太陽にほえろ!


1980

 

DVD-BOX VAP VPBX-13977/13978

第388話 ゴリラ

脚 本:長野 洋
監 督:木下 亮
ゲスト :工藤 明子/見城 貴信/佐藤 京一/デビット/宮田 光/山中 康司/矢野 泰子/早川 研吉/郷内 栄喜/中瀬 博文/柿木 恵至/鈴木 実/萩原 紀
セミレギュラー:横谷 雄二(吉野 徹男)

 ゴリさん主演,吉野巡査助演エピソード.でもこのタイトル,絶対ゴリさんじゃなくて吉野巡査を演じている横谷雄二さんが,番組スタッフがほぼ同じ『俺たちは天使だ!』で『ゴリラ』だったところから持って来ているよね? 安易すぎます.今回 DVD を観ていて気づいた点がもう一点,拳銃密売が行われていた BAR『黒猫』ですが,この2年後の第493話『スコッチよ静かに眠れ』で再登場してしかもやはり拳銃密売やっています.普通営業停止になっているでしょ? ラスト空手使いでやたら強い外人さん(デビットさん)が出てきて,吉野巡査はかんたんにやられてゴリさんが相手になって倒すのですが,これがきっかけで吉野さん空手を始めたのか,かなり後のエピソードではボギー刑事(世良公則さん)にご教授したりしています.

第389話 心の重荷

脚 本:渡辺 由貴/小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :佐久間 宏則/絵沢 萌子/小川 露里/三鈴 栄子/小倉 雄三/大林 直樹/福岡 正剛/柄沢 英二/金子 勝美/岡田 勇/今井 隆之/伊藤 弘一/大山 豊/麻 ミナ/三沢 ともこ/山田 京子/池 まり子/大原 譲子/篠田 薫

 スニーカー主演の青春路線,演ずる山下真司さんが陸上選手出身の『最も走る姿が美しい』刑事スニーカーが『太陽にほえろ!』のメインテーマを BGM に容疑者(佐久間宏則さん)と一緒にランニング,しかもそれを見た元祖青春スター竜雷太さんのゴリさんとロッキーまで一緒になって走る悪ノリぶり.ほとんどマンガです.真犯人役の絵沢萌子さんはにっかつ作品でおなじみの,でらちゃんのわりと好きな女優さんですが,このシリーズには2回ゲスト出演しています.いつまでも『先輩』と呼ぶスニーカーをロッキーがたしなめるシーンがありますが,ロッキー自身,ボンのことをず〜っと『先輩』と呼んでいたのでは?

第390話 二十歳の殺人

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:木下 亮
ゲスト :斉藤 とも子/清水 昭博/広瀬 昌助/町田 博子/鮎川 浩/相沢 治夫/松沢 千恵子/酒井 郷博/林 弘道/小川 真喜子

 殿下主演エピソード.1月6日に20歳の誕生日を迎えた青年が1月5日に犯した殺人の日時をごまかそうとする話ですが,日本では『年齢計算に関する法律』ならびに『民法第143条』の規定により誕生日の前日に年齢が加算されますので,殺人を犯したのが6日であっても5日であってもタイトルの『二十歳の殺人』として裁判・処罰されることになるので,プロットに齟齬が生じています.これは最初脚本ミスかと思ったのですが,物語が煩雑になるのを避けるため,あえてこのような設定にしたのかもしれません.でもそれだったら劇中に六法全書など持ち出さない方が良かったのにね? 犯人役の清水昭博さんはこれ以前に『ゆうひが丘の総理大臣』に井上純一さんとセットで出演されていたのが記憶に残っていますが,このシリーズは2回目のゲスト出演です.

第391話 黄色いボタン

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:櫻井 一孝
ゲスト :加藤 嘉/佳那 晃子/片山 真由美/原田 清人/高山 彰/鶴岡 修/壇 喧太/吉田 太門/岡崎 夏子/本庄 和子/溝口 順子/数間 正徳

 今度はロッキー主演ですが,スニーカー主演の第389話に続く『身代わり自首』エピソード.容疑者を演じる名優・加藤嘉さんはこのシリーズには3回ほど出演されています.真犯人の佳那晃子さんも3回4エピソードに出演されていますが,後にクモ膜下出血で植物人間になりかけたというお姿をドキュメント番組で拝見して驚きました.

第392話 流れ者

脚 本:柏原 寛司/小川 英
監 督:櫻井 一孝
ゲスト :松井 紀美江/北条 清嗣/中島 元/三重街 恒二/依田 英助/高崎 蓉子/吉田 美雪/山本 寛/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:長谷 直美(早瀬 令子)

 スニーカー主演エピソード.冒頭でスニーカーが行う赤色灯の悪用は,以前『警部マクロード』で見たことがあります.また,現行犯でもないのに容疑者のアパート―に令状もなく拳銃を構えてドアを壊して押し入る方がよっぽどまずいと思うのですが,こっちは始末書モノじゃないのかしら? 犯人役の北条清嗣さんはシリーズの常連俳優さんのおひとりですが,中でも第217話『スコッチ刑事登場!』のスコッチにつけ狙われる容疑者役が印象に残っています.

第393話 密 偵

脚 本:長野 洋
監 督:竹林 進
ゲスト :伊藤 孝雄/小野 武彦/剛 たつひと/稲葉 義男/高原 駿雄/木原 正二郎/森田 はるか/堀 礼文/沖 恂一郎/二家本 辰己/藤岡 一也/藤田 康之/マエダ・オートクラブ

 ザ・ガードマンの稲葉義男さんは今回は岡島警視役でゲスト出演ですが,この後,徳田警視・警視監役でセミレギュラーとなり,さらには警視総監にまで出世します.響組への内通者の捜査を岡島警視より依頼された山村刑事の活躍を描いており,珍しくアクション・シーンも観られる,ほとんど山さんの一人舞台のエピソードですが,それ以上にボスの山村刑事をはじめとする部下たちに寄せる『全幅の信頼』がもう一つのテーマとなっているエピソードであると思います.あとこの番組ではチンピラ役が多かった剛達人さんが,今回はたつひと名義で珍しく,最初は山村刑事を馬鹿にしていたものの,『落しの山村』の自白を導き出すテクニックを目の当たりにして感服する花園署刑事の役を演じています.

第394話 鮫やんの受験戦争

脚 本:畑 嶺明/小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :谷川 みゆき/清家 栄一/広田 正光/津賀 有子/大橋 一輝/山口 譲/三留 真由美/川上 伸之/風間 賢/白川 絹子/藤井 敬/山崎 康雄/斉藤 薫子/高橋 昌也/堀 弘道
セミレギュラー:藤岡 琢也(鮫島 勘五郎)

 一応スニーカー主演エピソードですが,セミレギュラーでボスの盟友・鮫島勘五郎(藤岡琢也さん)シリーズ7度目の主演エピソード.この鮫やんというキャラクター,現役刑事時代は殿下がらみで出てくることが多かったのですが,退職後新人刑事とのからみが多くなり,第252話『鮫島結婚相談所』でボン(宮内淳さん)と関西弁の掛け合いを楽しませてくれて以来の登場となります.最初の奥さん役の北あけみさんは第89・156・205・252話に出演していましたが今回からは出て来なくなり,鮫やんが最後に登場する第711話では別の奥さん(野見山夏子さん)が登場します.

第395話 爆破魔

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:山本 迪夫
ゲスト :深水 三章/横森 久/志麻 哲也/松尾 文人/大峰 順二/小寺 大介/マエダ・オートクラブ

 ゴリさん主演エピソード.深水三章さん扮する犯人がゴリさんに射殺されてしまった別の犯人の犯罪を利用するというプロットは素晴らしいのですが,ちょっと脚本上のミスが目立つ作品です.ゴリさんが最初の容疑者(志麻哲也さん)を射殺する際,「これが最後のダイヤル」と発砲するのですが,あれだけ遠距離でそれが最後のダイヤルであるかどうか判断した根拠は何なのかがわかりませんし,七曲署爆破の際,どのようにして爆弾の所在を発見したのかも全くわかりません.ゴリさんもしかして超能力者? 但し,このエピソードのメイン・テーマはやはりボスのゴリさんに対する全幅の信頼だと思われますので,そんなことはどうでもよかったのかも? 犯人役の深水三章さんはこれが初のゲスト出演ですが,この後シリーズ犯人役常連のおひとりとなりました.

第396話 記念樹

脚 本:塩田 千種/小川 英
監 督:山本 迪夫
ゲスト :浜村 純/北村 総一郎/吉本 隆治/高林 由紀子/阪 脩/小林 文彦/沢 りつお/峰 恵研/吉中 六/三上 剛/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:山下 幹子(五代 早苗)

 スニーカー主演の第389話『心の重荷』に続く青春路線エピソード第2弾.今回は国立競技場でゴリさん・殿下・ロッキーが見守る中,記念樹を燃やした青年(吉本隆治さん)と一緒に走ってますが,ちょっと待って,殺人の真犯人(北村総一郎さん)に対する傷害は叙情酌量の余地はあるものの放火はほぼ殺人罪に匹敵する重罪なので,こんなことやってちゃまずいのでは? でらちゃんはこのスニーカーってキャラあまり好きではなかったのですが,冒頭のゴリさんと一緒に飲む場面でおでんの卵とこんにゃくを追加しているのを見て初めて共感できました.名優・浜村純さんがスニーカーの恩師役で出演しているほか,テアトル・エコー声優陣から阪脩さんと峰恵研さんが顔を見せています.

第397話 音の告発

脚 本:中村 勝行/小川 英
監 督:木下 亮
ゲスト :片桐 夕子/三景 啓司/江角 英/若尾 義昭/永谷 悟一/佐藤 功/三上 剛/村上 幹夫/船居 達彦/岩城 和男/荒瀬 寛樹/永野 明彦/マエダ・オートクラブ

 殿下主演エピソード.可能性にかけた間接的な殺人をテーマにした秀作.ゲストの片桐夕子さんと三景啓司さんはともに5・6回,江角英さん(この時期の芸名)に至っては10回このシリーズにゲスト出演しています.

第398話 名残り雪

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:木下 亮
ゲスト :友里 千賀子/西岡 徳美/辻 伊万里/大山 豊/篠田 薫/金子 勝美/鈴木 実/城野 勝己/柿木 恵至/マエダ・オートクラブ

 単純バカのスニーカーのキャラクターを視聴者に印象付けるために作られたのではないかと思われるようなエピソードですが,次回以降のスコッチ刑事とのキャラ対比のための伏線だったのかも.このエピソードで最も可哀そうだったのは,恋人に裏切られた強盗の実行犯(西岡徳美さん)でも,男に騙され続けて初めて騙す側に回って失敗した女(友里千賀子さん)でも,マヌケな刑事スニーカーでもなく,女を轢きかけてスニーカーに殴られた挙句パトカーに捕まった(と思われる)トラックのお二人だったような気がするのですが,こういうのを巻き添え,近所迷惑といいます.

第399話 廃墟の決闘

脚 本:長野 洋
監 督:竹林 進
ゲスト :佐々木 勝彦/森 大河/沢田 和美/多田 幸雄/栗田 八郎/三井 恒/福山 象三/広田 正光/町田 幸夫/本庄 和子/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:沖 雅也(滝 隆一)

 番組400回記念沖縄ロケによる前後編の前編.この時点で,スコッチ刑事を崇拝していたボンはすでに殉職して姿を消しており,新人スニーカーはまだスコッチを知りません.今回の見どころは常磐炭鉱におけるロッキー・スニーカー両刑事の活躍で,スコッチ刑事はまだセミレギュラー扱いでオープニングにもクレジットはありませんが,ラスト・シーンでスニーカーの前に姿を現わし,『滝隆一(スコッチ刑事)沖雅也』とクレジット表示されます.ところで予告編のスニーカーのセリフ「俺をマークするやつ…おまえは誰だ!」は本編では使われていないし,第一設定が逆だよね? スコッチの単独捜査に憤慨するスニーカーに対して「スコッチってのはそういうやつなんだよ」とゴリさん,スコッチ刑事の性格を理解しているのがわかって嬉しいのですが弁護になっていません.


第400話 スコッチ・イン・沖縄

脚 本:長野 洋
監 督:竹林 進
ゲスト :佐々木 勝彦/森 大河/沢田 和美/多田 幸雄/森 幹太/福山 象三/相原 巨典/大木 史郎/兼松 隆/丸山 秀夫/マエダ・オートクラブ

 というわけで,この後編こそ『スコッチ刑事復帰篇』となります.沖さんの3年ぶりの番組復帰の陰には強力な裏番組の存在があったわけですが,この回はちょうどその裏番組の第1シーズンの最終回と重なっていたため視聴率では敗れたものの,その後の回復へと繋がっていきました.でらちゃんはこの時期(1980〜82年)大学生で,ちょうどTVを一番よく観ていた時期だったので,でらちゃんにとってのこの番組のイメージ・キャラクターとなっていたのは,マカロニでもジーパンでもなくやはりスコッチ刑事だったのです.


第401話 紙飛行機

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:齋藤 光正
ゲスト :中野 誠也/岩瀬 浩規/下村 節子/久遠 利三/成田 次穂/水橋 和夫/三重街 恒二/酒井 郷博/大竹 義夫/石井 大介/マエダ・オートクラブ

 前回までの『スコッチ刑事復帰篇』における初顔合わせのときからスコッチに反感を抱いていたスニーカーとの激しい対立と和解を描いたエピソード.それにしても,スコッチ拳銃使い過ぎ.赤塚不二夫さんのおまわりさんみたい.ラストでやっと『運動靴』から『スニーカー』に呼び方を変えてもらえた五代刑事ですが,本人も滝刑事を誤解していたことに気づいたことがこの物語のポイントとなってます.


第402話 島刑事よ,安らかに

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:齋藤 光正
ゲスト :栗原 敏/高橋 利道/鈴木 弘道/増岡 弘/岸野 一彦/大曲 えり子/乃母 一平/小池 幸次/小林 玉枝/橋本 康秀/小川 真喜子/ジャパン・アクションクラブ/マエダ・オートクラブ

 この頃すでに殿下の殉職が決まっていて,このエピソードの予告編を観たときにスコッチと入れ替わりに姿を消すんだと思っていたら,見事に騙されました.視聴率が下降気味だったシリーズが回復のためにスコッチ復帰とともに画策した殿下の殉職ですが,この思わせぶりなやり方は評判悪かったです.また,仲良しの殿下が生命の危険にさらされて,クールでもダンディでもなくなったスコッチが実はヒステリックな性格の持ち主であることが露呈されたエピソードで,残念でした.

第403話 罪と罰

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:櫻井 一孝
ゲスト :山谷 初男/伊東 達弘/荒木 道子/北見 治一/立花 房子/梶 哲也/沖 恂一郎/高品 正広/前田 哲朗/藤瀬 雅子/進藤 幸/枡本 由喜子/角田 篤/朝戸 鉄也/安西 正弘/八代 駿/猪野 剛太郎/小野田 めぐみ/門脇 三郎/マエダ・オートクラブ

 久々のボス主演作ですが,『冤罪』をテーマにしたちょっと重いエピソードです.スタッフが遊んでいるシーンもところどころにあって,ボスが訪れた容疑者宅のテレビで流れていたのが,『俺たちは天使だ!』のテーマソング.あと,チョイ役ですが八代駿さん,トムの声ですぐにわかりました.

第404話 鍵のかゝった引出し

脚 本:小川 英/畑 嶺明
監 督:櫻井 一考
ゲスト :湯沢 紀保/土門 峻/神山 寛/本山 可久子/伊東 平山/豊原 健/入江 正徳/横尾 三郎/村上 幹夫/マエダ・オートクラブ

 暴走族と受験生と覚醒剤にまつわるこの話,スコッチ刑事再登場後初の単独主演のエピソードですが,メイン・テーマはやはりボスを始めとする七曲署面々のスコッチに対する信頼でしょう.「俺はスコッチを信じる」というボスのセリフがすべてを表しています.ドラマの見どころは暴走族に単独で立ち向かうスコッチ刑事のアクション・シーンですが,それと同時に滝刑事の人間性,優しさを見事に表現した脚本が素晴らしいです.ラストのボスとスコッチの笑顔が最高に素敵でした.今回,スコッチの私室が出てきますが,以前のサボテンが並んでいた他はほとんど何もない部屋ではなく乱雑に散らかった部屋で裸で寝ていて,あまりクールでもダンディでもないです.


第405話 時 効

脚 本:四十物 光男/小川 英
監 督:児玉 進
ゲスト :石田 太郎/藤江 リカ/矢田 稔/福岡 正剛/小倉 雄三/木下 ゆず子/東条 きよし/小笠原 弘/沢 りつお/大村 千吉/升本 泰造/マエダ・オートクラブ

 山村刑事がかつて逮捕したが自白に持ち込めず,公訴時効が成立した金庫破りに石田太郎氏が扮していますが,この方,『傷だらけの天使』最終回のゲイバーのママ役や,『ルパン三世カリオストロの城』の伯爵役でも有名ですが,なんといっても小池朝雄さんが亡くなった後の『刑事コロンボ』のピーター・フォークさんの吹き替えが有名です.そして,対する山さんの露口茂さんも,実は小池氏以前にコロンボ役の声優に内定していたというお話で,露口さんがコロンボやっていたら,石田さんはコロンボになれなかったという不思議な縁で結ばれています.あと,円谷作品では精神異常者やアルコホーリク役の多かった大村千吉さんはこの番組では情報屋や屋台のおしさんの役が多かったのですが,この回ではお得意のアルコホーリクのハコ師を演じています.また,このエピソードでは山さん以外に,番組に復帰したばかりのスコッチ刑事と,最初スコッチに反感を持っていたスニーカー刑事が,わりと仲良くつるんでいたのが印象に残っています.復帰後のスコッチは住んでる部屋以外に,タバコやコーヒー等嗜好も以前とはかなり変わっています

第406話 島刑事よ,さようなら

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:児玉 進
ゲスト :山本 紀彦/齋藤 こず恵/武内 亨/久保田 民絵/武内 文平/大屋 鎌臣/吉中 六/松尾 文人/岩城 和夫/荒瀬 恵/越後 亜起子/加藤 茂雄/穴原 正義/マエダ・オートクラブ

 殿下殉職思わせぶりサブタイトルエピソード第2弾.またしても殉職は見送られました.ゲストの齋藤こず恵さんは天才子役として有名だった方でしたが,現在はどうしているのかしら? ブレーキを壊されて暴走する自転車のシーンは.スタントなしだったらしいです.

第407話 都会の潮騒

脚 本:柏原 寛司
監 督:鈴木 一平
ゲスト :井上 高志/笹入 舟作/三浦 伸/柄沢 英二/藤 紗千子/宮田 光/佐藤 功/三上 昭子/須磨 弥生/中里 ひろみ/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:長谷 直美(早瀬 令子)

 ロッキーと早瀬婦警が急接近するエピソードですが,これを機に結婚させることが決定したらしいです.ゲストの井上高志さんもこのシリーズで犯人・被害者・警官のすべてを演じている常連さんです.ロッキー役木之元亮さんが歌う『都会(まち)の潮騒』,マカロニ,テキサス,殿下,ボンに続く5人目の劇中挿入歌ですが,この演歌調の詞と曲,なんとかならんかったのかしらね? 今回のスニーカーの差し入れが丸ごとのフランスパンで,それをそのままかじっているロッキーともども凄まじいです.第404話のラストでは瀕死の殿下を前に「何をぼやぼやしているんだ!救急車!」とスニーカーを怒鳴りつけていたスコッチですが,今回のロッキーの場合は自分で救急車を手配しています.

第408話 スコッチ誘拐

脚 本:中村 勝行
監 督:鈴木 一平
ゲスト :石橋 蓮司/西本 裕之/白石 まるみ/永井 雅春/飯田 浩幾/泉 よし子/岸本 功/山中 康司/赤出川 浩道/マエダ・オートクラブ

 スコッチ・滝刑事=沖雅也さんの魅力が最大限に活かされたエピソードです.しかも犯人役は前年の『俺たちは天使だ』最終回で殺し屋さんを演じた石橋蓮司氏で,息の合った(?)演技を見せてくれています.この人,この番組の他のエピソードでは山さん(露口茂さん)の情報屋・有田役で2回ほど出演していて,2度目はスコッチとのからみもあり,ユニークなキャラを演じていましたが,やはりその持ち味が最も発揮されるのは今回のような姑息な小悪党役だったと思います.今回の見どころはやはりスタントマンの起用なしで撮影された,炎上するコンテナの中から外にダイビングして犯人3人を次々に仕留めるラスト・シーンで,この番組の歴代の刑事さんの中でも最も派手なアクション・シーンを見せてくれたのが,スコッチ・滝刑事=沖雅也さんだったと思います.


第409話 英雄

脚 本:長野 洋/小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :飯山 弘章/八木 昌子/木原 正二郎/石山 雄大/福原 秀雄/進藤 幸/山口 和夫/桑原 一人/大竹 義夫/中瀬 博文/藤岡 一也/岡田 勝/マエダ・オートクラブ

 ゴリさん主演エピソード.このエピソードの冒頭とラストでは,スコッチとゴリさんの息の合った連携プレイが見られます.また,ロッキー・スニーカーとも仲良くやっていて,スニーカー相手に賭けたタバコを渡したりしていますが,スニーカーってタバコ吸わないんじゃなじゃなかったかしら? ゴリさんの殉職した先輩刑事の奥さんを演じている八木昌子さんもこのシリーズへのゲスト出演が多い女優さんですが,沖さんが出るはずだった『八月の濡れた砂』やショーケンの『化石の森』といった映画でも存在感のある演技を見せてくれています.

第410話 捜査だけが人生じゃない

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:竹林 進
ゲスト :浜田 光夫/下塚 誠/金井 進二/相原 巨典/篠原 益二/鹿島 研/古川 隆/マエダ・オートクラブ

 主演するたびに辞表か始末書を書いているスニーカーならではの,初登場の際以来のバーボン好きであることが表現されているエピソードですが,だからスコッチと相性悪かったのかしら? ゲストの浜田光男さんは日活出身の青春スターで,石原さんの後輩,沖さんの先輩にあたる方らしいです.また被害者役の相原巨典さんはこのシリーズへのゲスト出演がやたらと多く,毎回違う役柄ですがほぼレギュラーといっていい俳優さんでした.ラストの刑事部屋におけるシーンでボスのお小言に対する「(始末書を)じゃあ印刷します」という,スニーカーの開き直った応対が見事(?)ですが,その直前スコッチが山さんに何か話しかけている内容がとても気になっています.

第411話 長さんが人を撃った

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:山本 迪夫
ゲスト :氏家 修/内田 勝正/坂口 芳貞/中田 彩子/小畑 あや/三沢 ともこ/神宮 司/永野 明彦/西内 彰/阿部 裕子/田村 のぞみ/マエダ・オートクラブ

 長さんに撃たれた氏家修さんは結構印象に残っている俳優さんなのですが,他の作品はほとんど発見できませんでした.もう一人の犯人の内田勝正さんは久々のゲスト出演ですが,シリーズには5回くらい出ています.スコッチ刑事はこのエピソードでは珍しく長さんとコンビを組んでます.

第412話 似顔絵

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:山本 迪夫
ゲスト :峰 竜太/森下 哲夫/加藤 和夫/阪 脩/稲吉 靖司/辻 輝彦/山田 禅二/吉中 六/津賀 有子/麻 ミナ/山口 譲/マエダ・オートクラブ

 何故かラークを逆さに咥える滝刑事.スニーカーの差し入れたリンゴを齧って「これうまいね」.何よりも気になったのは,この何日かにわたって展開されるこのエピソードの最初から最後まで,同じ服装,しかもここのところ以前のスコッチ刑事らしからぬ黄色い半そでのシャツとライトブルーのスーツ.目撃者役の峰竜太さんはこのシリーズではほぼ常連さん.阪脩さんもこのシリーズでのゲスト出演が多い,どちらかというと声優さんとして有名な方ですが,このエピソードではスコッチ刑事に協力する眼科医の役で印象を残しています.


第413話 エーデルワイス

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:竹林 進
ゲスト :平泉 征/寺島 達夫/原田 清人/笹入 舟作/五十嵐 五十鈴/高杉 哲平/馬場 広人/檜作 住子/森 篤夫/水橋 和夫/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:長谷 直美(早瀬 令子)

 刑法第39条「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」が適用されるか否かをめぐって珍しく七曲署メンバーの意見が真っ二つに分かれる群像劇的なストーリー.『徹底的に疑う』山さんはすでに奥さんを亡くし,『徹底的に信じる』殿下は恋人の帰国と結婚を控えているという,この両者が実は刑事として同じ方向性を指向しているという逆説的ではあるが奥の深いエピソードだったと思います.

第414話 島刑事よ,永遠に

脚 本:畑 嶺明/小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :大村 波彦/中井 啓輔/原口 剛/中村 孝雄/牧田 正嗣/大矢 鎌臣/依田 英助/大木 史郎/阿部 渡/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:香野 百合子(三好 恵子)

 殿下役の小野寺さんが殉職に関して『あっさりした死に方』を希望し,交通事故による車の炎上という,『死体を見せない』演出が選ばれたらしいですが,これもかなり壮絶な死に方だと思います.小野寺さんも大好きだというシーン,殿下の死に対する七曲署メンバーそれぞれのリアクションがいいです.中井啓輔さんと中村孝雄さんはともにシリーズゲスト出演10回以上を数える常連さんなのですが,今回は珍しく芸能プロダクションの社長と専務の役で唯一の共演作です.

第415話 ドクター刑事登場

脚 本:長野 洋
監 督:澤田 幸弘
ゲスト :稲葉 義男/佐久間 宏則/日立 絵里子/大河内 稔/豊原 健/鈴木 和夫/庄司 三郎/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:横谷 雄二(吉野 徹男)

 事故死(正確には殉職ではない)した殿下に替わって本庁捜査一課から転任してきたドック刑事登場エピソード.神田正輝さんは以前『俺たちは天使だ!』で沖さんと共演していたので,その登場を楽しみにしていた俳優さんなのですが,以降番組の雰囲気を全く変えてしまう大活躍を見せてくれました.七曲署捜査一課では新任刑事の登場エピソードで大抵誰かに殴られるのですが,ボス直々に殴られたのはドックが最初にして最後だったと思います.やはり石原プロモーションだから扱いが別格なのか? 第393話『密偵』に出てきたときは岡島警視だった稲葉義男さんが今回は徳田警視役で,この後第453話『俺を撃て!山さん』では徳田警視監,第141話『東京・鹿児島大走査線』・第142話『鹿児島・東京大走査線』では警視総監と異例の出世を遂げています.

第416話 ゴリさんが殺人犯?

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:澤田 幸弘
ゲスト :有川 博/一柳 みる/沢田 情児/広田 正光/入江 正徳/三上 瓔子/町田 幸夫/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:平田 昭彦(七曲署署長・西山 隆行)/横谷 雄二(吉野 徹男)

 ゴリさんに恨みを持つ者の犯行と思わせておいて,実は…というストーリーの展開が秀逸なエピソード.七曲署3代目署長役の平田昭彦さんがおよそ2年ぶりの出演で,部下のゴリさんをかばおうとするボスに「辞表を出したまえ」と迫りますが,「島刑事殉職の際に本庁に出してあります」と応えるボス.前回の『ドクター刑事登場」の冒頭部分では,徳田警視監がボスの辞表を署長から預かったと言っていますので,矛盾が見られます.あるいは署長が忘れていたという事なのか? あと,ボスからの無線連絡を受けたスコッチが「はい,こちらスコッチ」と答えるシーンがありますが,この人いつの間にか自分からニックネームを名乗るようなひょうきん者になったのかしら?

第417話 ボスの誕生日

脚 本:小川 英/尾西 兼一/小木曽 豊一
監 督:山本 迪夫
ゲスト :堀内 正美/伊藤 正次/高田 敏江/藤瀬 雅子/中里 綾子/永谷 悟一/津田 世一/飯田 道郎/松尾 文人/菅 えり子/マエダ・オートクラブ

 初のナーコ主演エピソード.ボスへのバースデイ・プレゼント,山さんが「奮発して」4千円,長さん・ゴリさん・スコッチが「スコッチですが」各3千円,ドック・ロッキー・スニーカーの「二枚目?」トリオが各2千円,ナーコが千円で計2万円.このシーンで,七曲署捜査一課がかなりアット・ホームな雰囲気なのが伺えますが,それと同時にドック加入後,各刑事のキャラクターが大分変化しているのがよくわかります.ボス主演エピソードでもあるこの回,ゴリさんが普段拳銃に弾丸を装填しない習慣しない設定を利用したボスの作戦と,それに素直に従うスニーカーをはじめとするメンバーの姿に改めて七曲署捜査一課のチームワークを感じさせてくれたエピソードでした.

第418話 ルポライター

脚 本:小川 英/古内 一成/渡辺 由自
監 督:山本 迪夫
ゲスト :田島 令子/矢吹 渡/宮川 洋一/神田 隆/灰地 順/幸田 宗丸/原田 千枝子/茜 ゆう子/山口 勝美/山崎 優子/横尾 三郎/佐藤 京一/スーパー・リキ/倉沢 真一/真田 英明/荒瀬 寛樹/マエダ・オートクラブ

 クールでダンディなスコッチ・滝刑事のホットな一面,豊かな人間性を描いた大好きなエピソードですが,ミステリーとしても超一級の作品だと思います.薄幸のヒロインを演じた田島令子さんもいいですが,宮川洋一さん,神田隆さん等,バイ・プレイヤーも一流ぞろいでした.スコッチ主演エピソードの中ではこのエピソードから殉職した殿下・島刑事に代わってドック・西條刑事が若手メンバーに入っていて,この前年の『俺たちは天使だ』を彷彿とさせる息のあったコンビネーションを見せてくれています.若手メンバーにスコッチ・ドック・ロッキー・スニーカーの4人がそろったこの時期,デラちゃん自身も大学生でTVを一番面白く楽しんで観ていた頃なので愛着があります.


第419話 禁じられた怒り

脚 本:長野 洋
監 督:鈴木 一平
ゲスト :水原 ゆう紀/山西 道広/奥野 匡/松下 達夫/奥村 公延/増岡 弘/大谷 朗/松田 茂樹/相原 久美子/泉 よし子/マエダ・オートクラブ

 ドック主演エピソード.ガールフレンドが殺人の被害者ということで,珍しくシリアスなドックが見られます.傷ついたドックをいたわりながらフォローするゴリさん,スコッチ,ロッキー,スニーカー.細かい部分でアラの目立つ脚本ですが,七曲署のチームワークが清々しく描かれた佳作だったと思います.ヒロインの水原ゆう紀さんはこれが初めてのゲスト出演ですが,この後第480話『年月』,第582話『犯罪ツアー』でも印象に残る役柄を演じています.その同僚役の山西道広さんと証人役の増岡弘さんはこのシリーズではともに10回以上の出演回数を誇る常連俳優さんです.

第420話 あなたは早瀬婦警を妻としますか

脚 本:柏原 寛治
監 督:鈴木 一平
ゲスト :深水 三章/堀 勉/吉田 宏靖/大鹿 伸一/相原 巨典/鹿野 新太郎/森 篤夫/宮田 光/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:長谷 直美(早瀬 令子)

 予告編でもオープニングでもロッキーと早瀬婦警の結婚式のシーンが最初に出てくるので,そういうストーリーなのかと思いきや,実はこれはナーコの妄想で,他にもスニーカーがフランス料理のフルコースを妄想したりと,以前には見られなかったシナリオ構成が気になりましたが,結局「刑事には自分の時間があってないようなもの」と式は挙げずに引っ越しするお二人のところにボスが現れ,婚姻届け保証人のサインをさせられるというオチ.「おまえら翔びすぎなんだよ」というボスのセリフも当時流行し始めたトレンディ・ドラマみたいで,ちょっと違和感ありました.それにしても一番気の毒だったのはスコッチに2度も「やっぱり仲人は長さんしかいませんねえ」などと言われてすっかりその気になっていた長さんかも.

第421話 ドックとスニーカー

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:竹林 進
ゲスト :森 大河/河津 佐衛子/中村 良男/井上 三千男/成田 次穂/島村 卓志/村上 幹夫/伊倉 一恵/マエダ・オートクラブ

 以前,傑作だった第218話『殿下とスコッチ』でも見られた性格の全く異なる刑事のパーソナリティーの衝突を描いた佳作.以降第496話『ジプシーとラガー』,第503話『山さんとラガー』,第522話『ドックとボギー』,第549話『ボギーとマミー』,第553話『ドックとマミー』と新キャラ登場時の恒例となりますが,この傾向はそれよりも以前,テキサスとボンの新人コンビ登場以来の伝統だと思います.また,今回焦るスニーカーとの対比でドックの冷静な一面がうまく描かれていたと思いますが,刑事が二人そろって拉致されるというストーリー,あまりに破天荒でこれも『太陽』らしいです.

第422話 令子,俺を思い出せ

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:竹林 進
ゲスト :沖田 駿一/福山 象三/藤 紗千子/吉良 冬太/桑原 一人/吉田 太門/山田 京子/団 巌/三重街 恒二/佐藤 文紀/三宅 悦子/青柳 丈太郎/斉藤 徳子/戸塚 孝/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:長谷 直美(岩城 令子)

 ロッキーと妻となった令子の『太陽』風ラヴ・ストーリー.犯人役は常連の沖田駿一さんですが,『金がない中毒患者』に手あたり次第に指図するという犯人の執った手段は,はっきり言って自殺行為.そんな連中を思いのままに動かして犯罪に利用しようなどというのは,どう考えてみても不毛な計画であって全くのおバカさんです.それに対し,クール刑事スコッチも躊躇するほどの令子の囮作戦を断行するロッキー刑事.いつからそんなに冷たい男になったのか? このエピソードでは珍しく,ロッキーとスニーカーのガードマン制服姿が見られますが,結構似合っています.

第423話 心やさしき戦士たち

脚 本:小川 英/君塚 良一
監 督:山本 迪夫
ゲスト :田中 浩二/池田 信子/星野 浩司/頭師 孝雄/西田 健/安原 義人/木村 令子/中島 元/福岡 由里子/植村 恭子/工藤 えり/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:西 朱実(野崎 康江)

 ひき逃げ事件とその捜査中に連続して起きた少女歌手誘拐事件における長さんの心の葛藤を描いたいささか現実離れしているというか訳の分からんストーリー.引きにげの犯人(西田健さん)はあっさり自首してきてしまうし,誘拐事件の犯人はひき逃げとは全く関りのない少年たちで,その背後にはマネージャー(頭師孝雄さん)の悪行が確かに存在しているにも関わらず,被害者はすでに自殺してしまっていて犯罪は成立せず,何故か長さんの自宅に誘拐犯人の少年たちとその被害者が立てこもっていて,さらに少女が少年たちの無実を主張するものの,結局少年たちは逮捕され,少女はあっさりマネージャーのもとへ戻ってしまう不条理な結末と,刑事部屋のTVで歌番に興じる捜査以下の面々という番組史上これまでにないシュールなエンディング.しかもボス,長さんの言葉に耳を貸そうともしないし.安原義人さんが出版社員役でチョイ役ながら2シーンに出演していたのと,スコッチの追跡シーンでの沖さんの軽快なアクションが印象に残っています.

第424話 拳銃を追え!

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:山本 迪夫
ゲスト :倉石 功/新田 昌玄/高橋 和枝/兼本 真吾/二見 忠男/二又 一成/信実 一徳/檀 喧太/相沢 治夫/康 有羅/赤出川 浩道/猪野 剛太郎/永田 伸介/丸山 秀夫/菊地 康二/歌川 秀夫/垣内 隆/マエダ・オートクラブ

 拳銃乱用刑事の拳銃哲学(笑).スコッチ主演作は,復帰作の第400話『スコッチ・イン・沖縄』といい,最終作の第493話『スコッチよ静かに眠れ』といい,拳銃密売ルート関連のエピソードが多いのですですが,これは偶然? ゲストは『ザ・ガードマン』倉石功さんと常連二見忠男さん.またこの時期,大学でアニメーションにはまっていたこともあって,カツオくんの高橋和枝さん,左門豊作の兼本真吾さん,五代君の二又一成さんと声優さんが多数出演していたこのエピソード,放映時に観た中で特に印象に残っていました.特にスコッチに拳銃を向けられた犯人役の二又さんの表情による演技は絶品でした.しかしながらそれ以上に,なんといってもやはり『俺たちは天使だ!』そのままのノリの沖さんと神田さんの息のあったコンビネーションが最高だったと思います.ドックがらみで,ますますひょうきんになっていくスコッチ.


第425話 愛の詩―島刑事に捧ぐ

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :星野 真弓/三景 啓司/吉田 悟/三上 剛/山崎 之也/潤 じゅん/伊藤 健/谷本 一/木内 マキ/岩城 和男/宮下 良二/荒瀬 恵/麻 ミナ/高崎 蓉子/武内 靖/岸本 功/横尾 三郎/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:香野 百合子(三好 恵子)

 亡くなった島刑事を訪ねてきた少女(星野真弓)さんとゴリさんの心の交流と,それを通じて七曲署捜査一課の結束を描いた佳作.スコッチの「ねえ,ゴリさん.島さんが彼女の心の中に遺していったものを,俺だって信じたいですよ」は,このドラマ史上に残る名セリフのひとつだと思います.但し.少女を裏切り単独で警官を襲って強盗を行い,さらに少女を殺そうとしている凶悪犯を,前年『俺たちは天使だ!』で沖さん扮するCAPの後輩刑事,この番組でもすぐ後の第436話『父親』でドックの弟を演じている三景啓司さんを起用したのはミスキャストでは? 他にも常連のゲスト俳優さんいくらでもいるのにね?

第426話 愛の終局

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :佳那 晃子/潮 哲也/小林 伊津子/松田 茂樹/五月 晴子/三上 剛/荒瀬 寛樹/加藤 茂雄/志村 幸江/マエダ・オートクラブ

 スニーカー主演エピソード4年前に妹(佳那晃子さん)の婚約者を殺した男(潮哲也)が,出所後再度妹の恋人を殺害し逮捕されるが実は…,といよくありがちなサイコ・サスペンス.佳那さんは第391話『黄色いボタン』に続いて2度目のゲスト出演ですが,前回同様印象に残る役柄を演じています.ラスト,ドックとともにスニーカーのピンチに駆け付けたスコッチが,ドックを促してスニーカーを一人残して現場を立ち去るシーンに,傷ついた後輩刑事への思いやりが感じられて印象的でしたが,凶器の彫刻刀を素手で渡してはいけません(受け取ったドックはハンカチを使用).

第427話 小さな目撃者

脚 本:長野 洋
監 督:山本 迪夫
ゲスト :鳥居 浩一/山本 亜季/原田 清人/梶 哲也/下村 節子/磯部 稲子/小熊 恭子/野村 昇史/金子 勝美/門屋 美佐/宇佐美 多恵子/鍋島 達也/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:横谷 雄二(吉野 徹男)

 番組初期の第9話『鬼刑事の子守唄』で赤ちゃんを押し付けられて以来久々の,ボスのこどもがらみのストーリー.映画やドラマにこどもや動物を出すと,観客動員や視聴率を上げる効果はある半面,共演する俳優さんは食われてしまうことが多いのでキャストには嫌われることが多いのですが,流石に石原さんは前回も今回も動じることなく,堂々たるボス主演作となっています.あと他のメンバーでこどもがらみのエピソードが記憶に残っているのが山さん,殿下とスコッチなのですが,特にスコッチ役の沖さんは子役との競演が意外と上手な俳優さんで,他に『必殺シリーズ』でもこどもがらみのエピソードがあって,いずれの作品でも名演技を披露しています.このエピソードでも殺人の目撃者の少女に似顔絵を描かせる提案をボスに却下されてあっさり引き下がったり,そのくせ「お前たちは子供の証言をあてにしなければ捜査ができんのか」などと後輩刑事たちを一喝したり,ラストでは新しいワンピースを少女にプレゼントするスタンドプレーをゴリさんにからかわれたり,しっかり目立っています.

第428話 ドック対ドッグ

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:山本 迪夫
ゲスト :西岡 徳馬/河村 弘二/広田 正光/井上 三千男/島村 卓志/中山 一也/中島 元/アルマ・フォーム・ジョーナイ号/指導:梁田 カツ子/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:横谷 雄二(吉野 徹男)

 『太陽』で視聴率獲得のために度々製作されていた恒例の『犬』シリーズと呼ばれるエピソードで,これまでにゴリさん,テキサス,ボンといった面々がそれぞれ犬との共演を行っています.スコッチとロッキーは第415話『ドクター刑事登場』で「犬が苦手」という設定になっているせいか,今回犬とからむのはドック.しかもこれまでの警察犬ではなく,麻薬取引に使われていた犬という斬新な設定? 一見ダメ犬っぽいキャラクターがやはりこの頃は一見ダメ刑事っぽかったドックと絶妙なコンビネーションを見せてくれるエピソードです.犬嫌いだったはずのスコッチ刑事も.この後第454話『スコッチ,市民を撃つ』と第474話『ロボは知っていた』で犬との共演を果たしています.

第429話 不良少年

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:鈴木 一平
ゲスト :長谷川 諭/松本 朝夫/永井 雅春/邦 創典/園田 みゆき/佐々木 由紀恵/星 一/田中 雅比呂/藤井 章人/山中 泰助/植松 顕治/峰 健太/鈴木 義弘/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:長谷 直美(岩城 令子)

 自身に子供ができたことを背景に,父親としての自覚と家族の大切さに目覚めるロッキー主演作.追跡していた少年ともども排水溝に落ちて閉じ込められてしまうというシチュエーションは斬新で面白いのですが,そのわりにあっけなく解決してしまうラストにちょっと不満を感じました.

第430話 東京大追跡

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:鈴木 一平
ゲスト :真田 英明/関川 慎二/柄沢 英二/久保 晶/市川 好朗/飯島 大介/西尾 徳/吉田 太門/永谷 悟一/町田 幸夫/表 義光/片山 健/谷口 孝司/曽我 一貴/新井 一夫/マエダ・オートクラブ

 隅田川の堤防を疾走し水上バスに飛び移るアクションを見せてくれるスニーカー初演作.沖縄から東京に出てきてグレかかっていたところ,ボンに出逢って警察官となり七曲署に来たスニーカーの過去がこのエピソードでも語られ,このエピソードが出てくるたびにいつも思うのですが,よくこんな人が警察官として採用され刑事になれたなと.前回語られた,厳しい父親から逃げ出してきて東京に来たロッキーにしても,医学部中退して刑事になったドックにしても,みんな警察学校出身ということが第415話『ドクター刑事登場』で確認されていますが,警察学校というところどうも入学するのは簡単なところみたいです.

第431話 誰が彼を殺したか

脚 本:小川 英/古内 一成
監 督:山本 迪夫
ゲスト :片桐 夕子/瞳 順子/里美 和香/井上 高志/伊海田 彩/久遠 利三/松田 茂樹/石田 圭祐/平田 京子/三上 剛/泉 よし子/大山 豊/山地 美貴/マエダ・オートクラブ

 最近またブームになってるみたいですが,綺麗な女優さん多かったにっかつロマン・ポルノの片桐夕子さんがゲスト.この方も印象に残っているゲスト出演回が多い女優さんの一人です.ストーリーはスコッチが珍しく犯人の目星をつけ間違えたり,ダーティーな手段で真犯人をトリックにかけたり,少々粗の目立つストーリー展開ですが,これも放映時に観て印象に残っているエピソードです.ところで,でらちゃんこれまで生きてきてゴキブリを素手で触れるほどの勇気を持っている方にお会いしたことがないのですが,ましてそれを潰せるなんて人が存在するのか疑問です.そのうえこの方,指を舐める癖まで持っているんですよね? こんな人が周りにいたら,いくらお金持ちの御曹司でも確かにえんがちょです.女の子に泣かれただけで「あの子が犯人だったら,俺刑事辞めます」とまで言ってしまうドックと,被疑者の無罪を確信してしまうスコッチ.はーどぼいるどじゃないね〜.最初に真犯人を見抜いていたのがスニーカーだったというのも珍しいです.ところで,何度もボーリングやってた刑事さんたちのゲーム代は,ちゃんと経費で落ちるのかしら?


第432話 スリ学入門

脚 本:古内 一成/小川 英
監 督:山本 迪夫
ゲスト :浜村 純/横森 久/木内 マキ/山崎 優子/桑原 一人/畑中 猛重/春田 純一/丹羽 たかね/神田 盟子/牧野 和子/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:横谷 雄二(吉野 徹男)

 犬の次はスリ? このあと何作か続くドック刑事の『入門』シリーズ第1弾.確か前任の殿下にも金庫破りに入門するエピソードがありましたが,こちらが潜入捜査のためのトレーニングだったのに対して,こちらは自分が被害にあった当人の尻尾を掴むためにあえて弟子入りするという逆転というかムチャクチャな発想がドックらしくもあり,番組の方向性が変わってきたことを覗わせるエピソードでした.ゲストの浜村淳さんは第396話『記念樹』ではスニーカーの恩師を演じてました.

第433話 金髪のジェニー

脚 本:柏原 寛治
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :竹田 かほり/潤 ますみ/梅津 栄/大木 正司/外山 高士/谷本 一/稲吉 靖司/小倉 雄三/北川 欽三/原田 千枝子/木下 藤吉郎/マエダ・オートクラブ

 ゴリさん主演のかなりシュールなエピソード.ゲストの梅津栄さんの歌が上手すぎて原曲のメロディーが聞き取れないのですが,フォスターの歌曲というのも意外な設定ながら,知ってた山さんの博識ぶりも印象に残りました.盗癖というのは現在では依存症の一種とも解されていて,,この人の場合アルコール依存とのクロス・アディクションであることが疑われるので,刑事のゴリさんが一緒に酒なんか飲んではいけません.ヘロインが隠されていることも知らずに盗品のオルゴールを娘にプレゼントしようとした親爺もオヤジなら,やはりヘロインのことも知りもしないで恐喝に利用した娘もムスメで,本人が言う通り一枚上手なのかもしれませんが,値段を安くつけすぎたために知らないことがバレてしまうお粗末ぶり.でもヘロインの相場価格なんてみんな知らないよね?

第434話 ある誘拐

脚 本:小川 英/君塚 良一
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :角野 卓三/小野 武彦/笹入 舟作/倉吉 朝子/里木 佐甫良/矢野 みち/小笠原 まりこ/藤 悦子/宇乃 壬麻/諸星 洋子/高杉 哲平/市川 勉/小池 幸次/金沢 寿一/伊東 あつ子/嶋 英二/マエダ・オートクラブ

 長さんの『刑事としてのカン』が隠されていた誘拐事件に気づいてしまったがために,被害者の父親(角野卓三さん)の恐喝や,その友人(小野武彦)の盗品買入まで表面に浮かび上がらせてしまうという皮肉な結末で,公権力のおせっかいに対するアンチテーゼのようなエピソードですが,七曲署捜査一課としてはすべての犯罪を解決に導いたわけだからこれでいいのです.

第435話 スター

脚 本:小川 英/尾西 兼一
監 督:鈴木 一平
ゲスト :西田 健/中島 ゆたか/北条 清嗣/三沢 もとこ/三浦 伸/三川 雄三/神部 みどり/三上 昭子/伊藤 正博/マエダ・オートクラブ

 スニーカー主演エピソード.自首してきたモデル(中島ゆたかさん)は実は身代わりで,真犯人はその恋人のシンガーソングライター(西田健さん)ではないかと疑いの目を向けるスニーカー.いつも思い込みが先行するスニーカーの推理が珍しく的中したかと思いきや真相は…,という二転三転の大どんでん返しが見事なミステリー.ゲストの西田健さんは『アイフル大作戦』のレギュラーでしたが次作『バーディー大作戦』では降板して代わりにレギュラーに復帰したのが沖雅也さんでした.このシリーズでは7回ほどゲスト出演してますが,特に第182話『ボディーガード』でボスに射殺される悪徳警官役が印象に残っている,でらちゃんお気に入りの男優さんのおひとりです.また恐喝者役の北条清嗣さんもゲスト出演の常連さんですが,何といっても第217話『スコッチ刑事登場!』でのスコッチにつきまとわれる犯人役の演技が忘れられません.ヒロインの中島ゆたかさんは第253話『生きがい』に続いて2度目の登場ですが,この後も2度ほど出演してます.ラスト,真犯人を逮捕に来たスコッチがスニーカーに「沖さん」と声をかけられて,黙って手錠を置いて部屋を出ていくシーンの演出と沖さんの演技が渋いです.

第436話 父親

脚 本:長野 洋
監 督:鈴木 一平
ゲスト :津田 和彦/西本 裕行/渡辺 知子/佐藤 晟也/栗田 八郎/大内 幸子/中瀬 博文/二家本 辰己/高橋 正昭/城野 勝己/井口 修一/マエダ・オートクラブ
セミレギュラー:梅野 泰靖(西條 勝)/三景 啓司(西條 進)

 ドック刑事の父親(梅野泰靖さん)と弟(三景啓司さん)が初登場するエピソード.ゲスト出演の常連さんだったお二人が今回セミレギュラーに起用され,梅野さんはこの後も何度か同役で出演していますが,三景さんはこれが最後のシリーズ出演となりました.また,梅野さんに関しては実は第415話『ドクター刑事登場!』で声のみ出演していたことが後で明らかになっているようです.ところでいくらなんでも離れる車のダッシュボードに手錠と拳銃を入れておいてはいけません.

第437話 ニセモノ・ほんもの

脚 本:小川 英/四十物 光男
監 督:斉藤 光正
ゲスト :佐野 浅夫/井上 博一/奥村 公延/原口 剛/天草 四郎/沖田 駿一/三上 瓔子/相原 巨典/宮田 光/林 弘造/マエダ・オートクラブ

 スコッチ刑事のエピソードとしては珍しいニセ札事件と思いきや,実は老ニセ札つくりの復讐譚という凝った作りのミステリー.ストーリーは最高に面白く,脚本の冴えが見られます.スコッチとロッキーのコンビネーションもいいです.でも,前回の第431話『誰が彼を殺したか』の勧進帳に続いてまたも偽造の証拠を使用,ハードボイルド刑事からダーティ刑事へと方向転換したスコッチ? 常連ゲストの沖田駿一さんは『クラスメート』では沖さんと同級生のの役柄でしたが,約10年の歳月を経て片や刑事片やチンピラ,人生の悲哀を感じます? やはり常連の原田剛さんは第414話『島刑事よ,永遠に』で殿下を窮地に追い込んだ爆弾男ですが,このエピソードではやはりスコッチに利用されるおまぬけな役です.初ゲストの佐野浅夫さんは,3年後の第552話『ある誤解』でもっかいだけ出演しています.ラストの茶碗酒で乾杯と,ボスに甘えるスコッチの笑顔がかわいいです.


第438話 取調室

脚 本:峯尾 基三
監 督:斉藤 光正
ゲスト :原田 大二郎/灰地 順/風祭 ゆき/成田 次穂/飛鳥 和泉/島村 卓志/三上 剛/山崎 之也/村上 理子/中川 明/小寺 大介/マエダ・オートクラブ

 『落としの山さん』お得意の取調室エピソード.以前,第163話『逆転』では西村晃さん扮する警視相手でしたが,今回は原田大二郎さん扮する弁護士相手に落としの妙技を披露します.しかしながら今回は,スコッチ同様ニセの証拠で自白に持ち込むというダーティな策を弄しています.山さん,お前もか? DVD BOX 特典ディスクのアンソロジーメイキングで神田正輝さんが山さんについて,「スコッチが年齢をとったらああいう刑事になる」というようなことをのたまってましたが,正鵠をついているかも? 原田大二郎さんはこのエピソードが唯一の『太陽』出演作でした.