Sexuality


LGBTQ・GID 関連作品



1 オルランド
Orland
★★★★
1992年 イギリス・ロシア・イタリア・フランス・オランダ カラー 84 min
STAFF
監督:サリー・ポッター
脚本:サリー・ポッター
原作:ヴァージニア・ウルフ
製作:クリストファー・シェパード
音楽:サリー・ポッター/デヴィッド・モーション
撮影:アレクセイ・ロディオノフ
編集:ハーヴ・シュナイド
美術:ベン・ファン・オス/ヤン・ロルフズ
衣装:サンディ・パウエル
CAST
ティルダ・スウィントン/ビリー・ゼイン/ロテール・ブリュトー/ジョン・ウッド/シャルロット・ヴァランドレイ/ヒースコート・ウィリアムズ/クウェンティン・クリスプ/ジミー・ソマーヴィル/サイモン・ラッセル・ピール
 原作は,性同一性障害ではありませんが,セクシュアリティのトランスをテーマとしたジェンダー文学の傑作です.『女でもなく,男でもない』って,人間として理想的な形だと思います.でらちゃんはこの映画の主人公と違って永遠の生命はいただいてませんが,一般人の少なくとも2倍の人生を経験してきたような自覚はあるので,とっても得してる気分なのです♪

2 ぼくのバラ色の人生
Ma Vie En Rose
★★★★★
1997年 フランス・ベルギー・イギリス カラー 89 min
STAFF
監督:アンリ・ベルリネール
脚本:アンリ・ベルリネール/クリス・ヴァンデル・スタッペン
製作:キャロル・スコッタ
音楽:ドミニク・ドルカン/ザジ
撮影:イヴ・カープ
編集:サンドリーヌ・ディーガン
CAST
ミシェル・ラロック/ジャン=フィリップ・エコフェ/エレーヌ・ヴァンサン/ジョルジュ・デュ・フレネ/ダニエル・アンセンス/ロランス・ビボー/ジャン=フランソワ・ガロッテ/カロリーヌ・バエル/マリー・ブネル/グレゴリー・ディアト/エリック・カザルス・デファベル/クリスティナ・バルゲー/モルガン・ブルーナ/ラファエル・サンティーニ/ピーター・ベイリー/ミカエル・コルデラ/アンヌ・コエサン/ヴィンセント・グラス
 でらちゃん実はこどもが主役の映画って好きじゃないので,あまり期待しないで観たのですが,久しぶりに1時間半目が離せない作品でした.というか,実はこの映画の主役はトランスジェンダーのこどもじゃなくて,周囲の人間の差別と偏見に追い詰められて正気を失っていく両親とくに母親なのよね.でも,あまり残酷なシーンがなかったのは,よかったと思います.あと,でらちゃんの場合は性指向が女性(MtF レズビアン)だったので,性自認が女性であることを自覚できるのが遅れたのですが,その代わりこの映画の主人公ほど悲しい思いもしなくて済んだので,これでよかったんだと最近は思えるようになりました.

3 ピンク・フラミンゴ《特別編》
Pink Flamingos
★★★
1997年 アメリカ カラー 107 min
STAFF
監督:ジョン・ウォーターズ
脚本:ジョン・ウォーターズ
製作:ジョン・ウォーターズ
共同制作・助監督:パット・モーラン
美術:ヴィンセント・ベラーニョ
撮影:ジョン・ウォーターズ/デヴィッド・インスレイ
編集:ジョン・ウォーターズ/ジャニス・ハンプトン
CAST
ディヴァイン/デヴィッド・ローチャリー/メアリー・ヴィヴィアン・ピアース/ミンク・ストール/ダニー・ミルズ/エディス・マッセイ/チャニング・ウィルロイ/クッキー・マーラー/ポール・スウィフト/スーザン・ウォルシュ/リンダ・オルガーソン/エリザベス・コフィ/クッキー
 1972年公開の”伝説の”カルト・コメディ(72分)に,25周年記念として17の未公開シーンと監督が語る裏話(15分)を加えた《特別編》.とんでもないお下劣映画で,前半は動物愛護協会からクレームのついた鶏姦シーンなどもあってあまり感心しないで観ていましたが,後半になって,コメディだとばかり思って安心(?)して観ていたストーリーが急激に過激な様相を呈してきて,思わず最後まで画面に引き付けられてしまいました.とても原題では作れないような映画ですが,半世紀前の1972年にこれが作られていたというのは,ある意味納得できるのです.この時期のアートって,音楽も映画も文学も最も過激で急進的でした.さて,ドラァグクイーンについては,女性性のパロディであるという点で現在のトランスヴェスタイトとは一線を画す存在ですが,ちょうど音楽における現在のヴィジュアル系に対するグラム・ロックみたいな存在だったと思われます.はるかにキッチュでパンクで過激でした.

4 ニューハーフ物語
わたしが女にもどるまで
★★★
1997年 日本 カラー 84 min
STAFF
監督:山岡 隆資
脚本:井川 耕一郎
プロデューサー:千葉 好二/鶴 英次
音楽:Mint-Lee
撮影:重田 恵介
CAST
春菜 愛/三橋 貴志/長曽我部 蓉子/今泉 浩一/木立 隆雅/椎名 珠里/大島 宇三郎/中原 志麻/谷亀 真美/松本 美枝/島田 ゆう/小椋 美晴/渡辺 護 (特別出演)/山本 健翔
 パッケージに『ニューハーフアイドル はるな愛 第1回主演作!』とある通り,20世紀のまだ『性同一性障害』と『ニューハーフ』,あるいは,性自認の問題と性指向の問題とが一般的に混同されていた時代の作品であるため,『おかま』.『ホモ』といった差別用語,あるいは『性転換』といった性同一性障害者の治療には使われない用語が頻出しているのが気になりました.但し,出てくるキャラクターの多くもどちらかというと性同一性障害者というよりも職業的ニューハーフや同性愛者であるような印象を受けますが,主人公であるユキと自殺をはかるレイコのキャラクター設定はまぎれもない性同一性障害者であり,そういった意味では,性同一性障害を正面から取り扱った作品として評価することができると思います.『ずいぶんと重い荷物を背負ってきなさったようだね』という初老の男(映画監督の渡辺護さん)のセリフが性同一性障害者が抱えている問題を示しているようで印象的でした.

5 ボーイズ・ドント・クライ
Boys Don't Cry
★★★★
1999年 アメリカ カラー 118 min
STAFF
監督:キンバリー・ピアース
脚本:アンディ・ビーネン/キンバリー・ピアース
製作:ジェフリー・シャープ/ジョン・ハート/エバー・コロドナー/クリスティーン・ヴェイコン
製作総指揮:パメラ・コフラー/ジョナサン・セリング/キャロライン・カプラン/ジョン・スロス
音楽:ネイサン・ラーソン
撮影:ジム・デノールト
編集:リー・パーシー/トレイシー・グレンジャー
CAST
ヒラリー・スワンク/クロエ・セヴィニー/ピーター・サースガード/ブレンダン・セクストン三世/アリソン・フォランド/アリシア・ゴランソン/マット・マクグラス/ロブ・キャンベル/ジーネッタ・アーネット
 1993年に起きたブランドン・ティーナ殺人事件を映画化した作品で,ヒラリー・スワンクさんがアカデミー主演女優賞を獲得しました.本当に救いようのないイヤな話で,実話であるだけになおさらでした. MtF もつらい思いをしますが生命に関わるほどの危険は訪れなかったので, FtM の方がかなり大変な思いをしていることを今更のように認識させられました.

6 ロバート・イーズ
Southern Comfort
★★★★★
2002年 アメリカ カラー 90 min
STAFF
監督:ケイト・デイビス
製作:ケイト・デイビス
音楽:ジョエル・ハリソン
歌:The DCvers
撮影:ケイト・デイビス
編集:ケイト・デイビス
録音・共同制作:エリザベス・アダムス
製作プロダクション:キュー・ポール・プロダクション
CAST
ロバート・イーズ/ローラ・コーラ/ロバートの家族と2人の友人たち
 『性同一性障害』を抱えたひとりの人間の苦悩と愛を迫ったドキュメンタリー.この方はでらちゃんと逆の FtM ですが,本質的には同じ仲間なのでその心情はとてもよく理解できます.「男か女かなんてくっついている性器とは無関係さ.何よりも優先すべきなのは心と頭だ」.

7 ビューティフル・ボーイ
Beautiful Boxer
★★★★
2003年 タイ カラー 114 min
STAFF
監督:エカチャイ・ウアクロンタム
脚本:エカチャイ・ウアクロンタム/デスモンド・シム・キム・ジン
製作総指揮:パイブーン・ダムロンチャイタム/ブッサバ―・ダーオルアン/チューボン・ラッタナバンテゥ―ン/エカチャイ・ウアクロンタム
撮影監督:チューチャート・ナンティタンヤタダ―
編集:デゥッサニー・パヤノンポー
CAST
アッサニー・スワン/ソラポン・チャートリー/オラノン・パンヤウォン/シティポン・ニヨム/ケイガン・カン/井上 京子
 トランス先進国・タイで製作された実話の映画化で,2004年のベルリン国際映画祭正式出品作品.でらちゃんは,2011年にSRSを受けるためにタイに行ったのですが,本当に綺麗なMtFや凛々しいFtMの方が街中にいっぱいいらしたのが印象的でした.井上さん可愛い.

8 トランスアメリカ
Trans America
★★★★★
2005年 アメリカ カラー 103 min
STAFF
監督:ダンカン・タッカー
脚本:ダンカン・タッカー
製作:セバスチャン・ダンガン/リンダ・モラン/ルネ・バスティアン
製作総指揮:ウィリアム・H・メイシー
音楽:デヴィッド・マンスフィールド
主題歌:ドリー・パートン
撮影:スティーヴン・カツミアスキー
編集:パム・ワイズ
美術:マーク・ホワイト
衣装デザイン:ダニー・グリッカー
CAST
フェリシティ・ハフマン/ケヴィン・ゼガーズ/フィオヌラ・フラナガン/バート・ヤング/キャリー・プレストン/エリザベス・ベーニャ/グレアム・グリーン
 性別適合手術(SRS)を控えた性同一性障害者(GID)の主人公(トランスセクシュアル)が,父親であることを隠したまま,実の息子と大陸横断(トランスアメリカ)の旅に出るストーリー.でらちゃんの場合は息子ではなく娘ですが,やはり子供がひとりいて,ず〜っと逢っていなくてその間に手術を受けているのですが,やっぱりもしかしたらいつか再会することもありえるわけで,複雑な心境です.



9 私が私であるために ★★★★★
2006年 日本 カラー 106 min
STAFF
監督:上川 伸廣
脚本:川嶋 澄乃/上川 伸廣
プロデューサー:前田 伸一郎/黒沢 淳/佐藤 敦
協力:山本 蘭(gid.jp代表)
製作協力:テレパック
医療監修:岩尾 光浩 (西新宿メンタルクリニック)
CAST
相沢 咲姫楽/中村 俊介/浅見 れいな/中村 中/鳥羽 潤/雛形 あきこ/青山 草太/竹内 亜美/齋藤 歩/おかむら はじめ/三国 由奈/川口 覚/足立 麻美/深澤 嵐/諏訪 圭亮/松田 美帆子/上地 春奈/名高 達男 (特別出演)/磯野 貴理子/鈴木 豊/山崎 健二/大野 愛子/片山亨/小倉 史也/室井 響/松井 瑛介/嶋村 昇次/明石 鉄平/益岡 徹/原 日出子/竹下 景子/橋爪 功
 感動しました.でらちゃんは,アルコール依存症が悪化して周りの人がみんな去ってしまってひとりっきりになれて初めて自分の生き方を手に入れる事ができたけど,その時に家族や友達が自分の近くに残っていたらできなかったかもしれないです.ひとりではできないこともありますが,ひとりじゃなくてはできないこともあるのです.ひとりっきりになるって実は素敵な事なのです.だから『孤独』って好きな言葉です.

10 男から女に変身 いちごのHappy Movie
2008年 日本 カラー 60 min
chapter
1.いちごのいちじかん
2.いちごちゃんとゆかいな仲間たち -Lunch Party-
3.いちごのDress Up
特典映像:いちご×HARISU(from韓国)
 でらちゃんと同じ MtF の方らしいです.でらちゃんは離婚してから自分のこどもには会ったことがないのですが,この方は子育てされてるらしいです.えらいです.でも,このDVD,音声が非常に聞き取り辛くて,映像作品としては最悪です.

11 リリーのすべて
The Danish Girl
★★★★★
2015年 アメリカ カラー 119 min
STAFF
監督:トム・フーパー
脚本:ルシンダ・コクソン
原作:デイヴィッド・エバーショフ
製作:トム・フーバー/ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー/アン・ハリソン/ゲイル・マトラックス
製作総指揮:リンダ・レイズマン/ウルフ・イスラエル/キャシー・モーガン/ライザ・チェイシン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
撮影:ダニー・コーウェン
編集:メラニー・アン・オリヴァー
CAST
エディ・レッドメイン/アリシア・ヴィキャンデル/ベン・ウィショー/セバスチャン・コッホ/アンバー・ハード/マティアス・スーナールツ/エメラルド・フィネル/エイドリアン・シラー
 世界で初めてSRS(性別適合手術)を受けた人物リリー・エルベをモチーフにした小説『The Danish Girl』を映画化したものですが,内容は史実と異なる部分も多いみたいです.映画ではMtFの手術は男性器切除と膣形成の2回に分けて行われ,2回目の手術後亡くなってしまうのですが,現在ではSRS自体は1度で行われます.FtMの場合はどうなんでしょう? でらちゃんの場合はSRSと豊胸を1度の手術で行ったあと,別の病院で声の女性化と咽喉切除の手術を行いました.また,この映画に限らず,SRSを描いた作品や体験記などでは,手術に伴う苦痛が強調されて表現されている例が多いのですが,でらちゃんは全く痛みを感じることがなかったのはラッキーでしたが不思議でもありました.さらにこの映画では,主人公のセクシュアリティの変化に従ってセクシュアル・オリエンテーション(性指向)が変化する様子が描かれていますが,でらちゃんの場合はこれまたラッキーなことに全く変わりなく,トランス前も後も女性指向でしたが,どちらかというと性依存からAセクに移行していったのが唯一の変化でした.

12 ストーンウォール
STONEWALL
★★★★★
2015年 アメリカ カラー 129 min
STAFF
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ジョン・ロビン・ベイツ
製作:ローランド・エメリッヒ/マーク・フライドマン/マイケル・フォサット/カーステン・ローレンツ
製作総指揮:アダム・プレス/クリスティン・ウィンクラ―/マイケル・ローバン
音楽:ロブ・シモンセン
撮影:アダム・ウルフ
編集:マルクス・フォーデラ―
CAST
ジェレミー・アーヴァイン/ジョニー・ボーシャン/ジョーイ・キング/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/マット・クレイヴン/デヴィッド・キュービット/ジョナサン・リース=マイヤーズ/ウラジミール・アレクシス/ベン・サリヴァン/アンドレア・フランクル/パトリック・ギャロウ/アレックス・C・ナチ/カール・グルスマン/オトージャ・アビット/ロン・パールマン
 史実であるニューヨークでのゲイ解放運動を促した1969年のストーンウォールの反乱を背景に作られたフィクションで, GID ・トランスジェンダーがメインのストーリーではありません.現代における全てのセクシュアル・マイノリティ解放に至る歴史的過程を描写した作品として取り上げました.未だに認知・解放されているとは思えませんが,かなりましになったのよ.彼らの勇気によって,世界は変わりました.