フジテレビ 系 1978年 7月15日 〜1978年 8月19日 |
DVD PCBC-61886 |
CAST |
|
南郷 亮治 … | 石坂 浩二 |
佐原 鉄蔵 警部 … |
金子 信雄 |
佐原 清子 … | 夏目 雅子 |
矢ヶ崎 百合 … | 土部 歩 |
矢ヶ崎 江利 … | 村松 英子 |
矢ヶ崎 茉利 … | 武原 英子 |
木村 よし子 … | 夏 圭子 |
室田 検事 … | 岩下 浩 |
久保田 正人 … | 花王 おさむ |
篠塚 富夫 … |
小杉 治 |
矢ヶ崎 弥一 … | 遠藤 義徳 |
矢ヶ崎 公吉 … |
江原 真二郎 |
長岡 敬 弁護士 … | 遠藤 剛 |
篠塚 治作 … | 瀬良 明 |
舞台監督 … | 大友 龍三郎 |
医師 … | 村上 幹夫 |
看護婦A … | 崎田 美也 |
看護婦B … | 新井 梨枝子 |
南 判三 … | 伊豆 肇 |
篠塚 まき … |
千石 規子 |
米田 元石 … | 中条 静夫 |
矢ヶ崎 菊江 … | 左 幸子 (特別出演) |
矢ヶ崎 節子 … | 八千草 薫 |
ナレーター … |
篠原 大作 |
第1回 |
|
アメリカ推理作家の巨匠エラリー・クイーンがバーナビー・ロス名義で1932年に発表した,聾者で元舞台俳優のドルリー・レーンを探偵役とする『悲劇4部作』の第2作目を原作として,フジテレビが1978年に開局50周年記念作品として製作されたミステリー・ドラマ.主人公ドルリー・レーンに該当する石坂浩二さん扮する南郷亮治が元シェイクスピア俳優から元新劇俳優と変更されていたり,舞台となるハッタ―家に該当する矢ヶ崎家の家族構成が原作と異なっている等,若干の違いは見られますが,ほぼ忠実に原作を踏襲した内容となっています.最も大きな違いは原作のサム警部に該当する金子信雄さん扮する佐原鉄蔵警部の娘・清子を夏目雅子さんが演じていますが,原作シリーズではサム警部の娘・ペーシェンスが登場するのは第3作の『Zの悲劇』からですので,ドラマ化に際して無理やり作った役柄のような感じがしてしまうのは否めません.この回では他に村松英子さん,武原英子さん,夏圭子さん,江原真二郎さん,中条静夫さんといった錚々たる面々がキャスティングされていますが,中でもルイザ・キャンピオンに該当する矢ヶ崎百合役の土部歩さんは三重苦の娘という難しい役を見事に演じていました.あと特別出演の左幸子さんはでらちゃんのお気に入りの女優さんで,矢ヶ崎家の独裁女主人・菊江を流石に上手に演じていますが,劇中で殺害されてしまいこの回だけの出演となっています.あと,『太陽にほえろ!』で竜雷太さん扮する石塚刑事の元恋人役を演じていた武原英子さんと,実生活で竜さんの元奥さまだった夏桂子さんの顔合わせが面白い感じがしました.原作の最も大きな謎であるホワイダニットの凶器のマンドリンが,何故かこのドラマでは何故かバラライカに変更されており不思議に思っていたのですが,この回のラストのカットを観てその疑問が氷解しました. |
第2回 |
|
原作のマーサ・ハッタ―に該当する八千草薫さん扮する矢ヶ崎節子と主人公・南郷亮治が,菊江殺害の場にただ一人居た三重苦の百合から証言を引き出すために,崖下の海岸で荒療治をするシーンがこの回のクライマックスとなっていますが,これはこのドラマで勝手に創作・挿入されたシーンで,傑作ミステリーを安っぽい人間ドラマに貶めてしまうようなこの脚本に関してはとても残念な気がしました. |
第3回 |
|
この辺からかなり原作を離れたエピソードが頻出します.原作のイーライ・トリヴェット元船長に該当する南判三(ナンバン)船長が事件のカギを握る人物として描かれていますが,単独で矢ヶ崎家の実験室に忍び込んだところを襲われ重傷を負うくだりは,原作にはなかった部分だったと思われますが,この事件により今度は探偵役の南原亮治が矢ヶ崎家に泊まり込むという展開を迎えます. |
第4回 |
|
亮治が矢ヶ崎家に泊まり込む伏線として,原作ではサム警部同様『悲劇四分作』のレギュラーのウォルター・ブルーノ検事に該当する室田検事に佐原警部が亮治の捜査への参画を咎められるくだりが描かれていますが,演じる岩下浩さんは『ウルトラQ』第8話『甘い蜜の恐怖』では事件の原因を作った伊丹研究員,『ウルトラセブン』幻の第12話『遊星より愛を込めて』ではスペル星人の人間形を演じていて印象に残っている俳優さんでした.ストーリーの方は今度は亮治が襲われ軽傷を負いますが,これも原作には存在しないエピソードでした. |
第5回 |
|
原作では犯人の目星をつけた探偵ドルリー・レーンがその裏をかいて,次に使われるであろう毒物を牛乳にすりかえておくというトリックが使われており,これに対しては昔から「暖炉の中に放置されていた牛乳が腐りも固まりもしないのはおかしい」と作者のミスが指摘されていましたが,このドラマでは同じプロットがそのまま使われておりながら,そのタイムラグに関しては全く問題にされていませんでした.ストーリーの方はますます原作にないエピソードが展開され,原作の長男コンラッド・ハッタ―に該当する江原真二郎さん扮する矢ヶ崎公吉が逮捕され,もとは百合付きの看護婦で公吉の妻となった原作ではミス・スミス看護婦に該当する夏桂子さん扮する木村よし子(ああ.ややこしい)が発狂して墜落したりと,混沌とした様相となってクライマックスを迎えます.この回,回想シーンで矢ヶ崎菊江役の左幸子さんが登場していて,髪型を変えただけで18・9年前の姿を演じるのはちょっと苦しい感じでしたが,「よござんすか?」の台詞回しは決まってました. |
最終回 |
|
解決編.犯人は原作と同一の人物ですが,その結末はここには書けませんがかなり異なっています.この全6回の連続ドラマを観終わっての感想としては,やはり海外ミステリのドラマ化は難しいという点に尽きます.原作には出て来ない夏目雅子さん演じる佐原清子の存在はドラマ作りの上で必要だったのかもしれませんが,それ以上に違和感を感じたのは八千草薫さん演じる矢ヶ崎節子のキャラクターで,設定がしっかりしてなかったことを覗わせる結果になってしまってます. |
松竹 |
DVD DA-5299 |
CAST |
|
紀子 … | 栗原 小巻 |
敏行 … |
片岡 孝雄 |
恵子 … | 神崎 愛 |
ボブ … | 蟇目 亮 |
智子 … | 松坂 慶子 |
麗子 … | 小川 眞由美 |
美穂子 … | 竹下 景子 |
峰岸 … | 渡瀬 恒彦 |
すみ江 … | 音羽 信子 |
光政 … |
佐分利 信 |
牛山博士 … |
小沢 栄太郎 |
善吉 … | 米倉 斉加年 |
タミ … | 北林 八重 |
柏原署長 … | 滝田 裕介 |
吉川警部 … | 蟹江 敬三 |
橋山判事 … | 稲葉 義男 |
橋山夫人 … | 中村 美代子 |
漁港の女 … | 久保 まづるか |
ビアガーデンの男 … |
石山 雄大 |
試験所の職員 … | 舛田 紀子 |
TV ドラマではなく『Yの悲劇』放映の翌年に公開された日本映画で,同じくエラリー・クイーン原作ミステリの映画化作品ですが,こちらはかなり原作を消化した感じで日本を舞台にしていながらさほどの違和感は感じさせられませんでした.但し,5人の美人女優の共演が売りでしたが,栗原小巻さんと松坂慶子さんに関しては演技が過剰な感じがしてあまり感心しませんでした.小川真由美さんはこの作品で第3回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞と1979年度報知映画賞助演女優賞を獲得した名演技を見せてくださいました. |