岸田 森




1 放浪記 ★★★
1962年 東宝 モノクロ 124 min
STAFF
監督:成瀬 巳喜男
脚本:井手 俊郎/田中 澄江
原作:林 芙美子/菊田 一夫
製作:藤本 真澄/金子 正且/寺本 忠弘
音楽:古関 裕而
撮影:安本 淳
美術:中古 智
CAST
高峰 秀子/宝田 明/加藤 大介/小林 桂樹/田中 絹代/草笛 光子/仲谷 昇/伊藤 雄之助/多々良 純/織田 政雄/加藤 武/文野 朋子/賀原 夏子/飯田 蝶子/北川 町子/紅園 ゆりか/中北 千枝子/矢吹 寿子/菅井 きん/伊藤 久哉/万代 峯子/石田 茂樹/中山 豊/名古屋 章/小西 ルミ/河 美智子/吉川 雅恵/遠藤 辰雄/青木 千里/稲野 和子/八木 昌子/林 美智子/森 明子/森川 ひろ子/宇野 美子/霧島 八千代/加賀 元女/梅香 ふみ子/内田 朝雄/楠 義孝/福山 博寿/妻紀 一平/梶川 武利/山本 稔/西沢 利明/杉 裕之/笈田 勝弘/和氣 成一/細谷 清/岸田 森/草野 大悟/橋爪 功/森 金太/砂川 明美/千草 千代/小坂 沙代/千原 万紀子/土佐林 道子
 森光子さん主演の舞台で有名な,作家・林芙美子さんの半生記を綴った同名小説の映画化,東宝創立30周年記念作品.森さんの舞台を見たことないので何とも言えないのですが,この映画のヒロインのキャラには高峰さんすごくハマっていたと思います.また往年の二枚目俳優・宝田明さんと仲谷昇さんが情けないダメ男を好演しているのも印象に残りました.岸田さんは,盟友・草野大悟さん,橋爪功さんと学生トリオで1シーンのみの登場でしたが,印象的な声ですぐにその存在が確認できました.

2
二匹の牝犬 ★★★★★
1964年 東映 モノクロ 91 min
STAFF
監督:渡邊 祐介
脚本:下飯坂 菊馬/渡邊 祐介
企画:岡田 茂
音楽:渡辺 宙明
撮影:西川 庄衛
美術:森 幹男
編集:長沢 嘉樹
CAST
小川 真由美/緑 魔子(新人)/杉浦 直樹/北村 和夫/三津田 健/宮口 精二/加藤 武/沢村 貞子/宮園 純子/新井 茂子/北原 しげみ/若水 ヤエ子/北城 真紀子/本山 可久子/田代 信子/沢 彰謙/杉 義一/菅原 壮男/大木 史郎/阿部 正純/潮 健児/標 滋賀子/青木 千里/尾川 雅野/久保 比左志/仲塚 光哉/原 信夫/草野 大悟/豊野 弥八郎/岸田 森/柳生 尚美/山本 緑/沢田 実/都 健二/木録 加寿子/古橋 弘子/大和 節子/小甲 登枝恵/弓 恭子/堤 紀子/鈴木 暁子/東 百合子/内藤 勝次郎
 緑魔子さん初主演デビュー作.姉役の小川真由美さんと二人でトップにクレジットされていますが,小川さんを見事に喰ってしまう強烈な個性と演技が認められて,同年のブルーリボン新人賞を獲得しています.当時まだ演技が素人同然ということで,監督の起用にプロデューサーは反対したらしいですが,魔子さんは猛勉強の末,短期間に演技力を身につけたということで,やはり天才的な素質を持った女優さんであったことが窺われます.また,娼婦役に当初難色を示していた小川真由美さんが出演を決めたのは,当時所属していた文学座の借金返済のためであったと言われ,同劇団から北村和夫さん,宮口精二さん,草野大悟さん,岸田森さんも出演されています.小川さんの相手役は後に TV ドラマ『アイフル大作戦』でコンビを組んだ杉浦直樹さんですが,ここでは女を食い物にしようとする情けない男を好演しています.緑魔子さんとの共演作が多かった岸田森さんは,魔子さんとの絡みでラストの方に出演していますが,このデビュー作ですでに共演されていたのを初めて知りました.

3 水で書かれた物語 ★★★
1965年 日活 モノクロ 120 min
STAFF
監督:吉田 喜重
脚本:石堂 敏郎/吉田 喜重/高良 留美子
原作:石坂 洋次郎
製作:伊藤 博吉/駒崎 秋夫
音楽:一柳 慧
撮影:鈴木 達夫
編集:浅井 弘
CAST
岡田 茉莉子/浅丘 ルリ子/山形 勲/入川 保則/弓 恵子/桑山 正一/岸田 森/中村 孝雄/益田 愛子/加代 キミ子/三村 薫/田中 筆子/中川 わたる
 近親相姦をテーマとしているため,原作者が映像化は不可能と語った禁断の小説を映画化した問題作でありながら,同年第39回キネマ旬報ベストテン日本映画10位を獲得した極めて日本的ともいえる作品です.現在と過去を交錯させたストーリーは後半ちょっとわかりづらいのが難点ですが,不安を感じさせるモノクロの映像とシュールな音楽がマッチしています.岸田さんは主人公の早逝した父親役で過去シーンにしか登場しませんが,実は息子役の入川保則さんも岸田さんと同じ同じ1939年生まれで,1933年生まれの岡田茉莉子さんが現在シーンでは入川さんの母親役,過去シーンでは岸田さんの夫役を見事に演じ分けており,全く違和感を感じさせていないのが流石,名女優ってやっぱり化け物だと思いました.

4 斬る ★★★★★
1968年 東宝 カラー 114 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:岡本 喜八/村尾 昭
原案:山本 周五郎 『砦山の十七日』
製作:田中 友幸
音楽:佐藤 勝
撮影:西垣 六郎
編集:黒岩 義民
擬斗:久世 龍
CAST
仲代 達也/高橋 悦史/星 百合子/中丸 忠雄/久保 明/神山 繁/東野 英治郎/岸田 森/中村 敦夫/田村 奈巳/天本 英世/土屋 義男/橋本 功/浜田 晃/地井 武男/久野 征四郎/樋浦 勉/黒部 進/今福 将雄/長谷川 弘/鈴木 えみ子/小川 安三/中山 豊/香川 良介/伊吹 新/当銀 長太郎/伊藤 実/緒方 燐作/権藤 幸彦/佐藤 功一/大前 亘/鈴木 治夫/関田 裕/清水 良二/篠原 正記/宇留木 康二/田中 浩/浅川 孝二/宇仁 貫三
 岡本喜八監督の傑作時代劇.この作品で岸田さんは物語の重要なキーパーソンとなる荒尾十郎太組長役に抜擢され,以後『喜八組』の常連俳優として数々の名作に出演して行くこととなった記念碑的作品.主役の仲代さん,高橋さんはもとより,脇を固める中丸・中村・橋本・土屋・浜田・樋浦・今福・東野,そして敵役の神山・天本・黒部の各氏がそれぞれの個性を発揮した演技を見せており,岡本監督のキャスティングの上手さを感じさせられます.但し,男性映画を得意とするこの監督さん,女優さんの起用はあまり得意じゃないみたいで,星さん.田村さん,鈴木さんの活躍する場面が少なくてちょっと残念でした.あと地井武男さんはこの作品が映画初出演だったそーです.

5 狙撃 ★★★★
1968年 東宝 カラー 86 min
STAFF
監督:堀川 弘通
脚本:永原 秀一
製作:貝山 知弘
音楽:真鍋 理一郎
撮影:長谷川 清
編集:黒岩 義民
CAST
加山 雄三/浅丘 ルリ子(日活)/森 雅之/小沢 昭一/岸田 森/船戸 順/藤木 孝/川合 伸旺/笹岡 勝治/サリー・メイ/新井 純/荒木 保夫/久野 征四郎/田中 浩/草川 直也/鈴木 和夫/大前 亘/倉光 和彦/船水 進/川崎 圭/関田 裕/増岡 明子/柳 みち子
 『若大将』時代の加山雄三さんが全くイメージの異なる殺し屋を演じているアクション映画.岸田さんは主人公の親友で武器の調達・開発を協力する重要な役どころを好演していますが,依頼されて製造した軟頭弾(ダムダム弾?)が結局クライマックスの決闘シーンでは使用されず,ちょっと肩透かしをくらった感じがしました.ストーリーが消化不良起こしてます.

6 弾痕 ★★★
1969年 東宝 カラー 94 min
STAFF
監督:森谷 司郎
脚本:永原 秀一
製作:貝山 知弘
音楽:武満 徹
撮影:斎藤 孝雄
編集:黒岩 義民
CAST
加山 雄三/太地 喜和子/立花 マリ/原 知佐子/岸田 森/納谷 悟朗/早野 寿郎/上田 忠好/加藤 和夫/近藤 準/小沢 忠臣/田中 浩/川端 真二/富川 激夫/水谷 邦久/高石 友也/麻生 雅子(TBS)/アンディ・シームズ/ロルフ・ジェサップ/佐藤 慶/岡田 英次
 加山雄三さんが二つの祖国を持つスナイパーを演じるスパイ・アクション.スパイ映画って難しくてよくわからないです.岸田さんは中共工作員でやはり重要な役どころなのですが,今回は拷問に遇わされるシーンで,本人が気にしていた頭髪の薄さが目立ってしまっていて気の毒でした.武満徹さん作曲,高石友也さんの歌う『死んだ男の残したものは』って大好きな曲だったのですが,この映画の主題歌として使われていたことを今回初めて知りました.

7 赤毛 ★★★★
1969年 東宝 カラー 116 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:岡本 喜八/廣澤 栄
製作:三船 敏郎/西川 善男
音楽:佐藤 勝
撮影:斎藤 孝雄
編集:阿良木 佳弘
CAST
三船 敏郎/岩下 志麻(松竹)/高橋 悦史/寺田 農/乙羽 信子/望月 優子/吉村 実子/岡田 可愛/神山 繁/天本 英世/花沢 徳衛/岸田 森/砂塚 秀夫/左 卜全/睦 五郎/草野 大悟/富田 仲次郎/常田 富士夫/浜村 純/堺 佐千夫/山本 廉/長谷川 弘/野村 昇史/北川 美佳/野口 紃子/津田 亜矢子/岩崎 智江/三戸部 スエ/中山 豊/地井 武男/阿知波 信介/沢登 護/木下 陽夫/木村 豊幸/丸岡 将一郎/宇野 晃司/吉田 昌史/佐渡 絹代/浅利 和子/石堂 洋子/益海 愛子/豊田 洋子/島津 喜美枝/川村 繁子/谷口 由美子/間島 純/松原 みち/高原 とり子/記平 佳枝/田中 浩/山口 博義/浅川 孝二/木村 博人/田中 一/加藤 茂雄/水戸 義弘/馬部 裕之/伊東 潤一/三船プロ 七曜会/ナレーター:中谷 一郎/伊藤 雄之助/田村 高廣
 岡本喜八監督による幕末・王政復古の世を描いた時代劇で,主演の三船敏郎さんの『七人の侍』の菊千代を彷彿とさせる演技のせいもあって,思っていたよりコミカルな雰囲気が漂っていますが,実はシリアスな作品でした.ヒロインの岩下志摩さんは少々役不足のような感じがしてしまいましたが,高橋悦史さんと寺田農さんのキャラクターが印象に残ります.当初,単なる番頭役かと思われた岸田さんは居酒屋主人役の盟友・草野大悟さんと共に,実は…といった感じのストーリー上重要な役割を担うキャラクターを好演しています.

8 座頭市と用心棒 ★★★★★
1970年 東宝 カラー 115 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:岡本 喜八/吉田 哲郎
原作:子母沢 寛
製作:勝 新太郎
音楽:伊福部 昭
撮影:宮川 一夫
編集:谷口 登司夫
CAST
勝 新太郎/若尾 文子/滝沢 修/米倉 斉加年/岸田 森/嵐 寛寿郎/神山 繁/細川 俊之/寺田 農/砂塚 秀夫/草野 大悟/常田 富士男/木村 元/田中 浩/木村 博人/五味 龍太郎/浜田 雄史/越川 一/黒木 現/新関 順司郎/熱田 洋子/巣山プロ/剣睦会/三船 敏郎
 勝新太郎さん『座頭市』シリーズに三船敏郎さん『用心棒』を迎えた今でいうコラボ作品.実は時代劇って昔あまり好きじゃなくて,両シリーズともこれまで観たことなかったのですが,今回やはり岸田さん目当てで DVD を購入して,初めて鑑賞させていただきました.やはり岸田さんのファンとしては,もちろん勝さん・三船さんの演じるキャラクターはヒット作・シリーズになるだけあってとても魅力的なのですが,岡本喜八監督に『斬る』,『赤毛』に続いて抜擢された岸田さん演じる『第三の刺客』九頭竜・跡部九内の鬼気迫る美剣士ぶりの前には霞んで見えてしまうのでした.チンピラ役の寺田農さん,下っ端役人役の草野大悟さんもいいです.



9 白昼の襲撃 ★★★★
1970年 東宝 カラー 89 min
STAFF
監督:西川 潔
脚本:白坂 依志夫/西村 潔
原案:菊村 到 『真昼の襲撃』より
製作:金子 正且
音楽:日野 皓正
撮影:黒田 徳三
編集:諏訪 三千男
CAST
黒沢 年男/高橋 紀子/緑 魔子/石井 くに子/レックス・ヒューストン/出 情児/岸田 森/桑山 正一/伊藤 久哉/若山 大祐/殿山 泰司/梅津 栄/富川 徹夫/植田 峻/北浦 昭義/守田 比呂也/ドン・ウィッテン/マンモス・鈴木/青木 君雄/中岡 慎太郎/三田村 賢二/市地 洋子/荘司 洋子/武田 美瑳子/岩崎 トヨコ/細井 利雄/田中 一/伊海田 弘/伊東 巨介/芹 昌郎/谷川 修/三島 圭一郎/南 武臣/麻生 美恵子/歌川 千恵
 菊村到さんのハードボイルド小説の映画化.ヒロインの高橋紀子さんは寺田農さんの元奥さまという知識はあったのですが,今回 DVD を観て,『ウルトラQ』の『南海の怒り』に出ていたアニタさんだったことがわかりました.この他にも共演作の多い岸田森さんと緑魔子さんは,インテリ・ヤクザとその情婦というこれ以上はないはまり役で出演しています.また主人公の黒沢年男さんとその兄貴分を演じている岸田さんは後に『血を吸う薔薇』で再度共演されています.大学生役の富川激夫さんは『徹夫』と誤ってクレジットされていて気の毒でした.で,この作品ですがまぎれもないゲイ映画だと思うのですが,物語のキー・パーソンとなる主人公の弟分役を好演している出情児さんは,この後姿を消してしまったのが残念です.

10 玄海遊侠伝 破れかぶれ ★★★★
1970年 大映 カラー 101 min
STAFF
監督:マキノ 雅弘
脚本:笠原 和夫
脚色:マキノ 雅弘/永田 俊夫
原作:吉田 敬太郎
企画:早川 雅浩
音楽:八木 正生
撮影:牧浦 地志
編集:山田 弘
CAST
勝 新太郎/京 マチ子/松方 弘樹/安田 道代/南美川 洋子/津川 雅彦/天津 敏/岸田 森/山本 麟一/和崎 俊哉/美川 陽一郎/水島 道太郎/北村 栄三/水上 保広/小瀬 朗/長谷川 弘/木村 元/橋本 力/丘 夏子/志野 まゆき/新條 多久美/杉山 昌三九/浜田 雄史/九段 吾郎/和田 哲児/北野 拓也/玉置 一恵/南條 新太郎/尾上 栄五郎/西川 ヒノデ/勝村 淳/新関 順司郎/薮内 武司/花村 秀樹/福井 隆次/菊野 昌代士/長岡 三郎/美樹 博/中島 徹也/戸村 昌子/語り手:小松 方正
 北九州・若松を舞台に『近代ヤクザの祖』吉田磯吉の半生を描いた大映任侠映画.岸田さんは山本麟一さん演じるちょっとおバカなヤクザの組長を補佐する切れ者の代貸という役柄がハマっていますが,それ以上に芸者・おりゅうを演じる安田道代さんが素晴らしいです.

11 おんな極悪帖 ★★★★
1970年 大映 カラー 84 min
STAFF
監督:池広 一夫
脚本:星川 清司
原作:谷崎 潤一郎
企画:勝呂 敦彦
音楽:渡辺 岳夫
撮影:梶谷 俊男
編集:谷口 登司夫
CAST
安田 道代/田村 正和/佐藤 慶/小山 明子/岸田 森/小松 方正/遠藤 辰雄/丘 夏子/芦屋 小雁/宇田 あつみ/川崎 あかね/新條 多久美/橋 公子/伊達 岳志/木村 元/早川 雄三/西川 ヒノデ/西川 柊三/寺島 雄作/勝村 淳/上原 寛二/新海 大二郎/和田 かつら/宮本 真?
 谷崎潤一郎さん原作の登場人物のほとんどが悪人か狂人というとんでもない大ピカレスク・ロマン.岸田さんも『怪奇大作戦』第24話『狂鬼人間』以来の狂いっぷりを魅せてくれます.ヒロイン・お銀役の安田道代さんは『太陽にほえろ!』でのスコッチの先輩刑事の未亡人役と,『悪魔のようなあいつ』でのジュリーとの共演でかなり気になっていた女優さんなのですが,今回すさまじい悪女役の演技を観せていただいててすっかり気に入ってしまいました.

12 激動の昭和史 軍閥 ★★★+
1970年 東宝 カラー 133 min
STAFF
監督:黒川 弘通
脚本:笠原 良三
製作:藤本 真澄/針生 宏
音楽:真鍋 理一郎
撮影:山田 一夫
編集:黒岩 義民
CAST
小林 桂樹/加山 雄三/黒沢 年男/三橋 達也/神山 繁/藤田 進/宮口 精二/中村 又五郎/清水 将夫/原 保美/佐々木 孝丸/阿部 徹/細川 俊夫/田島 義文/北 竜二/清水 元/北村 和夫/石山 健二郎/中村 伸郎/志村 喬/中谷 一郎/平田 昭彦/土屋 嘉男/睦 五郎/垂水 悟郎/森 幹太/佐原 健二/船戸 順/伊藤 孝雄/新田 昌玄/高津 住男/波多野 憲/青木 義朗/富田 浩太郎/藤岡 重慶/玉川 伊佐男/天本 英世/堺 佐千夫/久保 明/江原 達治/寺田 農/岸田 森/南風 洋子/田村 奈己/中原 成男/椎原 邦彦/宮川 洋一/佐田 豊/福田 秀実/小沢 弘治/山本 武/藤山 竜一/長浜 藤夫/松下 達夫/落合 義雄/笹川 恵三/松本 染升/野村 清一郎/高島 敏郎/明石 潮/宮本 曠二郎/岡 泰正/長谷川 弘/向井 淳一郎/小山 源喜/戸上 城太郎/広瀬 正一/岩本 弘司/加藤 春哉/鈴木 和夫/大前 亘/当銀 長太郎/田中 浩/荒木 保夫/木村 博人/川崎 桂/小金井 宣夫/鈴木 治夫/緒方 燐作/勝部 義夫/岡部 正/越后 憲/青森 伸/鈴木 勇作/倉田 保昭/野島 昭生/津田 光男/宇野 晃司/伊藤 実/杈藤 幸彦/須田 準之助/生方 壮児/上西 孝次/鹿島 邦義/音羽 久米子/入江 杏子/記平 佳枝/由紀 艶子/矢野 陽子/桐生 かほる/ナレーター:小林 清志/山村 聡/三船 敏郎
 『東宝8.15シリーズ』第4作.戦争映画って難しくて退屈なモノが多いので苦手なのですが,これはわりと飽きずに楽しく観ることができました.史実を忠実に描写しながらしっかり反戦映画となっているのも好感が持てました.岸田さんは,日本人のほとんどが開戦に沸き立つ中,ただ一人懐疑的な意見を主張して上司に起こられる毎日新聞記者で,主役の一人である加山雄三さん扮する同記者に影響を与える重要な役を演じています.同じく記者役の寺田農さんも好演してます.その他の出演者では,軍幹部役で藤田進さん,原保美さん,田島義文さん,平田昭彦さん,土屋嘉男さん,佐原健二さん,勝部義夫さん,岡部正さんといった円谷作品でおなじみの俳優さんたちが大挙出演されていて嬉しかったのです.

13 激動の昭和史 沖縄決戦 ★★★-
1971年 東宝 カラー 149 min
STAFF
監督:岡本 喜八(本編)/中野 昭慶(特撮)
脚本:新藤 兼人
製作:藤本 真澄/針生 宏
音楽:佐藤 勝
撮影:村井 博(本編)/富岡 素敬(特撮)
編集:黒岩 義民
CAS
小林 桂樹/丹波 哲郎/仲代 達矢/酒井 和歌子/大空 真弓/加山 雄三/池部 良/高橋 悦史/川津 祐介/寺田 農/岸田 森/井川 比佐志/田中 邦衛/中谷 一郎/睦 五郎/地井 武男/大丸 二郎/佐々木 勝彦/東野 孝彦/橋本 功/草野 大悟/佐原 健二/船戸 順/大谷 直子/木村 由貴子/南風 洋子/富永 美沙子/玉川 伊佐緒/森 幹太/鈴木 瑞穂/新田 昌玄/藤岡 重慶/滝田 雄介/阿部 希郎/天本 英世/富田 浩太郎/小瀬 格/今福 将雄/青野 平義/浜村 純/北 竜二/三井 弘次/藤原 鎌足/佐々木 孝丸/石山 健二郎/神山 繁/山内 明/東野 英次郎/香川 良介/堺 佐千夫/大木 正司/樋浦 勉/長谷川 弘/永山 一夫/浅若 芳太郎/山本 清/江角 英明/園田 裕久/久野 征四郎/荒木 保夫/山本 廉/平松 慎吾/沖田 駿一/木村 豊幸/当銀 長太郎/阿知波 信介/大前 亘/広瀬 正一/佐田 豊/草川 直也/小川 安三/岩本 弘司/鈴木 和夫/中山 豊/北 九州男/桐原 史雄/亀谷 雅彦/木下 陽夫/藤田 漸/西川 明/木村 博人/田中 浩/小杉 晃司/古川 義範/三上 左京/池田 勝/永島 岳/金子 富士雄/沢登 護/田中 一/小島 新太郎/三上 剛/本多 一也/石川 誠/鈴木 治夫/勝部 義夫/加藤 茂雄/斉藤 宣丈/原田 力/渡辺 隆司/熊川 敏樹/高原 勉/高橋 光則/八木 悟/野島 千照/川瀬 裕之/辻 伊万里/丘 ゆり子/中 真千子/浦山 珠実/鈴木 喜美子/永坂 秀子/小野 松枝/こんどう そや/木浦 スミ江/小沢 けい子/中野 トシ子/佐渡 絹代/鷲尾 愛里/田代 真由美/山添 三千代/山添 久美/ナレーター:小林 清志
 『東宝8.15シリーズ』第5作.岡本監督作品なので期待して観たのですが,前作と比較して,戦闘シーンが多すぎるのと冗長なのでちょっと退屈してしまいました.登場人物のほとんどが戦死もしくは自決してしまうのもいただけないです.前作で揃って毎日新聞記者役だった岸田森さんと加山雄三さんは今回も揃って軍医役でしたが,残念ながらからみは全くありませんでした.

14 いのち・ぼうにふろう ★★★
1971年 東宝 モノクロ 121 min
STAFF
監督:小林 正樹
脚本:隆 巴
原作:山本 周五郎 「深川安楽亭」より
音楽:武満 徹
撮影:岡崎 宏三
美術:水谷 浩
CAST
仲代 達矢/栗原 小巻/酒井 和歌子/中村 翫右衛門/佐藤 慶/神山 繁/山本 圭/中谷 一郎/近藤 洋介/滝田 裕介/岸田 森/山谷 初男/三島 雅夫/植田 峻/草野 大悟/矢野 宣/佐伯 赫哉/関口 銀三/大林 丈史/浅若 芳太郎/剣睦会/勝 新太郎(大映)
 純情な無頼漢たち(!)の生きざま・死にざまを描いた人情もの時代劇(?).7人の無頼漢たちの中では,仲代さん,佐藤さん,そして岸田さんがやはりかっこいいです.クレジット・タイトルは『いのち・ぼうにふろう』ですが, DVD のタイトルは何故か『・』が省略されてます.

15 曼荼羅 ★★★★
1971年 ATG カラー 135 min
STAFF
監督:実相寺 昭雄
脚本:石堂 淑朗
企画:蔦井 欣士郎/淡豊 昭
作曲:冬木 透
演奏:木村 一子
撮影:稲垣 湧三
編集:浦岡 敬一
CAST
清水 紘治/森 秋子/田村 亮/桜井 浩子/岸田 森/草野 大悟/宮川 激夫/若林 美宏/北島 マヤ/花柳 幻舟/小林 昭二/大木 正司/原 保美/左 時枝
 1968~69年,円谷プロのTV番組『怪奇大作戦』で顔を合わせていた実相寺昭雄監督の,ロカルノ国際映画祭グランプリ受賞作『無常』に次ぐATG第2作.以後岸田氏は実相寺作品4作に出演していますが,最も相性の良かった監督だったと思います.ちなみに関係ないとは思いますが,『怪奇』での役名は『牧』さん,この作品では同音の『真木』さんだったので,作中で「真木さん」という台詞が出てきたときに,「おや?」って思いました.また,『怪奇』で共演していた原保美さん,小林昭二さんもチョイ役で出演しています.見どころはラスト近くで岸田氏が見せる『般若の顔』(本人ができると言ってたらしいです),強烈な印象を残します.

16 呪いの館 血を吸う眼 ★★★★
1971年 東宝 カラー 82 min
STAFF
監督:山本 迪夫
脚本:小川 英・武末 勝
製作:田中 文雄
音楽:真鍋 理一郎
撮影:西垣 六郎
美術:青野 重一
CAST
高橋 長英/江美 早苗/藤田 みどり/岸田 森/高品 格/大滝 秀治/松下 達夫/小川 安三/大前 亘/桂木 美加/二見 忠男/立花 房子/川口 節子/鈴木 治夫/記平 佳枝/毛利 幸子/山添 三千代
 1970年の『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』に続いて製作された山本廸男監督の『血を吸う』シリーズ第2作.この作品と次作の『血を吸う薔薇』で,岸田氏は日本映画界における吸血鬼俳優の地位を確立しますが,最初にオファーがあったのは岡田真澄さんだったらしいです.また,監督の山本氏は実相寺昭雄監督,岡本喜八監督とならんで岸田氏にとって相性の良い監督だったといえると思いますが,実はこの人,岡本監督の弟子だったらしいです.さて,作品に関して,前作が吸血鬼の娘とその母(小林夕岐子さんと南風洋子さん)の物語であったのに対して,今回は吸血鬼とその父の物語(岸田森さんと大滝秀治さん)ですが,この流れは吸血鬼の夫婦の物語である次作『血を吸う薔薇』で完結します.ある意味『家族』を描いたこの三部作,全部続けて観るのが正しい観方であると言えると思います.ちなみにヒロインの妹を演じた江美早苗さんは,のちの作詞家・中里綴さんでした.



17 百万人の大合唱 ★★★★
1972年 東宝 カラー 96 min
STAFF
監督:須川 栄三
脚本:高畠 久
原作:秋吉 茂(朝日新聞)
製作:高畠 久/宮澤 利徳
製作総指揮:山崎 辰夫/青木 藤吉
構成:佐伯 乾
音楽:山本 直純
録音:太田 六敏
撮影:高村 倉太郎
編集:井上 治
CAST
若林 豪/酒井 和歌子/峰岸 隆之介/フラワー・メグ/岸田 森/大坂 志郎/三上 真一郎/草野 大悟/高品 格/中田 浩二/高嶋 稔/吉田 拓郎/高木 二朗/小沢 忠臣/石井 くに子/山崎 左度子/猪俣 光世/戸田 春子/川端 真二/猪垣 泰祐/高橋 英三郎/伊藤 敏孝/小島 基行/山寺 勉/市村 博/新井 麗子/水木 京一/柳瀬 志郎/神山 勝/鴨田 喜由/日活演技集団/山本 直純
 連合赤軍によるあさま山荘事件の真最中に東宝系で公開されたため,観客動員が記録的な不入りとなった,昭和30年代に福島県郡山市で起きた実話を映画化した作品.下手すると『文部省推薦』になりそうな内容の映画で,これが実話だったというのがかえって意外な気がしました.冒頭のコンサートシーンでブレイク直前の吉田拓郎さんが出演していますが,この当時『よしだたくろう』だったはずなのに,役名は『吉田たくろう』,クレジットは『吉田拓郎』となってます.岸田さんは主演の若林豪さん演じる教師の同志の青年を,岸田さんの盟友・草野大悟さんは青年たちと対立し妨害を行うヤクザさんを,それぞれ好演しています.

18 子連れ狼 三途の川の乳母車 ★★★
1972年 東宝 カラー 85 min
STAFF
監督:三隈 研次
脚本:小池 一雄
原作:小池 一雄/小島 剛夕
製作:勝 新太郎/松原 久晴
音楽:桜井 英顕
撮影:牧浦 地志
編集:谷口 登司夫
CAST
若山 富三郎(東映)/松尾 嘉代/大木 実/小林 昭二/岸田 森/新田 昌玄/松本 克平/江波多 寛児/富川 晶宏(子役)/鮎川 いづみ/笠原 玲子/池田 幸路/三島 ゆり子(東映)/水原 麻紀/若山 ゆかり/正桐 衣麻/東 三千/平泉 征/水上 保広/山本 一郎/坂口 徹/南条 新太郎/西川 ヒノデ/山岡 鋭二郎/北野 拓也/原 聖四郎/平沢 彰/北川 俊夫/池田 憲司/岩尾 正隆/出水 憲司/伴 勇太郎/藤川 準/森内 一夫/新関 順司郎/下村 義光/三藤 朝枝/高木 峯子/古林 千恵子
 シリーズ第2作.このシリーズ,映画も TV ドラマも大ヒットしていた記憶があるのですが,この頃時代劇にはあまり興味がなかったせいか,これまでちゃんと観たことがなく,今回 DVD で岸田さんが出演している2作のみ購入して,初めて観ることができました.感想としては確かに面白いのですが,それほどヒットする内容とも思えず,やはり時代的なものがあったんだと思います.この作品では,岸田さんは公儀護送人・弁天来の三兄弟の末弟・左来馬を演じていますが,やはり一番かっこよく,ただ出番が少ないのがちょっと残念でした.冒頭,貫禄たっぷりで出てきた松尾嘉代さん演ずるヒロイン・柳生鞘香が次第に迫力を失っていく感じで,キャラクターが十分に描かれきっていないような気がしたのがやはり残念でした.他には,後の『必殺シリーズ』でおなじみとなる鮎川いづみさん,三島ゆり子さんが出演していましたが,あまり目立たない役ですぐに殺られてしまってかわいそうでした.

19 子連れ狼 親の心子の心 ★★★
1972年 東宝 カラー 82 min
STAFF
監督:斉藤 武市
脚本:小池 一雄
原作:小池 一雄/小島 剛夕
製作:若山 富三郎/松原 久晴
音楽:桜井 英顕
撮影:宮川 一夫
編集:谷口 登司夫
CAST
若山 富三郎/林 与一/東 三千/富川 晶宏(子役)/小池 朝雄/田中 浩/遠藤 辰雄/内田 朝雄/岸田 森/関山 耕司/守田 学哉/長谷川 弘/原田 力/小田部 通麿/原 聖四郎/寺島 雄作/堀北 幸夫/沖 時男/秋山 勝俊/伊吹 新吾/江梨 こあら/島田 正六/馬場 勝義/城 義光/若山 ゆかり/宮川 竜二/滝 譲二/松田 利夫/藤本 秀夫/土橋 勇/世羅 豊/山村 聡/ナレーター:小林 昭二
 シリーズ第4作.シリーズ全ての作品を観ていないので,物語の全体像が掴めていないため,冒頭の柳生軍兵衛(林与一さん)との因縁等,わかりにくい部分が結構あることに気が付きました.でも,これから全ての作品の DVD を買い集めて観るほどの気にはなれないのです.前々作と比べて,乳母車マシンガンとかほとんどマンガ(原作は劇画ですが)みたいな表現満載のアクション映画となっており,これは製作が勝新太郎さんから若山さん本人に替わって,やりたい放題のことやっているような印象です.岸田さんも今回は妖術使いの武芸者・狐塚円記というおかしな役柄で,個性的ではありますがあっけなく殺られてしまうという,ちょっと役不足の感がいたしました,

20 ★★★
1972年 ATG モノクロ 120 min
STAFF
監督:実相寺 昭雄
脚本:石堂 淑朗
製作:東條 あきら
企画:蔦井 欣士郎
音楽設計:冬木 透
撮影:中堀 正夫
編集:浦岡 敬一
CAST
篠田 三郎/八並 映子/田村 亮/桜井 浩子/岸田 森/東野 孝彦/岡村 雅彦/荒木 雅子/宮 浩之/高木 秀代/原 保美/内田 良平/嵐 寛寿郎/毛利 菊枝
 『無常』,『曼荼羅』に続く,実相寺昭雄監督ATG第3作.岸田氏が演じるのは弁護士で世間体を気にする常識人でありながら,性的に淡白な長男.暴力的で放蕩三昧の自由人である次男と,旧家の伝統を守ろうとする堅物でありながら,長兄の妻に誘惑されてしまう三男,三者三様のき〇が〇ぶりを発揮する中,誰が一番狂っているのでしょうか? という映画.物語のキーパーソンとなるのが,書生と女中(!)というところが古き日本らしくていいです.

21 高校生無頼控 ★★★★★
1972年 東宝 カラー 86 min
STAFF
監督:江崎 実生
脚本:佐々木 守/足立 正生
原作:小池 一雄/芳谷 圭児 (週刊漫画アクション・連載)
製作:川野 泰彦
企画:寺山 修二/中山 千夏/赤塚 不二夫/鈴木 明/藤岡 豊
音楽:佐藤 允彦
撮影:山田 一夫
CAST
沖 雅也/夏 純子/八並 映子/中川 加奈/沢 知美/進 千賀子/川村 真樹/木村 由貴子/集 三枝子/長谷川 照子/南 利明/岸田 森/杉山 俊夫/レナッタ・ヘラルド/岡崎 二朗/丘 寵児/久野 聖四郎/杉江 広太郎/柳瀬 志郎/海野 かつを/うえず みのる/高橋 ひとみ/赤塚 真人/大川 真一郎./木島 一郎/榎本 兵衛/矢藤 昌宏/玉川 長太/溝口 拳/川野 耕司/畠山 麦/大橋 二郎/江戸家 小猫/神 有介/小池 正史/一ノ瀬 謙/佐藤 明彦/大塚 崇/多田 藤憲/秋元 京子/池上 臣功/三上 剛/脇平 政一/宍戸 錠
技斗:足立 伶二郎
 不遇の日活時代から TV に活動の場を移し,『クラスメート―高校生ブルース』,『さぼてんとマシュマロ』等への出演でアイドルとしてブレイクした沖雅也さんが,早くも『アイドル脱却』を目指して主演した東宝映画作品で,当時はファンの間でかなり不評だったと記憶していますが,彼のフィルモグラフィの中で唯一の主演作としてそれなりに評価されていい作品だと思います.岸田さんは沖さん扮する主人公の兄役でラスト・シーンのみに出演しており,これが『必殺仕置屋稼業』,『俺たちは天使だ!』等,後に多くの TV ドラマで共演することになるお二人の多分初の共演作だと思うのですが,個人的にこのお二人にはすごく相性の良さを感じていて,岸田さんが亡くなった日のちょうど半年後に沖さんが自ら生命を絶ったことに,すご~く因縁めいたものを感じているのは私だけかしら?

22 にっぽん三銃士 おさらば東京の巻 ★★★
1972年 東宝 カラー 85 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:岡本 喜八/長野 洋
原作:五木 寛之
製作:山田 順彦
音楽:佐藤 勝
撮影:村井 博
編集:黒岩 義民
CAST
小林 桂樹/ミッキー 安川/岡田 雄介/加賀 まりこ/藤岡 麻里(新人)/稲野 和子/和田 恵利子/岩崎 智江/常田 富士夫/草野 大悟/冨川 激夫/岸田 森/田中 浩/二瓶 正也/草川 直也/丘 ゆり子/樋浦 勉/富田 仲次郎/木村 豊幸/木下 陽夫/沢登 護/武田 広美/斉藤 有古/三角 奈緒子/木村 博人/古川 義範
 『激動の昭和史 沖縄決戦』から1年後,岡本監督の新作だったわけですが,主演・小林桂樹さん,共演・岸田森さんという面子で,シリアスな戦争ものの前作から180°転換した冗談喜劇をさらって作っているところが,この監督さんらしく,ヘンに感心させられてしまいました.続編の『博多帯しめ一本の巻』と同じスタッフで,同時進行で製作・撮影されたらしいです.岸田さんはこの前編で,岡田雄介さん扮する一流会社のサラリーマンの上司役で,『キ〇タ〇,〇ン〇マ』と放送禁止用語を連呼して登場,クライマックスのフォーク集会のシーンでは殴られたギターを突き破って頭を出す情けない役柄を見事にみじめに演じていますが,この作品では盟友の草野大悟さんが婚約者の浮気相手の三毛猫中年をひょうきんに演じている他,同じ『六月劇場』所属で共演作の多かった冨川激夫さんがフォーク集会のリーダー役で印象的な演技を観せてくれております.

23 御用牙 かみそり半蔵地獄責め ★★★
1972年 東宝 カラー 89 min
STAFF
監督:増村 保造
脚本:増村 保造
原作:小池 一夫/神田 たけ志
製作:勝 新太郎/西岡 弘善
音楽:冨田 勲
撮影:宮川 一夫
編集:谷口 登司夫
CAST
勝 新太郎/黒沢 年男/西村 晃/佐藤 慶/稲野 和子/小松 方正/相川 圭子/宗田 政美/草野 大悟/蟹江 敬三/岸田 森/稲葉 義男/高木 均/大森 義夫/山本 一郎/勝村 淳/北野 拓也/近江 輝子/小柳 圭子/日高 久/真木 祥次郎/北見 唯一/暁 新太郎/花岡 秀樹/藤川 準/速見 かおり/宮下 有三/神田 絋司/水穂 亜紀/榊 陽子/塩瀬 夕子/空井 みずほ/熊沢 節子
 劇画原作のシリーズ3分作の第2弾.原作は読んでないのですが,この時代こんな下世話な劇画流行っていた記憶があります.岸田さんはこの第2作のみの出演で,小松方正さん扮する悪奉行・大久保山城守の側近・本多麟太郎を演じていますが,冒頭部分のみの出演で後は出てこないので,仲の良かった勝プロ作品の特別出演的な客演だったと思われます.

24 化石の森 ★★★★
1973年 東宝 カラー 117 min
STAFF
監督:篠田 正浩
脚本:山田 信夫
原作:石原 慎太郎
製作;貝山知弘
音楽:武満 徹
撮影:岡崎 宏三
編集:山地早智子
CAST
萩原 健一/二宮 さよ子/八木 昌子/田中 明夫/岸田 森/浜田 寅彦/龍岡 晋/日下 武史/水島 弘/堀内 正美/亀田 秀紀/阪上 和子/桂木 美加/川口 節子/佐々木 槙子/山本 聡/前原 久影/木下 陽夫/勝部 義夫/細井 利雄/石矢 博/岩下 志麻(特別出演)/杉村 春子
 石原慎太郎原作・ショーケン主演の一種のピカレスク・ロマンともいえる作風の映画で,『太陽にほえろ!』出演後の作品ですが,どちらかというと主人公の生き方よりも彼を取り巻く女たちの『女の怖さ・母の強さ』の方に強烈な印象を与えられました.ところで,岸田森さんが新興宗教の僧侶(?)に扮して主人公と観念論的な会話を交わすシーンがありますが,岸田さんが『あさき夢みし』のために剃髪して,その姿を『傷だらけの天使』や『探偵物語』等の TV ドラマでも披露したのが1974年以降といわれていますので,時期的に疑問を感じます.また,劇中に出てくる『モーテル王城』,この頃東名高速御殿場インター近くにあったホテルだと思うのですが,この時代,『ラブホテル』じゃなくて『モーテル』が一般的な通称でした.



25 あさき夢みし ★★★
1974年 ATG カラー 120 min
STAFF
監督:実相寺 昭雄
脚本:大岡 信
プロデューサー:東條 あきら/岡田 敏宏
企画:蔦井 欣士郎
音楽:広瀬 量平
撮影:中堀 正夫
編集:浦岡 敬一
美術:池谷 仙克
CAST
ジャネット八田/花ノ木 寿/寺田 農/岸田 森/丹阿弥 谷津子/三条 泰子/殿岡 ハツエ/原 知佐子/渡辺 文雄/東野 孝彦/天田 俊明/小松 方正/篠田 三郎/小川 順子
 正直言って,難しくて解りづらくて退屈な映画でした.しかしながら,この映画で高僧・阿闍梨を演じた岸田氏は役作りのため頭を剃髪しており,『傷だらけの天使』や『探偵物語』といったTVドラマでその姿を披露して名場面を作り出したということで有名な作品ではあります.

26 青葉繁れる ★★★
1974年 東宝 カラー 82 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:小林 俊一/岡本 喜八
原作:井上 ひさし
製作:田中 収
製作補:針生 宏
音楽:佐藤 勝
撮影:木村 大作
編集:黒岩 義民
CAST
草刈 正雄/丹波 義隆/秋吉 久美子/伊藤 敏孝/粕谷 正治/名古屋 章/草野 大悟/辻 伊万里/岸田 森/鶴間 エリ/笠井 香里/芳賀 まり子/丘 ゆり子/岩崎 智江/中島 公子/千波 恵美子/佐藤 典子/栗原 育代/林 裕子/藤原 美智子/島 もとき/藤田 漸/十朱 幸代/ハナ 肇
 井上ひさしさん原作の仙台を舞台にした青春映画.岡本監督は「撮ること自体が青春だ」と入れ込んでいたみたいですが,ストーリーを構成する各エピソードがバラバラで脈絡がなく,結局何を言いたいんだかよくわからない作品になってしまっているような気がしました.また,使用されている方言も標準語へのアレンジがあまり成功していないため,聞き取りにくかったり意味がわからなかったりした部分が結構ありました.あとやはり草刈正雄さんはじめキャストの面々が高校生を演じるのには少し無理がありそうな感じでした.でも,沖雅也さん・森田健作さん他のキャストによる TV ドラマ版の方も観てみたいような気もします.岸田森さんは,教育委員という珍しくお偉いさんの役で,1シーンのみの出演でした.

27 ゴジラ対メカゴジラ ★★★★
1974年 東宝 カラー 84 min
STAFF
監督:福田 純
脚本:山浦 弘靖/福田 純
原作:関沢 新一/福島 正実
製作:田中 友幸
音楽:佐藤 勝
撮影:逢沢 譲
編集:池田 美千子
特技監督:中野 昭慶
特撮:富岡 素敬/山本 武
CAST
大門 正明/青山 一也/田島 令子/ベルベラ・リーン/松下 ひろみ/平田 昭彦/小泉 博/睦 五朗/岸田 森/佐原 健二/草野 大悟/鳥居 功靖/小川 安三/今福 正雄/渡邉 高光/遠矢 孝信/鹿島 信哉/柳沢 優一/北川 陽一郎/図師 勲(ゴジラ)/森 一成(メカゴジラ)/久須美 護(キングシーサー・アンギラス)
 『ゴジラシリーズ』第14作目にして,ゴジラ生誕20周年記念作品. TV シリーズ『怪奇大作戦』,『帰ってきたウルトラマン』にレギュラー出演,『ウルトラマンA』ではナレーションを勤め,「僕は円谷育ち」と公言していた岸田氏ですが,劇場用怪獣映画はこれが唯一の出演作だったみたいです.岸田さんは怪しげなフリーのルポライター実は…,というおいしい役柄で博士役の平田昭彦さんと共に主演の大門正明さんを食ってしまう大活躍をしています.作品そのものは,単なる設計技師である主人公がピストルを携行していたり,沖縄の怪獣キングシーサーを覚醒させる歌が標準語だったりとつっこみどころ満載ですが,岸田さん,平田さんをはじめ,佐原健二さん,小泉博さん,睦五朗さん,草野大悟さんといった特撮作品常連の俳優さんが多数出演しており,シリーズの『原点回帰』を狙った秀作だったと思います.

28 修羅雪姫 怨み恋歌 ★★★★★
1974年 東宝 カラー 89 min
STAFF
監督:藤田 敏八
脚本:長田 紀生/大原 清秀
原作:小池 一雄/上村 一夫
製作:奥田 喜久丸
音楽:広瀬 健次郎
撮影:鈴木 達夫
編集:井上 治
CAST
梶 芽衣子/原田 芳雄/吉行 和子/岸田 森/南原 宏治/山本 麟一/阿部 徹/溝口 舜亮/浜田 晃/広瀬 昌助/石矢 博/広瀬 正一/ナレーター・鈴木 瑞穂/伊丹 十三
 『週刊プレイボーイ』に連載されていた小池一雄・上村一夫原作劇画の映画化シリーズ第2弾.原作が劇画ということであまり期待しないで観たのですが,よくできた脚本に豪華なキャストと見事な演出が花を添えている作品だと思います.岸田さんは『ゴジラ対メカゴジラ』では実は国際警察捜査官というおいしい役柄でしたが,今回は特別警察長官という,多分この人の最高最強の悪役キャラを見事に演じています.また,その部下で唖者の怪人役を南原宏治さんが凄みのある演技で強烈な印象を残しています.

29 血を吸う薔薇 ★★★★★
1974年 東宝 カラー 83 min
STAFF
監督:山本 迪夫
脚本:小川 英・武末 勝
製作:田中 文雄
音楽:真鍋 理一郎
撮影:原 一民
美術:薩谷 和夫
CAST
黒沢 俊男/田中 邦衛/佐々木 勝彦/岸田 森/望月 真理子/太田 美緒/桂木 美加/荒牧 啓子/麻里 とも恵/片山 滉/鈴木 治夫/二見 忠男/小栗 一也/伊藤 雄之助
 山本廸男監督の『血を吸う』シリーズ第3作にして,最終作.第1作で母と娘,第2作で父と子,そしてこの第3作で妻と夫を描いていたこのシリーズ,ある意味家族,ひいては血の繋がりについてを吸血鬼伝説という視点から掘り下げた作品だったとも言えます.したがって全3作を順番に観ていくのが正しい観方だと思うのです.また,岸田氏に関してはこの3作目が一番出番も多くカッコいいのですが,この時期坊主頭だったはずなので,あれカツラです.学園で最初の犠牲者となる生徒を演じる麻里とも恵さんは,のちの阿川泰子さんでした.

30 黒薔薇昇天 ★★★★
1975年 日活 カラー 73 min
STAFF
監督:神代 辰巳
脚本:神代 辰巳
原作:藤本 義一
プロデューサー:三浦 朗
撮影:姫田 真左久
CAST
谷 ナオミ/岸田 森/芹 明香/山谷 初男/高橋 明/東 てる美/谷本 一/庄司 三郎/森 みどり/牧 嗣人
 ついに日活ロマンポルノにまで出演してしまいました.トップ・クレジットは谷ナオミさんですが,ストーリーの主役を演じているのはまぎれもなく岸田さんです.クールな岸田氏のホットな演技が印象的な作品ですが,素顔の岸田氏は寂しがり屋でおしゃべりで女好きだったそうなので,もしかしたらこの作品のキャラクターが最も地で演じているのかもしれません.

31 歌麿 夢と知りせば ★★★★★
1977年 日本ヘラルド カラー 140 min
STAFF
監督:実相寺 昭雄
脚本:実相寺 昭雄/武本 勝
製作:蔦井 欣士郎
製作総指揮:古川 勝巳
音楽:広瀬 量平
撮影:中堀 正夫
編集:浦岡 敬一
CAST
岸田 森/山城 新伍/成田 三樹夫/岡田 英次/内田 良平/中丸 忠雄/玉川 伊佐男/小林 昭二/尾藤 イサオ/堀内 正美/寺田 農/菅 貫太郎/樋浦 勉/富川 激夫/村松 克己/小沢 幹雄/蔵 一彦/河原 裕昌/内田 勝正/上條 慎五/仲谷 昇/田村 亮/東野 英心/岸田 今日子/嵯峨 三智子/長嶺 ヤス子/中川 梨絵/八並 映子/太田 美緒/渡辺 とく子/永野 裕紀子/鹿沼 えり/夏樹 レナ/桜井 浩子/緑 魔子/三田 和代/平 幹二朗
 個人的には,私の最も好きな監督が,最も好きな男優・女優をメインキャストに起用して撮った最高の日本映画です.それはともかく,岸田 森さん,小林さん,寺田さん,田村さん,東野さん,八並さん,桜井さんといったいわゆる『実相寺組』に,山城さん,成田さん,岡田さん,内田さん,仲谷さん,岸田 今日子さん,嵯峨さん,三田さん,緑さん,平さんといった当時の日本映画のオールスター・キャストによる贅沢なこの作品,それぞれの男優・女優の熱演と実相寺監督自身による脚本によって,かなり見ごたえのある作品となっています.

32 姿三四郎 ★★★
1977年 東宝 カラー 143 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:巴 隆/岡本 喜八
製作:貝山 知弘
企画協力:木村 大作
音楽:佐藤 勝
撮影:木村 大作
編集:黒岩 義民
CAST
三浦 友和/秋吉 久美子/仲代 達矢/中村 敦夫/田中 邦衛/草笛 光子/浅野 ゆう子/岸田 今日子/中谷 一郎/矢吹 二朗/宮内 洋/神崎 愛/岸田 森/山本 麟一/田崎 潤/丹波 哲郎/芦田 伸介/伊藤 敏孝/福崎 和宏/香川 良介/常田 富士夫/砂塚 英夫/草野 大悟/藤岡 麻里/佐久間 宏則/大木 正司/長谷川 弘/村松 克己/森田川利一/川本 高大/隆 大介/小川 真司/明石 潮/斉藤 英雄/伊吹 新太郎/伊吹 徹/川口 節子/伊奈 貫太/中山 剣吾/岡元 裕次/ダン・ケニー/鈴木 朗/水野 悟郎/中山 宏通/大島 大/原田 君事/若山 富三郎/森繁 久彌/岡本 喜八(ノン・クレジット)
 原作は富田常雄さんの長編で,黒澤明監督の初監督作をはじめ,幾度となく映画化されている作品ですが,エンタテインメント作品をお得意とする岡本喜八監督らしく,2時間半の長尺を感じさせない面白い仕上がりになっています.折口大助役の岸田さんはなかなか出演場面がなく,ラスト近くになって物々しく登場してきたのでラスボス的なキャラなのかと思いきや,三四郎に簡単にやられてしまう残念な役柄でした.それよりも手の付けられない狂人のようなキャラでありながら,ラストで三四郎の作ったおかゆを食べていた宮内洋さん演ずる檜垣源三郎のかわいらしさが印象に残りました.この作品に関しても,勝野洋さんと沖雅也さん,露口茂さん等が出演している TV ドラマ・ヴァージョンを観てみたいと思っているのですが,まだ DVD 化されていないようで残念です.



33 ダイナマイトどんどん ★★★★
1978年 大映/東映 カラー 133 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:井手 雅人/古田 求
製作:後藤 浩滋/武田 敦
製作総指揮:徳間 康快
音楽:佐藤 勝
撮影:村井 博
編集:阿良木 佳弘
CAST
菅原 文太/北大路 欣也/宮下 順子/田中 邦衛/小島 秀哉/中谷 一郎/桜町 弘子/伊佐山 ひろ子/石橋 正次/ケーシー 高峰/志賀 勝/岸田 森/二瓶 正也/長谷川 弘/草野 大悟/誠 直也/大木 正司/岡田 実/大前 均/露崎 元彌/丹古母 鬼馬二/福崎 和宏/吉中 正一/下馬 二五七/鳥巣 哲生/兼松 隆/前田 敬/赤穂 善計/尼子 狂児/妹尾 琢磨/鴨 てんし/伊吹 新太郎/奈辺 悟/幸 英二/津野 途夫/桐島 好夫/菊地 太/司 裕介/岡本 麗/小林 真美/立枝 歩/ジャック・デービス/森下 京子/福井 友信/川平 京子/馬淵 正子/福田 さゆり/折口 亜矢/劇団ひまわり/劇団空間演技/金子 信雄/藤岡 琢也/嵐 寛寿郎/フランキー 堺
 日本ではスポーツ映画は当たらないというジンクスに岡本監督が挑んだ,『任侠映画の大パロディ映画』.シナリオ第一稿を読んだ菅原さんがかなり入れ込んでいた作品らしいです.確かにプロット・ストーリーは面白いのですが,2時間を超える長尺はちょっと冗長な感じで,特に映画後半の最終戦はもう少し短くまとめられていたらよかったのではないかと思いました.主要キャストが岡本ファミリーと東映任侠映画の俳優さんたちから多数起用されていますが,中でもピンクのスーツが異常に似合っている岸田森さんがストーリー上かなり重要な役柄を熱演しており,強烈な印象を残しています.他にも,二瓶正也さん,草野大悟さん,丹古母鬼馬二さんといった,お気に入りの俳優さんがしっかり脇を固めているのです.

34 ブルークリスマス
Blood Type : Blue
★★★★★
1978年 東宝 カラー 133 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:倉本 聰
製作:嶋田 親一/垣内 健二/森岡 道夫
音楽:佐藤 勝
主題歌:Char
撮影:大村 大作
編集:黒岩 義民
CAST
勝野 洋/竹下 景子/岡田 英次/八千草 薫/沖 雅也/岡田 祐介/高橋 悦史/新井 春美/大谷 直子/田中 邦衛/中谷 一郎/大滝 秀治/中条 静夫/神山 繁/岸田 森/稲葉 義男/松本 克平/今福 正雄/永井 智雄/潮 哲也/天本 英世/村松 克巳/大木 正司/杉田 康/草野 大悟/伊藤 敏孝/小鹿 番/堺 佐千夫/北浦 昭義/福崎 和宏/松田 洋治/三井 恒/武内 亨/山本 清/小美野 欣二/遠藤 剛/小林 尚臣/小川 真司/芦田 伸介/島田 正吾/小沢 栄太郎/仲代 達矢
 『スター・ウォーズ』のヒットを意識して作られた作品ですが,円谷プロの特撮映画で知られる東宝が『特撮を一切使わない SF 映画』を標榜して製作した意欲作として知られる作品です.結論から言ってしまえば,でらちゃんとしてはどんな SFX を使った一連のどんな作品よりも優れた SF 映画だと思ってます.新型コロナウィルスが蔓延している2020年3月10日にこの DVD を観たのですが,それだけにこの作品の恐ろしさ,岡本喜八監督の近未来予見の鋭さを感じさせていただきました.岸田さんは1シーンのみの出演ですが,明らかに体制側と思われる天本英世さん扮する代議士の側近を怪しく演じており,病院長役の神山繁さんとのからみが観られます.

35 蘇える金狼 ★★★★
1979年 東映 カラー 133 min
STAFF
監督:村川 透
脚本:永原 秀一
原作:大藪 春彦
プロデューサー:黒澤 満/柴垣 達郎/伊藤 亮爾
製作総指揮:角川 春樹
音楽:ケーシー・ランキン
主題歌:前野 曜子 『蘇える金狼のテーマ』
撮影:仙元 誠三
編集:鈴木 晄
CAST
松田 優作/風吹 ジュン/成田 三樹夫/小池 朝雄/草薙 幸二郎/岸田 森/佐藤 慶/結城 しのぶ/真行寺 君枝/岩城 滉一/加藤 大樹/加藤 健一/江角 英明/阿藤 海/椎谷 建治/吉岡 ひとみ/村松 克巳/高橋 明/トビ― 門口/河合 絃司/山西 道広/尾上 一久/関川 慎二/飯田 広幾/司 千四郎/団 巌/榎木 兵衛/達 純一/鹿島 研/長井 勝/和田 敏夫/城野 勝己/君塚 正純/高橋 利道/井上 高志/大竹 義夫/荻原 紀/二家本 辰巳/浅沢 洋三/エミリー 岡田/中島 ゆたか/角川 春樹/村川 透/猪狩 元秀/田畑 靖男/南原 宏治/待田 京介/久米 明/今井 健二/安倍 徹/千葉 真一
 『時代は何故か大藪春彦』のキャッチコピーで有名な松田優作さん主演のピカレスク・ロマンの傑作.何度か観ているのですが,主演の松田さん以上に風吹ジュンさんと岸田森さんの方が印象に残っています.特に,岸田さん扮する白いスーツにマントと仕込み杖という姿で「ギャラ,高価いよ」,「恨み,深いよ」と片言の台詞を発する興信所長のキャラは強烈で,主人公に倒されるシーンで無理やりセットを叩き壊している演技も凄まじかったと思います.

36 金田一耕助の冒険 ★★★
1979年 東映 カラー 113 min
STAFF
監督:大林 宜彦
脚本:齋藤 耕一/中野 顕彰
原作:横溝 正史
製作:角川 春樹
音楽:小林 克己
撮影:木村 大作
編集:井上 親弥
CAST
古谷 一行/田中 邦衛/仲谷 昇/山本 麟一/吉田 日出子/坂上 二郎/東 千代之介/樹木 希林/熊谷 美由紀/江木 俊夫/阿部 健太/木下 隆康/大塚 治美/宇佐美 恵子/原田 潤/小島 三児/草野 大悟/小野 ヤスシ/佐藤 蛾次郎/南洲 太郎/重松 収/小川 亜沙美/赤座 美代子/伊豆 肇/梅津 栄/だるま 二郎/金子 盛勇/磯野 好司/高橋 良平/大泉 混/大林 宜彦/車 だん吉/三輪 里香/千 うらら/武知 杜代子/川口 裕子/新山 真弓/明日香 和泉/宮子 昌代/石井 めぐみ/南 たかし/山中 光/南林 洋一/田山 力哉/宮崎 尚志/大林 千茱萸/薩谷 和夫/前川 鴻/池田 伝一/大内 勇吉/広瀬 正一/姫田 真佐久/木村 大作/大久保 賢一/中岡 京平/中村 明/宇田川 幸洋/吉中 六/兼松 隆/壇 喧太/龍 駿介/マザーグース合唱団/劇団若草/劇団ひまわり/劇団日本児童
【友情出演】
志穂美 悦子/斉藤 とも子/笹沢 佐保/横溝 正史/高木 彬光/角川 春樹/峰岸 徹/岸田 森/壇 ふみ
【特別出演】
岡田 茉莉子/夏木 勲/三橋 達也/三船 敏郎
 大林監督によるパロディ満載の金田一耕助シリーズ娯楽編で,ストーリーそのものはムチャクチャでよくわからんのですが,それなりに楽しめる作品です.この年この作品と前後して『蘇える金狼』,『戦国自衛隊』,『白昼の死角』と角川映画への出演が多かった岸田さんは友情出演で参加,冒頭部分の『街のドラキュラ』役でセルフ・パロディを演じています.

37 乱れからくり ★★★
1979年 東宝 カラー 92min
STAFF
監督:児玉 進
脚本:永原 秀一
原作:泡坂 妻夫
製作;田中 文雄
音楽:大野 雄二
撮影:上田 正治
編集:池田 美千子
美術:樋口 幸男
CAST
松田 優作/篠 ひろ子/沖 雅也(特別出演)/峰岸 徹/結城 しのぶ/岸田 森/北見 治一/山西 道広/津路 清子/神山 勝/丸山 秀典/和田 瑞穂/西村 和夫/東條 きよし/前田 哲郎/結城 なほ子/松下 容子/藤田 康之/田中 邦衛/野際 陽子
 ストーリーに関してはミステリーなので詳しくは書けませんが,フーダニットの構築に無理があるような感じがします.意外な犯人が明らかになった時点で犯人と思われた人物の行動に説明がつかなくなってしまうので,あまり評価できません.岸田さんに関しては,この方,老け役の多い俳優さんですが今回はその極めつけで,撮影当時40歳の岸田さんがねじ屋敷の二代目当主で3人目の犠牲者となる老人・馬割鉄馬役を見事に演じ切っています.冒頭の主人公が食事をする焼き鳥屋の主人役で原作者の泡坂妻夫さんがカメオ出演しています.

38 戦国自衛隊 ★★★★
1979年 東宝 カラー 139 min
STAFF
監督:斎藤 光正
脚本:鎌田 敏夫
原作:半村 良
製作:角川 春樹
音楽:羽田 健太郎
撮影:伊佐山 巌
編集:井上 親弥
CAST
千葉 真一/中 康次/江藤 潤/速水 亮/にしきの あきら/三浦 洋一/かまやつ ひろし/倉石 功/高橋 研/渡瀬 恒彦/河原崎 健三/角野 卓造/鈴木 ヒロミツ/竜 雷太/三上 真一郎/辻 萬長/伊藤 敏孝/加納 正/清水 昭博/古今亭 志ん駒/佐藤 仁哉/小野 みゆき/岡田 奈々/絵沢 萌子/大前 均/工藤 堅太郎/片岡 五郎/内田 勝正/岸田 森/石橋 雅史/中田 博久/角川 春樹/鈴木 瑞穂/成田 三樹夫/仲谷 昇/小池 朝雄/田中 浩/真田 広之/飯塚 浩司/谷口 香/大塚 麻衣子/奈三 恭子/高見 あさ/今生 きよみ/夏山 美樹/長沢 真紀/末宗 俊子/久保田 薫/花園 友子/佐藤 蛾次郎/滝 純一/永井 雅春/トビー 門口/杉江 廣太郎/加賀 麟太郎/中山 剣吾/鈴木 登四男/橘 英二/江幡 高志/八木 隆/大辻 慎吾/沢 美鶴/新海 丈夫/きくち 英一/辰馬 伸/本間 文子/中 庸助/晴海 勇三/高橋 利道/栗原 敏/井上 清和/竹下 誠治/横山 稔/沢田 祥二/崎津 均/稲田 龍雄/黒崎 誠輝/関根 直秀/藤川 聡/伊藤 勝昭/長谷部 亮/松田 浩二/江藤 豊悟/徳島 進/坂本 三男/斉藤 四郎/一杉 永介/五十嵐 公二/沖山 純生/勝野 洋/宇崎 竜童/薬師丸 ひろ子/草刈 正雄/夏木 勲
 「歴史は俺たちになにをさせようとしているのか?」のキャッチコピーが記憶に残っている角川映画最盛期の作品ですが,やはり見逃していて最近 DVD で観ることができました.内容的にはアクション監督を兼任している千葉真一さんのほとんど独り舞台みたいな映画で,特にヘリコプターからぶら下がるスタント・シーンは流石にこの時期のこの人ならではのものだったと思います.岸田森さんに関しては映画の割と早い部分に見せ場があるのですが,簡単に殺されてしまって残念でした.『荒野の七人』や『七人の侍』のパロディかオマージュか,こういう状況の中では環境に順応してしまうことが,結局は生き延びる唯一の方法であることを示していたのが最も自衛隊員らしからぬ風体のムッシューかまやつひろしさんで,実は一番印象に残ります.

39 白昼の死角 ★★★★★
1979年 東映 カラー 133 min
STAFF
監督:村川 透
脚本:神波 史男
製作:角川 春樹
音楽:宇崎 竜童
撮影:仙元 誠三
編集:祖田 冨美夫
CAST
夏木 勲/島田 陽子/丘 みつ子/エドワード・J・オルモス/中尾 彬/竜崎 勝/岸田 森/夏樹 陽子/田口 久美/沢 たまき/鈴木 ヒロミツ/志賀 勝/佐藤 蛾次郎/ガッツ 石松/柴田 恭兵/草野 大悟/角川 春樹/西田 敏行(友情出演)/高木 彬光/鬼頭 史郎/内田 朝雄/田崎 潤/福田 豊士/草薙 幸二郎/田口 計/福地 泡介/中田 博久/阿藤 海/宮口 二郎/片桐 竜次/大前 均/河合 絃司/相馬 剛三/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド(宇崎 竜童/千野 秀一/新井 武/和田 静男/坂庭 泰三)/ロバート・マッカーター/ドナルド・ノード/ジャクリーヌ・マッカータ―/橋爪 真知子/遠藤 薫/和田 瑞穂/佐藤 晟也/土山 登士幸/山田 光一/亀山 達也/高月 忠/清水 照夫/佐川 二郎/木村 修/きくち 英一/山浦 栄/沢田 浩二/伊藤 慶子/仲塚 康介/山本 緑/幸 英二/城 春樹/泉 福之助/山西 道広/畑中 猛重/原田 君事/清水 圭一郎/広 京子/鈴木 弘道/岡 麻美/栗原 敏/八百原 寿子/大島 博樹/結城 なほ子/村添 豊徳/白川 絹子/野生軍団(達 純一/城野 勝己/鹿島 研/和田 敏夫/江藤 康夫/高橋 利通/君塚 正純/亀淵 信昭/川内 通康)/嵐 寛寿郎/成田 三樹夫/藤巻 潤/内田 良平/佐藤 慶/室田 日出男/藤岡 琢也/長門 勇/伊吹 吾郎/天知 茂(特別出演)/千葉 真一/丹波 哲郎(特別出演)
 『狼は生きろ.豚は死ね.』のキャッチ・コピーが印象的だった角川映画の多分最高傑作.岸田さんは映画の冒頭部分で焼身自殺して姿を消してしまいますが,中年男性4人による東大生グループや,他の映画とは全く違った役柄を演じている俳優さんが多いことなど,意表を突いたキャスティングが効果的だったと思います.特に詐欺の被害者側,利用される側にその傾向は顕著で,佐藤慶さん,成田三樹夫さん,中田博久さん,藤巻潤さん,草野大悟さん等の演技が印象に残っています.また,島田陽子さん,丘みつ子さん,夏樹陽子さん,田口久美さん,沢たまきさんの女優陣もそれぞれの役柄を好演し魅力を発揮してました.そして何よりも,この手のピカレスク・ロマンでは主人公が破滅し死を迎えるのがお約束なのですが,何とこの作品では見事に予想を裏切られキャッチ・コピーが生かされています.

40 スーパーGUNレディ ワニ分署 ★★★
1979年 にっかつ カラー 96min
STAFF
監督:曽根 中生
脚本:荒井 晴彦/高田 純/曽根 中生
原作:篠原 とおる(週刊プレイボーイ)
企画;奥村 幸士
プロデュース:三浦 朗
音楽:松本 健
撮影:水野尾 信正
編集:山田 真司
ガン・アドバイザー:トビー 門口
カー・スタント:三石 千尋
CAST
横山 エミー/ジャンボ かおる/岸田 森/山谷 初男/深水 龍作/今井 健二/益富 信孝/安岡 力也/古尾谷 雅人/風間 健/河村 弘二/入江 正徳/坂田 金太郎/壇 喧太/高瀬 将嗣/遠藤 征慈/深見 博/川島 めぐ/織田 俊彦/中平 哲仟/森 みどり/玉井 謙介/八代 康二/大平 忠行/影山 英俊/熊沢 一美/佐藤 了一/小宮山 玉樹/庄司 三郎/緑川 セツ/飯田 虹子/あららぎ 裕子/世良 真弓/佐藤 弥生/宮崎 チカ子/千羽 晶子/秋田 真貴/内田 裕也(友情出演)/佐藤 慶
技斗:高瀬将敏
 この頃『週刊プレイボーイ』に連載されていて,何度か読んだことのあったコミック『ワニ分署』の映画化作品.コミックの実写化というのは,原作のイメージが損なわれるため非常に難しいと思うのですが,この作品もご多分に漏れず,あまりいい出来とは思えませんでした.3人がかりの脚本がまとまりがなくストーリーの展開が解りづらいのと,主演のお二人の演技力不足がそれぞれのせっかくの魅力的なキャラクターを生かしきれていないのが残念でした.但し,脇を固める岸田さんをはじめ,山谷さん,今井さん,佐藤さんの好演,クライマックス・シーンにおける古尾谷さんと内田さんの怪演によって救われていた感じでした.



41 近頃なぜかチャールストン ★★★★★
1981年 ATG モノクロ 110 min
STAFF
監督:岡本 喜八
脚本:岡本 喜八/利重 剛
製作:岡本 喜八/佐々木 史朗
企画:多賀 祥介
音楽:佐藤 勝
撮影:加藤 雄大
編集:阿良木 佳弘
美術:小方 一男
録音:内田 誠
照明:二見 弘行
CAST
利重 剛/古館 ゆき/財津 一郎/本田 博太郎/岸田 森/寺田 農/殿山 泰司/今福 将雄/堺 佐千夫/千石 規子/小畠 絹子/中村 たつ/伊佐山 ひろ子/平田 昭彦/滝田 裕介/藤木 悠/田中 邦衛/小沢 栄太郎
 岸田氏にとっては,実相寺昭雄監督とならんで出演作の多いのが岡本喜八監督作品で,どちらかというと芸術肌の実相寺監督に対して,娯楽性の岡本監督といった感じですが,その岡本監督作品の中でも多分最高に面白い作品のひとつだと思います.岸田氏が扮するのは非行老人たちの独立国『ヤマタイ国』メンバー最年少の内閣書記官長ですが,この『ヤマタイ国』のメンバー,日本の映画史上に名を残す錚々たるメンバーが勢ぞろいしてます.また,脚本・主演の利重剛氏のデビュー作でもあるのですが,この人たしかこの当時成蹊大学在学中で,私も同大学に在学中だったのですが,キャンバスにやたらとポスターが貼ってあった記憶があります.そんなわけで,かなり思い入れの深い映画でもあるのです.

42 濡れた心 ~レズビアン殺人事件~ ★★★
1981年 国際放映 カラー 92 min
STAFF
監督:瀬川 昌治
脚本:山浦 弘靖
原作:多岐川 恭
プロデューサー:辰巳 禎男/神谷 吉彦
音楽:青山 八郎
CAST
大場 久美子/谷川 みゆき/一ノ瀬 康子/南条 弘二/江見 俊太郎/飛鳥 裕子/木村 元/長澤 大/左 幸子/久木 念/藤 悦子/波多江 清/木内 マキ/佐藤 功/峰 健太/岸田 森/賀原 夏子/太川 陽介
 TVムービーなので,レズビアンシーンにはそれほど期待しないで観ました.原作を読んでいなかったのですが,それなりに面白い作品でした.岸田氏は最初の殺人事件の犠牲者ですぐに死んでしまいますので,あまり出番多くないですが,重要な役どころを演じています.

43 南極物語
ANTARCTICA
-
1983年 日本ヘラルド映画/東宝 カラー 145 min
STAFF
監督:蔵原 惟繕
脚本:野上 龍雄/佐治 乾/石堂 淑朗/蔵原 惟繕
製作総指揮:日枝 久
音楽:ヴァンゲリス
撮影:椎塚 彰
編集:鈴木 晄/蔵原 惟繕
CAST
高倉 健/渡瀬 恒彦/岡田 英次/夏目 雅子/荻野目 慶子/日下 武史/神山 繁/山村 聰/江藤 潤/佐藤 浩市/岸田 森/大林 丈史/金井 進二/佐藤 正文/中丸 新将/坂田 祥一郎/志賀 圭二郎/寺島 達夫/長谷川 初範/内山 森彦/川口 啓史/市丸 和代/スーザン・ネピア/チャールズ・アダムス/浜森 辰雄(稚内市長)/大谷 進/前島 良行/佐山 泰三/野口 貴史/大江 徹/小池 朝雄(ナレーション)
タロ/ジロ/リキ/アンコ/シロ(雄)/ジャック/風連のクマ/ゴロ/ぺス/モク/アカ/クロ/ポチ/紋別のクマ/シロ(雌)
 遺作.岸田さんは喫茶店のマスター役で1シーンのみの出演ですが,その店内にはご本人のモノと思われる蝶の標本が飾ってあり,客に「触ったらあかん」と怒る台詞もあります.
 映画そのものは当時の興行成績新記録となったヒット作で,主演のお2人も素晴らしくよくできた作品だと思いますが,健気な犬たちが次々と命を落としていくシーンは観ていて辛いものがあるので,ちょっと評価はできません.