山村刑事プロデューサーセレクション |
第11話 愛すればこそ |
脚 本:永原 秀一/峯尾 基三 |
山村刑事の妻・高子(町田祥子さん)が最初に登場するエピソード.後に高子は結局死んでしまうのですが,それまで何度か高子がらみのエピソードがあり,七曲署の刑事の中では長さん(下川辰平さん)についで,私生活が描かれたキャラクターでした.この頃の山さんは,雀荘に入り浸っているようなアウトロー的な刑事の設定で,短髪,巻き舌,べらんめえ口調と,後の山さんとはかなりキャラが異なってます.また,新宿の街並みも,この頃ブームだった外国ポルノ映画の広告が目立っていたり,台詞中に現在では使用されない『女中』なんて言葉も出てきたりして,時代を感じさせます.で,このエピソードですが,やはり伝説の名女優・太地喜和子さんの,観ている人に素で演じているかのように想わせるような見事な演技が光ってます. |
第41話 ある日,女が消えた |
脚 本:鎌田 敏夫 |
七曲署二代目署長役の南原宏治さん登場.この署長,歴代署長の中でもユニークなキャラクターで好きだったのですが,登場した時期が短かったのは残念でした.このエピソードの中では,山村刑事を嫌っているという設定が明らかになり,露口氏とのコミカルな掛け合いが楽しめます.また,犯人側の河村真紀役の牧紀子さんはどこかで見た女優さんだと思ったのですが,円谷プロ『怪奇大作戦』第18話『死者がささやく』,『恐怖劇場アンバランス』第」第12話『墓場から呪いの手』にゲスト出演していた女優さんでした.しかしそれにしてもこのエピソードでの山村刑事の捜査は非合法どころか完全な違法なので降格処分を受けるのですが,シリーズの中ではいつの間にか警部補に戻っています. |
第133話 沈 黙 |
脚 本:長野 洋/四十物 光男 |
この頃,名曲喫茶ってけっこう多かったのよね.初期のエピソードで何度か出てきますが,この回は容疑者(永井譲滋さん)が聾唖者(正確には耳は聴こえるので唖者)という珍しいシチュエーションのエピソード.実は口がきけないふりをしているだけなのですが,体の不自由な人をつけまわすのはどうかという署長の意見によって捜査が中止になってしまうという状況の中,実は口がきけることを証明しなければならないという難しい問題に山さんが挑むという,めちゃくちゃ凝ったエピソードでした.それにしても,オウムの代わりに耳が聞こえない老婆(夏川静枝さん)に協力を頼むのって,なんか失礼では? |
第258話 愛の追憶 |
脚 本:桃井 章 |
山村刑事の妻・高子が第11話で登場し,第206話で亡くなるまで何本か存在する夫婦の絆をテーマにした作品群の後日談ともいうべき作品で,ちょうど1年後という設定のエピソード.容疑者(村地弘美さん)に自首をさせるために,亡き妻との思い出を涙を浮かべて語る山さん,露口さんの演技に心を打たれます.でも自首をさせたいがために逮捕状を取らないようボスに頼むのってやはりアンフェアです. |
第308話 新しき家族 |
脚 本:杉村 のぼる/小川 英 |
妻・高子の死後2年が経過し,山さんが息子・隆の養育を依頼する,かつて逮捕した男の娘・加代子(千野弘美さん)の登場第1作.千野さんはこの後,第564話『夏の別れ』まで数々のエピソードに出演します.今回は新しい家族として迎えた彼女に寄せる山さんの信頼がテーマですが,それ以上に,彼女に疑惑を感じてしまうゴリさんを演ずる竜雷太さんの演技が印象に残りました. |
第380話 見込捜査 |
脚 本:小川 英/尾西兼一 |
犯罪そのものよりも,いかにして証言は覆されるのかに主眼を置いたシリアスな法廷劇.弁護士役の岡田英次さん,検事役の早川保さん,そして証人役の井上孝雄さん,すべて適役です. |
第393話 密 偵 |
脚 本:長野 洋 |
ザ・ガードマンの稲葉義男さんは今回は岡島警視役でゲスト出演ですが,この後,徳田警視・警視監役でセミレギュラーとなり,さらには警視総監にまで出世します.響組への内通者の捜査を岡島警視より依頼された山村刑事の活躍を描いており,珍しくアクション・シーンも観られる,ほとんど山さんの一人舞台のエピソードですが,それ以上にボスの山村刑事をはじめとする部下たちに寄せる『全幅の信頼』がもう一つのテーマとなっているエピソードであると思います.あとこの番組ではチンピラ役が多かった剛達人さんが,今回はたつひと名義で珍しく,最初は山村刑事を馬鹿にしていたものの,『落しの山村』の自白を導き出すテクニックを目の当たりにして感服する花園署刑事の役を演じています. |
第405話 時 効 |
脚 本:四十物 光男/小川 英 |
山村刑事がかつて逮捕したが自白に持ち込めず,公訴時効が成立した金庫破りに石田太郎氏が扮していますが,この方,『傷だらけの天使』最終回のゲイバーのママ役や,『ルパン三世カリオストロの城』の伯爵役でも有名ですが,なんといっても小池朝雄さんが亡くなった後の『刑事コロンボ』のピーター・フォークさんの吹き替えが有名です.そして,対する山さんの露口茂さんも,実は小池氏以前にコロンボ役の声優に内定していたというお話で,露口さんがコロンボやっていたら,石田さんはコロンボになれなかったという不思議な縁で結ばれています.あと,円谷作品では精神異常者やアルコホーリク役の多かった大村千吉さんはこの番組では情報屋や屋台のおしさんの役が多かったのですが,この回ではお得意のアルコホーリクのハコ師を演じています.また,このエピソードでは山さん以外に,番組に復帰したばかりのスコッチ刑事と,最初スコッチに反感を持っていたスニーカー刑事が,わりと仲良くつるんでいたのが印象に残っています.復帰後のスコッチは住んでる部屋以外に,タバコやコーヒー等嗜好も以前とはかなり変わっています |
第471話 山さんに任せろ! |
脚 本:長野 洋/小川 英 |
ボス不在の七曲署一係の指揮を執る大沢警視監にザ・ガードマン神山繁さんが扮していますが,この方第221話『刑事失格』では本庁査問委員長,第713話『エスパー少女・愛』,第715話『山さんからの伝言』,PART2第7話『逃げる』では監査官としてほとんどセミレギュラー出演しています,逆に事件のカギを握る老金貸し・江尻に扮するのがかつて七曲署初代署長としてセミレギュラー(といっても2回だけですが)出演していた野口元夫さん.新旧のセミレギュラー共演による,山村刑事を中心とした七曲署捜査一課刑事たちの団結を描いたエピソードですが,本当の主役は山さんではなく不在のボスだったといえると思います. |
第564話 夏の別れ |
脚 本:小川 英/古内一成 |
山村刑事の妻・高子に代わって,セミレギュラーとしていくつかのエピソードの中心となってきた人物・加代子のシリーズ完結編.話自体はよくありそうなファザコン少女の妬みによる連続殺人未遂事件で,それほどよくできたエピソードだと思いませんが,このLD BOX に収録されているエピソードの中で,この話だけ番組後期の若手刑事中心の時期のもので,番組の作風自体がかなり変わってきていたのがよくわかります.正直言ってこの時期の山さんもボスも影薄いです. |