太陽にほえろ!


ジーパン刑事編 (1973~1974)

 

DVD-BOX VAP VPBX-11922/11923

第53話 ジーパン刑事登場!

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :中村 竜三郎/浅香 春彦/石井 宏明/鈴木 治夫/藤田 漸/池田 生二/高橋 ひとみ/秋吉 久美子/菊地 正孝/ひし美 ゆり子/谷岡 行二/木村 由貴子
セミレギュラー:南原 宏治(七曲署署長)/菅井 きん(柴田 たき)

 先にも書いた通り,この番組の放映が始まってからかなりの間, TV のない生活をしていたため,初期のエピソードはほとんど再放送もしくはネットで観たわけですが,特にこのジーパン編に関しては,リアルタイムで観た記憶がほとんどありません.マカロニが殉職して,新刑事として松田優作という聞いたことのない俳優さんが出演しているという話は聞いていましたが,実は当初,マカロニの人気が高かった為か,この方の評判あまりよろしくなかった記憶があります.後に有名な殉職シーンと,松田さん本人の早すぎるご逝去によって伝説のキャラクターとなったわけですが,そんなわけで当時はあまり関心ありませんでした.さて,この登場編では,ジーパン役の松田さんと,マカロニ編で一度ゲスト出演していた青木英美さんが1代目の事務員として初登場していますが,実はこの方,シンコ役の関根恵子さんより年上ということを後で知って,ちょっとびっくりしました.また,七曲署の歴代署長の中で最もユニークなキャラだった南原宏治さんが,この回を最後に降板�してしまったのはちょっと残念でした.被害者役に『ウルトラセブン』アンヌ隊員のひし美ゆり子さんが出ていたのは知っていましたが,当時映画『旅の重さ』でデビューしたばかりだった秋吉久美子さんが出演していたのは,映画は観ていたのですが気がつきませんでした.

第54話 汚れなき刑事魂

脚 本:長野 洋/小川 英
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :水谷 豊/堀田 真三/中島 元/村山 達也/門脇 三郎/由紀 卓也/宇留木 康二/草間 璋夫/今井 和雄/東 静子/見明 凡太郎/武藤 章生
セミレギュラー:菅井 きん(柴田 たき)

 ジーパン主演山さん助演エピソード.シリーズで新人俳優のトレーナー役を務めていた水谷豊さんがマカロニ編に続いてこのジーパン編でも犯人役で2度出演されています.爆破殺人事件の容疑者を「あいつはいい奴なんです」と信じようとするジーパンに「それは忘れろ,お前は刑事なのだから」と諭す山さん,事件解決後,ボスの「(犯人を)信じたお前の勝ちだ」という台詞を聴くや否や,「そのお前を忘れるな」などと見事な手のひら返しを見せていて,ちょっと笑ってしまいました.

第55話 どぶねずみ

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:山本 廸夫
ゲスト :大村 千吉/山下 啓介/福田 トヨ/大宮 幸悦/加藤 茂雄/和泉 喜和子/西郷 昭治/武智 豊子/高木 門
セミレギュラー:平田 昭彦(西山警部)

 ジーパン主演エピソード.七曲署3代目署長内定の西山警部役で初出演の平田昭彦さんですが,マカロニ編の第12話『彼は立派な刑事だった』の汚職刑事役で殉職してます.いいのか? シリーズ新加入の2人のキャラクターが対比的によく描かれていたエピソードだったと思います.おでん屋台主人役の大村千吉さんも同じく第12話に続いて2度目の出演ですが,こちらは同じ役柄(同一人物?)です.この方はこの後,別役で何度もゲスト出演されている常連俳優さんのおひとりですが,個人的には円谷作品の名バイプレイヤーとしての印象が強い俳優さんです.やはり昭和の名バイプレーヤー武智豊子さんは,これがシリーズ唯一の出演作でした.

第56話 その灯を消すな!

脚 本:小川 英/中野 顕彰
監 督:山本 廸夫
ゲスト :深江 章喜/北条 清/紅 景子/岡部 正純/福崎 和宏/近松 敏夫/柄沢 英二/三上 剛/山本 修平/高城 淳一/磯野 秋雄/鈴木 和夫/渥美 国泰/江幡 高志/美川 陽一郎

 ゴリさん主演ジーパン助演エピソード.フクロにされたゴリさんを介抱する浮浪者役の江幡高志さんは第525話『石塚刑事殉職』でもゴリさんに協力する工員役を演じている他,第278話『刑事嫌い』では主役をはっているシリーズ常連俳優さんのおひとりです.また,このエピソードでゴリさんに協力・保護される青年役の北条清(のちに清嗣)さんも,第217話『スコッチ刑事登場』や第265話『ゴリ爆発』等ではクセのある印象的な役柄を演じた,やはり常連俳優さんのおひとりです.

第57話 蒸発

脚 本:鴨井 達比古
監 督:斎藤 光正
ゲスト :長内 美那子/松本 朝夫/仙波 和之/鮎川 浩/木村 博人/川野 耕司/都家 敬六/石川 隆昭/常陸 雅史/山本 耕一
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)/菅井 きん(柴田たき)/北川 陽一郎(高田鑑識課助手)

 ジーパン主演エピソード.当時83万円した捜査一係セットをメチャクチャにした乱闘シーンで伝説となった回ですが,むしろ事務員の久美ちゃんが捜査に口をはさんでボスにたしなめられるのを山さんが助けるシーンが印象に残っています.乱闘シーンではそれまで見下していたジーパンに一喝されて「はい!」.ゲストの山本耕一さんはこの後5年後に一回,さらにその8年後に2回と,忘れたころに出演を重ねています.松本朝夫さんは計7回,長内美那子さんはこの回が唯一のシリーズ出演作でした.

第58話 夜明けの青春

脚 本:小川 英/武田 宏一
監 督:竹林 進
ゲスト :上田 忠好/中 庸介/平田 守/平野 康/槇 ひろ子/車 大二郎/田中 志幸/堀内 泰治/木島 進介/峰 竜太/降旗 文子
セミレギュラー/平田 昭彦(西山署長)

 山さん主演エピソード.『太陽にほえろ!』シリーズのメインテーマである『生命の大切さ』を表面に打ち出した好編.ゴリさんの情報屋・トクさんはマカロニ殉職編に続いての出演ですが,これが最後で,演じる上田忠好さんはこの後別役でゲスト常連でした.石原プロに所属していた峰竜太さんはこの回が初のゲスト出演でしたが,この後も度々メイン・ゲストとして出演されています.

第59話 生命の代償

脚 本:石松 愛弘
監 督:斎藤 光正
ゲスト :小山田 宗徳/佐原 健二/小笠原 弘/久野 聖四郎/佐瀬 陽一/野口 英行/磯野 道子/加賀 邦男/杉江 広太郎
セミレギュラー:西 朱実(野崎 康江)/井岡 文代(野崎 良子)

 一応長さん主演ですが,ジーパンの活躍の方が目立ってしまうエピソード.特にラストのアクション・シーンはスゴイです.前回と同じく『生命の大切さ』を説く好エピソードですが,オープニングににクレジットされている西朱実さんと井岡文代さんの出てくるシーンあったかしら? もしカットされていたのだったとしたら,やはりエピソードの製作方針が長さんからジーパン中心に変わっていたんだと思います.今回も,久美ちゃんは捜査に口をはさんでボスにたしなめられていました.

第60話 新宿に朝は来るけれど

脚 本:小川 英/鴨井 達比古
監 督:竹林 進
ゲスト :桃井 かおり/山吹 まゆみ/片山 滉/上野 綾子/阿藤 海/杜沢 泰文/六人部 健一/築地 博/渋谷 健三/大塚 周夫/服部 哲治/伊井 利子
セミレギュラー:菅井 きん(柴田 たき)/北川 陽一郎(高田鑑識課助手)

 ジーパン主演エピソード.松田優作さんの文学座1年先輩の桃井かおりさんがゲスト.桃井さんはこの翌74年に映画『青春の蹉跌』でマカロニ・萩原健一さんと共演して気に入られ,その翌75年『傷だらけの天使』ゲストに指名されました.『太陽』にはもう1度76年の第199話『女相続人』にゲスト出演されています.しかしこの話,殺人の動機と言い,被害者の行動もあいまいであるのに対して,それに付け込もうとしたスナックのママとその弟が一番バカを見るという,考え方によってはそちらの方が不条理に満ちているというエピソードで,この時代の雰囲気をそのまま現わしています.ラストではやはりボスの台詞でシリーズのテーマである『生命の大切さ』が強調されています.

第61話 別れは白いハンカチで

脚 本:田波 靖男/四十物 光男/小川 英
監 督:山本 廸夫
ゲスト :黒部 進/内田 勝正/宮口 二郎/中島 元/影山 龍之/田川 恒夫/小沢 直平/岡本 隆/鴨志田 和夫/恵美(フィーミー)/川合 伸旺
セミレギュラー:浜 美枝(村岡 房江)

 ジーパン主演エピソード.麻薬捜査官・村岡房江の新人刑事教育エピソード第2弾.『ウルトラマン』ハヤタ隊員の黒部進さんゲスト初出演でしたが,あっけなく殺されてしまいました.ラストに出てきた恵美(フィーミー)さん演じる謎の女,何度観ても未だに何で出てきたのかわかりません.

第62話 プロフェッショナル

脚 本:長野 洋/小川 英
監 督:山本 廸夫
ゲスト :郷 鍈治/三林 京子/柳生 博/城所 英夫/桐生 かほる/大村 千吉/森本 三郎/大滝 秀治

 殿下主演エピソード.今考えると,シリーズ後期の『ドック刑事入門シリーズ』の先駆けとなったエピソードだったと思います.ゲストが豪華で,郷鍈治さんは第11話『愛すればこそ』に続いて2度目で最後の出演となりましたが,大滝秀治さんは初のゲスト出演であと1回第183話『金庫破り』で同じような役柄を演じています.シリーズ常連だった柳生博さんと大村千吉さんははこれがすでに3度目の出演回でした.あと三林京子さん,この方は映画『じゃりン子チエ』の竹本ヨシ江役でお名前だけは存じていたのですが,この作品で初めてお顔を拝見することができました.この頃になると久美ちゃんが捜査に関して口をはさんでも,ボスはもうあきらめているのか何も言わないのですが,実はそれが事件の解決につながる見事な伏線となっています.ところで殿下,よく30分でバラの花なんか用意できたね?

第63話 大都会の追跡

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:竹林 進
ゲスト :夏 純子/田中 浩/皆川 妙子/宗近 晴見/石井 宏明/今井 和雄/友田 順子/宮田 弘子/江守 徹

 ボス主演エピソード.全編のほとんどが尾行&追跡シーンという異色作.今回の犯人,単独犯で鮮やかな犯行の割には,その後の行動があまり理性的とは言えずイミフでした.ゲストの江守徹さんはこのシリーズでは唯一の出演作ですが,シリーズから派生した『俺たちは天使だ!』と後番組の『ジャングル』ではレギュラー出演されていました.また,ヒロインの夏純子さんは第244話『さらば,スコッチ』ではスコッチ刑事の元婚約者という重要な役でゲスト出演されていました.

第64話 子供の宝・大人の夢

脚 本:小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :千秋 実/福岡 正剛/菅原 チネ子/大口 寛/八代 るみ子/松田 洋治/門脇 三郎/由起 卓也/勝部 義夫/草間 璋夫/石川 隆昭/金子 富士雄/林 寛一/牧村 誠一郎/武藤 英司
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)

 ボス主演エピソード.前回に続いてチーム総動員で捜査にあたっていますが,今回はついに久美ちゃんまで参加させており,署長を脅迫してニセの情報を流し,チーム全員で犯人をおびき出すという反則技を展開しています.メイン・ゲストの千秋実さんはこれが唯一の出演回ですが,子役の松田洋治さん,常連の福岡正剛さん,武藤英二さんや勝部義夫さんが脇を固めてます.

第65話 マカロニを殺したやつ

脚 本:長野 洋/小川 英
監 督:山本 廸夫
ゲスト :津田 京子/村山 達也/水谷 邦久/沢村 いき雄/戸田 春子/田畑 ゆり/池田 生二/藤田 漸/亀井 三郎/山西 道広/桜井 克明/島 もとき
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)/萩原 健一(早見 淳・ライブラリ出演)

 山さん主演ジーパン助演エピソード.南原宏治さん扮する七曲署2代目署長には嫌われていて降格までされていた山さんが,今回は3代目の西山署長から本庁の栄転を内示されています.結局,最後にキレてしまって栄転は取消となってしまうのですが,マカロニの敵討に暴走気味のゴリさん・殿下をボスが叱りつけたり,マカロニの死を羨ましがったジーパンを長さんが激高して怒鳴りつけたり,珍しく熱くなっているベテラン勢が印象に残ったエピソードでした.松田優作さんと文芸座同期の盟友だった山西道広さんが初出演,今回はチョイ役ですが,松田さんが番組を退いた後もゲスト常連となり,後にはボギー刑事を殺害犯にまで出世されました.

第66話 生きかえった白骨美人

脚 本:田波 靖男/四十物 光男/小川 英
監 督:山本 廸夫
ゲスト :天地 総子/西沢 利明/梅野 泰靖/伊藤 めぐみ/黒田 郷子/披岸 喜美子/桂木 美加/麻里 ともえ/石橋 暁子/泉 たけし/大野 広高/浜村 純

 ゴリさん主演エピソード.前々回といい今回といい,容疑者をひっかけて自白に持ち込むようなアンフェアな捜査手段が多いこの時期の七曲署捜査一係.科学捜査に対するアンチテーゼのようなこのエピソード,西沢利明さんと浜村純さんというゲストのメンツといい,円谷プロの『怪奇大作戦』のような雰囲気でした.捜査官役の天地総子さんはこの回のみのゲスト出演,松沢博士役の梅野泰靖さんは同役で第71話『眠りの中の殺意』に出演後,別役で常連ゲストとなり,シリーズ後期ではドック刑事の父親役でセミレギュラー入りしました.

第67話 オリの中の刑事

脚 本:市川 森一
監 督:竹林 進
ゲスト :明石 勤/加藤 眞知子/福田 トヨ/香川 リサ/石光 豊/国井 正広/大宮 幸悦/加藤 和夫
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)/藤岡 琢也(鮫島 勘五郎)

 殿下主演ジーパン助演エピソード.藤岡琢也さん扮する鮫島刑事は第44話『闇に向って撃て』に続いて2度目の出演で,この時点ではまだ城北署刑事で劇中の台詞によると独身者の設定だったようですが,今回も殿下とからんでいます.また,その上司の城北署署長に常連の加藤和夫さんが扮しています.今回のエピソード,ジーパンが捜査令状も取らずに女性の部屋に屋上から忍込んだり,鮫島刑事がかってに遺体を引き取って移動し容疑者を騙したり,いくら仲間の無実を証明するためとはいえ,違法捜査を平然と行っていますが,この無軌道ぶりがこのシリーズ初期の魅力のひとつでした,

第68話 一万人の容疑者

脚 本:長野 洋/小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :門岳 五郎/川口 敦子/沖 正夫/金子 勝美/直木 みつ男/神 ひろし
セミレギュラー:北川 洋一郎(高田鑑識課助手)

 欠番作品.

第69話 初恋への殺意

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:児玉 進
ゲスト :稲垣 光穂子/沢 まき子/目黒 幸子/山田 禅二/亀井 和子/加藤 茂雄/家弓 家正/石井 麗子/松宮 五郎

 山さん主演エピソード.山さんのキャラがだんだん変化してきた感じを受けた最初んエピソードでしたが,ラストではまだボスに対して『俺』と自称しており,アウトロー刑事の片鱗が残ってます.今回のメイン・ゲスト稲垣光穂子さんは多分このシリーズでも最強の凶悪女性キャラのひとりだったと思いますが,今回限りの出演でちょっと残念でした.その夫役の家弓家正さんはどちらかというと声優さんとして活躍されていて,顔出し出演は珍しい方だったのですが,この時期このシリーズと派生シリーズの『傷だらけの天使』に各1回出演して,印象的な演技を見せてださってます.

第70話 さよならはいわないで

脚 本:柏倉 敏之
監 督:児玉 進
ゲスト :直木 晶子/小原 秀明/川口 節子/安田 泰三/松田 剣/川辺 久造
セミレギュラー:有吉 ひとみ(柚木 麻江)

 殿下主演エピソード.恋人役の有吉ひとみさん初出演.あんなに目立つ黄色のペンキがついた靴をいつまでも履き続けるおバカさんの犯人役の川辺久造さんもゲスト常連俳優さんでした.

第71話 眠りの中の殺意

脚 本:永原 秀一/蘇武 廸夫
監 督:石田 勝心
ゲスト :長谷川 哲夫/北川 めぐみ/梅野 泰靖/富川 激夫/松尾 文人/小倉 雄三/関根 信昭/龍 のり子/山口 譲/奥山 正勝/林 寛一/内田 朝雄

 山さん主演エピソード.梅野泰靖さんは松沢博士役で第66話『生き返った白骨美人』に続いて2度目で最後の出演,今回は催眠術かけたりしてますけど,この人専門は何なんだろね? ゲスト常連で印象的な役柄の多かった富川激夫さんが初の出演.しかし今回の犯人,山さんのトリックに引っかかって,自分の正体を知っている夫がいるかもしれない奥さんの病室に果物籠なんか提げてのこのこ出かけていったりして,エリートさんだったくせにあんまり頭良くないと思います.

第72話 海を撃て !! ジーパン

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:竹林 進
ゲスト : 山西 道広/トニー・セトラ/夏川 圭/築地 博/今井 和雄/三戸 悦子/高橋 美知子/金子 美智代/石山 克己/和田 文夫
 ジーパン主演ボス助演エピソード.シンコの負傷で拳銃携帯の必需性を痛感したジーパン,ボスの指導で練習に励むのですが,それにしてもすぐに上達しすぎ.そんなに簡単なものなのか? ラスト,ジーパンに「500円貸してください」と言われておもむろにポケットから万札を取り出して渡すボス,いつも思うんだけど,この人お財布持っていないのかしら? 松田優作さんの盟友・山西道広さん,チョイ役だった第65話『マカロニを殺したやる』に続いて2度目のゲスト出演ですが,今回は事件の最大の被疑者でありながら実は被害者という重要な役柄を好演しています.

第73話 真夜中に愛の歌を

脚 本:小川 英/中野 顕彰
監 督:竹林 進
ゲスト :堀内 正美/中田 喜子/森 みつる/石井 宏明/小貫 瑞恵/鹿島 信哉/内山 朋子/西村 一正/佐藤 靖/生方 中/遠藤 義徳/中楯 富久子/渥美 国泰

 殿下主演エピソード.ゲスト初出演の堀内正美さんと中田喜子さんですが,後の第194話『兄妹』では中田さんが殿下の妹・京子(2代目)役でその相手役が同じ堀内さんという,珍しいケースでした.同じく常連の渥美国泰さんは第493話『スコッチよ静かに眠れ』でスコッチ刑事の死亡を確認する矢追警察病院医師役が最も印象に残っていますが,今回の作曲家,しかも名前がマイケル中江という役柄にはにかなり違和感ありました.

第74話 ひとりぼっちの演奏会

脚 本:長野 洋
監 督:石田 勝心
ゲスト :佐藤 仁哉/山本 廉/加藤 茂雄/剣崎 龍次/岩田 博行/広田 正光/相馬 優子/渡部 雄二/成瀬 昌彦
セミレギュラー:北川 洋一郎(高田鑑識課助手)

 久々のシンコ主演エピソードで,このあたりからジーパンとのからみが多くなっていく感じです.また,このところ七曲署捜査一係のアンフェアな捜査が目立っていたのですが,このエピソードへの伏線だったような感じがしました.メインゲストの佐藤仁哉さんは第15話『拳銃とトランペット』に続いての出演で,この後常連俳優さんとして度々出演されています.大御所ミュージシャン役の成瀬昌彦さんも第26話『みんな死んでしまった』に続いての出演んでしたが,今回はほとんどカメオ出演みたいな役柄で,シリーズへの出演もこれが最後となってしまいました.『テアトロ』マスター役の山本廉さんは円谷プロ特撮作品の常連俳優さんですが,このシリーズにも今回を最初に度々出演されています.

第75話 仕掛けられた銃声

脚 本:永原 秀一/峯尾 基三
監 督:石田 勝心
ゲスト :土屋 嘉男/木内 みどり/根岸 一正/天坊 準/早坂 ひとみ/夏木 順平

 ゴリさん主演エピソード.前回のシンコに続いて今回はゴリさんの容疑者への思いと刑事としての自分自身の間で揺れ動く姿が印象的でした.メインゲストで捜査第一係元同僚の探偵・佐山を演じる土屋義男さんも円谷プロ特撮作品でおなじみの俳優さんでしたが,この時期このシリーズのこのエピソードと,派生シリーズ『傷だらけの天使』でも1回,メインゲストで出演していて記憶に残っていました.ヒロインの木内みどりさんは,3年後の1976年に2回ゲスト出演されています.

第76話 おふくろ

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:児玉 進
ゲスト :武藤 英司/小原 秀明/北原 一実/石井 麗子/高尾 礼子/山口 雅生/与力 恵子/向井 淳一郎/二瓶 鮫一/伊藤 健/夏木 順平
セミレギュラー:菅井 きん(柴田 たき)

 ジーパン主演エピソード.第72話『海を撃て ‼ ジーパン』でシンコの負傷をきっかけに初めて拳銃を携帯・使用したジーパンが,今回は早くも自ら拳銃の使用を提案,犯人を射殺してしまいますが,これは母親の負傷がきっかけとはいえ決して敵討ではなく,あくまで人命救済を最優先してのことであった点に,その刑事としての成長を描いたジーパン編の中核をなすエピソードだったと思います.犯人の妹を演じた北原一実さんは,この後すぐに和美と改名して第82話『最後の標的』にも同じ役で出演しています.

第77話 五十億円のゲーム

脚 本:小川 英/武末 勝
監 督:児玉 進
ゲスト :藤田 進/草薙 幸二郎/高原 駿雄/奥野 匡/重松 収/田村 勝彦/前田 哲郎/片山 滉/山本 武/関口 真砂子/斉藤 英雄/入江 正徳
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)

 ボス主演,チームの活躍を描いたエピソード.ロープで高速道路下へ降下するアクションはロッキー刑事で記憶にあったのですが,ジーパンが先にやっていたのね? 円谷プロ特撮作品ではいつも地球防衛軍司令とか一番エライ役柄の藤田進さんが,ここでも一番エライ警視総監を演じていてますが,部下に平田昭彦さんがいるところまで円谷作品と同じ設定でした.第469・470話では何故か警察庁長官に転身しています.七曲署幹部役の入江正徳さんは,似たような役柄で度々シリーズに出演されています.また,新聞社社会部デスク役の草薙幸二郎さんは,翌年の第135話『ある敗北』にも同役で出演した後,2回の別役を経て,第601話以降は七曲署4代目大和田署長役でセミレギュラー出演されています.

第78話 恐怖の瞬間

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:竹林 進
ゲスト :門岳 五郎/井上 博一/小野 恵子/木下 清/山田 禅二/夏川 圭/小倉 雄三/田川 恒夫/松下 昌司/石川 隆明/邦 創典/森本 三郎/鈴木 治郎

 第72話で初めて拳銃を使用し,第76話で初めて人を撃ったジーパンが,今度は初めて生命の危険にさらされるエピソードで,ジーパン刑事編の中期主要3部作の完結編ともいえる作品です.怖~い殺し屋さんに扮する門岳五郎さんは,第12話『彼は立派な刑事だった』に本名の三木敏彦名義で初出演し,改名して今回を含めた3エピソードに出演した後,第484話『青ひげ』では再度本名で出演している珍しいケースの俳優さんです.超常連の井上博一さんは第32話『ボスを殺しに来た女』に続いて2度目のゲスト出演でした.ところで,この『ぐるぐる』って呼ばれていた観覧車ですが,何周も続けて載っていられるのかしら?

第79話 鶴が飛んだ日

脚 本:長野 洋
監 督:竹林 進
ゲスト :深江 章喜/北島 マヤ/中井 啓輔/団 巌/浜田 昭市/大宮 幸悦/戸塚 孝/岡本 隆/草間 璋夫/江崎 純也/伊藤 健
セミレギュラー:有吉 ひとみ(柚木 麻江)

 殿下主演,事件そのものよりも麻薬患者にされた殿下が山さんの助けを得て薬物中毒から立ち直るプロセスを通して,殿下と山さんのキャラクターを作り上げたシリーズ初期の名エピソードでした,ゲスト陣が豪華で,名悪役の深江章喜さんは早くも3度目の出演ですが,シリーズ初期の出演はこれが最後でしたが,5年後からまた時々出演されています.常連の中井啓輔さんも3度目の出演で,この後もコンスタントに出演を重ねています.『キイハンター』超常連俳優だった団巌さんはシリーズ初登場ですが,この後も度々ゲスト出演されて印象的な役柄を演じています.ヒロインの北島マヤさんはこれが唯一のシリーズ出演作ですが,円谷プロの『怪奇大作戦』第14話『オヤスミナサイ』の可哀そうなヒロイン役が印象に残っていて,他に『さぼてんとマシュマロ』や『アイフル大作戦』といったシリーズにも1回のみゲスト出演されていた,大好きな女優さんです.

第80話 女として 刑事として

脚 本:柏倉 敏之
監 督:澤田 幸弘
ゲスト :小野 進也/木村 豊幸/松崎 緑子/市村 博/手塚 茂夫/高橋 明/加藤 茂雄/小澤 憲一郎/本田 淳子/築地 博

 第74話に続いてのシンコ主演ジーパン助演エピソード.また第76話ではケガをしたのはシンコの方でしたが,今回はジーパンが負傷,刑事として独り立ちするシンコの姿が描かれています.ゲスト初出演の小野進也さんはシリーズ初期に3話,後期にロッキー刑事殉職編を含む4話に出演されていますが,何故か中期は出演が途絶えていました.この方,これ以前に TV 実写版『ワイルド7』に主演されていました.同じく『ワイルド7』レギュラー・メンバーだった手塚茂夫さんもゲスト初出演,この方は後にジーパン刑事殉職編で重要な役を演じております.

第81話 おやじバンザイ!

脚 本:今村 明男/小川 英
監 督:澤田 幸弘
ゲスト :右京 千晶/松平 健/川野 耕司/石井 宏明/小川 光明/小泉 博孝/根本 清和/佐山 泰三
セミレギュラー:西 朱実(野崎 康江)/井岡 文代(野崎 良子)/石垣 恵三郎(野崎 俊一)

 長さん主演エピソード.下田ロケ作品.息子・俊一役の石垣恵三郎さんはこれが初の出演作ですが,野崎刑事の家族の中では,一番最後までシリーズに顔を出していました.今回は,長さんもジーパンもボスの命令を無視して勝手な行動を取っており,はっきり言ってナメられています.犯人・小野を演じているのはデビュー間もない頃の松平健さんでした.

第82話 最後の標的

脚 本:長野 洋
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :北村 和夫/西川 敬三郎/池田 生二/松下 達夫/吉田 静司/府川 房代/戸島原 一実/清水石 明美/国井 正広/折尾 哲郎/佐藤 勝貫/森下 明

 ジーパン主演エピソード.七曲署捜査一係の元部屋長で拳銃の神様と称される根来新平とジーパンの交流と対決を描いた印象的なエピソードですが,にストーリーの展開が急すぎてシナリオ的に不自然な感じがするのが残念でした,.あと設定も,容疑者として山さんがリストアップしたプロの殺し屋と目される人物を次々と逮捕していくシーンがありますが,七曲署管内にはそんな人物が多数野放しになっている訳で,これではまるで無法地帯です.メインゲストの北村和夫さんはこの後第355話『ボス』で警視庁幹部を演じた後,第672話ではデューク刑事の実父役で出演されています.

第83話 午前10時爆破予定

脚 本:小川 英/柏倉 敏之
監 督:高瀬 昌弘
ゲスト :加藤 武/波多野 憲/武岡 淳一/田 利之/東 静子/川口 節子/鈴木 治夫/岩瀬 ゆう子/渡辺 市松/内山 朋子/市川 ひろし

 ゴリさん主演,初の『お受験』エピソード.ゴリさんは刑事の階級の設定が不明瞭なキャラクターで,今回は単独ですが,第190話『パズル』では殿下と一緒に巡査部長昇進試験を,第253話『生きがい』では警部補昇進試験を受ける描写があり,今回はジーパン・殿下と『ヒラ刑事』仲間で盛り上がっていますが,第239話『挑発』に出てくる身上調書によると殿下は七曲署赴任前に巡査長となっていたみたいなので,ゴリさんもこの時点で巡査長であったのではないかと思われます.大学病院長役の加藤武さんはゲスト初登場,あと2回第253話・第592話に出演されています.ところで,ゴリさんが昇進試験を受けるきっかけとなったお見合いの相手とその父親が出て来なかったのは残念でした.

第84話 人質

脚 本:永原 秀一/峯尾 基三
監 督:竹林 進
ゲスト :高峰 圭二/原口 剛/森山 周一郎/中山 克巳/中村 雅俊/伊藤 めぐみ/志賀 正浩/佐藤 耀子/村山 憲三/菊地 正孝/松下 昌司/中村 文孝
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)

 ゴリさん主演エピソード.銀行に籠城した犯人のうち一人が国会議員の息子であることを知って,それまで主張していた強攻策を簡単に引っ込める西山署長の変わり身の早さが芸術的です.銀行支店長役の森山周一郎さんはゲスト初登場,あと3回第117話・第155話・第298話にそれぞれ全く異なった役柄で出演されています.また,人質となる医師役で中村雅俊さんがテレビ初出演しており,後にジーパン・松田優作さんと『俺たちの勲章』でコンビを組みました.ところで,事件解決後ボスがゴリさんにおごった(と思われる)『日本一のビフテキ』が出て来なかったのは残念でした.

第85話 おやじに負けるな

脚 本:田波 靖男
監 督:竹林 進
ゲスト :有島 一郎/森塚 敏/外山 高士/芹川 洋/黒田 清子/渡辺 ふさ子/山本 三郎/加藤 寿/大宮 光悦/新井 一夫/浅井 哲男
セミレギュラー:菅井 きん(柴田 たき)

 珍しくコメディ・タッチのジーパン主演エピソード.ゲストの有島一郎さんはあと1回,3年後の第240話『木枯しの中で』に出演されています.ところで,このシリーズ初期のエピソードでは,劇中にウィスキーが出て来る場合必ず『J&B』なので,何かスポンサーが関連しているのではないかと思っていたところ,やはり劇中に出てくるビールが必ず『サッポロビール』で,初期のスポンサーに名を連ねていたことがわかったので,多分『J&B』はこの頃サッポロビールが輸入・販売元だったものと思われます.

第86話 勇気ある賭け

脚 本:長野 洋
監 督:山本 廸夫
ゲスト :宇佐美 淳/加賀 邦男/鈴木 瑞穂/大木 正司/高森 玄/綾川 香/鈴木 和夫/三上 定良/久本 昇/林 靖子
セミレギュラー:平田 昭彦(西山署長)

 ボス主演エピソード.ボスの宿敵『箱根の人』が初登場し,事件が解決しないまま終わってしまいますが,演ずる宇佐美淳さんは1年後の第135話『ある敗北』にも同役で出演されています.また.これ以前に円谷プロの『怪奇大作戦』第20話『殺人回路』では西山署長役の平田昭彦さんと親子役で出演されていたのですが,この頃は宇佐美淳也さんと名乗られていたみたいです.

第87話 島刑事・その恋人の死

脚 本:柏倉 敏之
監 督:山本 廸夫
ゲスト :浜田 寅彦/幾野 道子/中村 孝雄/水谷 邦久/真山 京子/雨宮 和美/大坪 日出代
セミレギュラー:有吉 ひとみ(柚木 麻江)

 殿下主演エピソード.初代恋人役の有吉ひとみさんは出演3回目で殺されてしまいました.物語の上では交通事故死ですが,実際には殿下ファンの不興を買っての降板劇だった模様です.なお殿下役の小野寺さんも物語の上では同じ交通事故死という形で番組を去り,降ろされてしまった有吉さんは後にボギー刑事の姉役でセミレギュラーに復帰しました.ストーリーの中で殿下がボスに殴られるシーンが出てきますが,ボスが部下を殴るシーンはこれが初めてだったらしいです.浜田寅彦さんが気の小さいタクシー運転手を好演していますが,シリーズには今回を含めて5回ゲスト出演されています.

第88話 息子よ,お前は……

脚 本:小川 英/田波 靖男/四十物 光男
監 督:竹林 進
ゲスト :宮崎 和命/セキトラ・カーアクション/矢野間 啓二/福沢 良/佐々木 睦雄/大和田 由紀/林 寛一/金子 富士雄/鹿島 信哉/石川 隆明/南風 洋子
セミレギュラー:平田 昭彦(西山 署長)

 ボス主演エピソードですが,シリーズ唯一のセミレギュラーの西山署長がメインのストーリーでもあります.署長の妻役の南風洋子さんは,映画『野戦看護婦』のレズビアン看護婦役が印象に残っている女優さんで,シリーズにはもう1回,別役で第368話『事件の背景』に出演されています.同じく息子役の福沢良さんはどちらかというと声優・歌手として活躍されていた方でこれが珍しいドラマ出演,その友人役の矢野間啓二さんはシリーズ常連俳優さんのおひとりでした.後にシリーズのカー・スタント常連となるセキトラ・カーアクションが初めてキャストにクレジットされています.

第89話 地獄の再会

脚 本:市川 森一
監 督:竹林 進
ゲスト :塩沢 とき/山中 貞則/勝野 睦浩/佐竹 一男/関 虎実/北 あけみ
セミレギュラー:鮫島 勘五郎(藤岡 琢也)/北 あけみ(鮫島 玉枝)

 一応殿下主演となっていますが,実際には鮫やん主演エピソード.別れた妻役で北あけみさんが初出演,今回よりを戻したと思われ以後1年おきに第156話,第205話,第252話とセミレギュラー出演されていますが,その後出演が途絶え,鮫やん登場最終回の第711話では野見山夏子さん演ずる二度目の奥さんが登場しているので,結局再離婚してしまったようです.テキサス刑事役の勝野洋さんが本名でテスト出演しています.ストーリーは,鮫やんエピソードの中でも特にメチャクチャで,これは流石にボスでもフォローしきれなかったのではないかと思うのですが….

第90話 非情の一発

脚 本:長野 洋
監 督:児玉 進
ゲスト :内田 良平/神田 隆/船戸 順/片山 由美子/青沼 三朗/塚田 末人/相馬 優子/今井 英次

 山さん主演エピソード.名悪役・内田良平さんのシリーズ唯一のゲスト出演作ですが,挿入歌に内田さん作詞,平田隆夫とセルスターズのヒット曲『ハチのムサシは死んだのさ』が使用されているのは,多分スタッフのお遊びだと思われます.

第91話 俺は刑事だ!

脚 本:小川 英/中野 顕彰
監 督:児玉 進
ゲスト :伊東 四朗/渥美 国泰/江幡 高志/黒沢 のり子/本山 可久子/飯沼 慧/畠山 麦/仙波 和之/本間 文子/市川 ひろし/渡部 一松/田沢 祐子/野村 光絵/安田 隆/星野 富士雄

 珍しくコメディ・タッチのゴリさん主演エピソード.メインゲストはなんと伊東四朗さん.常連のコメディ・リリーフ的な役の多い江幡高志さんが,珍しくストーリー半ばで殺されてしまいますが,刺殺犯がキレンジャーの畠山麦さんという,意表をついたシナリオとキャスティングが印象的でした.

第92話 シンデレラ刑事

脚 本:田波 靖男/四十物 光男
監 督:竹林 進
ゲスト :佐々木 剛/若尾 義昭/小倉 雄三/山本 純一/永谷 悟一/伊藤 健/多々良 純
セミレギュラー:西 朱実(野崎 康江)/井岡 文世(野崎 良子)/石垣 恵三郎(野崎 俊一)

 長さんのシンデレラ・ストーリー? 社長役の多々良純さんはマカロニ時代の第15話『拳銃とトランペット』の情報屋に続いて2度目のゲスト出演ですが,この後はかなり後の第562話『ブルース刑事登場!』で浮浪者を演じています.浮き沈みの激しい人生ではなく役柄を演じていました? クライマックス・シーンの長さんがリモコン飛行機から逃げまどうシーンはやはりヒッチコック映画『北北西に進路をとれ』のパロディーのつもりだったのでしょうか? とにかく不思議な作品でした.

第93話 真実の詩

脚 本:柏原 敏之
監 督:竹林 進
ゲスト :山本 紀彦/剛 達人/吉岡 ゆり/福山 象三/内藤 栄造/朝倉 隆/亀井 三郎/直木 みつ男

 このところコミカル・タッチであったり迷走気味だったシリーズにおいて,久々に見ごたえのあるシリアスな山さん主演エピソードでした.兄弟役の山本紀彦さんはシリーズ初登場,剛達人さんは第49話『そのとき,時計は止まった』に続いて2度目のゲスト出演ですが,以後ともにシリーズの常連ゲスト俳優さんとなりました.

第94話 裏切り

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:木下 亮
ゲスト :横山 リエ/宮川 洋一/山口 嘉三/所 雅樹/遠藤 孝子/菅原 慎予/菊地 正孝/河合 良子

 ゴリさん主演エピソード.またしてもお見合いがらみで女性不振に陥ったはずのゴリさんもヒロインの使い込み万引き女もともにおバカさんで騙されっぱなしというトホホなストーリーですが,初期のゴリさんと殿下のキャラクターを対照的に描いていて,印象に残るエピソードでした.メインゲストの横山リエさんはこのシリーズ唯一の出演作ですが,この当時いろいろな映画やドラマで印象に残る役柄を多く演じていて気になっていた女優さんでした.円谷プロ特撮作品でおなじみだった宮川洋一さんはシリーズ初出演,このシリーズ後期では刑事役が多かったのですが,初期では悪人役も多かったのでした.

第95話 愛のシルクロード

脚 本:長野 洋
監 督:木下 亮
ゲスト :杉田 景子/山西 道広/青木 敏夫/森本 三郎/尾崎 八重/佐藤 勝貫/新井 一雄/小坂 育男

 ジーパン&シンコ主演エピソード.張り込みシーンの描写といい,よくできたお話ですが,拳銃のような重いモノをすり取られてすぎに気が付かないというのはやはり無理があります.登場初期に捜査会議に口をはさんでボスにたしなめれていた久美ちゃんですが,この頃になるとボスに「捜査とは」ご教授されています.山西道広さんはジーパン刑事編早くも3度目のゲスト出演でした.

第96話 ボスひとり行く

脚 本:長野 洋
監 督:斉藤 光正
ゲスト :赤座 美代子/今井 健二/野々 浩介/杉山 元/香月 淳/下塚 一二/笹尾 一行/池田 宗博/茂木 正/松田 剣/信 欣三/丹古母 鬼馬二(ノンクレジット)

 ボス主演エピソード.記憶喪失を扱ったミステリータッチの作品ですが,実は…という肩透かしのような作品.ヒロインの赤座美代子さんは,第31話『お母さんと呼んで』ではやはりゲスト出演していた青木英美さんの母親役でしたが,今回はからみは見られませんでした.今井健二さんはヤクザの組長役で2度目のゲスト出演,ノンクレジットで初出演の『日本一迫力のある芸名を持つ俳優』丹古母鬼馬二さんはその下っ端で見張り役の組員で印象に残る演技を見せてくれています.

第97話 その子に罪はない!

脚 本:播磨 幸治
監 督:斉藤 光正
ゲスト :伊藤 孝雄/石橋 蓮司/服部 妙子/平田 守/小高 まさる/清水 吾郎/山田 禅二
セミレギュラー:町田 祥子(山村 高子)

 山さん主演エピソード.超個性的な極悪犯を演じる石橋蓮司さんの熱演が印象的な初期の佳作です.ゲスト初出演の石橋さんは,この後2回,第212話『情報』と第241話『脅迫』で山さんの情報屋・有田を演じた後,第408話『スコッチ誘拐』以降では再度犯人役に転じ,シリーズ終了後のスペシャル『七曲署捜査一係』では何と一係メンバーの一員・大高警部補を演じていました.もう一人やはりゲスト初出演の伊藤孝雄さんはシリーズに計3回出演してますが,いずれも刑事役でした.

第98話 手錠

脚 本:柏原 敏之
監 督:野村 隆
ゲスト :滝口 舜亮/五藤 雅樹/菅沼 赫/上田 耕一/広田 正光/今井 和男/高村 透/春江 ふかみ

 ゴリさん主演エピソード.これ多分初回放映時にリアルタイムで観ることのできた数少ないエピソードで,犯人と手錠で繋がれたゴリさんが,倉庫で鮭缶を食べるシーンが記憶に残っています.このキャラクター,シリーズ初期ではやたらと食べ物がらみのエピソードが多かったです.

第99話 金で買えないものがある

脚 本:小川 英/田波 靖男/四十物 光男
監 督:野村 孝
ゲスト :一の宮 あつ子/桜田 千枝子/うたた 賢/田中 力/田川 恒夫/九重 ひろ子/天理 淳/安田 泰三/上沢 知子

 ジーパン主演エピソード.何故百万円を紛失したおばあさんが捜査一係のボスに陳情しているのか? 素朴な疑問です.

第100話 燃える男たち

脚 本:小川 英
監 督:竹林 進
ゲスト :垂水 悟郎/県明 凡太朗/鈴木 瑞穂/清水 紘治/西田 健/嘉手納 清美/上野 綾子/石川 真知子/久本 昇/手塚 しげお/遠藤 征慈

 ボス主演エピソード.チームの活躍を描いた100話記念作品だけあってゲストが豪華で,爆破犯人役の西田健さん,遠藤征慈さん,誘拐犯の清水紘治さん,みなさんシリーズ初出演ですが,以後それぞれのエピソードにおける重要な役柄で度々出演されています,誘拐犯の残り2人,嘉手納清美さんはシリーズ唯一の出演作,手塚しげおさんは今回は2度目のゲスト出演ですが,3度目はジーパン殉職編で….メインゲストの垂水悟郎さんは第290話『執念』でも刑事役を演じています.ラストの記者会見におけるボスの台詞がこのシリーズのメイン・テーマとなっていました.

第101話 愛の殺意

脚 本:鎌田 敏夫
監 督:竹林 進
ゲスト :酒井 和歌子/村井 国夫/田 利之/佐々木 敬子/五月 晴子

 殿下主演,サイコ・サスペンスの傑作.「あかいくつ~,は~いてた~」,その昔『清純派女優の代表格』みたいに言われていた酒井和歌子さんの凄まじい狂いっぷりが見事でした.

第102話 愛が終わった朝

脚 本:市川 森一
監 督:木下 亮
ゲスト :江夏 夕子/内田 喜郎/三井 恒/向井 淳一郎/石井 礼子/長田 純一/長橋 悟

 シンコ主演エピソード.ジーパン・シンコのラブ・ストーリーもいきなり最終章に入ってしまった感じでした.ヒロインの婦警を演ずる江夏夕子さんは,この時期『キイハンター』をはじめ,『アイフル大作戦』,『バーディー大作戦』,『傷だらけの天使』等のドラマに個性的な役柄で出演されていて大好きな女優さんだったのですが,結婚後あまり姿を見せなくなってしまい残念でした.『帰ってきたウルトラマン』上野隊員役の三井恒さんも麻薬製造団メンバー役でゲスト出演されています.

第103話 狼を見た少年

脚 本:柏原 敏之
監 督:木下 亮
ゲスト :上田 忠好/小高 賢/目黒 幸子/橋爪 功/安藤 純子/石山 克己/石丸 博也

 ゴリさん主演エピソード.『狼』を演じているのは,第6話,第52話,第58話でゴリさんの情報屋・徳さんを演じていた上田忠好さん.これまでとは全く異なる怖いキャラクターを好演しています.少年の父親役の橋爪功さんはゲスト初出演.声優の石丸博也さんもチンピラ役で出ています.

第104話 葬送曲

脚 本:播磨 幸治
監 督:竹林 進
ゲスト :宮本 和男/長浜 藤夫/沖田 駿一/西川 敬三郎/小倉 雄三/神田 正夫/新井 孝文/荒木 生穂/松野 邦夫/林 寛一/今井 和男
セミレギュラー:

 ジーパン主演エピソード.メインゲストの宮本和男さんは後の三景啓司さんで,スコッチ刑事の沖雅也さんと同じプロダクションに所属,『俺たちは天使だ!』にレギュラー出演していました.このシリーズでは何回かのゲスト出演を経て,第436話『父親』ではドック刑事の弟を演じてました.

第105話 この仕事が好きだから

脚 本:長野 洋
監 督:竹林 進
ゲスト :松木 路子/池田 秀一/槙 ひろ子/八代 るみ子/関虎 実(セキトラ・カーアクション)/石川 敏/鳴海 吾郎/兼松 隆

 殿下主演エピソード.殿下の後輩で殺人を犯してしまう警察官役の池田秀一さんは,どちらかというと声優さんとしてブレイクした方ですが,このシリーズにはあと1回第244話『さらばスコッチ』で重要な役を演じられています.そのお姉さん役の松木路子さんは第8話『真夜中の刑事たち』に続いて2度目で最後のゲスト出演でした.『嫌われる職業としての刑事』という『太陽にほえろ!』シリーズを通じての一種のアンチテーゼに対するアンチテーゼのような作品ですが,ラストのヒロインの台詞がそれをすべて台無しにしてしまっているようなちょっと哀しいエピソードでした.

第106話 着地地点なし

脚 本:長野 洋
監 督:山本 廸夫
ゲスト :臼井 正明/石川 博/島田 茂/灰地 順

 欠番作品.

第107話 光のなかを歩め

脚 本:柏原 敏之
監 督:木下 亮
ゲスト :柏木 由紀子/柴田 侊彦/中井 啓輔/片山 滉/橋本 恵美子/金井 進二

 殿下主演エピソード.前作の第105話に続いて犯人の姉妹との触れ合いを通して『優しすぎる刑事』殿下のキャラクターを描いた作品ですが,前作では「あいつは刑事だ」とボスに認められていて警察官としての自覚が十分すぎるほどだった殿下が,このエピソードでは「甘すぎる」とボスに叱られるほど警察官としての自覚に欠けた行動を取っており,それがかえって初期の殿下の不安定なキャラがよく表現されていたような感じを受けました.ヒロインの柏木由紀子さんはシリーズ唯一の出演作ですが,その兄役の柴田侊彦は初登場ながら以後何度かゲスト出演されています.常連の中井啓輔さんはこれが早くも4度目の出演ですが,シリーズを通じて加害者・被害者・警察官の全てを演じているだけでなく,その役柄も刑事・医師・会社社長・弁護士・暴力団員・前科者・今回のチンピラと多岐にわたっていて,しかもそれらをすべてそれらしく演じているという凄い俳優さんだったと思います.ところで,欠番となった1話をおいて,殿下主演の似通ったシチュエーションのエピソードだったわけですが,劇中に出てきたヒロインの部屋の電話機の赤いカバー,おんなじモノでしたよね?

第108話 地獄の中の愛

脚 本:播磨 幸治
監 督:木下 亮
ゲスト :田口 計/谷岡 行二/菅本 烈子/五藤 正博/青沼 三朗/粕谷 正治/吉中 正一/山尾 範彦

 ボス主演エピソード.それにしても麻薬取引などという危ないことを空港の駐車場などという人目に付く場所でやるものだろ~か? 素朴な疑問を感じました.初登場の田口計さんはこのシリーズでは意外に少なく4回出演してますが,平田昭彦さんとの東大対決が観たかったのです.

第109話 俺の血をとれ!

脚 本:小川 英/朝倉 千筆
監 督:山本 廸夫
ゲスト :水谷 豊/横光 勝彦/綾川 香/吉田 未来/小沢 直平/松尾 文人/竹田 将二/菅原 慎予/尾崎 八重

 山さん主演エピソード.新人俳優のトレーナー係を兼ねていたという水谷豊さんの4回目で最後の出演作でした.後に政治家に転身した横光克彦さんもこのシリーズ3回ゲスト出演されています.シリーズ初期は山さんの麻雀シーンが多かったのですが,今回のラストでは初めて一係メンバーによるメンツが見られます.病室で警察官がタバコ吸ったり麻雀ができる良い時代でした.

第110話 走れ!猟犬

脚 本:長野 洋
監 督:山本 廸夫
ゲスト :今井 健二/石山 政五郎/福崎 和宏/小高 まさる/花巻 五郎/関虎 実(セキトラ・カーアクション)

 ジーパン&シンコ主演エピソード.お二人が精神的に結ばれるエピソードですが,こうなるともう先が見えてしまった感じです.「死ぬときは一緒よ」,この頃そんなこと言ってた人いたなあ.ヒッピーがたむろする新宿駅周辺の描写といい,時代を感じさせるエピソードでした.殿下とゴリさんの演技のわざとらしさが見事でした.下手な演技をする演技って,実は難しいのでは?

第111話 ジーパン・シンコその愛と死

脚 本:小川 英
監 督:山本 廸夫
ゲスト :手塚 しげお/皆川 妙子/石井 宏明/鳥井 忍/辻 義一/鹿島 信哉/刈谷 俊介/浅野 健次郎/森 正親/西山 健司
セミレギュラー:菅井 きん(柴田 たき)/ハナ 肇(内田 宗吉)

 「なんじゃこりゃあ!」で,あまりにも有名なジーパン殉職エピソード,その『犬死に』があまりにも痛々しく感動的だったマカロニの殉職シーンを,いとも簡単に上回ってしまったかのような印象を受けましたが,今回久しぶりにじっくり観たら,やっぱりこの死に方ってちょっと不自然かも.ところで会田,逮捕されたのかな? ラストのボスとシンコの電話のシーンはやはり感動的でした.