Lesbianism 2

文 学



1
耽綺派中篇集 レスビアンの娼婦
北林 透馬 著 1955年6月25日 発行 あまとりあ社
 『レスビアンの娼婦』『しのび逢い』『やっぱり男の方がいい』『私は恋人を殺した』『混血娼婦リザの生涯』の5篇収録.
2
雌の断層
群 順史 著 1971年3月5日 発行 青樹社
 レズビアニズムを肯定的に描いた官能小説ですが,やはり『変態』,『異常』,『倒錯』といった表現が多々見られます.この時代仕方のなかったことなのでしょうが,それにしてもね....
 女同志の倒錯した性!
 レスビアンの異常な陶酔の中で,男への嫌悪がかき消える.倒錯したセックスの中で,彼女たちの不安定で不自然な苛立ちを大胆に描いた長編力作.

3

黒百合の棺 レズビアン殺人事件

山村 美紗 著 1984年7月25日 初版1刷発行 光文社

 女流推理小説の第一人者によるレズビアニズム復讐物語.殺人事件の真相については未消化な感がしますが,ストーリーの中核をなしているのはヒロインの復讐計画とその実践なので,あまり気にならないのです.
 さて,男と女,あなたはどちらが怖いと思いますか?
[著者のことば]

4

世界詩人叢書3 わたしの本当の性へのオード アメリカ・レズビアン詩集

石原 武 編・訳 1994年9月20日 初版発行 青樹社

 詩集です.それ以上の何ものでもありませんが,一編一編ががとても美しい珠玉の作品集です.
 いつの世にもレスビアンは存在し,かの女たちの人間的営為は,疎外と抑圧のゆえに,一層熱く真実のものになっている.その肉声を文学から排除するのが当然とする同性愛嫌悪の偏狭は許されないだろう.異性愛の正統性の枠組みとその権威を否定することで,レスビアン詩がいかに,歴史の陰の部分で虐げられてきた異教的人間の尊厳に,光を当てることができるか,これこそ文学的な余りにも文学的な仕事とはいえないか.
[訳者あとがき アメリカのレスビアン詩 ―異性愛の権威に抗して―]

5

包帯をまいたイブ

冨士本 由紀 著 1995年1月10日 第1刷発行 集英社

 第7回小説すばる新人賞受賞作.旧題・『アルテミスたちの事情』.
 生理的な文章と言っても,ほとんど伝達は不可能だろうが,作者の整理の中から滲み出して来たような文章に遭遇して,―私には書けない―と,何度か舌を巻いたのは本当である.
[選考委員・阿刀田 高]

6

女たちの時間 レズビアン短編小説集

利根川 真紀 翻訳・解説 1998年12月15日 初版第1刷発行 平凡社

 収録されている作品の時代のせいか,翻訳のせいか,いまひとつピンとこないというか,わかりにくいというか.... でらちゃんの抱いているレズビアンのイメージとはちょっとかけ離れているような.... これは多分,このアンソロジーにおけるレズビアンのカテゴリーがかなり限定されたものであるためであると思えます.
 今日レズビアンの定義はもちろん基本的に自己申告制であり,性愛面を重視する人もいればしない人もいるなど,多様な展開を遂げてきている.最近のレズビアン・アンソロジー間でも,その定義に共通の了解があるわけでなく,収録の基準となるのが作者自身の同性愛傾向なのか,それとも作品の傾向なのかなどの点でも,個々のアンソロジーは異なる立場を取っている.(中略)しかし今回のアンソロジーでは,先に述べたように,女性同志の愛情が自意識的なもの,「口に出せないもの」であった19世紀末から20世紀前半の時期に作品を限定することにした.
[解説 - 本書におけるレズビアンの定義]

7

レズビアン日記 Voila ほらここにある

ニコル・プロサール 著 平林美都子/ヘヴァリー・カレン 訳 2000年8月30日 初版発行 国文社

 貴女を愛することは休息することではない.貴女を愛するというのは,緊張と集中心を生み出す感覚を引き起こす多義的な言葉だ.貴女を愛することは書くことだ.上の空でのんきにやれることではない.貴女を愛することと書くことは同時に日常である.これらは二つの分離できない言葉だ.貴女の愛とか私の愛が霊感の源になるというのではなくて,貴女を愛することと書くことは同じ知的機能.同じ欲望の回路に属するからだ.同じ経済.貴女を愛することは,私のあるがままのすべての皮膚で,言葉の斬新奇抜さと反復の中で考えることである. Je t'aime(貴女を愛している)は終章でも序章でも私を捕らえて話さない.
[日記4 パリ,9頁,1983年4月15日]
 生来話好きでない人にとって,日記とは存在の一番底の引き出しである.それがわかっていたから,その痕跡が残されてしまうような打ち明け告白する場所や瞬間や本の箇所をいつも避けてきた.私は遅発爆弾のように本旨知的なことを話したいのだ.詩の中以外のところで,本質的なことを話したいのだ.詩の中以外のところで,本質的なことを誰かに打ち明
けることは正気ではできない.最も親密な関係であっても,誰にも引き出しの底を開ける権利などないのだ.
[日記5 注26]

8

ジゴロ

中山 可穂 著 2003年7月10日 第1刷発行 集英社

 『女を愛する女たちの甘く残酷な恋の物語』連作短編5作を収録.でらちゃん,実はトランス後は本離れしていたんですが,久しぶりに面白く,読みごたえのある小説読んだ気がしました.特に第4話の『恋路すすむ』は衝撃的でした.
「たったひとりの女を愛し続けるために,百人の女と寝ることもある」
「ジゴロの屁理屈だ」
[恋路すすむ]

9

一億の性

武田 敏史 著 2004年9月5日 初版第1刷発行 新風舎

 レズビアンの主人公を通して語られるセクシュアル・マイノリティの物語.マイノリティに対する差別やいじめの問題を真正面から取り上げていて,でらちゃんは好感が持てました.
「数が少ないから辛辣に扱われるなんて,本来と逆じゃない.私たちは貴重な存在なんだから,丁重に扱われるべきなんだよ」
[エピローグ―セクシャルマイノリティの誇りを持って]