Marilyn Monroe




1 恋愛アパート
Love Nest
★★★
1951年 アメリカ モノクロ 85 min
STAFF
監督:ジョセフ・ニューマン
脚本:I. A. L. ダイアモンド
原作:スコット・コーベット
製作:ジュレス・バック
音楽:シリル・モックリッジ
撮影:ロイド・アハーン
編集:J.ワトソン・ウェッブ・Jr
CAST
ジューン・ハーパー/ウィリアム・ランディガン/フランク・フェイ/マリリン・モンロー/ジャック・パール/リアトリス・ジョイ/ヘンリー・クルキー
 欠陥アパートを舞台に大家夫妻と住人たちが繰り広げる様々な人間模様を描いたコメディ.面白いのですが,モンローさんはあくまでわき役の一人に過ぎないので出番少ないです.

2 結婚協奏曲
We're Not Married!
★★★
1952年 アメリカ モノクロ 86 min
STAFF
監督:エドマンド・グールディング
脚本:ナナリー・ジョンソン/ジェイ・ドラトラ―/ジーナ・カウス/ドワイト・テイラー
製作:ナナリー・ジョンソン
音楽:シリル・モックリッジ
撮影:レオ・トバー
編集:ルイ・R・ハウラー
CAST
ジンジャー・ロジャース/フレッド・アレン/ヴィクター・ムーア/マリリン・モンロー/デイビッド・ウェイン/イヴ・アーデン/ポール・ダグラス/エディ・ブラッケン/ヘレン・スタンリー/ミッツィ・ゲイナー/ルイ・カルハーン/ザ・ザ・ガボール/ジェームズ・グリーソン/ポール・スチュワート/ジェーン・ダーウェル/リー・マーヴィン/グロリア・タルボット/リチャード.バックリー
 地方判事(ヴィクター・ムーアさん)のミスにより,結婚が法的に無効となった5組の夫婦に巻き起こる騒動を描いたオムニバス・コメディ・ムービー.モンローさんは2組目の夫婦のエピソードに登場しますが,個人的には4組目の夫婦のエピソードがもっとも共感できました.

3
ノックは無用
Don't Bother to Knock
★★★★★
1952年 アメリカ モノクロ 77 min
STAFF
監督:ロイ・ウォード・ベイカー
脚本:ダニエル・タラダッシュ
原作:シャーロット・アームストロング
製作:ジュリアン・ブロースタイン
音楽:ライオネル・ニューマン
撮影:ルシアン・バラード
編集:ジョージ・A・ギッデンス
CAST
リチャード・ウィドマーク/マリリン・モンロー/アン・バンクロフト/エリシャ・クック・Jr/ドナ・コーコラン/ジム・バッカス/ルリーン・タトル/ドン・ベドー/ヴェルナ・フェルトン/ウィリス・ボーシェイ/ジーン・キャグニー
 リチャード・ウィドマークさんとのダブル主演によるサイコ・サスペンス. DVD の解説によると「16作目にして初の主演となる」との事なので,わりとすぐにスターになったのではないことが解りました.この作品でモンローさんは精神に異常をきたした薄幸の女性という難しい役を鬼気迫る演技でものにしていて,これまでのコケティッシュな金髪美人のイメージからすでに脱却を試みており,本格的な演技派女優へと転身を図っています.またこの作品でデビューを飾ったアン・バンクロフトさんも堂々とした演技で,大物女優の片鱗を覗わせています.

4 モンキー・ビジネス
Monkey Business
★★★
1952年 アメリカ モノクロ 97 min
STAFF
監督:ハワード・ホークス
脚本:ベン・ヘクト/チャールズ・レデラー/I. A. L. ダイアモンド
原案:ハリー・シーガル
製作:ソル・C・シーゲル
音楽:リー・ハーライン
撮影:ミルトン・クラスナー
編集:ウィリアム・B・マーフィー
CAST
ケーリー・グラント/ジンジャー・ロジャース/チャールズ・コバーン/マリリン・モンロー/ヒュー・マーロウ/アンリ・レトンダル/ロバート・コーンスウェイト/ラリー・キーティング/ダグラス・スペンサー/エスター・デイル/ジョージ・ウィンスロウ
 おサルさんが偶然作ってしまった『若返り薬』が,科学者の夫(ケーリー・グラントさん)とその妻(ジンジャー・ロジャーズさん)に作用してしまい,コドモ化してしまった夫婦が周りの人間を巻き込んで騒ぎを引き起こす,スラップスティック・コメディ・ムービー.マリリンさんは今回もわき役ですが,社長(チャールズ・コバーンさん)の美人秘書というはまり役を演じてます.ヒッチコック映画ではいつも渋い2枚目を演じているケーリー・グラントさんが,こんな作品でこんな役を演じているのを初めて観ましたが,意外とコドモオトナ役もハマってました.

5
ナイアガラ
Niagara
★★★★
1953年 アメリカ カラー 92 min
STAFF
監督:ヘンリー・ハサウェイ
脚本:チャールズ・ブラケット/ウォルター・ライシュ/リチャード・L・ブリーン
製作:チャールズ・ブラケット
音楽:ソル・カプラン
撮影:ジョゼフ・マクドナルド
編集:バーバラ・マクリーン
CAST
マリリン・モンロー/ジョゼフ・コットン/ジーン・ピーターズ/ケイシー・アダムス/デニス・オディア/リチャード・アラン
 モンローさんにとって初のカラー映画で,この作品の中でやはり初めて『モンロー・ウォーク』を披露,出世作となったことで知られているスリラー・ムービー.しかしながら,この作品でモンローさんはこれも初のトップ・クレジットにも関わらず途中でわりと簡単に殺されてしまい,ストーリーそのものはジーン・ピータースさんを中心に展開していくので,モンロー・ファンにとってはいささか欲求不満に陥ってしまらざるを得ない作品ではあります.

6
紳士は金髪がお好き
Gentleman Prefer Blondes
★★★★
1953年 アメリカ カラー 91 min
STAFF
監督:ハワード・ホークス
脚本:チャールズ・レデラー
原作:ジョセフ・フィールズ/アニタ・ルース
製作:ソル・C・シーゲル
音楽:ライオネル・ニューマン
撮影:ハリー・J・ワイルド
編集:ヒュー・S・ファウラー
CAST
ジェーン・ラッセル/マリリン・モンロー/チャールズ・コバーン/エリオット・リード/トミー・ヌーナン/ジョージ・ウィンスロウ/マルセル・ダリオ/テイラー・ホームズ/ノーマ・ヴァ―デン/スティーヴン・ジレー/アレックス・フレイザー/ジョージ・デイヴィス/アンリ・レトンダル/ジャン・ド・ブリアック/ジョージ・ディー
 ジェーン・ラッセルさんとのダブル主演によるミュージカル・コメディ.当初,次作『百万長者と結婚する方法』に出演しているベティ・グレイブルさんが出演の予定だったにも関わらず,前作『ナイアガラ』で成功を収めたモンローさんが,グレイブルさんよりギャラが安かったというトホホな理由で替りに起用されたということですが,ラッセルさんとの相性が素晴らしく良かったみたいで,大成功を収めたというこれまたラッキーな作品.でもミュージカル苦手です.

7
百万長者と結婚する方法
How to Marry a Millionaire
★★★★
1953年 アメリカ カラー 95 min
STAFF
監督:ジーン・ネグレスコ
脚本:ナナリー・ジョンソン
原作:ゾーイ・エイキンス/デイル・ユーンソン/キャサリン・アルバート
製作:ナナリー・ジョンソン
音楽:アルフレッド・ニューマン
撮影:ジョゼフ・マクドナルド
編集:ルイス・R・レフラー
CAST
ベティ・グレイブル/マリリン・モンロー/ローレン・バコール/キャメロン・ミッチェル/ウィリアム・パウエル/デヴィッド・ウェイン/アレックス・ダーシー/ロリー・カルホーン/ジョージ・ダン
 モンローさんがコメディエンヌとしての才能を開花させたと評価されている,お金持ちとの結婚を目標に奮闘する3人のモデルさんお姿を描いたコメディ・ラヴ・ストーリー.モンローさんはド近眼のメガネっ子を演じていますが.これが意外とハマっていたのが印象的でした.



8
帰らざる河
River of No Return
★★★★
1954年 アメリカ カラー 91 min
STAFF
監督:オットー・プレミンジャー
脚本:フランク・フェントン
製作:スタンリー・ルービン
音楽:シリル・J・モックリッジ/ライオネル・ニューマン
撮影:ジョセフ・ラシェル
編集:ルイス・R・レフラー
CAST
ロバート・ミッチャム/マリリン・モンロー/ロリー・カルホーン/トミー・レディグ/ダグラス・スペンサー/マーヴィン・ヴァイ
 この映画は今回 DVD で初めて観ました.モンローさんの日本語吹き替えはほとんど向井真理子さんが独占していて,あの特徴的な舌足らずの甘えた口調がモンローさんのイメージによく合っていたのですが,この作品ではシリアスな役柄に応じた演技をされているのが印象的でした.でも,日本語吹き替えだと,ロバート・ミッチャムさんとロリー・カルホーンさんが浦野光さんと山田康雄さんで,ポパイとルパンなのよね? 作品そのものはとても面白くよくできた西部劇で,モンローさんの歌唱も良かったです,

9
ショウほど素敵な商売はない
There's No Business Like Show Business
★★★★
1954年 アメリカ カラー 117 min
STAFF
監督:ウォルター・ラング
脚本:ヘンリー・エフロン/フィービー・エフロン
原案:ラマ―・トロッティ
製作:ソル・C・シーゲル
音楽:アーヴィング・パーリン/アルフレッド・ニューマン/ライオネル・ニューマン
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ロバート・L・シンプソン
CAST
エセル・マーマン/ドナルド・オコナー/マリリン・モンロー/ダン・デイリー/ジョニー・レイ/ミッツィ・ゲイナー/リチャード・イースタム/ヒュー・オブライエン
 5人のボードビリアン一家のお話なのでモンローさんはあくまで添え物ですが,この映画に客寄せ目的で起用され,この作品への出演を条件に次作『七年目の浮気』の主演を手に入れたらしいです.でらちゃんはミュージカルって苦手なのですが,この映画はわりとストーリーも面白く,楽しんで観ることができました.

10
七年目の浮気
The Seven Year Itch
★★★★
1955年 アメリカ カラー 105 min
STAFF
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー/ジョージ・アクセルロッド
原作:ジョージ・アクセルロッド
製作:ビリー・ワイルダー/チャールズ・K・フェルドマン
音楽:アルフレッド・ニューマン
撮影:ミルトン・クラスナー
編集:ヒュー・S・ファウラー
CAST
マリリン・モンロー/トム・イーウェル/イヴリン・キース/ソニー・タフツ/オスカー・ホモルカ/マルグリッド・チャップマン/ロバート・ストラウス/ヴィクター・ムーア/ロクサーヌ
 あまりにも有名な地下鉄の排気口の上でスカートがまくれ上がるシーンで,モンローさんの代表作のように言われており,またこのシーンの撮影にジョー・ディマジオさんが激怒して離婚の原因となったことでも有名ですが,現在観ると当然ではありますがそれほどのもんではないです.当時のアメリカ映画界における検閲制度によりかなりカットされたシーンや台詞もあり,表現的にもかなり緩やかになっていますが, DVD に特別収録されているドキュメンタリーでその詳細を知ることができました.

11 バス停留所
Bus Stop
★★★★
1956年 アメリカ カラー 96 min
STAFF
監督:ジョシュア・ローガン
脚本:ジョージ・アクセルロッド
原作:ウィリアム・インジ
製作:バディ・アドラー
音楽:ケン・ダービー/シリル・J・モックリッジ/アルフレッド・ニューマン
撮影:ミルトン・クラスナー
編集:ウィリアム・H・レイノルズ
CAST
マリリン・モンロー/ドン・マレー/アーサー・オコンネル/ペティ・フィールド/アイリーン・ヘッカート/ロバート・ブレイ/ホープ・ラング
 この作品は観たことはもちろん,聞いたこともないタイトルだったので,あまり期待はしていなかったのですが,先に DVD を観た母が「良かったよ」って言っていたので,心して観たところやはり良かったです.モンローさんの主演映画ですが,ストーリーの主人公はドン・マレー氏扮するカウボーイの若者で,モンローさんは見事に引き立て役を演じている感じです.ちなみにこの作品でドン・マレー氏はデビュー作ながらアカデミー助演男優賞にノミネートされ,モンローさんもゴールデン・グローブ主演女優賞にノミネートされていますが,共に惜しくも受賞は逃しています.

12 お熱いのがお好き
Some Like It Hot
★★★★★
1959年 アメリカ モノクロ 120 min
STAFF
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー/I.A.L. ダイアモンド
原作:R・ローソン
製作:ビリー・ワイルダー
音楽:アドルフ・トイッチェ
撮影:チャールズ・ラング
編集:アーサー・P・シュミット
CAST
マリリン・モンロー/トニー・カーティス/ジャック・レモン/ジョージ・ラフト/パット・オブライエン/ジョー・E・ブラウン/ネフマイア・パーソフ/ジョーン・ショウリー/ビリー・グレイ/ジョージ・E・ストーン/デイヴ・バリー
 考えてみるとモンローさんの映画ってタイトルは知っていても観たことのないものがほとんどだったのですが,この作品は40年以上前に TV で観たことがあって,しかも今回入手した DVD には当時の吹き替えヴァージョンが収録されていたので,懐かしく観ることができました.ストーリーの大筋は覚えていても,細かい部分はかなり忘れていましたが,現在観ても十分に面白く,モンローさんのコメディの中ではやはり最高の作品だと思います.また何よりも『女装』がタブーだった時代にこのような作品を作ったのはやはり凄かったと思うのです.

13 恋をしましょう
Let's Make Love
★★★
1960年 アメリカ カラー 119 min
STAFF
監督:ジョージ・キューカー
脚本:ノーマン・クラスナー/ハル・カンター/アーサー・ミラー
製作:ジェリー・ウォルド
音楽:ライオネル・ニューマン/アール・ヘイゲン/シリル・J・モックリッジ
撮影:ダニエル・L・ファップ
編集:デヴィッド・プレサートン
CAST
マリリン・モンロー/イヴ・モンタン/トニー・ランド―ル/フランキー・ヴォーン/ウィルフリッド・ハイド=ホワイト/デイヴィッド・バーンズ
 この作品に関しては,もちろん観たこともなく,存在すらほとんど知らない状態だったのですが,現在のもつ猥雑なニュアンスが日本語タイトルからは全く感じられず,あまりいい先入観を持つことができない状態で観ました.他のところにも書いたのですが,でらちゃんは日本のレコード販売会社や映画配給会社が原題とはかけはなれた日本語タイトルを勝手につけることに関しては,以前から疑問を感じているのですが,この作品もそんな一例でした.またここまで一連の作品を観てきて,モンローさんの主演映画ってたとえトップ・クレジットの作品であっても,ストーリー自体の主人公は相手役の男優である作品が多いような気がしていたのですが,この作品に関しては特に,真の主役はイヴ・モンタンさんで,モンローさんはただの相手役であるような印象を強く受けてしまいました.

14 荒馬と女
The Misfits
★★★★★
1961年 アメリカ モノクロ 124 min
STAFF
監督:ジョン・ヒューストン
脚本:アーサー・ミラー
製作:フランク・E・テイラー
音楽:アレックス・ノース
撮影:ラッセル・メティ
編集:ジョージ・トマシーニ
CAST
クラーク・ゲーブル/マリリン・モンロー/モンゴメリー・クリフト/セルマ・リッター/イーライ・ウォラック/ケヴィン・マッカーシー
 主演のゲーブルさん,モンローさんそれぞれの遺作となってしまい,数年後もう一人のクリフトさんも亡くなってしまったという呪われた映画.それぞれに心に傷を持ち,時代に取り残されてしまった(misfits)3人の男達と天使のような心を持つ一人の女性との間に生じる生き方・考え方の不適合(misfits)と葛藤を描いた作品で,また,原作者であり当時のモンローさんの夫であったアーサー・ミラーさんとの結婚生活が暗礁に乗り上げた状況の中で製作されたらしいです.そういった意味で原題の Misfits というタイトルが二重三重に重要な意味を持つのですが,凡庸な日本語タイトルがせっかくの傑作にヘンな先入観を与えてしまっている悪例だと思います.作品の内容,モンローさんの演技ともに良かっただけに残念でした.