華麗なる少女Comics




ファイヤー!/水野 英子 中央公論社 1988年発行(愛蔵版)
 1969年1月~1971年8月 『月刊セブンティーン』連載.
 この作品に出会ったのは,中学生の頃読んでいた『ミュージック・ライフ』に,おすすめ Rock コミックとして誰かが投稿していた記事を読んだのがきっかけでした.後に,愛蔵版が発行されたので,早速購入して読み返したのですが,1970年頃の Rock Music の持つイメージを適格にとらえていたのには感心しました.結局,少年の音楽と恋への芽生えと破滅を描いたストーリーなのですが,当時, Rock という音楽は破滅の匂いのするアブナイ音楽だった訳で,コマーシャリズムに迎合され市民権を得たことで形骸化してしまった事は,このサイトの "Music" のコーナーでもさんざん書いて来た事ですが,そんな『古き佳き時代』の Rock の持つ魅力を適格に描いた作品だと想います.ストーリーもわかりやすいし,登場人物も主人公からほんの傍役まで個性豊かに描かれ,また特徴を持ったキャラクターで,1人1人が丁寧に描き込まれている感じがいたします.また明らかに実在の Musician をモチーフにしたキャラクターも何人か登場し, Rock ファンとしては楽しく読める作品でした.
ベルサイユのばら/池田 理代子 中央公論社 1987~90年発行(愛蔵版)
 1972年春~1973年秋 『週刊マーガレット』連載.
 あまりにも有名な歴史コミックの大作ですが,当初,少女マンガで歴史物を書くというのは大変な冒険だったらしく,連載を実現するために,難色を示す編集部を説得しなければならなかった,と作者自身が愛蔵版の『まえがき』で書いていますが,結果として空前の大ヒット作となり,宝塚歌劇を始め,アニメ化・映画化もされました.実は,私,この人のあまりにも少女マンガしている,ゴテゴテした絵が少々苦手だったのですが,大学時代に放映されたアニメを見て,原作を読んでみる気になりました.歴史考証的にはおかしな部分も多々ありますが,そこはマンガということで.... たかがマンガ,というなかれ,そのスケールの大きいドラマ性は,十分大人の鑑賞に耐えうるモノだと思います.テレビ・アニメの方は,その主題歌も含めて大好きだったのですが,視聴率が稼げなかったためでしょうか,物語後半がダイジェストみたいになってしまって,残念でした.
エースをねらえ/山本 鈴美香 中央公論社 1989年発行(愛蔵版)
 1973年~1980年 『週刊マーガレット』連載.
 この作品もアニメから入りました.最初に放映されたアニメ『エースをねらえ』は小学生の頃見ていた『アタック No.1』を髣髴とさせるような作品で,よくある少女マンガのスポーツ物みたいな感じで興味も関心もなかったのですが,『ベルサイユのばら』同様やはり大学時代に放映された『新・エースをねらえ』を見て,原作を読んでみる気になりました.ちなみに,この『新・エースをねらえ』は,少女マンガのアニメ化にしては珍しく成功を収めたらしく,続編の『新・エースをねらえ2』も製作・放映されましたが,こちらは,すでに私が社会人になっていたためか,あまり見た事ありません.大学時代は,音楽を離れて,アニメにすっかりハマっていたもんで.この作品,やはり絵柄は苦手だったのですが,主人公・岡ひろみを始めワキ役に至るまで,登場人物のそれぞれが実によく描きこまれており,またストーリーも感動的で,少女マンガを見直すキッカケとなった作品でした.主人公の決め台詞,「ひろみ,負けたくない!」は,ギャグとして使えます.
キャンディ♡キャンディ
/水木 杏子・いがらし ゆみこ
中央公論社 1991年発行(愛蔵版)
 1975年~1979年 『なかよし』連載.
 やはり大学生の頃アニメが放映され,大ヒットした作品ですが,のちに原作者の水木さんと作画のいがらしさんがキャラクターの権利をめぐって大ゲンカしたため作品の入手が困難となり,この愛蔵版もこのページの中では最後に入手しました.入手後すぐにストーリーの面白さに休むことも忘れて一気に読むことができたのは,やはり原作がしっかりしていたからであると思いました.



はいからさんが通る/大和 和紀 講談社 1975~77年発行
 1975年~1977年 『週刊少女フレンド』連載.
 この作品は,高校時代にマンガ・アニメおたくの友人に貸してもらって読んだのが最初です.後に,大学時代,やはりアニメ化され,そっちも見てました.その後,何度か映画化・ドラマ化もされたみたいですが,そちらの方は見ていません.大体において,コミックの実写化された作品って,ロクなモノがないもんで.....この作品のポイントは,大正時代を舞台にした破天荒なラヴ・ロマンス,そのストーリーの面白さもさる事ながら,ところどころに光る作者のギャグ・センス,その破壊力にあると思います.今となっては当たり前に事ですが,この作品を初めて読んだ当時,少女マンガにも少年マンガに劣らないギャグが存在していた事は,ある意味衝撃的でした.



カリフォルニア物語/吉田 秋生 小学館 1979~82年発行
 1978年6月~1980年7月 『別冊少女コミック』連載.
 高校~大学時代,最も気にいっていた作品.当初は,作者がある意味,知識をひけらかしているような感じがして,何となく鼻につくような感じもしていたのですが,ストーリーが進むにつれ,そんな事は全く気にならなくなり,作者の作り出す独特の世界にドップリとハマりこんでしまいました.それまでの少女マンガの持つイメージ・概念を根本から覆した作品だと思います.少女マンガをバカにしてはイケナイ.やはり,これも確立された芸術の1ジャンルである事を,今さらながらに確認してしまいました.この作品も,このページの他の作品同様,登場するキャラクターが実に魅力的に描かれていますが,主人公ヒースの置かれている状況が,当時の自分に似ていた(社会的に立派すぎる父親)事もあって,実に共感できました.ヒースのセリフ「オレの家が金持ちなのは,オレのせいじゃない」って,いつも感じていたことでしたので.ちなみに.ヒース以外の登場するキャラで好きなのは,1位ルシンダ,2位アレックス,3位メイジー・ウェルビーです.