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Alcoholism

でらちゃんは,1985年,25歳のときに『アルコール依存症』の診断を受けました.

2006年9月2日に最後の入院,12月25日に退院してからは飲まない生活を継続中です.




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アルコール中毒 社会的人間としての病気
なだ いなだ 著 1966年7月30日 第1刷発行 紀伊國屋書店
 実は性同一性障害者だったでらちゃんは,子供の頃から自分の考え方や生き方を周りから否定されて育ってきたため,いつの間にか自分の人生に対して,漠然とした無力感と不自由さを感じるようになり,自分に残された唯一の自由がお酒を飲む自由だと思うようになりましたが,これはお酒の巧妙さで,実は自由を失っていたことに気づくのは,いわゆる『底つき』を迎えた2006年のことでした.
 心の病気としてのアル中という概念,これは,非常に難しい.私はその本質が,アルコールに対する自由の失われていること,言いかえれば,アルコールにとらわれていることにあると思う.
[本文第1章 アル中とは何か]
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アルコール依存症 あなたの飲み方は大丈夫か
斎藤 学・柳田 知司・島田 一男 編 1979年11月30日 初版第1刷発行 有斐閣
 でらちゃんがまだ学生だった頃発行され,大学生協に山積みになっていたこの本で初めて『アルコール依存症』という病名を知りました.でらちゃん自身自分のお酒に問題があることを自覚していたので早速読んでみたところ思い当たることばかり(笑).でも『アルコール依存症』であることは認めましたが,『アル中』と呼ばれる事には抵抗を感じてました.
 アルコール中毒とは,体外毒であるアルコール類が体内に取りこまれることによって起こる生体の変化をいいます.(中略).その総合的な結果が「酩酊」つまり「急性アルコール中毒」なのです.さらに,こうしたアルコール摂取が頻回にくり返され,生体がエチル・アルコールとその代謝産物を受けつづけたために出てくる「変化」の総体を「慢性アルコール中毒」といいます.(中略).一方,アルコール依存とは,「ある環境」下におかれた「ある人」が,自分の意志でアルコール飲料の急性中毒作用をもとめ,くり返しこれを摂取することを言います.(中略).いずれにせよその本質は,異常な(嗜癖的な)飲酒という「行動表現」なのです.
[本文第3章 近代医療と異常飲酒行動]
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三言でいえば
なだ いなだ 著 1980年12月5日 発行 毎日新聞社
 でらちゃんは,『アル中』という言葉は『気ちがい』,『かたわ』,『おかま』,『おなべ』等の言葉同様,差別用語というより侮蔑的表現として嫌う人も多いので,最近できるだけ使用しないように気をつけようと思っています.でもときどき使っちゃいますけどね.
 アルコール中毒などという病気は,この読んで字のごとく解釈されることで,これまでそれほど誤解されてきたかわからないものの代表だ.
 あまり誤解されることが多いので,最近,専門家の間で,名前を変えようという動きがあり,公式にはアルコール依存という名前が用いられるようになった.しかし,ぼくの考えでは,名前を変えることは新しい誤解をうむだけのことで,無駄である.改めるべきなのは名前ではなく,読んで字のごとく解釈し,それでことを理解したかのように思う悪習の方だからだ.
[本文III ちょっとまじめに―アル中を三言でいうと]
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アルコール中毒 社会的人間としての病気 <改訂版>
なだ いなだ 著 1981年12月25日 第1刷発行 紀伊國屋書店
 でらちゃんがお酒を飲み始めたのは寮生活をしていた中学生の頃で,高校に進学して一人暮らしを始めるとともに習慣的に飲むようになり,この頃すでに若年性アルコール依存症にかかっていた可能性があると,10年後にアルコール依存症の診断を受けたときに指摘されました.大学生になった頃には身体的依存が始まり,社会人になった頃にはアルコール抜きでは何もできない完全な依存症状態でした.
 アル中とは,人間の病気として考える限り,人間のアルコールに対する自由の喪失である.そして,その中には,身体的な病気としてのアル中と,心の病気としてのアル中のふたつが含まれる.心の病気としてのアル中を包むようにして,身体的な病気のアル中がある.
 つまり,アルコールの嗜癖を作ろうとする力と,その嗜癖になることに抵抗する力,それから離脱し,自由を取り戻そうとする力の作用の中でアル中は作られていく.
 それが人間のアル中である.
[本文第1章 アル中とは何か]
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ほんものの酒を! あなたはニセモノを飲んでいる
日本消費者連盟 編著 1982年2月28日 第1版第1刷発行 三一書房
 でらちゃんは1985年に急性肝炎で入院していたのですが,その間も飲酒を続けていたため『アルコール依存症』および『不安神経症』の診断を受け,T医大付属病院神経科,翌1986年5月には当時少なかったアルコール専門病院の国立療養所K病院に入院しました.この本はそれ以前に読んでいましたが, K病院の売店に山積みになっていたのが印象に残っています.
 どれくらい飲むと いったいどれくらい飲んだらアル中になるのでしょうか?
*「俺はアル中だ」と思えば,あなたは「アル中」なのです.
[本文第5章 愛飲篇]
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現代思想 1982年10月号 vol.10-13
特集=アルコール中毒
1982年10月1日 発行 青土社
執筆:大原 健士郎/田所 作太郎/栗原 久/小田 晋/斎藤 学/池上 直己/餅田 彰子/山田 耕一/波田 あい子/喜安 朗/堀内 勝/米倉 育男/別役 実/内田 隆三/服部 銈二郎/多田井 吉之介/竹中 和郎
対談<アルコール中毒の人間学>:なだ いなだ/荻野 恒一
7 酒神バッカスの十階
河野 裕明 著 1983年7月25日 初版発行 河出書房新社
 でらちゃんが国立療養所K病院に入院していた頃,同病院の院長さんをやっていたのがこの先生でした.というわけでこの本に名前が出てくる看護師さんやケースワーカーさんは知っている方多いです.でも,この病院に入院していた頃のでらちゃんは全くお酒やめる気がなかったので,いま思うととても失礼なことしてたと思います.ごめんなさい.
 病院内での断酒は,最低限のルール.
[本文第4章 アルコール依存症の治療]
8 女性とアルコール依存症
斎藤 学 著 1984年8月25日 第1刷発行 海鳴社
 でらちゃんのアルコール依存症が表面化した1985年は1度目の結婚生活が破綻した年,いわゆる『底つき』を迎えた2006年は2度目の結婚生活が破綻した年でした.ああはずかしい.
 ある種の人々は,愛着対象の喪失や対象からの見捨てられ体験に際して飲酒渇望が上昇する.こうした人々は総じて,自立と依存をめぐる葛藤にとらわれている.
[本文第5章 女性が飲む“状況”]

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アルコール依存症の精神病理
斎藤 学 著 1985年6月30日 第1刷発行 金剛出版
 この斎藤学っていう先生,日本におけるアルコール依存症の権威みたいな人らしく,何冊も依存症関連の本を出していますが,書かれた年代によって結構ころころ考え方が変わっていたりして面白いのです.これはその時代時代におけるアルコール依存症に関する精神病学界の考え方の変遷を示しているような感じでもあるのです.
 アルコール依存は飲酒への動機づけ(精神依存)という飲酒者の心理的側面が,急性アルコール中毒(酩酊)という身体上の変化を生み,この変化がまた飲酒動機づけに影響を与え,やがてより恒常的な身体的変化(身体依存)を生じるという一連の心身相関現象である.
[本文第1章 飲酒者の自我における対象関係の水準]
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飲酒症 「アルコール中毒」の本態
田中 孝雄 著 1986年5月25日 発行 中央公論社
 "Alcoholism"(アルコール症)の訳語として,あえて『アルコール依存症』ではなく『アルコール中毒』を使用しています.でらちゃんは個人的には『アルコール中毒』という言葉は病気の本質を表現してはいないし,また『アルコール依存症』という言葉も病気の本質が『依存』のみにあるような誤った印象を与えられるのであまり好きではないのですが,入院した2つのアルコール病院の特に年輩の患者さんには,「自分はアル中であることは認めるが,アルコール依存症と言われるのは我慢できない」という人が多かったように記憶しています.でらちゃんはどちらかというと,アル中と言われるよりはアルコール依存症と言われる方がまだましのような気がしていたのですが,やはり,年輩の方には『精神病=狂人』という図式があり,精神病者と言われるのは耐えられなかったのではないかと推測してます.また,著者はいわゆるアル中現象の本態は飲酒システムに生じたカタストロフィーであることを指摘し,新たに『飲酒症』と呼ぶことを提案し,以下の定義を行っていますが,これはアルコホリズムのほんの一部の症例に限定してしまっていると思うので賛成できません.
 飲酒症とは大量飲酒者の飲酒行動に急激に生ずる,徹底して飲むことと全く飲まないことを数日ごとのサイクルで繰り返えす変質した飲酒行動である.
[本文第7章 飲酒症―飲酒のカタストロフィー]
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アルコール依存症に関する12章 自立へ ステップ・バイ・ステップ
斎藤 学 編 1986年11月30日 発行 初版第1刷発行 有斐閣
 依存症者にとってアルコールは単なる引き金にすぎず,アルコール依存症はその人の考え方・生き方を徹底的におかしくする病気であるのですが,決して完全に治癒することはないので,回復の道を進んでいても,この傾向は依然として自分の中に残っているのです.
 飲んでいたときの典型的な考え方をいくつか挙げてみます.一度思いたったら.もう後戻りはできずにただ無我夢中になってつっ走るだけ.物事は白と黒だけしかなく,灰色で我慢しなければならない状況になると,ただ不安で落ち着きがなくなってしまう.完全主義で原則至上主義で,極めて高い自我理想をかかげている.頑固で融通がきかない反面,強い者にはいたって弱く,権威主義的傾向がある.他人に対しては,過剰なほど気を回し,自己卑下的態度をとるが,何か事があると他罰的になる.などなど.
[本文第10章 職場復帰と地域社会復帰]
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ヘルスクエスト選書3 アルコール依存症とは何か
斎藤 学 著 1988年2月15日 第1刷発行 IFF 出版部 ヘルスワーク協会
 後にお酒を飲まなくなってから解ったことですが,アルコールに対するソブラエティ(覚醒)よりも感情のソブラエティの方がよっぽど難しいと思います.特にでらちゃんの怒りは恨みに変わりやすいので,タチが悪いです.
 怒りは生理的なものですが,恨みは病理的な感情です.怒りは一時的なものですが,恨みは持続して,その人の生活を支配します.怒りは相手の愛を求めますが,恨みは相手の破壊を求めます.
[本文第1章 アルコール依存症とはなにか 怒りと恨み]
 アル中を経験したみなさんは世間の人々より一歩早く,ソブライアティ(覚醒した)の生活に入れて幸運であると思います.
[本文第1章 アルコール依存症とはなにか シラフの生活]
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アル中地獄(クライシス) アルコール依存症の不思議なデフォルメ世界
邦山 照彦 著 1989年3月1日 初版発行 第三書館
 患者の立場から『アルコール依存症』について書かれた本は実際のところ凄く少なかったのですが,それだけに読んだ後,大きな希望を与えられた感じががしました.この作者は精神病院入院36回の日本最多記録を持つ『日本一のアル中男』らしいです.ちなみにでらちゃんの入院歴は6回です(恥).
 アル中は決して不治の病ではない.生涯を賭けた戦いではあるが,勝利は約束されている.そのためには酒を飲んで酩酊を学習したのに対して,酒を飲まないでそれ以上の享楽と充実感を学習しなければならない.
[本文第2章 彷徨えるアル中同志の面々]
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アルコール依存症を知る! 回復のためのテキスト
森岡 洋 著 1989年3月20日 初版発行 アルコール薬物問題全国市民教会(ASK)
 25歳のときに『アルコール依存症』の診断を受けたでらちゃんは,病気から回復するためにお酒を止めるのではなく,回復しなくてもいいから一生飲み続ける道を選択し,以後長い隠れアル中生活を続けることになりました.
 アルコール依存症は意志が弱くなるのではなく,飲酒欲求が極端に強くなる病気である.
[本文第7章 自分を知る1―欲求と不安―]
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HONE DOCTOR BOOKS アルコール依存症 あなたのその飲み方が危ない
斎藤 学 監修 1989年8月3日 第1刷発行 立風書房
 現在では,アルコール依存症は病気であって,本人の意志や道徳性とは無関係であるというのが通説となっていますが,でらちゃんが診断を受けた1980年代頃はまだ,アルコール依存症は本人の意志の問題であるという片付けられ方をしていて,まともな治療をしている病院も少なく,回復を遅らせる一因となっていました.この斎藤学っていう先生,やっぱりちょっとヘンだとでらちゃんは思います.
 アルコール依存症は,本人の意志の問題です.
[本文A章 アルコール依存症とはどんな病気?]
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夫婦で読むテキスト あなたが変わる 家族が変わる アルコール依存症からの回復
猪野 亜朗 著 1992年3月10日 第1刷発行 アルコール薬物問題全国市民教会(ASK)
 でらちゃんの発病した1985年は最初の結婚生活が破綻した年,底をついた2006年は2度目の結婚生活が破綻した時で,でらちゃんのアルコホリズムはセクシュアリティーの問題と密接な関連があることがわかるわけですが,結局家族をなくしてひとりになったしまったでらちゃんは,自助グループに繋がることによって回復が始まりました.
 自助グループは「自分を映す鏡」です.他人の体験を聞き,自分の体験を語ることで自分を客観化したり.自分の話に対する他人の反応を見ながら「自分をモニターし,チェックする」ことができます.それが行動や生き方の修正につながるのです.
[本文第3章 断酒が始まったとき知っておくこと]

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新装版 アルコール中毒 物語風
なだ いなだ 著 1992年9月28日 第1刷発行 五月書房
 精神病院への入院には最初はもちろんとても抵抗がありましたが,いざ入院してしまうと非常に便利なところで,入院中に身体的には治療によって回復させてくれるし,社会的には入院期間にほとぼりがさめるし,経済的には保険や傷病手当等で下手すると働いているときよりも収入があったりするので,そういうわけで今度は病院依存という新たなアディクションが身についてしまったりもするのです.
 アルコールが切れてきた時に,幻覚症状をともなった禁断症状(正確には離脱症状)を出す.この期間は生命の危険もあるし,また妄想に導かれて他人に危害を加える危険もある.だから入院が適当という主張には説得力があった.しかし,その禁断症状の期間は長く続かず,数日間でアルコールが切れてしまえば,あとはただの人間である.気がつくと精神病の患者のまっ只中だ.彼らには,ほかの精神科患者と自分たちとは違うという意識が生まれる.
[本文第1章 アルコール中毒との出会い]
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テキストブック アルコール依存症
榎本 稔・安田 美弥子 編 1996年1月15日 第1刷発行 太陽出版
 でらちゃんは2006年9月2日,それまで繋がっていた普通の(?)精神病院を追い出されて,富士山の麓にあるアルコール・薬物専門のS病院に転院し,主治医から性同一性障害の合併症であるとの診断を受け,それが最後の入院となりました.12月25日に退院してからは自助グループに繋がると共に,性同一性障害の治療を開始し,以来お酒のない生活を続けています.この本は,S病院でテキストとして使われていました.
 「酒さえ飲まなければよい」は誤り
飲酒だけが問題ではない.もっと大きな問題があったはずです.
[本文第12章 心の治療]
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やさしいアメリカ人 ミニー神父とアルコール依存症者たち
宮下 忠子 著 1996年1月25日 初版第1刷発行 東峰出版
 AA(アルコホーリクス・アノニマス)のプログラムを日本に導入したミニー神父の思い出の記.でらちゃんは,1986年にK病院,2006年にS病院と,2度アルコール専門病院に入院,AAのメッセージを受け取りましたが,1度目は自身がお酒をやめる気がなかったので全く無関心だったのに対し,2度目は底をついて何とかしてお酒をやめたいと思っていたので,メッセンジャーのスピーチにとても共感することができました.
 自分自身がアルコール依存症の経験がなかったら,恐らくこういう仕事やっていなかったと思います.
[付章 講演:日本と私と山谷マック/J・ミニー]
20 りぶらりあ選書 アルコール中毒の歴史
ジャン=シャルル・スールニア 著 本多 文彦 監訳 星野 徹・江島 宏隆 訳
1996年9月30日 初版第1刷発行 法政大学出版局
 美徳よりも悪徳に魅かれることの多かったでらちゃんは,長い目で見た自殺をしようとしていたのかもしれません.
 もしアルコール飲料の摂取を悪徳として看做すならば,美徳などはほとんど魅力がないように思われる.もし飲みたいという欲求を病気だと思うならば,健康を求める欲求は人間を完全に満足させるのに十分だとは思われない.
[本文第2部 アルコール中毒―悪徳か病気か 第8章 行動する美徳]

 数多くのアルコール中毒の精神分析的解釈の中から,ある患者たちが一貫していると同時に矛盾している欲動に動かされているのである,ということを考慮しよう.よりよい人生のために,患者は死ぬまで飲み続ける用意がある.より多くの生への欲動が,ほとんど死への欲動と言えるようなものに近接している.中毒の危険を知っていながら度はずれに飲みたがる「ことの陰には,しばしばアルコール中毒になる前から存在していたが,アルコールのせいで初めて露わになった自殺への願望が隠されているのである.
[本文第3部 現代のアルコール中毒療法学 第9章 いわゆる「アルコール中毒者」の臨床医学と生物学]
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メディコピア35 アルコール ~上手につきあうために~
山中 學・亀田 治男・川合 忠・石井 裕正 編 1997年2月5日 初版発行 富士レビオ
 性同一性障害の診断を受けたでらちゃんは,アルコール依存症の原因となった自分の生き辛さが,本当は女性でありながら男性として生きることを周囲から強要されていたことにあったことに気づき,今後は女性として生きていく決心ができたため,以来深刻な飲酒欲求に襲われることなく,飲まない生活を続けさせていただいています.でらちゃんは女性として生きて行ける限り,お酒は必要ないのです.
 近年の女性の飲酒行動やアルコール依存症者の変化は,飲酒に関することのみから判断するのではなく,社会現象として“家族”“女性”“母”“仕事”などをめぐる概念が大きく変わり,女性の生き方そのものが大変革を遂げてきたことと同期して変化してきたのである.
[本文第2章 酒と社会]
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アルコール・ラヴァー ある女性アルコール依存症者の告白
DRINKING : A LOVE STORY
キャロライン・ナップ 著 小西 敦子 訳 1997年6月30日 初版発行 早川書房
 この本の作者はでらちゃんと同じ年に生まれて,同じ頃父親を失っているので,親近感を持っておりましたが,一読してみて,あまりにもでらちゃんと同じようなことをやっているので吃驚しました.やっぱりでらちゃんも女性のアル中の典型的な生き方してたのね.
 アルコール症者は一人で飲むことを好む.本質的に飲酒は外の世界から隠れるという意味をもち,ある面ではドリンカー本人からも隠れるという性質をもつ.
[本文第7章 液体の鎧と“にせもの症候群”]
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アルコール問答
なだ いなだ 著 1998年3月20日 第1刷発行 岩波書店
 国立療養所K病院でアルコール専門治療に従事した堀内秀医師=作家なだ・いなだ氏著.医師と患者のカウンセリングを通して,アルコール治療がわかり易く書かれていますが,これは,患者がその飲酒によってまだ仕事も家族も失っていない,比較的軽症のケースであることに留意する必要があると思います.深刻なアルコール依存症患者にとっては,患者の意志の問題など云々している場合ではないのです.
 アルコール中毒の患者は意志が弱いので,治療はその意志を強く鍛えることにある,と考えている人も多い.だが,それは正しくない.たとえ,意志が弱いのが事実だとしても,意志など一日で強く鍛え直すことなどできない.むしろ意志が弱くても,酒をやめていけるような方法を考えねばならない.
[本文第2章 意志か意地か]
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生まれかわるまで -摂食障害とアルコール依存症からの回復記-
尾崎 弥生 著 2000年4月25日 初版第1刷発行 星和書店
 でらちゃんもアルコール依存症の合併症として摂食障害持っていましたが,この本の著者のような過食嘔吐ではなく拒食症だったので,最初に急性肝炎で入院したとき,身長168cm に対して体重が42kg まで減少してしまっていました.また,睡眠障害も持っていたので,長い間繋がっていた地元の普通の(?)精神病院では,入院中,睡眠薬・精神安定剤・向精神薬等の薬漬けにされていました.
 「精神安定剤をね,簡単に出す医者が多いんだけど,あれはね人をだめにする薬なの.アルコール依存症とかで暴れる人なんかに飲ませて,眠らせる薬なのよ.だから普通の人が飲めば眠いし何もしたくなくなるわよ」
[本文第2章 自覚から奈落の底へ]



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ともにつくる物語 アルコール依存症回復女性とフェミニストカウンセラーとの対話
井上 摩耶子 著/松下 美江子 語り 2000年9月15日 第1刷発行 ユック舎
 アルコール依存症回復女性とフェミニスト・カウンセラーとの対話を通じて,とくに依存症女性の回復の難しさについての考察がなされています.但し,でらちゃんの周囲を見回す限り,一旦回復への道に入った場合,男性より女性の方が回復は早いような気がしてます.
第1部 松下美江子物語
第2部 フェミニストカウンセリングの視点から
 自分が是としない外界や社会に適応することは,精神的健康をもたらすという意味での適応行動とはいえない.むしろ,確信犯として反逆することのほうが精神的健康につながる.心理学における適応概念には,このポイントを説明できない根本的な弱味がある.
[第2部―I 女性とアルコール依存症]
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ホーム・メディカ安心ガイド アルコール依存症 治療・回復の手引き
高木 敏・猪野 亜朗 監修 2002年6月20日 初版第1刷発行 小学館
 でらちゃんは2006年12月25日の最後の退院とともに自助グループにつながって以来,どういうわけかお酒が止まっていますが,いわゆる『断酒』をしているわけではありません.飲みたくないから飲んでいないだけです.アル中が集まって酒の話をしているミーティングに出席していると,どういうわけか飲酒欲求が取り除かれていくのです.不思議です?
 「ミーティング出席は,人生最高の贅沢だ!」
[本文第7章 飲まずに送れるハッピーライフ ]
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読本アルコール依存症 アルコール依存症の治療と回復 ―慈友クリニックの実践―
新貝 憲利 監修/世良 守行・米 沢宏 編著 2002年7月10日 改訂新版第1刷発行 東峰書房
 病院依存していたでらちゃんは,1985年にT医大付属病院神経科,1986年に国立療養所K病院,1987年・2000年・2005年に地元のいわゆる普通の精神病院,2006年にS病院と6回の入院をしましたが,クリニック受診や通院治療の経験はありません.ただ言えることは,普通の精神病院の中には,アルコール治療に関する知識が全くないため,ほとんど治療も行わず患者に対して精神論を振り回したり,いたずらに長い期間入院させるだけのところもありますので,治療に関してはまず専門医のいる病院・クリニックへの受診をお勧めします.
 アルコール依存症者には,今までどおりの生活を続けながら治療を受けた方が,効果が上がる人たちが大勢いる.そうした人たちは,クリニックで知識を学び地域でその実践を試みることで効果的な回復が期待される.つまり,アルコール依存症の回復は,アルコールが身近にある場所――地域で断酒を継続することが大切である.
[本文第1章 なぜクリニックなのか]
 アルコールをやめるだけでは問題は解決しない.アルコール依存症者は,素面で生きられなかったところに問題があったのだと思う.だから,その生き方を変えて成長していくことが大切となる.断酒は新しい生き方をするための手段にすぎない.
[本文第4章 アルコール依存症とミーティング]
 アルコ-ル依存症からの回復とは昔の自分に帰ることではない.新しい自分を発見し,必ず“以前以上の素晴らしい人”となる.回復とは成長し新しい自分に生まれ変わっていくことなのである.
[本文第11章 どうやって回復を押し進めるか]
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失踪日記 DISAPPEARANCE DIARY
吾妻 ひでお 著 2005年3月8日 第1刷発行 イースト・プレス
 不条理漫画・ロリコン漫画の第1人者として名高い著者が,自身の2度の失踪・アル中・入院体験を綴ったノン・フィクション.『アル中病棟』に描かれているアル中体験・強制入院・自助グループ等については,当然の事ながら描写が柔らかいのにはちょっと不満が残りますが,それはアル中のみが体験すれば良いことなので,やはりこの程度が妥当なんでしょうね?
 「今のがアル中の禁断症状ってやつかなー」 … 専門用語では離脱という
 「たたた大変だ こんな目には二度とあいたくない 今後は酒を切らさないようにしなくては」 … やめようとは思わないのか! 
[『アル中病棟』―アル中時代2]
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逃亡日記 ESCAPE DIARY
吾妻 ひでお 著 2007年1月30日 第1刷発行 日本文芸社
 第34回日本漫画家協会賞大賞ほか数々の賞を受賞した『失踪日記』の,本人によれば,「別冊漫画ゴラクに連載してたインタビューコラムにおまけをつけ適当にまとめた」便乗本(笑).
 ――『あなたはアル中です』って診断されることがいやだった?
 そうだろうね.まあ,飲めなくなっちゃう.飲まないと幻覚も見るし,幻覚が怖いってのが一番あるね.それまでは薬で抑えられるって思ってなかったから.
[Chapter 2 アル中時代]
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酒害者と回復活動
松下 武志 著 2007年3月20日 第1版第1刷発行 學文社
 でらちゃんの生きづらさは,社会の中での「男性役割」を要求されていたことにあったのですが,それは「女性役割」を演じることのできる家庭・家族の不在でもありました.それはでらちゃんにとっては,家庭・家族というものに対する「恨み」を引き起こし,性依存を呼び起こす原因にもなりました.
 女性飲酒者が急速にアルコール依存症に陥っていくのは,同じ常習飲酒者でも,男性が外で飲むことが多いのに対して,女性は家庭内での個人的飲酒が多い.この個人的飲酒はコントロールしにくく,そのためにアルコールへの依存が生じやすいのだという.
[本文第3章 現代日本におけるアメシスト研究の動向]
 女性が家庭や家族の中で「女性役割」を上手にこなせないために生じる不快感,苦痛感,喪失感等を緩和しようとして,精神安定剤のようにアルコーるを常用し,精神的・肉体的にそれに依存するようになるパターンがみてとれる.(中略)したがって,アメシストがアルコール依存症から立ち直るためには,単に「女性役割」だけの回復を目指すのではなく,そうした回復努力を,より広い観点に立って,男女の性別役割を越えた人間としての役割回復,およに人間としての「自立」追求の試みの中の一部として位置づけておくことが大切なのである.
[本文第5章 酒害者における「甘え」と「自立」]
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今日も飲み続けた私 プチ・アルコール依存症からの生還
衿野 未矢 著 2008年7月20日 第1刷発行 講談社
 『プチ・アルコール依存症』いわゆる『アル中予備軍』を自覚した筆者が『プチ禁酒』によって,飲み続けるという.... 確かにこういう事ができるって事は『アルコール依存症』ではないって事でしょうね? こ~ゆ~事ができないからみんなアル中になっちゃうんだよ.
 やがて気づいたのは,お酒そのものを欲しているのではなく,「飲みたいという欲求を満たしたときに得られる満足感」を得たいのではないかということだ.しかし,キャパシティを超えた量を摂取したところで,「欲求を充足させた快楽を味わいたいという欲求は果てしがない.だから,どれほど飲んでも「永遠に飲み足りない」のである.
[本文第4章 「適正飲酒」がしたい!]
32 通院でケアする!アルコール依存症の早期発見とケアの仕方
世良 守行 著 2010年3月25日 初版第1刷発行 日東書院
 でらちゃんは最終的に底をついたときに,『性同一性障害』という自分の生きづらさの原因が明らかになったので,自助グループで自分のアルコールの問題と共にセクシュアリティの問題に取り組むことができるようになり,『性同一性障害』の治療を開始することができました.
 「生きづらさ」を解決してこそ回復だといえる.
[本文第6章 アルコール依存症からの回復]



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失踪入門 人生はやりなおせる!
吾妻 ひでお/中塚 圭骸 著 2010年3月31日 第1刷発行 徳間書店
 どちらかと言うと,われらがアル中吾妻先生よりジャンキー圭骸氏の方が目立っている感じですが,でらちゃんの経験としてもアルコールとハルシオンの相性は最悪で,依存性はそれほどでもありませんが,ブラックアウト時にかなり恥ずかしい思いをすることになります.
圭骸「死と発狂,どちらが怖いですか? 我々姉弟は発狂ですけどね」
[第16回 2007年12月]
34
西原理恵子×月乃光司のおサケについてのマジメな話 アルコール依存症という病気
西原 理恵子/月乃 光司 著 2010年7月6日 初版第1刷発行 小学館
 でらちゃんが最終的に底をついて,回復への道を歩きはじめることができたのは,残った家族がさっさとでらちゃんを見放してくれたからでした.ほっといてくれてありがとう.
 依存症に対する家族の基本的なスタンスは,何もしないこと.
[本文第2章 わたしのアルコール依存症カルテ 過去・現在・未来/月乃光司]
 この病気は,依存していた人に恨みが出ることを後になって知りました.
 女性の場合,生きづらさを紛らわすため,つらさから逃避するために飲み始めて,いつしか病気に至るケースが多いそうです.
[本文第3章 対談『アルコール依存症という病気』より/月乃光司]
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アルコール依存症は治らない 《治らない》の意味
なだ いなだ/吉岡 隆 著 2013年3月10日 初版第1刷発行 中央法規出版
 ここに紹介している本の何冊かはでらちゃんの母親にも読ませたのですが,この本が一番わかりやすかったそうです.
第1章 問答風スーパービジョン(なだ いなだ×吉岡 隆)
第2章 依存症から見えてきたこと(吉岡隆)―もしかしたら究極の援助とは「援助しない援助」なのかもしれない.
第3章 常識を治療する(なだ いなだ)―古くなって,改めなければならない常識が,偏見と呼ばれるだけなのだ.
36 実録!アルコール白書
吾妻 ひでお/西原 理恵子 著 2013年3月31日 第1刷発行 徳間書店
 アル中本人とアル中の家族の赤裸々な対談を収録.でらちゃん家では,2006年12月25日にでらちゃんが最後の退院をして自助グループにつながり,依存症からの回復と並行して性同一性障害の治療を行い,性別適合手術を終了した翌年,家を出ていた母親が猫を連れて帰ってきました.
 アルコール依存症という病気の最大の薬は,家族や当事者が,つながりを持つ場所を見つけること,それに尽きるのです.
[当事者解説/月乃 光司]
37
失踪日記2 アル中病棟
吾妻 ひでお 著 2013年10月10日 第1刷発行 イースト・プレス
 2006年12月25日,アルコール専門のS病院を退院したでらちゃんも,およそ30年ぶりに素面の生活を始めたわけですが,やはりものすごく不安だったので,病院に迎えに来てくれた家族にそのまま自助グループのミーティングに連れて行ってもらいました.以来,スリップも入院もしていません.
 素面って不思議だ……
[アル棟11 素面の我が家]
 不安だなー 大丈夫なのか? 俺……
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アル中ワンダーランド
まんしゅう きつこ 著 2015年4月9日 初版第1刷発行 扶桑社
 仲井戸麗市さん流に言うと,でらちゃんはアル中さんや性同一性障害者は好きですが,それを売り物にする人はそうでもないので,最近この手の作品には食傷気味なのであります.あと巻末に掲載されている鼎談を読むと,この方どうもアルコール依存症という病気を甘く見ているような気がして共感できませんでした.もうそろそろアル本読むのやめよっと.