Uriah Heep


DISCOGRAPHY (1970- 1976)



1

very'eavy very'umble

1970

★★★

 王者 Led Zeppelin がこの年 "Led Zeppelin III" で賛否両論を巻き起こし, Deep Purple が "In Rock" で方向性を転換して成功した事を考えあわせると,この時期のこの手のグループとしてはかなりの線いっていたんじゃないかと思わせるデビュー・アルバムです.もろに Heep している "Gypsy" をはじめ "Come Away Melinda", "Lucy Blues", "Wake Up (Set Your Sights) といったあたりを聴き比べてみると,結構広い音楽性を持っていたグループだった事を感じさせられるよ〜な気もします.あとこの人たちの作品,アルバム・ジャケットのアート・ワークに定評がありますが,中でもこのジャケットは最高だったと思います.

2

Salisbury

1971

★★★★

 ドラムスに Keith Baker を迎えた第2作.前後に印象の強いアルバムがあるせいか,あるいは後の "Uriah Heep Live" で1曲も取り上げられていないせいか,彼等の初期の作品の中でも最も話題にのぼらない作品ではありましたが,ど〜ゆ〜わけか私,このグループに関しては世間的な評価の低い作品の方がお気に入りで,この作品好きなのですヨ.とにかく冒頭の2曲 "Bird of Prey" と "The Park" は彼等の作品群の中でもベストの美しさだと思うし,ラストの16分以上におよぶ "Salisbury" も聴きごたえあります.

3

LOOK AT YOURSELF

1971

★★★

 彼等の名前を一躍有名にした表題曲 "Look At Yourself" をトップにすえたサード・アルバムで,他にも "July Morning" や "Tears In My Eyes" ・ "Love Machine" 等の初期の代表曲が収録されています.Deep Purple の "Child In Time" と並んで,コンサートのヴォーカリストをフィーチュアしたハイライトに欠かせなかった "July Morning" ですが,発表はこちらの方が1年早く,ある意味で Purple よりも先を行っていたとも言えます.このアルバムから Lee Kerslake がドラムスを担当しています.あと気になってるのが,このアルバムに『対自核』って日本語タイトルつけたのだ〜れ? でらちゃんは作品名に勝手に日本語のタイトルつけるのには基本的には反対なのですが,これはお上手だったと思っています.

4

DEMONS AND WIZARDS

1972

★★★★

 ベーシストに Gary Thain を迎え,黄金期を迎えた Heep の前作と並ぶヒット作で,シングル・カットされた "Easy Livin'" は彼等最大のヒット曲となりました.また何となくオカルト的な彼等のイメージを決定づけた作品でもあります.立川直樹氏がアナログ盤の解説書いてるんですが,曰く『ユーライア・ヒープは1枚のレコード中に次元の異なる異様に迫力のある不条理の世界を作り出している』だって... この時代のレコードの解説って憲章さんをはじめ,こんなの多かったです.それはともかく,コンセプト・アルバムとしてしっかりした構成の彼等の代表作と言ってもいいと思います.

5

THE MAGICIAN'S BIRTHDAY

1972

★★★★

 前作の流れを汲む...とゆ〜より,完全な二番煎じとも思える作品ですが,それなりに良く出来ていて,もしかしたら作品自体の出来は前作より上かもしれません.個人的にはこのアルバムに入っている "Sweet Lorraine" とゆ〜曲,彼等のロックンロール・ナンバーの中でも特に好きな曲なのです.

6

Uriah Heep Live

1973

★★★★★

 私が Uriah Heep のアルバムを通しで聴いたのはこの2枚組ライブが始めてでした.もちろん,"Look At Yourself" や "Easy Livin'" のよ〜なシングル・ヒットは聴いたことはありましたが,正直言ってわざわざレコードを買って聴こうという気にはなれないグループでした.しかしながら,このライブ・アルバムを聴いて以降このバンドに関する興味が急速に高まり,過去の5枚のアルバムを買って聴いてみる気になったのです.但し過去のどのスタジオ録音もこのライブほどには感銘を受けなかった...というのが正直な感想でした.つまりこのライブこそ,この時期の Heep の魅力を最大限に引き出した最高傑作だったと思うのです.




7

Sweet Freedom

1973

★★★★★

 というわけでライブだけで実力を発揮するバンドなのかと思っていたのですが,その後に出た2枚のスタジオ盤はとても気に入ってしまいました.この2枚,はっきり言って世間での評価はものすご〜く低いのですが,最も Heep らしい雰囲気を持った作品だと思います.明らかに同一のテーマを持った連作で,2枚組として発表されていたら,もしかしたらロック史に残るプログレ・ハードの名作になっていたのかもしれない,というのが私の持論です.このアルバムに関していえば,トップの "Dreamer" のイントロだけでもうブッとんでしまい, "Sweet Freedom" で埋葬されてしまったのです.

8

WONDERWORLD

1974

★★★★★

 Heep 最高の2部作の完結編で,やはり素晴らしい構成と内容をもった傑作です.特にアナログA面最後の "The Easy Road" はこのグループの叙情性が最も端的にあらわれた曲で, Zeppelin や Purple にはない部分だと思います.あとラストの "Dreams" ですが,酔っぱらったりクスリをやった状態で聴くのはやめましょう.このアルバムでその音楽性を確立した Uriah Heep でしたが,翌'75年の悪夢の感電事故により Gary Thain さん脱退('76年死亡),黄金時代に終止符をうちました.

9

RETURN TO FANTASY

1975

★★★

 感電事故の後遺症のため脱退(馘首されたという説もある)した Gary Thain さんに代わって元 King Crimson , Roxy Music の John Wetton さんが加入した新生 Heep ですが,正直言ってこのアルバムを最初に聴いたときはガッカリしました. "Demons And Wizards"(4), "The Masician's Birthday"(5) でそのサウンドを確立し,その後の "Sweet Freedom"(7), "Wonderworld"(8) で新たなアプローチを試みていた Heep でしたが,このアルバムに関しては従来の Heep らしさも消え失せ,かと言って特に新しい試みをおこなっているわけでもなく,ただ惰性で作っているような印象しか受けなかったのです.収録曲にしてもトップの "Return to Fantasy" 以外は印象に残るのなかったです.あと変に明るくなってしまったのもマイナス要因でした.明るい Heep なんて Heep じゃないやい... 解説の大貫憲章さんはベタホメしてましたが,はっきり言って昔からこの人と趣味合わないもんで...

10

The Best off ...

1976

-

 過去8枚のスタジオ・アルバムからセレクトされた Heep 初のコンピレーション.内訳は "Look at Yourself"(3) と "Deamons and Wizards"(4) から各2曲,あとの6枚のアルバムから各1曲ずつですが,少々選曲に疑問が残ります.

11

HIGH AND MIGHTY

1976

★★

 はっきり言って Heep も終ったなというのが最初に聴いたときの印象で,この後の Heep のアルバムはほとんど聴いてません.内容はほとんど Ken Hensley さんの独断場で,全曲彼の作品(うち2曲は John Wetton さんとの共作)です.このアルバム発表後, David Byron さんと John Wetton さんが脱退,私はこの時点で最高のB級バンドだった Heep の歴史には終止符がうたれたものと理解しております.

12

URIAH HEEP BEST

(1997)

-

 CD 時代に入って編集されたコンピレーション.アナログ時代の "The Best of Uriah Heep" (10) をベースに, "Very 'umble Very 'eavy"(1), "Salisbury" (2), "The Magician's Birthday"(5) からの曲が各1曲ずつと, "High and Mighty"(11) 以降の曲が4曲追加収録されております.


VIDEOGRAPHY

Classic Heep Live from the Byron Era

Arcangelo AARDV-1025 Color 80 min. 本体¥3,500

 ついに出た! David Byron さん, Gary Thain さん,および Jon Wetton さん在籍時の Heep 全盛期終盤の映像! 全15 Tracks 収録.