Lesbianism




1 制服の処女
MADCHENIN UNIFORM
★★★★
1931年 ドイツ モノクロ 87 min
STAFF
監督:レオンティーネ・サガン
監修:カール・フレーリッヒ
脚本:クリスタ・ウィンスロー/F・D・アンダム
原作:クリスタ・ウィンスロー
製作:カール・フレーリッヒ/フリードリヒ・プフルークハウプト
音楽:ハンソム・ミルデ=マイズナー
撮影:ライマール・クンシュ(ノン・クレジット)/フランツ・ワイマール(ノン・クレジット)
編集:オズヴァルト・ハーフェンリヒター(ノン・クレジット)
美術:フリッツ・モーリシャット/フリードリヒ・ヴィンクラ―=タンネンベルク
CAST
ドロテア・ヴィークヘレタ・フィーレ/ヘドヴィッヒ・シュリヒター/エミリア・ウンダ/エレン・シュヴァンネケ/イルセ・ウィンター
 寄宿制女子校における美貌の女教師に対する女生徒の恋を描いた,すごくありがちな設定のドラマですが,多分これまでに観た中で最も古いレズビアン映画だと思われます.日本でも大ヒットして,この後似たようなストーリーの映画が作られたらしいです.

2 この三人
There Three
★★★★
1936年 アメリカ モノクロ 91 min
STAFF
監督:ウィリアム・ワイラー
脚本:リリアン・ヘルマン
原作:リリアン・ヘルマン
製作:サミュエル・ゴールドウィン
音楽:アルフレッド・ニューマン
撮影:グレッグ・トーランド
編集:ダニエル・マンデル
美術:リチャード・デイ
衣装:オマー・カイアム
CAST
ミリアム・ホプキンスマール・オベロン/ジョエル・マクリー/キャサリン・ドゥセット/アルマ・クルーガー/ボニータ・クランヴィル/マーシャ・メイ・ジョーンズ/カルメンシータ・ジョンソン/マーガレット・ハミルトン/マリー・ルイス・クーパー/ウォルター・ブレナン
 1934年ニューヨークで初演されたリリアン・ヘルマンさんの戯曲『子供の時間』の映画化.原作はレズビアニズムをテーマとしていたがプロデューサーが難色を示し,またハリウッドの当時のヘイズ・コードにひっかかったため,ストーリーの内容が三角関係に変更されているといういわくつきの作品.監督のワイラーさんはこの作品の出来に満足できなかったため,後に本来のテーマで再映画化したのが1961年の『噂の二人』(3)で,そちらはレズビアン映画として高く評価されていますが,個人的にはこちらの作品もレズビアニズムに関する描写を残そうとした痕跡がそこはかとなく覗われ,よくできた作品だったと思います.

3 噂の二人
The Children's Hour
★★★★★
1961年 アメリカ モノクロ 109 min
STAFF
監督:ウィリアム・ワイラー
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
原作:リリアン・ヘルマン
製作:ウィリアム・ワイラー
音楽:アレックス・ノース
撮影:フランツ・ブラナー
編集:ロバート・スウィンク
美術:フェルナンド・カルーレ
衣装:ドロシー・ジ―キンス
CAST
オードリー・ヘプバーンシャーリー・マクレーン/ジェームズ・ガーナー/ミリアム・ホプキンス/ヴェロニカ・カートライト/フェイ・ベインター/カレン・バルキン
 レズビアン映画の古典ともいうべき作品ですが,本筋となるストーリーはすご〜くいや〜な話で,こ〜ゆ〜の観るとますます子供が嫌いになります.しかしながら,その陰に描写されているマーサ(シャーリー・マクレーンさん)のカレン(オードリー・ヘプバーンさん)に対する感情等,明らかにレズビアニズムを取り扱った秀作です.タイトルは直訳すれば『子供の時間』なのですが,こどもの持つイヤな部分がよく描かれていて,とてもよろしいのです.主演の2人の女優さんも素晴しい演技を見せてくれますが,何と言っても凄いのはメアリー(カレン・バルキンさん)とロザリー(ヴェロニカ・カートライトさん)役の,2人の少女だったと思います.

4 ベルベット・ヴァンパイア
The Velvet Vampire
★★
1971年 アメリカ カラー 79 min
STAFF
監督:ステファニー・ロスマン
脚本:ステファニー・ロスマン/ モーリス・ジュールス/チャールズ・シュワルツ
製作:チャールズ・シュワルツ
製作総指揮:ロジャー・コーマン
音楽:ロジャー・ダラーハイド/クランシー・B・グラス三世
撮影:ダニエル・ラカンプル
編集:スティーブン・ジャドソン/バリー・サイモン
CAST
セレステ・ヤーナルシェリー・マイルズ/マイケル・ブロジェット/サンディ・ウォード/ジェリー・ダニエルズ/ボブ・テスラ―/ジーン・シェーン/ポール・ブロコップ/クリス・ウッドレー/ロバート・テシア
 本国では有名なカルト・ムービーらしいですが,日本では劇場未公開のB級ホラー.但し DVD は発売されていて,日本語副題が『トワイライト吸血レズビアン』.というわけで一応レズビアン関連ムービーということで入手して観ましたが,レズビアン・シーンはほとんどなく,その点については残念ながら全くの期待外れに終わってしまいました.

5 エロティック・ハウス 愛奴
Intimate Confession of a Chinese Courtesan
★★★
1972年 香港 カラー 86 min
STAFF
監督:チュー・ユアン
脚本:チウ・カンチエン
製作:ラミー・ショウ
音楽:フー・リアン・チョウ
撮影:ウー・チョーホア
CAST
リリー・ホーベティ・ペイ・ティ/ユエ・ホア
 こちらは香港の『幻のカルト・ムービー』ですとか.面白いですけどほとんどマンガです.レズビアン・シーンは綺麗でした.それにしてもこの日本語タイトル,もう少し何とかならなかったのかしら?

6 レニー・ブルース
"Lenny"
★★★★★
1974年 アメリカ モノクロ 111 min
STAFF
監督:ボブ・フォッシー
脚本:ジュリアン・バリー
製作:マーヴィン・ワース
製作総指揮:デヴィッド・V・ピッカー
音楽:ラルフ・バーンズ
撮影:ブルース・サーティース
編集:アラン・ハイム
CAST
ダスティン・ホフマンヴァレリー・ぺリン/ジャン・マイナー/スタンリー・ベック/ゲイリー・モートン/ラシェル・ノヴィコフ/ガイ・レニー/フランキー・マン/マーク・ハリス/リー・サンドマン/スーザン・マルニク/マーティン・ベグリー/フィル・フィリピン/シオドア・ソレル/クラレンス・トマス/マイク・マーフィー/ジョン・ディサンティ
 ダスティン・ホフマンさんが実在のコメディアン,レニー・ブルースを演じてアカデミー主演男優賞に3度目のノミネートをされましたが,惜しくも受賞は逃してしまった伝記映画の傑作.中盤にレニーがヴァレリー・ぺリンさん演じる妻ハニーのレズビアニズムをネタとして利用しようとして夫婦の離別の要因となるエピソードが描かれています.

7 エマニエル夫人
Emmanuelle
★★★★
1974年 フランス カラー 91 min
STAFF
監督:ジュスト・ジャカン
脚本:ジャン=ルイ・リシャール
原作:エマニュエル・アルサン
製作:イヴ・ルッセ・ロアール
音楽・主題歌:ピエール・バシェレ
撮影:リシャール・スズキ
CAST
アラン・キュニー/シルビア・クリステルマリカ・グリーン/ダニエル・サーキイ/ジャンヌ・コレティンクリスティーヌ・ポワッソン
 日本でも社会現象となった大ヒット作.今回初めて見たのは無修正版ですが,とても画像が美しく女性受けしたのもうなずけます.いま見るとかつてのぼかしやモザイクって逆に淫靡な感じがして汚らしいのです.また,音楽に King Crimson もどきが使われていたのは意外な驚きでした.いわゆる『レズビアン映画』ではありませんが,なぜかレズビアン・シーンが有名な作品です.ストーリーに出てくるキャラクターがみんなすごく理屈っぽくて,性ってもっと感覚的なものではないかと思うのですが,エマニエルをめぐる2人の男性と3人の女性の中では,やはりレズビアンのビー(マリカ・グリーンさん)に一番共感することができました.ところでこの日本語タイトルですが,やはり『エマニエル』よりも『エマニュエル』の方が正確な発音に近いみたいですし,またファースト・ネームなので『夫人』がつくのはおかしいのです.

8 続エマニエル夫人
Emmanuelle Lantivierge
★★★★★
1975年 フランス カラー 87 min
STAFF
監督:フランシス・ジャコベッティ
脚本:フランシス・ジャコベッティ/ロベール・エリア/ジェラール・ブラッシュ
原作:エマニュエル・アルサン
製作:イヴ・ルッセ・ロアール
音楽:フランシス・レイ
撮影:ロベール・フレース
CAST
シルビア・クリステル/ウンベルト・オルシーニ/フレデリック・ラガーシュ/カトリーヌ・リヴェキャロライン・ローレンス/フローレンス・ラフィマ
 前作の舞台はタイで,今回は香港.どちらも行ったことのある数少ない日本以外の国だったので,懐かしく見ることができました.タイトルから窺われるとおり処女性をモチーフにした作品で,前作に見られた理屈っぽさはかなり解消されていますが,半世紀を経ようとしている今ではこういうテーマの作品自体に時代を感じさせられます.前作同様画像が美しく,このシリーズがそれまでのこの手の作品が持っていた汚らしいイメージを払拭した功績は大きいと思いますが,それにはやはりレズビアン・シーンが大きな役割を持っていたと思うのです.シルビア・クリステルさんのヘア・スタイルはこの作品だけセミロングですが,個人的に女性も男性もロング・ヘアが好みなので,一番魅力的に感じました.



9 О嬢の物語
histoire d'O
★★★★
1975年 フランス・西ドイツ カラー 101 min
STAFF
監督:ジュスト・ジャカン
脚本:セバスチャン・ジャプリゾ
原作:ポーリーヌ・レアージュ
製作:エリック・ローシャ
音楽:ピエール・バシェレ
撮影:ロベール・フレース
CAST
コリンヌ・クレリー/ウド・キアー/アンソニー・スティール/ジャン・ギャバン/クリスチーヌ・ミナッツォリ/マルティーヌ・ケリー/リ・セルグリーン/アラン・ヌーリー
 『エマニエル夫人』続編のオファーを断ったジュスト・ジャカン監督が次に撮った作品で,日本でも評判を呼びました.アンディ・ウォーホル監修の『悪魔のはらわた』・『処女の生血』に主演していたウド・キアさんが出演しているというので,かなり気になってはいたのですが,結局見逃していて,最近 DVD を入手して観ることができました.『エマニエル』同様,レズビアン映画というわけではありませんが,男性に隷属するための手段としてレズビアニズムが使用されているという,他に例を見ないストーリー展開が印象に残りました.『エマニエル』にしてもこの作品にしても『男性に都合の良い女』を描こうとしているようでいて,実のところその本質が『男性性の否定』を指向していることに気づかされると,かなり共感できるのです.

10 さよならエマニエル夫人
Goodbye Emmanuelle
★★★★
1977年 フランス カラー 95 min
STAFF
監督:フランソワ・ルテリエ
脚本:フランソワ・ルテリエ/モニク・ランジュ
原作:エマニュエル・アルサン
製作:イヴ・ルッセ・ロアール
音楽:セルジュ・ゲンズブール
撮影:ジャン・バダル
美術:フランソワ・ド・ラモシ
CAST
シルビア・クリステル/ウンベルト・オルシーニ/ジャン=ピエール・ブーヴィエ/アレクサンドラ・スチュワルト/オルガ・ジョルジュ=ピコ/シャーロット・アレクサンドラ/シルビー・フェネック/ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ
 今回の舞台はセイシェル諸島.三部作を観終わっての感想は,やはりレズビアン・シーンの美しさが,この作品を支えていたと言っても過言ではないと思います.正直,男が画面に出てくると,突如としてつまんなくなるんだもん(笑).「他人と違った生き方を実験して,失敗したけど後悔しない」,ラストのヒロインのセリフがかっこいいです.結局,一人の女性の自立を描いた三部作だったわけですが,それだけに男性の姿が醜く,また滑稽に描かれていたのかもしれません.シルビア・クリステルさんのヘア・スタイルがまたショートに戻ってしまったのは残念で,他の周りの女優さんたちの方が魅力的に感じられてしまいました.でも,なんでフランス映画なのに,"Goodbye" なんだろね?

11 ビリティス
Bilitis
★★★★★
1977年 フランス カラー 95 min
STAFF
監督:デヴィッド・ハミルトン
脚本:カトリーヌ・プレイヤ
原作:ピエール・ルイス
製作:シルヴィオ・タベット/ジャック・ナーアム
音楽:フランシス・レイ
撮影:ベルナール・ダイレンコー
編集:アンリ・コルビ
CAST
パティ・ダーバンヴィルモナ・クリステンセン/ベルナール・ジロドー/ジル・コーレル/マチュー・カリエール
 レズビアニズムをモチーフにした作品ですが.それだけではなく一人の少女の成長物語としてもよくできている佳作だと思います.実際に,ヒロインの健気さと相手役の男の節操のなさが対比的に描かれていて,そういった意味でも女性を賛美したレズビアニズム・ムービーの傑作だと思います.主演のパティ・ダーバンヴィルさんはアンディ・ウォーホルさん監修の『フレッシュ』に出ていた女優さんで,『ビリティス』撮影時はすでに26歳だったみたいです.

12 人喰いエイリアン
Alien Prey
★★
1977年 イギリス カラー 78 min
STAFF
監督:ノーマン・J・ウォーレン
脚本:マックス・カフ
制作:テレンス・マーセル/デヴィッド・ウィムへりー
音楽:アイヴァ―・スラー
撮影:デレク・V・ブラウン
CAST
バリー・ストークス/サリー・フォークナーグローリー・アナン/トニー・メイデン/マイケル・ロウラット/ケイト・ファガーソン
 D級SFホラー.レズビアンの痴話ゲンカに遭遇したエイリアンの調査員のストーリー(笑).サリー・フォークナーさんとグローリー・アナンさんのハードなレズビアン・シーンが話題になったということでしたが,現代から観るとそれほどのもんではないです.ちょっと期待外れでした.エイリアン役のバリー・ストークスさんは,実写版『ベルサイユのばら』でアンドレを演じてます.

13 ベストフレンズ
Rich and Famous
★★★★★
1981年 アメリカ カラー 117 min
STAFF
監督:ジョージ・キューカー
脚本:ジェラルド・エイヤーズ
原作:ジョン・バン・ドルーテン
製作:ウィリアム・アリン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
撮影:ドン・ピーターマン
編集:ジョン・F・バーネット
美術:フレッド・ハーブマン
CAST
ジャクリーン・ビセットキャンディス・バーゲン/デヴィッド・セルビー/ハート・ボックナー/スティーブン・ヒル/メグ・ライアン/マット・ラッタンジー/ダニエル・フェラルド/マイケル・ブランドン/ニナ・フォック/マーシャ・A・ハント/ジョー・マロス
 この映画はまだ DVD でリリースされていなかったので,ビデオを購入して観ました(後に LD も入手).大好きな2人の女優さんが,羨望,嫉妬,疑惑,反感が渦巻く女性同士の友情を演じる名作です.もちろん女性としては,やはり女性同士の友情の方が信じられるわけですが,男同士ってお互いに見栄の張り合いが強くて,決して心を開いていないような感じがするのです. で,賛否両論別れるところだと思いますが,これやはり一種のレズビアン映画だと思います.性愛とは全く別の次元に存在する愛ってあることがよくわかります.ところで私はタイトルも作品の一部であると思っていますので,外国の映画に日本の配給会社が原題とは無関係なタイトルつけるのって,昔からどうかな?って思っているのですが....

14 アナザウェイ
Another Way
★★★★
1982年 ハンガリー カラー 107 min
STAFF
監督:カーロイ・マック
脚本:カーロイ・マック/エリザベート・ガルゴ―ツィ
原作:エリザベート・ガルゴ―ツィ
音楽:ラースロー・デ―ス/ヤーノス・マーシク
撮影:タマー・アンドール
CAST
ヤドヴィガ・ヤンコフスカ=チェースラックグラヅィナ・シャポウスカ/ヨゼフ・クローネル/ガボール・レヴィッツキイ/ペーター・アンドライ
 この作品も DVD が見つからなかったので,ビデオを入手して観ました.社会主義社会とレズビアニズムという全く異質のモチーフを見事に融合した,社会派レズビアンムービー? レズビアニズムの哀しさを正面から捉えたこの作品は,日本では興味本位のオヤジどもの評判を得られなかったため全くヒットしなかったらしいですが,とても良くできた作品だと思います.事実,同性愛者って異性愛者に比べてプラトニックな面が強く植物的だと思うのです.

15 ホテル・ニューハンプシャー
The Hotel New Hampshire
★★★★
1984年 イギリス・カナダ・アメリカ カラー 109 min
STAFF
監督:トニー・リチャードソン
脚本:トニー・リチャードソン
原作:ジョン・アーヴィング
製作:二―ル・ハートレイ/ピーター・クルーネンバーグ/デヴィッド・J・パターソン
音楽:レイモンド・レッパード
撮影:デヴィッド・ワトキン
編集:ロバート・K・ランバート
CAST
ジョディ・フォスター/ボー・ブリッジス/ロブ・ロウ/ナスターシャ・キンスキー/ポール・マクレーン/ウィルフォード・ブリムリー/リサ・ベインズ/ジョニー・ダンダス/セス・グリーン
 レズビアン映画ではありませんが,ジョディ・フォスターさんとナスターシャ・キンスキーさんの貴重なレズビアン・シーンを観ることができます.お2人が演じているのはともにレイプによって心に深い傷を負った女性なので,かなり観ていて痛々しい感じがしてしまうのです.

16 美しさと哀しみと
Tristesse et Beaute
★★★★★
1985年 フランス カラー 100 min
STAFF
監督:ジョイ・フルーリー
脚本:ジョイ・フルーリー/ピエール・グリエ
原作:川端 康成
製作:ピエール・ノヴァ/ヌレディーヌ・ベンフェルハット
音楽:ジャン=クロード・プティ
撮影:ベルナール・リュティック
CAST
シャーロット・ランプリングミリアム・ルーセル/アンジェイ・ズラウスキー/ジャン=クロード・アドラン/ベアトリス・アジェニン/イザベル・サドヤン
 この映画もまだ DVD でリリースされていなかったので,ビデオを購入して観ました.川端康成原作の文芸作品のフランスによる映画化です.主演のシャーロット・ランプリングさんは 1974年の『未来惑星ザルドス』を中学生のときに観たとき,すご〜く印象に残った女優さんだったのですが,今回この作品を観て,その理由がはっきりいたしました.日本版の八千草薫さんがレズビアンのイメージ薄かったのに対して,この方の場合はすごくハマってます.



17 カラー・パープル
The Color Purple
★★★
1985年 アメリカ カラー 152 min
STAFF
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:メノ・ネイエス
原作:アリス・ウォーカー
製作:スティーブン・スピルバーグ/キャスリーン・ケネディ/フランク・マーシャル/クインシー・ジョーンズ
製作総指揮:ジョン・ピータース/ピーター・グーバー
音楽:クインシー・ジョーンズ
撮影:アレン・ダヴィオー
編集:マイケル・カーン
CAST
ダニー・クローバー/ウーピー・ゴールドバーグマーガレット・エイブリー/オブラ・ウィンフリー/ベン・ギロリ/ダナ・アイヴィ/レイ・ドーン・チョン/アコーシア・ブシア/ローレンス・フィッシュバーン
 このストーリーの大きなテーマのひとつがレズビアニズムであることは疑いのない事実ですが,スピルバーグ監督は何故かその部分を意図して希薄にしてしまっているのが残念でした.

18 カウガール・ブルース
Even Cowgirls Get the Blues
★★
1994年 アメリカ カラー 96min
STAFF
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ガス・ヴァン・サント
原作:トム・ロビンズ
製作:ローリー・パーカー
製作総指揮:ガス・ヴァン・サント
音楽:K.D.ラング/ベン・ミンク
撮影:ジョン・キャンベル/エリック・アラン・エドワーズ
編集:カーティス・クレイトン
美術:ミッシー・スチュワート
CAST
ユマ・サーマン/ロレイン・ブラッコ/アンジー・ディキンソン/ノリユキ・パット・モリタ/キアヌ・リーヴス/ジョン・ハート/レイン・フェニックス/ロザンヌ・アーノルド/エド・ぺグリー・Jr/クリスピン・グローヴァ―/ヘザー・グラハム/バック・ヘンリー/キャロル・ケイン/ウド・キア/ヴィクトリア・ウィリアムズ/ショーン・ヤング/グレイス・ザブリスキー
 レズビアン映画として期待して観たのですが,正直言ってよく解りませんでしたこの作品.2度目観たけど,やっぱり理解できませんでした.

19 GO fish ★★★★
1994年 アメリカ モノクロ 85 min
STAFF
監督:ローズ・トローシュ
脚本:グィネヴィア・ターナー/ローズ・トローシュ
製作:ローズ・トローシュ/グィネヴィア・ターナー
製作総指揮:トム・ケイリン/クリスティン・ヴェイコン
音楽:スコット・アルドリッチ/ブレンダン・ローラン/ジェニファー・シャープ
撮影:アン・T・ロセッティ/アーサー・C・ストーン
編集:ローズ・トローシュ
CAST
V・S・ブローディグィネヴィア・ターナーT・ウェンディ・マクミランミグダリア・メレンデスアナスタシア・シャープ
 プライベートなパートナーだったトローシェ&ターナーのおふたりが,本物のレズビアンのスタッフ・キャストを集めて作った,『レズビアンの,レズビアンによる,レズビアンのための映画』.従来のレズビアン映画の持つ暗さ・深刻さ・悲しい結末といった暗い部分を徹底的に排除し,シンプルでハッピーエンドの物語をめざして製作され,レズビアンたちの明るい生き方が描かれる等身大のラブ・ストーリー.こういう作品を見ると男性中心社会の稚拙さっていつも感じるし,世の中に男って必要のない存在じゃないかって思ってしまうのです.いけませんか?

20 乙女の祈り ★★★★
1994年 ニュージーランド・アメリカ カラー 108 min
STAFF
監督:ピーター・ジャクソン
脚本:ピーター・ジャクソン/フラン・ウォルシュ
製作:ジム・ブース/ピーター・ジャクソン
製作総指揮:ハンノ・ヒュース
音楽:ピーター・ダゼント
撮影:アラン・ポリンジャ―
編集:ジェイミー・セルカーク
CAST
メラニー・リンスキーケイト・ウィンスレット/ダイアナ・ケント/クライヴ・メリソン/サラ・パース/サイモン・オコナー
 1954年にニュージーランド・クライストチャーチで起きた,後にミステリー作家となるアン・ペリーさんによる殺人事件を題材にした作品.妄想女子たちのコワさが見事に描かれています.主演のメラニー・リンスキーさんとケイト・ウィンスレットさんはこれでデビュー作ということで,まだ子供なのであまり綺麗じゃないし色っぽくもないのが残念な気もいたしましたが,それだけに子供ならではのコワさが際立っていたと思います.アン・ペリーさんご本人は後に「レズビアンではない」と主張されたらしいですが,この映画を観る限り,やはり….

21 セイレーンの誘惑
Siren
★★★
1995年 ドイツ カラー 53 min
STAFF
監督:サラ・スウォーズ
脚本:サラ・スウォーズ
制作:ビバリー・クック
製作総指揮:トニー・カルネ
撮影:クリス・ヒューズ
CAST
サリー・ゴールディングヨランダ・デイヴィスゲイル・ダヴィッドソン
 字幕表示が少ないというかほとんどないショート・ムービーで,ストーリーが難解でよく解らないのですが,時間が短いのと映像が美しいので飽きずに最後まで観ることができました.

22 バタフライ・キス
BUTTERFLY KISS
★★★
1995年 イギリス カラー 85 min
STAFF
監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:フランク・コットレル・ボイス
制作:ジェリー・ベインズ/サラ・ダニエル
音楽:ジョン・ハール
撮影:シーマス・マクガーウェイ
編集:トレヴァ―ウェイト
CAST
アマンダ・プラマーサスキア・リーヴス/ポール・ポウン/フリーダ・ダゥウイー/ファイン・タイム・フォンテイン/デス・マッカリア/リッキー・トムリンソン/キャシー・ジェイミソン/リサ・ジェーン・リレイ/ポーラ・ティルブック/エリザベス・マクグラス/ジョアン・クック/シャリ―・ヴォ―ガン/エミリー・アストン/ケイティ・マーフィ
 『優しく残酷な,愛と救済の物語』とのことですが,ヒロイン2人があまり綺麗じゃなかったのと(失礼!),その言ってることややってること理解不能だったため,ほとんど感情移入できませんでした.「人に優しくされたことがないと人を殺すようになる,自分を含めて」という台詞が出てきますが,幸運にして私はまだ人を殺したことがないので,多分周囲の人に優しくされて生きてきたのでせう.主演のアマンダ・プラマーさんはクリストファー・プラマーさんの娘さんですとか.

23 バウンド
Bound
★★★★★
1996年 アメリカ カラー 108 min
STAFF
監督:アンディ・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー
脚本:アンディ・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー
制作:アンドリュー・ラザー/ステュアート・ボロス
製作総指揮:アンディ・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー
音楽:ドン・デイヴィス
撮影:ビル・ポープ
編集:ザック・ステンバーグ
CAST
ジェニファー・ティリージーナ・ガーション/ジョー・パントリアーノ/ジョン・P・ライアン/クリストファー・メローニ/リチャード・C・サラフィアン/ピーター・スぺロス/バリー・キヴェル
 レズビアニズムをメインのモチーフとした映画ではないのですが,シナリオに一部の隙がない超一級のクライム・サスペンス作品だと思います.そして,男性のおバカさ加減を容赦なく描写しているという点で,やはり紛れもないレズビアン映画だと思います.監督・脚本・製作総指揮のウォシャウスキー兄弟は,後にお二人とも性別適合手術を済ませ,現在ではリリー&ラナのウォシャウスキー姉妹として活躍されている MtF の姉妹です.

24 月の瞳
When Night Is Falling
★★★★
1996年 カナダ カラー 94 min
STAFF
監督:パトリシア・ロゼマ
脚本:パトリシア・ロゼマ
制作:バーバラ・トランター
音楽:レスリー・バーバー
撮影:ダグラス・コッチ
編集:スーザン・シップトン
CAST
パスカル・ビュシエールレイチェル・クロフォード/ヘンリー・ツェーニー/デイヴィッド・フォックス/ドン・マッケラー/トレイシー・ライト
 エキセントリックなキャラクターが多いレズビアン映画のヒロインに食傷気味だったので,比較的常識人のこの映画のヒロインには好感が持てました.でも,異性であろうと同性であろうと二股がけはイケマセン.ストーリー発端部で亡くなってしまったボブ(誰でしょう?)が蘇生するシュールなラストはいろいろな解釈ができると思いますが,とても嬉しかったのです.


25 ジ-ア/悲劇のスーパーモデル
Gia
★★★★
1997年 アメリカ カラー 126 min
STAFF
監督:マイケル・クリストファー
脚本:ジェイ・マキナニー/マイケル・クリストファー
製作:ジェームズ・D・ブルベイカー
製作総指揮:デヴィッド・R・ギンズバーグ/アイリーン・カーン/マーヴィン・アース
音楽:テレンス・ブランチャード
撮影:ロドリゴ・ガルシア
編集:エリック・A・シアーズ
CAST
アンジェリーナ・ジョリーエリザベス・ミッチェル/エリック・マイケル・コール/カイリ―・トラヴィス/ルイス・ジャンパルヴォ/ジョン・コンシダイン/スコット・コーエン/エドモンド・ジェネスト/マーセデス・ルール/フェイ・ダナウェイ
 1998年にアメリカのケーブルテレビ・ネットワークで放送されたテレビ映画で,日本でテレビ放映されたときのタイトルは『ジーア/悲劇のスーパーモデル』, DVD のタイトルは『ジア/裸のスーパーモデル』.日本の映画配給会社やレコード会社が外国の作品に勝手な日本語のタイトルつけるのはどうも納得がいかないというか,タイトルも作品の一部であるのだからして,アーティストに無断で別のタイトルつけるのはイケナイと思うのですが....実在したスーパーモデル,ジア・キャランジの26歳の生涯を描いた作品で,ドラッグと並んでレズビアニズムが主人公の大きなファクターとなっています.ところで友達にプロのモデルやっている娘いるけど,やっぱり結構たいへんみたいです. 

26 ショー・ミー・ラヴ
Show Me Love
★★★
1998年 スウェーデン カラー 89 min
STAFF
監督:ルスカル・ムーディソン
脚本:ルスカル・ムーディソン
製作:ラーシュ・ヨンソン
音楽:ニルス・ニルソン
撮影:ウルフ・ブラント―ス
編集:ミハウ・レシチロフスキー/ベーナルド・ヴィンクラ―
CAST
アレクサンドラ・ダ―ルストレムレベッカ・リリエベリ/エリカ・カールソン/マティアス・ルスト/ステファン・ヘルベリ/ラルフ・カールソン/マリア・ヘドポリ/アクセル・ヴィードグレン/イール・ウング/リサ・スカゲスタム
 本国スウェーデンでは同時期に公開された『タイタニック』を上回るヒットを記録したというのが売りのようですが,それほどの作品かしら?というのが正直な感想です.派手な娘との地味な娘のよくありがちな青春映画然とした作品で,これがポルノの本場スウェーデンでバカ受けしたというのはちょっと意外な感じがしました.作品そのものは可もなく不可もなくといった出来だったと思います.

27 Go!Go!チアーズ
But I'm a Cheerleader
★★★★
1999年 アメリカ カラー 85 min
STAFF
監督:ジェイミー・パピット
脚本:ジェイミー・パピット/ブライアン・ウェイン・ピーターソン
製作:リーナ・クリール/アンドレア・スパーリング
製作総指揮:マイケル・バーンズ
音楽:パット・アーウィン
撮影:ジュールス・ラバース
編集:セシリ・レット
CAST
ナターシャ・リオンクレア・デュヴァル/ダンテ・バスコ/ルポール・チャールズ/エディ・シブリアン/バッド・コート/メラニー・リンスキー/ウェスリー・マン/ジョエル・ミカエリー/リチャード・モール/キップ・パルデュー/カトリーナ・フィリップス/イオン・スカイ/ダグラス・スパイン/ミンク・ストール/キャサリン・タウン/ブラント・ウィリー/ジュリー・デルピー/ミシェル・ウィリアムズ/キャシー・モリアーティ
 同性愛矯正施設を舞台に繰り広げられるガールズラヴ・コメディ.バカバカしいけど面白いです.現代じゃ考えられないことですが,この20年でセクシュアル・マイノリティの地位は本当に向上したのです.しかし,このセンスのない日本語タイトル,何とかならなかったのかしら.

28 マルコヴィッチの穴
Being John Malkovich
★★★
1999年 アメリカ カラー112 min
STAFF
監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:チャーリー・カウフマン
制作:マイケル・スタイプ/サンディ・スターン/スティーヴ・ゴリン/ヴィンセント・ランディ
製作総指揮:チャーリー・カウフマン/マイケル・クーン
音楽:カーター・バーウェル
撮影:ランス・アコード
編集:エリック・ザンブランネン
CAST
ジョン・キューザック/キャメロン・ディアスキャサリン・キーナー/ジョン・マルコヴィッチ/オーソン・ビーン/チャーリー・シーン/メアリー・ケイ・プレイス/W・アール・ブラウン/レジナルド・C・ヘイズ/バーン・ピヴェン/カルロス・ジャコット/リチャード・ファンシー/ケヴィン・キャロル
CAMEO ROLE
ブラッド・ピット/ウィノア・ライダー/デヴィッド・フィンチャー/ショーン・ペン/ゲイリー・シニーズ/ダスティン・ホフマン/ハンソン
 『ある俳優の頭に通じる穴を通ってその人物になる』というわけのわからん設定を持つ SF 映画? 支配した他人の肉体によって恋人に自分の子供を妊娠させる,トリッキーな発想はやはりレズビアニズムなんでしょうけど,これって『それでいいのか?』って疑問が残ります.但し,男性が利用されたりひどい目にあうストーリーの展開は,やはりレズビアン映画かも.

29 少女たちの遺言
Moment Mori
★★
1999年 韓国 カラー 97 min
STAFF
監督:キム・テヨン/ミン・ギュドン
脚本:キム・テヨン/ミン・ギュドン
製作:オ・ギミン
製作総指揮:イ・チュニョン
音楽:チョ・ソンウ
撮影:キム・ユンス
編集:キム・サンボム
CAST
パク・イェジンイ・ヨンジン/キム・ミンソン/キム・ミニ/コン・ヒョジン/ペク・チョンハク
 韓国のレズビアン学園ホラー(?).ストーリー設定はよろしいのですが,そこにいろんなファクターやエピソードを盛り込み過ぎたため結果として訳が分からなくなってしまっています.3人の主演女優さんはそれぞれ個性的で魅力的なだけにちょとと残念な作品でした.

30 ウーマン ラブ ウーマン
Woman Loves Woman
★★★★
2000年 アメリカ カラー 96 min
STAFF
監督:ジェーン・アンダーソン/マリサ・クーリッジ/アン・ヘッシュ
脚本:ジェーン・アンダーソン/シルヴィア・シシェル/アレックス・シシェル/アン・ヘッシュ
製作:メアリー・ケイン
製作総指揮:エレン・デジュネレス/ジェニファー・トッド/スザンヌ・トッド
音楽:バリール・ポールデューリス
CAST
ヴァネッサ・レッドグレイヴマリアン・セルデス/ポール・ジアマッティ/エリザベス・パーキンス/マーリー・マクリーン/ジェニー・オハラ/ドナルド・エルソン/ジル・ブレナン/ミッシェル・ウィリアムズクロエ・セヴィニー/ナターシャ・リオン/ニア・ロング/エイミー・カールソン/ヘザー・マッコム/ラシダ・ジョーンズ/シャロン・ストーンエレン・デジュネレス/レジーナ・キング/キャシー・ナジミー/ミッチェル・アンダーソン/ジョージ・ニューバーン
 同じ家を舞台に,異なる3つの時代のレズビアン・カップルのエピソードを描いたオムニバス・ムービー.パートナーの突然の死と遺族との遺産相続問題(1961年),ともに女性解放運動を行う友人たちと男装の恋人との反目(1972年),人工受精による妊娠(2000年)と,それぞれの時代を舞台にレズビアンの女性達が直面する問題を取り扱っていますが,個人的には時代的にもジェンダー・ロールの問題を真っ向から取り上げた1972年のエピソードが最も共感を持って観ることができました.

31 Dr.T と女たち
Dr.T & The Women
★★★★
2000年 アメリカ カラー 122 min
STAFF
監督:ロバート・アルトマン
脚本:アン・ラップ
製作:ロバート・アルトマン/ジェームズ・マクリンドン
製作総指揮:シンディ・コーワン
音楽:ライル・ラヴェット
撮影:ジャン・キーサー
編集:ジェラルディン・ペローニ
CAST
リチャード・ギア/ヘレン・ハント/ファラ・フォーセット/ローラ・ダーン/シェリー・ロング/タラ・リード/ケイト・ハドソンリヴ・タイラー/ロバート・ヘイズ/マット・マーロイ/アンディー・リクター/リー・グラント/ジャニン・ターナー
 この映画,いわゆるレズビアン映画と呼べるかどうかは疑問ですが,重要なモチーフとなっているものの,肯定も否定もされていないのが,ちょっと新鮮な感じがしました.ストーリーそのものは面白いのですが,ラストはちょっとシュールで2度観てやっと理解できました.主人公をめぐる7人の美女の中では,やはりファラ・フォーセットさんとシェリー・ロングさんが好みの女優さんです.

32 プレイメイト in レズビアン・パーティー
Playboy's No Boys Allowed 100% Girls
-
2000年 アメリカ カラー 54 min
製作:プレイボーイ・エンターテインメント・グループ
 総勢33名のレズビアン・モデルが勢ぞろいだって(笑),流石に綺麗です.



33 マルホランド・ドライブ
Mulholland Dr.
★★★★★
2001年 アメリカ・フランス カラー 146 min.
STAFF
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ
製作:二―ル・エデルスタイン/ジョイス・エライアソン/トニー・クランツ/マイケル・ポレール/アラン・サルド/メアリー・スウィーニー
製作総指揮:ピエール・エデルマン/デヴィッド・リンチ
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
撮影:ピーター・デミング
編集:メアリー・スウィーニー
CAST
ナオミ・ワッツローラ・エレナ・ハリング/アン・ミラー/ジャスティン・セロー/ダン・ヘダヤ/ロバート・フォスター/レベッカ・デル・リオ/ミシェル・ヒックス/メリッサ・クライダー/リー・グラント/メリッサ・ジョージ/チャド・エヴェレット/パトリック・フィッシュラー
 デヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』以上の難解な作品というので,身構えて観てしまいました.確かに中盤からの展開は,どれがストーリーの骨子で,どれが夢や幻想のシーンなのかよくわからん感じで,何度も観てその人なりの作品世界を構築していく必要のある映画なのですが,ある意味難解だという先入観を持って観ていたおかげで,146分の長尺が結構短く感じられました.特に前半の展開は,スリリングで面白かったです.レズビアン・シーンは時間的に短いのが残念でしたが,主演のお2人が綺麗なので見ごたえありました.ところで Silverhead の Michael Des Barres さんが出演しているらしいのですがどこかしら?

34 翼をください
Lost and Delirious
★★★★
2001年 カナダ カラー 100 min.
STAFF
監督:レア・プール
脚本:ジュディス・トンプソン
製作:ロレーヌ・リシャ―ル/ルイ・フィリップ・ロション/グレッグ・デュメット
音楽:イヴ・シャンベラン
撮影:ピエール・ギル
編集:ゲタン・ユオ
CAST
パイパー・ぺラーポジェシカ・パレ/ミーシャ・バートン/ジャッキー・バロウズ/ミミ・クジック/グラハム・グリーン/ルーク・カービー/キャロリーヌ・ダヴェルナス/エイミー・スチュワート/ノエル・バートン
 1978年にカナダ・トロントで起きた実際の事件がもとになっていますが,それだけによくできてはいるけど嫌なやるせない映画です.あと日本語のタイトルはセンスなさすぎ,もういい加減に勝手にヘンなタイトルつけるのやめませんか? それにしても,カナダの女子寄宿学校ってこんなに自由なのかしら? 3人の主演女優さんはみんな上手ですが,それ以上に校長先生役のジャッキー・バロウズさんの熱演が印象に残りました.

35 華の愛
遊園驚夢
★★★
2001年 香港 カラー 122 min.
STAFF
監督:ヨン・ファン
脚本:ヨン・ファン
プロデューサー:アン・ホイ
音楽:アンソニー・ロン
撮影:ヘンリー・チュン
編集:クオン・チーリョン
CAST
ジョイ・ウォン宮沢 りえダニエル・ウー/ジャオ・ジーカン
 1930年代の中国におけるバイセクシュアル女性2人のレズビアン・ストーリーですが,貴族社会の没落だのアヘン依存だの2人のキャラのそれぞれの男に対するラヴ・ストーリーだのいろんな要素を詰め込み過ぎていて,またそれぞれのサブ・ストーリーが消化不良に終ってしまっているため,結局何が言いたいのかさっぱりわからない残念な映画でした.一番解らなかったのが2人が若い男と紙麻雀(?)に興じ,男が負ける度に衣服を脱いでいくシーン,あっ!これって脱衣麻雀だ(爆).個人的には中国風の楽曲のメロディがあまり好きじゃないので耳障りだったし,モスクワ国際映画祭で宮沢りえさんが最優秀女優賞を受賞したとのことですが,一番の疑問はなんで中国の歌姫の役をわざわざ日本の女優に演じさせたのか.

36 Kissing ジェシカ
Kissing Jessika Stein
★★★
2002年 アメリカ カラー 97 min
STAFF
監督:チャールズ・ハーマン=ワームフェルド
脚本:ヘザー・ジャーゲンセン/ジェニファー・ウェストフェルド
製作:ヘザー・ジャーゲンセン/ジェニファー・ウェストフェルド/イーデン・ワームフェルド/ブラッド・サイオンズ
音楽:マーセロ・ザーヴォス
撮影:ローレンス・シャー
編集:クリスティン・ジェイコブス・マスリン/グレッグ・ティルマン
CAST
ジェニファー・ウェストフェルドヘザー・ジャーゲンセン/スコット・コーエン/ジャッキー・ホフマン/マイケル・マストロ/カーソン・エルロッド/デイヴィッド・アーロン・ベイカー/ジョン・ハム/トーヴァ・フェルドシャー/ロバート・アリ/ピーター・ハーシュ/エスター・ワームフェルド/マイケル・ショーウォーター/マイケル・イーリー/ニック・コーリー/アリシア・ライナー/ジェニファー・カータ/イラナ・レビン
 女性同士の恋と友情を描いたロマンティック・コメディですが,主人公が本来ストレートである(と本人は思っている)のに対し,相手は経験豊富なバイセクシュアルということで,セクシュアリティの多様性をもう一つのテーマにしています.でも個人的にはラストには『?』を感じてしまいました.ない方がよかったんじゃないかと思います.

37 モンスター
Monster
★★★★★
2003年 アメリカ カラー 109 min
STAFF
監督:パティ・ジェンキンス
脚本:パティ・ジェンキンス
製作:クラーク・ピーターソン/シャーリーズ・セロン/マーク・ダモン/ドナルド・カシュナー/ブラッド・ワイマン
製作総指揮:アンドレアス・グロッシュ/スチュワート・ホール/サミー・リー/アンドレアス・シュミット
音楽:BT
撮影:スティーブン・バーンスタイン
編集:アーサー・コバーン/ジェーン・カーソン
CAST
シャーリーズ・セロンクリスティーナ・リッチ/ブルース・ダーン/リー・ターゲセン/アニー・コーリー/マルコ・セント・ジョン/プルイット・テイラー・ヴィンス/スコット・ウィルソン/マーク・マコーレー/ブレット・ライス
 2002年死刑執行となった娼婦あがりの連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの一連の犯行を描いた犯罪実話ですが,同時に甘く切ないレズビアン・ラブストーリーとなっている不思議な作品.ストーリー導入部の主人公のセリフ,「男も女も嫌い.でもあんたは好き.」って,最高の殺し文句かも....? ヒロインのたったひとりの友人トムを演じるブルース・ダーン氏が渋いです.アカデミー賞主演女優賞受賞作品.

38 彼女が彼女を愛する時
Girl Play
★★★★
2004年 アメリカ カラー 72 min
STAFF
監督:リー・フリードランダー
脚本:リー・フリードランダー/ロビン・グリーンスパン/ レイシー・ハーモン
製作:ジナ・G・ゴフ/ローラ・A・ケラム
製作総指揮:ショーン・マクヴィティ
音楽:ローラ・カープマン
撮影:ミハエル・ネグリン
編集:クリスティアン・ホワイト
CAST
ロビン・グリーンスパンレイシー・ハーモン/ミンク・ストール/ドム・デルイーズ/キャサリン・ランドルフ/ローレン・マハー/ジーナ・デビート/サラ・バレリス/ジナ・G・ゴフ
 日本では2006年の第15東京国際ゲイ&レズビアン映画祭で『ガール・プレイ』というタイトルで上映された,本物の2人のレズビアンによる女性同志のラブ・ストーリ.ちょっと難解な印象を受けましたが,結局同性間の恋愛も異性間の恋愛も根本的には同じ性質のものであるということが解ります.

39 恋のミニスカウェポン
D.E.B.S.
★★★
2004年 アメリカ カラー 91 min
STAFF
監督:アンジェラ・ロビンソン
脚本:アンジェラ・ロビンソン
製作:アンドレア・スパークリング
製作総指揮:ラリー・ケナー
音楽:スティーヴン・M・スターン
撮影:M・デヴィッド・ミューレン
編集:アンジェラ・ロビンソン
CAST
サラ・フォスタージョーダナ・ブリュースター/ミーガン・グッド/デヴォン・アオキ/ジル・リッチー/ジェフ・スタルツ/ジミ・シンプソン/ホランド・テイラー/マイケル・クラーク・ダンカン/ジェシカ・コーフィール/クリスティナ・カーク/ジェニファー・カーペンター
 レズビアン・SF・アクション・コメディ? 大馬鹿者映画ですが,面白かったです.『少女たちの遺言』(28),『翼をください』(33)の後に観ただけに,なんとなくホッとしました.でもこの日本語タイトルもダサすぎ,こーゆーのやめてほしいです.

40
蝴蝶 羽化する官能 ★★
2004年 中国・香港 カラー 129 min
STAFF
監督:ヤンヤン・マク
脚本:ヤンヤン・マク
原作:チェン・シュエ
製作:ヤンヤン・マク
撮影:チャーリー・ラム
CAST
ジョシー・ホーティエン・ユエンイザベル・チャンジョーマン・チャン/エリック・コット
 何故東洋人って西洋人とくらべて美人と不美人の差が歴然としているのだろう....?



41 中国の植物学者の娘たち
The Chinise Botainist's Daughters
★★★
2005年 カナダ=フランス カラー 98 min
STAFF
監督:ダイ・シージエ
脚本:ダイ・シージエ/ナディーヌ・ペロン
製作:リズ・ファイヨル
製作総指揮:リズ・ファイヨル/モーリス・イズ―ル
音楽:エリック・レヴィ
撮影:キイ・デュフォー
編集:ジャン=フランソワ・ベルジュロン
CAST
ミレーヌ・ジャンパノイリー・シャオラン/リン・トンフー/ワン・ウェイグワン/グエン・ニュー・クイン
 レズビアン・シネマとして観ても,単なるラヴ・ストーリーとして観ても,いまひとつ面白みに欠ける凡庸な作品.映像的には綺麗でしたが,「だから何なの?」って感じで,残念ながらあまり楽しめなかったです.

42 バンパイア・ラヴァーズ
The Vampire Lovers
★★★
2007年 イギリス カラー 91 min
STAFF
監督:ロイ・ウォード・ベイカー
脚本:チューダー・ゲイツ
原作:ジョゼフ・シェルダン・レ・ファニュ
製作:ハリー・ファイン/マイケル・スタイル
音楽:ハリー・ロビンソン
撮影:モーレイ・グラント
編集:ジェームズ・ニーズ
CAST
イングリッド・ビット/ジョージ・コール/ピーター・カッシング/マデリン・スミスビッパ・スティールケイト・オマラ/ドーン・アダムス/ダグラス・ウィルマ―/ジョン・フィンチ
 ドラキュラじゃない方の吸血鬼カーミラ伝説をモチーフにした本格ホラー・ムービーですが,レズビアン・シーンに関してはちょっと期待外れでした.

43 水の中のつぼみ
Naissance des pieuvres
★★★★
2007年 フランス カラー 85 min
STAFF
監督:セリーヌ・シアマ
脚本:セリーヌ・シアマ
製作:ベネディクト・クーヴルール
音楽:パラ・ワン
撮影:クリステル・フルニエール
編集:ジュリアン・ラスレー
CAST
ポーリーヌ・アキュア―ルルイーズ・ブラシェールアデル・エネルワレン・ジャッカン/クリステル・バラ/マリー・ジリ・ピエール/アリス・ドゥ・ランクザン/クレール・ピエラ
 最初のうちは3人の少女たちの性格がよくつかめなくて感情移入できませんでしたが,ストーリーが進むにしたがって共感できるようになりました.女性監督ならでの感性に満ちた作品だと思います.また,フランス映画ってアメリカ映画と比較するとやはり映像が綺麗です.

44 Tattoo - 刺青
★★
2007年 台湾 カラー 97 min
STAFF
監督:周美玲
脚本:周美玲
製作:応顕斌
音楽:昆蟲白
撮影:劉芸后
編集:薫汝冠
CAST
楊丞琳(レイニー・ヤン)梁洛施(イザベラ・リョン)/陳意涵(アイビー・チェン)/是元介(ジェイ・シー)/沈建宏/謝乗翰
 過去に因縁を持つネットアイドルと彫師の2人の女性を巡って,様々なドラマが展開していくお話なのですが,それぞれのエピソードが何の脈絡もなく進行していくので,結果としてわけのわからない物語になってしまっていて,とにかくわかりにくかったです.ただひとつ特に気になったのはヒロインのお二人をはじめとする全ての登場人物がみんなどこかがおかしいヘンな人ばかりだということくらいで,ある意味サイコスリラーだったのかもしれません.

45 マーダーランド
Life Blood
★★★
2009年 アメリカ カラー 85 min
STAFF
監督:ロン・カールソン
脚本:ロン・カールソン
製作:レイチェル・ノース
音楽:ジョン・ダンドレア
CAST
ソフィー・モンクアンヤ・ラヒリ/スカウト・テイラー=コンプトン/ジャスティン・シルトン/パトリック・レナ/ダニー・ウッドバーン/チャールズ・ネイピア/アンジェラ・リンドヴァル/マーシャル・マネシュ/ジーナ・ガレゴ/エレクトラ・アヴェラン/ジェニファー・ダン/スティーヴン・モンロー・テイラー
 D級ホラーの域を出ていない作品ですが,まあまあ面白かったです.ヴィーナス役のアンジェラ・リンドヴァルさんが綺麗です.

46 レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ
Lesbian Vampire Killers
★★★
2009年 イギリス カラー 86 min
STAFF
監督:フィル・クレイドン
脚本:スチュワート・ウィリアムズ/ポール・ハップフィールド
製作:スティーヴ・クラーク=ホール
製作総指揮:チャールズ・レイトン/サヴィエル・マーチャンド/グレン・M・スチュワート/ステファン・アウミューラー/クラウス・クラウセン/ヴィク・ベイトマン
音楽:デビー・ワイズマン
撮影:デヴィッド・ヒックス
編集:ジェームズ・ハーバート
CAST
ジェームズ・コーデン/マシュー・ホーン/マイアンナ・バリング/ヴェラ・フィラトーヴァティファニー・マルヘロンルーシー・ガスケルエマー・ケニーエマ・クリフォードシルヴィア・コロカ/アシュレイ・マルヘロン/ルイーズ・ディラン/ポール・マッギャン
 『バンパイア・ラヴァーズ』(42)と同じく女吸血鬼カーミラ伝説をモチーフにした作品ですが,こちらはヴァンパイア・ホラー・コメディとか.タイトルだけのレズビアン関連ムービー?

47 ミラノ,愛に生きる
lo sono l'amoire
★★★
2009年 イタリア カラー 120 min
STAFF
監督:ルカ・グァダニーノ
脚本:ルカ・グァダニーノ/バルバラ・アルベルティ/イヴァン・コトロネーオ/ウォルター・ファサーノ
原案:ルカ・グァダニーノ
製作:ルカ・グァダニーノ/フランチェスコ・メルジ・デリル/マルコ・モラビト/ティルダ・スウィントン/アレッサンドロ・ウサイ/マッシミリアーノ・ヴィオランテ
音楽:ジョン・アダムズ
撮影:ヨリック・ル・ソー
編集:ヴァルテル・ファサーノ
CAST
ティルダ・スウィントン/フラヴィオ・バレンティ/エドアルド・ガブリエリ―二/アルバ・ロルバケル/ピッポ・デルボーノ/マリア・バイアート/ガブリエーレ・フェルゼッティ/マリサ・ベレンソン/ディアーヌ・フレリ/ワリス・アルワリア
 これ, WIkipedia の『レズビアン・ゲイ映画』のページの『主なレズビアン映画作品』に挙げられており,レズビアン映画の傑作『ローマ,愛の部屋(48)とタイトルが似ていたので早速 DVD を購入して観たのですが,ヒロインの娘がレズビアンであるという設定とヒロインと侍女の間にちょっとそれらしい関係が窺われる以外,とりたててレズビアンを扱った映画ではなかったので,がっかりしました.内容も単なる有閑マダムの不倫エピソードで,全くヒロインに対する感情移入ができないストーリーなのですが,イタリア上流階級の家族のお話なので,画面上に展開されるインテリア,ファッション,料理等の映像美は見事なものがありました.

48 ローマ,愛の部屋
Habitation en Roma
★★★★★
2010年 スペイン カラー 107 min
STAFF
監督:フリオ・メデム
脚本:フリオ・メデム
製作:アルバロ・ロングリア
製作総指揮:フリオ・メデム/アルバロ・ロングリア
音楽:ジョスリン・プーク
撮影:アレックス・カタラン
編集:フリオ・メデム
CAST
エレナ・アナヤナターシャ・ヤロヴェンコ/エンリコ・ロー・ヴェルソ/ナイワ・ニムリ
 『究極の愛と官能』といううたい文句が決して大袈裟ではない,多国籍レズビアン・シネマ.スペイン映画って映像が綺麗な監督さんが多くて好きなのですが.これは今までに観た映画の中で多分最も美しい作品だと思います.この世界に男はいらないのです.



49 キッズ・オールライト
The Kids Are All Right
★★★★
2010年 アメリカ カラー 104 min
STAFF
監督:リサ・チョロデンコ
脚本:リサ・チョロデンコ/スチュアート・ブルムバーグ
製作:ゲイリー・ギルバート/ジョーダン・ホロヴィッツ/ジェフリー・レヴィ=ヒント/セリーヌ・ラトレイ/ダニエラ・タップリン・ランドバーグ
製作総指揮:J・トッド・ハリス/フィリップ・ヘルマン/二―ル・カッツ/リヴァ・マイケル/アン・オシェイ/アンディ・ソーヤー/スティーヴン・サクストン/クリスティ・スコット・キャッシュマン/ロナルド・スタイン
音楽:カーター・バーウェル/ネイサン・ラーソン/クレイグ・ウェドレン
撮影:イゴール・ジャデュー=リロ
編集:ジェフリー・M・ワーナー
CAST
アネット・ベニングジュリアン・ムーア/マーク・ラファロ/ミア・ワシコウスカ/ジョシュ・ハッチャーソン/ヤヤ・ダコスタ
 レズビアン・カップルとそれぞれの2人のこどもの4人家族に,精子提供者でヘテロの男性が割り込んできて家庭崩壊の危機に瀕するお話.実際にあってもおかしくない話なので,興味深く観ることができましたが,家族以外のキャラクター,特に2人のこどもにそれぞれちょっとヘンな友人がいるのですが,それらに関するエピソードが中途半端に描かれて消化不良を起こしており,なくてもよかったような感があります.ヘテロの男性でドナーのマーク・ラファロさんは単なるボケ役ですが,そのパートナー役のヤヤ・ダコスタさんがかわいいです.

50 ブラック・スワン
BLACK SWAN
★★★★
2010年 アメリカ カラー 108 min
STAFF
監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:マーク・ヘイマン/アンドレス・ハインツ/ジョン・J・マクローリン
原案:アンドレス・ハインツ
製作:スコット・フランクリン/マイク・メダヴォイ/アーノルド・メッサ―/ブライアン・オリヴァー
製作総指揮:ジョン・アヴネット/ブラッド・フィッシャー/ピーター・ブラックマン/アリ・ハンデル/ジェニファー・ロス/リック・シュウォーツ/タイラー・トンプソン/デヴィッド・シュウェイツ音楽:クリント・マンセル
撮影:マシュー・リバテーク
編集:アンドリュー・ワイスプラム
CAST
ナタリー・ポートマン/ヴァンサン・カッセル/ミラ・クニス/バーバラ・ハーシー/ウィノナ・ライダー/バンジャマン・ミルピエ/クセニア・ソロ/クリスティーナ・アナパウ/ジャネット・モンゴメリー/セバスチャン・スタン/トビー・ヘミングウェイ
 『スター・ウォーズ』エピソード1〜3の新3部作でヒロインを演じたナタリー・ポートマンさんが,徐々に精神が崩壊していくバレリーナを演じてアカデミー主演女優賞を獲得したサイコ・サスペンス.レズビアン映画というわけではありませんので,レズビアン・シーンはヒロインとライバルの新人バレリーナの,しかも実は幻覚?といった1シーンのみですが,ストーリー上重要なシーンであるとともに,かなりハードな描写で見ごたえがありました.

51 マリー・アントワネットに別れをつげて
Les adieux a la reine
★★★★
2012年 フランス・スペイン カラー 100min
STAFF
監督:ブノワ・ジャコ
脚本:ジル・トーラン/ブノワ・ジャコ
原作:シャンタル・トマ
製作:ジャン=ピエール・ゲラン/クリスティーナ・ラーセン/ペドロ・ウリオル
製作総指揮:クリストフ・ヴァレット
音楽:ブリュノ・クレ
撮影:ロマン・ウィンディング/A. F. C
編集:リュック・バルニエ/ネリー・オリヴォ―
CAST
レア・セドゥ/ダイアン・クルーガーヴィルジニー・ルドワイヤン/グザヴィエ・ボーヴォア/ノエミ・ルボフスキー/ミシェル・ロバン/ジュリー=マリー・パルマンティエ/ロリータ・シャマー/ジャック・ブデ/マルティーヌ・シュヴァリエ
 フランス王妃マリー・アントワネットとその取り巻きの一人ポリニャック夫人がレズビアンであったという設定.たしか『ベルサイユのばら』ではアントワネットはポリニャックを嫌っていたのでは?なんてことを考えながら観てました.ヒロインは王妃に心酔する翻訳係の少女で,結局は二人の歪んだ愛に翻弄されてしまうという少々救いのない話ですが,フランス王朝を代表する歴史的人物を,ドイツ人女優のダイアン・クルーガーさんが見事に演じています.よくよく考えてみるとマリー・アントワネットってもともとはオーストリア人だったのよね?

52 アデル,ブルーは熱い色
La vie D'Adele : Chapitires 1 et 2
★★★★
2013年 フランス カラー 169min
STAFF
監督:アブデラティフ・ケシシュ
脚本:アブデラティフ・ケシシュ/ガリア・ラクロワ
原作:ジュリー・マロ
撮影:ソフィアン・エル=ファーニ
CAST
アデル・エグザルコブロスレア・セドゥ/サリム・ケシゥシュ/モナ・ヴァルラヴェン/ジェレミー・ラユルト/アルマ・ホドロフスキー
 原作グラフィック・ノベルのタイトルが "Le bleu est une couleur chaude" ですから,日本語のタイトルはこちらに近いわけで,原題は『アデルの人生』というタイトルのこの映画,実はヒロインのキャラクターも名前もストーリーの結末も原作とは違っており,そういった意味で原作はあくまで原作として作られた別作品という意味でタイトルも変えてあるような気がするのですが,何故か日本語のタイトルは原作のタイトルの前に映画のヒロインの名前を置いた,訳の分からないものにされてしまっています.タイトルも作品の一部ですから,個人的には以前から外国の芸術作品に日本のレコード会社や映画配給会社が勝手に原題とかけ離れたタイトルつけるのが大嫌いなのですが,この作品もおかしなタイトルつけられてかわいそうです.スピルバーグ監督が絶賛したというだけあってよくできたレズビアン映画,恋愛映画だとは思いますが,おかしなタイトルが台無しにしてしまっている好例だと思います.

53 ロサンゼルス女子刑務所
Jailbait
★★★
2014年 アメリカ カラー 90 min
STAFF
監督:ジャレッド・コーン
脚本:ジャレッド・コーン
製作:デヴィッド・マイケル・ラット
製作総指揮:デヴィッド・リマゥイー
音楽:クリス・カノ
撮影:ローラ・ベスラブ
CAST
サラ・マルクル・レインエリン・オブライエン/スティーヴ・ハンクス/アンドレイ・ジョンソン
 いわゆるレズビアン映画ではありませんが,男女ともに同性愛の温床といわれる刑務所モノ.DVD のコピーに『強制レイプ !! 集団リンチ !! 独房全裸監禁 !! 犯罪都市LA女子刑務所の恐るべき実態 !!』などとあるので戦々恐々として観ましたが,それほどえげつないシーンはなかったのでホッとしました.

54 私の少女
A Girl at My Door
★★
2014年 韓国 カラー 119 min
STAFF
監督:チョン・ジュリ
脚本:チョン・ジュリ
製作総指揮:イ・チャンドン
音楽:チャン・ヨンギュ
撮影:キム・ヒョンソク
CAST
ぺ・ドゥナキム・セロン/ソン・セビョク/チャン・ヒジン/イ・ジョンウン/コンミョン/ムン・ソングン
 警察官が自転車の二人乗りしていたり,原付の飲酒運転を見て見ぬふりしていたり,韓国って法的に緩やかな国なのね?っていうのが最初の違和感.不祥事を起こして地方に飛ばされたと思われるヒロインが警視で署長だったり.継父による少女虐待だって則逮捕案件だと思われるのですが,ほったらかしにしておくから逆に少女の陰険な復讐を成功させてしまうわけで,これでいいのか?というのが素朴な疑問.レズビアンシーンはほとんどないです.

55 愛しのグランマ
Grandma
★★★★★
2015年 アメリカ カラー 79 min
STAFF
監督:ポール・ワイツ
脚本:ポール・ワイツ
製作:ポール・ワイツ/アンドリュー・ミワノ/パリス・カシドコスタス・ラトシス/テリー・ダガス
製作総指揮:ダン・バルゴイエン/ステファニー・ミューラー/ダニエル・レンフルー
音楽:ジョエル・ウェスト
撮影:ドバイアス・デイタム
編集:ジョナサン・コーン
CAST
リリー・トムリン/ジュリア・ガーナ―/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ジュディ・グリア/ラヴァーン・コックス/エリザベス・ペーニャ/ジュディ・ギーソン/ナット・ウルフ/ジョン・チョー/ミッシー・ドーティ/サム・エリオット
 レズビアンで詩人ののヒロインが窮地に陥った孫娘をするために共に奔走していくうちに,家族たちとの絆や自らの生き方について新たな目覚めを得ていく,老齢のレズビアン女性の自立を描いた女性映画であり,まぎれもないレズビアン映画の傑作だと思います.

56 キャロル
Carol
★★★★★
2015年 アメリカ・イギリス カラー 118 min
STAFF
監督:トッド・ヘインズ
脚本:フィリス・ナジー
原作:パトリシア・ハイスミス
製作:エリザベス・カールセン/スティーヴン・ウーリー/クリスティン・ヴェイコン
製作総指揮:ハーヴェイ・ワインスタイン/テッサ・ロス
音楽:カーター・ハーウェル
撮影:エドワード・ラックマン
編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス
CAST
ケイト・ブランシェットルーニー・マーラ/サラ・ポールソン/カイル・チャンドラー/ジェイク・レイシー/コーリー・マイケル・スミス/ジョン・マガロ/キャリー・ブラウンスタイン
 『太陽がいっぱい』のパトリシア・ハイスミスさんの自伝的小説の映画化.そういえば,『太陽がいっぱい』も実はゲイ小説で,それを淀川長治さんが見抜いていたのは有名な話です.この映画,友達に勧められていて前から観たいと思っていたのですが,この度 DVD を入手してやっと観ることが出来ました.主演のケイト・ブランシェットさん,ルーニー・マーラさん共にアカデミー賞の主演女優賞・助演女優賞にノミネートされたものの惜しくも受賞は逃しています.調べてみたところこのお二人実年齢の差16歳ですが,レズビアンの年の差カップルを見事に演じていて,なんとなく勇気づけられました.ストーリー的には男性や子供の側から見るとかなり酷い話なんですが,女性の立場からは感情移入し易いエピソードだと思います.



57 ネオン・デーモン
The Neon Demon
★★
2016年 フランス・デンマーク カラー 117 min
STAFF
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:メアリー・ローズ/ニコラス・ウィンディング・レフン/ポリー・ステンハム
原案:ニコラス・ウィンディング・レフン
製作:レネ・ボーグルム/シドニー・デュマ/ヴァンサン・マラヴァル
製作総指揮:クリストフ・ランデ/ブラヒム・シウア/クリストファー・ウッドロウ/マイケル・ベイシック/スティーヴン・マーシャル/ミシェル・リトヴァク/ゲイリー・マイケル・ウォルターズ/ジェフリー・ストット/マニュエル・シーシュ/マシュー・リード/ヴィクター・ホー/レイチェル・ディック/ソール・シグルヨンソン
音楽:クリフ・マルティネス
撮影:ナターシャ・ブライエ
編集:マシュー・ニューマン
CAST
エル・ファニング/カール・グルスマン/ジェナ・マローン/ベラ・ヒースコート/アビ―・リー/デズモンド・ハリントン/クリスティーナ・ヘンドリックス/キアヌ・リーブス/チャールズ・ベイカー/ジェイミー・クレイトン/ハウダ・シュレタ/アレッサンドロ・二ヴォラ(ノンクレジット)
 ファッション・モデル業界の闇の中,人格が崩壊していくヒロインの姿を描いたサイコ・ホラー・ムービー. 実は同じようなモチーフで作られた『ブラック・スワン』(50)を観た次の日に観たのですが,こちらの方がよりラディカルでよりシュールでよりグロテスクでよりアヴァンギャルド,ちょっとやり過ぎの感があって作品をわけのわからないものにしてしまっています.

58 アンダー・ハー・マウス
BELOW HER MOUTH
★★
2016年 カナダ カラー 92 min
STAFF
監督:エイプリル・マレン
脚本:ステファニー・ファブリッツィ
製作:メリッサ・コフラン
音楽:ノイア
撮影:マヤ・バンコビック
編集:ミシェル・シェンバーグ
美術:フェイ・マレン
衣装:ゼイナ・エスメイル
CAST
エリカ・リンダ―ナタリー・クリル/セバスチャン・ビゴット/メイコ・ニュイエン
 『嫉妬するほど美しい“ネオイケメン”モデル エリカ・リンダ―衝撃のデビュー作』ということで,確かに綺麗かもしれませんが正直言って好みではないので,「それほどのもんかあ?」というのが正直な感想です.内容に関しても,『息が止まるほど激しい恋』というより単なる登場人物のエゴばかりが感じられてしまって,全く感情移入できませんでした.画像に関してもぼかしが多いのは仕方ないにしても,あまり綺麗には思えませんでした.レズビアン映画としてやたらと評判が高い作品ですが,はっきり言って過大評価だと思います.あいまいなラストにも不満が残るし.要するにこの監督は何を表現したかったのでしょう? それと原題の "Below" を何故か『アンダー』に替えた日本語タイトル.なんでこ〜ゆ〜ことするんだろね?

59 お嬢さん
The Handmaiden
★★★
2016年 韓国 カラー 145 min
STAFF
監督:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン/パク・チャヌク
原作:サラ・ウォーターズ 『荊の城』
製作:パク・チャヌク/イム・スンヨン
製作総指揮:イ・ミギョン
音楽:チョ・ヨンウク
撮影:チョン・ジョンフン
編集:キム・サンボム/キム・ジェボム
CAST
キム・ミニキム・テリ/ハ・ジョンウ/チョ・ジヌン/キム・ヘスク/ムン・ソリ/イ・ヨンニョ/イ・ドンフィ/ユ・ミンチェ/チョ・ウニョン/高木 りな/ハン・ハナ/イ・ギュジョン/キム・シウン/ハ・シヨン/キム・ウニョン/チョン・ハダム/ウォン・グニ/キム・ジョンテ/チャン・ハンスン/パク・ギリュン/チェ・ビョンモ/ハン・チャンヒョン/キム・イヌ/クォン・ヒョク/イム・ヒョンデ/キム・リウ/藤本 信介/長野 克弘/チョン・インギョム/イ・ジハ/アレクサンダー・スカボロー
 サラ・ウォーターズさんのベストセラー・ミステリー『荊の城』を映画化したサイコ・スリラーで,原作・映画共にやたらと評価が高い作品なのですが,三部作の長尺で非常に解りにくい構成になっており,あまり感心できませんでした.また舞台設定をヴィクトリア朝から日本統治下の朝鮮に変更しているため,韓国語・英語・日本語の三種の言語が用いられてストーリーが進行していくのですが,やはり韓国人俳優さんのたどたどしい日本語が耳についてしまいました.但しレズビアン・シーンに関しては,今回一緒に観た『私の少女』(51),『ユンヒへ』(58)の2本にほとんど観られなかった過激なシーンが満載でその点は満足できました.

60 パラダイス女子刑務所
Locked Up
★★★
2017年 アメリカ カラー 87 min
STAFF
監督:ジャレッド・コーン
脚本:ジャレッド・コーン
製作:デヴィッド・マイケル・ラット
製作総指揮:デヴィッド・リマゥイー
音楽:クリス・リーデン・ハウアー/クリストファー・カノ
撮影:ジョシュ・マース
CAST
ケリン・アン・マッカートカット・グレイ/ジャレッド・コーン/インカラット・ジャラスウォンコソル/メイサビー・ウェイス
 大ヒット作となった『ロサンゼルス女子刑務所』(49)製作チームによるエロティック・サスペンス第2弾.今回の舞台は何故か東洋の矯正施設で,施設長は女性.東洋人が悪役として描かれている映画って昔は多かったのですが,最近では珍しいので印象に残りました.但し,暴力シーンは前回よりエスカレートしていますが,レズビアン・シーンはたったの1回しかなかったので,ちょっと残念でした.今回は監督のジャレッド・コーンさんも出演しています.

61 バトル・オブ・セクシーズ
Battle of the Sexes
★★★★
2017年 アメリカ/イギリス カラー 122 min
STAFF
監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファレス
脚本:サイモン・ボーファイ
製作:クリスチャン・コルソン/ダニー・ボイル/ロバート・グラフ
音楽:ニコルス・ブリテル
撮影:リヌス・サンドグレン
編集:パメラ・マーティン
CAST
エマ・ストーン/スティーブ・カレル/アンドレア・ライズブロー/サラ・シルヴァーマン/ビル・プルマン/アラン・カミング/エリザベス・シュー/オースティン・シュトウェル/ジェシカ・マクナミー/ナタリー・モラレス/マーサ・マックアイサック/ケイトリン・クリスチャン/ミッキー・サマー/ブライディ・エリオット/ローレン・クライン/アシュレイ・ヴァインホルト/フィダン・マナシロヴァ/エリック・クリスチャン・オルセン/ルイス・ブルマン/ウォレス・ランガム/フレッド・アーミセン
 レズビアンであることをカミングアウトしたことでも有名なテニス・プレーヤー,ビリー・ジーン・キングさんの伝記映画で,1973年に男性プレーヤーのボビー・リッグスさんとの間で行われた『性別間の戦い』をメインに主軸に,登場人物たちのやはり『性別を超えた』それぞれのラヴ・ストーリーを横軸に作られており,レズビアン映画としても見ごたえのある作品でした.

62 女王陛下のお気に入り
The Favourite
★★★★
2018年 イギリス・アイルランド・アメリカ カラー 120 min
STAFF
監督:ヨルゴス・ランティモス
脚本:デボラ・ディヴィス/トニー・マクナマラ
製作:セシ・デンプシー/エド・ギニー/リー・マジディ/ヨルゴス・ランティモス
製作総指揮:ダニエル・バトセク/デボラ・ディヴィス/ローズ・ガーネット/アンドリュー・ロウ/ジョシュ・ローゼンバウム
撮影:ロビー・ライアン
編集:ヨルゴス・モヴロプサリディス
CAST
オリヴィア・コールマンエマ・ストーンレイチェル・ワイズ/ニコラス・ホルト/ジョー・アルウィン/マーク・ゲイティス/ジェームズ・スミス/ジェニー・レインズフォールド
 第91回アカデミー賞9部門10ノミネートを獲得した大作歴史映画.主演女優賞を獲得した女王役のオリヴィア・コールマンさんはじめ3人の女優さんの演技合戦が見事でした.但しこの作品をレズビアン映画として観た場合は,そこはかとなく物足りなさを感じてしまうかもしれません.ラストのウサギさんたちの映像に続いて流れる主題歌に何故か Elton John さんの作品の中で最高に好きな曲 "Skyline Pigeon" が使用されていたのが嬉しかったのです.

63 ユンヒへ ★★★★
2019年 韓国 カラー 106 min
STAFF
監督:イム・デヒョン
脚本:イム・デヒョン
製作:コ・ギョンラン/パク・ドゥヒ
音楽:キム・へウォン
撮影:ムン・ミョンファン
編集:パク・セヨン
CAST
キム・ヒエ中村 優子/キム・ソヘ/ソン・ユビン/木野 花/瀧内 公美/薬丸 翔/ユ・ジェミョン
 日韓両国を舞台に繰り広げられる中年おばさんビアンのヒューマン・ラヴ・ストーリー.レズビアン・シーンの全く存在しないレズビアン映画ですが,プラトニックの傾向が強いレズビアニズムの本質を上手に描き出した佳作だと思います.

64 燃ゆる女の肖像
Portrait de la jeune fille en feu
★★★
2019年 アメリカ カラー 120 min
STAFF
監督:セリーヌ・シアマ
脚本:セリーヌ・シアマ
製作:ベネディクト・クーヴルー
音楽:パラ・ワン(ジャン=パディスト・デ・ラウビエ)
撮影:クレール・マトン
編集:ジュリアン・ラチェリー
CAST
アデル・エネルノエミ・メルラン/ルアナ・パイラミ/ヴァレリア・ゴリノ/アルマンド・ブーランジェ
 デビュー作『水の中のつぼみ』(43)以後,実生活でパートナーだったセリーヌ・シアマ監督がアデル・エネルさんを,その友好的破局の直後に12年ぶりに主役に起用して制作された作品らしいです.それはともかくとしてこの映画,レズビアンの監督と元パートナーによる紛れもないレズビアン映画で,ストーリーも静かに美しく進んでいくのにも関わらず,観ていて途中ちょっと退屈してしまいました.ヒロインの女性が二人とも綺麗なのですがあまり好みじゃなかったせいらしく,これはどうも眉毛の濃い女性が苦手らしいことに気が付きました.なおこの作品は,2020年第45回セザール賞の作品賞をはじめとする多部門でノミネートされていましたが,少女強姦の罪で有罪判決を受けたロマン・ポランスキー監督の『オフィサー・アンド・スパイ』が監督賞を受賞したことに抗議の意味を込めて,監督賞ノミネートのセリーヌ・シアマさん,主演女優賞ノミネートのアデル・エネルさん,ノエミ・メルランさんが授賞式を退場し,結果として撮影賞のみと受賞となりました.また,アデル・エネルさんはその2年後の2022年5月に『政治的な理由』で映画界からの引退を表明しておられます.



65 アンモナイトの目覚め
Ammmonite
★★★★
2020年 イギリス・オーストラリア・アメリカ カラー 120 min
STAFF
監督:フランシス・リー
脚本:フランシス・リー
製作:イアン・カニング/フォーラ・クローニン・オライリー/エミール・シャーマン
製作総指揮:メアリー・バーク/ローズ・ガーネット/サイモン・ギリス/ジギー・カマサ
音楽:フォルカー・ベルテルマン/ダスティン・オハロラン
撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ
編集:クリス・ワイアット
CAST
ケイト・ウィンスレットシアーシャ・ローナンフィオナ・ショウ/ジェマ・ジョーンズ/ジェームズ・マッカ―ドル/アレック・セカレアヌ/クレア・ラッシュブルック
 実在した女性古生物学者ケイト・ウィンスレットをモデルにしたレズビアン・ラヴ・ストーリーで,他の主要登場人物も実在の人物ですが年齢等設定はかなり変更してあるみたいです.あくまでフィクションなのですが,こういうの遺族からクレームがつかなかったのかしら?という素朴な疑問が残りました.映画そのものは静かに進行していくストーリーと,美しい風景描写に彩られた佳作で,わりと気に入っています.レズビアン・シーンはかなり濃厚でした.

66 ベネデッタ
BENEDETTA
★★★★
2021年 フランス・ベルギー・オランダ カラー 132 min
STAFF
監督:ポール・パーホーベン
脚本:ポール・パーホーベン/デヴィッド・バーク
原案:ジュディス・C・ブラウン
製作:サイード・ベン・サイード/ミヒェル・メルクト/ジェローム・セドゥ
音楽:アン・ダッドリー
撮影:ジャンヌ・ラポワリー
編集:ヨープ・デル・ブルフ
CAST
シャーロット・ランプリング/ヴァジニー・エフィラダフネ・バタキア/ランベール・ウィルソン/オリヴィエ・ラブルダン/ニコラス・ガスパール/エルヴェ・ピエール/ギレーヌ・ロンデス/デヴィッド・クラヴェル/クロティルド・クロー/ローリアンヌ・リケ/ルイーズ・シュヴィヨット
 17世紀の修道女ベネデッタ・カルリーニの半生を描いた伝記映画で,オープニングに史実にインスパイアされた作品である旨が記載されています.かつて川端康成さん原作の『美しさと哀しみと』(15)でレズビアンの彫刻家役がすっかりハマっていたシャーロット・ランプリングさんは,今回は残念ながら修道院長役でかなりお歳を召されたお姿ですが,やっぱりカッコいいです.ヒロインのベネデッタを演じているヴァジニー・エフィラさんと相手役のダフネ・バタキアさんは,日本ではほとんど知られていない若手の女優さんのようですが,やはりちょっとこの大役には貫禄不足で,それだけにランプリングさんの好演が目立っている感じです.

67 ホイットニー・ヒューストン
I WANNNA DANCE WITH SOMEBODY
★★★
2022年 アメリカ カラー 142 min
STAFF
監督:ケイシー・レモンズ
脚本:アンソニー・マクカーテン
製作:デニス・オサリヴァン/ジェフ・カリジェリ/アンソニー・マクカーテン/パット・ヒューストン/クライヴ・デイヴィス/ラリー・メステル/モリー・スミス/サッド・ラッキンビル/トレント・ラッキンビル/マット・ジャクソン/クリスティーナ・パパジーカ/マシュー・サロウェイ
音楽:チャンダ・ダンシー
撮影:バリー・アクロイド
編集:デイシャ・ブロードウェイ
CAST
ナオミ・アッキー/スタンリー・トゥッチ/アシュトン・サンダース/タマラ・チュニー/ナフェッサ・ウィリアムズ/クラーク・ピータース/ブリア・ダニエル・シングルトン
 48歳で夭折した歌手ホイットニー・ヒューストンさんの伝記映画.主に前半に親友でアシスタントだったロビン・クロフォードさんとの関係が描かれていますが,ご本人はバイセクシャルだったため,後半はほとんどその描写はありません.また,別にレズビアンを主体とした映画ではないので,それらしいシーンも特に観られません.さて個人的な意見としては,特にアメリカにおいて音楽の世界は黒人の優位性が認められているジャンルで,白人に比べて過大評価される傾向にあることを感じており,この方に関しても過大評価され過ぎている感じがあってあまり関心が持てませんでした.また,やはり個人的にミュージシャンとか俳優さんとかいった方々には老醜を見せてほしくない,早いうちに死ぬか引退するかしてほしいと思っているほうなので,22歳でデビューし48歳で亡くなったこの方の生き方はある意味理想的だったような感があるため,とくにおかしな感情移入はできなかったのであります.

68 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE
★★
2022年 アメリカ カラー 140 min
STAFF
監督:ダニエル・クアン/ダニエル・シャイナート
脚本:ダニエル・クアン/ダニエル・シャイナート
製作:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ/マイク・ラロッカ/ダニエル・クアン/ダニエル・シャイナート/ジョナサン・ワン/ピーター・タム・リー
音楽:サン・ラックス
撮影:ラーキン・サイプル
編集:ポール・ロジャーズ
CAST
ミシェル・ヨー/キー・ホイ・クアン/ステファニー・スー/ジェームズ・ホン/ジェイミー・リー・カーティス/タリ―・メダル/ジョニー・スレイト/ハリー・シャム・ジュニア
 第95回アカデミー賞11部門にノミネートされ,作品賞,主演女優賞,助演男優賞,助演女優賞,監督賞,脚本賞,編集賞の7部門で受賞,史上初の主要6部門と3部門の演技賞受賞作.とゆ〜ことでかなり期待して観たのですが,
なんじゃあ?こりゃあ!
シュールな映画ってわりと好きなのですが,流石にこれはほとんど理解できず,140分の長尺にちょっと苦痛を感じてしまいました.また理解するまでに時間がかかりそうな映画が1本できてしまいました.レズビアニズムに関しては,ヒロインの娘がレズビアンという設定がありますが,レズビアン・シーンは全くなく,レズビアン映画としても評価することはできません.

69 TAR / ター
Tar
★★
2022年 アメリカ カラー 158 min
STAFF
監督:トッド・フィールド
脚本:トッド・フィールド
製作:トッド・フィールド/スコット・ランバート/アレクサンドラ・ミルチャン
製作総指揮:ケイト・ブランシェット/フィル・ハント/スティーヴン・ケリハー/マイクル・ロゲス/コンプトン・ロス/デヴィッド・L・シフ/ウーヴェ・ショット/ナイジェル・ウール
音楽:ヒドゥル・グドナドッティル
撮影:フロリアン・ホーフマイスター
編集:モニカ・ウィリー/ノエミ・メルラン/ニーナ・ホス/ゾフィー・カウアー/ジュリアン・グローヴァ―/アラン・コーデュナー/マーク・ストロング/シルヴィア・フローテ/アダム・ゴプニク/ミラ・ボゴイェヴィッチ/ツェトファン・スミス=グナイスト
CAST
ケイト・ブランシェットノエミ・メルランニーナ・ホス/ゾフィー・カウアー/ジュリアン・グローヴァ―/アラン・コーデュナー/マーク・ストロング/シルヴィア・フローテ/アダム・ゴプニク/ミラ・ゴボイェヴィッチ/ツェトファン・スミス=グナイスト
 ケイト・ブランシェットさん扮する女性指揮者リディア・ターの栄光と没落を描いたドラマ・ムービーですが,前半ではいくつかのエピソードが冗長に繰り広げられ,後半では急展開するストーリーが断片的に描かれており,構成に難のある仕上がりとなっているような印象を受けました.またヒロインがレズビアンという設定でありながら,レズビアニズムの描写は皆無に近く,158分の長尺が無味乾燥的なものに感じられてしまいました.しかしながら作品自体は高い評価を得て第95回アカデミー賞では作品賞,監督賞,主演女優賞,脚本賞,撮影賞,編集賞の主要6部門にノミネートされたものの,やはり個人的にはあまり評価することができない『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(68)に阻まれて受賞はなりませんでした.この年のアカデミー賞,一部では『不作の年』と揶揄されているみたいです.

70 カラーパープル
The Color Purple
★★★
2023年 アメリカ カラー 141 min
STAFF
監督:ブリッツ・バザウーレ
脚本:マーカス・ガードリー
原作:アリス・ウォーカー
製作:スティーヴン・スピルバーグ/オプラ・ウィンフリー/スコット・サンダース/クインシー・ジョーンズ
製作総指揮:アリス・ウォーカー/マーラ・ジェイコブス/カーラ・ガーディニ/クリスティ・マコスコ・クリーガー/アダム・フェル/コートニー・ヴァレンティ/シーラ・ウォルコット/マイケル・ビューグ
音楽:クリス・パワーズ
撮影:ダン・ローストセン
編集:ジョン・ポール
CAST
ファンテイジア・バリーノタラジ・P・ペンソン/ダニエル・ブルックス/コールマン・ドミンゴ/ルイス・ゴセット・ジュニア/コーリー・ホーキンズ/H. E. R./ハリー・ベイリー/シアラ/アーンジャヌー・エリス/ジョン・バティスエ/デヴィッド・アラン・グリア/デオン・コール/エリザベス・マーヴェル/ウーピー・ゴールドバーグ
 スティーブン・スピルバーグさんによるアリス・ウォーカーさん原作小説の再映画化ですが,今回は制作のみで監督は他の人に任せています.ご本人が監督した前作(17)ではどういうわけかレズビアニズムに関する部分が希薄に描かれておりかなり残念だった記憶があったのですが,今回もその傾向は残念ながらそのままでした.今回はミュージカルで,実はミュージカルってあまり好きじゃなくて,また音楽的には Blues って苦手なジャンルなのですが,その点に関しては結構楽しく視聴することができました.前作でヒロインを演じていたウーピー・ゴールドバーグさんが助産婦役でカメオ出演されています.

71 落下の解剖学
Anatomie d'une chute
★★★★
2023年 フランス カラー 152 min
STAFF
監督:ジャスティーヌ・トリエ
脚本:ジャスティーヌ・トリエ/アルチュール・アラリ
製作:マリー=アンジュ・ルシアーニ/ダヴィド・ティオン
撮影:シモン・ボーフィス
編集:ロラン・セネシャル
CAST
ザンドラ・ヒュラー/スワン・アルロー/ミロ・マシャド・グラネール/アントワーヌ・レナルツ/サミュエル・タイス/ジェニー・べス/サーディア・ベンタイブ/カミーユ・ラザフォード/アン・ロトジェ/ソフィ・フィリエール
 すご〜くよくできたミステリー・ムービーで,特に法廷のシーンは検事役アントワーヌ・レナルツさんの好演もあってスリリングな迫力に満ちていますが,やはり152分はちょっと長すぎ.特に結審後のいくつかのエピソードはもうちょっと整理できたのではないかと思われます.またヒロインがバイセクシュアルで女性相手に浮気をしていたという設定以外,特にレズビアニズムの描写があるわけでもないので,レズビアン映画としては評価できません.

72 ドライブアウェイ・ドールズ
Drive-Away Dolls
★★
2024年 アメリカ カラー 85 min
STAFF
監督:イーサン・コーエン
脚本:イーサン・コーエン/トリシア・クック
製作:イーサン・コーエン/トリシア・クック/ロバート・グラフ/ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー
音楽:カーター・バーウェル
撮影:アリ・ウェグナー
編集:トリシア・クック
CAST
マーガレット・クアリージェラルディン・ヴィスワナサンビーニー・フェルドスタイン/コールマン・ドミンゴ/ペドロ・パスカル/ビル・キャンプ/ジョーイ・スロトニック/C・J・ウィルソン/マット・デイモン/マイリ―・サイラス(ノンクレジット)
 下ネタ満載のお下劣・お馬鹿ムービー.なにがなんだかわけのわからんストーリーと目まぐるしく変わる画面展開はともかくとして,ふんだんに観られる過激なレズビアン・シーンが結局のところバカにしているような感じがして,素直に受け入れて楽しめませんでした.