松本 零士


作品3 (1977〜1984年頃)



宇宙海賊キャプテン・ハーロック 全5巻

1977 - 1979 秋田書店

 『プレイコミック』77年1月〜79年9月連載,並行して単行本刊行.
 松本零士ワールドの最強のキャラクター『ハーロック』の代表作ですが,『ヤマト』と同じく未完のまま終ってしまった感じです.アニメの方はかなり子供向けに脚色されてしまっていて,原作にないキャラクター(まゆ・切田長官等)も出てきたりしてかなり賛否両論を呼びましたが,それなりに水準以上の出来だったと思います.個人的にはミーメのキャラクターが最高に好きでしたが,マネしていたらアルコホーリクになってしまいました.


惑星ロボ ダンガードA 全2巻

1977 - 1978 秋田書店

 『冒険王』77年4月〜78年4月連載,並行して単行本刊行.
 『ヤマト』と同じくアニメ企画・制作と並行して描かれた作品ですが,巨大ロボット物ってあまり好きじゃなかったもんで... アニメの方もほとんど見ていません.




銀河鉄道999 全18巻

1977 - 1981 少年画報社

 『週間少年キング』77〜81年連載,並行して単行本刊行.
 やっぱり傑作なんでしょうけど,5年にわたる連載は長過ぎたと思われます.連載中盤以降のエピソードには明らかに駄作と思われるものや,ナニが何だかよくわからん話が随所に見られますが,過去の松本作品のキャラクターがゲスト出演している話も多く,捨てがたい部分もあるのです.エピソードを半分にしぼっていたら,まぎれもない最高傑作になっていたと思うのですが….アニメについては,TV版はただ原作に忠実につくっていただけで正直言って『ハーロック』より見劣りしてました.映画版の1作目は零士アニメの中でも1・2を争う出来でしたが,2作目はあまり感心しませんでした.




大純情くん 全3巻

1977 講談社

 『週間少年マガジン』77年1月〜10月連載,並行して単行本刊行.単行本第3巻に『秘蝶の谷』(『週間少年マガジン』77年10月掲載)を併録.
 四畳半+SFの流れを汲む作品ですが,少年誌連載,また今回は主人公『物野けじめ』が中学生ということもあって少しおとなしめ,ギャグも控えめです.
しかし,『おもも〜』のギャグには大爆笑いたしました.


Queen エメラルダス 全4巻

1978 講談社

 『週間少年マガジン』78年1月〜10月連載,並行して単行本刊行.単行本第4巻に『番外編』(『少年マガジン』79年1月増刊号)・『エメラルダス』(『プリンセス』75年5月号)を併録.
 『ハーロック』と並ぶ名キャラクター『エメラルダス』の主演作.『ヤマト』の沖田と古代進,『ハーロック』のハーロックと台場正,『999』のメーテルと星野哲郎,そして,エメラルダスと海野広,シチュエーションこそ違いますが,作者が描いているのは一種理想の師弟関係であったような気もするのですが….




魔女天使

1978 - 1979 講談社

 『月間少年マガジン』78年1月〜4月・9月〜79年7月連載,79年7月単行本刊行.
 『大純情くん』の流れを汲む作品ですが,『四畳半』は出てきません.また,SF色がうすれてむしろメルヘンチックな作風になっています.


大草原の小さな四畳半

1977 - 1978 奇想天外社

 『Apache』77年7月〜78年1月連載,78年5月単行本刊行.
 『トチロー』を主人公とした西部モノですが,作者がかなり遊んで楽しみながら描いている感じがして好感が持てる作品です.


漂流3000万光年

1978 - 1979 朝日ソノラマ

 『マンガ少年』78年12月〜79年7月連載,84年5月単行本刊行.
 本格SF作品ですが,この作者,本格的なモノを描こうとすると話が多少回りくどくなるクセがあって,その悪いクセがこの作品にも出てると思います.同じく『マンガ少年』連載の『ミライザーバン』に続く失敗作.


ザ・ステテコンドル

1979 - 1980 朝日ソノラマ

 『サンデー毎日』79年11月〜80年12月連載,83年1月単行本刊行.『番外鉄道大番外編』(『漫画ゴラク』79年1月)を併録.
 この作者には珍しく,一般誌での3ページもの連載ですが,ギャグが冴え渡っています.この主人公に心から共感できるようになったら,立派な中年なのだぞ….


ナスカ

1980 - 1981 朝日ソノラマ

 『マンガ少年』78年12月〜79年7月連載,84年5月単行本刊行.
 同誌連載作品の中では,わりに良くできた作品だとは思いますが….『ミスティック・ファンタジー』だそうです.




昆虫皇帝

1978 - 1979 奇想天外社

 『奇想天外』78年1月〜79年12月連載,79年12月単行本(奇想天外社),84年12月改定版(朝日ソノラマ)刊行.
 最初に奇想天外社から単行本が出たときは『昆虫皇帝・1』というタイトルで,作品の方も「第1部・完」となっていたので,続編を期待していたのですが,そのまま出されずじまいでした.『インセクト』以来の昆虫モノで,内容もかなりイケてたのでとても残念でした.


新竹取物語 1000 年女王 全5巻

1980 - 1983 サンケイ出版

 『サンケイ新聞』80年1月〜83年5月連載,並行して単行本刊行.
 大好評を拍した『999』のブームの中,新聞の朝刊に1回1ページ1000回連載ということで話題を呼んだ作品で,『999』に続いてTV・劇場アニメ化されましたが,前作をこえるヒットとはなりませんでした.この頃から松本作品ブームは沈静化していきますが,未だに根強い人気を保っています.この作品に関しての感想ですが,ストーリー・設定自体良く出来ているのに,何故か話が途中で消化不良を起こしてしまったような気がするのですが….




漂流幹線 000 全4巻

1983 - 1984 少年画報社

 タイトルからして『999』の2匹目の泥鰌を狙ったような感のある作品であまり評価されておりませんが,良く出来た作品だと思います.単行本4巻という長さも妥当でストーリーに中だるみを感じさせる部分がありません.感動的なラストは個人的に『999』より好みではあります.またやはり個人的に,優等生のメーテルより不良の平田先生の方が好みなのです.単行本第4巻に『妖界魔女サイナグリス』を併録.


蜃気楼フェリー アイランダー0

1984 少年画報社

 この作品も冒頭の部分は凄く面白く期待を持たせられたのですが,中盤から話が急展開し訳の解らんまま終ってしまうという消化不良パターン.突然連載中止が決まったような感じがするのですが,もしかしたら『少年キング』廃刊ってこの頃?


無限海漂流記 全2巻

1978 - 1995 小学館

 『ビッグゴールド』78年1月〜95年7月連載,96年単行本刊行.
 「20年の歳月をかけた超大作!!」とうたわれてますが... 実際は連載されていたのは85年までで,10年後に最終章が発表されて完結しただけの事.大作には違いありませんが,相変わらず『時間』をテーマに回りくどいスト−リ−展開という悪いクセが出ています.もう少し簡潔にまとまっていれば傑作になったと思うのですが….