永田 カビ




 さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ
 2016年6月23日 第1刷発行 イースト・プレス
 のちの『レズ風俗ブーム』のきっかけとなったコミック・エッセイ.実は,『レズ風俗』はひとつのモチーフでしかなくて,根底に描かれているのは摂食,抜毛,自傷といったさまざまなアディクションに苦しむ作者の姿です.
 一人>交換日記
 2016年12月15日 初版第1刷発行 小学館
 前作の後日談として,一人暮らしをひとつのきっかけとして,様々なアディクションや他人・家族との交流等,作者がその自己観察・自己発見を描き切ったコミック・エッセイ.これはこれで凄いことで,作者も認識している通り,決してエッセイはフィクションに劣るものではないのです.
 一人>交換日記 2
 2018年2月14日 初版第1刷発行 小学館
 上記作品の続編 + 短編フィクション『チカちゃんの憂鬱』を収録.本編は次作への伏線となっています.
 現実逃避してたらボロボロになった話
 2018年11月16日 第1刷発行 イースト・プレス
 前作後編でアルコール依存になりかかっている描写のあった作者が,ついに急性膵炎+脂肪肝で入院.作品を読んだ限りでは,まだアルコール依存症の診断は受けていないようですが,その予備軍であることは確実です.この時期に飲酒をコントロールしておけば,あとで面倒なことにならずに済むのですが….
 迷走戦士
 2021年2月18日 第1刷発行 双葉社
 この方の恋愛観,家族観,ジェンダー・アイデンティティやセクシュアル・オリエンテーションに関する考え方,かなり極端で一般的には歪んでいるように見られがちですが,私自身としてはすご〜く共感できるのです.特に「自分が自分の事を一番大切にしていたらそれで満足だし何も問題ないのでは…?」,これ真理だと思います.所詮他人との関わり合いなんて不必要なのです.
 膵臓がこわれたら,少し生きやすくなりました.
 2022年12月22日 第1刷発行 イースト・プレス
 今回感心したのは,「『罪悪感』は生きている限り伴う『生命の基本使用料』のようなもの」という一説,依存症になるようなマジメな人が陥りがちの自虐的な発想ですが,かなり正鵠をついている考え方だと思います.