Al Pacino


1 ナタリーの朝
Me, Natalie
★★★
1969年 アメリカ 111 min
STAFF
監督:フレッド・コウ
脚本:A・マーチン・ツウェイバック
原作:スタンリー・シャピロ
製作:スタンリー・シャピロ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
撮影:アーサー・J・オーニッツ
CAST
パティ・デューク/ジェームス・ファレンティ/マーチン・バルサム/エルザ・ランチェスター/サロメ・ジェンス/ナンシー・マーチャンド/アル・パチーノ/デボラ・ウィンタース/ボブ・バラバン
 あるぱちさんのスクリーン・デビュー作.国内盤 DVD はまだリリースされていないようだったので,久しぶりに VHS ビデオを入手して観ました.映画自体は容姿にコンプレックスを抱いている女の娘が,自己発見を重ねて自らの人生を切り拓いていく,よくありがちな女性映画で可もなく不可もなくって感じの作品でした.あるぱちさんは最初の方のダンスパーティー・シーンのナンパ男役で登場しています.

2 哀しみの街かど
The Panic in Needle Park
★★★★
1971年 アメリカ 110 min
STAFF
監督:ジェリー・シャッツバーグ
脚本:ジョーン・ディディオン/ジョン・グレゴリー・ダン
原作:ジェームズ・ミルズ
製作:ドミニク・ダン
撮影:アダム・ホレンダー
CAST
アル・パチーノ/キティ・ウィン/アラン・ビント/リチャード・ブライト/ラウル・ジュリア
 あるぱちさん主演第1作.この作品での麻薬常習者の演技がフランシス・フォード・コッポラ監督に認められ,『ゴッドファーザー』マイケル・コルレオーネ役に抜擢されたらしいです.この映画,50年くらい前に TV の深夜劇場で観たことがあるのですが,駐車中の車からテレビを盗むシーンだけ妙に印象に残っていました.あと,キティ・ウィンさんっていう女優さん,かなり気になる存在だったのですが,この後『エクソシスト』での演技が確認されたくらいで日本ではほとんど知られていませんでした.今回調べてみたらどうも演劇の作品がメインだった女優さんらしいです.



4 ゴッドファーザー DVD-BOX
The Godfather
 ゴッドファーザー/The Godfather
 ゴッドファーザー PART U/The Godfather Part U
 ゴッドファーザー PART V/The Godfather Part V
8 BONUS MATERIALS
 映画にハマっていた中学〜大学時代,特にお気に入りの俳優さんだったあるぱちさんの1970年代の作品はほとんど観ていたのですが,ど〜ゆ〜わけですかこのシリーズだけはこれまで観たことがなかったのです.これは長尺のいわゆる大作映画を敬遠していたのと,戦争映画とヤクザ映画に関してはあまり関心がなかったせいなのですが,半世紀を経過してからこの DVD BOX を購入し,やっとこの超名作の3部作を観ることができました.

5 ゴッドファーザー
The Godfather
★★★★
1972年 アメリカ 177 min
STAFF
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:マリオ・プーゾ/フランシス・フォード・コッポラ
原作:マリオ・プーゾ
製作:アルバート・S・ラディ/ロバート・エヴァンス(ノンクレジット)
音楽:ニーノ・ロータ
撮影:ゴードン・ウィリス
編集:ウィリアム・レイノルズ/ピーター・ツィンナー
CAST
マーロン・ブランド/アル・パチーノ/ジェームズ・カーン/リチャード・カステラーノ/ロバート・デュバル/スターリング・ヘイドン/ジョン・マーリー/リチャード・コンテ/アル・レッティエリ/ダイアン・キートン/エイブ・ヴィコダ/タリア・シャイア/ジャン二・ルッソ/ジョン・カザール/ルディ・ボンド/アル・マルティーノ/モーガナ・キング/レニー・モンタナ/ジョン・マルティーノ/サルヴァトーレ・コルシット/リチャード・ブライト/アレックス・ロッコ/アンジェロ・インファンティ/フランコ・チッティ/トム・ロスキー/ビクター・レンディナ/トニー・ジョルジオ/コラード・ガイバ/ルイス・ガス/ピド・スコッチ/ガブリエル・トッレイ/ジュリー・グレッグ/アーデル・シェリダン/ジニー・リネロ/アンソニー・グナリス/ルー・マルティーニ・Jr/シモネッタ・ステファネッリ/サーロ・ウルツィ/トニー・キング/キャロル・モーリー/ドン・コステロ
 というわけでこの超有名作を公開から52年を経て初めて観たわけですが,この映画が公開された1972年という年は私が中学に入学し,音楽と映画にハマりだした記念すべき年で,この年の夏,レコード店で初めて LP 『古井戸の世界』を購入した際に,何故かこの映画のポスターをいただいて暫くの間部屋にマーロン・ブランドさんがいたという思い出があります.今回初めて DVD を観ての感想としては,実はこの映画のような長尺の大作は敬遠していたのですが,思ったより長くは感じられず,むしろストーリー上の時間があれよあれよという感じで経過していき,あっという間にラスト・シーンに繋がり.懸案していた退屈さは全く感じられず,大作の食わず嫌いは全くもって失敗であったことを痛感させていただきました.俳優陣に関しては,主演のマーロン・ブランドさんが件のポスターから受けた印象より,思ったより柔らかい感じのキャラクターを演じていたのが意外だったのと,あるぱちさん演ずる3男のマイケル・コルレオーネのキャラクターの変化が見事に描かれていたのに感心しました.敵役のリチャード・コンテさんは,アラン・ドロンさんの『ビッグ・ガン』でも似たような役柄を演じており,かなり印象に残っていた俳優さんで,まさにはまり役だったと思います.他にジェームズ・カーンさん,ジョン・カザールさん,ロバート・デュバルさんといった名優さんたちがしっかり脇を固めておりますが,パゾリーニ作品の常連俳優フランコ・チッティさんがマイケルのシチリアにおけるボディガード役で出演していたのが嬉しかったです.女優陣では,やはりダイアン・キートンさん,タリア・シャイアさんのお二人がそれぞれの持ち味を十分に発揮したキャラクターを演じていました.作品そのものに関しては,結局はやはりヤクザの世界を描いた男の映画で,こーゆーの観ると男社会の陰険さがよくわかるのです.なお,この作品であるぱちさんはアカデミー助演男優賞で初ノミネートされましたが受賞は逃しております.他に計9部門でノミネート,マーロン・ブランドさんの主演男優賞(後に受賞を拒否)と作品賞,脚色賞では受賞を果たしました.

6 ゴッドファーザー PART II
The Godfather
Part II
★★★★
1974年 アメリカ 200 min
STAFF
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:マリオ・プーゾ/フランシス・フォード・コッポラ
製作:フランシス・フォード・コッポラ/グレイ・フレデリクソン/フレッド・ルース
音楽:ニーノ・ロータ/カーマイン・コッポラ
撮影:ゴードン・ウィリス
編集:ピーター・ツィンナー/バリー・マルキン/リチャード・マークス
CAST
アル・パチーノ/ロバート・デュバル/ダイアン・キートン/ロバート・デ・ニーロ/ジョン・カザール/タリア・シャイア/リー・ストラスバーグ/マイケル・V・ガッツォ/G・D・スプラドリン/リチャード・ブライト/ガストーネ・モスキン/トム・ロスキー/ブルーノ・カービー/フランク・シベロ/フランチェスカ・デ・サビオ/モーガナ・キング/マリアンナ・ヒル/レオポルド・トリエステ/ドミニク・キアネーゼ/アメリゴ・トット/トロイ・ドナヒュー/ジョン・アプレア/ジョー・スピネル/ジェームズ・カーン/エイブ・ヴィゴダ/ジュゼッペ・シラート/ジャンニ・ルッソ/サヴェリア・マッツォーラ/ティト・アルバ/ジョセフ・メデリア/エルダ・メイダ/フェイ・スペイン/マリオ・コトーネ/ジェームス・ゴナリス/ジャンヌ・サヴェリーノ・ペッシュ/ピーター・ラコート/ピーター・ドゥナット
 いわゆる『続編映画は第1作を超えることができない』という映画界のジンクスを破った作品として評価されることの多い名作ですが,今回初めて DVD を観てみてちょっとだけですが疑問を感じてしまいました.というのもやはりいくらなんでも200分は長すぎでしょう. DVD も2枚に収録されているので,2日に渡ってやっと観ることができました.また,あるぱちさんのマイケル編とデ・ニーロさんのヴィトー編が交互に展開される構成も果たして成功しているのかという疑問が生じてしまいました.但し,お二人の演技は素晴らしく,特にあるぱちさんのだんだん壊れていく男の好演は筆舌モノだったと思います.今回もアカデミー賞9部門でノミネート,デ・ニーロさんの助演男優賞,作品賞,監督賞,脚色賞,作曲賞,美術賞は受賞を果たしましたが,今回もあるぱちさんの主演男優賞は残念ながら受賞できませんでした.

7 ゴッドファーザー PART III
The Godfather
Part III
★★★
1990年 アメリカ 170 min
STAFF
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ/マリオ・プーゾ
製作:フランシス・フォード・コッポラ
製作総指揮:フレッド・フックス/ニコラス・ゲージ
音楽:カーマイン・コッポラ/ニーノ・ロータ
撮影:ゴードン・ウィリス
編集:リサ・フラックマン/バリー・マルキン/ウォルター・マーチ
CAST
アル・パチーノ/ダイアン・キートン/タリア・シャイア/アンディ・ガルシア/イーライ・ウォラック/ジョー・マンテーニャ/ジョージ・ハミルトン/ブリジット・フォンダ/ソフィア・コッポラ/ラフ・ヴァローネ/フランク・ダンプロシオ/ドナル・ドネリー/リチャード・ブライト/アル・マルティーノ/ヘルムート・バーガー/ドン・ノヴェロ/ジョン・サヴェージ/フランコ・チッティ/マリオ・ドナトーネ/ヴィットリオ・デューズ/ミケーレ・ルッソ/ロバート・チッチーニ/ロゲリオ・ミランダ/カルロス・ミランダ/ビト・アンツォフェルモ/エンツォ・ロブッティ/アル・ラッシオ/ミッキー・ノックス/ジニー・リネロ/テレ・リヴラノ/ジョン・カザール(ノンクレジット)
 前2作の後日譚として製作されたシリーズ第3作.コッポラ監督自身は最初この作品の製作には乗り気ではなかったものの,自らの破産等の事情によりパラマウント側の続編製作提案を受け入れたという事情から,16年もの歳月を要したらしいですが,結果として出演者がちょうどよく年齢を取っており,その点に関しては正解だったと思われます.しかしながらロバート・デュバルさんの降板,メアリー役に決まっていたジュリア・ロバーツさんのスケジュールの都合による降板やそれに伴う監督の親族の縁故採用的キャスティングなどから,当初の評判はかなり悪かったみたいです.後に再編集ヴァージョンが公開されてから再評価され,現在では『不当に過小評価された続編』と見る向きもあるみたいです.個人的には,最も大きな批判の対象となったソフィア・コッポラさんの演技に関してはそれほど気になりませんでしたが,プロットが複雑で理解しにくい部分が多く,やはり他の大作映画と同様に何度も観返す必要のある作品だと思われます.今回も第1作に出ていたフランコ・チッティさんが再登場し,重要な役柄を演じていたのが嬉しかったのですが,ソフィア・コッポラさんより先にクレジットされているブリジット・フォンダさんの出番が少なかったのは残念でした.今回もアカデミー賞には8部門でノミネートされましたが全く受賞した部門はなく,あるぱちさんはノミネートすらされませんでした.



9 スケアクロウ
Scarecrow
★★★★★
1973年 アメリカ 111 min
STAFF
監督:ジェリー・シャッツバーグ
脚本:ギャリー・マイケル・ホワイト
製作:ロバート・M・シャーマン
音楽:フレッド・マイロー
撮影:ヴィルモス・スィグモンド
編集:エヴァン・ロットマン
CAST
ジーン・ハックマン/アル・パチーノ/リチャード・リンチ/ドロシー・トリスタン/アン・ウェッジワース/ペネロープ・アレン/アイリーン・ブレナン/リチャード・ハックマン/フランク・シャルティエ
 ハックマン&パチーノW主演によるロード・ムービー.最初に観たのはもう50年前になりますが,以来大好きな作品で,アメリカン・ニューシネマと呼ばれる作品の中では,個人的にはこの映画とジョン・ボイト&ダスティン・ホフマンW主演の『真夜中のカーボーイ』がやはりベストなのです.両作品ともある意味ゲイ映画とも取れるのですが.この作品を初めて観て以来あるぱちさんがドロンさんに次いでお気に入りの俳優さんとなって,『ゴッドファーザー』意外の主演作を次々に観ましたが,やはりこの作品での演技がベストだと思われます.またジーン・ハックマンさんについても,『ポセイドン・アドベンチャー』の神父役より,こちらの無頼なキャラクターの方がハマっていたような気がします.

10 セルピコ
Serpico
★★★★★
1973年 アメリカ・イタリア 130 min
STAFF
監督:シドニー・ルメット
脚本:ウォルド・ソルト/ノーマン・ウェクスラー
製作:マーティン・ブレグマン
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
音楽:ミキス・テオドラキス/ジャコモ・プッチーニ
撮影:アーサー・J・オニッツ
編集:デデ・アレン/リチャード・マークス
CAST
アル・パチーノ/ビフ・マクガイア/バーバラ・エダ・ヤング/ジョン・ランドルフ/トニー・ロバーツ/ジャック・キーホー/ルイス・J・シュタドレン/アラン・リッチ/ジョージ・イード/M・エメット・ウォルシュ/バーナード・バロウ/リチャード・フォロンジー/ジョン・レーン/ネイサン・ジョージ/ミルドレッド・クリントン/コーネリア・シャープ
 1973年アカデミー主演男優賞ノミネート作品.前年の『ゴッドファーザー』助演男優賞に次いで2度目のノミネート作品で,以後1975年まで4年連続ノミネートされていました.またシドニー・ルメット監督による実話の映画化作品ですが,2年後の『狼たちの午後でも』この監督と組んで実在の人物を演じて,アカデミー主演男優賞にノミネートされています.『ゴッドファーザー』のイメージが定着するのを嫌ったのか,初の警官役という珍しく体制側のキャラクターを演じていますが,全く違和感を感じさせず,イメチェンに成功しているあるぱちさん絶頂期の代表作だと思います.

11 狼たちの午後
Dog Day Afternoon
★★★★★
1975年 アメリカ 125 min
STAFF
監督:シドニー・ルメット
脚本:フランク・ピアソン
製作:マーティン・ブレグマン/マーティン・エルファンド
撮影:ヴィクター・J・ケンバー
編集:デデ・アレン
CAST
アル・パチーノ/ジョン・カザール/クリス・サランドン/チャールズ・ダーニング/ジェームズ・ブロデリック/ランス・ヘンリクセン/サリー・ボイヤー/ペネロープ・アレン/スーザン・ぺレッツ/キャロル・ケイン/ポーラ・ギャリック/サンドラ・カザン/ジュディス・マリナ/ドミニク・キアネーゼ
 1975年アカデミー主演男優賞ノミネート作品.前年の『ゴッドファーザー Part 2』に続いて3度目の主演男優賞ノミネート作品で,4年連続男優賞ノミネートとなったあるぱちさんの代表作.この作品での演技が高く評価されたあるぱちさんはもとより,助演のジョン・カザールさん,クリス・サランドンさん,チャールズ・ダーニングさん等の好演が印象に残りますが,実はほとんどのシーンが俳優さんたちのアドリブによって撮影されているとのことで,驚きました.銀行強盗の相方を演じたジョン・カザールさんはあるぱちさんの盟友でかつ超演技派女優メリル・ストリープさんのフィアンセだった方で,1978年に若くして亡くなってしまいましたが,出演作6本(うち4作はあるぱちさんとの共演,1作のみアーカイブ出演)すべてが何らかの形でアカデミー賞にノミネートされているというかなりの名優さんです, TV 吹き替えは岸田森さんが演じていました.ゲイの恋人役のクリス・サランドンさんはスーザン・サランドンさんの元旦那だった方ですが,ご本人はこの作品の他,『リップスティック』の強姦犯等,狂気じみた役柄ばかり印象に残って気の毒な俳優さんでした.でもこの作品の演技はとてもいいです.

12 ボビー・デアフィールド
Bobby Deerfield
★★★
1977年 アメリカ 124 min
STAFF
監督:シドニー・ポラック
脚本:アルビン・サージェント
原作:エーリッヒ・マリア・レマルク
製作:シドニー・ポラック
音楽:デイブ・グルーシン
撮影:アンリ・デカエ
編集:フレドリック・スタインカンプ
CAST
アル・パチーノ/マルト・ケラー/アニー・デュプリー/ウォルター・マッギン/ロモロ・ヴァリ/スティーブン・メルデック/ハイメ・サンチェス/ノーム・ニールセン/ミッキー・ノックス/ドロシー・ジェームズ/グイド・アルベルティ/モニーク・ルジューブ/スティーブ・ガドラ―/バートランド・モダーブ/ヴァン・ドゥード/オーロラ・マリス/ジェラール・エルナンデス/モーリス・ヴァリエ/アントニーノ・ディ・ブルーノ/アンドレ・ヴァラルディ/フェドール・アトキン/パトリック・フロース/バーニー・ポラック/アル・シルヴァー二/イザベル・ド・ブロネー/フランコ・レッセル/ドミニク・ブリアン
 公開当時見損なっていた作品ですが,未 DVD 化のようなので VHS を入手して観ました.あるぱちさん映画にしては珍しい純粋なラブロマンスだったはずなのですが,主演お二人の演じる男女のキャラが突飛だったり複雑だったりして,なかなか理解・共感できませんでした.それよりもアニー・デュプリ―さん演じる主人公の可愛そうな愛人(?)の方がいい人過ぎて気の毒でした.

13 ジャスティス
...And Justice for All
★★★★
1979年 アメリカ 119 min
STAFF
監督:ノーマン・ジェイソン
脚本:バリー・レヴィンソン/ヴァレリー・カーティン
製作:バリー・レヴィンソン/パトリック・J・パーマー
製作総指揮:ジョー・ワイザン
音楽:デイヴ・グルーシン
撮影:ヴィクター・J・ケンバー
編集:ジョン・F・バーネット
CAST
アル・パチーノ/ジャック・ウォーデン/ジョン・フォーサイス/リー・ストラスバーグ/ジェフリー・タンバー/クリスティーン・ラーティ/サム・レヴィーン/ロバート・クリスチャン/トーマス・G・ウェイツ/ラリー・ブリッグマン/クレイグ・T・ネルソン
 1980年アカデミー主演男優賞ノミネート作品.あるぱちさん本人にとっては4度目の主演男優賞ノミネート作品でしたが,この年も受賞できず,この後スランプに陥ってしまい,しばらくの間ノミネートもされなくなってしまいました.ちなみにこの年の主演男優賞を受賞したのは『クレイマー,クレイマー』のダスティン・ホフマンさんでしたが,その役はあるぱちさん自身がオファーを断っています.さてこの作品ですが,ストーリーそのものはいろいろなエピソードを詰め込みすぎたきらいがあって,ちょっと脚本的に散漫な印象を受けましたが,めずらしく弁護士役を演じたあるぱちさんの演技は迫力があって,最高の出来だったように思えます.

14 クルージング
Cruising
★★★★
1980年 アメリカ 102 min
STAFF
監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:ウィリアム・フリードキン
原作:ジェラルド・ウォーカー
製作:ジェリー・ワイントローブ
音楽:ジャック・ニッチェ
撮影:ジェームズ・A・コントナー
編集:バド・S・スミス
CAST
アル・パチーノ/ポール・ソルヴィノ/カレン・アレン/リチャード・コックス/ドン・スカーディノ/ジェイ・アコヴォーン/ジェームズ・レマー/ジョー・スピネル/パワーズ・ブース
 『セルピコ』に続いて,あるぱちさんが刑事を演ずるサスペンスであると共に,ゲイの世界をあからさまに描き,当該団体からクレームがついたいわくつきの作品で,第1回ゴールデン・ラズベリー賞の最低作品賞,最低監督賞,最低脚本賞にノミネートされてしまっています.確かにゲイに対する偏見が垣間見られる作品でホモフォビアも感じられる描写もあり, LGBTQ が市民権を得つつある現代ではちょっと製作・公開そのものが難しい作品だと思われますが,ゲイ世界に染まっていくのを恐れながら,肉体的・精神的にだんだん壊れていく主人公の姿を表現しているあるぱちさんの演技は素晴らしく,ラストで見せる表情が印象的でした.

15 喝采の陰で
Author! Author!
★★★
1982年 アメリカ 110 min
STAFF
監督:アーサー・ヒラー
脚本:イスラエル・ホロヴィッツ
製作:アーウィン・ウィンクラ―
音楽:デイヴ・グルーシン
撮影:ヴィクター・J・ケンバー
編集:ウィリアム・H・レイノルズ
CAST
アル・パチーノ/ダイアン・キャノン/チューズデイ・ウェルド/アラン・キング/ボブ・ディシー/ボブ・エリオット/レイ・グールディング/エリック・ガリ―/B・J・バリー/アリ・マイヤーズ/エルバ・リーフ/ベンジャミン・H・カーリン
 自らオファーを断ってしまった『クレイマー,クレイマー』でダスティン・ホフマンさんに1980年アカデミー主演男優賞を争って敗北してしまったあるぱちさんが,それに懲りたからではないでしょうが,初めて挑戦したコメディ・タッチのホームドラマですが,批評家筋には酷評され日本での公開も4年後の1986年まで見送られてしまいました.この少し前までよく購読していた『ロードショー』や『スクリーン』といった雑誌では,同時期に活躍した演技派俳優でキャラクターも似通っているころから,あるぱちさんとほふまんさんはよく一緒に取り上げられておりましたが,私はおふたりとも大好きな俳優さんで,この少し前までの作品はほとんど観ていましたが,今回この作品を初めて拝見して,おふたりのキャラの微妙な違いがわかったような気がして,もしあるぱちさんが『クレイマー,クレイマー』に出演していてもやはり主演男優賞は取れなかったのではないか?という気がしました.でも脚本,演出ともによく出来た作品で,あるぱちさんと二人の女優さんの演技もよかったと思います.

16 スカーフェイス
Scarface
★★★★
1983年 アメリカ 170 min
STAFF
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:オリバー・ストーン
製作:マーティン・ブレグマン
製作総指揮:ルイス・A・ストローラー
音楽:ジョルジオ・モロダー
撮影:ジョン・A・アロンゾ
編集:デイヴィッド・レイ/ジェリー・グリーンバーグ
CAST
アル・パチーノ/スティーヴン・バウアー/ミシェル・ファイファー/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/ロバート・ロッジア/F・マーリー・エイブラハム/ポールシェナー/ハリス・ユーリン/ミリアム・コロン/アンヘル・サラザール/アルナルド・サンタナ/ペペ・セルナ/マイケル・P・モラン/アル・イズラエル/デニス・ホラハン/マーク・マーゴリス/マイケル・オールドレッジ/テッド・べニアデス
 1932年の有名なギャング映画『暗黒街の顔役』のリメイクらしいです.旧作は観たことがないのですが,原題はやはり "Scarface" で『キズ跡のある顔』という意味でや〜さまのお顔のことらしいです.個人的には,外国映画に日本の配給会社が勝手な日本語タイトルつけるのって好きじゃないのですが,今回のリメイク作品に関しては原題通りで本当に良かったと思います.この作品のトニー・モンタナは,『ゴッドファーザー』のマイケル.コルレオーネとは異なり,人間的な深みのないただのチンピラで全く『顔役』などとは呼べないようなキャラクターなのですが,あるぱちさんは見事にこの対照的なキャラを演じ分けていて流石でした.また,公開時は酷評されたものの後に絶賛されるようになったというラストのバイオレンス・シーンはやはりかなり迫力的だったと思います.興行成績でもかなりのヒットを記録し,あるぱちさんはゴールデングローブ主演男優賞にノミネートされています.



17 レボリューション
Revolution
★★★
1985年 イギリス 120 min
STAFF
監督:ヒュー・ハドソン
脚本:ロバート・ディロン
製作:アーウィン・ウィンクラ―
音楽:ジョン・コリリアーノ
撮影:バーナード・ルティック
編集:スチュアート・ベアード
CAST
アル・パチーノ/ドナルド・サザーランド/ナスターシャ・キンスキー/デクスター・フレッチャー/シド・オーウェン/ジョーン・プロウライト/デイヴ・キング/スティーブン・バーコフ/ジョン・ウェルズ/アニー・レノックス/リチャード・オブライエン/ポール・ブルック/フランク・ウィンザー/ジェシー・パーソール/ラリー・セラーズ/グレアム・グリーン/ロビー・コルトレーン
 アメリカ独立戦争を描いた,イギリス製作の自虐的な時代劇戦争映画.あるぱちさんにとっては珍しいジャンルの映画でしたが,興行的に大失敗に終わり,世間的な評価も低い作品で,あるぱちさんも早急な製作を批判した後,4年間映画出演を見送ってしまいました.個人的には苦手な戦争映画としてはわりと観やすい作品でしたが,ストーリーの骨子が十分に表現されておらず,大河ドラマのダイジェスト版みたいな感じで,あるぱちさんの主演作の中ではやはり駄作の部類に入ると思います.作品は『クルージング』に続いてゴールデン・ラズベリー賞で4部門でノミネートされており,今回はあるぱちさんも最低男優賞にノミネートされてしまっていますが,各部門とも受賞は免れました.さて,それよりも何よりも,個人的には外国映画に対して日本配給会社がおかしな日本語タイトルをつける悪習が大嫌いなのですが,この作品にもネタばれ的な余分極まりない副題がつけられていて,作品に対する関心がそがれてしまうのでやめていただきたかったと思うのです.

18 シー・オブ・ラブ
Sea Of Love
★★★★
1989年 アメリカ 113 min
STAFF
監督:ハロルド・ベッカー
脚本:リチャード・プライス
製作:マーティン・ブレグマン/ルイス・A・ストローラー
音楽:トレヴァ―・ジョーンズ
撮影:ロニー・テイラー
編集:デヴィッド・ブレサートン
CAST
アル・パチーノ/エレン・バーキン/ジョン・グッドマン/マイケル・ルーカー/ウィリアム・ヒッキー/リチャード・ジェンキンス/ジーン・キャンフィールド/ポール・カルデロン/ラリー・ジョシュア/ジョン・スペンサー/クリスティン・エスタブルック/バーバラ・バクスレイ/パトリシア・バリー/デボラ・テイラー/フェルネ・ダウニー/マイケル・オニール/マイケル・フィセッティ/ルイス・アントニオ・レイモス/ダミエン・リーク/ジョン・サデウス/ジョシュア・ネルソン/サミュエル・L・ジャクソン
 この作品に関しては,かなり昔にビデオを入手して観ていたはずなのですが,ほとんど内容を忘れてしまっていました.あるぱちさんといえばマフィアとかギャングとか反社会的勢力キャラのイメージが強いのですが,この作品ではアカデミー主演男優賞に初めてノミネートされた『セルピコ』,ゲイ社会で壊れていく囮捜査官を好演した『クルージング』に続いて,今回はベテラン刑事を演じており,実は『ジャスティス』での弁護士役といい,結構体制側のキャラクターもハマっているのです.そして,連続殺人事件の容疑者と目されるヒロインをエレン・バーキンさんが魅力たっぷりに演じている他,同僚刑事役のジョン・グッドマンさん等が脇をしっかり固め,後に有名俳優となったサミュエル.L・ジャクソンさんがチョイ役で出演しています.

19 ディック・トレイシー
Dick Tracy
★★★
1990年 アメリカ 105 min
STAFF
監督:ウォーレン・ベイティ
脚本:ジム・キャッシュ/ジャック・エップス・Jr
原作:チェスター・グールド
製作:ウォーレン・ベイティ
製作総指揮:バリー・M・オズボーン/アート・リンソン/フロイド・マトラックス
音楽:ダニー・エルフマン/スティーヴン・ソンドハイム
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集:リチャード・マークス
CAST
ウォーレン・ベイティ/アル・パチーノ/マドンナ/グレン・へドリー/チャーリー・コースモ/ダスティン・ホフマン/ウィリアム・フォーサイス/エド・オロス/ヘンリー・シルヴァ/シーモア・カッセル/ジェームズ・キーン/チャールズ・ダーニング/キャシー・ベイツ/ディック・ヴァン・ダイク/ジェームズ・トールカン/マンディ・パティンキン/R・G・アームストロング/ポール・ソルヴィノ/ジェームズ・カーン/キャサリン・オハラ
 人気コミックの映画化ということだけあって,荒唐無稽なストーリーはともかく,極彩色の映像作りや登場キャラの特殊メイク等,美術面での見どころが多い作品.あるぱちさんとほふまんさんの共演作ということで期待して観たのですが,絡みが全くなくて残念でした.ギャングのボスで敵役のあるぱちさんは,特殊メイクと体型まで変装しての熱演で,1972年の『ゴッドファーザー』以来,久しぶり2度目のアカデミー助演男優賞にノミネートされましたが,今回も受賞はなりませんでした.

20 フランキー & ジョニー
Frankie and Johnny
★★★★
1990年 アメリカ 118 min
STAFF
監督:ゲイリー・マーシャル
脚本:テレンス・マクナリー
原作:テレンス・マクナリー 『月の光の中のフランキーとジョニー』
製作:ゲイリー・マーシャル
製作総指揮:アレクサンドラ・ローズ/チャールズ・マルヴェヒル
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:パトル・デイヴィス/ジャクリーン・キャンバス
CAST
アル・パチーノ/ミシェル・ファイファー/ヘクター・エリゾンド/ネイサン・レイン/ケイト・ネリガン/ジェーン・モリス/ショーン・オブライアン/グレン・プラマー
 あるぱちさんにしては珍しいラヴ・ストーリー.演技がくどすぎるというレビューが散見されますが,これってくどいキャラクターを上手に演じているのであって,高評価されこそすれ,この批判は的外れだと思います.むしろ,脚本の方が同じようなシチュエーションを繰り返し,くどいような感じがしてしまいました.ミシェル・ファイファーさんは『スカーフェイス』に次いで2度目の共演で,今回の演技を観てもあるぱちさんとの相性のいい女優さんだと思いました.今回も『恋のためらい』などという余分なタイトルがつけられていますが,ダサいのでやめてほしいです.

21 摩天楼を夢みて
Glengarry Glen Ross
★★★★★
1992年 アメリカ 100 min
STAFF
監督:ジェームズ・フォーリー
脚本:デヴィッド・マメット
原作:デヴィッド・マメット 『グレンギャリー・グレンロス』
製作:ジョゼフ・カラチオーラ・Jr
製作総指揮:ジェリー・トコフスキー/スタンリー・R・ズプニック
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影:フアン・ルイス・アンチア
編集:ハワード・A・スミス
CAST
アル・パチーノ/ジャック・レモン/アレック・ボールドウィン/エド・ハリス/アラン・アーキン/ケヴィン・スペイシー/ジョナサン・プライス/ブルース・アルトマン/ジュード・チコレッラ
 シビアなセールスマンの世界を描いたシリアスな人間ドラマのですが,実は良質のミステリーでもあるという秀作.限られたシチュエーションの中,名優揃いの7人の男たちのセリフの応酬がストーリーのほとんどを占めていますが,臨場感あふれる雰囲気を醸し出しています.あるぱちさんはトップにクレジットされていて明らかに主演扱いなのですが,翌年のアカデミー賞では助演男優賞にノミネートされています.しかしそれが幸いして,同一年のアカデミー賞で主演男優賞と助演男優賞の両方にノミネートされた唯一の俳優となることができました.しかし,なんでこ〜ゆ〜センスのかけらも感じられない日本語タイトルつけるんだろうね?

22 セント・オブ・ウーマン
Scent of a Woman
★★★★★
1992年 アメリカ 157 min
STAFF
監督:マーティン・ブレスト
脚本:ポー・ゴールドマン
原作:ジョヴァンニ・アルピーノ
製作:マーティン・ブレスト
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:ドナルド・A・ソーリン
編集:ウィリアム・スタインカンプ/ハーヴィ・ローゼンストック
CAST
アル・パチーノ/クリス・オドネル/ジェームズ・レブホーン/ガブリエル・アンウォー/フィリップ・シーモア・ホフマン/ニコラス・サドラー/サリー・マーフィ/ブラッドリー・ウィットフォード/リチャード・ヴェンチャー/ジーン・キャンフィールド/ロン・エルダード/フランセス・コンロイ
 第65回アカデミー主演男優賞受賞作.盲目で気難しい孤独な退役軍人という難役をさらりとこなしているあるぱちさんの代表作.実は1970年代の出演作はほとんど観ていたにも関わらず,80年代以降の作品はほとんど観ていなかったため,あるぱちさんに対してはいつまでも若いころのイメージしか持っていなかったのですが,今回この作品を観てあらためて老成した男性としての魅力を堪能させていただきました.先の『レボリューション』同様,この作品にも日本公開時,『/夢の香り』などという余分なサブタイトルがつけられていましたが,原題の持っている『女の匂い』といった生々しい感じをヘンに美化したような感じで,受け入れがたいものがあります.外国映画に対しておかしな日本語タイトルをつける悪習が早く絶滅してほしいものだと思っています.

23 カリートの道
Calito's Way
★★★★
1993年 アメリカ 144 min
STAFF
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:デヴィッド・コープ
原作:エドウィン・トレス
製作:マーティン・ブレグマン/マーティン・スコット・ブレグマン/ウィル・ベアー
音楽:パトリック・ドイル
主題歌:ジョー・コッカー "You Are So Beautiful"
撮影:スティーヴン・H・ブラム
編集:クリスティーナ・ボーデン/ビル・パンコー
CAST
アル・パチーノ/ショーン・ペン/ペネロープ・アン・ミラー/ジョン・レグイザモ/イングリッド・ロジャース/ルイス・ガスマン/ジェームズ・レブホーン/ヴィゴ・モーテンセン
 『スカーフェイス』以来10年ぶりのブラグマン製作,デ・パルマ監督,パチーノ主演のトリオによるヤクザ映画ですが,決して二番煎じではないのです.『ゴッドファーザー』ではイタリア系,『スカーフェイス』ではキューバ人のキャラを演じていたあるぱちさんが今回演じるのはプエルトリカンの老成ヤクザで,何を演じてもそれらしくなってしまうのがこの人の凄いところですが,ダスティン・ホフマンさんと並ぶ真の天才俳優だった思います.しかしながら,今回それにも負けずに凄かったのが,ショーン・ペンさんのジャンキーの弁護士で,そのキャラ作りには圧倒されてしまいました.ペネロープ・アン・ミラーさんもお綺麗で良かったのですが,おふたりの男優さんの強烈な印象の前では,ちょっと存在感薄くてお気の毒でした.

24 天国の約束
Two Bits
★★★
1995年 アメリカ 85 min
STAFF
監督:ジェームズ・フォーリー
脚本:ジョセフ・ステファノ
製作:アーサー・コーン
製作総指揮:ジョセフ・ステファノ
音楽:カーター・バーウェル
撮影:ファン・ルイス・アンキア
編集:ハワード・E・スミス
CAST
ジェリー・バローン/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/アル・パチーノ/アンディ・ロマーノ/ドナ・ミッチェル/メアリー・ルー・ロサト/ジョアナ・マーリン/パトリック・ポリエロ/ジョフリー・ピアソン/チャーリー・スカリーズ/ローズマリー・ド・アンゲリス/ロナルド・マクラーティ
ナレーション:アレック・ボールドウィン
 もともとこどもが主役の映画ってあまり好きじゃないのですが,この作品も期待通り(?)であまり感動できませんでした.あるぱちさんのおじいさんキャラは魅力的ですが,子役は全くといっていいほど印象に残りません.ラストにも何とも言えない不満だけが残りました.



25 ヒート
Heat
★★★★
1995年 アメリカ 171 min
STAFF
監督:マイケル・マン
脚本:マイケル・マン
製作:マイケル・マン/アート・リンソン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン/ピーター・ジャン・ブルージ
音楽:エリオット・ゴールデンサール
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ドヴ・ホウニグ/パスクァーレ・ブバ/ウィリアム・C・ゴールデンバーグ/トム・ロルフ
CAST
アル・パチーノ/ロバート・デ・ニーロ/ヴァル・キルマー/ジョン・ヴォイト/トム・サイズモア/ダイアン・ヴェノーラ/エイミー・ブレネマン/アシュレイ・ジャッド/ミケルティ・ウィリアムソン/ウェス・ステュディ/テッド・レヴィン/デニス・ヘイスパート/ウィリアム・フィクナー/ナタリー・ポートマン/トム・ヌーナン/ケヴィン・ゲイジ/ハンク・アザリア/ダニー・トレホ/ヘンリー・ロレンズ/リッキー・ハリス/トーン・ロック/ジェレミー・ピヴェン/ザンダー・バークレー
 『ゴッドファーザー Part 2』では,親子の役でありながら時代設定が別のため全くからみが観られなかったあるぱちさんとデ・ニーロさんの,初の本格的共演作で今回は刑事とギャングのボスを演じています.実生活では『犬猿の仲』という噂もあるおふたりですが,この作品特にラスト・シーンでは息の合った好演を見せてくれています.それにしても,マシンガンや札束を背負って走り回り,車は穴だらけなのに人にはなかなか当たらない,一般市民を巻き込んでの銃撃シーンは,迫力的ではありますがほとんどマンガです.それよりもあるぱちさん,デ・ニーロさん,そしてヴァル・キルマーさん演じる3人の男性に人生を翻弄される,ダイアン・ヴェノーラさん,エイミー・ブレネマンさん,そしてアシュレイ・ジャッドさんが演じる3人の女性の視点からこの映画を観ると,相手が警官であれ」ギャングであれ,どんな男であっても深く関われば関わるほど女は不幸になるということを感じさせてくれる啓蒙的な作品でもあるのです.

26 リチャードを探して
Looking for Richard
-
1996年 アメリカ 112 min
STAFF
監督:アル・パチーノ
脚本:フレデリック・キンポール/アル・パチーノ
製作:マイケル・ハッジ/アル・パチーノ
製作総指揮:ウィリアム・ティートラー
音楽:ハワード・ショア
撮影:ロバート・リーコック
編集:デヴィッド・ブレサートン
CAST
アル・パチーノ/アレック・ボールドウィン/ウィノナ・ライダー/エイダン・クイン/ケヴィン・スペイシー/エステル・パーソンズ/ペネロープ・アレン/ハリス・ユーリン/マディソン・アーノルド/ケヴィン・コンウェイ/ラリー・ブリッぐマン/リチャード・コックス/フレデリック・キンポール
インタビュー:ケヴィン・クライン/ヴァネッサ・レッドグレイヴ/ローズマリー・ハリス/ジェームズ・アール・ジョーンズ/ピーター・ブルック/デレク・ジャコビ/ジョン・ギ―ルグッド/ケネス・ブラナー
 あるぱちさん監督・脚本・製作・主演による,シェークスピア『リチャード三世』の映像化とその過程を記録したドキュメンタリー作品.結局,映画『リチャード三世』は完成しなかったのかわかりませんが,この作品では素顔のあるぱちさんが見られるのが唯一の収穫です.

27 訣別の街
City Hall
★★★★★
1996年 アメリカ 111 min
STAFF
監督:ハロルド・ベッカー
脚本:ケネス・リッパー/ポール・シュレイダー/ニコラス・ピレッジ/ボー・ゴールドマン
製作:ハロルド・ベッカー/ケネス・リッパー/チャールズ・マルヴィル/エドワード・R・プレスマン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:マイケル・セレシン
編集:デヴィッド・ブレサートン/ロバート・C・ジョーンズ
CAST
アル・パチーノ/ジョン・キューザック/ブリジット・フォンダ/ダニー・アイエロ/マーティン・ランドー/デヴィッド・ペイマー/アンソニー・フランシオサ/リチャード・シフ/ラリー・ロマーノ/リンゼイ・ダンカン/メル・ウィンクラ―/ローレン・ベレス/ロバータ・ピーターズ/エンジェル・デビット/ボブ・ラブレ/レイ・アラニャ/ジャリル・リン/ハリー・ブージン/リチャード・ガント/タマラ・チュニー
 政界の腐敗を描いたクライム・サスペンス.今回あるぱちさんが演じるのは何とカリスマ的なニューヨーク市長ですが,この演技が素晴らしく,完全になりきっています.特に黒人少年の葬式における演説シーンは,鳥肌が絶つほどの迫力と魅力に満ちていました.小柄な体躯がかえってそのキャラクターの大きさを引き出している感じで,まさにはまり役だったと思います.ブリジット・フォンダさんも良かったのですが,出番が少なくてちょっと残念でした.

28 フェイク
Donnie Brasco
★★★★
1997年 アメリカ 147 min
STAFF
監督:マイク・ニューウェル
脚本:ポール・アタナシオ
製作:マーク・ジョンソン/ハリー・レヴィンソン/ルイス・ディジャイモ/ゲイル・マトルー
製作総指揮:パトリック・マコーミック/アラン・グリーンスパン
音楽:パトリック・ドイル
撮影:ピーター・ソーヴァ
編集:ジョン・グレゴリー
CAST
アル・パチーノ/ジョニー・デップ/マイケル・マドセン/ブルーノ・カービー/アン・ヘッシュ/ジェームズ・ルッソ/ジェリコ・イヴァネク/ジェリー・ベッカー/ロバート・ミアノ/ブライアン・タランティーナ/ロッコ・シスト
 あるぱちさん演じる三下ヤクザとジョニー・デップさん演じる潜入捜査官の間に芽生える奇妙な友情を描いた,実在の FBI 特別捜査官ジョー・ビストーネ氏の実録手記に基づく作品で,原題の『ドニ―・ブラスコ』は潜入捜査の際に用いた変名で,日本では知られていない名前なので,タイトルを変更したようですが,こ〜ゆ〜のどうなのかしら? 原作者の意図を無視するような勝手な改題は本当にやめてほしいです.映画そのものが良かっただけに残念でした.『ゴッド・ファーザー Part 2』に出ていましたが,ロバート・デ・ニーロさん同様あるぱちさんとのからみがなかったブルーノ・カービーさんが,今回は粛清されてしまうギャング仲間の役でしっかりからんでいます.

29 ディアボロス/悪魔の扉
Devil's Adovocate
★★★
1997年 アメリカ 144 min
STAFF
監督:テイラー・ハックフォード
脚本:ジョナサン・レムキン/トニー・ギルロイ
原作:アンドリュー・ネイダーマン
製作:アーノン・ミルチャン/アーノルド・コぺルソン/アン・コぺルソン
製作総指揮:テイラー・ハックフォード/マイケル・タドロス/スティーヴ・ホワイト
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影:アンジェイ・バートコウィア/
編集:マーク・ワーナー
CAST
キアヌ・リーヴス/アル・パチーノ/シャーリーズ・セロン/ジェフリー・ジョーンズ/ジュディス・アイヴィー/クレイグ・T・ネルソン/コニー・ニールセン/ヘザー・マタラッツォ/デブラ・モンク/ドン・キング/デルロイ・リンド―(ノンクレジット)
 これは珍しい!あるぱちさんが人間味あふれる悪魔?を演じている,ホラー・ムービー.ホラーといっても全然おどろおどろしくなく,マニアとしては物足りない感がしますが,法廷モノとして別の視点から観ると結構面白い作品です.絶対実在するわけがない異形のものを演じさせてもそれらしく魅せてしまうのは流石演技派のあるぱちさんならでは.エンド・ロールに使われている The Rolling Stones の "Paint It Black" が効果的でした.日本語タイトルの『ディアボロス』というのはギリシャ語で『悪魔』を意味するらしいのですが,なんで原題にはないこの単語を使用したのか,全くわけがわからんのです.

30 インサイダー
The Insider
★★★★★
1999年 アメリカ 157 min
STAFF
監督:マイケル・マン
脚本:エリック・ロス/マイケル・マン
製作:ピーター・ジャン・ブルージ/マイケル・マン
音楽:リサ・ジェラルド/ピーター・バーク
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ/ポール・ルベル/デイヴィッド・ローゼンブルーム
CAST
アル・パチーノ/ラッセル・クロウ/クリストファー・プラマー/ダイアン・ヴェノーラ/フィリップ・ベイカー・ホール/リンゼイ・クローズ/デビ・メイザー/スティーヴン・トポロウスキー/コルム・フィオール/ブルース・マッギル/ジーナ・ガーション/マイケル・ガンボン/リップ・トーン/マイケル・ポール・チャン/マイケル・ムーア/ウィリー・C・カーペンター/ネスタ―・セラーノ/リン・ティグペン/ロバート・パーマー
 実話に基づいた,タバコ産業における内部告発を描いた社会派ドラマで,告発者をラッセル・クロウさん, TV プロデューサーをあるぱちさんが熱演しています.アカデミー賞にはラッセル・クロウさんの主演男優賞をはじめ7部門でノミネートされましたが,今回はあるぱちさんはノミネートされておらず,結局受賞はありませんでした.20世紀には社会的に容認されていたタバコがいつの間にか冷遇されるようになった背景には,こんなことがあったのね? 勉強になりました. TV シリーズ『マクガイバー』のギャグメイカー『嘘つきジャック』役のブルース・マッギルさんが実在した弁護士役を演じていますが,凄い迫力でビックリしました.

31 エニイ・ギブン・サンデー
Any Given Sunday
★★★
1999年 アメリカ 150 min
STAFF
監督:オリヴァー・ストーン
脚本:ジョン・ローガン/オリヴァー・ストーン
原案:ジョン・ローガン/ダニエル・パイン
製作:ローレン・シュラー・ドナー/クレイトン・タウンゼント/ダン・ハルステッド
製作総指揮:オリヴァー・ストーン/リチャード・ドナー
音楽:ロビー・ロバートソン/ポール・ケリー/リチャード・ホロウィッツ
撮影:サルヴァトーレ・トティーノ
編集:トム・ノードバーグ/キース・サラモン/スチュアート・ワクス
CAST
アル・パチーノ/キャメロン・ディアス/デニス・クエイド/ジェームズ・ウッズ/ジェイミー・フォックス/LL・クール・J/マシュー・モディーン/ジム・ブラウン/ローレンス・テイラー/アンドリュー・ブリニアースキー/ローレン・ホリー/アン=マーグレット/アーロン・エッカート/エリザベス・バークレー/チャールトン・ヘストン/ジョン・C・マッギンリー/オリヴァー・ストーン
 何と今回は最も珍しいスポ根モノ? 単なるスポーツ映画ではなく,それぞれの男の人生を描いた秀作でストーリーそのものは面白いのですが,150分の長尺の大部分を占める競技シーンに関しては,スポーツ全般に関心がなく,更にフットボールという球技に関してはほとんど知識のない私といたしましては,ちょっと観ているのが辛いものがありました.あと男の映画だからか,女性キャラクターがエキセントリックに描かれ過ぎているのもちょっとね.

32 インソムニア
Insomnia
★★★★★
2002年 アメリカ 118 min
STAFF
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:ヒラリー・セイツ
製作:ブロデリック・ジョンソン/ポール・ジャンガー・ウィット/アンドリュー・A・コゾーブ/エドワード・マクドネル
製作総指揮:ジョージ・クルーニー/キム・ロス/チャールズ・ジェイ・ディー・シュリッセル/スティーヴン・ソダ―バーグ/トニー・トーマス
音楽:デヴィッド・ジュリアン
撮影:ウォーリー・フィスター
CAST
アル・パチーノ/ロビン・ウィリアムス/ヒラリー・スワンク/モーラ・ティアニー/マーティン・ドノヴァン/ニッキー・カット/ポール・ドゥーリイ/ジョナサン・ジャクソン/キャサリン・イザベル
 不幸な事故から『不眠症(インソムニア)』に陥ってしまう刑事をあるぱちさんが演じるサスペンス・ミステリー.ネタばれになってしまうので詳しくは書けませんが,この設定でどのように終わらせるのだろうか?って思っていたところ,十分納得させられる見事な結末に導かれていくストーリー構成が素晴らしかったです.とにかく観てみようね♪ おススメです.



33 シモーヌ
S1M0NE
★★★★
2002年 アメリカ 117 min
STAFF
監督:アンドリュー・ニコル
脚本:アンドリュー・ニコル
製作:アンドリュー・ニコル
製作総指揮:ブラッドレイ・クランプ/マイケル・デ・ルカ/リン・ハリス
音楽:カーター・バーウェル
撮影:エドワード・ラックマン/デレク・グローヴァ―
編集:ポール・ルベル
CAST
アル・パチーノ/レイチェル・ロバーツ/キャサリン・ターナー/エヴァン・レイチェル・ウッド/ジェイ・モーア/ブルイット・テイラー・ヴィンス/ウィノナ・ライダー/ジェイソン・シュワルツマン/バリー・パビック/スタンリー・アンダーソン/ダニエル・フォン・バーゲン/ショーン・カレン/アレック・マードック/クリス・コッポラ/イライアス・コティーズ(ノンクレジット)/トニー・クライン(ノンクレジット)
 今度はSF(!).この人の出演する映画って全くと言っていいほど駄作がないのは,役柄やシナリオを十分検討してオファーを引き受けるためで,その反面で知られているところでは『スター・ウォーズ』や『クレイマー・クレーマー』のようにオファーを断ってしまって惜しい結果に終ってしまったものもあるわけですが,自分が納得して引き受けたものはどんな役柄であっても演じ切ってしまうのはやはり天性のものがあると思います.アカデミー主演男優賞受賞後はさらに演技の幅を広げたみたいで,『ディアポロス』(ホラー),『エニイ・ギブン・サンデー』(スポ根?)に次いで意外な作品選択に驚かされましたが,流石に見事な演技を魅せてくれています.でもこの映画に関しては,あるぱちさんの演技ももちろん凄いのですが,生身の人間にヴァーチャル女優を演じさせるという逆転発想が秀逸だったと思います.

34 ニューヨーク/最後の日々
People I Know
★★★★
2002年 アメリカ 100 min
STAFF
監督:ダン・アルグラント
脚本:ジョン・ロビン・ベイツ
製作:マイケル・ノジック/カレン・テンコフ/レスリー・アーダング
製作総指揮:カーク・ダミコ/ロバート・レッドフォード/フィリップ・フォン・アルヴェンスレベン
音楽:テレンス・ブランチャード
撮影:ピーター・デミング
編集:スージー・エルミガー
CAST
アル・パチーノ/キム・ベイシンガー/ライアン・オニール/ティア・レオ―二/リチャード・シフ/ビル・ナン/ロバート・クレイン/マーク・ウェバー
 老境を迎えたパブリシストの1日を描いたヒューマン・ドラマですが,パブリシストという職業にほとんどなじみがないので,ちょっと解りにくい部分もありましたが面白い作品でした.製作総指揮のロバート・レッドフォードさん,共演のライアン・オニールさんとのコラボ?も良かったです.

35 リクルート
The Recruit
★★★
2003年 アメリカ 115 min
STAFF
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ロジャー・タウン/カート・ウィマー/ミッチ・グレイザー
製作:ジェフ・アップル/ゲーリー・バーバー/ロジャー・バーンバウム
製作総指揮:ジョナサン・グリックマン/リック・キドニー
音楽:クラウス・バデルト
撮影:スチュアート・ドライバーグ
編集:デヴィッド・ローゼンブルーム
CAST
アル・パチーノ/コリン・ファレル/ブリジット・モイナハン/ガブリエル・マクト/ケン・ミッチェル/マイク・リアルバ/カール・ブルーナー
 CIA 教育機関のリクルーターと翻弄される訓練生の姿を描いたクライム・サスペンス.昔からスパイ映画って難解なものが多いので苦手なのですが,この作品もやはり難解でした.注意して観ていないと騙されて,全くわけがわからなくなります.

36 エンジェルス・イン・アメリカ
Angels In America
★★★★
2003年 アメリカ 352 min
STAFF
監督:マイク・ニコルズ
脚本:トニー・クシュナー
原作:トニー・クシュナー
製作:セリア・D・コスタス
製作総指揮:マイク・ニコルズ/ケイリー・プロコウ
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
編集:ジョン・ブルーム/アントニア・ヴァン・ドリムレン
CAST
アル・パチーノ/メリル・ストリープ/エマ・トンプソン/メアリー=ルイーズ・パーカー/ジェフリー・ライト/ジャスティン・カーク/パトリック・ウィルソン/ベン・シェンクマン/マイケル・ガンボン/サイモン・キャロウ/ジェームズ・クロムウェル/ロビン・ワイガード
 ピュリッツァー賞を受賞したトニー・クシュナーさんの原作戯曲をマイク・ニコルズさんが監督した TV ミニ・シリーズで,エミー賞11部門受賞,ゴールデン・グローブ賞5部門(作品賞/主演男優賞/主演女優賞/助演男優賞/助演女優賞)を独占.第1部3章,第2部3章,計6章の構成で,宗教観の乏しい日本人にとってはちょっと難解ではありますが,当時不治の病とされていたエイズに翻弄されるゲイ・ピープルの姿を通して,人種,政治,宗教,法律,医療,セックス等の分野で現代アメリカの抱えるいろいろな差別・偏見・闇と,その心理的救済を描いており,見ごたえのある哲学的な作品だったと思います.あるぱちさんは唯一死んでしまうエイズ患者の役ですが,その病状の悪化していく様は鬼気迫るものがある好演でした.物語後半のメリル・ストリープさんのセリフ,「男っていうものはどのような形態であれ鈍くて愚かよ,それが腹が立つの」,かなり辛辣ですが共感できました.

37 ジーリ
Gigli
★★★
2003年 アメリカ 121 min
STAFF
監督:マーティン・ブレスト
原作:マーティン・ブレスト
製作:マーティン・ブレスト/ケイシー・シルヴァー
製作総指揮:デヴィッド・クロケット
音楽:ジョン・パウエル
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ジュリー・モンロー/ビリー・ウェバー
CAST
ベン・アフレック/ジェニファー・ロペス/ジャスティン・バーサ/アル・パチーノ/クリストファー・ウォーケン/レイニー・カザン/テリー・カミレッリ/レニー・ヴェニート/ミッシー・クライダー
 第24回ゴールデンラズベリー賞8部門にノミネートされ6部門(最低作品賞/最低男優賞/最低女優賞/最低監督賞/最低脚本賞/最低スクリーンカップル賞)で受賞を果たしたロマンティック・コメディ.最低男優・最低女優・最低スクリーンカップルのベン・アフレックさんとジェニファー・ロペスさんは19年後の2022年に結婚されています.最低助演男優賞受賞を逃したあるぱちさんは1シーンのみの出演ですが,迫力のある演技を魅せてくれています.また最低助演女優賞を逃したレイニー・カザンさんのキャラクターの印象も強烈でした.

38 ヴェニスの商人
The Marchant of Venice
★★★★
2004年 アメリカ/イタリア/ルクセンブルク/イギリス 130 min
STAFF
監督:マイケル・ラドフォード
脚本:マイケル・ラドフォード
原作:ウィリアム・シェイクスピア
製作:ケイリー・ブロコウ/マイケル・コーワン/バリー・ナヴィディ/ジェイソン・ピエット
製作総指揮:エドウィジュ・フェネシュ/ゲイリー・ハミルトン/マイケル・ハマー/ピーター・ジェームズ/ロバート・ジョーンズ/ピート・マッギー/アレックス・マーシャル/ジェームズ・シンプソン/マフレッド・ワイルド
音楽:ジョスリン・プーク
撮影:ブノワ・ドゥローム
編集:ルチア・ズケッティ
CAST
アル・パチーノ/ジェレミー・アイアンズ/ジョセフ・ファインズ/リン・コリンズ/ズレイカ・ロビンソン/クリス・マーシャル/チャーリー・コックス/マッケンジー・クルック
 あるぱちさん待望のシェークスピア作品の完全映像化.舞台俳優としても名優の名をほしいままにし,アカデミー賞,トニー賞,エミ―賞の『演技の三冠』を達成したあるぱちさんの凄まじい演技が堪能できる快作で,助演のジェレミー・アイアンズさん,ジョセフ・ファインズさん,そしてリン・コリンズさんの男優陣もそれぞれの個性を発揮していて素晴らしいです.クライマックスの法廷場面では,ストーリーがわかっていながらも,十分ハラハラドキドキさせられました.ところで『リチャード三世』の映画化って結局どうなったのかしら?

39 トゥー・フォー・ザ・マネー
Two for the Money
★★★
2005年 アメリカ 122 min
STAFF
監督:D・J・カルーソー
脚本:ダン・ギルロイ
製作:ジェイ・コーエン/ジェームズ・G・ロビンソン
製作総指揮:ガイ・マケルウィン/デヴィッド・C・ロビンソン/レネ・ルッソ/ダン・ギルロイ
音楽:クリストフ・ベック
撮影:コンラッド・W・ホール
編集:グレン・スキャントルベリー
CAST
アル・パチーノ/マシュー・マコノヒー/レネ・ルッソ/アーマンド・アサンテ/ジェレミー・ピヴェン/ジェイミー・キング
 トトカルチョを題材に,情報会社を経営する社長をあるぱちさんが好演,このキャラクターどうもギャンブル依存症だったらしく,劇中に GA (ギャンブラーズ・アノニマス)のミーティング風景も出てきます.今回,この作品を観ていて,あるぱちさん自身の好演はもとより,共演のマシュー・マコノヒーさん,レネ・ルッソさんの魅力を引き出す触媒のような機能が強く感じられました. DVD に収録されているメイキングにおいても語られている通り,自らの演技によって共演者の魅力を引き出すことのできる,流石『伝説の名優』と称される所以だと思います.また,昔勤めていた会社で行われた日本の Jリーグに対するトトカルチョで大勝ちした経験を懐かしく思い出しながら観ていたのですが,そんなもんとは比較にならないアメリカのギャンブル産業の巨大さがこの映画に描写されています.

40 88ミニッツ
88Minutes
★★★★
2007年 アメリカ 107 min
STAFF
監督:ジョン・アヴネット
脚本:ゲイリー・スコット・トンプソン/ジョン・アヴネット
製作:ジョン・アヴネット/アヴィ・ラーナー/ランド―ル・エメット
製作総指揮:ジョージ・ファーラ/アンドレアス・ティースマイヤー
音楽:エド・シェアマー
撮影:ドニ・ルノワール
編集:ピーター・バーガー
CAST
アル・パチーノ/アリシア・ウィット/エイミー・ブレネマン/リーリー・ソビエスキー/ウィリアム・フォーサイス/デボラ・カーラ・アンガー/ジュリアン・クリストファー/ベンジャミン・マッケンジー/二―ル・マクドノー/リーア・ケアンズ/スティーヴン・モイヤー/ダミアン・リーク
 あるぱちさん演じる異常犯罪分析医と二―ル・マクドノーさん演じる服役中のシリアル・キラーとの対決を描くサスペンス・ミステリー.88分の余命を宣告された主人公の周囲にいる4人の美女の中に,実行犯が存在するというシチュエーションはなかなか興味深いものがありましたが,ストーリの展開が把握しづらいのが難点でした.あるぱちさんはこの作品で第29回ゴールデンラズベリー賞の最低男優賞にノミネートされ,20世紀はアカデミー賞でしたが,21世紀に入ってからはゴールデンラズベリー賞の常連ノミネート俳優となってしまいました?



41 オーシャンズ13
Ocean's Thirteen
★★
2007年 アメリカ 122 min
STAFF
監督:スティーヴン・ソダ―バーグ
脚本:ブライアン・コぺルマン/デヴィッド・レヴィーン
製作:ジェリー・ワイントローブ
製作総指揮:スーザン・イーキンス/グレゴリー・ジェイコブス/フレデリック・W・ブロスト/ブルース・バーマン/ジョージ・クルーニー
音楽:デヴィッド・ホームズ
撮影:スティーヴン・ウィリアムス
編集:スティーブン・ミリオン
CAST
ジョージ・クルーニー/ブラッド・ピット/マット・デイモン/アンディ・ガルシア/ドン・チードル/バーニー・マック/エレン・バーキン/アル・パチーノ/ケイシー・アフレック/スコット・カーン/エディ・ジェイミソン/シャオボー・チン/カール・ライナー/エリオット・グールド/ヴァンサン・カッセル/エディ・イザード/デヴィッド・ペイマー/ジュリアン・サンズ/ボブ・アインシュタイン/ジェリー・ウィントラーブ/オルガ・ソフノフスカ/オプラ・ウィンフリー
 フランク・シナトラさん一家の名作映画のリメイク『オーシャンズ11』の続々編(第3作).オリジナルはこどもの頃観たことがあって,結構面白かったような記憶がそこはかとなくあるのですが,今回のこの映画はとにかく登場人物が多すぎて,それぞれのキャラクターのエピソードとメイン・ストーリーの展開がよく把握できませんでした.そんな中で敵役キャラのあるぱちさんとエレン・バーキンさんの存在感あふれる演技だけが印象に残っているのです.

42 ボーダー
Righteous Kill
★★★
2008年 アメリカ 100 min
STAFF
監督:ジョン・アヴネット
脚本:ラッセル・ジェウィルス
製作:ジョン・アヴネット/ランド―ル・エメット/ラティ・グロブマン/アヴィ・ラーナー/アレクサンドラ・ミルチャン/ダニエル・M・ローゼンバーグ/ロブ・コーワン
製作総指揮:ボアズ・デヴィッドソン/ダニー・ディムボート/ジョージ・ファーラ/トレヴァ―・ショート
音楽:エド・シェアマー
撮影:デニス・レノア
編集:ポール・ハーシュ
CAST
ロバート・デ・ニーロ/アル・パチーノ/カーティス・"50セント"・ジャクソン/カーラ・グギノ/ジョン・レグイザモ/ドニ―・ウォールバーグ/トリルビー・グローヴァ―/ブライアン・デネヒー/メリッサ・レオ/アラン・ブレーメンフェルド/オレッグ・タクタロフ/フランク・ジョン・ヒューズ/テリー・セルピコ/アジェイ・ナイデュ/ジョン・セナティエンボ
 『ゴッドファーザー PARTU』,『ヒート』に続くあるぱちさんとでにーろさんの共演作.と言っても『ゴッドファーザー PARTU』では時代が違う設定のため共演シーンはなかったし,『ヒート』でもラストのみ少しだけ共演シーンがありますがトリックではないかという噂もあって,本格的な共演は今回が最初ということになりますが,初めてでにーろさんがトップクレジットとなっています.犯罪者のみを狙う連続殺人犯を描いたサスペンスでストーリーは面白いのですが,お二人とも現役の刑事を演じるのにはお年齢取りすぎの感は否めません.で,あるぱちさんはまたも第29回ゴールデンラズベリー賞の最低男優賞にノミネートされてしまっています.そして,この日本語タイトル,イミフだし相変わらずセンスのかけらも感じられません.

43 陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル
The Son of No One
★★★★
2011年 アメリカ 95 min
STAFF
監督:ディート・モンティエル
脚本:ディート・モンティエル
製作:ホリー・ディーアズマ/ジョン・トンプソン/ディート・モンティエル/アヴィ・ラーナー
製作総指揮:アヴィ・ラーナー/トレヴァ―・ショート/ダニー・ディムボート/ボアズ・デヴィッドソン/カシアン・エルウィズ/トルーディ・スタイラー/アレックス・フランシス/ジェイク・プシンスキー/リシャ―ル・リオンダ・デル・カストロ/パトリシア・エバリー/ジョイ・ゴーマン
音楽:デヴィッド・ウィットマン/ジョナサン・エリアス
撮影:ブノワ・デュローム
編集:ジェイク・プシンスキー
CAST
アル・パチーノ/チャニング・テイタム/ジェームス・ランソン/レイ・リオッタ/ケイティ・ホームズ/ウルスラ・パーカー/ブライアン・ギルバート/トレーシー・モーガン/シモーヌ・ジョーンズ/ジュリエット・ビノシュ
 ニューヨークを舞台に,過去の犯罪を引きずる警察官とそれを隠蔽しようとする警察上層部,それを暴こうとするマスコミと謎の脅迫者が入り混じって展開するクライム・ミステリー.全体的に暗い雰囲気の作品で,設定やストーリー展開に?な部分が見受けられますが,全体としては面白く観ることができました.あるぱちさんはエンド・クレジットではトップに名前が出てきますが,物語の主人公はあくまでチャニング・テイタムさんです.それにしても,他のヒット作をパクったようなこの日本語タイトルはひどすぎます.なんでこゆことするのかね?

44 ジャックとジル
Jack and Jill
★★★
2011年 アメリカ 91 min
STAFF
監督:デニス・デューガン
脚本:スティーブ・コーレン/アダム・サンドラー
原案:ベン・ズーク
製作:トッド・ガーナ―/アダム・サンドラー/ジャック・ギアーラプト/ベティナ・ソフィア・ヴィヴィアノ
製作総指揮:バリー・ベルナルディ
音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影:ディーン・カンディ
編集:トム・コステイン
CAST
アダム・サンドラー/ケイティ・ホームズ/アル・パチーノ/エウへニオ・デルべス/ティム・メドウス/ニック・スウォードソン/アレン・コヴァート/ヴァレリー・マハウェイ/ダナ・カーヴェイ/デヴィッド・スペード/ロブ・シュナイダー/ローハン・チャンド/デニス・デューガン/ノーム・マクドナルド/シャキール・オニール/ドリュー・キャリー/ジョン・マッケンロー/ビリー・ブランクス/ジョニー・デップ
 第32回ゴールデンラズベリー賞で10部門全てにノミネートされ,その全てを受賞してしまった超怪作.しかもあるぱちさんは本人役で最低助演男優賞をとうとう受賞してしまったというおまけつき.ここまで徹底してバカバカしい映画を作ってしまうのは,やはりハリウッドならではです.

45 ミッドナイト・ガイズ
Stand Up Guys
★★★★★
2012年 アメリカ 95 min
STAFF
監督:フィッシャー・スティーヴンス
脚本:ノア・ヘイドル
製作:シドニー・キンメル/トム・ローゼンバーグ/ゲイリー・ルチェッシ/ジム・タウバー
製作総指揮:マット・ベレンソン/テッド・ギドロウ/ビンガム・レイ/エリック・リード/ブルース・トール
音楽:ライル・ワークマン
主題歌:ジョン・ボン・ジョビィ "Not Running Anymore"
撮影:マイケル・グレイディ
編集:マーク・リヴォルシー
CAST
アル・パチーノ/クリストファー・ウォーケン/・アラン・アーキン/ジュリアナ・マルグリーズ/マーク・マーゴリス/ルーシー・パンチ/アディソン・ティムリン/ヴァネッサ・フェルリト/キャサリン・ウィニック/ビル・バー
 あるぱちさん5年ぶりの主演作.引退した3人の老ギャングが活躍する下ネタ満載のクライム・コメディですが,最高に面白い作品でした.3人の名優が年齢相応の役柄を楽しそうに演じていて,ストーリーも解りやすく,某名作映画のパロディと思われるラストも良かったです.当初はあるぱちさんとクリストファー・ウォーケンさんの役柄が逆であったところ,お二人とも違和感を感じたため,配役を逆にして製作されたらしいですが,正解だったと思います.惜しむらくは,原題に込められた製作者の意図を全く無視してつけられた日本語タイトルで,こういうの本当に禁止してほしいです.

46 ブロークン 過去に囚われた男
Manglehorn
★★★★
2014年 アメリカ 97 min
STAFF
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ポール・ローガン
製作:リサ・マスカット/デヴィッド・ゴードン・グリーン/デリック・ツィン/クリストファー・ウッドロウ/モリー・コナーズ
音楽:エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ/デヴィッド・ウィンゴ
撮影:ティム・オアー
編集:コリン・パットン
CAST
アル・パチーノ/ホリー・ハンター/ハーモニー・コリン/クリス・メッシーナ/マリサ・ヴァレラ/スカイラー・ギャスパー
 若い頃はヤクザ,年齢取ってからは偏屈な老人役が板についてしまった感のあるあるぱちさんのラブ・ロマンス.昔の恋人への想いを捨てきれない頑固オヤジのあるぱちさんも,彼に想いを寄せるハイミスのホリー・ハンターさんもそれぞれ素晴らしい演技を魅せてくださっているのですが,何といっても一番気になったのはネコのミス・ファニーで,手術が成功したところであとのストーリーはもうどうでもよくなってしまいました.でもラストは良かったです.それにしても,このセンスのない日本語タイトルどうにかならなかったのかしらね? サブタイトルはネタばれだし,メインに至ってはこれではまるであるぱちさんが廃人みたいじゃん.

47 ブラック・ファイル 野心の代償
Misconduct
★★★
2016年 アメリカ 105 min
STAFF
監督:シンタロウ・シモサワ
脚本:アダム・メイソン/サイモン・ボーイズ
製作:エレン・ワンダー
製作総指揮:バリー・ブルッカ―/スタン・ワートリーブ/エリック・ブレナー/クリス・ブラウン/トニー・バズビー/ダレル・カサリーノ/マイケル・T・コーヴェル/ゲイリー・プレイスラー/アマンダ・セウォード
音楽:エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ/デヴィッド・ウィンゴ
撮影:ティム・オアー
編集:コリン・パットン
CAST
ジョシュ・デュアメル/アリス・イヴ/マリン・アッカーマン/イ・ビョンホン/ジュリア・スタイルズ/グレン・パウエル/アル・パチーノ/アンソニー・ホプキンス
 DVD を観る前に KINENOTE を覗いてみたところ,レビューでの評判がすこぶる悪く,平均評点もあるぱちさんの出演作の中では珍しい50点台だったので,あまり期待しないで観たのですが,それほどつまらない作品ではないように思えました.アンソニー・パーキンスさんとあるぱちさんのキャスティングはちょっともったいなかったかな?という気はしましたが….

48 ボーダーライン:ソマリア・ウォー
The Pirates of Somalia
★★★★
2017年 アメリカ 118 min
STAFF
監督:ブライアン・バックリー
脚本:ブライアン・バックリー
原作:ジェイ・バハダー
製作:クロード・ダル・ファラ/イルファーン・フレデリックス/ミーノ・ジャルジャラ/マット・ルフェーブル
音楽:アンドリュー・フェルテンシュタイン/ジョン・ナウ
撮影:スコット・ヘンリクセン
編集:ジェイ・ネルソン
CAST
エヴァン・ピーターズ/アル・パチーノ/メラニー・グリフィス/バーカッド・アブディ/エイダン・ワイトック/キアナ・マダニー/フィリップ・エッティンガー/ダロン・メイヤー/ラッセル・ボズナー/アルマーン・ハジオ/ジョジョ・ゴンザレス/マリア・ヴォス/サブリナ・ハッサン/モハメド・バレ/アブディ・シドウ・ファーラー
 DVD のジャケットの写真と日本語のタイトルから苦手な戦争映画化と思って恐る恐る観たのですが,全く違っていてほぼ実話に基づいたジャーナリストさんのお話で,結構面白く観ることができました.あるぱちさんは最初と最後に出てくるだけで,物語の本筋には関わらない役柄なのですが,しっかりと存在感示しています.あと,久しぶりにお目にかかったメアリー・グリフィスさん,やっぱり魅力的でした.ところで,なんでこんなタイトルがついたのか疑問がだったのですが,『ボーダーライン』という同名のシリーズがあるらしくて,それにあやかってつけられたタイトルのみたい.なんでこゆことするのかね? 本当にやめてほしいです.



49 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
Once Upon a Time in Hollywood
★★★
2019年 アメリカ 161 min
STAFF
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:デヴィッド・ハイマン/ジャノン・マッキントッシュ/クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ジョージア・カカンデス/ユ・ドン/ジェフリー・チャン
ナレーター:カート・ラッセル
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
CAST
レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー

エミール・ハーシュ/マーガレット・クアリー/ティモシー・オリファント/ジュリア・バターズ/オースティン・バトラー/ダコタ・ファニング/ブルース・ダーン/マイク・モー/ルーク・ベリー/ダミアン・ルイス/アル・パチーノ
ブレンダ・ヴァッカロ/カート・ラッセル/ラファル・ザビエルチャ/ニコラス・ハモンド/ゾーイ・ベル/ドリーマ・ウォーカー/レベッカ・リットンハウス/レイチェル・レッドリーフ/ルーマー・ウィリス/デイモン・ヘリマン/レナ・ダナム/マディセン・ベイティ/マイキー・マディソン/ジェームズ・ランドリー・へーベルト/マヤ・ホーク/ビクトリア・ぺドレッティ/シドニー・スウィーニー/ハーレイ・クイン・スミス/キャシディ・ヴィック・ハリス/ダニエル・ハリス/ロレンツァ・イッツォ/レベッカ・ゲイハート/コスタ・ローニン/サマンサ・ロビンソン/スペンサー・ギャレット/ダニエラ・ピック/クルー・ギャラガー/ケイト・バーラント/パーラ・ヘイニー=ジャーディン/トム・ハーディグ/オマー・デューム/デヴィッド・スティーン/スクート・マクネイリー/クリフトン・コリンズ・Jr/マルコ・ロドリゲス/モーリス・コンプト/マーティン・コーヴ/マイケル・マドセン/ジェームズ・レマー/コーリー・バートン(声のみ)
 ブラッド・ピットさんがアカデミー助演男優賞を獲得した,ディカプリオさんとピットさんの初の共演作.個人的にはお二人ともそれほど美形とは思えないのですが,時代を代表する人気俳優でした.さて,クエンティンタランティーノさん監督・脚本・製作によるこの映画ですが,多くの著名人が実名で描かれており,またタイトルからも,古き時代のハリウッドの単なるパロディ映画か実話を基にしたスリラー・サスペンスかと思って観ていると,ネタばれになるので詳しくは書けませんが,見事に裏切られます.あるぱちさんは大物プロデューサー役で,出演シーンはわずか2シーンのみですが,1シーンのみ出演のブルース・ダーンさんと共に,特別出演扱いのような感じでした.各方面から批判を受けた,ブルース・リーさんの人格描写に関しては,特にリーさんのファンでなくてもあまりいい感じはしませんでした.このやや人種差別的な描写や,劇中に何度か描写されているヒッピーに対する嫌悪感は,この監督の持つ偏見が表出したもののように思われます,

50 ハウス・オブ・グッチ
House of Gucci
★★★★
2021年 アメリカ 157 min
STAFF
監督:リドリー・スコット
脚本:ベッキー・ジョンストン/ロベルト・ベンティヴェーニャ
原作:サラ・ゲイ・フォーデン
製作:リドリー・スコット/ジェンニア・ファシオ/ケヴィン・J・ウォルシュ/マーク・八ッファム
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影:ダリウス・ウォルスキー
編集:クレア・シンプソン
CAST
レディー・ガガ/アダム・ドライバー/ジャレッド・レト/ジェレミー・アイアンズ/ジャック・ヒューストン/サルマ・ハエック/アル・パチーノ

カミーユ・コッタン/リーヴ・カーニー/ヴィンセント・リオッタ/アレクシア・マレー/ミア・マクガヴァン・ザイニー/フローレンス・アンドリューズ/ユセフ・カーコア/メーディ・ネブー/ミロウド・ムーラド・ベナマラ/マダリーナ・ディアナ・ゲネア/アントネッロ・アヌンツィアータ/キャサリン・ウォーカー/マルティーノ・パルサミーノ
 実話に基づくクライム・ミステリー.ストーリーも面白く,演出も見事なのですが,それよりもあるぱちさんはじめ,メイン・キャスト7人の演技が素晴らしいの一言につきます.中でもジャレッド・レトさんのメイク,キャラづくりには驚かされました.