1982 |
第490話 われらがボス |
脚 本:小川英/尾西兼一 |
前回クリスマスに番組に復帰したボスの早速の主演作.しかも今回は七曲署捜査一課が乗っ取られ,ボス自身が人質になるというこれまでにないシチュエーションですが,結末は最初からわかりきっているので安心して観ていられるのです.犯人役の深水三章さんは第454話『スコッチ,市民を撃つ』での『売れないロック・シンガー』が印象的だった常連ゲストのおひとりでしたが.2017年に亡くなっていたそうです. |
第491話 ドックのうわごと |
脚 本:奥村 俊雄/小川 英 |
一応ドック主演作ですが,事件の中心となっているのはゴリさんというちょっと珍しいエピソード.実はスコッチが再度休場してからほとんど観なくなっていたのですが,何故かこの回はたまたま観ていて,スコッチが七曲署に電話をかけてくるシーンが印象に残っているエピソードでした.以前はサボテンと書棚とロッキングチェアーしかなかったスコッチの自室にテレビが置いてあったのにちょっと違和感感じてしまいましたが,ゴリさん.そして山さんとの電話での会話の端々に自らの生命がもうそう長くないことをほのめかしていて,この後の病死の伏線となっています. |
第492話 傷だらけの勲章 |
脚 本:小川 英/四十物 光男 |
ラガー主演ストーリー.ラガーというキャラクター,父親が警察官で殉職しているという点で先のジーパンを踏襲していますが,父親に対する想いという点でジーパンとは差別化が図られていたことが覗われるエピソード.前回に引き続きスコッチが1シーンのみ姿を現しますが,ラガーによると,「顔に人生相談の回答が書いて」あったらしいです.ただ,スコッチ刑事2回目の欠場はラガー刑事登場のすぐ後なのに,ラガーのスコッチに対する尊敬の念はいつ芽生えたのかしら? |
第493話 スコッチよ静かに眠れ |
脚 本:長野 洋 |
1982年1月29日,ついにマカロニ・ジーパン・テキサス・ボン・殿下に続く6人目の殉職刑事(正確にはマカロニ・殿下・スコッチの3名は殉職ではない)として番組を去ります.実は,以前の5人の殉職シーンは観ていたのですが,とても残念なことに何故かこのエピソードは見逃していて,LD を入手して35年も経ってからやっと観ることができました.以前の5人の刑事の殉職シーンは放映時に観ていたのですが,その中の誰よりも,この山さん・ゴリさんに看取られて亡くなるスコッチの姿は悲しく,胸に訴えかけられるものがありました.また,電話ボックスでのボスとの最後の会話のシーンがとても感動的ですが,ケータイのない時代で本当に良かったと思います.ところで,拳銃密売組織の『バー黒猫』って,以前も同じ容疑で摘発されたはずだったと思うのですが? |
第494話 ジプシー刑事登場! |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
病死したスコッチの後任としてジプシー刑事登場.演じる三田村邦彦さんは沖雅也さん同様,『必殺シリーズ』での実績を買われての登場だったみたいですが,2人続けて殺し屋から刑事への抜擢とはどういうものかと.七曲署捜査一課の採用基準を知りたいものです.スコッチに続く2代目クール系刑事ということで,みんなの反感を買いますが,スコッチと違って誰からも殴られませんでした.以前は,この番組,新登場のキャラクターは必ず誰かの鉄拳制裁を受けていましたが,ラガー登場あたりから番組の雰囲気が変わってきたことがここでも感じられました.ゲストの上原ゆかりさん,どっかで見たことがあると思ったら,『明治マーブルチョコレート』の CM でした. |
第495話 意地ッ張り |
脚 本:長野 洋 |
前回から急速にオヤジ化したドック刑事. 登場時はダジャレばかり言っているおバカキャラでしたが,この頃からやたらと怒って怒鳴り散らすキャラに成長(?)したみたいでした.ゲスト初登場の井上昭文さんはこの後2回出演しましたが,もう一人の吉田義夫さんは唯一の出演作でした. |
第496話 ジプシーとラガー |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
性格の全く異なる刑事同志を比較対照するシリーズお得意の『〇〇と○○』エピソード.『疑う』ジプシーと『信じる』ラガー.結果はともかくとして,でらちゃん自身は何でも特に人間は疑ってかかる猜疑心の強い性格なので,ジプシーの方に共感するのですが,それでもやっぱり騙されてしまうのも同じだったりするのです.この頃バイプレイヤーとしてよく出演していた庄司三郎さんという俳優さん,ちょっと気になっていたのですがいつのまにか姿を消してしまいました. |
第497話 ゴリさんが拳銃を撃てなくなった |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
新刑事ジプシーのキャラクターを具体化した他刑事とのからみが続きますが,この辺から半年後の『ゴリさん殉職』の伏線となるようなエピソードがぼちぼち始まってきた感じでもあります.でもこのストーリーとても気になったのですが,『刑事にとって一身上の問題』であるはずのゴリさんの体調不良に関して,ロッキーもドックも長さんまでちょっと口が軽すぎませんか? いけません. |
第498話 600秒の賭け |
脚 本:峯尾 基三 |
ロッキー主演作.はっきり言ってこれは被疑者に対する拷問であり違法捜査です.いけません.それにしてもいつも思うのですが,犯人側の律義なこと.爆弾はかならず予告時間通りに爆発させるし,嘘の自白をしてその場を逃れたり絶対しないし. |
第499 こわれた時計 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
第417話『ボスの誕生日』に続く2度目のナーコ主演エピソード.前回のパートナーはボスでしたが,今回は長さん.おじさまのアイドルのアイドルでありながら,今回は男の子の初恋の対象? 長さんの息子・俊一役の石垣恵三郎さんは初めて単独での出演だったと思うのですが,今回が長さんの家族が出てくる最後のエピソードとなりました. |
第500話 不屈の男たち |
脚 本:長野 洋 |
七曲署捜査一課チームの活躍を描いたエピソード.特にクレジットはされていませんが500回記念作として企画された作品だと思います.ジプシーさん,現行犯追跡のためとは言え,一般人のバイクを無理やり借用するまではまだ仕方ないにしても,そうして借りたヘルメットを投げ捨てたりしてはいけません.ゲストの北村総一郎さんと吉野佳子さんはこのシリーズでは常連さんだったのに対し,時代劇の名悪役でスティーブ・マックイーンさんの担当声優としても有名な宮部昭夫さんが初登場だったのが意外でしたが,後に第715話『山さんの伝言』にもっかい出演しています. |
第501話 ある巡査の死 |
脚 本:奥村 俊雄/小川 英 |
一応ラガー主演のエピソードですが,テーマとなっているのはボスをはじめとする捜査一課の刑事たちのラガーに対する信頼であり,そういう意味で真の主役はボスだったと思います.石原さん演じるボスはまさに理想の上司像でした. |
第502話 癖 |
脚 本:亜鎗 文代/小川 英 |
ドックとロッキーの名を騙った結婚詐欺事件という,シリーズでも珍しいユニークなエピソード.阿藤海さんもゲスト常連さんのおひとりですが,今回は二役で印象に残る演技を見せてくれます.児島みゆきさん,久しぶりにお姿を拝見しました. |
第503話 山さんとラガー |
脚 本:小川 英/四十物 光男 |
前回のコミカルなエピソードから一変.刑事として,また父親としての山さんの本領発揮といった感じのエピソードで,やたらと興奮して突っかかる若いラガーは,はっきり言って単なる引き立て役でした.ゲストの辻萬長さんと加藤和夫さんも渋い演技で,露口さんをサポートしています. |
第504話 バイオレンス |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
制裁殺人を行う元警官が単なる殺人マニアでしかないことを看破するゴリさんの観察眼の鋭さを感じさせられたエピソード.ゲストの小野進也さんはやはりゴリさん主演の第197話『ペスト』以来久々の登場でしたが,このあとすぐロッキー殉職長さん引退の前後編に出演しています.ゲスト常連化3度目の出演の早坂直家さんは,今回はあっさり殺されてしまう可哀そうな役でした.最も印象に残ったのが吉野巡査役の横谷雄二さんで,『自らを囮に容疑者に接触するためにヤクザを演じるが,それが全く板についていない警察官』という難しい役柄を上手に演じていました. |
第505話 ジプシーの涙 |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
ジプシー主演の本格ミステリー.真犯人を巡って二転三転するサスペンスと,それを見事に見破るジプシー刑事の論理的な推理力.先代のスコッチ同様,主演作は少ない代わりに脚本がよくできた作品が多いと思うのですが,そんな中でもジプシーのキャラクターが最大限に生かされているお気に入りのエピソードです.ヒロインで薄幸の姉妹を演じる松本留美さんと立枝歩さんもゲストとして常連の女優さんたちですが,特にこの作品における演技は素晴らしかったと思います. |
第506話 消えたロッキー |
脚 本:小川 英/奥村 俊雄 |
時効完成間近の容疑者を説得して自首させるという,逮捕するよりはるかに難しい仕事を完遂したロッキー.ロッキー主演エピソードの中でも印象に残っているエピソードですが,それ以上に長崎県警刑事役の金井大さん,長さんに向って「刑事失格ですな,私は」と語る姿に,はるか昔の『ウルトラQ』第7話『SOS富士山』で「ダメだなあ,私は」が口癖の横山巡査の姿がオーバーラップ,偶然だろ思いますが昔から同じような役柄演じていたのね? それにしてもいつも思うのですが,手錠の鍵ってそんなに簡単に開いてしまうものなんですか? |
第507話 この街で |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
第431話『誰が彼を殺したか』でゴキブリを素手でひねりつぶす奇癖のある被害者を演じていたのを見て以来そのイメージが定着してしまった井上高志さん,決して似ているとは思えないのですが…,間違えられた谷隼人さんが気の毒です.谷隼人さんは,第237話『あやまち』以来2度目で最後のゲスト出演.永島暎子さんは初のゲスト出演ですが,この後も2回登場して同じような役柄を演じています. |
第508話 ドックと天使 |
脚 本:小川 英/大川 俊道 |
ドック主演エピソードですが,なんで『天使』なのかよくわからんタイトルです.ヒロインの代ゆかりさんもこれといって特徴も魅力のない女の子で,このあとすぐにTVから姿を消してしまいました.それにひきかえ常連ゲストの潮哲也さんと中井啓輔さん,今回はともに犯人役ですが,流石に板についた小悪党ぶりで,それぞれのキャラクターを見事に演じ切っていました.流石です.しかし前々回のロッキーにしても今回のドックにしてもかけられた手錠外すの上手すぎ,警察学校ではこういう訓練も受けるのかしらね? |
第509話 列車の中の女 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
『落としの山さん』のお株を奪った感のある長さん主演エピソード.渋いです. |
第510話 ラガーの大追跡 |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
西村晃さんはシリーズ屈指の名作と私が思っている第163話『逆転』に次いで2度目のゲスト出演ですが,取調室で山さんと対決する警視役を演じた前回と同様,このエピソードでも『戦争』を仕掛ける会社会長という強烈なキャラクターを見事に演じ切っています.誘拐されるアイドル役の岩田法子さんは本物のアイドルの松田聖子さんからアドバイスを受けたとか DVD のブックレットに記載されていましたが,これってやはり神田正輝さんがらみだったのかしらね,ところで七曲署というところ,第238話『東京上空17時00分』,第601話『アイドル』等,芸能界がらみの事件が意外と多いところのようです. |
第511話 爆発!ロッキー刑事 |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
刑事として父親としてロッキー刑事が『スーパーマン』的な活躍を見せるエピソード.いつもながら殉職を控えた刑事のエピソードは佳作が多いです.でも,ラストで誘拐犯人(伊佐山ひろ子さん)の被害者でもある婚約者にかみつくのは,どう考えても八つ当たりのようでもいただけません.でらちゃんが大好きな女優さんの姫ゆり子さんがチョイ役ですが初のゲスト出演,この後シリーズのチョイ役ゲストの常連さんとなります. |
第512 婚約者の死 |
脚 本:峯尾 基三 |
タイトルと予告編だけ見ると,ゴリさんの婚約者が殺されてしまうような印象を受けますが,本編の冒頭であっさり否定されてしまいます.視聴率低下の激動期以来,こういうギミック多かったような気がします.ゲスト常連の三ツ木清隆さんは第231話『孤独』,第265話『ゴリ,爆発!』に続いて3度目で最後のゲスト出演ですが,どういうわけかゴリさん主演エピソードばかりでした. |
第513話 真相は…? |
脚 本:長野 洋 |
第439話以来2度目の,かつてシリーズのタブーであった性犯罪を取り扱ったボス主演エピソード.ボスの先輩で容疑者の警部を山内明さん,その取り調べをボスに命じる本庁の警視を早川保さんが重厚に演じています.いつも七曲署捜査一課メンバーとボスとの『無条件の信頼関係』が描かれているわけですが,今回の場合,やはり娘さん(香野麻里さん)暴行の事実はボスと山さんだけの胸の内にしまってあげておいても良かったのでは? と思ってしまいました.ところでゲスト常連の吉中六さん,以前から名前だけは気になっていたのですが,今回のチンピラ役でその正体をやっと無事に確認することができました. |
第514話 ドックの苦手 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
このエピソード,この時期のエピソードの中では珍しく初回放映を観ていて,冒頭のシーンでラガーがピクルス,ロッキーがキウイがダメだという設定が,ドックの「キュウリの親戚キウイ」という台詞と共に妙に心に残っています.それはともかく神田正輝さんのいつになくシリアスな演技をゲスト常連の片桐竜次さん,堀礼文さん,今福将雄さんがフォローしていて,印象に残る一篇です.ところでキャスティングの『加々良一和輝』さん,どこまでが苗字でどこからが名前なのでしょう? |
第515話 生いたち |
脚 本:小川 英/奥村 俊雄 |
ジプシー主演エピソード.第393話『密偵』で山さんに感服する若い刑事役が印象に残っていた剛たつひとさんは,今回は高校の同級生だったジプシーに対する軽蔑とその裏に潜む劣等感という屈折した感情を見事に表現していましたが.これが最後のゲスト出演となりました.もうひとり東郷晴子さんは『ウルトラQ』最終話『あけてくれ!』で,主人公・沢村の妻役で記憶に残っていた女優さんだったのですが,このエピソードで久しぶりにそんpお姿を拝見することができました. |
第516話 白いスーツの女 |
脚 本:小川 英/斉藤 猛 |
第509話『列車の中の女』に続く『落としの長さん』エピソード.番組卒業を間近に控えて女性相手に大活躍する長さんですが,これはやはり下川達平さんに対するスタッフのねぎらいの気持ちだったのかしら? タイトルはこの頃ヒットした洋画『白いドレスの女』のパロディだったのかしら? |
第517話 落書き |
脚 本:小川 英/四十物 光男 |
というわけで,このところ長さんにお株を奪われていた感のあった山さんが,久々にその推理力を発揮して活躍する傑作ミステリー.落書きされた犯罪が実践されるという奇抜な着想によるシナリオが素晴らしいと思いました.またキャストの方も,落書きのみがストレスの発散という屈折したスーパー支店長を演じた下塚誠さん,いつになく凶悪な犯人像を演じた山谷初男さんも見事でしたが,それにもまして露口茂さんの迫力のある演技が冴えわたっていた一篇だと思います. |
第518話 忘れていたもの |
脚 本:小川 英/柏原 寛司 |
次回の殉職編の前奏曲となるロッキー主演作.また今観ると,ドックが報告の際「これはジプシーの意見ですが」とわざわざ断りを入れたり,ロッキーの追跡に巻き込まれて負傷した被害者のところに謝罪に行く等,若手のリーダーシップを発揮する描写があり,ゴリさん殉職後のキャラクターの方向性を感じさせるエピソードでもあったと思います.ゲストの中では,第405話『時効』,第493話『スコッチよ静かに眠れ』での飲み屋さんの女将役が印象的だった藤江リカさんが,珍しくカタギの,負傷した被害者の妻役だったのが目を引きました. |
第519話 岩城刑事,ロッキーにて殉職 |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
放映10周年記念作品のロッキー殉職篇.単身カナダに渡り,現地の人たちと流暢にコミュニケーションをとっているロッキーの姿が描かれていますが,以前の海外ロケ編では主に会話は同行していたボンが行い,ロッキーはほとんど喋れなかったような描写があったと思ったのですが,いつの間に勉強したのか? 犯人を演じる小野進也さんは第504話『バイオレンス』出演が記憶に新しい常連さんでしたが,その元恋人役の高瀬春奈さんはこの前後編のみのゲスト出演でした. |
第520話 野崎刑事,カナダにて最後の激走 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
10周年記念作品後編の長さん退職篇.エピソード数もこれできっかり40クール520話となりました.今回のエピソードを観ていて疑問に感じたのは,なぜ犯人の杜丘(小野進也さん)はわざわざカルガリーのスタンピード・パレードに行く必要があったのか? また,杜丘との取引を目論んでいた FBI のバージル刑事が,応援に駆け付けたゴリさんの説得であっさり自らの捜査方針を放棄してしまうのも,それこそ説得不足のような気がさせられてしまいました.そして,ドックとラガーが組むととにかく喧しく,以後の番組の雰囲気を予見させられるような感じがしました. |
第521話 ボギー刑事登場! |
脚 本:長野 洋 |
前々回殉職したロッキー(木之元亮さん)と前回離職した長さん(下川辰平さん)に替わって七曲署捜査一課に新たにボギー(世良公則さん)が赴任.番組はこの時期原点回帰を標榜しており,ボギーはマカロニ(萩原健一さん)を意識したキャラクターで,この登場編も第1話『マカロニ刑事登場』のリメイクらしいですが,やはり10年の歳月は世相も番組の雰囲気もガラッと変えてしまったことを証明しています.この時点で番組開始時のキャラクターで残っているのはボス(石原裕次郎さん),山さん(露口茂さん),ゴリさん(竜雷太さん)の3人だけですが,2ヵ月後にはゴリさんも殉職して番組を去ってしまいます.ボギー刑事の姉・正子を演じる有吉ひとみさんは,かつて殿下(小野寺昭さん)の最初の恋人を演じていて,2度目のセミレギュラー出演という珍しい例でした. |
第522話 ドックとボギー |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
小動物が好きで医大生が嫌いというボギーのわかりやすいキャラクターが物語のキーポイントとなるやはりわかりやすいエピソードで,元医大生ドック(神田正輝さん)との対立と和解が描かれていますが,以降番組はラガー(渡辺徹さん)とジプシー(三田村邦彦さん)を加えた4人のアイドル刑事たちの時代に入っていきます.この時期,でらちゃんたまにしかこの番組観ていませんでしたが,かなり後の21世紀になって LD BOX を購入して観ることができました.このエピソードに関しては,でらちゃんも動物大好きなので,この犯人は多分シリーズ中最も同情できた犯人だったと思います.冒頭のボギー登場シーンで,トマトやソーセージ食べながら出てくるのは,『傷だらけの天使』オープニングのショーケンへのオマージュだったらしいです. |
第523話 ゴリさん,死の対決 |
脚 本:小川 英/四十物 光男 |
ゴリさん殉職秒読み開始を思わせる,共演期間が実に短かったボギーがゴリさんをフォローする貴重なエピソードです.ヤクザさんを脅迫して殺害を命ずるほどゴリさんを憎んでいた,かつてゴリさんが射殺した犯人の母親(根岸明美さん)が,その憎いゴリさんの婚約者(水沢アキさん)の嘆願であっさり殺意を翻してしまうくだりに全く説得力がなく,ものすごい違和感を感じました.このシリーズで各エピソードのカギを握るキャラクターたち,いつ頃からかみんなこんなに物分かりがよくなったのか? |
第524話 ラガーのラブレター |
脚 本:小川 英/大川 俊道 |
欠番作品.DVD 化に際して,BOOWYの演奏シーンが含まれていたため,権利上の問題で欠番となったらしいです. |
第525話 石塚刑事殉職 |
脚 本:小川 英/長野 洋 |
初のスペシャル90分にて放映されたゴリさん殉職編.先に放映された特番『10周年記念ファン感謝の集い』は観ていて,ゴリさんがロッキーの後に殉職する予定だったのは知っていたのですが,やはり本編は見逃していて,観ることができたのはやはり30年以上経ってからでした.ゴリさんの死にざまは事件をほとんど解決した後に,かつて自分が逮捕して病院を脱走していた覚醒剤中毒患者にあっけなく殺されてしまうという,通り魔に殺されたマカロニや自ら助けた男に殺されたジーパン同様,また広い意味では殿下やスコッチの死もそれに含まれる,「死ななくてもよかったのに死んでしまう」不条理なもので,『死』を美化することなく空しいものとして捉えている点,シリーズの一大テーマであった『生命の尊さ』を逆説的に表現したものであったと思います.ラスト,ボスと婚約者に看取られて息を引き取るゴリさんの姿は感動的でしたが,ドック・ボギー・ジプシーによるパトカーのクラクションによる追悼はいかがなもんでしょう? 近所迷惑です. |
第526話 井川刑事着任! |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
『スッポンのトシさん』登場エピソードですが,このキャラにも演じる地井武男さんという俳優さんにもほとんど関心がなかったので,当然のように見逃していて,やはりず〜っと後になってネット上で初めて観ることができました.それにしてもムチャクチャな話で,犯人(おなじみ北条清嗣さん)も病気なら自分の子供を囮捜査に使うトシさんも,それをフォローするボスはじめ捜査一課の面々もはっきり言って異常で,まともなのはトシさんの奥さんだけでした.もしかしたら番組史上最も過激なキャラクターかも>トシさん. |
第527話 雨の降る街 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
刑事が麻薬常習者にさせられてしまうというエピソードは,番組初期の第79話『鶴が飛んだ日』という傑作があって,この時は山さんが殿下をフォローしていました.今回は『2代目クール刑事』ジプシーが実はホットなキャラクターであることを露呈し,しかも対立するドックに『頑固者』呼ばわりされるというエピソードですが,個人的にはジプシー主演作の中では最も好きな話です.ボギーがラガーに言う「藪医者の診立てが当たるか,ガンコなジプシー占いが当たるか」という台詞も傑作でしたが,事件解決後ジプシーを労るドックに「あんた立派な刑事だ」とトシさんが語り掛ける等,細かいシチュエーションに新しい捜査一課チームの結束が描写されて印象に残っています. |
第528話 真夜中のラガー |
脚 本:小川 英/大川 俊道 |
ラジオの深夜放送でメッセージを流すというエピソード,以前にもあったような気がしましたが,この頃くらいまで深夜放送は若者文化の中心みたいな地位を保ってました.また,未成年者による犯罪が過激化していた頃で,その背景に「未成年だから刑法犯にならない」という誤った認識があったことは明らかで,後の少年法改正・撤廃の議論がこの頃から盛んになってきたような記憶がありますが,現代でもこういったおバカさんな『常識』が通用すると思ってる人はいるみたい. |
第529話 山さんの危険な賭け |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
このシリーズではわりとお得意の『伝染病』ネタですが,今回は犯人側以上に七曲署捜査一課のチームワーク,特に山さんとジプシーの信頼関係に焦点を当てたエピソードとなっています.映画『スティング』を彷彿とさせるようなトリックがスリリングで,強烈な印象を残す一篇です.それにしてもワルのくせに簡単に相手を信用しすぎ,中田博久さん好演のおバカさんキャラ光ってます. |
第530話 検問突破 |
脚 本:柏原 憲司/小川 英 |
新たに演歌好きという一面が明らかになったボギー.ところで,このエピソードのように刑事仲間が飲みに行っているときに召集があった場合,すでに飲んでいたら捜査に加われないと思うのですが....素朴な疑問です.うどんをすすったり,ポットのお湯沸かしに行ったり,この回,2代目クール刑事らしからぬ行動の多かったジプシー.刑事が犯人と共に逃避行をする話は,確かマカロニ時代にもあったなーと思いながら観ていたメイン・ストーリーでは,犯人に自首させるために検問突破を手伝うというボギーの理屈もムチャクチャですが,それで説得されてしまう犯人もおバカさんだし,駆け付けた仲間を非難するボギーもボギーだし,その姿に感動してあっさり自首してしまう犯人はやはりおバカさん.何よりも今回のボギーの行動はどう同情的に見ても懲罰モノだと思うのですが,そんなボギーを慰労しようとするボスはこれでいいのか? 番組も変わりました. |
第531話 マグナム・44 |
脚 本:小川 英/四十物 光男 |
『マグナム・44』というタイトルですが,次元大介は出てきません.スコッチ,ゴリさん亡きあと「拳銃じゃ誰にも負けないと思っていた」と豪語する元スチャラカ刑事のドックが完敗を認めるエピソードですが,その根拠のない自信はどこから来ていたのか? ストーリー的には『意外な犯人』という点では出色のエピソードだったと思います.一番怪しいと思われた『帰ってきたウルトラマン』団次朗さんは全くの見掛け倒しで,雇われた殺し屋さんではなく単なるダミーでした. |
第532話 バラの刺青 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
この時期,未成年者の犯罪を扱ったエピソードが多く,番組のターゲットとする視聴者が若年層に移ってきたことを如実に示しています.はっきり言って多くの TV 番組がそうであったように,この『お子様化』が番組の凋落を招いていたのは残念ですが否定できない事実であると思います. |
第533話 後 輩 |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
この番組を明らかに変えたのは,やはりボギー刑事の登場だったと思うのですが,それは本来原点回帰を目指していたスタッフの誤算だったのでしょうか? マカロニを演じた萩原健一氏同様ロック・ミュージシャンの世良公則氏に,あえて演歌好きの体育会系バカというキャラクターを演じさせたのは,ある意味スタッフの逆転の発想だったと思うのですが,結果,ボギー刑事はマカロニ刑事の二番煎じとなることはなく,良くも悪くも番組に新しい風を吹き入れたのだと思うのです. |
第534話 俺の拳銃がない |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
こうおこちゃま刑事のおこちゃま事件シリーズが続くと早くも食傷気味.もういいです. |
第535話 ボギーのいちばん長い日 |
脚 本:小川 英/大川 俊道 |
大場久美子さんをゲストに迎えたコメディー・タッチのエピソード.ボギー刑事は第501話で七曲署に赴任して今回が第535話,ということは35週間で5度目の減俸になる瀬戸際だったわけで,命令違反のマカロニ,単独捜査のスコッチ,始末書のゴリさん,辞表のスニーカーを上回る型破りな刑事でした.やはりドックとボギーのお二人が番組の雰囲気を根本的に変えてしまったのはまぎれもない事実です. |
第536話 死因 |
脚 本:小川 英/奥村 俊雄 |
こちらはおとなによるおとなのためのおとなの犯罪.しかもドックならではの医療ミステリーでかなり見ごたえのあるエピソードとなっています.ドックの友人の女医・白石良子役の岡まゆみさんが今回は事件の容疑者としてエピソードのヒロインを演じています.また第511話『爆発!ロッキー刑事』で初のチョイ役出演した姫ゆり子さんは,第528話『真夜中のラガー』に続いて早くも3度目のゲスト出演で,こちらも今回は事件に大きく関わる役柄ですが,逮捕されてしまいました. |
第537話 赤い憎悪 |
脚 本:小川 英/桃井 章 |
ジプシー主演のやはりおとなのミステリー.ヒロインの島村佳江さんも,常連ゲストの中村孝雄さんもそれぞれの役を上手に演じていてよろしいのですが,何といっても圧巻だったのは囚人役の高橋長英さんで,鬼気迫る演技を見せてくださっています.それにしてもジプシー刑事の主演作,先代クール刑事のスコッチ同様,本数が少ないものの粒ぞろいで,大人の視聴者の鑑賞に耐えうる良質のミステリーが多かったように思います. |