帰ってきたウルトラマン


TBS 系 1971年 4月 2日 〜 1972年3月31日
金曜日 P.M. 7:00 〜 7:30 放映 全51話

プロデューサー:円谷 一/斉藤 進/橋本 洋二
プロデューサー補:熊谷 健
企画:満田 かずほ/田口 成光
音楽:冬木 透
製作:TBS/円谷プロダクション
 

DVD-BOX PDND-3648


CAST
 

郷 秀樹 …

団 次郎

加藤 隊長 …

塚本 信夫 (第1−22話)

伊吹 隊長 …

根上 淳 (第22−51話)

南 猛 …

池田 駿介

岸田 文夫 …

西田 健

上野 一平 … 三井 恒

丘 ユリ子 …

桂木 美加

  

 

坂田 健 …

岸田 森

坂田 アキ …

榊原 るみ

坂田 次郎 …

川口 英樹

村野 ルミ子 …

岩崎 和子

岸田 地球防衛庁長官 …

藤田 進

佐竹 参謀 …

佐原 健二

   
ウルトラマン … 菊池 英一
ナレーター … 名古屋 章


第1話 怪獣総進撃

監 督:本多 猪四郎
脚 本:上原 正三
ゲスト :毛利 幸子/岡部 正/藤江 喜幸/山口 千枝/島田 淳子/夏木 順平
怪 獣:凶暴怪獣 アーストロン/オイル怪獣 タッコング/ヘドロ怪獣 サザーン
 このシリーズが放映された1971年4月から1972年3月の1年間,でらちゃんは小学校6年生で, TV を自由に観ることができた最後の1年間だったのですが,中学受験を控えていたのと,興味の対象がすでに特撮番組から音楽番組に移っていたためか,途中で毎回観るのを止めてしまいました.また,その一つの理由として,出てくる怪獣・宇宙人が以前のシリーズに比べて魅力的ではなかったこともあったと思います.但し,逆にそれまでと違って,演じている俳優さんに対して関心を持つ年頃になっていており,『怪奇大作戦』で最初に好きになった俳優さんだった岸田森さん,バラエティ番組『ゲバゲバ一座のちょんまげ90分』や『キイハンター』ゲスト出演で気になっていた西田健さん,モデル出身で当時資生堂 MG5 の CM に出ていた団次郎さん等,怪獣以外の出演者の方が印象に残っています.今回, DVD BOX を入手して全話を順に観始めたのですが,やはり,これまでのいわゆる第1期ウルトラシリーズのj各作品が怪獣・宇宙人主体のストーリーだったのに対して,人間のキャラクター中心のストーリー構成がされている感じがしています.レギュラーの MAT 隊員にそれぞれカタカナではなく漢字の姓名が設定されており,主人公の郷秀樹の成長物語としての側面を持っている等,視聴者の成長に合わせたシリーズ構成がなされていた感じです.ところで,この郷秀樹というネーミングについて,新御三家の野口五郎さんはこの時期すでにデビューしていましたが,西城秀樹さんと郷ひろみさんはこの少し後だったように記憶しているので,ここからとられた訳ではありません.この第1話のサブタイトルは本多猪四郎監督の1968年作品のタイトルと全く同じであります.

第2話 タッコング大逆襲

監 督:本多 猪四郎
脚 本:上原 正三
ゲスト :関 国麿/遠矢 孝信/東 静子/松本 幸枝/三田 三枝子
怪 獣:オイル怪獣 タッコング
 このシリーズ,怪獣キャラクターの造形という点では以前のシリーズに比べて明らかにトーンダウンしており,印象に残るキャラクターが少ないのですが,そんな中でもこのエピソードで早々と再登場するタッコングと,後に出てくるツインテールに関してはわりと記憶に残っています.しかしながらそれ以上にこの第2話は,第1回でウルトラマンとなり MAT 隊員に迎えられた主人公・郷秀樹の早々と慢心・挫折・再起を描いたエピソードで,このシリーズの主役がウルトラマンではなく,人間の郷秀樹であることをはっきりと示しています.というわけで,オープニングでも郷秀樹役の団次朗さんがトップにクレジットされており,この点も隊長役の俳優さんがトップにクレジットされていたこれまでのシリーズと傾向を異にしています.

第3話 恐怖の怪獣魔境

監 督:筧 正典
脚 本:上原 正三
ゲスト :宮崎 茂/斉藤 宣文/小泉 ひろし/滝川 浩
怪 獣:岩石怪獣 サドラ/地底怪獣 デットン
 主人公・郷秀樹と他の MAT 隊員との対立を通じて,隊長との信頼関係を確立したエピソード.これまでのエピソードを観る限り,主人公の成長と周囲の人々との関係がメイン・テーマとなっており,怪獣は単なる添え物にすぎない印象を与えられます.

第4話 必殺!流星キック

監 督:筧 正典
脚 本:上原 正三
ゲスト :川口 節子/加藤 茂雄/伊藤 実
怪 獣:古代怪獣 キングサウルス三世
 高度経済成長時代のこの時期,怪獣ブームから怪奇・妖怪ブームを経て,『巨人の星』,『柔道一直線』,『サインはV』,『アタック No.1』等の番組により『スポ根ブーム』などという訳の分からんモノが流行っていたわけですが,その要素を劇中に取り入れたエピソードらしいです.このへんで気になったのですが,周囲の人間が郷秀樹=ウルトラマンであることを理解しているとしか思えない描写が多いような気がします.いいのかな?

第5話 二大怪獣 東京を襲撃

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :小松 英三郎/高野 浩幸 (ノンクレジット)
怪 獣:地底怪獣 グドン/古代怪獣 ツインテール
 早くもシリーズ初の前・後編エピソードの前編.ウルトラシリーズの顔,藤田進さんと佐原健二さんが相変わらずの長官と参謀役でセミレギュラー出演しています.このシリーズ初期の特徴的な『主人公と仲間の対立』という状況の描写において,特に目立っていた郷秀樹と岸田文夫の確執が始まった最初のエピソードで,岸田を演じた西田健さんはこの演技によって主役の団次朗さんに引けを取らない人気を獲得したということで,この方も岸田森さん同様,『円谷育ち』の俳優さんだったと思います.この前後編に出てくるツインテールという怪獣,魅力に乏しいこのシリーズの怪獣の中ではタッコングと共にわりと印象に残っていたのですが,もう一匹のグドンに食べられるという設定であまり強い怪獣ではないような感じなのにも関わらず,ウルトラマンはこの怪獣相手に苦戦して,後編に続きます.強いぞツインテール.

第6話 決戦!怪獣対マット

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :大前 亘/高野 浩幸 (ノンクレジット)
怪 獣:地底怪獣 グドン/古代怪獣 ツインテール
 前・後編エピソード後編.このシリーズにおける岸田長官と佐竹参謀 (このエピソードでは佐川参謀) の設定ですが,これまでのシリーズには見られなかったお偉いさん風吹かせていて,演ずる藤田進さん・佐原健二さんもそれぞれのキャラクターを憎々しげに演じています.万策尽きて思案にくれる岸田長官に佐川参謀が何やら耳打ちして,水爆級の威力を持つスパイナーの使用が決定されるのですが,実はこの参謀が最も過激派だったのでした.また,このエピソードの山場では初めて珍しく岸田森さんと西田健さんのからみを観ることができてとっても嬉しかったのでした.

第7話  怪獣レインボー作戦

監 督:本多 猪四郎
脚 本:上原 正三
ゲスト :渋谷 健三/宮城 孝/桜井 栄子/高野 浩幸/西谷 喜之
怪 獣:透明怪獣 ゴルバゴス
 『透明怪獣』だったらやっぱりネロンガでしょ? この怪獣周囲に合わせて色を変えているだけで透明ではありません.

第8話 怪獣時限爆弾

監 督:筧 正典
脚 本:田口 成光
ゲスト :倉田 爽平/矢崎 知紀/中沢 祥枝
怪 獣:爆弾怪獣 ゴーストロン

 この怪獣も郷のミスによって結果的に『爆弾怪獣』になっただけであって,初めから持っていた特性ではありません.セミレギュラーの坂田家のうち,坂田アキ役の榊原るみさんは今回初めてお休みでした.

第9話 怪獣島SOS

監 督:本多 猪四郎
脚 本:伊上 勝
ゲスト :石橋 雅史/塚本 哲/山崎 純資/長谷川 峯子
怪 獣:古代怪獣ダンガー
 隊長の指示を無視して勝手に任務を交代してしまう南・郷の両隊員.どうも,この MAT という組織,これまでの科学特捜隊やウルトラ警備隊に較べて規律面がかなりゆるやかな印象です.結局無人島に不時着して破傷風に罹ってしまった南隊員の救援に剛隊員が向かうわけですが,その際も5時間かかる機の整備を1時間に急がせるというムチャクチャな要求をしていたりします.ところで破傷風って,ちょっと傷口を見ただけでわかるもんなのか? また,このシリーズ,出てくる怪獣が没個性的なのが難点のひとつですが,怪獣の肩書(?)も結構重複していて,ここまで地底怪獣と古代怪獣が2体ずつ出現しています.セミレギュラーの坂田家では,今回は坂田健役の岸田森さんがお休みでした.

第10話 恐竜爆破指令

監 督:筧 正典
脚 本:上原 正三
ゲスト :高野 浩幸/石原 光正/伊藤 ひでみ/北川 陽一郎/石山 克己/浅見 比呂志/本多 一哉
怪 獣:化石怪獣 ステゴン
 円谷プロお得意のお子ちゃまエピソードで,旧ウルトラマンのガヴァドン回の焼き直しみたいな作品です.前回に続いて南・郷の両隊員は隊長の指示に背いて,今回は作戦から外されてしまいます.なめられてるぞ,加藤隊長.今回は坂田次郎役の川口英樹さんのみ出演していて,岸田さん・榊原さんはそろってお休みです.

第11話 毒ガス怪獣出現

監 督:鍛冶 昇
脚 本:金城 哲夫
ゲスト :堀越 節子/坪野 鎌之/緒方 燐作/大里 健太郎/北村 勝造/波多野 加代
怪 獣:毒ガス怪獣 モグネズン
 岸田隊員主演エピソード.軍人だった父親が戦時中に開発・廃棄した毒ガスを怪獣が食べて…といった設定ですが,やはりこれって第8話のゴーストロン同様,結果として毒ガス怪獣になったわけであって,もともと持っていた特性ではありません.やはり『毒ガス怪獣』だったらケムラ−でしょ.ところで時代設定ですが,近未来世界を舞台としていた『ウルトラセブン』より後の設定だとすると,ここで語られている『戦争』って太平洋戦争のことじゃないよね? 今回は佐川ではなく佐竹参謀役の佐原健二さんが2度目の出演.坂田家メンバーは初めて全員そろって欠席でした.

第12話 怪獣シュガロンの復讐

監 督:鍛冶 昇
脚 本:上原 正三
ゲスト :久万里 由香/草間 璋夫/渋谷 健三/野月 かつや/守屋 輝明/勝部 義夫
怪 獣:音波怪獣 シュガロン
 旧ウルトラマンのヒドラ回の焼き直しのようなエピソードですが,怪獣シュガロンが交通事故でケガを負った娘の父親の化身であったとするならば,何に対する『復讐』だったのか? 逆に娘殺しちゃってるじゃん? 冒頭で MAT の訓練に使われている標的に,旧シリーズのレッドキング・ゴモラ・ヒドラ・ジラース・テレスドンが使用されています.また,『ウルトラセブン』セミレギュラーだった勝部義夫さんが警官役でゲスト出演しています.

第13話 津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ!

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :小林 昭二/長谷川 弘/内田 武樹/西山 恵子/向井 淳一郎/西本 裕之/河野 耕司/幸田 宗丸/新村 礼子/菊池 英一(ノンクレジット)/東條 昭平(ノンクレジット)
怪 獣:津波怪獣 シーモンス/竜巻怪獣 シーゴラス
 早くもシリーズ2作目の前・後編の前編.科学特捜隊ムラマツキャップの小林昭二さんがゲストですが,冒頭で歌なんか歌っていて珍しく思っていたら,その歌が怪獣出現のイントロダクションとなっていました.そこに歌われているシーモンスとシーゴラスの夫婦怪獣という設定ですが,一体何年生きているのか? 他にスナフキンの西本裕之さんがシーモンス退治を急がせる工場長役で,ウルトラマンのスーツアクター菊池英一さんと演出の東條昭平さんがカメオ出演しています.

第14話 二大怪獣の恐怖 東京大龍巻

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :小林 昭二(ノンクレジット)/長谷川 弘(ノンクレジット)/内田 武樹(ノンクレジット)/西山 恵子(ノンクレジット)/向井 淳一郎/西本 裕之/河野 耕司/幸田 宗丸/新村 礼子
怪 獣:津波怪獣 シーモンス/竜巻怪獣 シーゴラス
 同後編.岸田長官役の藤田進さんが2度目の出演.今回も MAT に対して高圧的に接してますが,一方で都民の安らぎについて言及したりもしています.また,第11話以降姿を消していた坂田家ですが,今回は久しぶりに3名揃って出演しています.というわけでなのか,オープニングで MAT 隊員の4名のあと,セミレギュラーの岸田森・藤田進・榊原るみ・川口英樹の各氏のクレジットが挿入され,代わりにゲストの小林昭二・長谷川弘・内田武樹・西山恵子の各氏のクレジットが消えてしまっているのは,多分編集ミスだと思われます.

第15話 怪獣少年の復讐

監 督:山際 永三
脚 本:田口 成光
ゲスト :高野 浩之/今村 源兵/中川 謙二/勝部 義夫/松下 砂稚子
怪 獣:吸電怪獣 エレドータス
 『ウルトラセブン』第45話『円盤が来た』で,実態はペロリンガ星人の少年役を演じており,このシリーズでも度々坂田次郎の友人役で顔を見せている高野浩之さんがメインゲスト.その設定が凄まじく『びっこ』の嘘つき少年って,現代だったら絶対に放送できないエピソードです.さらに劇中で郷秀樹隊員はこの少年に平手打ちするのですが,この表現も多分ひっかかります.差別表現・暴力描写の行き過ぎた自主規制が,後のテレビドラマをつまらなくした原因の一つだと思います.オープニングのキャスト・クレジットが,これまで郷秀樹+加藤隊長→ MAT 隊員→セミレギュラー→ゲスト→ウルトラマン+ナレーターの順だったのが,この回から郷秀樹+加藤隊長→ MAT 隊員→ゲスト→セミレギュラー→ウルトラマン+ナレーターの順と変更されています.

第16話 大怪鳥テロチロスの謎

監 督:山際 永三
脚 本:上原 正三
ゲスト :石橋 正次/服部 妙子/丸茂 光紀/高杉 哲平/南川 直
怪 獣:始祖怪鳥 テロチロス
 1話おいて,3作目の前・後編の前編.前編だけ観た限りでは,すごーくスリリングなよくできたミステリー・タッチのエピソードだと思います.ゲストは前年実写版『明日のジョー』矢吹丈役に抜擢された後,当時ブレイクしていた石橋正次さん.この方,翌年の『明星』誌の人気投票で野口五郎さん,森田健作さんに次いで第3位という,今考えると信じられないような人気を誇っていました.前回に続いて今度は恋人の坂田アキに平手打ちを見舞う郷秀樹隊員.暴力はいけません.

第17話 怪鳥テロチロス 東京大空襲

監 督:山際 永三
脚 本:上原 正三
ゲスト :石橋 正次/服部 妙子/丸茂 光紀/沼波 輝枝/南川 直
怪 獣:始祖怪鳥 テロチロス
 同後編.加藤隊長の「鳥相手に空中戦をしたのはまずかった」という台詞がなんとなくマヌケです.人間側で繰り広げられるドラマは予想されたようなストーリー展開で結末を迎えますが,結局はこのヒロイン(服部妙子さん)の節操のなさだけが目について,全く感情移入できませんでした.

第18話 ウルトラセブン参上

監 督:鍛冶 昇
脚 本:市川 森一
ゲスト :南 広/立花 房子/山本 正明/片岡 五郎/羅 雅煌/沢登 護/佐古 正人
怪 獣:宇宙大怪獣 ベムスター/ウルトラセブン
 MAT ステーションのキャプテンで加藤隊長の親友という設定で南広さんがゲスト出演.この人『ウルトラセブン』でも似たような設定のキャラで,こちらではセミレギュラーとして出演していましたが今回は簡単に殉職してしまいます.この南広さんという俳優さんも円谷作品の常連さんでした.初の宇宙怪獣に苦戦するウルトラマンが救いに現れたウルトラセブンに与えられたウルトラ・ブレスレットで相手を倒すのでが,このアイテム,セブンのアイスラッガーと同じ威力を発揮してます. 実は以前から M78星雲人の中でセブンだけ異人種のような感じがぬぐえないでいるのですが?

第19話 宇宙から来た透明大怪獣

監 督:鍛冶 昇
脚 本:上原 正三
ゲスト :片山 明彦/石原 光真/伊藤 秀美
怪 獣:忍者怪獣 サータン
 次郎くん,ウサギの耳をつかんで持ってはいけません.それ虐待です.以前のシリーズにおけるハヤタ隊員のベータカウセル,モロボシ・ダンのウルトラアイに相当する変身アイテムを郷秀樹は持っていないので,死にそうな目に合わないと変身できないような感じがしていてちょっと気の毒だったのですが,ここのところ別に危険な状況でなくても自分の意志で変身できているようです.

第20話 怪獣は宇宙の流れ星

監 督:筧 正典
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :菅沼 赫/遠矢 孝信/伊原 徳(ノンクレジット)
怪 獣:磁力怪獣 マグネドン
 時々ゲストにクレジットされている遠矢孝信さんって俳優さん,このシリーズのメイン怪獣スーツ・アクターをされていた方らしいです.佐竹参謀の佐原健二さん,3度目の登場ですが,また MAT の解散をほのめかしてます.今回,オープニング・クレジットが,また郷秀樹+加藤隊長→ MAT 隊員→セミレギュラー→ゲスト→ウルトラマン+ナレーターの順に戻ってしまっています.

第21話 怪獣チャンネル

監 督:筧 正典
脚 本:市川 森一
ゲスト :荒井 ヌイコ/三輪 明/岸井 あや子/小松 英三郎/矢野 潤子/一色 俊吾/越後 憲/遠矢 孝信
怪 獣:電波怪獣 ビーコン
 エピソード中こどもが二人出てきますが,ハム無線の電波で怪獣を呼び寄せてしまうツトム君(11歳)はともかく,冒頭とラストに出てくるミカコちゃん(5歳)はストーリー進行上どういう意味があって出てくるのかよくわかりません.ころころ変わるキャストのクレジットですが,今回はセミレギュラー陣の出演はありませんでした.

第22話 この怪獣は俺が殺る

監 督:山際 永三
脚 本:市川 森一
ゲスト :うえず みのる/三谷 昇
怪 獣:プラスチック怪獣 ゴキネズラ
 ウルトラ・シリーズ初の隊長交代劇.加藤隊長が MAT ステーションに転任し,そのかつての上官・伊吹隊長がニューヨーク本部から転任してくるという設定で,番組が2クールから4クールに延長されたため,加藤隊長役の塚本信夫さんがスケジュール上出演不能になったためと憶測されていたそうですが.これは後に否定されているようです.また,後任の伊吹隊長役には円谷作品常連の土屋義男さんが候補に挙がったものの.最終的に根上淳さんが起用されたらしいです.ゲストの三谷昇さんは,ここではピエロに扮した酔っぱらいのサンドイッチマンという訳のわからない役柄ですが.後の『ウルトラマンタロウ』では終盤に副隊長役で出演していて,これはやはり『ウルトラマン』でチョイ役でゲスト出演していた原保美さんが,後の『怪奇大作戦』では SRI 所長を演じていたのを思い起こさせました.今回のオープニング・クレジットは,トップが郷秀樹+加藤隊長+伊吹隊長→ MAT 隊員→ゲスト→セミレギュラー→ウルトラマン+ナレーターの順でした.

第23話 暗黒怪獣 星を吐け!

監 督:山際 永三
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :横山 リエ/陶 隆/坂本 長利/増岡 弘/天本 英世
怪 獣:カニ座怪獣 ザニカ/暗黒怪獣 バキューモン

 北斗七星を吸い込んでしまうというスケールの大きい怪獣バキューモン.前々回の電波を食う怪獣ビーコンともに,『ウルトラQ』ですべてのエネルギーを吸収していた怪獣バルンガを思い起こさせました.メイン・ゲストで占星術師役の横山リエさんが『き〇が〇』呼ばわりされていますが,これ再放送時はやっぱり音声消されていたんでしょうね? 他に円谷作品常連の天本英世さんが珍しく天文台所長というまともな役で出ています.今回のオープニングではセミレギュラー陣がゲストより先にクレジットされていました.

第24話 戦慄!マンション怪獣誕生

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :福田 公子/大村 千吉/川瀬 裕之/遠矢 孝信/劇団いろは
怪 獣:マンション怪獣 キングストロン/宇宙小怪獣 クプクプ
 このシリーズ,お子ちゃまエピソード多いです.今回は, MAT に爆破された小怪獣の破片を持ち帰ってマンション怪獣に育て上げてしまうというとんでもないガキんちょの話で,途中母親がマンションのローンについて言及する場面が出てきますが,この事件の後海外航路から帰ってくるはずの父親が可哀そうすぎます.破壊されたマンションの損害賠償請求されたら,一家心中するしかないっしょ? マンション管理人役で円谷作品常連の名優・大村千吉さんがゲスト出演.エピソードごとにころころ変わるセミレギュラー陣とゲスト陣のクレジット順ですが,今回はセミレギュラーが坂田次郎役の川口英樹さんだけなので,ゲスト陣の中に含まれてしまっています.第18話の怪獣の肩書が『宇宙大怪獣』だったの疑問でしたが.今回『宇宙小怪獣』でなんとなく納得しました.

第25話 ふるさと地球を去る

監 督:富田 義治
脚 本:市川 森一
ゲスト :幸田 宗丸/西田 昭市/辻 しげる/松尾 文人/大野 広高/山本 竜二/藤江 喜幸/長尾 敏之助/遠矢 孝信/劇団いろは
怪 獣:隕石怪獣 ザゴラス

 南猛隊員主演「じゃみっ子」エピソード.このシリーズ,これまで以上におこちゃまエピソードが多いのですが,やたらと犯罪者予備軍みたいなこどもが出てくるのが気になるのです.それにしても MAT という組織,科学特捜隊やウルトラ警備隊と比べてかなりのんびりした組織みたいです.武器をこどもに盗まれてはいけません.今回はセミレギュラー陣の出演はありませんでした.

第26話 怪奇!殺人甲虫事件

監 督:筧 正典
脚 本:上原 正三
ゲスト :大島 章太郎/清水 美紀/遠矢 孝信
怪 獣:昆虫怪獣 ノコギリン
 『怪奇大作戦』を思わせるような殺人事件が起き.管轄外の MAT にお鉢が回ってきたところ,殺人昆虫を怪獣化してしまうと皮肉な展開.この騒ぎにしっかり次郎くんが一役買っているのが円谷作品らしいです.郷秀樹・坂田アキのカップルのデートで観に行く映画は『吸血男爵の森』,どうせなら,この年岸田森さんが吸血鬼役で出演した『呪いの館 血を吸う眼』だったら面白かったのにね.今回のオープニングではセミレギュラー陣がゲストの後にクレジットされていました.

第27話 この一発で地獄へ行け!

監 督:筧 正典
脚 本:市川 森一
ゲスト :山波 ひろし/進藤 幸/小高 まさる/遠矢 孝信/沢村 正(特別出演)
怪 獣:八つ切り怪獣 グロンケン
 郷秀樹隊員とキックボクサー・東八郎の友情と,坂田アキを交えての三角関係のエピソード.この手のエピソードでは,ウルトラマンが怪獣を倒すのと同時にボクサーが郷から伝授された必殺技を繰り出して勝利をつかむ,というのがよくあるパターンなのですが,そうではなくて敗北を喫してしまうという結末が意表をついていながら渋く,市川森一さんのシナリオのキレを感じさせられました.「意地でも負けることもある」というボクサーの台詞が強い印象を残します.当時『キックの鬼』としてメチャクチャ人気の高かった沢村正さんが特別出演.団次郎さんがかなり本格的なスパーリング・シーンを披露しています.今回のセミレギュラー陣は坂田アキ役の榊原るみさんだけで,オープニングではゲストの後,特別出演の沢村正さんと一緒にクレジットされていました.

第28話 ウルトラ特攻大作戦

監 督:山際 永三
脚 本:実相寺 昭雄
ゲスト :天草 四郎/池田 忠夫/遠矢 孝信/土屋 靖夫/戸田 春子/湊 俊一/永井 譲一/吉原 正皓/岩城 力也/
怪 獣:台風怪獣 ハリケーン
 『ウルトラマン』,『ウルトラセブン』,『怪奇大作戦』で数々の名作エピソードを作り出した実相寺昭雄監督(でらちゃん最もお気に入りの日本映画の監督さんです)が珍しく脚本のみを担当したコメディ・タッチのエピソード.いつの間にか仲良しさんになった郷隊員と岸田隊員のハイテンションなやり取りがいいです.このシリーズ怪獣の造形がこれまでのシリーズに比べて格段に劣っているのが大きな欠点なのですが,このエピソードに出てくるハリケーンという怪獣,ほとんど子供の落書きみたいなデザインで,実相寺監督ならではの皮肉っぽさを感じさせていただきました.どうせなら名前も台風怪獣なんだからそのまんまタイフーンにしてしまえばよかったのにね.今回のセミレギュラー,なぜか岸田森さんがノンクレジットで,川口英樹さんがゲストのトップにクレジットされています.また榊原るみさんはこの回から欠場,第37話で久しぶりに姿を現しますが….

第29話 次郎くん 怪獣に乗る

監 督:山際 永三
脚 本:田口 成光
ゲスト :セミ坂本 新兵/中川 玲子/石井 千代子/遠矢 孝信/高野 浩幸 (ノンクレジット)
怪 獣:やどかり怪獣 ヤドカリン
 それにしてもこのシリーズ,おこちゃまエピソード多いです.今回は次郎くんが怪獣の囚われの身になってしまうのですが,事件の発端は郷隊員が次朗くんのおともだちのよし子ちゃんの臍の緒(笑)の入ったからくり箱を持ち帰ってしまって,小型宇宙ステーションのチェックに出かけたことなので,すべての責任は郷隊員にあるのです.ただ,何故この小型宇宙ステーションが怪獣に乗っ取られてしまったのか詳しい説明がないので,ストーリーの展開がちょっとわかりにくいのです.今回.セミレギュラーの岸田森さん,川口英樹さんは,ゲストの前にクレジットされていますが,常に郷秀樹+隊長の次にクレジットされている MAT 隊員の4名のうち,初めて西田健さんだけ出演していませんでした.

第30話 呪いの骨神オクスター

監 督:真船 禎
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :巌 金四郎/大泉 滉/熊野 隆司/遠矢 孝信
怪 獣:水牛怪獣 オクスター
 前回に続いて坂田兄弟メインのエピソードで, MAT メンバーはストーリー半ばになってから登場します.ついに『神』を思わせる怪獣が出現するファンタジーですが,かなり血なまぐさい話で,岸田兄弟以外はすべて『神』の怒りにふれて殺されてしまうという救いのないエピソードでした.今回のオープニングでは,岸田さん・川口さんとゲストの巌金四郎さんが先の変則クレジットでした.

第31話 悪魔と天使の間に....

監 督:真船 禎
脚 本:市川 森一
ゲスト :小園 蓉子/永吉 健太郎/大木 智子/西田 真知子/広瀬 康治/初川 久/中山 剣悟/賀川 修嗣/遠矢 孝信
怪 獣:囮怪獣 ブルーマ/宇宙怪人 ゼラン
 伊吹隊長の娘・伊吹美奈子(大木智子さん)が初登場.連れてきた唖(!)の少年・風間輝男が実は宇宙人で…,という久しぶりに郷秀樹=ウルトラセブンが窮地に立たされるエピソードですが,この頃になると郷隊員も MAT 隊員たちの信頼をかなり得ているので,モロボシ・ダンの場合と違って逮捕・監禁されたりはしませんでした.ところでこの少年=ゼラン星人を演じていた永吉健太郎という人,早々と芸能界に見切りをつけて富士通ゼネラルに入社,現在同研究所に所属しているらしいです.また,看護婦役の小園蓉子さんという女優さん,チョイ役なのにゲストのトップにメイン・ゲスト扱いでクレジットされていて,ちょっと気になりました.

第32話 落日の決闘

監 督:大木 淳
脚 本:千束 北男
ゲスト :浜村 純/谷村 昌彦/松原 和仁/京田 ひさ子/福鎌 やよい/中島 かつみ/田所 千鶴子/小池 康光/猪野 剛太郎/遠矢 孝信
怪 獣:変幻怪獣 キングマイマイ(幼虫・成虫)

 1972年11月に放映された第31〜34話は,『11月の傑作群』と称された評価の高い作品が揃っていたという事なのですが,このエピソードのどこが傑作なのか,はっきり言ってよくわかりませんでした.わかりにくいストーリーの上,わけのわからない設定も多く,ギャグ満載のかなり騒がしい回だったような気がします.南・上野・郷の3名が身元を隠すため珍しく私服で事件の捜査に向うのですが,上野隊員の格好がかなりシュールで,行動もイミフでした.ベテラン声優の京田尚子さんが『ひさ子』名義で珍しく顔出し出演していますが,特徴のあるあごのほくろが強調されていて,すぐにわかりました.前々回に続いて岸田隊員の西田健さんはお休みです.

第33話 怪獣使いと少年

監 督:東條 昭平
脚 本:上原 正三
ゲスト :植村 謙二郎/二瓶 秀哉/遠矢 孝信/梅津 栄/小笠原 弘/山崎 純資/善 賢一/劇団いろは
怪 獣:巨大魚怪獣 ムルチ/宇宙調査員 メイツ星人
 ちょっと荒唐無稽な感もありますが,リンチに遇う少年と,警官に射殺される宇宙人の描写に,差別への怒りを表現した傑作エピソード.虚無僧の紛争でで郷の前に現れる伊吹隊長の姿が哲学的ですらあります.殺されてしまうメイツ星人を演じた植村謙二郎さんは,『ウルトラセブン』では『おもちゃじいさん』に化けて子供たちを操ろうとしたチブル星人を演じていました.今回出てくるセミレギュラーは次郎くんだけなので,オープニングではゲストのトップにクレジットされています.またこの回は珍しく MAT メンバーの4名はオープニングにクレジットはされているものの,池田駿介さん,西田健さん,桂木美加さんの3名は欠場,三井恒さんは声のみの出演となっています.

第34話 許されざるいのち

監 督:山際 永三
脚 本:石堂 淑朗/小林 晋一郎 (素案)
ゲスト :清水 幹生/遠矢 孝信
怪 獣:合成怪獣 レオゴン
 植物と動物を合成して創られた怪獣に対する創造者である郷の友人・水野(清水幹生さん)の屈折した愛情を描くことによって,生命の尊厳という大きなテーマを投げかけた傑作エピソード. BGM に PYG の『花・太陽・雨』が使用されていますが,これは脚本執筆陣の市川森一さんが当時『太陽にほえろ!』で懇意にしていたショーケンの承諾を得て使用することができたらしいです.この回からセミレギュラーの岸田森さん,川口英樹さんは,ゲストの前にクレジットされています.

第35話 残酷!光怪獣プリズ魔

監 督:山際 永三
脚 本:朱川 審
ゲスト :飯沼 慧/玉井 碧/エフ・ボサード/遠矢 孝信
怪 獣:光怪獣 プリズ魔
 坂田健役の岸田森さんが朱川審のペンネームで脚本を担当したということで有名なエピソード.ここに出てくるプリズ魔という怪獣,ウルトラシリーズ初の漢字を含めた名称で,実態も極めて捉えずらい特徴的なキャラクターですが, DVD BOX の解説によると坂田健の想像上の産物として捉えることも可能みたいです.そのためきわめてシュールなストーリー展開と,不思議な余韻を残すエンディングに,岸田さんの作り出したファンタジー・ワールドが見事に展開されています.

第36話 夜を蹴ちらせ

監 督:筧 正典
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :戸部 夕子/高田 稔/吉岡 ユリ/野村 明司/遠矢 孝信
怪 獣:吸血宇宙星人 ドラキュラス

 吸血鬼伝説をモチーフにしたエピソードですが,岸田森さんは吸血鬼ではありません(しつこい).今回も怪獣とは無関係な事件だと思われたためか, MAT メンバーは第32話同様,私服で警察の捜査に協力しています.正体の吸血宇宙星人はやはり光と十字架により葬られます.唯一威力を発揮しなかったニンニクは,ラストで次郎くんが全部食べてしまったとの描写がありますが.そんなことしたら胃に孔が開きます.娘への愛情故火葬にしなかったイケナイ父親役の高田稔さんはウルトラQ『マンモスフラワー』の源田博士役が印象に残っています.今回のオープニングでは,岸田さん・川口さんとゲストの戸部夕子さんが先の変則クレジットでした.

第37話 ウルトラマン 夕陽に死す

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :成瀬 昌彦/速水 鴻/沢 美鶴/津野 哲郎/奥野 匡/吉田 潔(ノンクレジット)/豊田 紀雄(ノンクレジット)
怪 獣:暗殺宇宙星人 ナックル/用心棒怪獣 ブラックキング/再生シーゴラス/再生ベムスター
 久しぶり第4作目の前・後編の前編.ナックル星人に坂田健・アキの兄妹が惨殺されてしまうという設定で,セミレギュラーの岸田森さんと榊原るみさんが今回で姿を消してしまいましたが, DVD BOX の解説によると,このエピソードは視聴者の多くに衝撃を与え,トラウマのような思いを残すことになってしまったらしいです.また,ウルトラマンの能力を分析するためシーゴラス・ベムスターの2体の怪獣が再生され,シーゴラスが津波を起こしますが,シーゴラスは竜巻怪獣で,津波怪獣はシーモンスだったのでは? などとつい余分な疑問を感じてしまいました.セミレギュラー陣の岸田さん,榊原さん,川口英樹さんが最後に揃ってゲスト陣の前にクレジットされてます.

第38話 ウルトラの星 光る時

監 督:富田 義治
脚 本:上原 正三
ゲスト :森次 浩司/黒部 進/速水 鴻/沢 美鶴/吉田 潔/豊田 紀雄/成瀬 昌彦(ノンクレジット)/
怪 獣:暗殺宇宙星人 ナックル/用心棒怪獣 ブラックキング/初代ウルトラマン/ウルトラセブン
 シリーズのひとつのクライマックスと言える前・後編の後編.ナックル星人による処刑寸前のウルトラマンを旧シリーズの初代ウルトラマンとウルトラセブンが助けに現れるという設定で,このエピソードでこのシリーズのウルトラマンが旧シリーズのウルトラマンとは別のキャラであることが証明されました.また,坂田家で唯一生き残った次郎くんと,もうひとり新たなセミレギュラーとして郷秀樹のマンションの隣人・村野ルミ子というキャラクターがラストに初のお目見えをしますが,このマンションのドア,何故かガラス張りみたいなのが気になりました.今回のオープニングはかなり変則的で,MAT 隊員→スペシャル・ゲストの森次浩司さん・黒部進さんと新セミレギュラーの岩崎和子さん→ゲストの順でクレジットされており,以前からセミレギュラーの川口英樹さんと前回からのメイン・ゲストの成瀬昌彦さんがノンクレジットになってしまっています.

第39話 冬の怪奇シリーズ 20世紀の雪男

監 督:筧 正典
脚 本:田口 成光
ゲスト :梶 三和子/和田 周/岸野 一彦/柄沢 英治/織賀 邦江(ノンクレジット)
怪 獣:雪男星人 バルダック
 前々回・前回でひとつのクライマックスを迎え,セミレギュラー陣を一新して新年(1972年)を迎えての初エピソードで,坂田次郎・村野ルミ子のコンビがメインのストーリー展開となっています.新セミレギュラーの岩崎和子さんと川口英樹さんはメインゲストの梶三和子さんと一緒にゲストの前にクレジットされています.

第40話 冬の怪奇シリーズ まぼろしの雪女

監 督:筧 正典
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :織賀 邦江/寄山 弘/荒井 純子/北山 歳夫/西田 真知子/倉石 和旺/瀬戸 昌子
怪 獣:冷凍怪人 ブラック星人/雪女怪獣 スノーゴン
 雪男の次は雪女.そういえば『怪奇大作戦』の最終回も『ゆきおんな』だったね.『冬の怪奇シリーズ』と題されたこのシリーズ,新春特別企画だったのかしら?2作だけで終わってしまいました.前回ノンクレジットだった,ルミ子の母役の織賀邦江さんが今回はゲストのトップにクレジットされています.

第41話 バルタン星人Jrの復讐

監 督:佐伯 孚治
脚 本:長坂 秀佳
ゲスト :斎藤 信也/土方 弘/岩本 憲俊/平野 健
怪 獣:バルタン星人Jr/ロボット怪獣 ビルガモ
 以前から思っているのですが,ウルトラマンの最大のライバルとされているバルタン星人って,スペシウムが弱点ということは,もしかしたら最もウルトラマンにとって戦いやすい相手だと思うのですが? あと,今回ウルトラマンが登場してから,ビルガモに飲み込まれた面々が脱出したりしているので,ゆうに3分間を超えてしまっていると思います.それよりも何よりも,でらちゃんは最初に飲み込まれてしまった犬のコロちゃんが気になってしょうがありませんでした.以前『怪奇大作戦』の『かまいたち』に出てきた犬や,『人食い蛾』に出てきた猫が殺されてしまっていて,円谷プロの動物虐待がトラウマになっているのです.次郎くんの友達の進少年を演じていた斎藤信也さんは.『ウルトラマンA』のゲスト出演を経て,『ウルトラマンタロウ』ではレギュラー入りしてます.

第42話 富士に立つ怪獣

監 督:佐伯 孚治
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :岡野 耕作/土屋 靖雄/氷室 政司/綾野 京子/柳谷 寛/向 正人/小出 宏/高木 真二
怪 獣:蜃気楼怪獣 パラゴン/宇宙怪人 ストラ星人
 富士山が舞台.蜃気楼に惑わされ,仲間や隊長の攻撃中止命令を無視して暴走する岸田隊員に,何のおとがめもないのが MAT らしくていいです.ウルトラシリーズでは常連の柳谷寛さんが鳴沢村の駐在さん役でゲスト出演, MAT やウルトラマンが登場すると「ばんざ〜い」しています.

第43話 魔神 月に咆える

監 督:筧 正典
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :本山 可久子/大木 智子/田中 筆子/和沢 昌治/加地 健太郎/酒井 郷博/永井 玄成
怪 獣:魔人怪獣 コダイゴン/発砲怪人 グロテス星人
 伊吹隊長主演エピソード.娘・美奈子役の大木智子さんは2度目,妻・葉子役の本山可久子さんが初登場.他に義父母役で和沢昌治さんと田中筆子さんがゲスト出演しています.第25話の南隊員に続いて長野県出身というキャラが出てきますが,スタッフの誰かがそうだったのかしら?

第44話 星空に愛をこめて

監 督:筧 正典
脚 本:田口 成光
ゲスト :茜 夕子/まり くりこ
怪 獣:燐光怪獣 グラナダス/宇宙牛人 ケンタウルス星人
 岸田文夫隊員主演,超高感度レーダーを破壊するために地球に派遣された宇宙人とその開発設計者の悲恋を描いたエピソードで,個人的にはシリーズ中最高傑作だったと思っていますが,ツッコむところがあるとしたら,なんでこの宇宙人,入院中に正体がバレなかったんだろ〜か? あと,せっかく悲恋物語のヒロインなのに,『宇宙牛人』とゆ〜設定はちょっと気の毒かも? ラストの MAT 隊員のヒロインの墓標に対する敬礼シーンが感動的です.

第45話 郷秀樹を暗殺せよ!

監 督:鍛冶 昇
脚 本:斎藤 正夫
ゲスト :野村 隆/高原 駿雄/山田 早苗/本多 圭子/川崎 純子/劇団いろは/高野 浩幸 (ノンクレジット)
怪 獣:鼠怪獣 ロボネズ/電波派怪人 メシエ星雲人
 暗殺計画がなかなかうまくいかず,最終的に麻酔注射を打つだけにとどまったわけですが,郷秀樹の意識が失われても別人格であるウルトラマンには効果がないので,計画は頓挫します.つめが甘いメシエ星雲人.ラスト,操られていた白鳥エリカの正体が不明のままドラマは幕を閉じますが,何か不完全燃焼.シリーズ終盤のオープニング,セミレギュラー坂田次郎くん単独出演の回は,川口英樹さんはゲスト陣の中にクレジットされています,

第46話 この一撃に怒りをこめて

監 督:鍛冶 昇
脚 本:田口 成光
ゲスト :多々良 純/芦沢 常法/花形 恵子/木村 滋子
怪 獣:ブーメラン怪獣 レッドキラー/宇宙参謀 ズール星人
 『この一撃』ってどの一撃? オープンリール式のテープレコーダーが時代を感じさせますが,この時期もう紙芝居屋さんって,ほとんどいなかったという記憶があるのですが…? この回のオープニング,メインゲストで紙芝居屋さんを演じている多々良純さんがシリーズ初の単独クレジット.

第47話 狙われた女

監 督:佐伯 孚治
脚 本:石堂 淑朗
ゲスト :葦原 邦子
怪 獣:ひとだま怪獣 フェミゴン
 丘ユリ子隊員主演エピソードですが,怪獣に乗り移られてしまうというで,ほとんど姿を見せず,たまに現れても酔っぱらっているような描写で,演じていた桂木美加さんが気の毒でした.それにしても職場にトランプ持ち込んでいたり,隊長が戦場にウィスキー持ってきていたり, MAT ってかなりゆるやかな組織みたいです.あと,伊豆から千葉までって泳げる距離なのかしら? 今回のオープニング・クレジットは,ゲストが丘隊員の母親役の葦原邦子さんだけのため,いつも一緒にまとめてクレジットされている MAT 隊員の4名が,2人ずつに分けられてクレジットされています.

第48話 地球頂きます!

監 督:佐伯 孚治
脚 本:小山内 美江子
ゲスト :田村 明彦/五月 晴子/不破 万作/橋本 修二/木下 雅弘
怪 獣:なまけ怪獣 ヤメタランス/宇宙怪人 ササヒラー
 シリーズ屈指のギャグ編で,大馬鹿者エピソード.シリーズが作られた高度経済成長時代に,後のしらけた時代の到来を予言していたという意味で,かなりシニカルな作品だったと思います.

第49話 宇宙戦士 その名はMAT

監 督:松林 宗恵
脚 本:伊上 勝
ゲスト :古屋 まゆみ/村上 不二夫/鹿島 邦義/森本 景武
怪 獣:銀河星人 ミステラー星人(善玉・悪玉)
 タイトルだけ見ると MAT メンバーが中心になって活躍するエピソードみたいですが,そんあことはなくて,実際は郷隊員を除く隊員たちは全て,ミステラー星人に操られてしまうのでした.ラストの戦闘シーンにそれぞれの隊員がウルトラマンを攻撃するのですが,全く不自然なのでした.わかるかな?

第50話 地獄からの誘い

監 督:松林 宗恵
脚 本:斎藤 正夫
ゲスト :八木 孝子/邦 創典/鮎川 浩
怪 獣:原始地底人 キング・ボックル
 上野一平隊員主演エピソード.セミレギュラー佐竹参謀役の佐原健二さんが4度目の出演.この方,どうしても MAT を解散させたいみたいですが,郷隊員らにより,小泉博士殺害の嫌疑をかけられた上野隊員の潔白が証明されたため,今回も解散は回避されました.

第51話 ウルトラ5つの誓い

監 督:本多 猪四郎
脚 本:上原 正三
ゲスト :遠矢 孝信/菊池 英一
怪 獣:宇宙恐竜 ゼットン(二代目)/触覚宇宙人 バット星人
 最終回.今回のゼットンはちんちくりんだし,あまり強くなく,わりと簡単にやられてしまいます.ウルトラマンとメイン怪獣スーツ・アクターの菊池英一さんと遠矢孝信さんが顔出しで出演している以外,クレジットされているゲストがいないので,第47話同様いつも一緒にまとめてクレジットされている MAT 隊員の4名が,2人ずつに分けられてクレジットされています.1971〜2年の初放映時,最初の数話だけしか観ていなかったこのシリーズを,今回 DVD で50年ぶりに全話を見ることができましたが,Q・初代マン・セブンの第1期ウルトラ・シリーズが怪獣や宇宙人がメインで,人間側のキャラはどちらかとういうと狂言回しや添え物的な役割だったのに対して,このシリーズでは主人公・郷秀樹を中心に, MAT メンバーや坂田兄妹等の関りを描いたエピソードが多く,ちょっと異質の作品群であるような印象を受けましたが,正直なところ期待していた以上に面白かったのです.以降の第2期ウルトラ・シリーズはほとんど観ていないのですが,機会があったら一度観てみたいと思いました.またでらちゃんは個人的には岸田森さんと西田健さんのファンなので,このお二人がストーリー上重要な役割を演じていたのが嬉しかったのでした.