遠藤 賢司


DISCOGRAPHY (1970 - 1989)



1

niyago

1970

★★★
 1960年代の日本の音楽シーンで『フォーク』と呼ばれていたジャンルは,マイク真木,森山良子,ブローサイド・フォー等の関東を中心とした『カレッジ・フォーク』と,それに反発して関西に現れた高石友也,岡林信康,ザ・フォーク・クルセダーズ等の『アングラ・フォーク』に大別されていましたが,1970年代に入るとインディーズ・レーベルの走りであった ELEC ・ URC 等のレーベルから次々とデビューしたシンガー・ソングライターの一群の音楽が『ニュー・フォーク』と呼ばれるようになりました.この人に関しては1968年の京都で開催された『第3回フォークキャンプ』に参加,関西フォークの人々と接近,高石音楽事務所に所属し,1969〜1971年に開催された『中津川フォークジャンボリー』に出演していますが,一般的にはやはり『ニュー・フォーク』の騎手の一人として扱われていました.また URC からリリースされたこのデビュー・アルバムでは,バックにはっぴいえんどの細野晴臣さん,鈴木茂さん,松本隆さん等が参加しておりますが,当時ははっぴいえんどの音楽も遠藤さん自身のそれも全て一緒くたに『フォーク』として分類されていたのです.

2

満足できるかな

1971

★★★★

 前作に続いてはっぴえんどの面々がバックを勤め, Polydor からリリースされた 2nd Album で,初期の代表曲『カレーライス』,『満足できるかな』,『ミルクティー』.『寝図美よこれが太平洋だ』を収録.翌1972年に吉田拓郎(当時はよしだたくろう)さんの『結婚しようよ』がヒットして,『ニュー・フォーク』は空前の大ブームを迎えますが,遠藤さんの『カレーライス』も同じ頃シングル・カットされかなりのヒットを記録しています.当時,拓郎さんと(プロレスを通じて?)かなり親密な付き合いをしていたらしく,アルバム『人間なんて』のレコーディングに参加,後にエッセイ『気ままな絵日記』にも文章を寄稿しています.

3

嘆きのウクレレ

1972

★★★

 バックに細野「晴臣,鈴木茂,林立夫,松任谷正隆,後藤次利,洪栄龍(乱魔堂),トシ(頭脳警察)等の各氏が参加,期せずして『キャラメル・ママ』の最初の録音となった『Hello Goodby』,小坂忠さんのバック『フォー・ジョー・ハーフ』がバックを勤めた『猫と僕と君』,ベートーヴェンの第九交響楽に詞をつけた『歓喜の歌』等を収録した 3rd Album.豪華な内容のわりに地味な感じのする不思議なアルバムです.

4

歓喜の歌 遠藤賢司リサイタル

1973

★★★★★

 1973年4月30日神田共立講堂でのライヴを収録.キャラメル・ママのメンバーの他に,はちみつぱいの武川雅寛さん,井上陽水さん等が参加.

5

KENJI

1974

★★★★

 バックにキャラメル・ママ改めティン・パン・アレーの細野晴臣さん,林立夫さんの他に,高中正義さん,深町純さん,洪栄龍さん,山内テツさん,星勝さんといった日本ロック界のビッグ・ネーム多数が参加,ジャケット,デザインは横尾忠則さん.先行シングルでポップな『踊ろよベイビー』,シュールな大作『けんちゃんの宇宙旅行』を収録.ちょっと ROCK してます.

6

Silver Star BEST OF KENJI ENDO 1975

-

 初のコンピレーション.シングル曲を中心に全12曲が収録されたベスト・アルバム.



7

HARD FOLK KENJI

1975

★★★
 CBS SONY 移籍第一弾.今回も洪栄龍さん,高中正義さん,村上秀一さん,土屋昌巳さん,斉藤ノブさん,松任谷正隆さん,吉川忠英さん,矢野誠さん,矢野顕子さんといったミュージシャンが参加.1970年代初頭に現れたニュー・フォークの面々はこの1975年頃を境に,歌謡曲に近づきニュー・ミュージックと称されたマジョリティと, ROCK 化していったマイノリティの二極化の様相を呈しており,この人も後者に属する感じでしたが,この作品まで本人はフォーク・シンガーであることを自認していたようで,ラストの『HARD FOLK BOOGIE WOOGIE』では「拓郎がなんだ,陽水がなんだ」と気を吐いておりましたが,この後主にライブに活動の場を移し,結局 CBS SONY からリリースされた作品はこれ1枚となってしまいました.ムッシュことかまやつひろしさんのアルバム『あゝ,我がよき友よ』に提供し,本人も参加していた『OH YEAH』のセルフ・カヴァーも収録されています.

8

東京ワッショイ

1979

★★★

 というわけで4年間の沈黙を破ってにリリースされた PUNK ROCK ALBUM.バックに四人囃子の佐久間正英さん,岡井大二さん,佐藤満さんの他,山内テツさん等が参加.アナログA面が『東京サイド』,B面が『宇宙サイド』の構成で,ジャケット・デザインは横尾忠則氏.ニュー・フォーク勢の中で,この時期,ニュー・ミュージックへではなく, ROCK へと傾倒していったアーティストの中で,特に PUNK だったのがこの人とあがた森魚さんだったと思います.

9

宇宙防衛軍

1980

★★★

 前作の流れをくむ PUNK ROCK ALBUM ですが,今回は SF をコンセプトに更に悪ノリしており,うれしなつかし『ザ・ガードマン』,演歌調の『東京演歌』,平山みきさんとのデュエット『哀愁の東京タワー』,『夜汽車のブルース』リメイクとヴァラエティに富んだ内容となってます.

10

オムライス

1983

★★★★

 『ライス三部作』第二弾の『オムライス』をフィ―チュアした6曲入りミニ・アルバム.バックに細野晴臣さん,越美晴さん参加.

11

遠藤賢司黎明期ライブ

1989

★★★★★

 遠藤さん自ら選曲・マスタリングを行った,1969〜1971年のライヴ音源10曲を収録.この時代まぎれもないフォーク・シンガーだった遠藤さんの弾き語りが堪能できます.

12

エンケンの四畳半ロック

(1999)

★★★★

 初のセルフ・カヴァーアルバム.昔『四畳半フォーク』と見下された呼び方をされたことへのアンチテーゼ? 初期フォーク〜中期ロック期の代表曲12曲を収録.