緑 魔子




1
二匹の牝犬 ★★★★★
1964年 東映 モノクロ 91 min
STAFF
監督:渡邊 祐介
脚本:下飯坂 菊馬/渡邊 祐介
企画:岡田 茂
音楽:渡辺 宙明
撮影:西川 庄衛
美術:森 幹男
編集:長沢 嘉樹
CAST
小川 真由美/緑 魔子(新人)/杉浦 直樹/北村 和夫/三津田 健/宮口 精二/加藤 武/沢村 貞子/宮園 純子/新井 茂子/北原 しげみ/若水 ヤエ子/北城 真紀子/本山 可久子/田代 信子/沢 彰謙/杉 義一/菅原 壮男/大木 史郎/阿部 正純/潮 健児/標 滋賀子/青木 千里/尾川 雅野/久保 比左志/仲塚 光哉/原 信夫/草野 大悟/豊野 弥八郎/岸田 森/柳生 尚美/山本 緑/沢田 実/都 健二/木録 加寿子/古橋 弘子/大和 節子/小甲 登枝恵/弓 恭子/堤 紀子/鈴木 暁子/東 百合子/内藤 勝次郎
 緑魔子さん初主演デビュー作.姉役の小川真由美さんと二人でトップにクレジットされていますが,小川さんを見事に喰ってしまう強烈な個性と演技が認められて,同年のブルーリボン新人賞を獲得しています.当時まだ演技が素人同然ということで,監督の起用にプロデューサーは反対したらしいですが,魔子さんは猛勉強の末,短期間に演技力を身につけたということで,やはり天才的な素質を持った女優さんであったことが窺われます.また,娼婦役に当初難色を示していた小川真由美さんが出演を決めたのは,当時所属していた文学座の借金返済のためであったと言われ,同劇団から北村和夫さん,宮口精二さん,草野大悟さん,岸田森さんも出演されています.小川さんの相手役は後に TV ドラマ『アイフル大作戦』でコンビを組んだ杉浦直樹さんですが,ここでは女を食い物にしようとする情けない男を好演しています.緑魔子さんとの共演作が多かった岸田森さんは,魔子さんとの絡みでラストの方に出演していますが,このデビュー作ですでに共演されていたのは初めて知りました.

2
廓育ち ★★★★
1964年 東映 カラー 106 min
STAFF
監督:佐藤 純彌
脚本:柳田 吾郎
原作:川野 彰子
企画:辻野 力弥/本田 延三郎/吉田 達
音楽:佐藤 勝
撮影:飯村 雅彦
美術:金子 元明
編集:長沢 嘉樹
CAST
三田 佳子/中村 賀津雄/梅宮 辰夫/緑 魔子/塚原 佳穂理(新人)/佐々木 愛/宮口 精二/荒木 道子/原田 甲子郎/三津田 健/牧 よし子/谷本 小夜子/高城 裕二/八方 ゆり/河合 絃司/山本 緑/相生 千恵子/須賀 良/木川 哲也/亀山 達也/小塚十紀雄/山田 甲一/清水 正/菅原 壮男/高須 準之助/多騎 由郎/東 百合子/松岡 葉子/伊藤 慶子/真木 亜紗子/西 智子/竹村 清女/堤 紀子/鈴木 暁子/速水 由貴/小甲 登枝恵/進藤 英太郎/三益 愛子(東宝)
以下ノンクレジット 小野 恵子/畠山 淑子/岡田 由紀子
 三田佳子さん初主演作.緑魔子さんは塚原佳穂理さん,佐々木愛さんと共に3枚目にクレジットされていますが.3人の中で一番出演場面が少なくて残念でした.

3
くノ一化粧 ★★★
1964年 東映 カラー 90 min
STAFF
監督:中島 貞夫
脚色:倉本 聰/中島 貞夫/金子 武郎
原作:山本 風太郎 『外道忍法帖』
企画:小倉 浩一郎/折原 武雄
音楽:山本 直純
撮影:赤塚 滋
美術:吉村 晟
編集:神田 忠男
CAST
西村 晃/小沢 昭一/春川 ますみ/三島 ゆり子/緑 魔子/露口 茂/加藤 武/脇中 昭夫/弓 恵子/松井 康子/岬 瑛子/西岡 慶子/原田 甲子郎/原 健策/加賀 邦男/中村 錦司/尾形 伸之介/神木 真寿雄/唐沢 民賢/キティ 島/岩尾 正隆/松代 章子/那須 伸太朗/井瀬 昌枝/小島 恵子/O・S・ミュージック(星 ひとみ/ミッチー 佐藤/久美 エリカ/阿井 美紗子/右京 ナオミ/白木 かほる/マリ 司/渚 久仁子/花園 明子/関 麗子)/芦谷 雁之助/多々良 純
 実にバカバカしい映画なのですが,これだけのスタッフがこれだけのキャストでこんな映画を作っていたっていうのも現在考えてみると凄いモノがあったと思うのです.6人の忍者との闘いが繰り広げられる中で,緑魔子さんは6人のくノ一の中では最初に姿を消してしまうのが残念でした.

4
非行少女ヨーコ ★★★★★
1966年 東映 モノクロ 80 min
STAFF
監督:降旗 康男
脚本:神波 史男/小野 龍之助
企画:栗山 富郎/加茂 秀男/吉田 達
音楽:八木 正生
撮影:中沢 半次郎
美術:中村 修一郎
編集:祖田 冨美夫
CAST
緑 魔子/大原 麗子/城野 ゆき/谷 隼人(新人)/荒木 一郎/石橋 蓮司/東野 孝彦/関本 太郎/芳村 真理/中北 千枝子/大村 文武/戸浦 六宏/今井 健二/ジョージ 吉村/寺山 修司/岡田 英次/佐野 修二/大坂 志郎
 降旗康男監督昇進第1回作品.谷隼人さんが新人としてクレジットされていますが,この方実際にはそれ以前に子役でいくつかの TV ドラマや映画に出演されていたみたいです.ここでは大阪弁が板についていますが,実際は鹿児島県出身ですとか.あと東映で『第2のマコ』として売り出された大原麗子さんと後に旦那様になる石橋蓮司さんが共演しています.当時すでにアイドル女優だった魔子さんは今観るとまだ演技ヘタですが,個性と存在感は際立っています.作品自体は,ジャズと睡眠薬と喧噪に彩られた当時の退廃的な雰囲気をよく表していると思いますが,この当時まだ子供だったので,あまり懐かしさまでは感じませんでした.それよりも『キャプテンウルトラ』アカネ隊員役の城野ゆきさんが仲間のひとりで自殺してしまうトルコ嬢(!)役で出演していたのが驚きでした.

5
続大奥㊙物語 ★★★
1967年 東映 カラー 95 min
STAFF
監督:中島 貞夫
脚本:国弘 威雄/中嶋 丈博
企画:岡田 茂/翁長 孝雄/三村 敬三
音楽:池野 成
撮影:赤塚 茂
美術:鈴木 孝俊
編集:神田 忠男
CAST
小川 知子/緑 魔子/桜町 弘子/万里 昌代/三島 ゆり子/桑原 幸子/悠木 千帆/東山 千恵子/木暮 実千代/宮城 千賀子/藤岡 重慶/中村 錦司/堀 正夫/市川 男女之助/村居 京之輔/宮土 尚治/岡田 千代/国友 和歌子/沢 淑子/三浦 徳子/服部 三千代/司 みのり/佐々木 松之丞/藤原 勝/奥野 保/大城 泰/川谷 拓三/香月 凉二/三島 雅夫/新田 昌玄/ナレーター:東野 英治郎/小沢 栄太郎/西村 晃
 タイトルからポ〇ノかと思っていたのですが,観たらマジメな映画でした.で,主演の予定だった佐久間良子さんが降りてしまったため,急遽小川知子さん主演,緑魔子さん準主演で作られた作品で興行的には失敗したらしいですが,なかなか見ごたえのある映画でした.但し,準主役でありながら魔子さんの登場場面が少なかったのは残念でした.あとこの時期,他の女優さんたちと比べると,やはりあまり和装は似合っていなかったような気がします.

6
帰って来たヨッパライ ★★★★
1968年 松竹 カラー 80 min
STAFF
監督:大島 渚
脚本:田村 孟/佐々木 守/足立 正生/大島 渚
製作:中島 正幸
音楽:林 光
撮影:吉岡 兼弘
美術:戸田 重昌
編集:浦岡 敬一
CAST
フォーク・クルセダーズ(加藤 和彦・北山 修・端田 宜彦)/佐藤 慶/緑 魔子(東映)/渡辺 文雄/小松 方正/殿山 泰司/足立 正生/車 大善/上野 堯
 フォークルの大ヒット曲を大島渚監督が映画化したシュールな怪作.金嬉老事件やベトナム反戦運動,亡命韓国人等,当時の社会情勢をパロディー化していたり,タバコの『しんせい』が50円に値上げされたり,国鉄の列車に等級が存在していたり,時代を感じさせます.そんな中で,発売中止になったシングル曲『イムジン川』が何故かフィ―チュアされていたのが印象に残っています.『ネエちゃん』役の緑魔子さんは,(東映)とクレジットされていますが,この年東映を解雇され,この作品を皮切りに他社作品の有名監督の作品に次々と出演するようになったそうなので,アイドル女優からの脱皮を図るきっかけとなったという意味で,ターニング・ポイントとなった作品だと思います.

7
眠狂四郎 人肌蜘蛛 ★★★★★
1968年 大映 カラー 80 min
STAFF
監督:安田 公義
脚本:星川 清司
原作:柴田 錬三郎
製作:永田 雅一
音楽:渡辺 宙明
撮影:武田 千吉郎
編集:菅沼 完二
CAST
市川 雷蔵/緑 魔子(東映)/川津 祐介/三条 魔子/渡辺 文雄/寺田 農/五味 龍太郎/三木本 賀代/小林 直美/岸 輝子/松枝 錦治/伊達 三郎/木村 玄/寺島 雄作/黒木 現/和田 正也/荒木 忍/上原 寛二/森内 一夫/伴 勇太郎/光 嵐子/矢代 洋子/井上 ひろみ/川崎 あかね/高木 峰子
 市川雷蔵さん主演眠狂四郎シリーズ第11作.以前『続大奥㊙物語』では和装になんとなく違和感のあった緑魔子さんでしたが,この作品での悪女役はぴったりはまっていて,その魅力を100%引き出すことに成功していました.多分,彼女のフィルモグラフィの中でも1・2を争う出来のはまり役だったと思います.主演の市川雷蔵さんに関しては,実はこの映画で初めて拝見したのですが,やはり昔の俳優さんという感じで,演技・台詞まともにあまり感心できませんでした.ごめんなさい.川津祐介さん,渡辺文雄さん,寺田農さんはよかったです.

8
吹けば飛ぶよな男だが ★★★★
1968年 松竹 カラー 91 min
STAFF
監督:山田 洋次
脚本:森崎 東/山田 洋次
製作:脇田 茂
音楽:山本 直純
撮影:高羽 哲夫
美術:重田 重盛
編集:石井 巌
CAST
なべ おさみ/緑 魔子(東映)/犬塚 弘/芦屋 小雁/佐藤 蛾次郎/佐山 俊二/石井 均/石橋 エータロー/安田 伸/上方 柳太/上方 柳次/石井 富子/牧 よし子/曾我廼家 一二三/小田 草之介/園田 健二/加島 潤/大杉 侃二郎/宅島 渓/戸川 美子/後藤 泰子/谷 よしの/坂田 多恵子/安藤 孝/原田 君事/鈴木 洽六/水木 涼子/小沢 昭一(特別出演)/長門 勇(特別出演)/有島 一郎(東宝)/ミヤコ 蝶々
 続いて出演したこの作品では,魔子さんは少し頭の足りない田舎娘という前作とは180度異なったキャラクターを見事に演じていますが,この時期ご本人も「人生の充実期」とのたまっていたらしいです.主演のなべおさみさんのチンピラ役もかなりの線をいってますが,それより何といっても凄かったのは,トルコ風呂経営者役のミヤコ蝶々さんの熱演・怪演でした.



9
死ぬにはまだ早い ★★★★
1969年 東宝 カラー 82 min
STAFF
監督:西村 潔
脚本:石松 愛弘/小寺 朝
原作:菊村 到
製作:山田 順彦
撮影:原 一民
編集:黒岩 義民
CAST
黒沢 年男/緑 魔子(東映)/江原 達怡/田村 奈己/草野 大悟/若宮 大佑/石田 茂樹/小栗 一也/伊藤 久哉/金原亭 馬の助(初代)/鈴木 治夫/徳永 礼子/佐藤 紀伊子/木之内 ゆみ/高橋 幸治/(以下ノンクレジット)関田 裕/松原 靖/権藤 幸彦/勝部 義夫/加藤 茂雄/佐竹 弘行/小松 英三郎/越後 憲/中山 仁
 凶悪犯が複数の男女を人質に籠城するこのシチュエーション,この頃『ザ・ガードマン』とか『キイハンター』なんかでも似たようなエピソードを観た記憶があるのですが,一種の流行りだったのでしょうか? BGM がジャズでもロックでもなく,越路吹雪,森進一,ザ・タイガーズ等の日本のポップスですが,これが結構時代を現して効果的に使われています.クライマックス,犯人(黒沢年男さん)に裸になるよう強要されたヒロイン(緑魔子さん)が服を脱ぎ始め….ラスト,犯行現場となったドライブインのマスター(小栗一也さん)のセリフがウィットに富んでいてとてもいいです.

10
盲獣 ★★★★★
1969年 大映 カラー 84 min
STAFF
監督:増村 保造
脚本:白坂 依志夫
原作:江戸川 乱歩
音楽:林 光
撮影:小林 節雄
編集:中静 達治
CAST
船越 英二/緑 魔子(東映)/千石 規子(東宝)
 原作者の江戸川乱歩さん自身が校訂のため読みなおして,「ひどい変態ものである」と驚き,全集に入れるのをためらったという猟奇変態小説の映画化.ストーリーの設定や展開は大幅に変更されていますが,やはり見事な変態作品に仕上がっていて,現代では製作も公開も不可能と思われます.しかしながら,この作品での緑魔子さんは最高に美しく,また TV 『時間ですよ』のお父さん役のイメージの強かった船越英二さんの変態ぶりも意外と見事でした.あと母親と息子を演じている千石規子さんと船越さんの実年齢の差は実は1歳なのですが,よろしいのでしょうか?

11
日本一の断絶男 ★★★★
1969年 東宝 カラー 94 min
STAFF
監督:須川 栄三
脚本:田波 靖男
製作:大森 幹彦
音楽:宮川 泰
撮影:原 一臣
編集:黒岩 義民
CAST
植木 等/緑 魔子/なべ・おさみ/千秋 実/藤木 悠/安田 伸/藤岡 琢也/高橋 厚子/市川 和子/飯田 蝶子/春川 ますみ/小松 政夫/橋本 功/人見 きよし/清水 元/北 竜二/富田 仲次郎/熊倉 一雄/桐野 洋雄/佐田 豊/中山 豊/二瓶 正也/向井 純一郎/広瀬 正一/辻村 真人/二見 忠男/沢村 いき雄/ハナ 肇/奥村 チヨ/谷 啓
 昔のお笑いの破壊力を堪能できます.個人的には,魔子さんと奥村チヨさんの『恋の奴隷』歌唱シーンでの共演が嬉しかったのですが,しかしそうなると植木さんはお邪魔です.

12 白昼の襲撃 ★★★★
1970年 東宝 カラー 89 min
STAFF
監督:西川 潔
脚本:白坂 依志夫/西村 潔
原案:菊村 到 『真昼の襲撃』より
製作:金子 正且
音楽:日野 皓正
撮影:黒田 徳三
編集:諏訪 三千男
CAST
黒沢 年男/高橋 紀子/緑 魔子/石井 くに子/レックス・ヒューストン/出 情児/岸田 森/桑山 正一/伊藤 久哉/若山 大祐/殿山 泰司/梅津 栄/富川 徹夫/植田 峻/北浦 昭義/守田 比呂也/ドン・ウィッテン/マンモス・鈴木/青木 君雄/中岡 慎太郎/三田村 賢二/市地 洋子/荘司 洋子/武田 美瑳子/岩崎 トヨコ/細井 利雄/田中 一/伊海田 弘/伊東 巨介/芹 昌郎/谷川 修/三島 圭一郎/南 武臣/麻生 美恵子/歌川 千恵
 菊村到さんのハードボイルド小説の映画化.ヒロインの高橋紀子さんは寺田農さんの元奥さまという知識はあったのですが,今回 DVD を観て,『ウルトラQ』の『南海の怒り』に出ていたアニタさんだったことがわかりました.この他にも共演作の多い岸田森さんと緑魔子さんは,インテリ・ヤクザとその情婦というこれ以上はないはまり役で出演しています.また主人公の黒沢年男さんとその兄貴分を演じている岸田さんは後に『血を吸う薔薇』で再度共演されています.大学生役の富川激夫さんは『徹夫』と誤ってクレジットされていて気の毒でした.で,この作品ですがまぎれもないゲイ映画だと思うのですが,物語のキー・パーソンとなる主人公の弟分役を好演している出情児さんは,この後姿を消してしまったのが残念です.

13 あらかじめ失われた恋人たちよ ×
1971年 ATG カラー 122 min
STAFF
監督:田原 総一朗/清水 邦夫
脚本:清水 邦夫/田原 総一朗
企画:葛井 欣士郎
音楽:成毛 滋
撮影:奥村 祐治
美術:清水 邦夫
編集:近藤 光雄
CAST
石橋 蓮司/桃井 かおり/加納 典明/緑 魔子/古賀 さと子/カルメン・マキ/岩渕 達治/秋浜 悟史/佐藤 重臣/蜷川 幸雄/井田 邦明/井上 博一/上野 義則/内田 ゆき/大森 直人/蟹江 敬三/佐々倉 英雄/須賀 勉/竹之内 弾/豊田 紀雄/正城 睦子/吉田 潔
 旦那さまの石橋蓮司さん主演のロード・ムービー.桃井かおりさんの主演第一作でもあるらしいです.石橋さんの饒舌ぶりと聾唖者のカップルの対比が印象的で,沈黙はどんな饒舌にも勝る.という言葉を思い出させました.奥さまの緑魔子さんはストーリーとはほとんど無関係な狂女役で,ほとんどカメオ出演みたいです.で,この作品自体に関してですが,
最低の動物虐待映画で全く評価できません

14 日本妖怪伝 サトリ
Satori
★★★★
1973年 青林舎 カラー 100 min
STAFF
監督:東 陽一
脚本:東 陽一/前田 勝弘
製作:高木 隆太郎/重松 良周
撮影:田村 正毅
美術:下河原 香雄/手塚 研一
編集:東 陽一/市原 啓子
CAST
緑 魔子/河原崎 次郎/山谷 初男/渡辺 文雄/織本 順吉/金井大/坂本 長利/下川 達平/石橋 蓮司/蟹江 敬三/穂高 稔/長谷川 弘/外波山 文明/伊藤 惣一/原口 剛/原田 あけみ/高樹 蓉子/石津 康彦/田村 正男/白山 英雄/小川 純三/中川 謙二/薮内 六郎/榎本 陽介/池田 傳一/平野 謙一郎/前田 健一/藤沢 義徳/松本 健一/斉藤 真知子/木村 奈津子/佐藤 佳子/前田 孝子/下河原 香子/遠藤 義徳/遠矢 忠宏/関 亮次/内田 栄一/岡村 春彦/小川 紳介/佐藤 慶/吉行 和子
 現代に復活した民話上の妖怪『サトリ』とそれを信じる精神病質の女,そして現代の妖怪ともいえる『ものぐさ太郎』,それぞれのアイデンティティーを描いたちょっと難解な映画で,また理解できるために何回か観る必要のある映画ができてしまいました.この時代,こんなちょっと芸術的?な作品多いですが,嫌いじゃないです.主役の3人以外に,大勢の個性的なバイプレイヤーたちが出演してますが,中でも患者?役の吉行和子さんが印象的でした.

15 御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判 ★★★
1974年 東宝 カラー 84 min
STAFF
監督:井上 芳夫
脚本:増村 保造
原作:小池 一夫/神田 たけ志
製作:勝 新太郎/西岡 弘善
音楽:桜井 英顕
撮影:牧浦 地志
編集:谷口 登司夫
CAST
勝 新太郎/西村 晃/緑 魔子/成田 三樹夫/小池 朝雄/高橋 悦史/山内 明/草野 大悟/蟹江 敬三/中島 葵/司 美智子/名和 宏/戸浦 六宏/絵里 ちぐさ/水城 マコ/真木 広美/永野 達雄/古川 ロック/九段 吾郎/伊吹 新吾/新田 章/浜田 雄史/暁 新太郎/武見 士朗/布目 真爾/渡辺 満男/宮下 有三/神田 絋司
 劇画原作のシリーズ3分作の最終作.原作は読んでないのですが,この時代こんな下世話な劇画流行っていた記憶があります.映画化された3本の作品の中では,主演の半蔵役勝新太郎さんとセミレギュラーの西村晃さん,草野大悟さん,蟹江敬三さんとのやり取りなど,コミカルな要素がかなり強くなったこの第3作が最も面白く観ることができました.緑魔子さんは悪代官の奥方を演じていますが,盲目の石山検校(小池朝雄さん)の琴の演奏の前で半蔵にレ〇プされるシーンは,シリーズ他作のような陰鬱な拷問じみたものではなかったのでちょっとホッとしました.

16 野獣死すべし 復讐のメカニック ★★★
1974年 東宝 カラー・モノクロ 86 min
STAFF
監督:須川 栄三
脚本:白坂 依志夫/工藤 裕弘/須川 栄三
原作:大藪 春彦
製作:金子 正且/安武 龍
音楽:村井 邦彦
撮影:木村 大作
編集:黒岩 義民
CAST
藤岡 弘/緑 魔子/真理 明美/小松 方正/村井 国夫/近藤 宏/加藤 嘉/加藤 和夫/渥美 国泰/大場 健二/伊藤 幸子/塩沢 とき/奥野 匡/吉永 慶/稲垣 昭三/丸岡 将一郎/西本 裕之/田中 京子/西村 潔/守田 比呂也/河村 弘二/吉原 正弘/広瀬 正一/門脇 三郎/熊谷 卓三/鈴木 治夫/津田 光男/渡辺 孝光/影山 丈二/富士乃 幸夫/鳥居 功靖/根間 則夫/西田 勇三/横山 勝一/中山 剣吾/君塚 正純/尾崎 孝二・ヘンリー 萩野/トニー 種子島/松本 晴市/渋谷 健三/川口 節子/黒沢 年男
 大藪春彦さん原作のピカレスク・ロマン.1959年須川さん監督仲代達矢さん主演で製作された『野獣死すべし』映画化第一作の続編として位置づけられる作品で,原作も続編の『野獣死すべし 復讐篇』をベースとしているようです.第一作は後に村上透さん監督松田優作さん主演でリメイクされましたが,かなり原作からはかけ離れた内容の作品となってました.さてこの映画での魔子さんですが,2番目にクレジットされているにも関わらず,すぐに殺されてしまう役柄で残念でした.



17 僕は天使ぢゃないよ ★★★★
1974年 イエロー・ツウ・カンパニー カラー・モノクロ 116 min
STAFF
監督:あがた 森魚
脚本:あがた 森魚
原作:林静一 『赤色エレジー』
製作:あがた 森魚/菊地 滋/長田 達也
音楽:あがた 森魚/松本 隆/松本 裕/矢野 誠/大滝 詠一/西岡 恭三/友部 正人/蜂蜜ぱい(鈴木 慶一・武川 雅寛・岡田 徹・駒沢 裕城・本多 信介)/ティン・パン・アレー(細野 晴臣・鈴木 茂・林 立夫)
挿入歌:あがた 森魚/大瀧 詠一/友部 正人
撮影:宮崎 哲郎
美術:山本 じん
CAST
あがた 森魚/斉藤 沙稚子/緑 魔子/桃井 かおり/岡崎 二郎/三条 泰子/坂本 長利/安田 のぞみ/大林 丈史/鈴木 昭生/長井 勝一/古川 ガン/アレックス/阿部 盛/石原 信一/安藤 純子/内田 ひろ子/和田 沙菜穂/梶原 陽子/山田 三代代/名和 啓子/大滝 詠一/泉谷 しげる/下田 逸郎/山本 コウタロー/友部 正人/増尾 元章/井上 堯之/中川 五郎/渡辺 勝/横尾 忠則/岡本 喜八/三上 寛・鈴木 慶一(ノン・クレジット)
 林静一さんの『赤色エレジー』を映像化したあがた森魚第一回監督作品.正直言って,素人映画の域を出ていない作品ですが,まあそれは仕方のないことなのでありませう.緑魔子さんは倖子・娼婦・一郎の母の三役をこなしていますが,ミュージシャンやその他の文化人,無名俳優さん等が多く起用されているキャストの中では流石に緑さん,桃井さん,三条さんの女優陣の演技の巧さが際立っており,それぞれの魅力を十分に発揮しています.

18 歌麿 夢と知りせば ★★★★★
1977年 日本ヘラルド カラー 140 min
STAFF
監督:実相寺 昭雄
脚本:実相寺 昭雄/武本 勝
製作:蔦井 欣士郎
製作総指揮:古川 勝巳
音楽:広瀬 量平
撮影:中堀 正夫
編集:浦岡 敬一
CAST
岸田 森/山城 新伍/成田 三樹夫/岡田 英次/内田 良平/中丸 忠雄/玉川 伊佐男/小林 昭二/尾藤 イサオ/堀内 正美/寺田 農/菅 貫太郎/樋浦 勉/富川 激夫/村松 克己/小沢 幹雄/蔵 一彦/河原 裕昌/内田 勝正/上條 慎五/仲谷 昇/田村 亮/東野 英心/岸田 今日子/嵯峨 三智子/長嶺 ヤス子/中川 梨絵/八並 映子/太田 美緒/渡辺 とく子/永野 裕紀子/鹿沼 えり/夏樹 レナ/桜井 浩子/緑 魔子/三田 和代/平 幹二朗
 個人的には,私の最も好きな監督が,最も好きな男優・女優をメインキャストに起用して撮った最高の日本映画です.それはともかく,岸田 森さん,小林さん,寺田さん,田村さん,東野さん,八並さん,桜井さんといったいわゆる『実相寺組』に,山城さん,成田さん,岡田さん,内田さん,中谷さん,岸田 今日子さん,嵯峨さん,三田さん,緑さん,平さんといった当時の日本映画のオールスター・キャストによる贅沢なこの作品,それぞれの男優・女優の熱演と実相寺監督自身による脚本によって,かなり見ごたえのある作品となっています.以前あまり和装が似合わないような気がしていた緑魔子さんですが,今回はすごく板についた感じで感心しました.

19 日本人のへそ ★★★★
1977年 ATG カラー 101 min
STAFF
監督:須川 栄三
脚本:白坂 依志夫
原作:井上 ひさし
製作:須川 栄三/藤井 浩明/西村 隆平
音楽:服部 公一
撮影:逢沢 譲
編集:黒岩 義民
CAST
緑 魔子/佐藤 蛾次郎/草野 大悟/なべ おさみ/三谷 昇/小松 方正/東 てる美/女屋 実和子/丸山 善司/滝田 裕子/橘 由紀/野瀬 哲男/山西 道広/熊倉 一雄/ハナ 肇(友情出演)/美輪 明宏
 井上ひさしさん原作による戯曲の映画化.もともとは劇団テアトル・エコー公演のため書き下ろされたものらしいです.吃音症の治療のための劇中劇というシチュエーションの中で,前半は主人公の半生が描かれ,その展開とともにミュージカルになったり,ミステリーになったりして,結局どれがメインのストーリーなのかよく解らなくなるヘンな映画ですが面白いです.吃音症や東北弁といった特殊なセリフ回しや,ミュージカル仕立ての場面もあるため,芸達者な16名の役者さんたちが出演していますが,中でもやはり主演の緑魔子さんの好演と,その他の役者さんの中では三谷昇さんの怪演が目立っています.

20 軽蔑 ★★★
2011年 角川映画 カラー 135 min
STAFF
監督:廣木 隆一
脚本:奥寺 佐渡子
原作:中上 健次
プロデューサー:森 重晃
挿入歌:憂歌団 『胸が痛い』
主題歌:グッバイマイラブ 『くたばれ ! 人生の先輩たち !!』
撮影:鍋島 淳裕
編集:菊地 純一
CAST
高良 健吾/鈴木 杏/大森 南朋/忍成 修吾/村上 淳/小林 ユウキチ/日向寺 雅人/蕨野 友也/根岸 季衣/田口 トモロヲ/MARYNA AMAURI/ROSMARI CHIBA/DIANA ABABII/蒼井 そら/山田 キヌヲ/原田 裕章/淵上 泰史/緑 魔子/小林 薫
 原作を読んでいないのでよく把握できていないのかもしれませんが,結局はギャンブル依存症の男が勝手に破滅するだけの話なので,キャッチコピーの「世界は二人を,愛さなかった.」というような,主人公のカップルに対する同情も共感も全く感じられませんでした.タイトルの『軽蔑』って何を指しているのか最初わかりませんでしたが,視聴者の主人公キャラに対する感情と見るのは穿ち過ぎかしら? 緑魔子さんは,登場人物の中で唯一死ななくてもいいのに死んでしまう可愛そうな役柄でした.ものすご~く久しぶりにお姿を拝見しましたが,お歳を召されてもお綺麗で,それだけでも観る価値のある作品ではありました.