萩尾 望都


萩尾望都作品集・第1期



1.ビアンカ <初期短編集(1)>

 初期短編集.デビュー作『ルルとミミ』(1969年2月),『すてきな魔法』(同年3月),『クールキャット』(同年11月),『爆発会社』(同年10月),『ビアンカ』(1970年5月),『ポーチで少女が子犬と』(同年8月),『ベルとマイクのお話』(同年12月),『雪の子』(1971年1月),『千本目のピン』(1973年1月)の9編収録.
 一読して,デビュー年の1969年の作品と翌 '70年の作品とでは,作者の力量が急速に上がっている事が感じられます. '69年の作品はまさに少女漫画然としたコメディ・タッチのもので,この時期の少女マンガの多くがそうであったように,正直言って,読んでいて少々退屈してしまうのですが, '70年以降の作品では,後の『ポーの一族』・『トーマの心臓』にも通ずる作者独特の世界の構築が始まった事が感じられます.このセンスの良さは,従来の少女マンガ家たちにはなかったもので,まさにこの時期に,作者の才能が花開いた事を如実に物語っています.特に『ビアンカ』と『雪の子』の2編は,後の作者の作品の原点とも言うべきもので,ぜひ読んでおきたい作品であると思います.

2.塔のある家 <初期短編集(2)>

 初期短編集.『モードリン』(1969年5月),『かたっぽのふるぐつ』(1970年12月),『ジェニファの恋のお相手は』(1971年1月),『塔のある家』(同年2月),『花嫁をひろった男』(同年3月),『かわいそうなママ』(同年3月),『小夜の縫うゆかた』(同年6月),『プシキャット・プシキャット』(1974年4月)の8編収録.
 同じく初期作品集ですが,今回は少々毛色の変った作品が収録されています.『モードリン』や『花嫁をひろった男』,『かわいそうなママ』のようなミステリ・タッチの作品では,作者の力量が十二分に発揮されているような気がするのですが,コメディ・タッチの『ジェニファの恋のお相手は』などは,やはり何となくありふれているというか,凡庸さを感じてしまいます.また,『かたっぽのふるぐつ』と『小夜の縫うゆかた』は,この作者にしては珍しく日本を舞台にした作品ですが,舞台設定を日本にしただけで,なんでこんなにごくあたりまえの少女漫画っぽくなってしまうのでしょう? 結局,この作者,もちろん絵やストーリー作りも上手なのですが,それ以上にシチュエーションやキャラ設定に,独特のセンスを発揮していると思うのです.

3.ケーキ ケーキ ケーキ 

 比較的低年齢層の読者をターゲットとした作品だと思われますが,特筆すべき事は何もない平均点的な作品だと思います.よくあるひと昔前の典型的な少女漫画って感じです.

4.セーラ・ヒルの聖夜

 初期短・中編集.『ケネスおじさんとふたご』(1969年8月),『秋の旅』(1971年8月),『白き森白き少年の笛』(同年9月),『11月のギムナジウム』(同年9月),『セーラ・ヒルの聖夜』(同年10月)の5編,ならびに,『イラストメルヘン』,『ヨーロッパ便り』収録.
 デビュー年の『ケネスおじさんとふたご』については,やはり発展途上といった感じで可もなく不可もなくという感じ.また,名作『トーマの心臓』の前身である『11月のギムナジウム』に関しても,当然と言えば当然なのですが,キャラの性格等,まだ未完成の感はぬぐえません.残りの3編,『秋の旅』・『白き森白き少年の笛』・『セーラ・ヒルの聖夜』,少年の死とか出生の秘密とか,深刻なテーマを取り扱った作品ではありますが,この時期のこの人,こ~ゆ~の好きだったみたいね? それぞれの作品の出来はかなり良いですが,今ひとつのめり込む事が出来ないよ~な….でも,考えて見ればこ~ゆ~のって,少女マンガ独特のテーマだよね? 否定はしません.

5.3月ウサギが集団で

 初期短・中編集.『ごめんあそばせ』(1972年1月),『毛糸玉にじゃれないで』(1971年12月),『3月ウサギが集団で』(1972年1月),『もうひとつの恋』(1971年8月),『妖精の子もり』(1972年3月),『10月の少女たち』(1971年8月),『みつくにの娘』(同年11月)の7編,ならびに,『ラブ・ポエム』収録.
 この作者の場合,ここに収録されているようなコメディ・タッチの作品や学園生活を描いた作品では,正直言って魅力が半減いたします.要するに,そんなもんは他の少女漫画家にまかせておけば良いのでは....などと,つい感じてしまうのでした.

6.ポーの一族 1

7.ポーの一族 2

8.ポーの一族 3

9.ポーの一族 4

 『ポーの一族』(1972年10月),『ポーの村』(同年5月),『グレンスミスの日記』(同年6月),『すきとおった銀の髪』(同年1月),『はるかな国の花や小鳥』(1975年7月),『メリーベルと銀のばら』(1973年12月),『エヴァンズの遺書』(1974年11月),『ペニー・レイン』(1975年3月),『リデル・森の中』(同年4月),『一週間』(同年10月),『小鳥の巣』(1973年5月),『ピカデリー7時』(1975年6月),『ホームズの帽子』(同年9月),『ランプトンは語る』(同年5月),『エディス』(1976年4月)の15編,ならびに,『ポーの一族名場面』,『小学館漫画賞受賞のしらせをうけて…』,『とってもしあわせモトちゃん<番外編>』収録.
 作者の出世作にして代表的傑作.バンパネラ伝説に対する作者ならではの独自の解釈がエドガー・アラン・メリーベルといった強力なキャラクターを中心に,独自の世界を構築しています.魅力的なキャラクター設定という点においては,小説より漫画・劇画の方が数倍威力を発揮するわけですが,そういった漫画の総合芸術性をフルに生かしきった好例だと思います.当然の事ながら,想像上の生物(と言っていいのか?)であるバンパネラに関する設定等には,かなり矛盾点等が見られるのですが,ま,それは不問という事で.ひとつ注文をつけるとしたら,作品を年代順に収録してほしかったような気がします.




10.キャベツ畑の遺産相続人

 初期短・中編集.『ママレードちゃん』(1972年4月),『キャベツ畑の遺産相続人』(1973年4月),『オーマイ ケセィラ セラ』(同年4月),『ハワードさんの新聞広告』(1974年3月),『ユニコーンの夢』(同年4月),『温室』(1975年5月)の6編,ならびに,『ハローイングランド』収録.
 『5』と同様の理由で,最初の4編については可もなく不可もなし,といった感じか.個人的にはやはり,後の2編,『ユニコーンの夢』・『温室』の幻想的な世界に惹かれてしまうのでした.この時期に,作者としても,その作品の方向性が定まってきたのではないかとゆ~よ~な気がいたします.勝手な思い込みかもしれませんが….

11.トーマの心臓 1

12.トーマの心臓 2

 1974年度作品.『ヴィオリータ』(1976年10月)併録.
 『ポーの一族』シリーズと並び称される作者の代表作.また,竹宮恵子氏の『風と木の詩』と並んで,少年愛を描いた少女マンガとして,一部で根強い支持者を持つ作品でもありますが,竹宮さんの作品は残念ながらまだ読んでいないので,その比較論を展開する事はここではできません.ただ,私自身の体験としては,実は私,中学・高校の6年間を静岡市内の某私立校で過ごしまして,その内中学の3年間は寮生活なども体験したわけですが,男子校の寮生活なんて,ポジティヴな考え方しかできない大人にとっては,『集団生活の規律を通して社会生活の基本を身につける』などと考えられがちですが,実際はそんなもんじゃなく,悪意と嫉妬の渦巻く中,学んだのは酒と煙草と男同士の Sex だけ,などという状況に下手をすればなりかねない世界であることも,一面真実ではあるよ~な.そういう意味で,この作者,思春期の少年の複雑な感情の動きを見事に描写していると思います.解説の村上知彦氏が問題提起しているこの作品の主人公ですが,やはりエーリクでもユーリでもオスカーでもなく,物語の冒頭数ページに登場するだけのトーマ・ヴェルナーであるとするのが正解では....? ところで,サイフリートってキャラ,どっかの RPG にゲスト・キャラみたいな形で出ていたよね,何だっけ?

13.11人いる!

 『11人いる!』(1975年7月),『精霊狩り』(1971年5月),『ドアの中のわたしの息子』(1972年2月),『みんまでお茶を』(1974年2月)の4編収録.
 本格 SF の表題作については言う事なし,かなり良質のミステリーでもあります.この作者の最も偉大な点として,それまでどちらかと言えば敬遠されがちだった SF というジャンルを,まったく異質な少女マンガの世界に持ち込み,確立した事であると思います.『精霊』をモチーフにしたコメディー・タッチの残り3作のシリーズについては,可もなく不可もなくっていった感じ.

14.続・11人いる! 東の地平 西の永遠

 『続・11人いる! 東の地平 西の永遠』(1976年12月),『6月の声』(1972年4月),『左ききのイザン』(1978年),『スペース ストリート』(1977年7月)の4編収録.
 前編に登場した個性豊かなキャラクターたちが,さらにそのキャラを確立している感のある続編.と言っても,設定自体は前編の後日談であるものの,全く異なったストーリーを持つ,独立した作品であると言っても良いと思います,同じく,『11人いる!』のキャラクターたちをギャグ・タッチで描いた『スペース ストリート』は,珍しく作者のギャグ ・センスが光る作品群となっていると思います(実は,私,ギャグに関してはあまりこの作者評価してないもんで).

15.この娘売ります!

 『この娘売ります』(1975年3月),『ミーア』(1972年7月)の2編,ならびに,『ヨーロッパ便り・パリ』収録.
 表題作は,作者のコメディー・タッチの作品群の中では,最高に面白い作品だと思いますが,やはり,この人が本領を発揮するのはこういったジャンルではないような気が.

16.とってもしあわせ モトちゃん

 1972年4月より執筆された作品らしいです.
 ま,それなりにかわいらしくて,ギャグも面白いけどね.... ただ,それだけ.これ以上のコメントは控えさせていただきます.

17.アメリカン・パイ

 『アイロス』(1975年6月),『アメリカン・パイ』(1976年1月),『白い鳥になった少女』(製作・発表年度記載なし),『赤ッ毛のいとこ』(1976年8月)の4編収録.
 二重人格をモチーフに少々サイコ入っている『アイロス』と,ドン・マクリーンさんの名曲をモチーフにした表題作の2編が秀逸.解説の斎藤次郎さんが書かれていると~り,まさに『合わせ鏡に写った孤独』を感じさせる秀作だと思います.



萩尾望都作品集・第2期



1.百億の昼と千億の夜 1

2.百億の昼と千億の夜 2

 1977~78年度作品.『週間少年チャンピオン』掲載.
 珍しく少年誌『週間少年チャンピオン』に連載された,光瀬龍原作の SF 大河ロマン.この作品の連載当時,私高校生だったんですが,コマ切れにして読むと何が何だかわけわかんなかったです(笑).で,最近になってまとめて一気読みしたところ,やっぱり難しかったです(爆).光瀬氏の原作を読んでないので,比較検討する事ができないのですが,感じとしては,原作が重すぎて,コミックでの表現が難しい作品ではなかったのかという感じ.決して,作者の力量不足という事ではないと思います.

3.スター・レッド 1

4.スター・レッド 2

 1978~79年度作品.『週間少女コミック』掲載.
 やはり SF 大作ですが,こちらはだいぶわかりやすいです(笑).同じ SF マンガでも,たとえば松本零氏のコテコテの SF にくらべると,人種差別もしくは男女差別(ともとれる)につながるような,エスパー狩り・異星人いじめのようなものが作品の根底に流れているあたり,女性作家ならではの感性を感じさせます.「白い髪で赤い眼の火星人」って,まるで Edgar Winter さんみたい.

5.ばらの花びん

 『ばらの花びん』(『プチフラワー』1985年8月号掲載)・『ゴールデンライラック』(『別冊少女コミック』1978年3~5月号掲載)の2編を収録.
 2編ともまるで出来の良い外国映画を見ているみたいで,すでにマンガの域を越えている芸術作品であると思います.常々,コミックはその表現力と芸術性という点で,映画と小説の中間に位置する総合芸術であるというのが私の持論なのですが,それが正しいことを証明してくれる,素晴らしい作家のひとりが萩尾先生なのです.

6.ウは宇宙船のウ

 『ウは宇宙船のウ』(『週間マーガレット』1978年14号掲載)・『泣きさけぶ女の人』(同誌同年22号掲載)・『霧笛』(同誌1977年9号掲載)・『みづうみ』(同誌同年9号掲載)・『ぼくの地下室へおいで』(同誌1978年18号掲載)・『集会』(同誌同年32号掲載)・『びっくり箱』(同誌同年26号掲載)・『宇宙船乗組員』(同誌同年22号掲載)の8編を収録.
 『11人いる!』等で,少女マンガの世界にそれまで無縁だと思われていた SF というジャンルを確立した作者の短編集.レイ・ブラッドベリの原作は実は読んでいないので,その出来について比較することは出来ませんが, SF というジャンルそのものの特製を考えた場合にも,やはりコミックはその表現力において映画と文学の中間に位置する,良質なメディアであると思うのです.

7.恐るべき子どもたち

 『月刊セブンティーン』1979年5~8月号掲載.
 ジャン・コクトーの原作を,作者ならではのタッチでコミック化した大傑作.この手の心理描写描かせたら,この人に右に出る者はいないと思います.

8.訪問者

 『訪問者』(『プチフラワー』 1980年春の号掲載)・『城』(同誌 1983年9月号掲載)・『偽王』(同誌 1984年9月号掲載)・『花と光の中』(『週間少女コミック』 1976年14号掲載)の4編,ならびにイラスト・エッセイ『25人のジュリー』・『デビッド・ボウイ in ブドーカン』を収録.
 『トーマの心臓』の重要人物オスカー・ライザーの幼年期を描いた表題作ほか,佳作揃いの中・短編集.少女マンガ家の中でこの人,幼・少年期の男の子の心理描写描かせたら並ぶ者いないと思いますが,ひょっとしたら男の子に生まれたかったのでは? と思わされるのです.私はやはり女の子の方がいいなとか思ってしまうのですが,だって得だもん(爆).

9.半神

 『半神』(『プチフラワー』 1984年1月号掲載)・『ラーギニー』(『SF マガジン』 1980年2月号掲載)・『スロー・ダウン』(『プチフラワー』 1985年1月号掲載)・『酔夢』(イラスト集『金銀砂岸』 1980年掲載)・『ハーバル・ビューティー』(『ぶーけ』 1984年10月号掲載)・『あそび玉』(『別冊少女コミック』 1972年1月号掲載)・『マリーン』(『別冊セブンティーン』 1977年5月号掲載)の7編,ならびにイラスト・エッセイ『花埋み』・『紅茶の話』・『追憶』・『パリ便り』を収録.
 短編集.かなりサイコ入っている異色短編の表題作や,初期作品ですでに SF へのアプローチを試みている『あそび玉』に,そこいらの少女マンガ家(失礼!)とは一線を画した作者の力量を感じさせられます.




10.銀の三角

 『SF マガジン』 1980年12月号~82年6月号掲載.
 少年誌への連載を経験した作者が,ついに SF 専門誌連載に挑戦した,壮大なスケールの SF 巨編.ただ,『週間少年チャンピオン』に連載された『百億の昼と千億の夜』と同様,あまりにもテーマが大きすぎて,コミック作品として読むには,少ししんどいかも.この手の作品好きな人にとっては,たまらない魅力を持った作品かもしれませんが.

11.メッシュ 1

12.メッシュ 2

13.メッシュ 3

14.メッシュ 4

 シリーズ『メッシュ』(『プチフラワー』1980年夏の号掲載),『ルージュ』(同誌同年秋の号掲載),『プラン』(同誌1981年冬の号掲載),『春の骨』(同誌同年初夏の号掲載),『革命』(同誌同年秋の号掲載),『モンマルトル』(同誌同年夏の号掲載),『耳をかたむけて』(同誌1982年5月号掲載),『千の矢』(同誌同年7月号掲載),『苦手な人種』(同誌同年9月号掲載),『謝肉祭』(同誌1983年3月号掲載),『シュールな愛のリアルな死』(同誌1984年6月号掲載)の11編,ならびに『Plan de Paris』 ・ 『MOVEMENT I』 ・ 『MOVEMENT II』 ・ 『MOVEMENT III』 ・ 収録,他に短編『船』(『プチフラワー』1984年12月号掲載)を同時収録.
 『ポーの一族』・『トーマの心臓』と並ぶ作者の3大傑作のひとつ.作品の雰囲気等,吉田秋生先生の『カリフォルニア物語』に通じるモノを感じたので,連載された時期を確認したところ,丁度『カリフォルニア物語』の連載が終了した頃,『メッシュ』の連載が開始されているので,作者が吉田先生の『カリフォルニア物語』にインスパイアされて描いた作品ではないか? と勘ぐる事もできるのですが,シチュエーションの違い(『カリフォルニア物語』の舞台はニューヨーク,一方この作品はパリ)や,両先生の人間描写の違いという事もあって,それぞれ傑作だと思います.感じとしては,ドライな感じのする『カリフォルニア物語』と比較して,かなりウェットな感じのする作品ですが,これは作者ならではの感性のなせる業だと思います.どちらが好みかという事は読む人次第ですが,私はどちらの作品も大好きなのです.

15.モザイク・ラセン

 『モザイク・ラセン』(『プリンセス』 1982年9~12月号掲載)・『砂漠の幻影』(『グレープフルーツ』 1984年19号掲載)・『神殿の少女』(同誌同年20号掲載)・『フィジカル!85』(『プチフラワー』 1985年4月号掲載)・『デクノボウ』(『別冊 Lala 』 1983年オータム号掲載)の5編,ならびにイラスト・エッセイ『ビートルズの頃』(『フォアレディ』 1981年3月号掲載)を収録.
 SF 長編の表題作ですが,ともすれば冗長な作品を作り出しがちな難解なテーマを,作者ならではのストーリー運びでうまく処理していると思います.キャラクターも良いです.

16.エッグ・スタンド

 『エッグ・スタンド』(『プチフラワー』 1984年3月号掲載)・『天使の擬態』(同誌同年11月号掲載)・『影のない森』(『ビッグコミックオリジナル 1977年2月5日号掲載)・『十年目の毬絵』(同誌同年3月20日号掲載)の4編,ならびに『アムール』・『人生の美酒』を収録.
 まず表題作ですが,男性作家と女性作家とで最も描き方が異なる題材の一つが『戦争』というテーマだと思います.そして,このテーマをモチーフに優れた作品を作り出すという点においては,その感性故か,女性作家の方が数段優れているような気がするのです.残り3編は,作者としては珍しく日本を舞台にした話で,初期作品では何故か日本を舞台にすると凡庸な感じがしたのですが,ここでは洗練されたアダルト・コミックを展開していると思います.

17.A - A'

 『A - A'』(『プリンセス』 1981年8月号掲載)・『4/4 カトルカース』(『プチフラワー』 1983年11月号掲載)・『X+Y』(同誌 1984年7~8月号掲載)の3編を収録.
 変異種『一角獣種』をモチーフにした SF 連作.前にも書きましたが,女性作家ならではの SF 感によって,独自の世界・ストーリーを展開していると思います.