さぼてんとマシュマロ


日本テレビ 系 1971年10月2日 〜1972年3月25日
毎週土曜日 19:30〜20:00 放映 森永製菓 提供

企画:岡田 晋吉
原作:武田 京子
脚本:鎌田 敏夫
監督:馬越 彦弥/齋藤 光正
音楽:宮川 泰
製作:ユニオン企画
 

LD-BOX BFTD-0301


CAST

 
伊藤 真理子 … 吉沢 京子

伊藤 仁 …

沖 雅也

伊藤 明 … 仲 雅美
   
伊藤 仁明 … 高橋 昌也
伊藤 裕子 … 伊藤 幸子
   
 伊藤 三郎 … 三谷 昇
伊藤 治子 … 加藤 治子

伊藤 みどり …

佐伯 美香
伊藤 むつ子 … 小田島 奈美子

伊藤 名作 …

大島 郁文

   
 山下編集長 … 渥美 国泰
林 文平 … 片岡 五郎

麻見キャップ …

前田 昌明
東西キャップ … 西沢 利明

北山女史 …

山東 昭子

生田 エリ … 北島 マヤ
町田 紀子 … 水沢 有美
佐賀 直子 … 佐羽 裕子
森 祐介 … 阿知波 信介
葉山 一男 … 山本 紀彦
船橋 竜 … 南原 宏治


その1

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :加瀬 麗子
 日活で初の主役に抜擢された『八月の濡れた砂』をオートバイ事故による負傷のため途中降板した沖さんが,アイドルとしてブレイクするきっかけとなった記念すべき作品ですが,この度 DVD を入手して約50年ぶりに観ることができたものの,やはりほとんど内容は忘れていました.今回何といっても驚いたのは,後に『太陽にほえろ!』で沖さん扮するスコッチ刑事の最期を看取った矢追警察病院医師役を演じていた渥美国泰さんが,この作品ではやはり沖さん扮する伊藤仁の上司である山下編集長を演じていたことでした,また,編集部員の山東昭子さんと片岡五郎さんは,やはり翌年始まった『太陽にほえろ!』の初期に記者役でセミレギュラー出演していましたが,いつの間にかフェイドアウトしてしまいました.これはやはり両番組のプロデューサーの岡田晋吉さんが両方のキャスティングに大きく関わっていたためだと思われます.

その2

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :藤木 敬/田坂 都/加瀬 麗子/三城 康裕/沖 正夫
 ゲストのイラストレーターを演じている藤木敬さんとお手伝いさんの田坂都さんは,当時の人気ドラマには必ずと言っていいほどゲスト出演しているバイ・プレーヤーでしたが,ここでもその強烈なキャラを生かした役作りをなさっています.また沖正夫名義時代の森川正太さんが吉沢京子さん扮する伊藤真理子のクラスメートのひとりで出演していますが,やはりこの人がこの後改名したのは,この番組への出演と沖雅也さんのブレイクがきっかけだったんでしょうね?

その3

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :二瓶 正也
 ゲストの二瓶正也さんは『ウルトラマン』イデ隊員でおなじみですが,ここでは傲慢不遜なプロ・カメラマンを見事に演じ切っています.この人,後に沖さんの『俺たちは天使だ!』でもゲスト出演していましたが,その時の役柄は『大スター』でした(笑).ちなみに,この年の日活映画で沖さんと石原裕次郎さんが初共演した『男の世界』や,もっと前の原田芳雄さんのデビュー作の『反逆のブルース』にも出演していた,わりと沖さんとの共演作の多かった俳優さんです.

その4

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 モデル・エリ役の北島マヤさんは,やはり円谷プロの『怪奇大作戦』第14話『オヤスミナサイ』でかわいそうなヒロイン役を演じていたのが印象に残っていた女優さんですが,いつの間にか姿を消してしまいました.だからというわけではありませんが,すごーく70年代テイストの強い女優さんだった印象が残っています.

その5

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :石井 利枝
 そういえば,この頃空前のボウリング・ブームだったの思い出しました.ゲストの石井利枝さんは故・須田開代子さん,中山律子さんに次ぐ女子プロ1期生のNo. 3 だった方で,当時所属していた『森永エンゼルボウル』でこの回のロケーションが行われていますが,これは番組のスポンサーが森永製菓だったことによるキャスティングでしょうね.

その6

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :石井 均
 仁と真理子のドライブ・デートのシチュエーションの中,真理子がさかんに食べて仁にも商品名を挙げて勧めるのは,当然スポンサー森永製菓の『スピン』.そういえばこんなお菓子あったね.ゲストの石井均さんは,伊東四朗さんの師匠だった方らしいです.

その7

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 仁がモダン・ジャズのファンであるという設定の下,実名が出てくるのが日野皓正氏のレコード.現代だと意外とオヤジ趣味な感じがしてしまうのですが,この頃はまだロックが市民権を得る直前の時代だったので,こちらの方が違和感のない設定だったのかもしれません.

その8

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 この回の前半のロケーションとなるのがあの『京王プラザホテル』.やはりドキッとするのです.仁の父・仁明を演じる高橋昌也さんは言わずと知れた大物俳優さんのおひとりで,対して義理の母・裕子を演じる伊藤幸子さんはでらちゃんはあまり知らなかった女優さんでしたが,『刑事コロンボ』の『毒のある花』で犯人役を演じていたヴェラ・マイルズさんの吹き替えを担当していました.第1回,第5回に続いての出演,仁の弟・明役の仲雅美さんは,この少し前に沖さんに先駆けてアイドルとなっており,でらちゃんも実はこの頃ドラマより歌番の方が好きだったので,沖さんより先に『ポーリシュカ・ポーレ』をヒットさせた仲さんのファンになっていたのを思い出しましたが,今回久しぶりにこの作品を観て,その演技の上手さに感服させられました.

その9

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :小橋 玲子/石田 太郎
 この回の冒頭の電話のシーンは,「ネコのぬいぐるみを頼んだのに,イヌのぬいぐるみを買ってきた」という仁の台詞が印象的で一番記憶に残っているシーンでした.ゲストの小橋玲子さんは『怪奇大作戦』のさおり役で吉沢さんよりよく知っていた女優さんでしたが,同年代の吉沢さんや岡崎友紀さんと『〇〇三人娘』みたいな売り出し方をされていたというのを,後になって知りました.小橋さんの相手役の石田太郎さんは当時はあまり知られていない俳優さんだったと思います.

その10

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :富田 仲次郎
 今回のゲストの富田仲次郎さんも,この頃バイプレーヤーとしてよくお顔を拝見する俳優さんでしたが,今回のヤクザさんはちょっと珍しい役柄でした.三谷昇さんが演じる自虐的な真理子の父・三郎が,これまでにはなく実は頼りがいのある父親であることを感じさせるエピソードでした.

その11

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 真理子のテストの点数をめぐって繰り広げられる今回と次回のエピソードは,物語全体のストーリーとは半ば独立したエピソードですが,原作が少女マンガであることを最も感じさせるエピソードでもあり,それだけにいま観ると不自然な感じがするのです.久しぶりに編集長が登場,編集部における真理子と仁のストライキに同僚が次々に加わっていくプロセスが楽しい一篇ですが,最後に参加する前田昌明さん演じる浅見キャップの頼れる上司ぶりが印象的なエピソードでした.

その12

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 全く化粧の似合わないヒロイン・真理子,演じる吉沢京子さんって,女優として稀有な存在だったかもしれません.このあたりから仁が「バカっ」と叫んで真理子に平手打ちをするのがお決まりのパターンとなっていて,子供心にあまり感心できなかった記憶があるのです.

その13

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :沢井 孝子/平井 道子
 クリスマス.珍しく真理子ではなく,仁が主役のエピソード.今回観て驚いたのは,『宇宙戦艦ヤマト』スターシャ役の平井道子さんが1シーンだけ顔出しで出演していたことでしたが,この後,『太陽にほえろ!』でも一回だけですが,かなり重要な役でゲスト出演をしていたことがあります.

その14

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :新山 真弓/きくち 英一
 で今度はお正月.冒頭のメイン・キャストによる視聴者へのご挨拶は,この頃のテレビ・ドラマではよくある演出でした.で本編,仁のお見合い相手で幼馴染の佐賀直子を演じる佐羽裕子さんはこの後すぐに姿を消してしまいました.仲雅美さんが新曲『涙のジャーニー』を劇中のバンド演奏で披露しますが,『ポーリシュカ・ポーレ』ほどにはヒットしなかったのが残念でした.そして『ウルトラマン』イデ隊員二瓶正也さんに続いて『ウルトラセブン』ソガ隊員阿知波信介さんがカメラマン・森祐介役で登場.真理子と仁の上司も浅見キャップから,『怪奇大作戦』第13話『氷の死刑台』での狂気の科学者役が印象的だった西沢利明さん扮する東西キャップにかわり,物語は後半へ.

その15
監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :小沢 澄江/柴田 昌宏
 この回の見どころはなんといっても沖さんの女装.身長183cmの沖さんが女装すること自体無謀なのですが,それなりにかわいらしく見えるのが不思議でした.女声の作り方もお上手でした.

その16

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :伊藤 るり子/潮 哲也
 東西キャップの度重なる嫌がらせにも屈しなかった仁クンが,ついに編集部退職を決意する,物語のターニングポイントとなるエピソード.とくに前回と今回のエピソードのバックボーンには,ジャーナリズムのあり方というシビアなサブテーマが確固として存在していて,それがこの作品を単なるお子様番組として終わらせなかった要因のひとつであったと思います.

その17
監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :中沢 治夫
 森祐介を演じる阿知波信介さんは,この後俳優業を引退して『太陽にほえろ!』ゴリさん竜雷太さんと芸能プロモーションを立ち上げたり,『俺たちは天使だ!』YUKO多岐川由美さんと結婚したり,私生活でも沖さんと友人関係にあったりした方で,沖さんが亡くなった際も遺憾の意をコメントしておりましたが,後になって本人もノイローゼのため自ら命を絶ってしまいました.残念です.

その18

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :中沢 治夫
 森祐介の助手役の中沢治夫さんは,後に剛達人(現・たつひと)と改名.ゴリさん竜雷太さん主演の一連の学園ものに生徒役で出演していた俳優さんですが,やはり『太陽にほえろ!』にもたびたびゲスト出演していました.岡田プロデューサー・ファミリーの一員と言えると思います.

その19

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :中沢 治夫
 前回のラスト,ある意味でこの物語最大のクライマックスを迎えたわけですが,狂気のカメラマン森祐介を演じる阿知波信介さんの熱演が見事でした.そして今回,他誌記者・町田紀子役の水沢有美さんと浅見キャップ役の前田昌明さんが再度登場.このおふたり,実はでらちゃんはほとんど印象に残っていない俳優さんだったのですが(失礼!),この回ではある意味ストーリーのキーパーソンとなる重要な役を見事に演じていて,強烈な印象を与えていただきました.

その20

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 今回次回に登場,仁にふられた真理子に接近する葉山一郎役の山本紀彦さんも『太陽にほえろ!』ゲストの常連で,うち1回は先の剛達人さんと兄弟役で出演したりもしていました.

その21
監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :高木 均
 伊藤仁明の友人で主治医を演じているのは,ムーミンパパでとなりのトトロの高木均さん.この人,顔出しでは悪役が多いのですが,今回は仁明と明を優しく見守る人物を好演しています.父・仁明とこの主治医の会話を立ち聞きしてしまった明の苦悩が始まり,物語は佳境を迎えるわけですが,この回以降の明を演じる仲雅美さんの演技がこれまで以上に素晴らしかったと思います.

その22

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :マリー・オリギン
 そういえば,この頃占いもブームになったのよね.占いのシーンで真理子の誕生日が『昭和29年3月6日』,仁の誕生日が『昭和23年6月12日』と言っていますが,実際の吉沢京子さんの誕生日が『昭和29年3月2日』,沖雅也さんの誕生日が『昭和27年6月12日』なので,ほんの少しだけ変えてあります.

その23

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :田島 令子
 今回 DVD 観ていて,伊藤家のお手伝いさん役で田島令子さんが1シーンだけ出演しているのを発見してびっくりしました.いま考えると,この番組贅沢なキャスティングしていたんですね.

その24

監 督:馬越 彦弥
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :大泉 滉/西本 裕之
 ともに医師を演じている大泉滉さんと西本裕之さん.片や円谷作品の常連でダメおやじ,片や『太陽にほえろ!』ゲスト常連でスナフキン.ともに名バイプレイヤーとして活躍されていました.

その25

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 出ました! 仁の個展にただ一人朝から入り浸って,真理子に浮浪者と間違われて追い出されそうになる,名カメラマン・船橋竜を演じているのは南原宏治さん.この方,後に『太陽にほえろ!』では,2代目七曲署署長を演じた,お気に入りの俳優さんなのです.

最終回

監 督:齋藤 光正
脚 本:鎌田 敏夫
ゲスト :
 いよいよ最終回.このページではあえてストーリーの内容についてはほとんど触れずに,出演俳優さんたちに的をしぼってコメントしてきましたが,今回この DVD を観て感じたのは,キャスティングもさることながらストーリー自体の脚本・構成がすごくしっかりしていて,単なるお子様番組,アイドル主演ドラマの範疇をしっかり超えていることでした.また,キャスティングに関しても,主演の2人以上に脇を固める方々の演技が素晴らしく,とくに物語のもうひとつの大きなテーマである『家族の葛藤』の中で,難しい役柄を演じていた仲雅美さんと伊藤幸子さんの演技が光っていたと思います.実に見ごたえのあるドラマで,この時代の TV 番組作品の凄さを改めて感じました.