萩尾 望都

作品2(萩尾望都作品集・第2期)




1.百億の昼と千億の夜 1

オススメ度:★★

2.百億の昼と千億の夜 2

 1977〜78年度作品.『週間少年チャンピオン』掲載.
 珍しく少年誌『週間少年チャンピオン』に連載された,光瀬龍原作の SF 大河ロマン.この作品の連載当時,私高校生だったんですが,コマ切れにして読むと何が何だかわけわかんなかったです(笑).で,最近になってまとめて一気読みしたところ,やっぱり難しかったです(爆).光瀬氏の原作を読んでないので,比較検討する事ができないのですが,感じとしては,原作が重すぎて,コミックでの表現が難しい作品ではなかったのかという感じ.決して,作者の力量不足という事ではないと思います.

3.スター・レッド 1

オススメ度:★★★

4.スター・レッド 2

 1978〜79年度作品.『週間少女コミック』掲載.
 やはり SF 大作ですが,こちらはだいぶわかりやすいです(笑).同じ SF マンガでも,たとえば松本零氏のコテコテの SF にくらべると,人種差別もしくは男女差別(ともとれる)につながるような,エスパー狩り・異星人いじめのようなものが作品の根底に流れているあたり,女性作家ならではの感性を感じさせますが.... 「白い髪で赤い眼の火星人」って,まるで Edgar Winter さんみたいではありますが....

5.ばらの花びん

オススメ度:★★★★

 『ばらの花びん』(『プチフラワー』1985年8月号掲載)・『ゴールデンライラック』(『別冊少女コミック』1978年3〜5月号掲載)の2編を収録.
 2編ともまるで出来の良い外国映画を見ているみたいで,すでにマンガの域を越えている芸術作品であると思います.常々,コミックはその表現力と芸術性という点で,映画と小説の中間に位置する総合芸術であるというのが私の持論なのですが,それが正しいことを証明してくれる,素晴らしい作家のひとりが萩尾先生なのです.




6.ウは宇宙船のウ

オススメ度:★★★

 『ウは宇宙船のウ』(『週間マーガレット』1978年14号掲載)・『泣きさけぶ女の人』(同誌同年22号掲載)・『霧笛』(同誌1977年9号掲載)・『みづうみ』(同誌同年9号掲載)・『ぼくの地下室へおいで』(同誌1978年18号掲載)・『集会』(同誌同年32号掲載)・『びっくり箱』(同誌同年26号掲載)・『宇宙船乗組員』(同誌同年22号掲載)の8編を収録.
 『11人いる!』等で,少女マンガの世界にそれまで無縁だと思われていた SF というジャンルを確立した作者の短編集.レイ・ブラッドベリの原作は実は読んでいないので,その出来について比較することは出来ませんが, SF というジャンルそのものの特製を考えた場合にも,やはりコミックはその表現力において映画と文学の中間に位置する,良質なメディアであると思うのです.

7.恐るべき子どもたち

オススメ度:★★★★

 『月刊セブンティーン』1979年5〜8月号掲載.
 ジャン・コクトーの原作を,作者ならではのタッチでコミック化した大傑作.この手の心理描写描かせたら,この人に右に出る者はいないと思います.

8.訪問者

オススメ度:★★★★

 『訪問者』(『プチフラワー』 1980年春の号掲載)・『城』(同誌 1983年9月号掲載)・『偽王』(同誌 1984年9月号掲載)・『花と光の中』(『週間少女コミック』 1976年14号掲載)の4編,ならびにイラスト・エッセイ『25人のジュリー』・『デビッド・ボウイ in ブドーカン』を収録.
 『トーマの心臓』の重要人物オスカー・ライザーの幼年期を描いた表題作ほか,佳作揃いの中・短編集.少女マンガ家の中でこの人,幼・少年期の男の子の心理描写描かせたら並ぶ者いないと思いますが,ひょっとしたら男の子に生まれたかったのでは? と思わされるのです.私はやはり女の子の方がいいなとか思ってしまうのですが,だって得だもん(爆).

9.半神

オススメ度:★★★

 『半神』(『プチフラワー』 1984年1月号掲載)・『ラーギニー』(『SF マガジン』 1980年2月号掲載)・『スロー・ダウン』(『プチフラワー』 1985年1月号掲載)・『酔夢』(イラスト集『金銀砂岸』 1980年掲載)・『ハーバル・ビューティー』(『ぶーけ』 1984年10月号掲載)・『あそび玉』(『別冊少女コミック』 1972年1月号掲載)・『マリーン』(『別冊セブンティーン』 1977年5月号掲載)の7編,ならびにイラスト・エッセイ『花埋み』・『紅茶の話』・『追憶』・『パリ便り』を収録.
 短編集.かなりサイコ入っている異色短編の表題作や,初期作品ですでに SF へのアプローチを試みている『あそび玉』に,そこいらの少女マンガ家(失礼!)とは一線を画した作者の力量を感じさせられます.

10.銀の三角

オススメ度:★★

 『SF マガジン』 1980年12月号〜82年6月号掲載.
 少年誌への連載を経験した作者が,ついに SF 専門誌連載に挑戦した,壮大なスケールの SF 巨編.ただ,『週間少年チャンピオン』に連載された『百億の昼と千億の夜』と同様,あまりにもテーマが大きすぎて,コミック作品として読むには,少ししんどいかも.... この手の作品好きな人にとっては,たまらない魅力を持った作品かもしれませんが....




11.メッシュ 1

オススメ度:★★★★★

12.メッシュ 2

13.メッシュ 3

14.メッシュ 4

 シリーズ『メッシュ』(『プチフラワー』1980年夏の号掲載),『ルージュ』(同誌同年秋の号掲載),『プラン』(同誌1981年冬の号掲載),『春の骨』(同誌同年初夏の号掲載),『革命』(同誌同年秋の号掲載),『モンマルトル』(同誌同年夏の号掲載),『耳をかたむけて』(同誌1982年5月号掲載),『千の矢』(同誌同年7月号掲載),『苦手な人種』(同誌同年9月号掲載),『謝肉祭』(同誌1983年3月号掲載),『シュールな愛のリアルな死』(同誌1984年6月号掲載)の11編,ならびに『Plan de Paris』 ・ 『MOVEMENT I』 ・ 『MOVEMENT II』 ・ 『MOVEMENT III』 ・ 収録,他に短編『船』(『プチフラワー』1984年12月号掲載)を同時収録.
 『ポーの一族』・『トーマの心臓』と並ぶ作者の3大傑作のひとつ.作品の雰囲気等,吉田秋生先生の『カリフォルニア物語』に通じるモノを感じたので,連載された時期を確認したところ,丁度『カリフォルニア物語』の連載が終了した頃,『メッシュ』の連載が開始されているので,作者が吉田先生の『カリフォルニア物語』にインスパイアされて描いた作品ではないか? と勘ぐる事もできるのですが,シチュエーションの違い(『カリフォルニア物語』の舞台はニューヨーク,一方この作品はパリ)や,両先生の人間描写の違いという事もあって,それぞれ傑作だと思います.感じとしては,ドライな感じのする『カリフォルニア物語』と比較して,かなりウェットな感じのする作品ですが,これは作者ならではの感性のなせる業だと思います.どちらが好みかという事は読む人次第ですが,私はどちらの作品も大好きなのです.

15.モザイク・ラセン

オススメ度:★★★

 『モザイク・ラセン』(『プリンセス』 1982年9〜12月号掲載)・『砂漠の幻影』(『グレープフルーツ』 1984年19号掲載)・『神殿の少女』(同誌同年20号掲載)・『フィジカル!85』(『プチフラワー』 1985年4月号掲載)・『デクノボウ』(『別冊 Lala 』 1983年オータム号掲載)の5編,ならびにイラスト・エッセイ『ビートルズの頃』(『フォアレディ』 1981年3月号掲載)を収録.
 SF 長編の表題作ですが,ともすれば冗長な作品を作り出しがちな難解なテーマを,作者ならではのストーリー運びでうまく処理していると思います.キャラクターも良いです.

16.エッグ・スタンド

オススメ度:★★★★

 『エッグ・スタンド』(『プチフラワー』 1984年3月号掲載)・『天使の擬態』(同誌同年11月号掲載)・『影のない森』(『ビッグコミックオリジナル 1977年2月5日号掲載)・『十年目の毬絵』(同誌同年3月20日号掲載)の4編,ならびに『アムール』・『人生の美酒』を収録.
 まず表題作ですが,男性作家と女性作家とで最も描き方が異なる題材の一つが『戦争』というテーマだと思います.そして,このテーマをモチーフに優れた作品を作り出すという点においては,その感性故か,女性作家の方が数段優れているような気がするのです.残り3編は,作者としては珍しく日本を舞台にした話で,初期作品では何故か日本を舞台にすると凡庸な感じがしたのですが,ここでは洗練されたアダルト・コミックを展開していると思います.

17.A - A'

オススメ度:★★★

 『A - A'』(『プリンセス』 1981年8月号掲載)・『4/4 カトルカース』(『プチフラワー』 1983年11月号掲載)・『X+Y』(同誌 1984年7〜8月号掲載)の3編を収録.
 変異種『一角獣種』をモチーフにした SF 連作.前にも書きましたが,女性作家ならではの SF 感によって,独自の世界・ストーリーを展開していると思います.