Fanny Hill




0 ファニー・ヒル
FANNY HILL
by John Cleland
原作
1969年9月30日 第1版発行 三笠書房
著者:ジョン・クレランド
訳者:中込 純次
 18世紀イギリスの発禁小説.
 「第1の手紙」,「第2の手紙」の2部構成.
 表紙他に使用されている写真は下記スウェーデン映画『ファニー・ヒル』(1)より収録.

1 ファニー・ヒル
Fanny Hill
★★★
1968年 スウェーデン カラー 102 min
STAFF
監督:マック・アールベルイ
原作:ジョン・クレランド
撮影:ヤン・リンダストロム
CAST
ディアナ・チャール/ハンス・エルンバック/ケーベ・イェルム
 上記18世紀の発禁文学の映画化で,この前にも後にも何度も映画化されていますが,このスウェーデン映画では20世紀現在の話にアレンジされており,舞台となる街もロンドンからストックホルムに変更されています.ほぼ原作に準じたストーリー展開ではあるものの,処女であったファニーに性の目覚めを与えるのは女性だったはずなのですが,どういうわけかこの作品ではレズビアニズムを正面から描くことが避けられていてとっても残念でした.

2 若草のふくらみ ファニー・ヒル
Fanny Hill
★★★★★
1983年 西ドイツ/イギリス カラー 91 min
STAFF
監督:ゲイリー・オハラ
脚本:スティーヴン・チェスリー
原作:ジョン・クレランド
製作:ハリー・ベン
製作総指揮:ハリー・アラン・タワーズ
撮影:ヤン・リンダストロム
CAST
リサ・フォスター/オリヴァー・リード/ウィルフレッド・ハイド=ホワイト/シェリー・ウィンタース/バリー・ストークス
 こちらは西ドイツと本家イギリスによる製作で,時代設定等ほぼ原作通りに映像化されており,ヒロインが女性によって性の目覚めを与えられるシーンも美しく再現されています.主演のリサ・フォスターさんも可憐な魅力を十分に発揮していて,イギリスの名優オリヴァー・リードさんとシェリー・ウィンタースさんのお二人がそれを見事にフォローしています.個人的にはこの一連の映像作品の中では最も好きな作品です.

3 ファニー・ヒル 或る娼婦の伝説
Fanny Hill
★★★★
1995年 アメリカ カラー 86 min
STAFF
監督:ヴァレンタイン・パーマー
脚本:ヴァレンタイン・パーマー
原作:ジョン・クレランド
製作:ウィリアム・キャンベル
CAST
シェリル・デンプシー/ジェームズ・ハイトン/メラニー・シェパード/ギュンター・ビルガー/シドニー・ボンド/ヴァレンタイン・パーマー/マリー・ハドソン
 この作品ではファニーの回想・独白という形でドラマが構成されており,ほとんどファニー本人によるナレーションでストーリーが展開していくため,オトコの汚らしい声がほとんど聞かれなくてとてもよろしいのです.映像も美しく,ファニー役の女優さんもとても綺麗です.

4 ファニー・ヒル 禁断の扉
Fanny Hill
★★★
2007年 イギリス カラー 118 min
STAFF
監督:ジェームズ・ホーズ
脚本:アンドリュー・デイヴィス
原作:ジョン・クレランド
CAST
レベッカ・ナイト/アリソン・ステッドマン/エドワード・ハードウィック/フィリップ・ジャクソン/ルース・シーン/ヒューゴ・スピアー
 イギリス BBC 制作による,18世紀発禁官能小説の古典の TV ムービー化で,前・後編に分かれています.ヒロイン・ファニーの回想という形をとっていて,悲惨なラストにはならないことが予想されるため安心して観ていられるのですが,かなり原作のストーリーに近いような感じです.ファニーが女性によって性の目覚めを与えられるレズビアン・シーンがちょっとだけありますが,いわゆるレズビアニズムをモチーフとした映画ではありません.

5 ファニー・ヒル
Fanny Hill
★★★
2010年 イタリア カラー 96 min
STAFF
監督:メイ=チオ・ディマオ
脚本:ブルーノ・コレッラ
原作:ジョン・クレランド
音楽:ファブリツィオ・フォルナーチ
撮影:ダリオ・ゲルマーニ
編集:ダニエル・カンペリ
美術:クラウディオ・コセンティノ
衣装デザイン:マーク・ニューマン
メイク:ジャック・ディープ
CAST
ゾーイ・シンプソン/ポール・ベラリー/ジャック・ウォレス/マーガレット・ベリー/シンディ・ギャラガー/ジェシカ・サンダー/マーク・ケリントン/アーサー・カーター/サラ・バートン/ユーゴ・スティール/アリシア・マクダウェル/ケイト・モリスン/カトリーヌ・ブロック/ヴィクトリア・パーカー
 これまでの各作品を観比べてみたところ,主人公の性の目覚めが女性によってなされる点は共通しているのですが,レズビアニズムに関するエピソードはこのイタリア作品が最も強調されていたような感じでした.そういう意味で,いわゆるレズビアン映画ではありませんが,男女と女性同志の性愛がよく比較でき,やはり女性同士は美しく,男の裸は汚くて滑稽な感じがしてしまうのです.しかしながら,この映画では作者のジョン・クレランド自身が狂言回しとして登場しており,ストーリーの展開も他の作品とかなり異なっていますが,うやむやな結末に関しては消化不良を起こしたような不満が残りました.