Horror




1 ローズマリーの赤ちゃん
Rosemary's Baby
★★★★★
1968年 アメリカ カラー 137 min
STAFF
監督:ロマン・ボランスキー
脚本:ロマン・ボランスキー
製作:ウィリアム・キャッスル
製作総指揮:ロバート・エヴァンス
音楽:クリシュトフ・コメダ
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
編集:ボブ・ワイマン/サム・オスティーン
CAST
ミア・ファロー/ジョン・カサヴェテス/ルース・ゴードン/シドニー・ブラックマー/モーリス・エヴァンス/ラルフ・ベラミー
 大学に入学した年に初めて東京で観た映画が『マニトウ』だったのですが,似たような作品としてこの作品を認識していて,ず~っと観たいと思っていたにも関わらずつい観そびれていて,2020年になってやっと DVD を購入して観ることができました.で,感想ですが,『ホラー映画の最高傑作』と言われるだけあって,すごい作品だと思います.何よりもおかしな造り物や悪趣味なスプラッタ・シーンなどが皆無でありながら,観る者を捉えて離さない静かな恐怖が全編にわたって感じられる点,まさに『ホラー映画の原点』と言っていい作品だと思います.

2 エクソシスト
The Exorcist

DIRECTOR'S CUT EDITION
★★★★
1973年 アメリカ カラー 132 min
STAFF
監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作総指揮:ノエル・マーシャル
音楽:マイク・オールドフィールド/ジャック・ニッチェ
撮影:オーウェン・ロイズマン
編集:ノーマン・ガイ/エヴァン・A・ロットマン/バド・S・スミス
CAST
エレン・バーステイン/マックス・フォン・シド―/リー・J・コッブ/キティ・ウィン/ジャック・マッゴーラン/ジェイソン・ミラー/リンダ・ブレア/ウィリアム・オマリー/バートン・ヘイマン/ピート・マスターソン/ルドルフ・シュンドラ―/ジーナ・ペトルーシュカ/ロバート・シモンズ/バシリキ・マリアロス/ロン・フェーバー/マーセデス・マッケンブリッジ
 ジョージ・ロイ・ヒル監督の『スティング』と1973年度アカデミー賞の各部門を競い合った大ヒット作ですが,結果は残念ながら復古調の『スティング』の圧勝で,「意外」と評されてました.しかしながら,以後のホラー・オカルト・ムービー・ブームの礎となった先駆者的作品であり,特撮も見事だったと思います.でも,実は公開当時見逃していて,TVでも通して観たことがなかったので,今回DVDで観たこの『ディレクターズ・カット・エディション』が初めてでした.本当は岸田森さんがジェイソン・ミラーさんの吹き替えを担当したTV版を観たいのですが....

3 ヘルハウス
The Legend of HELL HOUSE
★★★★★
1973年 アメリカ カラー 95 min
STAFF
監督:ジョン・ハフ
脚本:リチャード・マシスン
原作:リチャード・マシスン
製作:アルバート・フェネル
製作総指揮:ジェームズ・H・ニコルソン
音楽:ブライアン・ホジソン/デライア・ダービシャー
撮影:アラン・ヒューム
編集:ジョフリー・フット
CAST
パメラ・フランクリン/ロディ・マクドウォール/クライヴ・レヴィル/ゲイル・ハニカット/ローランド・カルヴァ―/ピーター・ボウルズ/マイケル・ガフ(ノン・クレジット)
 何といってもラスト,『吠える巨人』エメリック・ベラスコのトホホな秘密が明らかになるシーンでのロディ・マクドウォールさんの熱演が見事で圧倒されました.この方,他の作品では決して主役を喰ってしまうようなことがないバイ・プレーヤーに徹した,逆の意味で凄く存在感のある俳優さんで,大好きな役者さんなのですが,ここでは堂々たる主役を演じています(トップ・クレジットはパメラ・フランクリンさんですが,物語の中で最初に姿を消してしまいます).また,アン役のゲイル・ハニカットさん,日本では全く知られていない女優さんですが,この頃アラン・ドロンさんの『スコルピオ』で相手役を演じていて,やはりお気に入りの女優さんなのでして,この方も悪霊に催淫術をかけられてしまう,妖艶にして鬼気せまる演技を見せてくれています.他にクライヴ・レヴィルさん,パメラ・フランクリンさんも含めて,現在考えてみると本当に見事な顔合わせのキャスティングがこの映画の魅力となっています.

4 悪魔のはらわた
Flesh for Frankenstein
★★★★★
1973年 イタリア・フランス カラー 95 min
STAFF
監修:アンディ・ウォーホル
監督:ポール・モリセイ
脚本:ポール・モリセイ
製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ
製作総指揮:カルロ・ポンティ
音楽:クラウディオ・ジッツィ
撮影:ルイジ・クヴェイレル
編集:ジェド・ジョンソン
特殊効果:カルロ・ランバルディ
CAST
ジョー・ダレッサンドロ/ウド・キア―/モニーク・バン・ブーレン/アルノ・ジェエギング/ダリラ・ディ・ラッツァーロ/ニコレッタ・エルミ
 でらちゃんが14歳のときに初めて見に行った成人指定映画で,公開当時は 3D 立体映画でした.目の前に生々しい臓物や刃物がせまってきて迫力ありました.「腎臓…,胆嚢…,肝臓…」と女性の改造人間の内臓の名を口にしながら恍惚とするフランケンシュタイン男爵,その胆嚢へのファックシーン,老女オルガを襲って殺してしまうオットー,ウド・キアー氏とアルノ・ジェエギング氏の変態演技が見事です.

5 処女の生血
Blood for Dracula
★★★★★
1974年 カラー 105 min アメリカ・フランス・イタリア
STAFF
監修:アンディ・ウォーホル
監督:ポール・モリセイ
脚本:ポール・モリセイ
製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ/ジャン・イアンヌ
製作総指揮:カルロ・ポンティ
音楽:クラウディオ・ジッツィ
撮影:ルイジ・クヴェイレル
編集:フランカ・シルヴィ
CAST
ジョー・ダレッサンドロ/ウド・キア―/ロマン・ポランスキー/ヴィットリオ・デ・シーカ/アルノ・ジェエギング/マキシム・マッケンドリー/ステファニア・カッシーニ/ドミニク・ダレル/シルヴィア・ディオニシオ
 『悪魔のはらわた』と『処女の生血』,この2本に関してウォーホル氏は名前を貸しているだけで実際には制作には関わっていないということなので,厳密にはウォーホル映画とは言えないのですが好きなのです.さて今回は処女の生血しか吸えない可哀想なドラキュラ家の末裔のお話.前作のやたら内臓が画面にせまってくる悪趣味なスプラッタ大会とはちょっと趣を異にしたホラー・ムービーで,血を吸う度にゲーゲー戻すドラキュラさんが気の毒なのですが,これってコメディだよね.ウド・キアー氏の情けない演技が見事すぎて,前作同様ジョー・ダレッサンドロ氏の影薄いです.あと,エスメラルダ,サフィリア,ルビニア,ベルネの4姉妹を演じる女優さんたちが,みんな綺麗でした.特に3女・ルビニアを演じたステファニア・カッシーニさんは,後に『サスペリア』のサラ役を演じる,お気に入りの女優さんです.

6 悪魔のいけにえ
The Texas Chain Saw Massacre
★★★★
1974年 アメリカ カラー 83 min
STAFF
監督:トビ―・フーバー
脚本:キム・ヘンケル/トビ―・フーバー
製作:トビ―・フーバー/ルー・ペレイノ
製作総指揮:ジェイ・バースレイ
音楽:ウェイン・ベル/トビ―・フーバー
撮影:ダニエル・バール
編集:ラリー・キャロル/サリー・リチャードソン
CAST
マリリン・バーンズ/アレン・ダンジガ―/ポール・A・パ―テイン/ウィリアム・ヴェイル/テリー・マクミン/エドウィン・二―ル/ジム・シードウ/ガンナー・ハンセン/ジョン・ドゥガン/ジェリー・グリーン/エド・グイン/ジョン・ラロケット(ナレーション)
 レザーフェイスがチェーンソーを振り回す伝説のカルト・ムービーですが,現在観るとスプラッタ・ホラーといっても,それほど過激な描写は見られません.ストーリーについては,実在したシリアル・キラー,エド・ゲインの事件をモデルにしたというのが通説となっていましたが,実際は冒頭のテロップ『これは真実の物語である』と事件が結びつけられてそのまま通説として流布されてしまったものらしいです.

7 悪魔の追跡
Race with the Devil
★★★★★
1975年 アメリカ カラー 89 min
STAFF
監督:ジャック・スターレット
脚本:リー・フロスト/ウェズ・ビショップ
製作:ウェズ・ビショップ
製作総指揮:ポール・マスランスキー
音楽:レナード・ローゼンマン
撮影:ロバート・ジェサップ
編集:ジョン・F・リンク
CAST
ピーター・フォンダ/ウォーレン・オーツ/ロレッタ・スウィット/ララ・パーカー/R・G・アームストロング
 大好きな映画です.『アクション・ホラー』なんていうジャンルが本当にあるのかわかりませんが,この作品くらい全編89分全く無駄のない映画って本当に珍しいと思います.『アメリカン・ニューシネマ』のトップ・スターだったピーター・フォンダさんについて,ブーム終了後は他のスターとは異なりB級映画にその活動の場を移してしまったようによく書かれていますが,B級映画のどこが悪い? むしろ,大作・芸術作を避けたことが,他のアクターと違って没個性化を避けることができたことにつながっていて,この人の場合正解だったと思うのです.この作品のジャック・スターレットさんは,やはり中学生の時に観たバイク映画で大好きな作品『殴り込みライダー部隊』の監督さんだったことを,最近になって知りました.

8 オーメン
The Omen
★★★
1976年 アメリカ カラー 111 min
STAFF
監督:リチャード・ドナー
脚本:デヴィッド・セルツァー
製作:ハーヴェイ・バーンハード
製作総指揮:メイス・ニューフェルド
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:ギルバート・テイラー
編集:スチュアート・ベアード
CAST
グレゴリー・ペック/リー・レミック/デビッド・ワーナー/ビリー・ホワイトロー/ハーヴェイ・スティーブンス/パトリック・トラウトン/マーティン・ベンソン/レオ・マッカーン/アンソニー・ニコルズ
 『エクソシスト』に続くホラー映画の大ヒット作ですが,この頃あまりヒットしている映画は観に行かないという悪いクセがあって,この映画も全編通して観たことがなく,TVで断片的には観ていましたが,今回DVDを入手して初めて通しt通して観ることができました.しかしながら,結末がわかっているホラー映画なんて面白さが半減してしまうのは当たり前の話なので,やっぱり評判の高かった作品はその時に観ておくべきでした.反省.



9 キャリー
Carrie
★★★
1976年 アメリカ カラー 98 min
STAFF
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:ローレンス・D・コーエン
原作:スティーヴン・キング
製作:ポール・モナシュ/ブライアン・デ・パルマ
音楽:ピノ・ドナッジオ
撮影:ポール・ハーシュ
編集:スチュアート・ベアード
CAST
シシー・スペイセク/パイパー・ローリー/エイミー・アーヴィング/ウィリアム・カット/ジョン・トラボルタ/ナンシー・アレン/ベティ・バックリー/P・J・ソールズ/シドニー・ラシック/マイケル・タルボット
 この作品は今回 DVD を入手して初めて観ました.ホラー映画としてはそれほどの作品ではないと思いますが,むしろヒューマン・ドラマとして観た場合,本当に怖ろしいのはヒロインの超能力ではなく,その要因を作った彼女の母親の歪んだ信仰心だったと思います.でも何よりも本当に恐いのはブタさんを虐殺するトラボルタくんでした.こどもって残酷で恐いです.

10 ザ・ショック
Schock
★★★★
1976年 イタリア カラー 93 min
STAFF
監督:マリオ・バーバ
脚本:ランベルト・バーバ/F・バルビエリ/P・プリジェンティ/D・サケッティ
製作:テュリ・ヴァージル
製作総指揮:サルヴァトーレ・アルジェント
音楽:イ・リブラ
撮影:アルベルト・スパリョーニ
CAST
ダリア・ニコロディ/ジョン・スタイナー/デヴィット・コリン・Jr/アイヴァン・アシモフ
 大学生の頃,三鷹文化か三鷹オスカーのどちらかの名画座で,『ファンタズム』他1本との3本立てで観ました.ストーリー自体はホラー映画にはよくありそうな話で新鮮味には欠けますが,ヒロインのダリア・ニコロディさんの美しさとおどろおどろしいスプラッタ描写のシュールな組み合わせと BGM が印象に残りました.のちにこの方がダリオ・アルジェント監督のパートナーで,『サスペリア』を企画した方だと知って驚きました,

11 サスペリア
Suspiria
★★★★★
1977年 イタリア カラー 99 min
STAFF
監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント/ダリア・ニコロディ
製作:クラウディオ・アルジェント
製作総指揮:サルヴァトーレ・アルジェント
音楽:ゴブリン/ダリオ・アルジェント
撮影:ルチアーノ・トヴァリ
編集:フランコ・フラティチェリ
CAST
ジェシカ・ハーパー/ステファニア・カッシーニ/ルドルフ・シュンドラ―/ミゲル・ポセ/フラヴィオ・ブッチ/エヴァ・アクセン/バーバラ・マグノルフィ/ウド・キア―/アリダ・ヴァリ/ジョーン・ベネット
 上記『ザ.ショック』のダリア・ニコロディさんが,パ―トナーのダリオ・アルジェント監督と企画したオカルト映画で,脚本にも参加しています.この作品の大ヒットによって,ダリオ・アルジェント監督は『ホラーの帝王』と称されるようになりますが,この作品は高校生の頃,公開当時ロードショーで観た数少ない映画の1本です.また,アンディ・ウォーホル作品にも出演していたステファニア・カッシーニさんを初めて知ったのもこの作品だったので,かなり印象に残っている映画です. DVD には『鬼才ダリオ・アルジェントが創造したビジュアル・ホラーの金字塔』とありますが,ビジュアル面も確かに凄いのですが,それ以上に ゴブリンの BGM や,空港の自動ドアや嵐の音等の SE 等,館内に響き渡る音響効果の方が凄まじかったのが印象に残っています.ラストが少々安易すぎるような気がしますが,それには目をつぶって,あとは全くストーリー展開に無駄のない最高のホラー映画だと思います.やはりホラーはイタリアっしょ?

12 マニトウ
THE MANITOU
★★★
1977年 アメリカ カラー 104 min
STAFF
監督:ウィリアム・ガードラー
脚本:ジョン・セダー/トーマス・ホープ/ウィリアム・ガードラー
原作:グレアム・マスタートン
製作:ウィリアム・ガードラー
製作総指揮:メルヴィン・G・ゴーディ/デヴィッド・シェルダン
音楽:ラロ・シフリン
撮影:ミシェル・ユーゴー
編集:バブ・アスマン
CAST
トニー・カーティス/マイケル・アンサラ/スーザン・ストラスバーグ/ステラ・スティーヴンス/ジョン・セダー/アン・サザーン/バージェス・メレディス/ポール・マンティー/ジャネット・ノーラン/ルレン・タトル/マイケル・ラーレン/フェリックス・チェア
 大学に入学して,初めて東京で観た映画で,しばらく一緒に観に行った友人と「ぱな~,うぃち~,さりとぅ~」という『マニトウごっこ』をして遊んでいましたが,全く流行りませんでした.オカルト・ホラー・ブームに乗っかろうとしたB級作品で,この監督さんこれ以前には動物パニック映画ブームに乗っかろうとして『ジョーズ』をパロった『グリズリー」なんて作品を観たことがありましたが,今回も『エクソシスト』,『ローズマリーの赤ちゃん』のパロディーともいえる作品でした.今思うとパロディー映画の第一人者だったのかもしれませんが,この後しばらくして亡くなってしまったので,これが遺作となってしまいました.というわけで,カルト・ムービーとして根強い人気を得ていて,中古 DVD はやはり高値をよんでいます.

13 ゾンビ
DAWN of the DEAD
DIRECTOR'S CUT EDITION
★★★
1978年 アメリカ カラー 139 min
STAFF
監督:ジョージ・A・ロメロ
脚本:ジョージ・A・ロメロ/ダリオ・アルジェント
原作:グレアム・マスタートン
製作:クラウディオ・アルジェント/アルフレッド・クオモ/リチャード・P・ルービンスタイン
音楽:ゴブリン/ダリオ・アルジェント
撮影:マイケル・ゴーニック
編集:ジョージ・A・ロメロ
特殊効果:トム・サヴィー二
CAST
ケン・フォリー/デビッド・エンゲ/スコット・H・ライニガー/ゲイラン・ロス/トム・サヴィー二/デヴィッド・クロフォード/デヴィッド・アーリー/リチャード・フランセ/ジョン・バシィシコ/ダニエル・ディートリッヒ/フレッド・ベイカー/ロッド・スタウファー/ジョー・セルビー/ホセ・デル・グレ/ルディ・リッチ/ラリー・ヴァイラ/ジョージ・A・ロメロ/クリスティーン・フォレスト
 従来のホラー映画の中に『ゾンビ映画』という新たなジャンルを確立してしまったロメロ監督の出世作.でも『エクソシスト』や『オーメン』同様,ヒット作に限って観ていなくて,今回DVDで観たこの『ディレクターズ・カット・エディション』が初めてでした.そんなわけであまり期待していなかったのですが,前半の畳みかけるようなストーリーの展開は余分な描写が少なくついつい画面に引き込まれてしまう感じで意外と凄い映画かも?と思わされました.しかしながら物語の中盤でメンバーの1人が死んで,暴走族の襲撃を受けるあたりからのスラップスティックな展開は,本当はここからがこの映画の見どころなのでしょうが,観る前に抱いていた先入観どおりの作風であまり感心できませんでした.

14 ファンタズム
Phantasm
★★★★
1979年 アメリカ カラー 118 min
STAFF
監督:ドン・コスカレリ
脚本:ドン・コスカレリ
製作:ドン・コスカレリ
音楽:フレッド・マイロー/マルコム・シーグレイヴ
撮影:ドン・コスカレリ
編集:ドン・コスカレリ
CAST
マイケル・ボールドウィン/ビル・ソーンベリー/レジー・バニスター/キャシー・レスター/アンガス・スクリム
 幻想的というよりすごくわかりにくいストーリーで難解な映画.でも,難しいけど面白い,不思議な魅力を持った作品.そして,ラスト,救いがないけど心に残る余韻,これ何でしょう?

15 悪魔の棲む家
The Amityville Horror
★★★★
1979年 アメリカ カラー119 min
STAFF
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
脚本:サンドール・スターン
原作:ジェイ・アンソン
製作:ロナルド・サランド/エリオット・ガイシンガー
製作総指揮:サミュエル・Z・アーコフ
音楽:ラロ・シフリン
撮影:フレッド・J・コーネカンプ
編集:ロバート・ブラウン・Jr
CAST
ジェームズ・ブローリン/マーゴット・キダー/ロッド・スタイガー/ドン・ストラウド/マーレイ・ハミルトン/ジョン・ラーチ/ナターシャ・ライアン/K・C・マーテル/ミーノ・ペルス/マイケル・サックス/ヘレン・シェイヴァ―/エイミー・ライト/ヴァル・エイヴリー/アイリーン・デイリー/マーク・ヴァハニアン/エルザ・レイヴン/ジェームズ・トールカン
 1974年に起きたと言われている超常現象を題材としたジェイ・アンソンのベストセラー小説を原作としたホラー映画.ヘレナ叔母さん,二人の神父と刑事,甥のジミー,共同経営者のジェフと霊感の強いキャロリンのカップル等,サブ・キャラクターの登場する意味ありげなエピソードがどれも中途半端に終わってしまい消化不良を起こしてしまっている感がありますが,メイン・ストーリーはわかりやすい『呪われた館』モノで,現実的といえば現実的という感じの脚本でした.一方ラストのハリー(さて誰でしょう?)救出のエピソードはよくやってくれたって感じ,この部分だけで観る価値のある映画だと思いました.

16 13日の金曜日
Friday the 13th
★★★★★
1980年 アメリカ カラー 95 min
STAFF
監督:ショーン・S・カニンガム
脚本:ヴィクター・ミラー
製作:ショーン・S・カニンガム
製作総指揮:アルヴィン・ゲイラー
音楽:ハリー・マンフレディーニ
撮影:バリー・エイブラムス
編集:ビリー・フレーダ
CAST
ベッツィ・パーマー/エイドリアン・キング/ジャニーヌ・テイラー/ロビー・モーガン/ケヴィン・ベーコン/ハリー・クロスビー/ローリー・バートラム/マーク・ネルソン/ピーター・ブローワー/レックス・エヴァーハート/ロン・ミルキー/ウォルト・ゴーニー/アリ・レーマン
 あまりにも有名な殺人鬼ジェイソンを生んだヒット・シリーズの第1作ですが,やはり一番恐かったのは,この作品におけるジェイソンでした.わかりますね?



17 エルム街の悪夢
A Nightmare on Elm Street
★★★★
1984年 アメリカ カラー 91 min
STAFF
監督:ウェス・クレイヴン
脚本:ウェス・クレイヴン
製作:ロバート・シェイ
製作総指揮:スタンリー・ダデルソン/ジョセフ・ウルフ
音楽:チャールズ・バーンスタイン
撮影:ジャック・ヘイトキン
編集:リック・シャイン
CAST
ジョン・サクソン/ロニー・ブレイクリー/ヘザー・ランゲンカンプ/アマンダ・ワイス/ニック・コッリ/ジョニー・デップ/チャールズ・フィッシャー/ジョゼフ・ホイップ/ジョー・アンガー/ロバート・イングランド
 ジェイソンと並び称される殺人鬼フレディの登場するシリーズ第1作.他のどんなホラー映画以上に非現実的でありえないストーリーで,結局は夢オチでしか説明できないと思わせ,実際にその通りと思いきや,という二転三転するラストが痛快といえば痛快なヘンな作品.また,ヒロインが本当に嫌な性格の娘として描かれていて,全く感情移入ができないのですが,そこまで計算されて作られているとしたら,ある意味本当にスゴイ映画だと思います.

18 羊たちの沈黙
the silence of the lambs
★★★★★
1992年 アメリカ カラー 118 min
STAFF
監督:ジョナサン・デミ
脚本:テッド・タリー
原作:トマス・ハリス
製作:エドワード・サクソン/ケネス・ウット/ロン・ボズマン
製作総指揮:ゲイリー・ゴーツマン
音楽:ハワード・ショア
撮影:タク・フジモト
編集:クレイグ・マッケイ
CAST
ジョディ・フォスター/アンソニー・ホプキンス/スコット・グレン/テッド・レヴィン/アンソニー・ヒールド/ケイシー・レモンズ/ブルック・スミス/ダイアン・ベイカー/フランキー・R・フェイソン/ロジャー・コーマン/トレイシー・ウォルター/チャールズ・ネイピア/ダニー・ダースト/アレックス・コールマン/ダン・バトラー/ポール・ラザール/ロン・ヴォーター/ハリー・ノーサップ/クリス・アイザック/ブレント・ヒンクリー/シンシア・エッティンガー/ローレン・ロゼリ/ケネス・ウット/チャック・アバー/レイブ・レンスキー/スチュアート・ルーディン/マーシャ・スコロボガトフ/ジェフリー・レーン/ジョージ・A・ロメロ(ノンクレジット)
 第64回アカデミー賞で,『或る夜の出来事』,『カッコーの巣の上で』に次いで,主要5部門受賞,さらに,アカデミー作品賞を受賞した唯一のホラー映画(2022年現在)らしいです.主役のレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスさんは続編『ハンニバル』,続々編『レッド・ドラゴン』でも同役を演じ,最大の当たり役となりましたが,ヒロイン・クラリス役のジョディ・フォスターさんは,この作品のみの出演でした.昔,テイタム・オニールさん,ブルック・シールズさん,ジョディ・フォスターさんが3大ロリキャラ女優として人気が高かった頃,私はこの方が一番魅力的で女優として大きく成長するっと思っていたので,先見の明があったのだと自負しています.登場する殺人鬼バッファロー・ビルは実在のシリアル・キラー,エド・ゲインとテッド・バンディがモデルとなっており,また,『ゾンビ』のジョージ・A・ロメロ監督が FBI 捜査官役でカメオ出演しています.

19 ハンニバル
HANNIBAL
★★★★
2001年 アメリカ・イギリス・イタリア カラー 131 min
STAFF
監督:リドリー・スコット
脚本:デヴィッド・マメット/スティーヴン・ザイリアン
原作:トマス・ハリス
製作:ティノ・デ・ラウレンティス/マーサ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:フランコ・ラスティグ
音楽:ハンス・ジマー
撮影:ジョン・マシソン
編集:ピエトロ・スカリア
CAST
アンソニー・ホプキンス/ジュリアン・ムーア/ゲイリー・オールドマン/レイ・リオッタ/フランキー・R・フェイソン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/フランチェスカ・ネリ/ジェリコ・イヴァネク/ヘイゼル・グッドマン/デヴィッド・アンドリュース/フランシス・ガイナン/エンリコ・ロー・ヴェルソ/イヴァノ・マレスコッティ/ファブリツィオ・ジフーニ/アレックス・コラード/テッド・コッホ/アンドレア・ビーディモンテ/イアン・イワタキ/マーク・マーゴリス
 トマス・ハリスさん原作『ハンニバル3部作』の完結編.前作のジョディ・フォスターさんに替わってジュリアン・ムーアさんが FBI 女性捜査官クラリス・スターリングを演じています.前作に比べて残酷で猟奇的なシーンが多く,ホラー映画としての印象はかなり強烈なものとなっていますが,ストーリーの結末は原作の救いのない結末からは大きく変更されており,結果としてはそれは正解だったと思います.久しぶりに,ジャンカルロ・ジャンニーニさんのお姿を拝見しましたが,わりと簡単に殺されて姿を消してしまったのが,ちょっと残念でした.

20 レッド・ドラゴン
RED DRAGON
★★★★
2002年 アメリカ カラー 124 min
STAFF
監督:ブレット・ラトナー
脚本:テッド・タリー
原作:トマス・ハリス
製作:ティノ・デ・ラウレンティス/マーサ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:アンドリュー・Z・デイヴィス
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:マーク・ヘルフリッチ
CAST
アンソニー・ホプキンス/エドワード・ノートン/レイフ・ファインズ/ハーヴェイ・カイテル/エミリー・ワトソン/メアリー=ルイーズ・パーカー/フィリップ・シーモア・ホフマン/アンソニー・ヒールド/ケン・レオン/フランキー・フェイソン/タイラー・パトリック・ジョーンズ/トム・ペリカ/マルグリット・マッキンタイア/トミー・カーティス/ジョーダン・グルーバー/モーガン・グルーバー/アレックス・D・リンツ/ウィリアム・ラッキング/エレン・バーステイン(ノンクレジット)/フランク・ホエ―リー(ノンクレジット)
 トマス・ハリスさん原作『ハンニバル3部作』の第1作目『レッド・ドラゴン』の,1986年の『刑事グラハム/凍りついた欲望』に続く2度目の映画化.結局のところ,『羊たちの沈黙』の大ヒットを受けて,アンソニー・ホプキンスさん主演で3部作の全てが作られたわけですが,この後トマス・ハリスさんは4作目の『ハンニバル・ライジングを執筆・刊行し,さらに映画化されるという無節操な状態となっていきます.アンソニー・ホプキンスさんが出演していない,最初に映画化された『刑事グラハム』も最後の『ハンニバル・ライジング』も観ていませんが,アンソニーさん主演の『3部作』に関してはいずれも,よくできたホラー映画だと思います.

21 悪魔の棲む家
The Amityville Horror
★★
2005年 アメリカ カラー 90 min
STAFF
監督:アンドリュー・ダグラス
脚本:スコット・コーサー
製作:マイケル・ベイ/アンドリュー・フォーム/ブラッド・フラー
製作総指揮:デヴィッド・クロケット/テッド・フィールド
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
撮影:ピーター・ライオンズ・コリスター
編集:ロジャー・バートン/クリスチャン・ワグナー
CAST
ライアン・レイノルズ/メリッサ・ジョージ/ジェシー・ジェームズ/ジミー・ベネット/クロエ・グレース・モリッツ/レイチェル・ニコルズ/フィリップ・ベイカー・ホール/イザベル・コナー/ブレンダン・ドナルドソン/リッチ・コメニッチ
 1979年のヒット作のリメイク.オリジナルが良くできている作品ほどリメイクは難しいのですが,興行的にはそこそこの成功を収めたらしいです.内容的にはオリジナルの弱点であった2人の神父や刑事,共同経営者等の未消化な感を与えていたサブ・ストーリーを排除するとともに,オリジナルでは姿を見せなかった少女の亡霊を画像化する等,差別化を図ってはいますが,残念ながら成功しているとは思えません.なんといっても一番許せないのが,前作ではラストで助けられたハリー(さて誰でしょう?)が,今回は物語の中盤で惨殺されてしまったことなのであります.

22 アンチクライスト
Antichrist
★★★★★
2009年 デンマーク・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリア・ポーランド カラー 104 min
STAFF
監督:ラース・フォン・トリアー
脚本:ラース・フォン・トリアー
製作:ミタ・ルイーズ・フォルデイガー
製作総指揮:ペーター・オルベク・イェンセン/ペーター・ガルデ/ベティーナ・プロケンバー
音楽:クリスチャン・エイネス・アンダーソン
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:アサ・モスベルグ/アナス・レフン
CAST
ウィレム・デフォー/シャルロット・ゲンズブール
 ランス・フォン・トリアー監督の『鬱三部作』の第1作目で,この後『メランコリア』,『ニンフォマニアック』(当サイト "Sexual Addiction" の項参照)と続きます.さて,この作品を『ホラー』のカテゴリーに入れることには賛否両論あると思いますが,まぎれもないホラー・サスペンス”でも”あると思います.特に『彼女』を演じるシャルロット・ゲンズブールさんの壊れっぷりが凄まじく,彼女はこの壮絶な演技でカンヌ国際映画祭主演女優賞を獲得しており,三部作の全てで重要な役を演じています.ジェーン・バーキンさんの娘さんです.

23 エルム街の悪夢
A Nightmare on Elm Street
★★
2010年 アメリカ カラー 95 min
STAFF
監督:サミュエル・ベイヤー
脚本:ウェズリー・ストリック/エリック・ハイセラー
製作:マイケル・ベイ/アンドリュー・フォーム/ブラッド・フラー
製作総指揮:ロバート・シェイ/マイケル・リン/マイク・ドレイク/リチャード・ブレナー/ウォルター・ハマダ/デイブ・ノイスタッター
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
撮影:ジェフ・カッター
編集:グレン・スキャントベリー
CAST
ジャッキー・アール・ヘイリー/カイル・ガルナ―/ルーニー・マーラ/ケイティ・キャシディ/トーマス・デッカー/ケラン・ラッツ/コニー・ブリットン/クランシー・ブラウン
 第8作まで製作されたヒット・シリーズの,1984年に製作されたシリーズ第1作のリメイク.前作よりもフレディというキャラクターが詳しく張り下げられており,ニ点三転するストーリーや衝撃的なラスト等前作を踏襲してはいるものの,やはりリメイクがオリジナルを超えることの難しさを証明した作品となっています.そして何故か物語中盤で犬が惨殺された描写があって許せない点まで,『悪魔の棲む家』のリメイクと共通しているのは,これ偶然かしら?

24 ダーク・シャドウ
Dark Shadows
★★★★★
2012年 アメリカ カラー 114 min
STAFF
監督:ティム・バートン
脚本:セス・グレアム=スミス
原案:ジョン・オーガスト/セス・グレアム=スミス
原作:ダン・カーティス
製作:ティム・バートン/グレアム・キング/クリスティー・デンブロウスキー/ジョニー・デップ/デヴィッド・ケネディ/リチャード・D・ザナック
製作総指揮:ナイジェル・ゴストゥロウ/クリス・レベンソン
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:ブリュノ・デルボネル
編集:クリス・レベンソン
CAST
ジョニー・デップ/ミシェル・ファイファー/ヘレナ・ポナム・カーター/エヴァ・グリーン/ジャッキー・アール・ヘイリー/ジョニー・リー・ミラー/ベラ・ヒースコート/クロエ・グロース・モリッツ/ガリー・マクグラス/レイ・シャーリー/クリストファー・リー/アリス・クーパー
 これ,ホラーといってもほとんどコメディですが….アリス・クーパーさんが出演しているというので映画そのものにはあまり期待しないで DVD を購入したのですが,面白かったです.ストーリーそのものも良いのですが,それ以上に主役のコリンズ・ファミリーの面々のキャラクター設定が個性的で,キャスティングが魅力的です.個人的には,アリス・クーパーさんはじめ,1970年代の ROCK の名曲が次々と出てくる BGM も最高に嬉しかったのでした.