必殺仕置屋稼業


NET 系 1975年 7月 4日 ~1976年 1月 9日

制 作:山内 久司・仲川 利久・桜井 洋三
音 楽:平尾 昌晃
撮 影:石原 興・中村 富哉・小辻 昭三・藤原 三郎
美 術:川村 鬼世志
照 明:中島 利男・釜田 幸一・林 利男
題 字:糸見 渓南
ナレーター:草笛 光子
制作協力:京都映画株式会社
制 作:朝日放送・松竹株式会社

 

LD-BOX TYLY-4001~4014


CAST

市松 …

沖 雅也

印玄 …

新 克利

捨三 …

渡辺 篤史

亀吉 …

小松 政夫
   
与力 村野 … 宗方 勝巳
 おはつ … 石原 初音
 おふく … 近松 麗江
 るみ … 香川 留美
 のぞみ … 星野 のぞみ
 おこう … 中村 玉緒
中村 りつ … 白木 万理

中村 せん …

菅井 きん

 中村 主水 … 藤田 まこと


第1話  一筆啓上 地獄が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:安倍 徹郎
ゲスト :谷村 昌彦 /高木 均/工藤 明子/浜田 晃/金井 進二/小田部 通麿/西山 辰夫/田畑 猛雄/森 秀人/日高 久/堀北 幸夫/簑和田 良太/宮川 珠季/藤川 準/船曳 富士江
 仕置屋結成を描いた第一話.何と言っても,主水と市松の激突シーンが名場面として知られてますが,よく考えてみると,やり手の殺し屋であるであるはずの市松は,この第1話の中で2度も殺しの現場を他人に目撃(?)されているわけで,プロの殺し屋としては少々迂闊ではないかと.あと,主水と旧知の間柄という設定の捨三というキャラ,以前の『必殺仕置人』,『暗闇仕留人』のどちらにも出て来なかったキャラなので,ちょっと違和感感じました.ところで私事ですが,実はこの『必殺シリーズ』のTV放映が始まった頃,土曜日の夜しかTVを観られない生活をしていたので,前作『必殺必中仕事屋稼業』放映最中の『腸捻転』によって放映日が土曜日から金曜日に代わってしまって以来,リアルタイムで観ることができなくなってしまいました.ですから,この『仕置屋稼業』も今回LDを入手するまでシリーズ全体を観たことがなかったので,現在楽しんでますの.

第2話  一筆啓上 罠が見えた

監 督:松本 明
脚 本:中村 勝行
ゲスト :石山 律夫/今出川 西紀/北村 英三/成瀬 正/名古屋 冗/山口 朱美/内村 レナ/出水 憲司/馬場 勝義/美樹 博/浜中 修一/河野 実/細井 慎悟/津川 雅彦
 『必殺シリーズ』各作品で各作品で個性的な悪役を演じていた津川雅彦さんが,この作品では市松の育ての親で実は父親の仇という重要な役を演じていますが,仕置のシーンはお約束の爆笑モノ.しかも2回のおまけつき.

第3話  一筆啓上 紐が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:村尾 昭
ゲスト :上原 ゆかり/江幡 高志/小林 勝彦/津路 寿々代/伊豆 吾朗/三笠 敬子/宮田 珠季/東 悦次/伊波 一夫/丸尾 好広/中尾 彬
 「あの野郎,俺を陰間と間違えやがった」と怒りながらも,その状況を利用して相手を油断させて接近し,仕置するあざとい市松.故・沖雅也さんの妖艶な魅力が感じられるシーンでした.あとはやはり江幡高志さん,小悪党役を演じさせたらこの人の右に出るものはいないと思います.

第4話  一筆啓上 仕掛が見えた

監 督:大熊 邦也
脚 本:中村 勝行
ゲス ト:横沢 祐一/北見 唯一/古川 ロック/千代田 進一/千葉 保/中塚 絹代/武田 弘子/頼 東美/八代 郷子/竹下 景子/大滝 秀治/山本 学
 ちょっとわかりづらい話です.山本学さんの役柄もよくわからんけど,一番わからんのが,竹下景子さん演ずるお美津.死ななきゃいけないほどのことではないような気がするのですが? もっかい観てみよっと.

第5話  一筆啓上 幽鬼が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:安倍 徹郎
ゲスト :河合 伸旺/菅貫 太郎/三条 泰子/二宮 さよ子/森崎 由紀/大木 正司/志賀 勝/石浜 祐次郎/香月 京子/朝永 桐子/松谷 令子/谷口 欣子/楠本 光子
 「今回は降ろさせてもらう」.沖雅也さん扮する市松が,プロの殺し屋として主水たちとは一線を画した存在であることを明らかにしたストーリー.但し,相対する依頼人の殺しを引き受けながらも,心は主水側にあること微妙な心理を見事に演じています.

第6話  一筆啓上 怨霊が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:國弘 威雄
ゲスト:西尾 三枝子/原田 清人/堺 佐千夫/岡本 崇/原田 雅子/阿木 五郎/北原 将光/松井 加容子/花紀 芽美/北尾 はるみ/大滝 英洧子/道井 恵美子/和田 かつら/和田 浩二
 「今度はおめえの腕が必要なんだ」と,市松に依頼する主水.ある意味,前回のストーリーと対になる作品ですが,ここで主水・隠元・捨三の3人と一匹狼の殺し屋・市松とのチームワークが完成したといっていいのでは? 西尾三枝子さんと和田浩二さんが,物語に華を添えています.

第7話  一筆啓上 邪心が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:村尾 昭
ゲスト :入江 若葉/河原崎 次郎/花上 晃/高並 功/浜田 雅史/黛 廉太郎/宮川 珠季/馬場 勝義/渡辺 憲吉/簑和田 良太/加茂 雅幹/美樹 博/倉谷 礼子/松尾 勝人/今井 健二
 第3話に続いて,またも陰間と間違われてしまう可哀そうな市松.牢の中で竹削ってるけど,そんなもん持ち込めるのか? 『必殺仕置人』第11話で仕置人最強の敵『鬼の岩蔵』を演じた今井健二さんが,今回も仕置屋最強の敵『まむしの以蔵』を見事に演じ切っています.

第8話  一筆啓上 正体が見えた

監 督:大熊 邦也
脚 本:素 一路
ゲスト :藤岡 重慶/田口 計/西山 辰夫/田畑 猛雄/原田 あけみ/佐々山 洋一/高橋 仁/河野 元子/吉行 和子/織本 順吉
 今回の標的は主水の同僚.主水同様同心でありながら裏で悪いことやってる人のお話ですが,これって考えてみれば主水の裏稼業のアンチテーゼでもあるのよね? さらに標的となる人間が4人いてひとり余ると思っていたら,悪事のバレた同心は自害してしまうという結末.よかったね.悪役の常連,藤岡重慶さんと田口計さんが伊勢屋の旦那と太鼓持ちで息の合ったコンビネーションを見せてくれていますが,このお二人同じ年齢だったのね? 吉行和子さんと沖雅也さんおからみが切なくていいです.

第9話  一筆啓上 偽善が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:保利 吉紀
ゲスト :野口 貴史/須 賀良/天王寺 虎之助/藤山 喜子/佐名手 ひさ子/町田 米子/三笠 敬子/浦田 貞枝/藤原 京子/奥村 和恵/津田 京子/長谷川 明男/寺田 農
 奥さんを殺されてしまう可哀そうな被害者で仕置の依頼人となる洒落本作家・蛙亭文蝶を演じているのが寺田農さん.この方,他のシリーズでは結構シリアスな役柄が多かっんですが,ここでは珍しい役柄を軽快に演じています.

第10話  一筆啓上 姦計が見えた

監 督:松本 明
脚 本:田上 雄
ゲスト :波田 久夫/柳原 久二夫/伊藤 洋一/近江 輝子/香月 京子/三浦 徳子/細井 伸悟/弓 恵子/横内 正/伊藤 孝雄
 闇の世界に生きる者の畏怖と悲哀を見事に描いた傑作.蜘蛛を殺した子供を目撃した市松の表情,沖雅也さんの演技が見事です.物語中盤に市松自身が印玄に吐くセリフ「馬鹿が伝染る」と,ラストで主水が市松を諭す「門前の小僧習わぬ経を読む」は実は同じこと言っているのよね.一方で,身内の前で仕置ができるのがプロだと,妻・りつを仕置に利用する主水.物語の冒頭で亀吉が主水の幼少期のおたふくかぜの診断書をせんに渡し,主水の『種なし』が明らかになるというギャグがあって,それがストーリーの見事な伏線となっています.それにしても,今回の標的となる綱紀粛清方と2人の手下,このシリーズでも最低の悪人でした.

第11話  一筆啓上 悪用が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:中村 勝行
ゲスト :鶴田 忍/小林 尚臣/平泉 征/芝本 正/暁 新太郎/美樹 博/佐名手 ひさ子/石沢 健/藤川 準/亀井 賢二/小野 朝美/大木 実/松本 留美/柳沢 賢一
 ストーリー自体はよくありそうな話で,シリーズの中でも平凡な出来だと思いますが,印玄の駕籠かき2人相手の仕置と,市松の鎖帷子攻略がみどころとなっています.

第12話  一筆啓上 魔性が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:安倍 徹郎
ゲスト :近藤 宏/山村 弘三/藤沢 薫/寺下 自信/出水 憲司/滝 譲二/萩原 郁三/丸尾 好広/弘田 和彦/伊藤 利子/中川 梨絵/岸田 森
 タイトル通り女の魔性を描いたシリーズ中の傑作.市松中心に話は進みますが,今回1人で4人も仕置してしまうのは,シリーズ最多記録ではないかしら? 沖さんとともにでらちゃんが大好きな俳優さんの岸田森さんとの共演も嬉しかったです.のちに『俺たちは天使だ!』の第5話で息のあったコミカルな演技を見せてくらたお2人,これ以前には映画『高校生無頼控』で兄弟役を演じていますが,残念ながらそちらは未見です.

第13話  一筆啓上 過去が見えた

監 督:三隅 研次
脚 本:村尾 昭
ゲスト :松川 純子/水上 竜子/谺 のぶ子/松山 照夫/小柳 圭子/秋山 勝俊/表木 喜代子/東 悦次/神山 和彦/倉谷 礼子/黛 廉太郎/高木 峯子/松田 明/日高 久/武原 英子/遠藤 太津朗
 なんと今回おこうが持ち込んだ殺しの標的は印玄.悪いことはできません.市松に続いて印玄の過去が明らかになるエピソードですが,殺しの標的が途中で変わったのは初めてのケース.遠藤太津朗さんの「止めて,助けて」はこれまでの中で最高でした.

第14話  一筆啓上 不義が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:國弘 威雄
ゲスト :大木 晤郎/平沢 彰/梶本 潔/河崎 直人/松田 仁見/米倉 斉加年/佐々木 剛/田島 令子
 市松の幼馴染が登場,第2話に続いて市松の子ども時代が描かれるエピソードでした.不義,現代で言うところの不倫がモチーフになっているストーリーですが,それを全く悪いこととして描いていないところに新しさを感じます.実はでらちゃん,不倫については全く当事者だけの問題なので,社会的に責められるべきものではないという,いわゆる不倫擁護派なのですが,このストーリー作った人も同じなのではないかしら? 田島令子さん,アップで観ると顔にほくろが多いです.

第15話  一筆啓上 欺瞞が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:國弘 威雄
ゲスト :綿引 洪/牧野 義介/杉本 孝次/外山 高士/志乃原 良子/桃山 みつる/藤尾 純/島村 昌子/宮前 ゆかり/大橋 壮太/千葉 保/森下 鉄朗/河野 真由/秋元 喜代子/真田 麻里/山田 五十鈴
 『必殺シリーズ』後期の代表作『必殺仕事人』レギュラーの山田五十鈴さんのゲスト出演作品.綿引洪さんがど~しよ~もない清本名人2代目をど~しよ~もなく上手に演じています.この方,『新必殺仕事人』第1話では,山田さん演じる仕事人おりくに仕置されているらしいのですが,そちらは残念ながら未見です.依頼人の目の前での仕置を遂行する市松が見事です.

第16話  一筆啓上 無法が見えた

監 督:大熊 邦也
脚 本:保利 吉紀
ゲスト :近松 麗江/菅 貫太郎/穂積 隆信/秋谷 陽子/小鹿 番/不破 潤/藤山 喜子/道井 和仁/柴本 正/北見 唯一/山口 幸生
 脱藩浪人と旗本と敵討ちの姉弟と仕置屋の市松が入り乱れてのストーリー.この話あたりでは市松のキャラは冷徹な殺し屋というよりも,主水や印玄や捨三に対するセリフなど『必殺仕置人』棺桶の錠に近い熱血漢のような感じがしました.

第17話  一筆啓上 裏芸が見えた

監 督:松本 明
脚 本:保利 吉紀
ゲスト :白川 みどり/浜田 寅彦/上野山 功一/嵯峨 善平/森崎 由紀/田畑 猛雄/大竹 修造/千代田 進一/内田 真江/飯塚 明美/志岐内 竜子
 表向きは水芸,実はストリップ(?)をめぐって,市松・印玄・捨三の3人と主水とが表稼業で真っ向から対立する,珍しい話.風紀紊乱を取り締まる吟味方筆頭与力とライバル一座の座長を演じるのが,名悪役の上野山功一さんと浜田寅彦さんですが,流石にえぐい嫌がらせを本当に憎々しげにやって見せてくれてます.殺された水芸の裏方の代役を市松がやってるのが器用です?

第18話 一筆啓上 不実が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:野上 龍雄
ゲス ト:石橋 蓮司/横山 リエ/長谷川 弘/五味 龍太郎/入江 慎也/阿木 五郎/浜 伸二/黛 廉太郎/吉田 聖一/三笠 敬子/町田 米子/丸尾 好広/弘田 和彦
 わりと好きな悪役の石橋蓮司さんが出ているのに,ドラマの冒頭では仕置の標的となる長谷川弘さんにいじめられているので違うのかな?って思っていたら,やはり最低な悪い奴でした(笑).昔『太陽にほえろ!』や『俺たちは天使だ!』で観たことのある沖さんと石橋さんの対決を,今回時代劇で初めて観ることができましたが,やはりお2人とも素晴らしい演技していると思います.

第19話  一筆啓上 業苦が見えた

監 督:工藤 栄一
脚 本:安倍 徹郎
ゲスト :石橋 雅史/汐路 章/波田 久夫/田中 弘/成瀬 正/滝 譲二/明石 螢子/道井 恵美子/伴 勇太郎/市川 海四郎/千葉 保/松尾 雅人/布目 真爾/伊波 一夫/横堀 秀樹/和田 かつら/佐藤 慶
 今回はなぜか仕置を躊躇う主水に,「俺は一人でも殺るぜ」と突っ張ったものの2度しくじって撤退するときの,「奴は鬼だ.俺は鬼は殺せねえ,俺が殺せるのは人間だけだ」,あまりにも見事な市松の言い訳.それに引き換え,今回の印玄の殺し方は,かなり残酷,えぐいです.

第20話  一筆啓上 手練が見えた

監 督:渡邊 祐介
脚 本:中村 勝行
ゲスト:北村 英三/ひろ みどり/島 米八/桑垣 浩子/寺下 貞信/山村 弘三/古川 ロック/高並 功/簑和田 良太/須賀 良/阿藤 海/馬原 雅和/福島 広宣/工藤 重孝/松田 明/壬生 新太郎/佐々木 りえ/東 悦次/美鷹 健児/中村 敦夫
 もともとこの『必殺シリーズ』の第1弾『必殺仕掛人』は他局の超人気番組『木枯し紋次郎』の対抗策として企画されたものだったわけですが,今回のゲストはその紋次郎を演じた中村敦夫さんで,紋次郎を彷彿とさせるような役柄を演じており,ついでに脚本をその実弟の中村勝行さんが書いていて,さらに中村敦夫さんが次作『必殺仕業人』のレギュラー出演をするに至っては,なんかシリーズそのものが遊びの舞台になっているような気がします.まじめにやっているのかな?

第21話  一筆啓上 逆夢が見えた

監 督:大熊 邦也
脚 本:保利 吉紀
ゲスト :稲野 和子/神田 隆/近藤 宏/内田 勝正/永野 達雄/石浜 祐次郎/島村 昌子/千葉 敏郎/溝田 繁/下元 年世/柴田 昭彦/暁 新太郎/遠山 欽/小林 泉/河野 実/後藤 尚人/川畑 貴義/志村 喬/花紀 京
 筆頭与力の選挙をめぐって,奉行所御用達の座を狙う商人と愛人が同業者の殺害を殺し屋に依頼,この殺し屋が市松のかつての仲間で市松と似た殺し方をしていたため,市松が仕置の標的に誤解されてしまうわけですが,仕置を請け負ったおこうはともかく,主水・印玄・捨三の3人が逡巡しながらも仕置料を受け取ってしまうのはあまりにも薄情すぎるのでは? 結局,市松は自ら旧知の殺し屋をおでんを食べながら仕置するのですが,これってかなりシュールな状況だわ.スペシャル・ゲストの志村喬さんと花紀京さんもどうでもいい役柄で,わけのわからん回でした.

第22話  一筆啓上 狂言が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:横光 晃
ゲスト :蟹江 敬三/大関 優子/伊東 亮英/香月 京子/国 一太郎/稲葉 義男
 き〇が〇のふりをして父親の仇の庇護を受ける娘・おりん,こ~ゆ~のまさに『狂言』というお話ですが,最近の放送コードは精神障害者の表現にうるさいので,いまじゃなかなかこんな作品作るの難しいんでしょうね.主水のセリフ「みんな銭には汚えんだから」,あんたに言われたくない.蟹江敬三さんがわりとカッコいい悪役演じてますが,印玄にカッコ悪く殺られてしまいました.

第23話  一筆啓上 墓穴が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:保利 吉紀
ゲスト :山本 紀彦/天王寺 虎之助/山本 弘/井上 明子/三浦 徳子/浜田 雄史/沖 時男/大橋 壮太/森下 鉄郎/並木 稔/吉沢 京子/戸浦 六宏
 沖雅也さんという俳優さんを初めて観たのは吉沢京子さん主演のドラマ『さぼてんとマシュマロ』で,沖さんは吉沢さんの相手役,余談ですが沖さんの弟の役で仲雅美さんも出演していました.このエピソードは久しぶりの沖さんと吉沢さんの共演作でしたが,残念ながらお2人のからみはありませんでした.戸浦六宏さんは相変わらずの悪役ぶりでしたが,今回演じたこの榊という寺社方同心考え方が甘いというか,目論見がすべて裏目に出てしまうよく考えるとおバカなキャラクターで,それに対する仕置屋チームの手際の鮮やかさが印象的なお話でした.

第24話  一筆啓上 血縁が見えた

監 督:田中 徳三
脚 本:猪又 憲吾
ゲスト :荒砂 ゆき/宮前 ゆかり/葵 三音子/中村 錦司/近江 輝子/重久 剛/滝 譲二/花岡 秀樹/馬場 勝義/堀北 幸夫/大重 絹子/徳田 尚美/長谷川 昭雄
 魔性の女おきぬを演じた荒砂ゆきさんは田原久子さん名義で,ウルトラQ『ゴーガの像』や,ウルトラマン『人間標本5・6』で物語のキーパーソンとなる重要な役割を演じていた,円谷ファンにとってはなじみの深い女優さんでした.またこの回では,シリーズの主題歌『哀愁』を歌っている葵三音子さんががおみね役でカメオ出演,劇中で一節を口ずさんだりしています.

第25話  一筆啓上 不倫が見えた

監 督:大熊 邦也
脚 本:中村 勝行
ゲスト :小笠原 良智/谷口 完/永田 光男/五味 龍太郎/松田 明/出水 憲司/田中 弘/山口 朱美/倉谷 礼子/美樹 博/市原 悦子/寺田 農
 不倫がテーマのこの話,市原悦子さんの相手役が寺田農さんというのも,すご~く違和感ありましたが,それ以上に一番悪いのは誰なのかよくわからんエピソードでした.河川修復工事の入札をめぐって,三州屋とその手下が,競争相手の相模屋の入札価格を知るために,入札監査役の妻を犯した飾職人を利用,妻に裏切られた監査役は切腹し,不正の疑いを持った相模屋が主水に調査を依頼,というストーリーの流れが,なんでいつのまにか三州屋と手下と飾職人の仕置に流れてしまうのかが疑問です.相模屋が仕置の依頼人だとするならば,本来仕置されるべきなのは切腹してしまった監査役とその妻ではないのか? ラストシーン,1人生き残った監査役の妻に女の哀れさを感じさせるような演出でしたが,なんとも割り切れない感じを抱かされた回でした.

第26話  一筆啓上 脅迫が見えた

監 督:松野 宏軌
脚 本:保利 吉紀
ゲスト :志摩 みづえ/高峰 圭二/西川 ヒノデ/唐沢 民資/堀北 幸夫/三笠 敬子/宮川 珠季/国広 富之/平井 靖/松尾 勝人/伊波 一夫/美鷹 健児/広田 和彦/鈴木 義章/山本 麟一/美川 陽一郎
 脅迫がテーマの久々の正統派ストーリーですが,仕置の依頼人から標的を訊き出すために牢に入って牢名主になる印玄と,仕置の際主水の替りに厠に籠る捨三の2人が気の毒でした.あと女衒役で国広富之さんがちょっとだけ出演しているのですが,初の映像出演だったらしいです..

第27話  一筆啓上 大奥が見えた

監 督:渡邊 祐介
脚 本:國弘 威雄
ゲスト :山田 禅二/佐藤 京一/波田 久夫/ひろ みどり/田畑 猛雄/伊吹 新吾/松井 加容子/表 淳夫/簑和田 良太/壬生 新太郎/花岡 秀樹/竹下 景子/本阿弥 周子
 将軍様のハーレム・大奥を舞台にしたエピソードは『仕置人』でも一話ありましたが,このシリーズではここに至って,市松,印玄,捨三,主水の仕置屋チームの結束が確立し,最終回の伏線ともなった重要なエピソードだったと思います.それにしても「色男は生まれつきだ」,こ~ゆ~セリフが様になるるのは市松ならではでしたが,沖雅也さんのこの見事なキャラクター作りが『太陽にほえろ!』プロデューサー岡田晋吉氏の目に留まって,あの『スコッチ刑事』が誕生したのでした.
 

第28話  一筆啓上 崩壊が見えた

監 督:蔵原 惟繕
脚 本:村尾 昭
ゲスト :大林 丈史/沼田 曜一/岩田 直二/飯塚 明美/浜 伸二/柳原 久二夫/新田 章/馬場 勝義/観世 栄夫
 最終回.このシリーズの最も大きな特徴として,当初バラバラだった仕置屋メンバーの結束が回を追うごとに強固なものとなり,最終話で完成するといった,仲間同士の結束・友情が大きなテーマとなっていることがあげられると思います.印玄とおこうという2人のレギュラー・メンバーの死を描いた感動的なエピソードで,前作『必殺必中仕置屋稼業』とともに,シリーズの最終回の中でも1・2を争う出色の出来でしたが,脚本は同じ村尾昭さんのペンによるものでした.