早川 義夫

Solo

11
かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう

1969

★★★★
 昔々,ニュー・フォーク・ブームの頃,もとまろとか岩渕リリとかっていうフォークまがいの人たちが歌った『サルビアの花』がヒットしていて,実は「なんてイヤな歌なんだろう」と思っていたのですが,月刊『明星』に作者の早川氏が「あの歌の“君の部屋”っていうのは子宮のこと,こんな歌が流行るようじゃ世も末だ」というようなコメントを載せていて,実はそれが早川氏に興味をもったきっかけだったのです.そして,初めて聴いたのがこのアルバムだったわけですが,詞も曲も声も強烈な印象だったです.で,『サルビアの花』に対しては,この曲に関しては早川氏以外の人間が歌ってはイケナイ曲だった(作詞は本人ではなく,相沢靖子さんですが),というのがその後の私の意見となりました.アルバム自体については,さすがに今の時点では,1枚通して聴くのは少ししんどいかもしれません.『NHKに捧げる歌』って個人的には名曲だと思います.

12
この世で一番キレイなもの

1994

★★★★★
 そんなわけで,このアルバムが出たときは早速買って来て聴いたわけですが,もう久しぶりにぶっとびました,本当に... 25年ぶりのカムバックというのも衝撃的でしたが,何よりもこの25年が氏にとって単なる沈黙でなかったこと,それ以上にこの25年こそが氏を偉大なアーティストに育てあげていたことを感じましたし,アーティストには各自その創作活動をするのにふさわしいペースというモノがあるということを実感させてくれました.このアルバムに関しては,本当に文句のつけようのない出来で,さらに渋み・凄みを増したヴォーカルが何よりも心地よいです.どの曲も素晴らしいと思いますが,個人的な好みをしいてあげるならばやはりタイトル曲かな? 再録されている『サルビアの花』については,ピアノ引き語り風の旧作も良かったですが,このアルバムではフル・バンドをバックに迫力的に迫って来ていて,これもまたいいです.『H』,『いつか』,本当にスゴイ詞を書く人だと思います.

13
ひまわりの花

1995

★★★
 カムバック第2弾.実は前作が出たとき,また姿を消してしまうんじゃないかという危惧があったのですが,続くビデオのリリース及びこの作品の発表で,カムバックが一時的なものではなく,本格的なものであることがわかって大いに安心しました.
前作の『サルビアの花』に続いて,今回はジャックス時代の『駄天使ロック』をセルフ・カバーしてますが,なんでこの曲を選んだのかについては,少々疑問が残りますが,ま,別に本人の勝手なので... 個人的には,みるばやしみほ作詞・作曲の『身体と歌だけの関係』,本人の作品では『いい娘だね』あたりが好きです.初めて佐久間正英氏がプロデュースを担当しています.

14
花のような一瞬

1996

★★★★
 6曲入りのピアノ・ソロ・ミニ・アルバムですが,すご〜くテンション高いです.全曲とも本人の作詞・作曲で,しかもかなり強烈に印象に残る作品がそろっております.わりとオススメできる作品だと思います.

15
アメンボの歌

1997

★★★
 桑田佳祐作詞・作曲のシングル.早川氏と桑田氏の強烈な個性がはたしてうまく調和するものかという危惧があったんですが,それほど早川氏のキャラをぶちこわしていない出来で安心いたしました.ただ,やはり本人の作品とは隔たりがある感じで,ミスマッチとまではいきませんが,多少の違和感を感じてしまうのは仕方のないところだと思います.もう1曲の『嵐のキッス』も,早川氏の作品にしては凡庸な感じがいたしました.ところで,アメンボって飛べるんですか? しりませんでした.あと Photo : 渋谷陽一って,あの渋谷陽一氏?

16
恥ずかしい僕の人生

1997

★★★★
 『花のような一瞬』に収録されていた曲が5曲収録されていますが,いずれも新録音です.ピアノの引き語りも良かったけど,ここではフル・バンドをバックにそれぞれの作品が見事に蘇っています.今回は,ジャックスの名曲『敵は遠くに』と『からっぽの世界』をセルフ・カバーしていますが,これらに関してはやはりジャックスのヴァージョンの方が好きです.ラストに『アメンボの歌』が収録されていますが,やはりアルバムの中では,少々浮いてしまっているような印象を受けました.ブックレットにつげ義春氏の作品が使われているのが,嬉しかったりして...

17
歌は歌のないところから聴こえてくる

2000

★★★
 プライベート録音を2曲(『悲しい性欲』・『躁と鬱の間で』)含む,早川氏のピアノ引き語りによるピアノ・ソロ・アルバム第2弾.今回はフル・アルバムです.やはり,この手の作品のヴォリュームはミニ・アルバム程度が適当なのかも... また,仲井戸麗市氏と大槻ケンヂ氏の作品がそれぞれ1曲収録されていて,それなりに出来は悪くないのですが,桑田作品のときと同様,そこはかとなく違和感を感じてしまったんですよね... 思うにこれは,そこが魅力でもあるんですが,この人の歌って他分に私小説的な要素が強いため,他人の曲を消化しても,また,この人の曲を他人が歌っても,仕方のないギャップがそこに生じてしまうためなんだと思います.というわけで,個人的にはプライベート録音の2曲が,音は悪いですが,せまってくるモノがあったりしたのです.

18
言う者は知らず,知る者は言わず

2002

★★★★
 CD 2枚組ライヴ・アルバム.『恋に恋して』・『批評家は何を生み出しているのでしょうか』の2曲の新曲を含む全26曲を収録. Jacks 時代の『マリアンヌ』から現在のソロ作まで,早川さんの世界を十分に堪能できます.

19
I LOVE HONJI - バイオリニスト HONJI に捧ぐ
/早川 義夫 + 佐久間 正英 + HONJI

2008

★★★
 前年9月に急逝してしまったヴァイオリニスト本地陽子さんに捧げるという形をとっていますが,基本的には前作に続く早川氏のライヴ・アルバム.極端にヴァイオリンを強調したミキシング,意図は解るけどやりすぎの感がしないでもないです.