Allman Brothers Band


DISCOGRAPHY (1968 - 1982)



1

THE ALLMAN BROTHERS BAND

1969

★★★★

 このバンドの場合,例えば Doobies や Eagles などといったバンドと比較してではありますが,バンドの方向性ならびにサウンドが,デビュー・アルバムの時点に既に確立されていた点が大きいと言えると思います.アルバム・トップのインストゥルメンタル・ナンバー "Don't Want You No More" からして,かなりの破壊力持ってますし, "Trouble No More" や "Whipping Post" に至っては,既にこの時期に『ブルース・ロックの真髄』みたいなモノを感じさせてくれるのに十分だと思いますが,実際のところは, Blues を苦手とする私でも最初に聴いたときに,そのサウンドの厚みに圧倒されてしまった,まぎれもない Rock サウンドなのでありました.

2

idlewild south

1970

★★★

 当初からサウンドが確立されていたバンドとしては当然の事ながら,前作の延長線上にあるアルバムですが,ちょっと印象弱いです.Blues 追求型 Rock Band としてはあまりにも当然といった感じで解りやすすぎる Willie Dixon 氏の名曲 "Hoochie Coochie Man" のカヴァーも,少々迫力という点で「こんなもんかな?」という感じでしたし,Dickey Betts 氏の名曲 "In Memory of Elizabeth Reed" も収録されていますが,やはりライヴに比べると聴き劣りしてしまいました.もっとも,このバンドに関しては,やはりリアル・タイムで聴いたのは "Brothers and Sisters" からで,それ以前のアルバムについては,後から追っかけて聴いたもんですから....

3

AT FILMORE EAST

1971

★★★★★

 多分 Blues Rock 関連のライヴ・アルバムとしては,最高峰に位置付けられる作品だと思います. Blues を苦手とする私でも「いいな〜」と感じたのは,やはり初期の Fleetwood Mac と Allman だったのでした.個人的なベスト・トラックは T. Bone Walker 氏作の "Stormy Monday" ,このギターとベース・ラインはとにかく気持ちいいです.あと,"Hot 'Lanta" と "In Memory of Elizabeth Reed" のアナログC面も好みです.逆に少々苦手なのが,アナログB・D面を費やしている "You Don't Love Me" と "Whipping Post" で, Eric Clapton さんの項でも書きましたが,私, Blues 系 Rock における,長々としたインプロヴィゼーションって苦手なのですよ.

4

EAT A PEACH

1972

★★★★

 Duane Allman 氏の不慮の死後リリースされたアナログ2枚組で,A面が Duane 氏が没後の新生 Allman による新録,B・C・D面が Duane 氏在籍時の録音,しかも大半が前作 "At Filmore East" と同じ時のテイクがしようされているという,変則的と言えば変則的な作品.何と言ってもやはり新生 Allman によるレコーディングをアルバムのトップに持って来てるのが,薄情と言えば薄情みたいですが(笑),バンドの意気込みを感じさせてくれると共に,素晴らしい出来だと思います.個人的ベスト・トラックは "Les Brers in A Minor" で,この曲を始めて聴いた当時,この曲をバックにしたすご〜くシュールな夢見たこともあって,思い入れの深い曲でした.逆に, "Filmore East" と同じ理由で苦手なのが,アナログB・D面を費やしている "Mountain Jam" ,一挙に聴くのはちょっとカンベンして欲しいって感じです.

5

Brothers and Sisters

1973

★★★★★

 レコーディング中,不幸にも DUane 氏に続いて Berry Oakley 氏をも事故で失ってしまった新生 Allman が,新メンバーに, Chuck Leavell (Kbd) ・ Lamar Williams (B) を迎えて完成させた傑作アルバム.多分私が始めて Allman のアルバムを聴いたのは,友人宅で聴かされた "Filmore East" とこのアルバムだったと思うのですが,当初 "Filmore East"に比べてずいぶんポップな印象を受けたこのアルバム,あまり好きじゃありませんでした.その後, "Eat a Peach" ・ 1st ・ 2nd と聴き比べていくうちに,あまりにもブルージーな初期作品よりも, "Eat a Peach" A面やこのアルバムの特にインストゥルメンタル・ナンバーの方がお気に入りとなってしまいました.というわけで,個人的ベスト・トラックは "Jessica" .この曲,高校生の頃静岡市で一度だけ開かれた『夏本番』というコンサート(『春一番』コンサートで有名な福岡風太氏のプロモーションで,友人が手伝いに行ってました)で,『大森ブラザーズ・バンド』という,これまた友人の知り合いが演奏していたのを聴いたのが多分最初だったと思うんですが,本家 Allman よりも,その時の印象の方が強烈だったです.それはともかくとして, Dickey Betts 氏のコンポーザー及びギタリストとしての才能が見事に開花した作品だと思います.

6

BEGINNINGS

1974

-

 "Allman Brothers Band"(1) と "Idlewild South"(2) のカップリング2枚組.




7

WIN, LOSE OR DRAW

1975

★★★

  "Eat a Peach" A面ならびに前作 "Brothers and Sisters" で新たな方向性を打ち出した新生 Allman の2年ぶりの新作ということもあって.かなり各方面から期待されていた作品だったと思うのですが,残念ながら前作を超えることができなかったばかりか,その水準をも保つことができなかった作品だと思います.収録曲のそれぞれに関しても, "Eat a Peach" ・ "Brothers and Sisters" 収録曲に比べてあまりにも凡庸ですし,演奏にしてもまとまってはいるものの, Allman Brothers Band ならではのキレの良さ,サエといったものが感じられませんでした.

8

THE ROAD GOES ON FOREBER
A COLLECTION OF THEIR GREATEST RECORDINGS

1975

-

 アナログ2枚組コンピレーション,全17曲収録.2001年, CD 化に際して,13曲を追加収録した "Expanded Edition" としてリリースされました.

9

WIPE THE WINDOWS
CHECK the OIL
DOLLAR GAS

1976

★★★★

 1976年夏,惜しまれつつ解散した Allman のラスト・アルバムとなるはずだったアナログ2枚組ライヴ・アルバム. Duane 氏亡き後の新生 Allman としては初のライヴ・アルバムで,また,大ヒット・アルバム "Brothers and Sisters" 収録曲が初めてライヴで聴けるという事もあって,リリースが待たれたアルバムでした.当初は1975年のツアーの模様を収めたアルバムになる予定だったらしいですが,解散という事もあってか, '75年のツアーからは4曲のみで,残りの5曲は '72・ '73年のツアーのものが収録されており,期待外れだった前作 "Win, Lose or Draw" 収録曲は1曲のみとなっております( '75年のツアーは, "Win, Lose or Draw" からの曲を中心として行われたとの事).個人的には,それで正解だったと思うわけですが,何と言っても Dickey Bettz 氏の "In Memory of Elizabeth Reed" と "Jessica" の2曲が傑出していると思うのです.

10

ENLIGHTED ROGUE

1979

★★★

 1976年に解散した Allman Brothers Band は,特に Gregg Allman ・ Dicky Bettz 両氏の確執が決定的で,2度と両者の共演はないだろうと予測されておりましたが,大方の予想を裏切り, '79年に簡単に再結成されてしまいました.ラインナップは Gregg Allman (Kbd ・Vo) ・ Dickey Bettz (G ・Vo) ・ "Jaimoe" Johanny Johanson (Ds ・Perc) ・ Butch Trucks (Ds ・Perc ・Vo) ・ "Dangerous" Dan Toler (G) ・ David "Rook" Goldflies (B) の面々で,ゲストとして, Bonnie Bramlett さん他が参加しております.「過去の名声に頼った$目当ての再結成にロクなもんはない」みたいな書き方をしていたのは,確か中村とうようさんだったように記憶していますが,個人的にはこのアルバム嫌いじゃないです.かなりポップ寄りのアルバムという事で,あまり評判の高くない作品ですが,少なくとも "Brothers and Sisters" の大成功の上に胡座をかいていたような解散前の "Win, Lose or Draw" よりも,サウンドもタイトだし,何と言ってもアルバム全体が引き締まっているような印象を受けるのです.収録曲に関しては,やはり Dickey Bettz 氏の作品が好みなのです.

11

REACH FOR THE SKY

1980

★★★★

 前作 "Enlightened Rogues"(10) で,復帰を果たした Allman Brothers Band でしたが,その直後何と Capricone レーベルが倒産してしまいました.というわけで,急遽 Arista に移籍し,復帰第2弾・移籍第1弾となったのがこのアルバムです.この時期の Allman の特徴と言えば, Dickey Bettz さんがリーダーシップを発揮している点だと思うのですが,本作品でも全8曲の収録曲中6曲が Dickey さんのペンによるもので, Gregg Allman さん,少々影が薄いです.また,この作品の特徴として, Allman の全作品中,最も R&R 色が強く, Dickey Bettz ・ Dan Toler 両氏の縦横無尽のギター・バトルが魅力的な作品で,はっきり言って好みなのです.

12

Brothers of the Road

1981

★★★

 Arista 移籍第2弾.再びどちらかと言うとポップ寄りな作品で,好意的な評価を得られず,またセールス的にも失敗した事もあって, Allman はこの作品リリース後再度解散してしまいました.悪い作品じゃないと思うんだけどね....




13

The ALLMAN Brothers Band

1981

-

 デビュー作 "The Allman Brothers Band" から,再結成第1弾の "Enlightened Logues"(10) までの,彼等が Capricone レーベルに残したベスト・トラックを収録したコンピレーションで, Universal レーベルからリリースされました.

14

DREAMS

(1989)

-

 バンド結成20周年記念アンソロジーとしてリリースされた CD 4枚組 Box Set で,彼等の代表曲の他,各メンバーのソロ・ワークス,未発表曲(全55曲中15曲)等を多数含んでます.ちなみにこの年,再々結成されたらしいですが,その後の作品はもはや興味がなくなっていたので聴いてませんごめんなさい.

15

American University
Washington, D.C. 12/13/70

(2003)

★★★

 全てのライヴ・アルバムの中で最高峰と位置付けられる "At Filmore East"(3)直前の『歴史的音源』(???)という事でリリースされたみたいですが,何度も書いたように,この手のアルバムってホント歴史的価値以外のモノを見い出すのって困難ですよね.確かに良い出来だし,聴き比べてみるのも一興かも知れませんが,あまり濫発されると,コレクターとしては迷惑この上ないのです(哀).

16

LIVE AT THE ATLANTA INTERNATIONAL
POP FEASTIVAL July 3 & 5 1970

(2003)

★★★

 同上.

17

Martin Scorsese Present THE BLUES

(2003)

-

 Martin Scorses 監督総指揮による映画シリーズのアーティスト別イメージ・アルバム.ライヴ7曲を含む全11曲を収録.

18

THE ALLMAN BROTHERS BAND GOLD

(2006)

-

 デビュー作 "The Allman Brothers Band"(1) から,最初の再結成 "Enlightened Rogues" (10) までのアルバムからセレクトした30曲を収録した,2CDコンピレーション.