高橋 留美子




うる星やつら 全34巻

1980年4月15日 第1巻初版第1刷発行

 週刊少年サンデー 1978~87年連載作品.
 作者の名を一躍メジャーにした出世作であり,少年誌に新しい風を吹き込んだ問題作でもあります.女性マンガ家独特のセンスの良さが,洗練されたギャグやストーリー展開に感じられます.一途で健気なラムちゃんと浮気男あたるのコントラストも良いのですが,それ以上に周囲を固めるキャラクターが強力で,個人的には,サクラ・お雪・ラン・弁天・面堂・コタツ猫・プールの妖怪といったところが気にいってます.また,ギャグ中心で騒がしいストーリー展開だけでなく,特に連載中期以降,印象深いエピソードが多数見られますが,これは連載を重ねるにつれて,作者のストーリー・テラーとしての才能が,如実に花開いていった事を示していると思います.個人的には,『青白き炎の怒り(前・中・後編)』・『月夜のキツネたち』(以上第21巻), 『最後のデート』・『コタツにかけた愛』(以上第24巻),『オデンに秘めた恋』(第25巻),『あやかしの面堂』・『愛の死者どすぇ』(以上第26巻),『キツネの嫁取り』(第27巻),『写真の中の女』(第28巻),『プリマの星をつかめ』(第29巻),『霊魂とデート』(第30巻),『失われた記憶』(第31巻),『渚のフィアンセ(前・後編)』(第32巻),『秘湯を求めて』(第33巻)といったところが好みです.そして,映画化もされたキャラ総出演の最終話『ボーイ・ミーツ・ガール』(第34巻)は,ヒット作の終わりにふさわしく,最高にテンション高く,かつ言い様のない余韻を残してくれる作品だと思います.


めぞん一刻 全15巻

1982年5月1日 第1巻初版第1刷発行

 ビッグコミックスピリッツ連載作品.
 『うる星やつら』とほぼ同時期の作品ですが,こちらは『一刻館』を舞台にしたごく平凡な(でもないか?)ラヴ・ストーリー.『うる星やつら』のイメージが強烈だったため,最初は「ふ~ん,こんな作品も描くのか?」って思っていましたが,作者のストーリー・テラーとしての才能を最も示している作品だと思います.ギャグやキャラ設定も冴えわたっている感じですし.蛇足ですが,『うる星やつら』とこの作品の連載時に画調がかなり変わっており,この2作の連載が作者を大きく成長させたことを物語っています.キャラの中では,やはり四谷さんと朱美さん,圧倒的な存在感でした.


らんま1/2 全38巻

1988年4月15日 第1巻初版第1刷発行

 週刊少年サンデー 1987~96年連載作品.
 『うる星やつら』の時にも感じたんですが,この人ホントにキャラ作りが上手だと思います.妖怪・異星人が多かった『うる星』にも増して奇想天外なキャラが多数登場するこの作品,ギャグという点から見れば,作者の最高傑作かもしれません.ただ,あまりに連載が長過ぎたせいか,疲れか,ストーリー展開に少々難のあるエピソードも含まれているような気がします.お気に入りのキャラは,シャンプーでした.


1ポンドの福音 全4巻

1989年8月5日 第1巻初版第1刷発行

 ヤングサンデー連載作品.
 1980年代から21世紀にかけて何と20年の歳月を経てやっと完結を迎えた作品.20代にこの作品を読み始めた読者もいつの間にか50代になろうとしていたりして,これってもうひとつの『Oの悲劇』?


犬夜叉 全56巻

1997年5月15日 第1巻初版第1刷発行

 週刊少年サンデー 1996~2008年連載作品.
 12年間にわたって連載された『大長篇戦国お伽草子』だそ~ですが,はっきり言って長過ぎ.最初は面白かったのですが,すぐに長~い中だるみ状態に入ってしまった感じで,正直なところ途中から読み続けるのがちょっと苦痛になってきたりして.もう少しコンパクトにまとめれば佳作になっていたかも....


境界のRINNE 全40巻

2009年10月21日 第1巻初版第1刷発行

 週刊少年サンデー 2009年~2018年連載作品.
 今回は約9年間の連載,40巻をもって終結しましたが,結構早い時期にマンネリズムに陥ってしまっているような印象を受けました.実のところ,1巻を飽きずに読むことができなくなっていたのは,作者の才能が衰えたのか,あるいはこちらが年齢取ったのか,正直言ってわかりません.


MAO 既刊19巻

2019年9月23日 第1巻初版第1刷発行

 週刊少年サンデー 2019年~連載中.
 『[犬夜叉]につづくシリアス怪奇ロマン !!』ということなので,あまり期待はしないで読み始めましたが,結構面白かったです.ただ,この人の場合,連載が長引くとすぐにマンネリズムに陥ってしまう傾向があるので要注意かも.




高橋留美子短編集
るーみっく わーるど 1

1984年5月15日 初版第1刷発行

 『炎トリッパー』(週刊少年サンデー1983年8月増刊号掲載) ・ 『闇をかけるまなざし』(同1982年8月増刊号掲載) ・ 『笑う標的』(同1983年2月増刊号掲載) ・ 『忘れて眠れ』(同1984年1月増刊号掲載)の4作品を収録.

高橋留美子短編集
るーみっく わーるど 2

1984年8月8日 初版第1刷発行

 『戦国生徒会』(週刊少年サンデー1982年2月増刊号掲載) ・ 『勝手なやつら』(同1978年第28号掲載・第2回小学館新人コミック大賞入賞作) ・ 『ザ・超女』(同1981年10月増刊号掲載) ・ 『黄金の貧乏神』(同1978年9月増刊号掲載) ・ 『怪猫・明』(劇画村塾1981年第4号掲載) ・ 『腹はらホール』(別冊 BIG GORO 1978年8月号掲載) ・ 『笑え!ヘルプマン』(週刊少年サンデー1981年9月増刊号掲載) ・ 『われら顔面仲間』(同1984年創刊25周年記念増刊号掲載)の8作品を収録.

高橋留美子短編集
るーみっく わーるど 3

1985年2月15日 初版第1刷発行

 『ふうふ』 (ビッグコミックオリジナル増刊1980年10月15日号掲載)・ 『商魂』(平凡パンチ臨時増刊 "That's Comic" 1980年12月5日号掲載) ・ 『ダストスパート !! 』(週刊少年サンデー増刊1979年5月25日~9月25日号掲載)の3作品を収録.


[保存版] るーみっくわーるど
高橋留美子傑作短編集 1

1995年3月15日 初版第1刷発行

 『るーみっくわーるど』収録作品を年代順に収録した保存版.『勝手なやつら』 ・ 『腹はらホール』 ・ 『黄金の貧乏神』 ・ 『ダストスパート !! 』 ・ 『商魂』 ・ 『ふうふ』 の6作品を収録.

[保存版] るーみっくわーるど
高橋留美子傑作短編集 2

1995年3月15日 初版第1刷発行

 同上.『炎トリッパー』 ・ 『ザ・超女』 ・ 『怪猫・明』 ・ 『笑え!ヘルプマン』 ・ 『戦国生徒会』 ・ 『闇をかけるまなざし』 ・ 『笑う標的』 ・ 『忘れて眠れ』 ・ 『われら顔面仲間』 の9作品を収録.

 上記2種類5册の単行本は,作者の初期作品集ですが,この人のルーツが結局のところ『妖怪もの』と『SF』にある事を示しており,後の『うる星やつら』や『犬夜叉』の原形となったエピソードや,キャラクターの原形もあちらこちらに垣間見ることができます.また,作者のもう1つの持ち味である『ギャグ』もこの時期から結構洗練されていると同時に,シリアスな作品も結構読みごたえがあるような印象を受けました.のべ15作の作品の中では,『黄金の貧乏神』・『ふうふ』・『ザ・超女』・『戦国生徒会』・『笑う標的』・『われら顔面仲間』といったところが好みです.




るーみっくわーるど スペシャル
人魚の森

1988年5月20日 初版第1刷発行

 『人魚は笑わない(前・後編)』 (週刊少年サンデー1984年8・9月増刊号掲載)・ 『闘魚の里』(同1985年9・10月増刊号掲載) ・ 『人魚の森』(同1987年22・23号掲載)を収録.

るーみっくわーるど スペシャル
人魚の傷

1993年1月15日 初版第1刷発行

 『夢の終わり』 (週刊少年サンデー1988年23号掲載)・ 『約束の明日(前・後編)』(同1990年45・46号掲載) ・ 『人魚の傷(前・後編)』(同1992年5・6号掲載) ・ 『舎利姫』(同1992年6月増刊号掲載)を収録.


高橋留美子・人魚シリーズ・1
人魚の森

2003年11月15日 初版第1刷発行

高橋留美子・人魚シリーズ・2
人魚の傷

2003年12月15日 初版第1刷発行

高橋留美子・人魚シリーズ・3
夜叉の瞳

2004年1月15日 初版第1刷発行

 『舎利姫』 (週刊少年サンデー1992年6月増刊号掲載)・ 『夜叉の瞳(前・後編)』(同1993年5・6号掲載) ・ 『最後の顔(前・後編)』(同1994年7・8号掲載)

 上記2種類5册は,『少年サンデー』に不定期連載されていた『人魚シリーズ』の単行本化ですが,このシリーズ,まだ時々同誌に掲載され続けているらしいです.作者の妖怪趣味が見事花開いた(?)作品.初期の『笑う標的』なんかにも通じるおどろおどろしさは見事で,自ら単なるギャグ漫画家ではないという事を証明して見せてます.『なりそこない』なんか,水木しげる・梅図かずお・日野日出志といった妖怪・恐怖漫画家に描かせたら,もっと悪趣味なものになる(それはそれで,そ~ゆ~のもまた好きだったりする)と思われますが,そこは女性らしい暖かみのあるラインで,その哀しさを見事に表現しているあたり,見事です.個人的には,ヒロイン・真魚のキャラ,好きです.




[るーみっくわーるど]
高橋留美子短編集 1 or W

1995年10月15日 初版第1刷発行

 『スリム観音』(プチコミック1991年9月号掲載) ・ 『犬で悪いか !! 』(週刊少年サンデー1985年第47号掲載) ・ 『お婆さんといっしょ』(ビッグコミックスピリッツ1985年8月増刊号掲載) ・ 『がんばり末世』(週刊少年サンデー1978年8月増刊号掲載) ・ 『グランド・ファザー』(ビッグコミックスピリッツ1981年1・2合併号掲載) ・ 『宝塚への招待~INVITATION TO TAKARAZUKA~』(ビッグコミックスピリッツ1993年34号掲載) ・ 『1 or W』(週刊少年サンデー1994年36号掲載) ・ 『ハッピー・トーク』(ビッグコミックスピリッツ1984年8月増刊号掲載)・ 『うちが女神じゃ !! 』(週刊少年サンデー1989年4月増刊号掲載)の9作品を収録.

 各コミック誌に単発で掲載された短編9作を収録した作品集.古いものはデビュー年の1978年から,新しいものは1994年まで,かなりの年代差がありますが,この作者の持つ独特のセンスは変わることなく,むしろ洗練に洗練を重ねて見事な『る~みっくわ~るど』を構築しているのが伺えます.異色なのは,珍しく女性誌に掲載された『スリム観音』,こ~ゆ~のはやはり男性作家には書けないよね? あと,『犬で悪いか !! 』をはじめとする少年誌掲載作と,『お婆さんといっしょ』をはじめとする青年誌掲載作とでは,と~ぜんの事ではありますが,読者層を意識した作品作りがなされています.個人的には,上記3編のほか,『宝塚への招待~INVITATION TO TAKARAZUKA~』・『うちが女神じゃ !! 』の2編がお気に入りです.


BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集 Pの悲劇

BIG COMICS 高橋留美子劇場1

1994年3月1日 初版第1刷発行
 
1999年7月1日 初版第1刷発行

 『Pの悲劇』(ビッグコミックオリジナル1991年2月20日号掲載) ・ 『浪漫の商人』(同1987年7月20日号掲載) ・ 『ポイの家』(同1992年2月20日号掲載) ・ 『鉢の中』(同1988年5月20日号掲載) ・ 『百年の恋』(同1993年2月20日号掲載) ・ 『Lサイズの幸福』(同1990年1月20日号掲載)の6作品を収録.

BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集 専務の犬

BIG COMICS 高橋留美子劇場2

1999年7月1日 初版第1刷発行
 
2003年8月1日 初版第1刷発行

 『専務の犬』(ビッグコミックオリジナル1994年1月20日号掲載) ・ 『迷走家族F』(同1995年2月20日号掲載) ・ 『君がいるだけで』(同1999年2月20日号掲載) ・ 『茶の間のラブソング』(同1996年2月20日号掲載) ・ 『おやじローティーン』(同1997年5月20日号掲載) ・ 『お礼にかえて』(同1998年2月20日号掲載)の6作品を収録.

BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集 赤い花束

BIG COMICS 高橋留美子劇場3

2005年8月1日 初版第1刷発行
 
2009年11月4日 初版第1刷発行

 『日帰りの夢』(ビッグコミックオリジナル2000年3月5日号掲載) ・ 『おやじグラフィティ』(同2001年2月20日号掲載) ・ 『義理のバカンス』(同2004年3月20日号掲載) ・ 『ヘルプ』(同2003年5月5日号掲載) ・ 『赤い花束』(同2002年6月20日号掲載) ・ 『パーマネント・ラブ』(同2005年2月20日号掲載)の6作品を収録.

BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集 運命の鳥
BIG COMICS 高橋留美子劇場4

2011年7月20日 初版第1刷発行
 
2015年7月22日 初版第1刷発行

 『ポジティブ・クッキング』(ビッグコミックオリジナル2006年3月5日号掲載) ・ 『年甲斐もなく』(同2010年3月5日号掲載) ・ 『運命の鳥』(同2009年3月20日号掲載) ・ 『しあわせリスト』(同2008年3月5日号掲載) ・ 『隣家の悩み』(同2011年3月20日号掲載) ・ 『事件の現場』(同2007年3月5日号掲載)の6作品を収録.

 上記4册は,『ビッグコミックオリジナル』に掲載された読みきり短編を収録した単行本ですが,大人向けに描かれたものだけあって,作者の他の作品群とは趣を異にしております.といっても,作者ならではの妖怪趣味やギャグは健在で,そ~ゆ~意味では従来の『る~みっくわ~るど』が展開されているわけですが,視点の違い,すなわち大人の女性(一部例外もありますが)から見た団地生活とかサラリーマン社会のような一種社会の病理的現象(これってかなり妖怪的ですよね?)に対して,シニカルな一瞥を投じているといった印象が,この作品群からは感じられるような気がいたします.個人的には,『Pの悲劇』『ポイの家』・『Lサイズの幸福』・『専務の犬』・『君がいるだけで』・『おやじローティーン』・『義理のバカンス』・『赤い花束』といった作品が好みです.


BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子短編集 鏡が来た

2015年7月22日 初版第1刷発行

 『鏡が来た』(ビッグコミックスペリオール2014年7月25日号掲載) ・ 『リベンジドール』(ビッグコミック2013年10月25日号掲載) ・ 『星は千の顔』(ビッグコミックスピリッツ2010年10月18日号掲載) ・ 『かわいい花』(ビッグコミック2003年11月10日号掲載) ・ 『with CAT』(週刊少年サンデー1999年10月27日号掲載) ・ 『MY SWEET SUNDAY』(あだち充×高橋留美子 週刊少年サンデー2009年4月1日号掲載)の6作品を収録.

 一連の『高橋留美子劇場』収録作とは微妙に違った作風を持つ短編が収録されていますが,『犬夜叉』以降の作者の作品群にちょっと物足りなさを感じつつあったでらちゃんにとっては,久しぶりに読み応えの感じられた作品集でした.初期の作品群が持っていたちょっと悪趣味なテイストがそこはかとなく感じられていてなかなか良いのです.


BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集 魔女とディナー

2019年9月23日 初版第1刷発行

 『魔女とディナー』(ビッグコミックオリジナル2014年3月20日号掲載) ・ 『やましい出来事』(同2012年3月20日号掲載) ・ 『死ねばいいのに』(同2016年3月20日号掲載) ・ 『不定形ファミリー』(同2017年4月20日号掲載) ・ 『㊙ルネッサンス』(同2015年3月20日号掲載) ・ 『私のスカイ』(同2013年3月20日号掲載)の6作品を収録.

 2012~17年『ビッグコミックオリジナル』に年1作ずつ掲載された短編を収録していますが,どの作品も傑作ぞろい.主人公がすべて初老の男性というのも,なんかいいです.

BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子傑作集 金の力

2024年4月3日 初版第1刷発行

 『ふたりの家』(ビッグコミックオリジナル2018年4月20日号掲載) ・ 『きみは No. 1』(同2019年5月5日号掲載) ・ 『嫌なランナー』(同2020年4月20日号掲載) ・ 『昔の女』(同2021年4月20日号掲載) ・ 『Sに捧ぐ』(同2022年5月20日号掲載) ・ 『金の力』(同2023年4月20日号掲載)の6作品を収録.

 2018~23年『ビッグコミックオリジナル』に年1作ずつ掲載された短編を収録.



BIG COMICS SPECIAL
高橋留美子劇場副読本
Oの悲劇 Oの喜劇

2005年8月1日 初版第1刷発行
企画・構成:キャラメル・ママ


SHONEN SUNDAY COMICS SPECIAL
るーみっくわーるど 35
SHOW TIME & ALL STAR

2013年6月22日 初版第1刷発行

SHOW TIME カラーイラスト集
ALL STAR 大事典
SUPECIAl COMICS MOON大ペット王

 高橋留美子画業35周年記念出版.


SHONEN SUNDAY COMICS SPECIAL
漫画家本 Vol. 14
高橋留美子本
TAKAHASHI RUMIKO BON

2019年12月4日 初版第1刷発行

執筆陣:夏目 房之介/近藤 ようこ/中川 いさみ/椎名 高志/仲俣 暁生/東 雅夫/etc

 4万字ロングインタビュー,単行本未収録作品「なにもない部屋」収録.


高橋留美子原画集
COROLS 1978 - 2024

2024年4月3日 初版第1刷発行

 原画集 イラストブック