加藤 和彦


DISCOGRAPHY Part 1 (1969 - 1984)



1

COME TO MY BEDSIDE…
ぼくのそばにおいでよ

1969

★★★

 ザ・フォーク・クルセイダーズで1967年に1年限定でプロデビュー,翌1968年10月17日に解散した加藤さんは,1979年シングル『僕のおもちゃ箱』をリリース,ソロ活動を開始しました.続いて2枚組アルバム『児雷也』の製作を開始しましたが,レコード会社の独断的な営業政策によってタイトルが変更され,用意された全12曲中2曲をカットされた上に先のシングルを追加収録し曲順を変更してシングル・アルバムとしてリリースされてしまったといういわくつきの作品で,その顛末がインナースリーブに『児雷也顛末記』として本人によって記載されています.この時代,レコード会社の権力が強大でアーティスト側にはレコード製作に関して何の権限もなかったことが窺われるエピソードですが,この状況が後にアーティスト自身の経営によるレコード会社 FORLIFE RECORDS の設立へと繋がっていきました.というわけで,本来企画されたコンセプト・アルバムとしての形は見事に失われてしまった残念なアルバムで,各収録曲が良かっただけに,本来の形でのリイシューが望まれましたが,加藤さんの早すぎる逝去によって,それは不可能なことになってしまいました.

2

SUPER GAS
スーパー・ガス

1971

★★★★
 この年福井ミカさんと結婚しサディスティック・ミカ・バンドを結成することになる加藤さんがミカさんと共に作った,Paul & Linda McCartney "Ram" を思い起こさせるようなアルバムで,裏ジャケにはミカさんと犬の Gas (本人のではなく知人の愛犬だったらしいです)と寛ぐ加藤さんの写真が使用されています,加藤さんによれば,日本で最初にプロデュース・クレジットが記載されたアルバムだったらしいです.前作製作の際カットされてしまった2曲を収録.また某住宅会社の CM に使用されて超有名曲になった『家をつくるなら』が初めて収録されていますが,後にソロ名義でシングル・リリースされました.

3

それから先のことは…

1976

★★★

 1975年にミカさんと離婚,バンドも解散してソロ活動を再開した加藤さんはまずシングル『シンガプーラ』っをリリース,次いでこのアルバムをリリースしますが,全作詞を当時同棲中だった安井かずみさん,作編曲を加藤さんが手がけた初の共作アルバムでした.以後めでたく再婚されご夫婦で数多くの楽曲を他のアーティストに提供していくのですが,正直言ってそれらの曲に比べてこの人のソロ作品は聴き劣りがしてしまうのは,やはりこの人はソロよりもバンド向きであったこと,また,コンポ―ザー,アレンジャー,プロデューサーとしての才能があまりにも偉大すぎたためであり.決してソロ作品の出来が悪いわけじゃないのです.

4

Catch-22

1977

-
 それぞれ SIDE A / ザ・フォーク・クルセダーズ時代, SIDE B / 第一期ソロ時代, SIDE C / サディスティック・ミカ・バンド時代, SIDE D / 第二期ソロ時代 の作品を全22曲収録した 2LP コンピレーション.

5

ガーディニア

1978

★★★
 ソロ4作目,安井かずみさんとのコンビとしては2作目,そして DAUHNUT RECORDS からリリースされた最後の作品.内容的にはサンバ・ボサノヴァを題材としていますが,ストリングス&ホーン・アレンジを坂本龍一さんが担当,ミカバンドの高橋幸宏さん,後藤次利さんに加えて,笠井紀美子さん,村岡健さん,尾形道子さん等ジャズ系のミュージシャンが参加して国内で録音されました.何故か2022年になってから,アナログ盤が再リリースされました.

6

PAPA HEMINGWAY
パパ・ヘミングウェイ

1979

★★★

 ワーナー・パイオニア移籍第1弾.また,安井かずみさんとのコンビによるコンセプト・アルバム『ヨーロッパ三部作』の1作目.ご夫婦ともにその作品を愛読されていた文豪アーネスト・ヘミングウェイの生涯をテーマに製作,バハマ・マイアミにてレコーディングされましたが,メインのミュージシャンはみんな日本人で,ベースをミカ・バンドの小原礼さん,ドラムスを同じく高橋幸宏さん,ギターを大村憲司さん,キーボードを坂本龍一さんが担当されています.



7

L'opela Fragile
うたかたのオペラ

1980

★★★★

 『ヨーロッパ三部作』二作目.今回はドラムスの高橋さん,ギターの大村さんの他,ベースに細野晴臣さん,ピアノに矢野顕子さんが参加.ベルリンにてレコーディングされました.

8

Belle Excentrique
ベル・エキセントリック

1981

★★★

 『ヨーロッパ三部作』二作目.今回は前回のメンバーに坂本龍一さんが再度加わり, YMO のメンバーが全員参加しています.

9

BAR AMERICAIN
アメリカン・バー

1982

-

 『ヨーロッパ3部作』からのコンピレーション・アルバム.内訳は『パパ・ヘミングウェイ』(6)から3曲,『うたかたのオペラ』(7)から4曲,『ベル・エキセントリック』(8)から5曲の計12曲.中村とうようさんが珍しくライナー・ノーツでベタボメされています.

10

オリジナル・サウンドトラック
探偵物語

1983

-

 薬師丸ひろ子さん主演,加藤さんが音楽を担当した映画『探偵物語サウンドトラック盤.どういうわけか薬師丸さんが歌う主題歌のみ加藤さんの作品ではありません.

11

あの頃,マリー・ローランサン

1983

★★★★

 CBS/SONY 移籍第1弾.今回はヨーロッパではなく東京を舞台としたコンセプト・アルバムで,レコーディングも東京で行われました.ちなみに,このアルバムがリリースされた1983年はマリー・ローランサン生誕100周年だったらしいです.

12

VENEZIA
ヴェネツィア

1984

★★★

 CBS/SONY 移籍第2弾.今回はヴェネツィアをテーマとしたコンセプト・アルバムですが,レコーディングは東京で行われました.このアルバム・リリースの翌年,加藤さんは CBS/SONY を離れ,古巣の東芝 EMI に戻っています.