたのでしょうか? 素朴な疑問でした.
 今回の岸恵子さんはインモラルな女教師ですが,やはりこの人,でらちゃんにとっては『約束』の女囚役がイメージとして植え付けられているため,前回のお堅い弁護士さんよりははまり役だったように思えます.あとゲスト陣に浜村純,岩本多代,金井大,藤田進といった円谷作品ではおなじみの俳優・女優さんたちが多数出演していて,とても楽しい回でした.

第3話 燕がえしのサヨコ

脚 本:田村 孟
監 督:実相寺 昭雄
主 演:岸 恵子
ゲスト:伊丹 十三/なべ おさみ/木ノ実 ナナ/吉原 恵子/古山 桂治/西 朱実/中原 成男/望月 通治/小倉 雄三/鈴木 正勝/富田 正明/義那 道夫/渡辺 康子/照井 湧子/橋本 晴子/桜井 とし子/劇団新人会/原 保美/戸川 昌子(特別出演)
 今回の岸恵子さんはスリの姉御.やはりこういったアウトロー的な役柄がしっくりきているような気がします.相手役の伊丹十三さんはじめ,後に『独身のスキャット』主演のなべおさみさん,『怪奇大作戦』的矢所長の原保美さん等が軽妙な演技で脇を固めており,また実相寺監督の演出も冴えています.ただ一人,『ウルトラQ』の『ガラモンの逆襲』の遊星人Qを怪演していた義那道夫さんが出演しているとのことですが,どの場面に出ているのか残念ながらわかりませんでした.

第4話 土の館

脚 本:高橋 玄洋
監 督:円谷 一
主 演:岸 恵子
ゲスト:岡田 英次/杉 裕之/上田 忠好/小林 昭二/有馬 昌彦/藤 瑠美子/森野 五郎/梅沢 昇/石川 冷/田上 洋子/青柳 直人/竜崎 一郎
 今回の岸恵子さんは窯元の未亡人.相手役の岡田英二さんは『恐怖劇場アンバランス』の『殺しのゲーム』で主演していました.前回の軽妙さとは打って変わって,今回は封建的な世界を舞台に重苦しいストーリーが展開しますので,残念ながら岸さん自身は精彩を欠き,途中観ていてちょっとくたびれてしまいましたが,ここでも杉裕之さん,上田忠好さん,小林昭二さんといった円谷作品でおなじみの面々が,それぞれポイントを押さえた見事な演技を見せてくれています.

第5話 夏の香り

脚 本:佐々木 守
監 督:実相寺 昭雄
主 演:岸 恵子
ゲスト:石立 鉄男/観世 栄夫/田村 保/石山 政春/樋浦 勉/森谷 光昭/三浦 弘久/大滝 昌之/増岡 弘/山田 博幸/和久井 節緒/伊東 満智子/浅川 鮎子/五月女 道子/藤代 蓉子/林 寛子/内藤 功子/金究 豊道/松本 明弘/劇団いろは/江口 明/岸野 猛/前田 憐/渡辺 文雄/小松 方正
 春の終り=夏の香り.三十路を迎えた女性シンガーを岸恵子さんが好演していますが,それ以上に実相寺監督の演出が見事な佳作です.でも,30歳って現代ではまだまだ子ども扱いされる年齢ですが,この時代ではもう年寄り扱いされていたんですよね? あと,産婦人科のカタカナ書きの看板に時代を感じさせられました.

第6話−1 そばとオハジキ

脚 本:佐々木 守
監 督:実相寺 昭雄
主 演:原田 糸子
ゲスト:齋藤 憐/進藤 和子/林 昭夫/地井 武男/中村 芳隆/古川 義範/広瀬 昌助
 何故か最終回は3話によるオムニバスですが,残念ながら実相寺監督作品のこの作品が最も凡庸な出来で,あまり感心させられませんでした.残念.

第6話−2 もしもその時雨が降っていなかったら

脚 本:山田洋二/細谷圭
監 督:飯島 敏宏
主 演:原 知佐子
ゲスト:垂水 悟郎/脇田 久/小林 麻由里
 山田洋二さん脚本による二人芝居.今年(2019年)亡くなった原知佐子さんは実相寺昭雄監督の奥様だった方ですが,初めてこの作品で拝見しました.

第6話−3 熱帯魚

脚 本:円谷 一
監 督:円谷 一
主 演:岸 恵子
ゲスト:岡田 真澄/増田 順司/奈美 悦子/穂積 隆信/宮部 昭夫/古山 桂治/新井 和夫/山中 紘/岡本 四郎/笠井 一彦/東 一彦
 芸能界を舞台にスターとそのマネージャーを岡田真澄さんと岸恵子さんが好演していますが,物語のモチーフそのものに時代を感じさせる作品.現代ではちょっと...ね.