ボギー刑事スペシャルコレクション |
第521話 ボギー刑事登場! |
脚 本:長野 洋 |
前々回殉職したロッキー(木之元亮さん)と前回離職した長さん(下川辰平さん)に替わって七曲署捜査一課に新たにボギー(世良公則さん)が赴任.番組はこの時期原点回帰を標榜しており,ボギーはマカロニ(萩原健一さん)を意識したキャラクターで,この登場編も第1話『マカロニ刑事登場』のリメイクらしいですが,やはり10年の歳月は世相も番組の雰囲気もガラッと変えてしまったことを証明しています.この時点で番組開始時のキャラクターで残っているのはボス(石原裕次郎さん),山さん(露口茂さん),ゴリさん(竜雷太さん)の3人だけですが,2ヵ月後にはゴリさんも殉職して番組を去ってしまいます.ボギー刑事の姉・正子を演じる有吉ひとみさんは,かつて殿下(小野寺昭さん)の最初の恋人を演じていて,2度目のセミレギュラー出演という珍しい例でした. |
第522話 ドックとボギー |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
小動物が好きで医大生が嫌いというボギーのわかりやすいキャラクターが物語のキーポイントとなるやはりわかりやすいエピソードで,元医大生ドック(神田正輝さん)との対立と和解が描かれていますが,以降番組はラガー(渡辺徹さん)とジプシー(三田村邦彦さん)を加えた4人のアイドル刑事たちの時代に入っていきます.この時期,でらちゃんたまにしかこの番組観ていませんでしたが,最近になって LD BOX を購入して観ることができました.このエピソードに関しては,でらちゃんも動物大好きなので,この犯人は多分シリーズ中最も同情できた犯人だったと思います.冒頭のボギー登場シーンで,トマトやソーセージ食べながら出てくるのは,『傷だらけの天使』オープニングのショーケンへのオマージュだそうです. |
第530話 検問突破 |
脚 本:柏原 憲司/小川 英 |
新たに演歌好きという一面が明らかになったボギー.ところで,このエピソードのように刑事仲間が飲みに行っているときに召集があった場合,すでに飲んでいたら捜査に加われないと思うのですが....素朴な疑問です.うどんをすすったり,ポットのお湯沸かしに行ったり,この回,2代目クール刑事らしからぬ行動の多かったジプシー.刑事が犯人と共に逃避行をする話は,確かマカロニ時代にもあったなーと思いながら観ていたメイン・ストーリーでは,犯人に自首させるために検問突破を手伝うというボギーの理屈もムチャクチャですが,それで説得されてしまう犯人もおバカさんだし,駆け付けた仲間を非難するボギーもボギーだし,その姿に感動してあっさり自首してしまう犯人はやはりおバカさん.何よりも今回のボギーの行動はどう同情的に見ても懲罰モノだと思うのですが,そんなボギーを慰労しようとするボスはこれでいいのか? 番組も変わったね. |
第533話 後 輩 |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
この番組を明らかに変えたのは,やはりボギー刑事の登場だったと思うのですが,それは本来原点回帰を目指していたスタッフの誤算だったのでしょうか? マカロニを演じた萩原健一氏同様ロック・ミュージシャンの世良公則氏に,あえて演歌好きの体育会系バカというキャラクターを演じさせたのは,ある意味スタッフの逆転の発想だったと思うのですが,結果,ボギー刑事はマカロニ刑事の二番煎じとなることはなく,良くも悪くも番組に新しい風を吹き入れたのだと思うのです. |
第535話 ボギーのいちばん長い日 |
脚 本:小川 英/大川 俊道 |
大場久美子さんをゲストに迎えたコメディー・タッチのエピソード.ボギー刑事は第501話で七曲署に赴任して今回が第535話,ということは35週間で5度目の減俸になる瀬戸際だったわけで,命令違反のマカロニ,単独捜査のスコッチ,始末書のゴリさん,辞表のスニーカーを上回る型破りな刑事でした.やはりドックとボギーのお二人が番組の雰囲気を根本的に変えてしまったのはまぎれもない事実です. |
第544話 屈 辱 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
こちらはボギー刑事主演エピソードの中では珍しくシリアス・タッチの作品.西岡徳馬さん扮する殺人機械・南打倒のため,刑事に昇格した吉野に空手の特訓を受けるボギー,そんなボギーに最も難しいと思われる『冷静さ』を説く山さん.南 VS ボギーの死闘の迫力もさることながら,西岡さん,世良さん,横谷さん,露口さん,そして被害者役の佐々木功さんが,それぞれの持ち味を生かした演技を見せてくれます.個人的にはボギー主演作の中では最も好きなエピソードです. |
第549話 ボギーとマミー |
脚 本:金子 裕 |
酒のつまみがキャベツにケチャップ? 挙句の果てに食中毒.大都会に住む孤独という珍しくシリアスなテーマをコミカルにしてしまうキャラクターって,以前のこの番組にはいませんでした. |
第551話 すご腕ボギー |
脚 本:小川 英/大川 俊道 |
番組もこの辺になると,話が完全に現実離れしてきていて,ほとんどマンガです.こうなるとボギーのキャラも完全に欠陥人間で,マカロニやスコッチの非常識さを遥かに凌駕しているのです. |
第558話 失踪24時間 |
脚 本:小川 英/大川俊道 |
事件の関係者全部がおバカさんとしか思えないメチャクチャな話.最後にキレたボギーは本来なら免職じゃすまないっしょ.職権濫用をはるかに超えてるし.これはまぎれもない犯罪です. |
第569話 ホームラン |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
「死んだ子どものため」,今回は珍しくシリアス・モードのボギー.暴走族相手に大暴れしたボギーとブルースに対するボスの台詞「殴って口を割らせるのは一番安易で卑怯な方法だ.人を殴ることの痛みをお前らもっと知ってると思ったが」,ボギーの「野球の好きな奴に悪党はおらん.俺はそう信じてる」,印象的なセリフの多かったエピソードでした.ボギーとブルースの名コンビ,期間が短かったのが残念でした.ラスト,「ピッチャーで4番」,「ありがとう」,のオチが秀逸でした. |
第577話 探偵ゲーム |
脚 本:金子 裕 |
大場久美子さん再登場.この人が出てくると,ただでさえヘンなボギーさんはますますおかしくなるのですが,大場さん自身は比較的おとなしい役柄で,今回はもっとヘンな面々が現れます.そのヘンな大学の探偵クラブに顧問を依頼されるボギー.「他人を尾行するだけで何か法律に触れるの?」,この頃はまだストーカー規制法もなかったのよね.突如として憂国の士となるボギーに山さん「日本の将来を心配する前に,自分の仕事をきちんとやるのが先だ」.大学の探偵クラブは探偵ごっこしているだけなのは当然として,七曲署の面々も警察署ごっこしているみたいです. |
第585話 ボギー名推理 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
死体移動のトリックを暴くボギーの体育会系肉体派推理.ボギー主演エピソードには珍しく本格的なミステリーだったのですが,知性・論理に体力で勝負するのがやはりボギーならではでした.で,最終的には強引に逮捕して自白に持って行ってしまう,ダーティなやり方だと思うのですが? |
第591話 ボギーの妹? |
脚 本:小川 英/古内 一成 |
ボギーの記憶喪失ネタ.以前殿下にもありましたが,ボギーのエピソードとしてはわりとシリアスな部類に入ります.この頃になるとドックのカンはさえていて,真っ先にボギーの記憶喪失を言い当てるばかりか,ボギーもドックだけに真相を打ち明けるなど,先輩刑事として成長したドックの姿が印象的なエピソードでした.最初はこの2人,スチャラカ・コンビだったのにね? |
第596話 戦士よ翔べ! |
脚 本:小川 英/四十物光男 |
ここからいわゆる『戦士三部作』.このエピソードではヤクザに内通していた先輩刑事との対決が描かれていますが,やはり話の骨子となっているのは,一人で無茶な捜査を遂行するボギーに対するボスをはじめとする七曲署の面々の信頼でしょう.トシさんの台詞「ボスは刑事としてのおまえを信頼しているんだ」,「生命だけは大切にしろ」が完全に次回の伏線となっています. |
第597話 戦士よさらば・ボギー最後の日 |
脚 本:小川 英/尾西 兼一 |
で,ついに番組9人目との殉職刑事となるわけですが,実際には辞表を出した後に殺されているので,勤務外で殺されたマカロニ,交通事故死の殿下,病死のスコッチ同様,厳密には殉職ではありません.また,登場から1年半での退場は,マカロニ・ジーパンに次ぐ短さですが,本来はボギーも1年の予定だったのが,人気があったので1年半に延期になり,ブルースが途中でナーコの代わりに登場となったみたいです.原点回帰を目指した番組スタッフによって,ボギーはマカロニを意識して作られたキャラクターだったそうですが,登場もマカロニ登場のリメイクであり,ラストもマカロニ同様刺殺によるものでいわゆる『犬死に』であるところも同じでした.ボギー殺害犯・今泉を演じた山西道広さんは,ジーパン役の松田優作さんと同期の盟友だった方らしいです. |
第598話 戦士よ眠れ・新たなる闘い |
脚 本:古内 一成/小川 英 |
七曲署の刑事たちによるボギーの弔い合戦を描いたエピソードなので,ボギー主演作品ではありませんが,LD BOXの最後に収録されています.歴代の七曲署殉職刑事の面々の中で,はっきり言って最もおバカさんな死に方だったと思うのですが,残された七曲署刑事の面々が一番その死を嘆き悲しみムキになって犯人を追い詰めたのも,番組始まって以来のことだったと思います.しかしながら,ラストの無抵抗の犯人たちに対する刑事たちの集団暴力行為は,完全に私怨による犯罪行為です.この時期の七曲署捜査一課の刑事たち,みんなおバカさんになっています. |