三上 寛


DISCOGRAPHY (1971 - 1974)



1

三上寛の世界

1971

★★★
 1970年代初頭の ELEC・URC 勢を中心に隆盛を誇ったニュー・フォーク・ブームの中で,特に『土着フォーク』とか『怨歌』と形容され異色を放っていた三上さんのデビュー・アルバム.このアルバムは21世紀に入ってから聴いたのですが,収録曲の中では,当時藤圭子さんによってヒットしていた『圭子の夢は夜ひらく』に別の歌詞をつけた『夢は夜ひらく』と,シリアル・キラー・永山則夫(1997年死刑執行)を歌った『ピストル魔の少年」が印象に残りました.

2

'71中津川全日本フォーク・ジャンボリー実況
《1971年8月7日,8日,9日》
加川良,斉藤哲夫,三上寛

1971

-

 アナログ盤A面に斎藤哲夫さん2曲と加川良さん4曲,B面に三上さんの『夢は夜開く』,『小便だらけの湖』,『からす』,『誰を怨めばいいのでございましょうか』,『妹売歌』,『おど』の6曲が収録されています.

3

三上寛のひとりごと

1972

★★★
 セカンド・アルバムなのですが,収録10曲のうち半分の5曲がファースト『三上寛の世界』と重複しています.こういうアルバム作りをしてはイケナイ.

4

ひらく夢などあるじゃなし
三上寛怨歌集

1972

★★★★

 最初にこの方の曲を聴いたのは,このサード・アルバムからオムニバス・アルバム『にっぽんふぉーく史』に収録されていた『故郷に帰ったら』と『誰を怨めばいいのでございましょうか』だったのですが,その当時中学生だったでらちゃんは,他のフォーク・シンガーとはあまりに異なるこの方の際立った個性を受け入れることができず,全く関心を持つことができませんでした.『夢は夜開く』は3度目の収録ですが,『あなたもスターになれる』,『ひびけ電気釜』,『昭和の大飢饉予告編』,『青森県北津軽郡東京村』といった初期の名曲・代表曲が収録されており,三上さんの作風が確立された重要作だと思います.

5

コンサートライブ零弧徒
三上寛 1972

1972

★★★★
 この方に関しては最初の印象が強烈すぎて,あまり関心が持てずに長い間聴く気になれないでいたのですが,大学に入った頃,当時隆盛を極めていたパンク・ロック,ニュー・ウェイブにはまっていた友人が録音してきたこのアルバムのテープを聴かされたところものすごく気に入ってしまい,以来レコードを買い集めるようになりました.この人の本質はそれまで言われていた『土着フォーク』でも『怨歌』でもなく,まさに『パンク・ロック』だったと思います.

6

船頭小唄
三上寛えん歌の世界

1973

★★★

 なぜ『怨歌』ではなく『えん歌』なのか?と思っていたら,オリジナル版『夢は夜ひらく』をはじめ,『ざんげの値打ちもない』,『よこはまたそがれ』,『花と蝶』等,『演歌』の有名曲12曲を収録したカヴァー・アルバムでした.正直言って,この人から作品の持つオリジナリティを取ってしまったら単なる下手な歌手でしかないので,つまんないです.



7

BANG!

1974

★★★
 それまでの『土着フォーク』,『怨歌』の世界から脱却して,後に『ジャパニーズ・パンクの先駆者』と称されるようになるサウンドに移行したロック・アルバム.相変わらずの支離滅裂ぶりが良いです.

8

幻のフォークライブ傑作集
三上寛ライブ
中津川フォークジャンボリー'71
(1979)

★★★★

 やはり,この方歌もギターもヘタだけど,なぜかライブは最高に良いという不思議なアーティストだと思います.『夢は夜ひらく』を始めとする名曲・代表曲のライブ・パフォーマンス全13曲を収録.

9

このレコードを盗め
初三上寛ベストアルバム
(1982)

-

 アナログ時代にリリースされた初のベスト・アルバム.とは言っても単なるコンピレーションではなく,過去の代表曲から9曲(うち1曲はメドレーなので実質全10曲)をセレクトし,新たなアレンジを施した内容となっています.しかしながら,歌詞の方も大幅に変更が加えられてしまっていて魅力が半減してしまっています.とても残念な作品だったと思います.

10

三上寛 ベスト・アルバム
(1994)

-

 こちらはCD時代に入ってからリリースされたコンピレーション.ファースト・アルバムと同じジャケットですが,内容もファースト『三上寛の世界』の11曲に他の初期作品8曲を追加した全19曲を収録.