Sexuality



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シーメール・レッスン SHEMALE LESSON

松本 富雄 著 1994年6月9日 第1刷発行 情報センター出版局

 当事者ではありませんが,バイ・セクシュアルの筆者から見たトランスジェンダーの姿がよく描かれています.前世紀末という時代に書かれた文献であるため,内容の古さや,現在では異なった解釈がされるべき点など多々見受けられますが,この時代にもこういう進歩的な考え方をしている人がいたという事実に,少なからず勇気を与えられました.
 だが,その時代の到来を待たずとも,あなたはすでに自由なのだ.問題は,第一歩を踏み出すかどうかだ.あなたの内的欲求に,あなたが素直になれるかどうかということだ.それは,自分を自分のものにするということである.社会生活や習慣を越えて,あなた自身に帰ろう.他人や社会に左右される人生なんてつまらないではないか.
 いまこそ,こう問いかけるべきだ.
「わたしは,本当にわたしなのか」と.
【本文 PART5 快楽中枢と世紀末の夜明け】

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性の誤解 Sexual Cross  性転換―男の体を持った女

川添 恵子 著 1997年8月7日 初版第1刷発行 恒友出版

 こちらも当事者の著作物ではありませんが,女性になりたかった中国人男性に密着取材したスピリチュアル・レポートです.もっとも多く誤解されていることなのですが,いわゆるニューハーフと呼ばれる人たちと,トランスジェンダー特に性同一性障害者とは全く違うのです.
 人間は,自分自身の感覚に対してすら,絶対という言葉は通用しない.未知な自分を体全体で抱えている.
 だから,性の誤解もあるかも知れない.
【本文 第6章 性転換願望の行方】

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性同一性障害はオモシロイ 性別って変えられるんだヨ

佐倉 智美 著 1999年7月20日 第1版第1刷発行 現代書館

 この方はでらちゃんと同じ GID MtF で,セクシュアル・オリエンテーションも女性指向だそうですが,でらちゃんと違ってノンホル・ノンオペの,狭義のトランスジェンダーの生き方をされています.でらちゃんも当初は手術までは考えていませんでしたし,3度目の結婚をするつもりでつき合っている相手の反対もあって,ホルモン注射も行っていませんでした.しかしながら,クリニックでのカウンセリングを通じて,やはり自分は心身共に女性として生きていきたいと思うようになり(トランスセクシュアル化),彼女とはお別れしてホルモン治療を開始し,手術を受ける決心をして実行に移しました.
 しかし,私の場合は性的指向は女性を向いていたため,思春期時点では,男友達とほぼ異性に対する話題は一致,単に「もう少し男らしくなりたい」という願望が喚起されたに過ぎなかった.そうして結局,自分の性別が“肉体性別”とは異なり「女」であると考えたときだけ,すべてのつじつまが合うと気づくまでに,三十年以上要したのだった.
【本文第2章 驚きの性別転換生活】

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女が少年だったころ ある性同一性障害者の少年時代

佐倉 智美 著 2002年6月25日初版第1刷発行 作品社

 でらちゃんもやはりこどもの頃から周りの男の子たちの行動や考え方が理解できないことが多かったのですが,その頃はたぶん自分がおかしいと思っていましたので,だんだん自己を表現することをおさえるようになり,他人の顔色を窺って生きるようになってしまいました

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女子高生になれなかった少年 ある性同一性障害者の青春時代

佐倉 智美 著 2003年12月11日第1刷発行 青弓社

 でらちゃんは,中学・高校は男子校,大学は法学部の男子のみのクラスだったので,この作者のような経験は全くしなかったのですが,男性の中で自分のセクシュアリティに違和感を感じるのと,女性との接触がある状況で感じるのとでは,どちらが苦しいか,疑問です.

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明るいトランスジェンダー生活

佐倉 智美 著 2004年12月10日 初版第1刷発行 トランスビュー

 で,この方の場合は,身体は男性のまま,社会的な性別を女性として生きてゆくトランスジェンダーとしての生き方を選択されたようですが,でらちゃんの場合は,それでは飽き足らず,手術を受けて心身共に女性として生きてゆくトランスセクシュアルとしての生き方を選択せざるを得ませんでした.
 ただ,性別を変えて生きることが,かくも大げさな話になってしまうのも,いかがなものだろうか.べつに私は「女に」なりたかったわけではない.自分がこうありたいと思う「自分」を望んだだけなのだ,と,今では思える.そもそも人間を「男」「女」に二分し,あらゆる人生の選択が,そのいずれに属するかによって限定されたりしなければ,「性別を変えて生きる」必要もない.なりたい自分になる前に「男」や「女」でなくてはならない,現状こそが理不尽なのである.
【まえがき】

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性同一性障害の社会学

佐倉 智美 著 2006年5月25日 第1版第1刷発行 現代書館

 でらちゃんはジェンダー・アイデンティティが女性であったにも関わらず,セクシュアル・オリエンテーションも女性指向であったために,「男性として」女性のパートナーと2度結婚しましたが,結局「男生として」の自分を要求されることに耐えきれなかったため,結婚生活は破綻してしまいました.でらちゃんは「男性として」女性を愛したかったのではなく,「女性として」女性に愛されたかった,そしてさらに「男性として」女性を愛したことが一度もなかった,ということに気づかされたのは,『性同一性障害』の診断を受け,セクシュアリティに関するカウンセリングを通じてのことでした.
 そもそも“なりたい自分”に「なりたい」,その理由が,「そうでないと社会に認めてもらえないから」のみであるなら,それはやはり社会の方が変わるべきなのである.
【本文第2部 学術的トランスジェンダー項考 - トランスジェンダーと障害学】

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Search〜きみがいた GID(性同一性障害)ふたりの結婚

平安名 祐生・恵 著 2000年10月31日 初版第1刷発行 徳間書店

 この方たちの場合, FtM と MtF のともにヘテロセクシュアル同志のカップルなので,こ〜ゆ〜ことが可能だった訳で,でらちゃんのような MtF レズビアンや FtM ゲイの人の場合は残念ながら無理なのです.




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私の体は神様がイタズラで作ったの? 性同一性障害を超えて

池田 稔 著 2001年10月15日 初版第1刷発行 悠飛社

 この本の著者の池田稔先生は精神科医ではなく泌尿器科のお医者さまで,また書かれたのも21世紀初頭ということもあって,性同一性障害の解釈等,残念ながら現段階ではちょっとおかしな記述もあります.例えば,以下の部分では性同一性障害の要素のひとつとして性指向の問題をあげてしまっていますが,現在では性指向の問題は性同一性障害とは全く無関係であるとされております.
 女装しているときのほうが,自分らしい.セックスの対象として女性を求めていないこと.男性の身体であることに嫌悪していること…….性同一性障害であることは,間違いないようです.
【本文第3章 交錯】

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性別不問.「性同一性障害」という人生

岩村 匠 著 2003年10月30日 初版第1刷発行 成甲書房

 この方の場合は FtM ですが,セクシュアル・オリエンテーションが女性指向という点だけ,でらちゃんと同じです.でらちゃんは女性を対象としたセックス依存を持っていたので,トランスに踏切るためにはかなりの勇気と犠牲を必要としたわけですが,この方の場合はあまり手術を必要としていない感じを受けましたので,多分セックスに対する囚われがほとんどなかったものと思われます.というわけで,でらちゃんとはかなり異質のタイプの GiD ですが,以下の部分では共通していると感じました.
 他の人とは違うのはいけないことだと思い込んでしまったので,他の人と同じふりをした.そうしてみんなと同じであろうとするあまり,自分自身を肯定するどころか否定して,周りの人間の顔色を窺って怯えるように生きるようになったのだ.
【本文第1章 闇・世の中全部が敵だった】

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たったひとつのプレゼント

藤沢 さとみ 著 2005年5月25日 第1刷発行 幻冬舎

 『性同一性障害を克服した著者が,切ない純愛を綴る,自伝的恋愛小説』だそうですが,この作者もでらちゃんと同年生まれということで,親しみを感じさせてもらっています.小説の主人公はでらちゃんと違って,セクシュアル・オリエンテーションは男性指向という設定になっていますが,母親が一番の理解者であったり,就職で苦労して派遣社員をしながら治療を進めたりと,でらちゃんの体験と共通する設定も多かったので,すなおに感情移入できました.

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変えてゆく勇気 「性同一性障害」の私から

上川 あや 著 2007年2月20日 第1刷発行 岩波書店

 「フツウ」とはいったい何だろう? 私は,小さな頃から自分を「フツウ」でないと思い込み,一人思い悩んで生きてきた.おぼろげな記憶まで遡れば,本当に幼い頃から性的な違和感はあったのに,自分が何物者であるか理解できるヒントは何一つ与えられない子ども時代を過ごした.周囲の価値観は「標準的」であることを是とする空気に満ちていて,自分のイレギュラーな部分を肯定的に捉えなおす機会にも長いこと巡り合えなかった.
 「フツウ」とは何だろう? 「当たり前」とは何だろう? 「フツウ」の概念は時代と地域によって大きく異なるものだ.自分が吸い込んだ社会の空気で,安易に多数者を「フツウ」と捉えたり,少数者を「異常」と決めつけることの暴力性に気づいてほしい.
【本文第7章 「フツウ」って何だろう ―寛容な社会とは―】

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わたし,男子校出身です.

椿姫 彩菜 著 2008年6月10日 第1刷発行 ポプラ社

 でらちゃんも,男子校出身です.
 ママ.私を産んでくれて,ありがとう.
【chapter5 はじめまして.有里です ― おわりに】

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14歳のカミングアウト 性同一性障害を乗り越えて

三峰 有生 著 2008年8月6日 第1刷発行 ポプラ社

 この方は FtM で,セクシュアル・オリエンテーションは女性指向,この本を書かれた時はまだ未成年ということなので,ホルモン注射や手術等の身体的治療はまだ行っていないということで,でらちゃんとはかなり違う状況だったわけですが,22の方同様,手術をしなくても女性相手の性を享受できているという点で,何かうらやましい感じもするのです.でらちゃんは逆に,手術をすることで自分自身の性を享受することはできましたが,女性相手の性はほとんど無くしてしまったような感じがしています.ある意味残念なことでしたが,性依存症に罹っていたでらちゃんにとっては,この自己のノンセクシュアル化は,アディクションからの解放でもあったので,自分自身は楽になれて良かったと思ってます.

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Re-born

佐藤 かよ 著 2011年6月23日 第1刷発行 講談社

 この方はでらちゃんと同じ MtF なので,もっとも共感できる部分が多かったです.
 悪いことが起きたらそれは自分にとって必ず意味があるものだと信じている.

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五十六億七千万

麻倉 ケイト 著 2012年9月30日 初版第1刷発行 光文社

 この方はでらちゃんと同じ MtF ですが,セクシュアル・オリエンテーションが男性指向という点だけ異なっています.いろいろな性同一障害者の方の手記を読ませていただいていますが,今のところど〜ゆ〜わけか,でらちゃんと同じように, MtF でセクシュアル・オリエンテーションが女性指向,いわゆる MtF ビアンで,かつ SRS(性別再判定手術)を受けている方の手記には巡り合えないでいます?
 私は子供のころから,自分の本心を人に悟られないように,いつも心に鎧をつけ,仮面をかぶって生きていました.しかし,カミングアウトをしてからは,肩にのしかかった重たい荷物を降ろしたように,とても軽やかな気持ちになったのです.
【はじめに】

 「男っぽい女の子は“ボーイッシュ”と褒められるのに,なんで女っぽい男は気持ち悪がれるのだろう…」
【本文第1章 異変】




57 ジョージと秘密のメリッサ
アレックス・ジーノ 著 島村 浩子 訳 2016年12月 初版第1刷発行 偕成社
 トランスジェンダーの作者による,トランスジェンダーの子の気持ちを描く物語.いいです.
 「親は子どものあり方をコントロールできませんけど,ささえることは,まちがいなくできます.そう思いませんか?」

【本文第10章 変身】